特許第6122738号(P6122738)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122738
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/26 20060101AFI20170417BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20170417BHJP
   A61L 9/12 20060101ALN20170417BHJP
【FI】
   B65D47/26 100
   B65D83/00 F
   !A61L9/12
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-180535(P2013-180535)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-48117(P2015-48117A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−010699(JP,U)
【文献】 特開2005−041511(JP,A)
【文献】 実開昭64−017962(JP,U)
【文献】 実開平06−013837(JP,U)
【文献】 実開平02−074042(JP,U)
【文献】 特開昭62−094169(JP,A)
【文献】 実開昭58−028644(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/26,83/00,85/00
A61L 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散剤が収容される容器本体の口部に装着されるとともに、前記容器本体内に開口する連通孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体に装着され前記連通孔を開閉する蓋体と、
を備えるキャップであって、
前記連通孔は、前記キャップ本体の天壁部に形成され、
前記蓋体は、前記キャップ本体にキャップ軸回りに回転自在に装着された装着筒部と、前記装着筒部に着脱可能に装着された有頂筒状の開閉蓋と、を備え、
前記開閉蓋の周壁部に前記連通孔に連通する揮散窓が形成され、
前記キャップ本体には、前記蓋体の、前記キャップ本体に対するキャップ軸回りの回転移動に伴い、前記揮散窓を開閉する開閉板が突設され
前記揮散窓は、前記開閉蓋の周壁部に、周方向に間隔をあけて複数形成され、
前記開閉蓋の頂壁部には、複数の前記揮散窓に対向する外気導入板が突設されていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体には、前記連通孔を閉塞する閉塞板が離脱自在に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
複数の前記揮散窓は、前記開閉蓋の周壁部に、キャップ径方向に対向して配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮散剤が収容される容器のキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のキャップとして、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、揮散剤が収容される容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に装着される開閉蓋と、を備える容器のキャップが知られている。
特許文献1のキャップ本体は、容器内底部まで芯材を垂下させた液体吸上げ芯材と、口部を閉塞するとともに、前記液体吸上げ芯材の上端に接する揮発用パッドと、キャップ本体の周壁にキャップ軸回りに回転自在に装着された筒状フィルムと、を備えている。開閉蓋は、キャップ本体の周壁にヒンジ部を介して連結されている。そして、筒状フィルムの周面には前記揮発用パッドに連通する揮散窓が形成され、キャップ本体の周壁には、筒状フィルムの、キャップ本体に対するキャップ軸回りの回転移動に伴い、揮散窓を開閉する開閉窓が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−149159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の容器のキャップでは、容器本体の口部が揮発用パッドで閉塞されているので、開閉蓋を開いても外部から容器本体に揮散剤を簡単に充填することができず、その点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、使用直前など必要なときに揮散剤から気化ガスを発生させたり、揮散剤の充填を容易に行うことができるといった取扱い性に優れたキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明に係るキャップは、揮散剤が収容される容器本体の口部に装着されるとともに、前記容器本体内に開口する連通孔が形成された有頂筒状のキャップ本体と、前記キャップ本体に装着され前記連通孔を開閉する蓋体と、を備えるキャップであって、前記連通孔は、前記キャップ本体の天壁部に形成され、前記蓋体は、前記キャップ本体にキャップ軸回りに回転自在に装着された装着筒部と、前記装着筒部に着脱可能に装着された有頂筒状の開閉蓋と、を備え、前記開閉蓋の周壁部に前記連通孔に連通する揮散窓が形成され、前記キャップ本体には、前記蓋体の、前記キャップ本体に対するキャップ軸回りの回転移動に伴い、前記揮散窓を開閉する開閉板が突設され、前記揮散窓は、前記開閉蓋の周壁部に、周方向に間隔をあけて複数形成され、前記開閉蓋の頂壁部には、複数の前記揮散窓に対向する外気導入板が突設されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るキャップによれば、蓋体が、装着筒部及び開閉蓋を備えていて、開閉蓋を装着筒部から着脱させることで、連通孔が開閉されるので、連通孔を通して外部から容器本体内に、例えば添加剤や揮散剤などを容易に充填することが可能になり、優れた取扱い性を具備させることができる。
