特許第6122713号(P6122713)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6122713エチレンのトリマー化帯域から得られた生成物の混合物から1−ヘキセンを分離する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122713
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】エチレンのトリマー化帯域から得られた生成物の混合物から1−ヘキセンを分離する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/04 20060101AFI20170417BHJP
   C07C 11/107 20060101ALI20170417BHJP
   C07C 2/08 20060101ALN20170417BHJP
【FI】
   C07C7/04
   C07C11/107
   !C07C2/08
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-138513(P2013-138513)
(22)【出願日】2013年7月2日
(65)【公開番号】特開2014-12665(P2014-12665A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2016年6月21日
(31)【優先権主張番号】1201886
(32)【優先日】2012年7月4日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504143038
【氏名又は名称】アクセンス
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル−ジャン ヴィネル
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−アラン ショドルジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェローム ピグリエ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール−イヴ マルタン
(72)【発明者】
【氏名】ローラン ブルネ
【審査官】 井上 千弥子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−149672(JP,A)
【文献】 特開2008−179631(JP,A)
【文献】 特開2008−178873(JP,A)
【文献】 特表2004−502527(JP,A)
【文献】 特開2002−256007(JP,A)
【文献】 特開2005−314268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンのトリマー化反応セクションから得られた混合物から1−ヘキセンを分離する方法であって、前記混合物は、エチレン、溶媒、エチレントリマー化触媒および形成された生成物を含み、該形成された生成物は、1−ヘキセンを含み、該方法は、少なくとも以下の工程:
a) 第1の蒸留塔において、エチレンのトリマー化反応から得られた混合物を、エチレンを含む頂部フラクションと底部フラクションとに分離する工程;
b) 少なくとも1つの他の蒸留塔において、工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部を、1−ヘキセンおよび1−ブテンを含む頂部フラクションと底部フラクションとに分離する工程;
c) 最終の蒸留塔において、工程b)から得られた、1−ヘキセンおよび1−ブテンを含むフラクションの少なくとも一部を、1−ブテンを主として含む頂部フラクションと、1−ヘキセンを主として含む底部フラクションとに分離する工程
を含み、
該方法において、
・ 工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、反応セクションに戻され、工程b)から得られた前記底部フラクションの少なくとも1つの他の部分は、反応セクションと前記工程b)の塔とを接続する少なくとも1つの再流通ループにおいて用いられ、前記再流通ループは、反応セクションを冷却し、かつ、工程b)の前記塔を再沸騰させるために用いられる
方法。
【請求項2】
工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの第3の蒸留塔に送られて、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがそこから除去され、その後に、前記第3の蒸留塔から得られた頂部フラクションの少なくとも一部を反応セクションに戻す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの別個の蒸留塔に送られて、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがそこから除去され、その後に、前記別個の蒸留塔から得られた頂部フラクションの少なくとも一部を工程b)の蒸留塔に送る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、工程a)の第1の塔の頂部に戻され、前記第1の塔の頂部から出るエチレンを洗浄し、C4+オレフィンフラクションを前記第1の塔の底部の方に同伴させる、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
工程a)の第1の蒸留塔から分離された未反応エチレンは、反応セクションに戻される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
新鮮なエチレンが、反応セクションに戻されたエチレンと混合される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
水素が、反応セクションに戻された未反応エチレンと混合される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
反応セクションは、少なくとも1つのトリマー化反応器を含む、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
トリマー化反応器のための操作条件は、反応媒体があわ立ち点にあるようにされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
反応器の頂部から抜き出された蒸気は、トリマー化反応器の頂部から連続的に抜き出される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸気の少なくとも一部は、工程a)の蒸留塔に送られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
エチレンのトリマー化反応は、0〜300℃の範囲の温度および0.1〜35MPaの範囲の圧力で操作される、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
エチレンのトリマー化反応セクションから得られた混合物に含まれる触媒が、反応抑制剤を注入することによって中和される工程を含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
中和された触媒を含む底部フラクションの少なくとも一部は、中和された触媒並びに反応の重質の副生物(C12+)、未転化エチレン、形成された他の生成物および溶媒とに分離される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
