(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6122800
(24)【登録日】2017年4月7日
(45)【発行日】2017年4月26日
(54)【発明の名称】電子機器、文字列表示方法、および文字列表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/22 20060101AFI20170417BHJP
【FI】
G09G5/22 660A
G09G5/22 650M
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-49697(P2014-49697)
(22)【出願日】2014年3月13日
(62)【分割の表示】特願2009-530151(P2009-530151)の分割
【原出願日】2008年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-160252(P2014-160252A)
(43)【公開日】2014年9月4日
【審査請求日】2014年3月13日
【審判番号】不服2015-20152(P2015-20152/J1)
【審判請求日】2015年11月10日
(31)【優先権主張番号】特願2007-224894(P2007-224894)
(32)【優先日】2007年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314008976
【氏名又は名称】レノボ・イノベーションズ・リミテッド(香港)
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】呉 自彪
【合議体】
【審判長】
酒井 伸芳
【審判官】
清水 稔
【審判官】
大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−172387(JP,A)
【文献】
特開2006−092223(JP,A)
【文献】
特開2003−223439(JP,A)
【文献】
特開2004−348185(JP,A)
【文献】
特開01−233550(JP,A)
【文献】
特開2005−300934(JP,A)
【文献】
uedadaj、語句楽散歩、繁體字 と▼簡▲体字(2):骨 と 骨、[online]、2006−04−18、インターネット <URL: http://uedadaj.exblog.jp/1829195>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶しているメモリ部と、
与えられた文字列の中からランダムに1文字を抽出して前記ユニコード変換テーブルと照合し、当該1文字が前記言語独特文字であれば前記文字列の属する言語が前記言語独特文字の属する言語であると特定する言語識別処理部と、
前記特定された言語において前記ユニコード変換テーブルに含まれている字形によって前記文字列を予め備えられたディスプレイに表示させる表示処理部と、
変数j=1とし、j番目の文字列の言語の識別の処理を行い、言語判定処理部に出力する言語識別処理部と、有し、
前記言語判定処理部は、変数jがソート対象文字列の個数kに等しいか否かを判別し、等しくなければjの値を1つ増やし、用意されたk個のソート対象文字列の全てに対して使用言語を識別して画数を確定し、変数jがkに等しくなれば、全てのソート対象文字列の画数が確定され、確定された画数に基づいてソート対象文字列をソートして、ソートの結果を表示して終了する電子機器であって、
前記言語識別処理部によって前記特定された言語が正しくない場合に、前記表示処理部が、ユーザが任意に切り替えた言語で前記文字列を前記ディスプレイに表示させる機能を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記言語識別処理部は、前記抽出された1文字が前記言語独特文字でなければ、前記文字列から別の1文字を抽出して該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かを判別する動作を繰り返し、前記文字列に1文字でも前記言語独特文字が含まれていれば前記文字列の属する言語が前記言語独特文字の属する言語であると特定すること、を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記言語識別処理部は、前記文字列に前記言語独特文字が含まれない場合に、前記メモリ部に予め記憶されているユーザの指定した言語における字形によって前記文字列を表示すること、を特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記ユニコード変換テーブルが、ユニコードによって記述された文字の複数の言語における画数を含み、
