特許第6122697号(P6122697)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122697
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】組み合わせ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/04 20060101AFI20170417BHJP
   B65D 6/16 20060101ALI20170417BHJP
【FI】
   B65D6/04 A
   B65D6/16
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-115046(P2013-115046)
(22)【出願日】2013年5月31日
(65)【公開番号】特開2014-234172(P2014-234172A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌弘
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−114266(JP,A)
【文献】 特開2000−006964(JP,A)
【文献】 特開2003−011965(JP,A)
【文献】 特開平10−077032(JP,A)
【文献】 特開2005−329972(JP,A)
【文献】 特開2002−293328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/04
B65D 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂シートの成形体よりなり開口縁外周に嵌合溝を有する平面視多角形状の容器本体と、発泡樹脂製板材よりなり上縁部が前記容器本体の前記嵌合溝に嵌入することで前記容器本体と分離可能に一体化する枠材とで構成される組み合わせ容器であって、
前記容器本体の前記嵌合溝は、前記開口縁上端から上方に延びる内側壁とその上端から外側に延びる水平壁とその外縁端から下方に延びる外側壁とを有し、前記外側壁には前記内側壁側に凸となる第1の膨出部が周方向に形成されており、前記開口縁上端の近傍であって開口縁外周におけるコーナー部のみに外側に凸となる第2の膨出部が形成されており、該第2の膨出部の下端は水平な面とされており
前記枠材の上縁部の外側面には該上縁部が前記容器本体の前記嵌合溝に嵌入した状態で前記容器本体に形成された前記第1の膨出部が係合することのできる凹陥溝が周方向に形成されていることを特徴とする組み合わせ容器。
【請求項2】
前記第1の膨出部は前記嵌合溝を形成する前記外側壁の全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ容器。
【請求項3】
前記第1の膨出部は前記嵌合溝を形成する前記外側壁のコーナー部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の組み合わせ容器。
【請求項4】
前記嵌合溝を形成する前記外側壁の下端には外側に広がるフランジが全周にわたって形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の組み合わせ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枠材と該枠材の内部に収容される容器本体とで構成される組み合わせ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
枠材と該枠材の内部に収容される容器本体とで構成される組み合わせ容器は知られている。なかでも、特許文献1または2に記載されるような、樹脂シートの成形体よりなり開口縁外周に嵌合溝を有する容器本体と、発泡樹脂製板材よりなり上縁部が前記容器本体の前記嵌合溝に嵌入することで前記容器本体と分離可能に一体化する枠材とで構成される組み合わせ容器は、分解組立が容易であり、非使用時には容器本体と枠材とを別々に保管することで嵩容積を小さくすることができ、また使用後にも分別回収が容易なこと等から、コンビニエンスストアでの食品売り場等で広く使用されている。
【0003】
上記形態の組み合わせ容器において、容器本体と枠材とを一体に組み合わせるときに容器本体と枠材とが容易には分離しない状態で組み合わされることは、食材等を収容する作業や、食材収容後の組み合わせ容器を運搬する作業等を安定して遂行できることから、強く推奨される。前記した特許文献1および2に記載の組み合わせ容器においても、そのための工夫が採用されている。