分離は、一連のフラッシュ段階において行われる、請求項14に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−ヘキセンの製造に関し、より正確には、エチレンのトリマー化帯域から得られた生成物の混合物から1−ヘキセンを製造・分離する方法に関する。
【0002】
本発明はまた、1−ヘキセンを製造・分離するための装置であって、エチレントリマー化帯域を含む、装置に関する。
【背景技術】
【0003】
1−ヘキセンは、エチレンをオリゴマー化させること、特に、触媒系、一般的には、均一系触媒系において、溶媒の存在または非存在下にエチレンをトリマー化させることによって高選択性をもって製造され得る。1−ヘキセンの形成のためのトリマー化触媒の選択性にも拘わらず、未転化エチレンとは別に、二次生成物が反応によって形成される。エチレンのトリマー化から得られる流出物中に含まれ得るものとしては、α−オレフィン類、1−ブテン、1−オクテン、デセン類および主として1−ヘキセン、並びにオリゴマー化溶媒、及びC12+副生物(すなわち、分子当たり少なくとも12個の炭素原子を含有する生成物)がある。前記流出物は触媒も含む。
【0004】
この分野における大きな課題の一つは、エチレンのトリマー化反応から得られた混合物の他の成分から1−ヘキセンを、1−ヘキセンのその後の使用、例えば、ポリエチレンの製造におけるコモノマーとしての使用に合った純度で分離することに関連する。
【0005】
関連設備を構築するために必要な投資と関連するコストを低減させつつ1−ヘキセンの分離を改善するために一定数の手順が開発された。
【0006】
典型的には、オリゴマー化生成物は、連続的に操作される蒸留塔等の分離手段を用いて、分離されるべき化合物の沸点の相違に基づいて分離され得る。それ故に、第1の蒸留塔により、最も揮発性の高い化合物であるエチレンが分離され、このエチレンは、塔の頂部を介して出、他のより重質である成分は、塔の底部から出、第2の塔に供給され、この第2の塔において、1−ヘキセンが得られる。
【0007】
例えば、特許文献1には、オリゴマー化流出物を分離する方法であって、オリゴマー化反応から得られた流出物を液体フラクションと気体フラクションに分離することと、液体フラクションおよび気体フラクションを蒸留して、オリゴマー化生成物フラクションを回収することとを含む、方法が記載されている。
【0008】
本出願人による特許(特許文献2)には、C4+からエチレンおよび1−ブテンを分離し、次いで、C6+から1−ブテンを分離し、次いで、C10+および溶媒からヘキセンおよびオクテンを分離し、最後に、一方では1−ヘキセンおよび1−オクテンと、他方では溶媒およびC10+の2つの分離を行うためのレイアウトが記載されている。特許文献2には、アルファオレフィンが安定である値前後の値に塔底部における温度を維持し、かつ、塔の頂部において少量の1−ブテンを伴ってエチレンを分離することができるように第1の蒸留塔に補充の1−ブテンを添加することからなるレイアウトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7476775号明細書
【特許文献2】米国特許第5853551号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術において提案された方法は、デメリット、特に、分離の選択性における効率およびエネルギー効率の点で悩まされる。それ故に、オリゴマー化、特に、1−ヘキセンの製造のためのエチレンのトリマー化の生成物を分離する方法には未だに改良の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願人は、上記課題を克服するために用いられ得る、オリゴマー化生成物を分離するための新規な方法を開発した。
【0012】
本発明は、エチレンのトリマー化の反応セクションから得られた混合物から1−ヘキセンを分離する方法であって、前記混合物は、エチレン、溶媒、エチレントリマー化触媒、および、1−ヘキセン等の形成された生成物を含み、該方法は、少なくとも以下の工程:
a) エチレンのトリマー化反応から得られた混合物を、第1の蒸留塔において、エチレンを含む頂部フラクションと、底部フラクションとに分離する工程:
b) 少なくとも1つの他の蒸留塔において、工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部を、1−ヘキセンおよび1−ブテンを含む頂部フラクションと、底部フラクションとに分離する工程:
c) 最後の蒸留塔において、工程b)から得られた、1−ヘキセンおよび1−ブテンを含むフラクションの少なくとも一部を、1−ブテンを主に含む頂部フラクションおよび1−ヘキセンを主に含む底部フラクションに分離する工程
を含み、該方法において:
・ 工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、反応セクションに戻され、工程b)から得られた前記底部フラクションの少なくとも1つの他の部分は、反応セクションと前記工程b)の塔とを接続する少なくとも1つの再流通ループにおいて用いられ、前記再流通ループは、反応セクションを冷却しかつ工程b)の前記塔を再沸騰させるために用いられる
方法に関する。
【0013】
本発明のバリエーションにおいて、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの蒸留塔に送られて、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがそこから除去され、その後に、前記蒸留塔から得られた頂部フラクションの少なくとも一部は反応セクションに戻される。
【0014】
本発明の別のバリエーションでは、工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの蒸留塔に送られて、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがそこから除かれ、その後に、前記蒸留塔から得られた頂部フラクションの少なくとも一部が、工程b)の蒸留塔に送られる。
【0015】
有利には、本発明の方法によると、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、工程a)の第1の塔の頂部に戻され、前記第1の塔の頂部から出るエチレンは洗浄され、C4+オレフィンフラクションは前記第一の塔の底部の方に同伴される。
【0016】
上記の本発明の方法において、好ましくは、工程a)の第1の蒸留塔から分離された未反応エチレンは、反応セクションに戻される。
【0017】
上記の本発明の方法において、好ましくは、新鮮なエチレンが、反応セクションに戻されたエチレンと混合される。
【0018】
上記の本発明の方法において、好ましくは、水素が、反応セクションに戻された未反応エチレンと混合される。
【0019】
上記の本発明の方法において、好ましくは、反応セクションは、少なくとも1つのトリマー化反応器を含む。
【0020】
上記の本発明の方法において、好ましくは、トリマー化反応器のための操作条件は、反応媒体があわ立ち点にあるようにされる。
【0021】
上記の本発明の方法において、好ましくは、ライン(13)中の蒸気は、トリマー化反応器の頂部から連続的に抜き出される。
【0022】
上記の本発明の方法において、好ましくは、反応器の頂部から抜き出された、ライン(13)中の蒸気の少なくとも一部は、ライン(14)を介して工程a)の蒸留塔に送られる。
【0023】
上記の本発明の方法において、好ましくは、エチレンのトリマー化反応は、0〜300℃の範囲の温度および0.1〜35MPaの範囲の圧力で操作される。
【0024】
上記の本発明の方法において、好ましくは、エチレンのトリマー化反応セクションから得られた混合物に含まれる触媒が、反応抑制剤を注入することによって中和される工程を含む。