前記言語識別処理部が、複数の文字列の各々に対して当該文字列の属する言語を判定すると共に、前記複数の文字列を、判定された当該文字列の属する言語における前記画数によってソートし、前記ソートの結果を前記表示処理部に表示させる機能を有すること、
を特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
ユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶している電子機器が与えられた文字列を表示し、
与えられた文字列の中からランダムに1文字を抽出し、
前記文字列に含まれる任意の1文字を言語識別処理部がユニコード変換テーブルと照合して当該1文字が前記言語独特文字であれば前記文字列の属する言語が前記言語独特文字の属する言語であると特定し、
前記特定された言語において前記ユニコード変換テーブルに含まれている字形によって前記文字列を表示処理部が予め備えられたディスプレイに表示させる表示方法であって、
変数j=1とし、j番目の文字列の言語の識別の処理を行い、言語判定処理部に出力し、
変数jがソート対象文字列の個数kに等しいか否かを判別し、等しくなければjの値を1つ増やし、用意されたk個のソート対象文字列の全てに対して使用言語を識別して画数を確定し、変数jがkに等しくなれば、全てのソート対象文字列の画数が確定され、確定された画数に基づいてソート対象文字列をソートして、ソートの結果を表示して終了する表示方法であって、
前記言語識別処理部によって前記特定された言語が正しくない場合に、前記表示処理部が、ユーザが任意に切り替えた言語で前記文字列を前記ディスプレイに表示させる機能を有する、表示方法。
【請求項6】
前記抽出された1文字が前記言語独特文字でない場合に、前記言語識別処理部が前記文字列から別の1文字を抽出して該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かを判別する動作を繰り返し、前記文字列に1文字でも前記言語独特文字が含まれていれば前記文字列の属する言語が前記言語独特文字の属する言語であると特定すること、を特徴とする請求項5に記載の表示方法。
【請求項7】
前記文字列が複数与えられ、前記ユニコード変換テーブルがユニコードによって記述された文字の複数の言語における画数を含むものであると共に、
前記言語識別処理部が、複数の前記文字列の各々に対して当該文字列の属する言語を判定すると共に、前記複数の文字列を、判定された当該文字列の属する言語における前記画数によってソートし、前記ソートの結果を前記表示処理部に表示させること、を特徴とする請求項5に記載の表示方法。
【請求項8】
ユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶している電子機器にあって、
前記電子機器が備えているプロセッサに、
与えられた文字列の中からランダムに1文字を抽出して前記ユニコード変換テーブルと照合し、当該1文字が前記言語独特文字であれば前記文字列の属する言語が前記言語独特文字の属する言語であると特定する、言語の識別手順、
表示処理部が前記特定された言語において前記ユニコード変換テーブルに含まれている字形によって前記文字列を予め備えらえたディスプレイに表示させる表示手順、
変数j=1とし、j番目の文字列の言語の識別の処理を行い、言語判定処理部に出力する手順、
変数jがソート対象文字列の個数kに等しいか否かを判別し、等しくなければjの値を1つ増やし、用意されたk個のソート対象文字列の全てに対して使用言語を識別して画数を確定し、変数jがkに等しくなれば、全てのソート対象文字列の画数が確定され、確定された画数に基づいてソート対象文字列をソートして、ソートの結果を表示して終了する手順、
前記言語の識別手順によって前記特定された言語が正しくない場合に、前記表示処理部が、ユーザが任意に切り替えた言語で前記文字列を前記ディスプレイに表示させる手順、
を実行させること、を特徴とする表示プログラム。
【請求項9】
前記文字列が複数与えられ、前記ユニコード変換テーブルがユニコードによって記述された文字の複数の言語における画数を含むものであり、