【0004】
すなわち、特許文献1に記載の組み合わせ容器では、容器本体に形成された嵌合溝の外側壁に内側壁側に向けて凸となる膨出部を周方向に形成し、該膨出部の存在により枠材と容器本体との摩擦力を大きくして、分離し難いようにしている。
【0005】
特許文献2に記載の組み合わせ容器では、容器本体に形成された嵌合溝の内側壁に外側壁側に向けて凸となる膨出部を周方向に形成し、枠材の上縁部内側面であって組み合わせたときに前記膨出部が位置することとなる部位には該膨出部が係合することのできる係合凹部を形成するとともに、枠材の上縁部外側面には前記嵌合溝の外側壁が入り込む切り欠きを形成するようにしている。この組み合わせ容器においても、容器本体側に形成した前記膨出部と枠材側に形成した前記係合凹部とが互いに係合することで、両者が容易に分離するのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭58−180118号公報
【特許文献2】特開平10−77032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の組み合わせ容器は、容器本体に形成された嵌合溝の外側壁に内側壁側に向けて凸となる膨出部を周方向に形成し、該膨出部の存在により枠材と容器本体との摩擦力を大きくして容器本体と枠材とが容易には分離しないようにしているが、組み付け作業を安定して行うためには、前記膨出部の膨出量には自ずと制限があり、結果として、摩擦力の増大にも限度があることから、組み付け後の姿勢の安定性の観点からはなお改善すべき余地を残している。
【0008】
特許文献2の組み合わせ容器では、容器本体の嵌合溝の内側壁に形成した外側壁側に向けて凸となる膨出部が、枠材の上縁部内側面に形成した係合凹部を係合することで、両者が分離するのを防止しているが、特許文献1に記載の組立容器と同様、組み付け作業を安定して行うためには、前記膨出部の膨出量には自ずと制限があり、結果として、膨出量と係合凹部との係合深さにも限度があるとから、ここでも、組み付け後の姿勢の安定性の観点からはなお改善すべき余地を残している。また、特許文献2の組み合わせ容器では、嵌合溝を形成する外側壁は単に平板状であって外力によって変形し易く、この変形が、両者が分離する一因となることも起こり得る。
【0009】
本発明は、従来の組み合わせ容器が持つ上記のような不都合を解消することを課題としており、より具体的には、容器本体と枠材との組み合わせ後の姿勢を一層分離し難いようにした、より改良された組み合わせ容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による組み合わせ容器は、樹脂シートの成形体よりなり開口縁外周に嵌合溝を有する容器本体と、発泡樹脂製板材よりなり上縁部が前記容器本体の前記嵌合溝に嵌入することで前記容器本体と分離可能に一体化する枠材とで構成される組み合わせ容器であって、前記容器本体の前記嵌合溝は、前記開口縁上端から上方に延びる内側壁とその上端から外側に延びる水平壁とその外縁端から下方に延びる外側壁とを有し、前記外側壁には前記内側壁側に凸となる第1の膨出部が周方向に形成されており、前記開口縁上端の近傍には外側に凸となる第2の膨出部が周方向に形成されており、前記枠材の上縁部の外側面には該上縁部が前記容器本体の前記嵌合溝に嵌入した状態において前記容器本体に形成された前記第1の膨出部が係合することのできる凹陥溝が全周にわたって形成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明による組み合わせ容器では、枠材に容器本体を組み付けた姿勢としたときに、容器本体の外側壁に形成した第1の膨出部が枠材に形成した凹陥溝内に係合するとともに、容器本体の開口縁上端の近傍に形成した外側に凸となる第2の膨出部が枠材の内面側に圧入した状態となる。すなわち、容器本体と枠材は、第1の膨出部と凹陥溝との係合と第2の膨出部の枠材への圧入の2つの手段で一体化することとなり、組み付け状態はきわめて安定したものとなる。さらに、第2の膨出部が枠材の内側に圧入することは、結果として、枠材を外側に向けて押し出すこととなるので、第1の膨出部と凹陥溝との係合姿勢はさらに安定したものとなる。さらに、容器本体は嵌合溝の外側壁側に第1の膨出部を周方向に有しており、それが補強リブとしても機能することから、容器本体の変形も抑制され、その点からも、組み付け姿勢は安定したものとなる。