【0025】
上記の本発明の方法において、好ましくは、中和された底部フラクションの少なくとも一部は、ライン(21)を介して分離装置(23)に送られ、該分離装置(23)において、中和された触媒並びに反応の重質の副生物(C12+)が、未転化エチレン、形成された他の生成物および溶媒から分離される。
【0026】
上記の本発明の方法において、好ましくは、分離は、一連のフラッシュ段階において行われる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の方法では、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部を、反応セクションに戻し、工程b)から得られた底部フラクションの少なくとも1つの他の部分を、反応セクションと前記工程b)の塔とを接続する少なくとも1つの再流通ループにおいて用い、前記再流通ループは、反応セクションを冷却し、かつ、工程b)の前記塔を再沸騰させるために用いられるようにしたので、一方では、より少ない水蒸気を消費するのでエネルギー節約を提供し、他方で、設備コストを低減させることによって経済的節約を提供するという利点を有する
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、工程a)から得られた底部フラクションの少なくとも一部が蒸留塔に送られ、C8+フラクションをそこから除去し、その後に、工程b)の蒸留塔に送られる、実施形態の限定されない図である。
図2図2は、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部が少なくとも1つの蒸留塔に送られ、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションをそこから除去し、その後に、前記蒸留塔から得られた頂部フラクションの少なくとも一部を反応セクションに戻す、実施形態の限定されない図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるだろう。
【0030】
以下に提示された説明および図面は、本発明の方法の実施形態をより明瞭に例示し、かつ、この方法を実施することに関連する一連の利点を強調するために用いられ得る。
【0031】
本明細書の以降において、明瞭性の目的のために図1および2において示された番号が参照されることになる。
【0032】
(反応セクション)
本発明の方法はエチレントリマー化反応セクションを含む。トリマー化反応の間に、エチレンはオリゴマー化触媒と接触させられ、1−ヘキセンが生じる。
【0033】
エチレンのトリマー化反応を行うために用いられ得る触媒は、反応媒体に対して不均一系であっても均一系であってもよい。それらは、一般的には、以下の要素(element)の少なくとも1種を含む:遷移金属、酸性化合物または塩基性化合物。
【0034】
一般に、種々の化合物は、2つの部分に分けられ、一方では主金属を含有する活性化触媒の必須成分(これは、したがって、通常、「触媒」と称される)と、必須成分を活性化させかつその活性を維持するために働く二次的成分であり、それ故に、通常、「活性化剤(activator)」と称される。
【0035】
有利には、本発明の方法によると、活性化触媒の調製に含まれる種々の化合物は、少なくとも2つの異なるドラムに貯蔵され、それらを混合することにより得られた触媒は、1つのドラムに貯蔵される。本発明の方法の一つの実施形態において、使用の準備が整っている活性化触媒は、反応器に供給する単一のドラムに移される。触媒および活性化剤は、有利には、制御された流量で、別々にポンプにより汲み上げられ、これらの異なる化合物の間のモル比が調節される。エチレンのトリマー化反応は発熱性である。それ故に、反応の熱を制御することが必要である。有利には、この発熱性の制御は、反応媒体を再循環させるための1つ以上のループにより、前記反応媒体を少なくとも1つの熱交換器中に通過させることにより行われる。それ故に、触媒および活性化剤は、反応セクションの反応器の再循環ループに、好ましくは、2つの異なる領域に注入され得る。
【0036】
本発明の方法のレイアウトにおいてあらゆるエチレントリマー化触媒が用いられてよい。特に、特許出願WO 07/039851または特許出願WO 04/056479、WO 03/053891またはWO02/04119において記載された触媒が用いられ得る。本発明の方法において用いられ得る触媒は、遷移金属錯体を含んでもよい。この錯体は、窒素、酸素またはリン等のヘテロ原子を含む少なくとも1つのリガンドにより金属を錯化させることによって形成される。このことは、この金属は、炭化水素媒体に溶解することを意味する。錯体は、例えば、有機性の酸素含有化合物であってよい:エーテル、エステル、アセタール、ケタール等。
【0037】
クロムベースの触媒は、高活性のエチレントリマー化触媒であるとして知られており、この触媒により、良好な選択性で、すなわち、少量のポリエチレンおよび少ない割合のブテンを伴って1−ヘキセンが形成されるに至る。本発明の方法において用いられ得る触媒および活性化剤の例は、クロム化合物(触媒)、例えば、ハロゲン化物、カルボン酸塩、アセチルアセトナート、アリールオキシまたはアルコキシ化合物と、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムまたはバリウム等の元素のアリールオキシ化合物との混合物、並びに、ヒドロカルビルアルミニウム(活性化剤)である。そのような触媒および活性化剤の例は、特許FR 2 802 833において記載されている。上記のヒドロカルビルアルミニウム化合物は、アルミニウム、ガリウム、ニオブ、タンタル、イットリウムまたは希土類元素(ランタン等)等の別の元素のあらゆるヒドロカルビル化合物によって置き換えられてもよい。ヒドロカルビル化合物はまた、例えば、特許出願WO 2007/039851において記載されるようにハロゲン化させられてもよい。
【0038】
本発明によると、活性化触媒の成分は、有利には、以下の飽和炭化水素:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ブタン、トルエン、オルトキシレン、イソブタン、2,2−ジメチルペンタンからまたは以下の不飽和炭化水素:4〜10個の炭素原子を含有するモノオレフィンまたはジオレフィンまたは芳香族化合物、例えば、ベンゼン、トルエンまたはキシレンから選択される少なくとも1種の炭化水素からなる溶媒と接触させられる。より好ましくは、不飽和炭化水素が用いられる。
【0039】
有利には、用いられる溶媒は、2,2−ジメチルペンタン、シクロヘキサン、トルエンおよびオルトキシレンから、より好ましくは、2,2−ジメチルペンタンおよびシクロヘキサンから選択される。
【0040】
本発明の方法によると、エチレントリマー化反応は、1つ以上の反応器において行われる。1つまたは複数の反応器は、適切なかつ当業者に知られたあらゆる手段であってよい。例えば、固体の不均一触媒の場合、固定床反応器、流動床反応器、移動床反応器、触媒カラムまたは均一系触媒により用いられ得る反応器、例えば、チューブインシェル型反応器(tube-in-shell reactor)、攪拌タンク反応器、気液平衡反応器(liquid/vapour equilibrium reactor)などを用いることが可能である。
【0041】
エチレンのトリマー化反応は、バッチ式で、半連続的または連続的に行われ得る。好ましくは、それは連続的に行われる。
【0042】