前記プロセッサに、複数の前記文字の各々に対して当該文字列の属する言語を判定すると共に、前記複数の文字列を、判定された当該文字列の属する言語における前記画数によってソートし、前記ソートの結果を前記表示処理部に表示させる手順をさらに実行させること、を特徴とする請求項8に記載の表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電子機器で文字を表示およびソートする方法に関し、特にユニコードにより記述された文字を携帯電話などの電子機器で表示およびソートする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界各国で使われているさまざまな言語をコンピュータなどの電子機器によって処理する際、それぞれの言語に対して異なるエンコーディング方式(文字コード)が採用されている。たとえば日本語ではJIS(ISO−2022−JP)、Shift_JIS、EUC−JPなどの文字コードがある。中国語ではGB2312(簡体字)やBig5(繁体字)など、韓国語ではKSC5601などの文字コードが代表的である。コンピュータが多くの言語で使用されるようになったことにより、文字コードの種類は飛躍的に増大し、現在では代表的なものだけで100種類以上の文字コードが存在する。
【0003】
異なる言語(文字コード)の間には互換性がないので、異なる地域間において電子メールなどの文字情報を送受信した場合、文字が正確に表示されないことがある。このため、米国マイクロソフト社のウィンドウズ(登録商標)シリーズなどのようなパーソナルコンピュータ(PC)用のオペレーティングシステム(OS)では、複数の言語に対応するためのモジュールが用意されており、これを利用することによって文字を正確に表示させることができる。しかし、携帯電話機、PDA、音楽プレーヤーなどのような小型電子機器は、記憶容量や演算能力に制約があるので、これと同じような方法で複数の言語に対応させることが困難である。
【0004】
異なる言語(文字コード)の間の互換性を解決するため、多くの言語の文字を単一の文字コードで取り扱うことが可能なユニコード(Unicode、米国における商標)が考案された。現在では、ユニコードは世界共通のエンコーディング方式として、幅広く利用されるようになっている。ユニコードは、異なる複数の言語ごとに割り当てられる文字コードと、各言語に共通に割り当てられる文字コードからなる統合コードである。ユニコードを利用して文字情報をエンコーディングすることにより、異なる地域間であっても文字化けなどの不具合を生じることなく文字情報を表示させることができる。
【0005】
しかしユニコードでは、言語間で重複する文字や、意味または構造が似通った文字同士に同一の文字コードが割り当てられている。このため、言語ごとに画数および字形が異なる文字であっても、類似した漢字には同一の文字コードが割り当てられるケースが生じている。
【0006】
図5は、言語ごとに異なる文字に対してユニコードで同一の文字コードが割り当てられた文字の例を示すイメージ図である。たとえば、
図5の(A)は、日本語の漢字「突」と、繁体字中国語および簡体字中国語においてそれに対応する漢字を示している。日本語、繁体字中国語、簡体字中国語で、これらの漢字は画数および字形がそれぞれ異なっている。より具体的には日本語の漢字「突」の画数は、簡体字中国語や繁体字中国語でそれに対応する漢字より1画少ない。しかしユニコードでは、これらの漢字に対してすべて同一の文字コード(U+0x7A81)が割り当てられている。
【0007】
また、
図5の(B)は、日本語の漢字「滑」と、繁体字中国語においてそれに対応する漢字を示している。日本語と繁体字中国語において、これらの漢字は画数および字形がそれぞれ異なっている。より具体的には日本語の漢字「滑」の画数は、簡体字中国語でそれに対応する漢字より1画多い。しかしユニコードでは、これらの漢字に対して同一の文字コード(U+0x6ED1)が割り当てられている。
【0008】
言語ごとに異なる文字であるにもかかわらず同一の文字コードが割り当てられた場合、たとえばユニコードで表された中国語の電子メールやウェブサイトを表示する場合であっても、日本語のOSでは、前述の「突」や「滑」などのような文字は日本語の字形で表示されるので、中国語でそれらの電子メールやウェブサイトを書いた者の意図した通りの表示にはならないことがある。また、それらの文字を含む文字列を画数でソートした場合、日本語と中国語とでそれらの文字の画数が異なるので、ソートした結果が異なってしまうことがある。
【0009】
