特許第6122764号(P6122764)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122764
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】目地部用庇装置
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/68 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
   E04B1/68 100A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-228142(P2013-228142)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-86636(P2015-86636A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】 星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−060273(JP,A)
【文献】 特開2011−017131(JP,A)
【文献】 特開2007−154620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して建てられた左右の建物あるいは一方が建物で他方が道路や地面等の躯体の目地部側の一方の建物あるいは躯体の外壁面に設けた樋と、この樋が設けられた位置より高い、前記目地部側の他方の建物の外壁面に枢支部を介して回動できるように取付けられた庇と、この庇を常時は目地部側の外壁面に当接するように付勢する付勢スプリングで前記庇の先端部又は後端部を外壁面に当接させることにより、先端部から前記樋内へ雨水を導けるように位置させ、地震で前記目地部が狭くなると、前記一方の建物の目地部側外壁面による押し圧で回転させる庇取付具とからなることを特徴とする目地部用庇装置。
【請求項2】
目地部側の他方の建物の外壁面の庇の後端部より上方の外壁面に、該庇上へ雨水を導く水切り用突片が設けられていることを特徴とする請求項1記載の目地部用庇装置。
【請求項3】
庇の先端部には一方の建物あるいは躯体の目地部側の外壁面に当接しても雨水が下部へ排水できる複数個の凹部が形成されているとともに、該庇の先端部が常時枢支部より下部に位置させることができる庇取付具が用いられていることを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の目地部用庇装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して建てられた左右の建物あるいは一方が建物で他方が道路や地面等の躯体間の目地部を覆うように設置される目地部用庇装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の目地部用庇装置は、目地部を介して建てられた左右の建物の一方の建物の目地部側の外壁面に取付けられた、先端部が他方の建物の目地部側の外壁面に形成された外側通路のよう壁の上部に位置する庇本体と、この庇本体の先端下部に回動機構を介して、平常時には前記よう壁の内壁面を覆うように位置して、内部に雨水の浸入を阻止する回動可能な水切り板と、この水切り板を平常時には前記よう壁に係止し、地震等によって左右の建物が揺れ動いた場合には係止状態が解除される水切り板係止具とで構成されている。
【0003】
しかしながら、このように構成された目地部用庇装置は構造が複雑で、設置に手数がかかり、かつ他方の建物に形成する樋が大きくなり、コスト高になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−220224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、構造が簡単で、設置が容易にできるとともに、樋の設置に大きなスペースを設けなくてもよく、地震での揺れ動きを大きく吸収することができる安価な目地部用庇装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して建てられた左右の建物あるいは一方が建物で他方が道路や地面等の躯体の目地部側の一方の建物あるいは躯体の外壁面に設けた樋と、この樋が設けられた位置より高い、前記目地部側の他方の建物の外壁面に枢支部を介して回動できるように取付けられた庇と、この庇を常時は目地部側の外壁面に当接するように付勢する付勢スプリングで前記庇の先端部又は後端部を外壁面に当接させることにより、先端部から前記樋内へ雨水を導けるように位置させ、地震で前記目地部が狭くなると、前記一方の建物の目地部側外壁面による押し圧で回転させる庇取付具とで目地部用庇装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、庇を庇取付具で一方の建物の目地部側外壁面による押し圧で回転できるように取付けられているので、地震で左右の建物間の目地部が狭くなるように揺れ動いても、損傷を確実に防止することができる。
(2)前記(1)により、庇を庇取付具で取付けるだけでよいので、構造が簡単で、楽に設置することができる。」
(3)前記(1)により、庇を庇取付具で回動できるように取付けているので、庇からの雨水を受ける樋を小さく設定してもよく、左右の建物間の目地部を必要以上に小さくして、左右の建物の揺れ動き量を制限したりするのを防止できる。
(4)前記(1)により、構造が簡単で、樋も小さく設定できるので、安価に設置することができる。
(5)請求項2も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、雨水を水切り用突片によって確実に庇上へ落下させることができる。
(6)請求項3も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、地震での大きな異なる左右方向の揺れ動きでも、目地部を庇で覆うことができ、目地部への雨水の落下を効率よく防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
図2図1の2−2線に沿う拡大断面図。
図3】本発明を実施するための第1の形態の庇の説明図。
図4】本発明を実施するための第1の形態の庇取付具の説明図。