例えば、揮散剤から気化ガスを発生させる直前に、容器本体内の揮散剤が気化ガスを発生可能となる状態にしたり、あるいは容器本体内に新たな揮散剤を詰め替えたりすることなどが可能になる。
また、蓋体をキャップ本体に対してキャップ軸回りに回転移動させると、開閉板によって揮散窓が開閉してその開口面積が増減することとなり、気化ガスの揮散量を調整することができる。
また、開閉蓋の頂壁部に外気導入板が突設されているので、一方の揮散窓を通して開閉蓋内に進入した外気を外気導入板に当てることで、この外気が、他方の揮散窓に向けて流れるのを抑え、連通孔側に向けて流しやすくすることができる。これにより、容器本体内の揮散剤に外気を接触させやすくすることが可能になり、揮散剤から効率よく気化ガスを発生させることができる。
【0008】
また、本発明に係るキャップでは、前記キャップ本体には、前記連通孔を閉塞する閉塞板が離脱自在に連結されていることが好ましい。
【0009】
この場合には、閉塞板の離脱前において容器本体内の密封性を確実に確保することができ、使用時に閉塞板を離脱して連通孔を開けることができる。
【0012】
また、本発明に係るキャップでは、複数の前記揮散窓は、前記開閉蓋の周壁部に、キャップ径方向に対向して配設されていることが好ましい。
【0013】
この場合には、複数の揮散窓が、開閉蓋の周壁部に、キャップ径方向に対向して配設されているので、一方の揮散窓を通して開閉蓋内に進入した外気が、他方の揮散窓から外部に排気されやすいところ、前記外気導入板が備えられているため、外気を外気導入板に当てて連通孔側に導く作用効果が有効に発揮されることとなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るキャップによれば、使用直前など必要なときに揮散剤から気化ガスを発生させたり、揮散剤の充填を容易に行うことができ、優れた取扱い性を具備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態による容器の部分縦断面図である。
図2図1に示す容器の上面図である。
図3図1に示す容器の側面図である。
図4図1に示す状態から、開閉蓋を開けた状態を示す縦断面図である。
図5図4に示す状態で閉塞板を離脱させて、連通孔を開けた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るキャップの実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1及び図2に示すように、本実施形態のキャップ1は、揮散剤Wが収容される容器本体2の口部21に装着されるとともに、容器本体2内に開口する連通孔31が形成された有頂筒状のキャップ本体3と、キャップ本体3に装着され連通孔31を開閉する蓋体4と、を備えている。
【0018】
ここで、上述した容器本体2及びキャップ本体3は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸をキャップ軸Oといい、このキャップ軸Oに沿ったキャップ本体3側を上側、容器本体2の底側を下側という。また、キャップ軸Oに直交する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0019】
容器本体2は、口部21及び胴部22が円筒状に形成されている。容器本体2に収納される揮散剤Wとしては、例えば芳香剤や空気清涼剤、脱臭剤、消臭剤、悪臭中和剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤、消毒剤、殺菌剤、アロマテラピー組成物等の揮散可能な薬剤等であって、錠剤やカプセル状等の固形状、ゲル状、粉末状(粉末が圧縮された固形状を含む)、液状等のものとすることができる。
【0020】
キャップ本体3は、容器本体2の口部21に装着(アンダーカット嵌合や螺着等)される外筒部32と、外筒部32の上端に配設されて口部21を閉塞する天壁部33と、天壁部33より下方に向けて突設され口部21に内嵌する内筒部34と、を備えている。外筒部32の外周面には、周方向に沿って環状リブ32aが全周にわたって突設されている。
【0021】
天壁部33は、外筒部32と内筒部34との上端部同士を連結するとともに、内周側に前記連通孔31を形成する連結部35が設けられるとともに、この連結部35の内周には、連通孔31を閉塞する閉塞板36が全周にわたって破断可能な弱化部37を介して離脱自在に連結されている。連結部35は、口部21の開口端縁の上方に位置している。閉塞板36には、プルトップ36aが付設されている。
【0022】
また、キャップ本体3には、天壁部33からキャップ軸O方向に沿って上方に向けて突設されるとともに、周方向に一定の間隔をあけて配置される複数(ここでは4つ)の開閉板38が形成されている。そのため、周方向に隣り合う開閉板38、38同士の間には、開口が形成され、この開口が容器の内外を連通している。
【0023】
図1及び図3に示すように、蓋体4は、キャップ本体3にキャップ軸O回りに回転自在に装着された装着筒部41と、装着筒部41にヒンジ部43を介して連結された有頂筒状の開閉蓋42と、を備えている。