この問題を解決する方法として、特許文献1には、文字列における各言語に特有の文字の出現頻度に基づいて、文字列に利用されている言語を判別する技術が開示されている。また、特許文献2には、字形(フォント)識別情報によって特定される字形によってユニコードで表示される文字列を表示する技術が開示されている。特許文献3には、字形(グリフ)切り替えデータによって特定される字形によってユニコードで表示される文字列を表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−92223号公報
【特許文献2】特開2000−227790号公報
【特許文献3】特開平11−232276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、上述の特許文献1の技術では、文字列を構成するすべての文字に対して各言語に特有の文字であるか否かを識別し、当該文字列における各言語の出現頻度を求める必要がある。字数が多くなると、この判別の処理に多くの計算量と時間がかかるという問題があった。特に前述のような小型電子機器で、このような処理を行うことが困難である。
【0012】
一方、特許文献2および3の技術では、文字列データは字形識別情報(フォントタイプ)、もしくは字形(グリフ)切り替えデータなどといった追加情報を持ち、それらのデータによって文字列に利用されている言語を特定して、該言語に対応する字形で該文字列を表示する技術を開示している。この技術によれば、言語によって異なる字形の表示、および画数によるソートを正確に行うことができる。しかし、追加情報を持つことによって、電子メールやウェブサイトなどのデータの容量が増大することになる。
【0013】
本発明の目的は、追加情報に頼ることなく、また小型電子機器で無理なく処理できる計算量で、ユニコードで表された文字列に言語ごとに異なる文字が含まれる場合においても字形の表示および画数によるソートを正確に行うことのできる電子機器、文字列表示方法、および文字列表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る電子機器は、ユユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶しているメモリ部と、与えられた文字列の中から1文字を抽出してユニコード変換テーブルと照合し、当該1文字が言語独特文字であれば文字列の属する言語が言語独特文字の属する言語であると特定する言語識別処理部と、特定された言語においてユニコード変換テーブルに含まれている字形によって文字列を予め備えられたディスプレイに表示させる表示処理部とを有すること、を特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明に係る文字列表示方法は、ユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶している電子機器が与えられた文字列を表示する方法であって、文字列に含まれる任意の1文字を言語識別処理部がユニコード変換テーブルと照合して当該1文字が言語独特文字であれば文字列の属する言語が言語独特文字の属する言語であると特定し、特定された言語においてユニコード変換テーブルに含まれている字形によって文字列を表示処理部が予め備えられたディスプレイに表示させること、を特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明に係る文字列表示プログラムは、ユニコードによって記述された文字の複数の言語における字形および当該文字が特定の言語にのみ含まれる言語独特文字であるか否かの情報を含むユニコード変換テーブルを予め記憶している電子機器にあって、電子機器が備えているプロセッサに、与えられた文字列に含まれる任意の1文字をユニコード変換テーブルと照合して当該1文字が言語独特文字であれば文字列の属する言語が言語独特文字の属する言語であると特定する手順、および特定された言語においてユニコード変換テーブルに含まれている字形によって文字列を予め備えられたディスプレイに表示させる手順を実行させること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、上記したようにユニコードによって記述された文字によって構成された文字列に含まれる文字を1文字ずつ言語独特文字であるか否かを判別し、言語独特文字を含む場合に該文字列の属する言語が言語独特文字の属する言語であると特定するように構成したので、追加情報に頼ることなく、また携帯電子機器で無理なく可能な計算量で、文字列の属する言語を判別することができる。これによって、ユニコードで表された文字列に対して小さい処理能力で有効に動作することのできる従来にない優れた電子機器、文字列表示方法、および文字列表示プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態による小型電子機器の一構成例を示したブロック図である。本発明の実施形態における小型電子機器の一例である携帯電話端末1は、中央処理装置2と、メモリ部11、LCD13、無線モジュール14、操作部15からなる。中央処理装置2は、MPUおよびRAMからなる主制御部3が、無線通信部4、操作入力処理部5、言語判定処理部6、言語識別処理部7、文字情報保存処理部8、ユーザ指定保存処理部9、表示処理部10の各機能を実行する。