図5】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が狭くなるように揺れ動いた動作説明図。
図6】本発明を実施するための第1の形態の地震で目地部が広くなるように揺れ動いた動作説明図。
図7】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
図8図7の8−8線に沿う拡大断面図。
図9】本発明を実施するための第2の形態の庇の説明図。
図10】本発明を実施するための第2の形態の地震で目地部が広くなるように揺れ動いた動作説明図。
図11】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
図12図11の12−12線に沿う拡大断面図。
図13】本発明を実施するための第3の形態の庇の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して建てられた免震等の左右の建物3、3あるいは一方が建物3で、他方が道路や地面間の目地部2に設置される本発明の目地部用庇装置で、この目地部用庇装置1は前記左右の建物3、3あるいは一方が建物3で、他方が道路や地面の躯体の目地部2側の一方の建物3あるいは躯体の外壁面3aに設けられた樋4と、この樋4が設けられた位置より高い、前記目地部側の他方の建物3の外壁面3aに枢支部5を介して回動できるように取付けられた庇6と、この庇6を常時は先端部6aから前記樋4内へ雨水を導けるように位置させ、地震で前記目地部2が狭くなると前記一方の建物3の目地部側外壁面3aによる押し圧で回転させる庇取付具7と、前記庇6の後端部6bより上方の前記他方の建物3の外壁面3aに取付けられた上部の、該外壁面3aより伝わって落ちてくる雨水を、該庇6上へ導く水切り用突片8とで構成されている。
【0012】
前記庇6は図3に示すように、前記目地部2をほぼ45度に傾斜された状態で覆うことができる庇本体9と、この庇本体9の前記他方の建物3側の底面に所定間隔で固定された枢支ピン挿入孔10が形成された複数個の取付片11とで構成されている。
【0013】
前記庇取付具7は図4に示すように、前記庇6の複数個の取付片11がそれぞれ先端部に挿入されるように、前記他方の建物3の目地部側の外壁面3aに固定された先端部に枢支ピン挿入孔12が形成されたコ字状の複数個の支持具13と、この複数個の支持具13の先端部に挿入された取付片11を回動可能に枢支する枢支部5となる枢支ピン挿入孔10、12にそれぞれ挿入された枢支ピン14と、一端部が前記庇本体9の後端部寄りの部位に取付けられ、他端部が前記他方の建物3の目地部側外壁面3aに取付けられた、該庇本体9の後端部を前記他方の建物3の目地部側の外壁面3aに当接するように付勢する付勢スプリング15とで構成されている。
【0014】
上記構成の目地部用庇装置1は、左右の建物3、3間の目地部2は図1および図2に示すように水切り用突片8、庇6および樋4で覆われ、太陽熱や雨水が庇6の下部の目地部2へ照射したり、落下するのを防止している。
【0015】
地震で目地部2が狭くなるように左右の建物3、3が揺れ動くと、図5に示すように庇本体9の先端部9aが庇取付具7の付勢スプリング15の付勢力に抗して回動させ、その揺れ動きを吸収する。
【0016】
この時、一方の建物3の目地部側外壁面3aと他方の建物3の目地部側外壁面3aとの間の目地部2は庇6によって覆われている。
【0017】
地震で目地部2が広くなるように左右の建物3、3が揺れ動くと、図6に示すように庇本体9の先端部9aより、一方の建物3の外壁面3aが離れるように移動し、庇本体9の先端部9aが樋4内に位置している状態までは庇6と、樋4で目地部2が覆われた状態で、庇本体9の先端部9aが樋4より離れた状態では目地部2に隙間が生じるが、この状態は大きな地震で、短時間でしか生じないので問題にしなくてもよい。
【0018】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0019】
図7ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、庇本体9の上部9cに雨水を樋4へ落下させることができるように波形の複数個の凹部16を形成するとともに、付勢スプリング15で、常時庇本体9の先端部9aを一方の建物3の目地部側外壁面3aに当接する庇取付具7Aを用いた点で、このように構成した目地部用庇装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、庇本体9の後端部9bが他方の建物3の目地部側外壁面3aに当接するまで庇6を回動できるので、目地部2が広くなるような地震の揺れ動きでも庇6によって、該目地部2を覆う範囲を大きくできる。
【0020】
なお、本発明の実施の形態ではカバー状の水切り用突片8Aを用いるとよい。
【0021】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第2の形態と主に異なる点は、庇本体9の先端部に波形状の複数個の凹部16Aを形成するとともに、庇本体9の後端部9bの下部位置の他方の建物3の目地部側外壁面3aに小さな樋17を設けるとともに、前記第1の実施の形態と同様な水切り用突片8を設けた点で、このように構成した目地部用庇装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第2の形態と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は目地部を介して建てられた左右の建物あるいは一方が建物で他方が道路や地面等の躯体間の目地部を覆う目地部用庇装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0023】
1、1A、1B:目地部用庇装置、
2:目地部、 3:建物、
4:樋、 5:枢支部、
6:庇、 7、7A:庇取付具、
8:水切り用突片、 9:庇本体、
10:枢支ピン挿入孔、 11:取付片、
12:枢支ピン挿入孔、 13:支持具、
14:枢支ピン、 15:付勢スプリング、
16、16A:凹部、 17:小さな樋。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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