本発明の方法によると、トリマー化反応器の操作条件は、反応媒体があわ立ち点(bubble point)にあるようにされる。このあわ立ち点は、蒸気を、一般的には小さい蒸気流量で反応器の頂部から、ライン(13)を介して連続的に抜き出すことによって保証される。有利には、本発明によると、反応器頂部からライン(13)を介して抜き出された蒸気の少なくとも一部は、ライン(14)を介して、蒸留塔(25)に送られる。好ましくは、前記反応器は連続的に攪拌される。前記攪拌は、とりわけ、反応器への再循環ループ(18)、(18b)によって促進される。
【0043】
有利には、エチレントリマー化反応の温度は、0〜300℃の範囲、好ましくは30〜210℃の範囲、より好ましくは100〜180℃の範囲である。操作圧力は、エチレントリマー化反応の反応媒体をあわ立ち点に維持するように選択される。前記圧力は、有利には0.1〜35MPaの範囲、好ましくは1〜20MPaの範囲、より好ましくは5〜15MPaの範囲である。
【0044】
本発明の方法によると、エチレントリマー化反応セクション(反応器(12))の出口から、前記反応器を出る、ライン(21)中の底部フラクション中に含まれる触媒およびその活性化剤は、有利には、反応抑制剤(inhibitor)(22)を注入することによって中和される。混合物は、一般的には、ダイナミックインラインミキサー(dynamic in-line mixer)またはスタティックインラインミキサー(static in-line mixer)を用いて生じさせられる。触媒およびその活性化剤は、トリマー化触媒に抑制作用を有するとして当業者に知られるあらゆる化合物を用いて中和される。前記化合物は、一般的に、アミンから選択され、好ましくは、一般式R1R2NH(式中、R1は、水素または炭化水素基であり、R2は炭化水素基である)を有する第一級アミンまたは第二級アミンである。好ましくは、以下の化合物から選択される反応抑制剤またはそれらの混合物が用いられる:シクロヘキシルアミン、エチル−2−ヘキシルアミン、アリールアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジブチルアミン、ジデシルアミンおよび獣脂、パーム油またはコプラ油等の天然脂肪から得られたアミンの混合物。
【0045】
反応抑制剤はまた、直鎖または分枝のアルコールから選択されてよく、好ましくは2〜20個の炭素原子、より好ましくは5〜15個の炭素原子を含有する。非常に好ましくは、反応抑制剤は、分枝アルコールであって、少なくとも1つのヒドロカルビル分枝を含むもの、例えば、少なくとも1つのメチル、エチル、プロピルまたはブチルの分枝をアルコール鎖(好ましくは2〜16個の炭素原子を含有し、非常に好ましくは4〜10個の炭素原子を含有する)に付けられて含むアルコールである。好ましくは、反応抑制剤は、以下のアルコールまたはそれらの混合物から選択される:1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、2−メチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、3−オクタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、2−メチル−3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、7−メチル−2−デカノール、1−デカノール、2−デカノール、3−デカノール、4−デカノール、5−デカノールおよび2−エチル−1−デカノール。
【0046】
反応抑制剤は、好ましくは、トリマー化反応が起こる温度で添加される。
【0047】
任意の触媒活性を中和するためのこの工程は、特に、依然として活性である触媒の存在が、制御されない反応を通じて初期トリマー化反応生成物の純度を変化させないだろうことを意味する。
【0048】
反応器(12)からライン(21)を経て得られた中和された反応媒体は、次いで、分離装置(23)に送られ、この分離装置(23)において、一方では、中和された触媒並びに反応からの重質の副生物(C12+)が、他方では、未転化エチレン、形成された他の生成物および溶媒が分離される。本発明によると、未転化エチレン、形成された生成物および溶媒を含有する、分離装置(23)から得られたフラクションは、蒸気の形態で、ライン(24)を介して、蒸留セクションに送られる。分離装置(23)における分離は、有利には、一連のフラッシュ段階(stage)において行われる。
【0049】
有利には、反応器(12)からライン(21)を経て得られた反応媒体の圧力は、2〜5MPaの範囲、好ましくは3〜4.5MPaの範囲の圧力に低減させられる。前記の圧力が低減した反応媒体は、次いで、150〜200℃の範囲、好ましくは160〜190℃の範囲の温度に加熱することによって蒸発させられる。前記蒸発は、有利には、熱交換器において行われる。蒸気相は、次いで、ドラムにおいて液相から分けられる。蒸気相は、蒸留セクションに送られ、液相は、第2フラッシュに送られる。
【0050】
第1フラッシュに由来する液相の圧力は、0.5〜2MPaの範囲、好ましくは0.8〜1.5MPaの範囲の圧力に低減させられる。前記の圧力が低減した液相は、次いで、160〜220℃の範囲、好ましくは170〜210℃の範囲の温度に加熱することによって蒸発させられる。この蒸発は、有利には、熱交換器において行われる。蒸気相は、次いで、ドラムにおいて液相から分けられる。蒸気相は、蒸留セクションに送られ、液相は、第3フラッシュに送られる。
【0051】
第2フラッシュに由来する液相の圧力は、0.1〜0.5MPaの範囲の圧力に低減させられる。前記の圧力が低減した液相は、次いで、160〜220℃の範囲の温度に加熱することによって蒸発させられる。この蒸発は、有利には、熱交換器において行われ、好ましくは、この熱交換器は、薄膜式交換器(thin film exchanger)または流下膜式交換器(falling film exchanger)である。
【0052】
分離装置(23)において分離された、中和された触媒並びに重質副生物(C12+)は、ポンプにより汲み上げられ、ライン(38)を介して焼却器(incinerator)に送られる。
【0053】
(蒸留セクション)
典型的には、エチレンのトリマー化から得られたオリゴマー性のオレフィンの分子量は、未反応エチレンより大きい。一般的には、未反応エチレンは、トリマー化反応から得られた、1−ヘキセンを含むオリゴマーの沸点より低い沸点を有する。
【0054】
本発明によると、これらの揮発性の相違および分離されるべき生成物間の分子量の相違を利用することのできる、当業者に知られた任意の分離手段が採用され得る。有利には、本発明によると、採用される分離手段は、あらゆるタイプの蒸留塔である。
【0055】
本発明の方法によると、分離装置(23)から得られたフラクション、すなわち、未転化エチレン、形成された生成物および溶媒は、蒸気の形態で、ライン(24)を介して蒸留セクションに送られる。
【0056】
蒸留セクションは、有利には少なくとも3つの蒸留塔、好ましくは少なくとも4つの蒸留塔を含む。本発明の好ましいバリエーションでは、蒸留セクションは、4つの蒸留塔を含む。
【0057】
(工程a))
本発明によると、分離装置(23)から得られたフラクション、すなわち、未転化エチレン、形成された生成物および溶媒は、分離工程a)を経る。前記フラクションは、蒸気の形態で、ライン(24)を介して、第1の蒸留塔(25)に送られ、この第1の蒸留塔(25)において、未転化エチレンが、頂部フラクションとして、底部フラクションの残りの化合物から分離される。
【0058】
有利には、本発明によると、分離工程a)の蒸留塔は、0.1〜1.5MPaの範囲、好ましくは0.5〜1MPaの範囲の圧力で操作され、塔頂温度は、0〜100℃の範囲、好ましくは40〜80℃であり、塔底温度は、100〜300℃の範囲、好ましくは140〜220℃の範囲である。好ましくは、塔(25)の塔頂において分離されたエチレンは、反応セクション(12)に送られる。