【0020】
無線通信部4は無線モジュール14を制御し、地上局(図示せず)との間で無線による音声通信およびデータ通信を確立する。主制御部3は無線通信部4を制御してデータ通信を行い、インターネットなどを介して電子メールやウェブページなどのデータをダウンロードして、文字情報保存処理部8を介してメモリ部11に格納する。また主制御部3は、操作入力処理部5を介して、ユーザによる操作部15におけるキー入力を受け付け、上述の各処理部によって処理を行う。そして主制御部3は、各々の処理の結果を表示処理部10を介してLCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)13に表示する。
【0021】
メモリ部11はユニコード変換テーブル12を含む。ユニコード変換テーブル12は、ユニコードで表示された文字を各言語に対応付けるためのコードアサインが格納されたデータベースである。より具体的にはユニコード変換テーブル12は、ユニコードで表示された日本語、繁体字中国語、簡体字中国語、韓国語、香港中国語などの文字の字形と画数、および各々の文字が後述する言語独特文字であるか否かについての情報を含む。
【0022】
メモリ部11に記憶された電子メールやウェブページなどのデータは、操作部15および操作入力処理部5を通じたユーザからの操作入力により、文字情報保存処理部8によってメモリ部11を介して読み出される。その際、メールやウェブページに利用されている言語を言語識別処理部7が識別する。
【0023】
言語判定処理部6は、言語識別処理部7の識別結果に基づいて、文字列に利用されている言語を判別する。また、言語判定処理部6は、該文字列の判別された言語の字形における画数を確定し、確定された画数に基づいてソートする処理も行う。そして、言語判定処理部6はその識別結果に対応した字形をユニコード変換テーブル12から読み出し、該字形によって該文字列およびソート処理結果を表示処理部10を介してLCD13上に表示する。
【0024】
ユーザ指定保存処理部9は、ユーザにデフォルトの設定言語としてあらかじめ選択させた言語の種類をユーザ指定言語として保存するメモリである。言語識別処理部7が言語を識別できなかった場合、ユーザ指定保存処理部9に予め保存されているデフォルトの設定言語が判別結果として出力される。
【0025】
本実施の形態では、ユニコードで表示される各言語の文字を、大きく「言語独特文字」と「共通文字」とに分ける。言語独特文字は、1種類の言語でしか使われない文字をいう。共通文字は、2種類以上の言語に共通して使われる文字をいう。各々の文字が言語独特文字であるか否かは、前述のようにユニコード変換テーブル12に保存されている。
【0026】
たとえば、日本語のひらがなやカタカナ、韓国語のハングルなどは、典型的な言語独特文字である。漢字においては、中国語でしか使われない文字は言語独特文字であり、日本語や韓国語でも使われうる漢字は共通文字である。
図5で例示した言語によって字形が異なる文字も、共通文字に含まれる。
【0027】
図2は、
図1内に開示した言語識別処理部7が行う、文字列に利用されている言語の識別の処理を表すフローチャートである。言語識別処理部7が処理を開始すると(S21)、まず変数I=1を定義する(ステップS22)。言語識別処理部7は判定対象文字列のI文字目を抜き出し、抜き出したI文字目が言語独特文字であるか否かを、ユニコード変換テーブル12のデータに基づいて識別する(ステップS23)。言語識別処理部7は、I文字目が言語独特文字であればステップS26に処理を進め、使用言語=該言語独特文字の属する言語との判定結果を言語判定処理部6に出力して、処理を終了する(ステップS28)。
【0028】
言語識別処理部7は、ステップS23でI文字目が言語独特文字でなければ、変数Iが判定対象文字列の長さに等しいか否かを判別する(ステップS24)。言語識別処理部7は、等しくなければ、Iの値を1つ増やして(ステップS25)、ステップS23の処理を繰り返す。つまり、言語識別処理部7は