【0012】
本発明による組み合わせ容器の一態様では、前記第1の膨出部は前記嵌合溝を形成する前記外側壁の全周にわたって形成されていることを特徴とする。この態様では、容器本体と枠材との係合が、容器本体と枠材の全周にわたって形成されることから、組み付け姿勢は一層安定したものとなる。
【0013】
本発明による組み合わせ容器の一態様では、前記容器本体は平面視多角形状であり、前記第1の膨出部は前記嵌合溝を形成する前記外側壁のコーナー部に形成されていることを特徴とする。この態様では、全周にわたって第1の膨出部を形成する場合に比べて、前記外側壁が前記内側壁側に過剰に変形することを防止することができ、容器本体と枠材との嵌合が容易となり、しかも組み付け姿勢は安定したものとなる。
【0014】
本発明による組み合わせ容器の一態様では、前記容器本体は平面視多角形状であり、前記第2の膨出部は前記容器本体の開口縁外周におけるコーナー部に形成されていることを特徴とする。この態様では、組み付けた状態で高い安定性が確保される一方において、廃棄時に容器本体と枠材とを分離することも、全周に第2の膨出部が形成されるものと比較して、容易となる。
【0015】
本発明による組み合わせ容器の一態様では、前記嵌合溝を形成する前記外側壁の下端には外側に広がるフランジが全周にわたって形成されていることを特徴とする。この態様では、外側に広がるフランジが補強体として機能することで、容器本体の不要な変形を防止するとともに、外側に広がるフランジが案内として機能することで、枠材に対する容器本体の組み付け作業を容易化する。
【0016】
本発明において、容器本体を構成する樹脂シートに制限はなく、任意の樹脂シートを用いることができる。また、枠材を構成する発泡樹脂製板材にも制限はなく、任意の発泡樹脂製板材を用いることができる。廃棄処理を容易にするために、樹脂シートと発泡樹脂製板材は、同じ樹脂種のものであることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、容器本体と該容器本体に分離可能に一体化する枠材とで構成される組み合わせ容器において、組み付けた姿勢が安定し、かつ組み付け後には容易に分離することのない、組み合わせ容器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による組み合わせ容器の一実施の形態を構成する容器本体と枠材とを分離した状態で示す斜視図。
図2図1に示す容器本体と枠材とが一体に組み付けられた状態を示す斜視図。
図3】容器本体のコーナー部を説明するための底面図(a)と側面図(b)。
図4図1に示す枠材を閉じた状態で示す側面図(a)と平面図(b)。
図5図2のa−a線に沿う断面図であり、(a)は容器本体の断面を、(b)は枠材の断面を、(c)は組み合わせた状態の断面をそれぞれ示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。本発明による組み合わせ容器Aは、容器本体Bと枠材Cとで構成される。
【0020】
容器本体Bは、例えば厚み0.2〜0.5mm程度のポリスチレン系樹脂シート、ポリプロピレン系樹脂シート、ポリエチレン系樹脂シート等の熱成形品であり、容器部分1と、該容器部分1の開口縁外周に一体成形された嵌合溝部4とを有する。この例において容器部分1は平面視矩形状であり、底面2と周囲壁3とで構成され、内部は区画壁によって4つに区画されている。周囲壁3の上縁が開口縁外周であり、前記嵌合溝部4は、該開口縁外周から上方に延びる内側壁5と、該内側壁5の上端から外側に延びる水平壁6と、該水平壁6の外縁端から下方に延びる外側壁7とで構成されている。外側壁7の下方部分には、その全周にわたり、内側壁5側に向けて凸となる凹溝が第1の膨出部8として形成されている。さらに、前記外側壁7の下端には、外側に広がるフランジ9が全周にわたって形成されている。前記第1の膨出部8は外側壁7の全周にわたり連続したものとして形成されていることが好ましいが、断続的に形成されていてもよい。図示はしないが、前記第1の膨出部8は外側壁7の4つのコーナー部にのみ断続的に形成されていてもよく、この場合には、前記外側壁7の内側壁5側への過剰な変形を防止することができ、容器本体Bと枠材Cとの嵌合が容易となり、しかも組み付け姿勢は安定したものとなるのでより好ましい。また、フランジ9は省略することもできる。