【0059】
有利には、本発明の方法によると、塔(25)の頂部において分離されたエチレンは、ライン(7、9、11)を介して、少なくとも、ライン(4)を介した水素(4)およびライン(1)を介した新鮮なエチレンの供給と同時に戻される。塔(25)の塔頂において分離されたエチレン、水素および新鮮なエチレンは、有利には、少なくとも1つの再循環圧縮機(図1および2において参照符号(10)または(8))において混合される。本発明によると、混合物は、分配器を用いて反応器(12)に導入され、反応媒体内のエチレンの液滴の良好な分配が提供される(図面に示されない)。エチレンはまた、本発明の方法の再循環ループの少なくとも1つに導入され得る。
【0060】
好ましくは、熱が除去される結果工程a)の第1塔の塔頂が凝縮することを回避するために、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、工程a)の前記第1の塔の頂部に戻され、第1の塔の頂部を出るエチレンを洗浄し、C4+オレフィンフラクションを前記第1の塔の底部の方に同伴させる。実際に、工程b)から得られた底部フラクションは、主に、溶媒からなる(少なくとも95重量%の溶媒)。この溶媒は、重質生成物を優先的に吸収し、それらを塔の底部の方に同伴させるために用いられ得る。
【0061】
(工程b))
本発明によると、工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、次いで、分離工程b)を経る。この分離工程b)において、工程a)から得られた前記底部フラクションに由来する前記流出物の少なくとも一部が、少なくとも1つの他の蒸留塔(30)において、1−ヘキセンおよび1−ブテンを含む、ライン(31)中の頂部フラクションと底部フラクションとに分離される。前記底部フラクションは、主に溶媒からなる。有利には、このフラクション中の溶媒の量は、95重量%以上、好ましくは98重量%超、より好ましくは99.5重量%以上である。
【0062】
有利には、本発明によると、分離工程b)の蒸留塔は、0〜0.5MPaの範囲、好ましくは0.01〜0.3MPaの範囲の圧力で操作され、塔頂温度は20〜150℃の範囲、好ましくは40〜100℃の範囲であり、塔底温度は、50〜200℃の範囲、好ましくは80〜150℃の範囲である。
【0063】
本発明によると、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、ライン(37)を介して、反応セクションに送られ、工程b)から得られた前記底部フラクションの少なくとも他の部分は、反応セクションと前記工程b)の前記他の塔の間の再流通ループ(19)において、反応セクションを冷却しかつ前記工程b)の塔を再沸騰させるために用いられる。有利には、本発明によると、工程b)から得られた前記底部フラクションの前記他の部分は、塔(30)の底部から、または、側流(好ましくは、塔の底部の近くに位置する)を介して、より好ましくは、前記塔の下部1/4に位置する側流を介して取り出される。
【0064】
エチレンのトリマー化反応は、実際に、発熱性である。反応によって生じた熱は、反応媒体の制限されない昇温を回避するために取り出されなければならない。達した温度に応じて、触媒および反応生成物の熱劣化による選択性の喪失という結果になる。本発明によると、反応器(12)において生じた反応の熱は、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部を用いる少なくとも1つの再流通ループを用いて取り出される。反応器において生じた熱は、再循環ループ(18)、(18b)を介して反応器から取り出される。反応器の再循環ループ(18)、(18b)は、好ましくは、交換器(17)(好ましくは、ケトル型交換器)を用いて、反応器(12)において生じた熱を、工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物に移して、前記底部フラクションに由来する前記流出物を蒸発させる。
【0065】
本発明によると、交換器(17)からの出口において蒸発させられた、工程b)から得られた前記底部フラクションに由来する流出物の一部は、ライン(20)を介して、工程b)の蒸留塔(30)に戻され、再流通ループが完結する。一部を、ライン(20)を介して工程b)の蒸留塔に戻すことは、副リボイラとして作用し、工程b)のための蒸留塔の主リボイラの負荷を軽減させ、結果的に水蒸気が節約される。
【0066】
再流通ループおよび反応器の再循環ループの交換器において工程b)から得られた底部フラクションの蒸発圧力を制御することは、高温流と低温流の間の平均温度差が調節され得ることおよびそれ故に交換器の交換容量が調節され得ることを意味する。有利には、ケトル型交換器が用いられる。
【0067】
再流通ループのさらなる利点は、反応器(12)におけるトリマー化反応の発熱性を制御するためにそれが用いられ得ることであるが、それはまた、前記反応器が連続的に攪拌されることを保証し得る。再流通ループは、同時に:
・ 反応によって放出された熱が排出されること:従来技術では、これは、例えば、ケトル型交換器において水を蒸発させることによって行われる;この生じた水蒸気の圧力は低すぎてこの方法において効率的に用いられ得ない;これにより生じた水蒸気は、それ故に、補助的な交換器(例えば空気熱交換器)において凝縮させられて、ケトル型交換器に再循環させられなければならない;この蒸気を冷却することは、高いエネルギー消費を示し、関連設備(交換器、ドラム、ポンプ)は、さらなる投資コストを示す;
・ 工程b)の塔(30)の底部の再沸騰の大部分;従来技術では、これは、交換器によって行われ、例えば、水蒸気が高温流体として用いられる;この蒸気の生成は、高いエネルギー消費を示し、それを生じさせることに関連する設備(沸騰器、ポンプ、水処理)も、高い投資コストを示す;
を保証するために用いられ得る。
【0068】
本発明によると、反応媒体を冷却し、かつ、工程b)の塔からの底部フラクションを蒸発させてそれを再沸騰させるために交換されるべき熱の量は、実質的に同程度である−このことの利点は、有効な熱統合である。
【0069】
本発明の方法は、一方では、より少ない水蒸気を消費するのでエネルギー節約を提供し、他方で、設備コストを低減させることによって経済的節約を提供するという利点を有する。
【0070】
装置内のC8+炭化水素の蓄積を防ぐために、少なくとも2つの異なる位置において本方法のレイアウトに組み込まれ得る補充の蒸留塔を活用してそれらを取り出すことが好ましい。
【0071】
図1に示されるような本発明の方法の好ましいバリエーションにおいて、工程a)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの蒸留塔(27)に送られて、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがライン(29)を介してそこから除去され、その後に、前記蒸留塔から得られた頂部フラクションを、ライン(28)を介して工程b)の蒸留塔(塔(30))に送る。有利には、本発明によると、前記蒸留塔は、0〜1MPaの範囲、好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲の圧力で操作され、塔頂温度は、60〜160℃の範囲、好ましくは90〜130℃の範囲であり、塔底温度は、100〜300℃の範囲、好ましくは170〜240℃の範囲である。このバリエーションでは、ライン(16)中の新鮮な触媒およびライン(37)中の工程b)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、反応器(12)からポンプにより汲み上げられた液体と反応器の再循環ループ(18b)において混合される。ライン(16)中の流れおよびライン(37)中の流れは、交換器の「チューブ」側上に導入される。本発明によると、対応する工程b)から得られた前記底部フラクションの少なくとも別の部分は、交換器の「シェル」側上で再流通ループに導入される。