装着筒部41の上端内面には、径方向の内側に向けて突出する環状突片41aが形成され、外筒部32の環状リブ32aに外嵌している。このとき、環状突片41aが環状リブ32aの上方に配置され、装着筒部41の内面が環状リブ32aに摺接し、これにより蓋体4は、キャップ本体3に対してキャップ軸回りに回転移動する。
【0024】
開閉蓋42は、周壁部44と頂壁部45とを備え、周壁部44にキャップ本体3に形成される連通孔31に連通する揮散窓46が周方向に間隔をあけて複数(ここでは4箇所)形成されている。各揮散窓46は、開閉蓋42の周壁部44に、キャップ径方向に対向して配設されている。揮散窓46は、その周長が開閉板38の周長に対して同等、或いは小さく設定され、蓋体4の、キャップ本体3に対するキャップ軸回りの回転移動に伴い開閉板38によって開閉される(図3参照)。そして、開閉板38と揮散窓46との間には、キャップ径方向の隙間が形成されている。
【0025】
開閉蓋42の頂壁部45には、揮散窓46のそれぞれに対向する外気導入板47がキャップ軸Oに沿って下方に向けて突設されている。外気導入板47は、表裏面方向を、揮散窓46の周方向の中心を通るキャップ径方向に向けて配置されている。つまり、外気導入板47は、各揮散窓46から開閉蓋42内に流入する外気が径方向に通過することを阻害するように配置されている。
【0026】
以上説明した本実施形態によるキャップによれば、図4及び図5に示すように、ヒンジ部43回りに開閉蓋42を回動させて開蓋してから、閉塞板36をプルトップ36aを引き上げて弱化部37で破断させて取り外すことで、容器本体2の口部21に形成される連通孔31を開放することができる。
そのため、連通孔31を通して外部から容器本体2内に、例えば添加剤や揮散剤Wなどを容易に充填することが可能になり、優れた取扱い性を具備させることができる。また、例えば、揮散剤Wから気化ガスを発生させる直前に、予め充填されている容器本体2内の揮散剤Wが気化ガスを発生可能となる状態にしたり、あるいは容器本体2内に新たな揮散剤Wを詰め替えたりすることなどが可能になる。
また、蓋体4をキャップ本体3に対してキャップ軸回りに回転移動させると、開閉板38によって揮散窓46が開閉し、その開口面積が増減することとなり、気化ガスの揮散量を調整することができる。
【0027】
また、キャップ本体3には、連通孔31を閉塞する閉塞板36が離脱自在に連結されているので、閉塞板36の離脱前の状態において、容器本体2内の密封性を確実に確保することができ、使用時に閉塞板36を離脱して連通孔31を開けることができる。
【0028】
さらに、本実施形態のキャップ1によれば、揮散窓46が開閉蓋42の周壁部44に、周方向に間隔をあけて複数形成されるとともに、開閉蓋42の頂壁部45に外気導入板47が突設されているので、一方の揮散窓46(例えば図2で符号46A)を通して開閉蓋42内に進入した外気E(図2の二点鎖線)を外気導入板47に当てることで、この外気Eが、他方の揮散窓46(図2で符号46B)に向けて流れるのを抑え、連通孔31側に向けて流しやすくすることができる(図1の二点鎖線)。
これにより、容器本体2内の揮散剤Wに外気を接触させやすくすることが可能になり、揮散剤Wから効率よく気化ガスを発生させることができる。
【0029】
また、本実施形態では、図2に示すように、複数の揮散窓46が、開閉蓋42の周壁部44に、キャップ径方向に対向して配設されているので、一方の揮散窓46を通して開閉蓋42内に進入した外気Eが、他方の揮散窓46から外部に排気されやすいところ、外気導入板47が備えられているため、外気Eを外気導入板47に当てて連通孔31側に導く作用効果が有効に発揮されることとなる(図1参照)。
【0030】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0031】
例えば、上述の実施形態では、キャップ本体3に連通孔31を閉塞する閉塞板36が弱化部37を介して離脱自在に連結されているが、このような構成に限定されることはなく、閉塞板36を省略して連通孔31が開いたままの構成とすることも可能である。この場合、例えば、使用直前に、連通孔31から空の容器本体2内に揮散剤Wを充填するといった使用方法も可能となる。
【0032】
また、上述の実施形態では、開閉蓋42の周壁部44に、周方向に間隔をあけて4箇所の揮散窓46が設けられているが、とくに数量に制限されることはない。そして、複数の揮散窓46がキャップ径方向に対向して配設されることにも限定されることはない。
【0033】
さらに、本実施形態では、開閉蓋42の頂壁部45には、複数の揮散窓46に対向する外気導入板47が突設されているが、このような外気導入板47を省略することも可能である。また、外気導入板47の位置、大きさ、形状、数量なども、蓋体4の形状、揮散窓46の数量、大きさ等の条件に応じて適宜設定することができる。
【0034】
また、本実施形態では、開閉蓋42は装着筒部41に対してヒンジ部43によって開閉されているが、この開閉構造に限定されることはなく、例えば螺着やアンダーカット嵌合によるものであってもかまわない。
【0035】
また、本実施形態のように、開閉板38と揮散窓46との間にキャップ径方向の隙間が設けられていても良い。すなわち、揮散窓46の開口全体が開閉板38によって開閉されることに限ることはなく、開口面積を変化できればよい。また、前記隙間は設けなくてもかまわない。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 キャップ
2 容器本体
3 キャップ本体
4 蓋体
21 口部
31 連通孔
33 天壁部
36 閉塞板
37 弱化部
38 開閉板
41 装着筒部
42 開閉蓋
43 ヒンジ部
44 周壁部
45 頂壁部
46 揮散窓
47 外気導入板
O キャップ軸
W 揮散剤
図1
図2
図3
図4
図5