【0021】
前記周囲壁3の上端近傍、すなわち、前記開口縁上端の近傍には、図3にも示すように、外側に向けて凸となる第2の膨出部10が形成されている。図示のものにおいて、第2の膨出部10は容器本体Bの4つのコーナー部にのみ形成されているが、周囲壁3の全周にわたって形成されていてもよい。第2の膨出部10の外側への張り出し量は1〜2mm程度であってよい。好ましくは、第2の膨出部10の下端11は水平な面とされる。
【0022】
枠材Cは、例えば厚み3〜10mm程度のポリスチレン系樹脂等の発泡板材20により形成される。発泡板材20の厚みは、容器本体Bの前記嵌合溝部4内に嵌り込む厚みであり、好ましくは、容器本体Bの嵌合溝部4における前記水平壁6の幅とほぼ等しい厚さである。発泡板材20の高さは、図5(c)に示すように、前記嵌合溝部4内に嵌入した状態で、その下端面21が容器本体Bの底面2よりも下位に位置する高さとされる。発泡板材20の上端面22の近傍には、上端面22と平行に凹陥溝23が全周にわたって形成されている。
【0023】
必須ではないが、図示の例において、枠材Cは折り込み自在の構成とされており、折り込んだ姿勢が図4に、開いた姿勢が図1に示されている。各コーナー部を90度の角度に開いた姿勢で、枠材Cの4つの側壁24は、容器本体Bの前記嵌合溝部4内に嵌入することのできる寸法とされており、隣接する側壁24、24の4つの接続部(コーナー部)には、90度の切り欠き25が2本、上下方向に平行に形成されている。そのために、この枠材Cは、図4に示すように、非使用時には、扁平な姿勢に折り込むことができ、使用時には各コーナー部を90度の角度に開くことで、容器本体Bを収容することができる。なお、この構造の枠材は前記した特許文献1に記載されており、公知のものである。
【0024】
上記の組み合わせ容器Aにおいて、非使用時には、容器本体Bと枠材Cは、別々に保管される。容器本体Bはその多数個を積み重ねた状態で保管される。積み重ねたときに、上位に位置する容器本体Bの容器部分1に形成した第2の膨出部10の下端面11が、下位に位置する容器本体Bの前記嵌合溝部4における水平壁6と当接することで、上下の容器本体B同士が、いわゆるスタッキング状態となるのを回避できる。また、枠材Cは前記したように図4に示した折り込み姿勢で保管されるので、組み合わせ容器Aの保管スペースは小さくて済む。
【0025】
使用時に、容器本体Bと枠材Cは図1に示す姿勢とされ、枠材C内に容器本体Bが落とし込まれる。落とし込むことで組み付け状態となった組み合わせ容器Aの斜視図が図2に、断面図が図5(C)に示される。図5(C)に示すように、組み付けた状態では、容器本体Bの嵌合溝部4の外側壁7に形成した第1の膨出部8は、枠材Cの外側面に形成した凹陥溝23内に係合した状態で入り込んでおり、さらに、容器本体Bの容器部分1に形成した第2の膨出部10は枠材Cの内側面内に一部入り込んだ状態となり、かつ枠材Cを外側に向かって押し出している。
【0026】
そのために、容器本体Bと枠材Cは、第1の膨出部8と凹陥溝23との係合と第2の膨出部10の枠材Cへの圧入の2つの手段で一体化した状態となり、組み付けた状態はきわめて安定したものとなる。さらに、第2の膨出部10を枠材Cの内側に圧入することで、枠材Cは外側に向けて押し出されることとなり、結果として、第1の膨出部10と凹陥溝23との係合姿勢はさらに安定したものとなる。
【0027】
さらに、容器本体Bは、嵌合溝4の外側壁7側に第1の膨出部8を周方向に有しており、第1の膨出部8が補強リブとしても機能することから、容器本体Bの変形も抑制される。その点からも、組み付け姿勢は安定したものとなる。さらに、図示のものでは、前記嵌合溝4を形成する外側壁7の下端には外側に広がるフランジ9が全周にわたって形成されており、外側に広がるフランジ9は補強体として機能することで、容器本体Bの強度を大きくしているとともに、外側に広がるフランジ9が案内として機能することで、枠材Cに対する容器本体Bの組み付け作業も容易としている。
【符号の説明】
【0028】
A…組み合わせ容器、
B…容器本体、
C…枠材、
1…容器部分、
2…底面、
3…周囲壁、
4…嵌合溝、
5…内側壁、
6…水平壁、
7…外側壁、
8…第1の膨出部(内側壁側に向けて凸となる凹溝)、
9…フランジ、
10…外側に向けて凸となる第2の膨出部、
20…枠材を構成する発泡板材、
23…枠材に形成した凹陥溝、
25…90度の切り欠き。
図1
図2
図3
図4
図5