【0072】
図2において示されるような本発明の方法の別のバリエーションでは、工程b)(塔(30))から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、少なくとも1つの蒸留塔(塔(40))に送られ、C8+オレフィンを本質的に含む底部フラクションがそこから除去され、その後に、前記蒸留塔から得られた頂部フラクションをライン(41)を介して反応セクションに送る。このバリエーションによると、ライン(16)中の新鮮な触媒およびライン(41)中の頂部フラクションは、有利には、反応器の再循環ループ(18b)において、反応器(12)からポンプにより汲み上げられた液体と混合され、交換器(17)の「チューブ」側に導入される。有利には、本発明によると、前記蒸留塔は、0.05〜1MPaの範囲、好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲の圧力で操作され、塔頂温度は、70〜150℃の範囲、好ましくは90〜130℃の範囲であり、塔底温度は、100〜300℃の範囲、好ましくは150〜220℃の範囲である。前記蒸留塔から得られた前記頂部フラクションは、主として、溶媒からなる。有利には、この頂部フラクションの溶媒の量は、95重量%以上、好ましくは98重量%超、より好ましくは99.5重量%以上である。
【0073】
(工程c))
本発明によると、工程b)から得られた、ライン(31)中の頂部フラクションの少なくとも一部は、工程c)を経、この工程c)において、工程b)から得られた、1−ヘキセンおよび1−ブテンを本質的に含む前記フラクションは、最終蒸留塔(32)において、1−ブテンを主として含む、ライン(33)中の頂部フラクションおよび1−ヘキセンを主として含む、ライン(34)中の底部フラクションに分離される。有利には、本発明によると、分離工程c)の前記蒸留塔は、0.5〜1.5MPaの範囲、好ましくは0.7〜1.2MPaの範囲の圧力で操作され、塔頂温度は、30〜130℃の範囲、好ましくは50〜90℃の範囲であり、塔底温度は、100〜300℃の範囲、好ましくは130〜200℃の範囲である。
【0074】
(図面の詳細な説明)
より良好な理解の目的のために本発明の方法のいくつかの実施形態が図1および2において例示される。これらの実施形態は、例示のために与えられ、全く制限するものではない。本発明の方法のこれらの例示は、それを行うのに必要な構成の全ての詳細を含むわけではない。本発明を理解するために必要な要素のみが、そこに示される;当業者は、これらの例示を完結させて本発明を実施することが可能であるだろう。
【0075】
図1は、制限しない方法で、工程a)から得られた底部フラクションの少なくとも一部が蒸留塔に送られて、C8+フラクションがそこから除去され、その後に、工程b)の蒸留塔に送られる、実施形態を説明する。
【0076】
新鮮なエチレン供給原料が、ライン(1)を介して、エチレントリマー化の反応器(12)に供給される。図1によると、ライン(4)中の水素および/またはライン(1)中の新鮮なエチレンは、再循環圧縮機(8)、(10)の中間段階(9)または圧縮機(8)の第1の段階の取入口においてライン(7)中のエチレンと混合される。ドラム(15)において調製されかつ貯蔵された触媒および活性化剤は、ライン(16)を介して反応器(12)に、より正確には、反応器の再循環ループ(18b)、(18)のレベルに注入される。
【0077】
エチレンのトリマー化反応の生成物は、反応器(12)の底部からライン(21)を介して排出され、それは、分離装置(23)に送られる。反応器(12)の底部、特に、活性化触媒は、反応抑制剤(22)をライン(21)に注入することによって中和される。混合物は、一般的に、ダイナミックインラインミキサーを用いることによって形成される。分離装置(23)において、中和された触媒並びに重質の副生物(C12+)は、ライン(38)を介して底部フラクション中に排出される。未転化エチレン、形成された他の生成物および溶媒を含むフラクションは、蒸気の形態で、ライン(24)を介して、工程a)の第1の蒸留塔(25)に送られる。参照符号(23)を有する、この分離工程は、一般的に、1個以上の連続的フラッシュドラム(気液平衡を伴うドラムセパレータ)によって構成されるが、熱交換機を介して加熱するための中間工程を伴う。
【0078】
一般的に、および、図1とは無関係に、分離装置(23)から得られた蒸気フラクション(ライン24)は、第1の蒸留塔(25)において、未転化エチレンを本質的に含む、ライン(7)中の頂部フラクションおよびC4+オレフィンを含む底部フラクションに分離される。一般的に、および、図1とは無関係に、蒸留塔(25)から得られた底部フラクションは、次いで、ライン(26)を介して直接的に蒸留塔(30)に送られ、この蒸留塔(30)において、一方では、1−ヘキセンおよびブテンを本質的に含む、ライン(31)中の頂部フラクションが、他方では、残りの生成物および溶媒を含む、ライン(35)中の底部フラクションが分離される。
【0079】
図1において示される本発明のバリエーションにおいて、蒸留塔(25)から得られた底部フラクションに由来する流出物は、最初に、別の中間蒸留塔(27)に送られ、この中間蒸留塔(27)において、ライン(28)中の頂部フラクション(蒸留塔(30)に送られる)が、C8+生成物を含む底部フラクションから分離される。この底部フラクションは、ライン(29)を介して排出される。この中間塔は、本発明にとって必須ではないが、所定の適用において本発明の方法の有利なバリエーションである。
【0080】
塔(30)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、ライン(36)を介して第1の蒸留塔(25)の頂部に戻される。塔(30)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、ライン(37)を介して反応器に、より正確には、反応器の再循環ループ(18b)、(18)に戻される。塔(30)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも別の部分は、再流通ループ(ライン(19)、(20))において、交換器(17)により反応セクションを冷却するために用いられる。再流通フラクションの蒸発部分(交換器(17)を出る)は、塔(30)に戻されて、それを再沸騰させる。蒸留塔(30)から得られた、ライン(31)中の頂部フラクションは、最終蒸留塔(32)に送られ、この最終蒸留塔(32)において、1−ブテンを本質的に含む、ライン(33)中の頂部フラクションは、所望の最終生成物、すなわち、1−ヘキセンを本質的に含む底部フラクションから分離され、この底部フラクションは、ライン(34)を介して排出される。
【0081】
図2は、中間蒸留塔(参照符号(27)(図1))がない、本発明の方法の別の実施形態のバリエーションを示す。塔(30)において、一方で、1−ヘキセンおよびブテンを本質的に含む、ライン(31)中の頂部フラクションが、他方で、残りの生成物および溶媒を含む、ライン(35)中の底部フラクションが分離される。塔(30)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも一部は、再流通ループ(ライン(19)、(20))において、交換器(17)を介して反応セクション(12)を冷却するために用いられる。再流通フラクションの蒸発部分(交換器(17)を出る)は、再沸騰させるために塔(30)に送られる。
【0082】
蒸留塔(30)から得られた底部フラクションに由来する流出物の少なくとも別の部分は、ライン(36)を介して第1の蒸留塔(25)に戻される。蒸留塔(30)から得られた、ライン(31)中の頂部フラクションは、最終の蒸留塔(32)に送られ、この最終の蒸留塔(32)において、1−ブテンを本質的に含む、ライン(33)中の頂部フラクションおよび最終の所望の生成物、すなわち、1−ヘキセンを本質的に含む底部フラクションが得られ、底部フラクションは、ライン(34)を介して排出される。
【0083】
第3の蒸留塔(40)は、ライン(39)を介して、蒸留塔(30)から得られた、ライン(35)中の底部フラクションに由来する流出物の別の部分を受け取る。塔(40)から得られた頂部フラクション(本質的に溶媒からなる)は、ライン(41)を介して反応器(12)に、より正確には、反応器の再循環ループ(18b)、(18)中に戻される。C8+オレフィンを含む塔(40)から得られた底部フラクションは、ライン(42)を介して排出される。
【0084】
以下の実施例は、本発明を例証するが、本発明の範囲を決して限定しない。
【0085】
(実施例)
(実施例1:本発明に合致する)
用いられた方法のレイアウトは、図1のものであった。
【0086】
用いられた、ライン(1)中の供給原料は、ポリマーグレードのエチレンからなっていた(すなわち、約99.9%エチレン)。オリゴマー化の反応器(12)において用いられた触媒系は、以下の要素:トリス(2−エチルヘキサン酸)クロム、ビス(2,6−ジフェニルフェノキシ)マグネシウム、およびトリエチルアルミニウムをモル割合:1/1/3で含んでいた。用いられた反応抑制剤は、2−エチルヘキサノールであった。触媒のこれらの構成要素は、無水でありかつ脱水されたシクロヘキサン(溶媒)中で接触させられた。反応器は、135℃およびあわ立ち点で操作された。反応器の温度は一定に維持された。反応の熱は、再循環ループ(18)、(18b)および交換器(17)を介して除去された。交換器(17)は、再流通ループ(19)、(20)と熱を交換するために用いられた。
【0087】
塔(25)は、当業者に知られる常法に従って、残留エチレンを溶媒および反応生成物から分離するように操作された。
【0088】
塔(27)は、塔底において、C8+オレフィンを含有する留分を、塔頂において溶媒、1−ヘキセンおよび1−ブテンを分離するために用いられ得た。それは、塔頂において0.23MPaの圧力で操作され、塔頂温度は108℃であり、塔底温度は190℃であった。
【0089】
塔(30)は、溶媒から1−ブテンおよび1−ヘキセンを分離するために用いられた。それは、75℃の塔頂温度および110℃の塔底温度で操作された。塔頂圧力は0.15MPaであった。
【0090】
塔(32)は、生じた1−ヘキセンを塔底において、および、1−ブテンを豊富に含む留分を塔頂において分離するために用いられた。それは、塔頂において1.06MPaの圧力で操作され、塔頂温度は73℃であり、塔底温度は165℃であった。
【0091】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、ライン(1)を介して導入されたエチレンのトン当たり1−ヘキセン(34)0.86トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.015トンおよびC8+を豊富に含む留分(29)0.066トンが生じさせられた。
【0092】
供給原料のトン当たり1.12トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が塔(30)の再沸騰を操作するために必要であった。
【0093】
(実施例2:比較)
実施例1と同様に、用いられた溶媒はシクロヘキサンであった。
【0094】
実施された方法は、交換器(17)が蒸留塔(30)から分離された溶媒を供給されず、水を供給された点で、実施例1において実施された方法から区別された。それ故に、交換後に溶媒を塔(30)に戻す必要はない。
【0095】
交換器(17)は、水を供給され、これは蒸発させられた。次いで、非常に低い圧力の水蒸気(0.17MPa)が生じ、これは、本方法の別の部分において品質向上させられ得なかった。それ故に、この蒸気は凝縮させられ、ポンプにより汲み上げられ、交換器(17)に再循環させられた。
【0096】
塔(25)、(27)、(30)および(32)は、実施例1の場合と同じ条件下に操作された。
【0097】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.86トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.015トンおよびC8+留分(29)0.066トンが生じさせられた。
【0098】
塔(30)を再沸騰させるために供給原料のトン当たり1.75トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。実施例1の本発明の方法と比較して、供給原料のトン当たり0.63トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)の補充が必要であったことは明らかである。
【0099】
(実施例3:本発明に合致する)
用いられた方法は、用いられた溶媒が2,2−ジメチルペンタンであった点で、実施例1の方法とは異なっていた。
【0100】
塔(25)は、当業者に知られた常法に従って、溶媒および反応生成物から残留エチレンを分離するように操作された。
【0101】
塔(27)は、塔頂において0.23MPaの圧力で操作され、塔頂温度は107℃であり、塔底温度は191℃であった。
【0102】
塔(30)は、76℃の塔頂温度および108℃の塔底温度で操作された。塔頂圧力は0.15MPaであった。
【0103】
塔(32)は、塔頂において1.06MPaの圧力で操作され、塔頂温度は73℃であり、塔底温度は165℃であった。
【0104】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、ラインを介して導入されたエチレンのトン当たり1−ヘキセン(34)0.86トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.015トンおよびC8+留分(29)0.066トンが生じさせられた。
【0105】
塔(30)の再沸騰を操作するために供給原料のトン当たり1.04トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。
【0106】
(実施例4:比較)
実施例3と同様に、用いられた溶媒は、2,2−ジメチルペンタンであった。
【0107】
実施された方法は、交換器(17)は、蒸留塔(30)から分離された溶媒を供給されず、水を供給された点で、実施例3において実施された方法から区別された。それ故に、交換後に溶媒を塔(30)に戻す必要がなかった。
【0108】
交換器(17)は、水を供給され、この水は蒸発させられた。非常に低い圧力の水蒸気(0.17MPa)が生じさせられ、これは、本方法の別の部分において品質向上させられ得なかった。それ故に、この蒸気は凝縮させられ、ポンプにより汲み上げられ、交換器(17)に再循環させられた。
【0109】
塔(25)、(27)、(30)および(32)は、実施例3の場合と同じ条件下に操作された。
【0110】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.86トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.015トンおよびC8+留分(29)0.066トンが生じさせられた。
【0111】
塔(30)を再沸騰させるために供給原料のトン当たり1.67トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。実施例3の本発明の方法と比較して、供給原料のトン当たり0.63トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)の補充が必要であったことは明らかである。
【0112】
(実施例5:本発明に合致する)
用いられた方法のレイアウトは、図1のものであった。
【0113】
用いられた、ライン(1)中の供給原料は、ポリマーグレードのエチレンからなっていた(すなわち、約99.9%エチレン)。オリゴマー化の反応器(12)において用いられた触媒系は、以下の要素:トリス(2−エチルヘキサン酸)クロム、ビス(2−tert−ブチル−6−フェニルフェノキシ)マグネシウム、およびトリエチルアルミニウムを、以下のモル比:1/1/3で含んでいた。用いられた反応抑制剤は、2−エチルヘキサノールであった。触媒のこれらの構成要素は、無水でありかつ脱気されたシクロヘキサン(溶媒)に導入された。反応器は、135℃およびあわ立ち点で操作された。反応器の温度は一定に維持された。反応の熱は、再循環ループ(18)、(18b)および交換器(17)を介して除去された。交換器(17)は、再流通ループ(19)、(20)と熱を交換するために用いられた。
【0114】
塔(25)は、当業者に知られた常法に従って、溶媒および反応生成物から残留エチレンを分離するように操作された。
【0115】
塔(27)は、C8+オレフィンを含有する留分を塔底において、および、溶媒、1−ヘキセンおよび1−ブテンを塔頂において分離するために用いられ得た。それは、塔頂において0.23MPaの圧力で操作され、塔頂温度は108℃であり、塔底温度は、190℃であった。
【0116】
塔(30)は、溶媒から1−ブテンおよび1−ヘキセンを分離するために用いられた。それは、75℃の塔頂温度および110℃の塔底温度で操作された。塔頂圧力は0.15MPaであった。
【0117】
塔(32)は、生じた1−ヘキセンを塔底において、および1−ブテンを豊富に含む留分を塔において分離するために用いられた。それは、塔頂において1.06MPaの圧力で操作され、塔頂温度は73℃であり、塔底温度は165℃であった。
【0118】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.87トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.007トンおよびC8+留分(29)0.064トンが生じさせられた。
【0119】
塔(30)の再沸騰を操作するために供給原料のトン当たり1.13トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。
【0120】
(実施例6:比較)
実施例5と同様に、用いられた溶媒はシクロヘキサンであった。
【0121】
実施された方法は、交換器(17)は、蒸留塔(30)から分離された溶媒を供給されず、水を供給される点で、実施例5において実施された方法から区別された。それ故に、交換後に塔(30)に溶媒を戻す必要はなかった。
【0122】
交換器(17)は、水を供給され、この水は、蒸発させられた。次いで、非常に低い圧力の水蒸気(0.17MPa)が生じさせられ、このものは、方法の別の部分において品質向上させられ得なかった。この蒸気は凝縮させられ、ポンプにより汲み上げられ、交換器(17)に再循環させられた。
【0123】
塔(25)、(27)、(30)および(32)は、実施例5の場合と同じ条件下に操作された。
【0124】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.87トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.007トンおよびC8+留分(29)0.064トンが生じさせられた。
【0125】
塔(30)を再沸騰させるために供給原料のトン当たり1.76トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。実施例5の本発明の方法と比較して、供給原料のトン当たり0.63トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)の補充が必要であったことは明らかである。
【0126】
(実施例7:本発明に合致する)
用いられた方法は、用いられた溶媒がトルエンであった点で、実施例5の方法から異なっていた。
【0127】
反応器は、165℃およびあわ立ち点で操作された。反応器の温度は、一定に維持された。
【0128】
塔(25)は、当業者に知られた常法に従って、溶媒および反応生成物から残留エチレンを分離するように操作された。
【0129】
塔(27)は、塔頂において0.23MPaの圧力で操作され、塔頂温度は136℃であり、塔底温度は205℃であった。
【0130】
塔(30)は、76℃の塔頂温度および140℃の塔底温度で操作された。塔頂圧力は、0.15MPaであった。
【0131】
塔(32)は、塔頂において1.06MPaの圧力で操作され、塔頂温度は73℃であり、塔底温度は165℃であった。
【0132】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.87トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.007トンおよびC8+留分(29)0.064トンが生じさせられた。
【0133】
塔(30)の再沸騰を操作するために低圧力水蒸気が加えられる必要はなかった。
【0134】
(実施例8:比較)
実施例7と同様に、用いられた溶媒はトルエンであった。
【0135】
実施された方法は、交換器(17)は、蒸留塔(30)から分離された溶媒を供給されず、水を供給された点で、実施例7において実施された方法から区別された。それ故に、交換後に塔(30)に溶媒を戻す必要はなかった。
【0136】
交換器(17)は、水を供給され、この水は蒸発させられた。次いで、非常に低い圧力の水蒸気(0.17MPa)が生じさせられ、このものは、方法の別の部分において品質向上させられ得なかった。それ故に、この蒸気は凝縮させられ、ポンプにより汲み上げられ、交換器(17)に再循環させられた。
【0137】
反応器は、165℃およびあわ立ち点で操作された。反応器の温度は、一定に維持された。
【0138】
塔(25)は、当業者に知られた常法に従って、溶媒および反応生成物から残留エチレンを分離するように操作された。
【0139】
塔(27)は、塔頂において0.23MPaの圧力で操作され、塔頂温度は136℃であり、塔底温度は205℃であった。
【0140】
塔(30)は、76℃の塔頂温度および140℃の塔底温度により操作された。塔頂圧力は0.15MPaであった。
【0141】
塔(32)は、塔頂において1.06MPaの圧力で操作され、塔頂温度は73℃であり、塔底温度は165℃であった。
【0142】
塔(25)、(27)、(30)および(32)における分離の後、供給原料(エチレン)のトン当たり1−ヘキセン(34)0.87トン、1−ブテンを豊富に含む留分(33)0.007トンおよびC8+留分(29)0.064トンが生じさせられた。
【0143】
塔(30)を再沸騰させるために供給原料のトン当たり0.61トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)が必要であった。実施例7の本発明の方法と比較して、供給原料のトン当たり0.61トンの低圧力水蒸気(0.4MPa)の補充が必要であったことは明らかである。
【符号の説明】
【0144】
12 反応器
15 ドラム
23 分離装置
25 第1の蒸留塔
27 中間蒸留塔
30 工程b)の蒸留塔
32 最終蒸留塔
図1
図2