図2に示すように、判定対象文字列の1文字目から順番に言語独特文字であるか否かを識別し、1文字でも言語独特文字に該当する文字があれば、該言語独特文字の属する言語が使用言語であると識別する。
【0029】
言語識別処理部7は、ステップS24で変数Iが判定対象文字列の長さに等しい場合は、判定対象文字列の1文字目から順番に最後の文字までステップS23の処理を繰り返しても、言語独特文字に該当する文字が存在しなかったことを意味する。この場合は言語識別処理部7は、ステップS27に処理を進め、ユーザ指定保存処理部9に保存されているユーザ指定言語を読み出し、使用言語=ユーザ指定言語との判定結果を言語判定処理部6に出力して、処理を終了する(ステップS28)。
【0030】
図3は、
図1内に開示した言語判定処理部6が行う、文字列を表示する処理を表すフローチャートである。言語判定処理部6は、処理を開始して(S31)文字情報保存処理部8から表示対象文字列を得ると(ステップS32)、該文字列を言語識別処理部7によって言語の識別の処理を行う(ステップS33)。言語識別処理部7は、
図2に示した処理で、使用言語を言語判定処理部6に出力する。言語判定処理部6は、判定された使用言語に基づいて該文字列をLCD13上に表示して終了する(ステップS34〜35)。
【0031】
図4は、
図1内に開示した言語判定処理部6が行う、複数の文字列をソートする処理を表すフローチャートである。言語判定処理部6は、処理を開始して(ステップS41)文字情報保存処理部8からk個のソート対象文字列(kは2以上の自然数)を得ると(ステップS42)、まず変数j=1を定義し(ステップS43)、j番目の文字列を言語識別処理部7によって言語の識別の処理を行う(ステップS44)。言語識別処理部7は、
図2に示した処理で、使用言語を言語判定処理部6に出力する。言語判定処理部6は、j番目の文字列の画数を、判定された使用言語における字形に基づいて確定する(ステップS45)。
【0032】
続いて言語判定処理部6は、変数jがソート対象文字列の個数kに等しいか否かを判別し(ステップS46)、等しくなければステップS47に処理を進めて、jの値を1つ増やして、ステップS44〜45の処理を繰り返す。つまり、言語判定処理部6は、用意されたk個のソート対象文字列の全てに対して使用言語を識別して画数を確定する。ステップS46で変数jがkに等しくなれば、全てのソート対象文字列の画数が確定されたのでステップS48に進み、確定された画数に基づいてソート対象文字列をソートして、ソートの結果をLCD13上に表示して終了する(ステップS49)。
【0033】
なお、
図2〜4で説明したフローチャートに係る各ステップの動作内容は、携帯電話端末1があらかじめ備えるコンピュータで動作するプログラムとして実行させるように構成することができる。また、
図2〜4では対象文字列の1文字目から順番に言語独特文字であるか否かを識別しているが、これを対象文字列の最終文字から順番に識別するようにしてもよいし、対象文字列の中からアトランダムに抽出した文字について識別するようにしてもよい。なお、前記プログラムは、記録媒体に記録されて商取引の対象となる。
【0034】
以上で述べたように、本実施の形態における使用言語の判別の処理は、上述の特許文献1のように表示対象文字列の全ての文字に対して言語独特文字であるか否かを識別して集計するのではない。1文字でも言語独特文字に該当する文字があれば、該言語独特文字の属する言語が使用言語であると識別するのである。従って、記憶容量や演算能力に制約がある携帯電子機器においても、無理のない計算量で使用言語の判別の処理を行うことができる。また、上述の特許文献2および3のように表示対象文字列とは別の追加情報を必要とはしないので、電子メールやウェブページなどのデータの容量を増大させることもない。
【0035】
一方、
図2に示した本実施の形態における使用言語の判別の処理では、1つの文字列の中に複数の言語における言語独特文字が含まれていると、誤った判別結果が出てしまう可能性を否定できない。小型電子機器で利用される電子メールやウェブページなどの文書容量は、PCなどで利用されるそれらと比べて一般的に小さいので、1つの文書の中に複数の言語における言語独特文字が含まれる可能性はPCの場合と比べて低い。従って、ほとんどの場合は、本実施の形態の判別処理で問題が生じることはない。
【0036】
それでも誤った判別結果が出て誤った字形で文字が表示される場合には、前述のユーザ指定保存処理部9などを利用して、ユーザが任意に使用言語を切り替えて電子メールやウェブページを表示できるようにすることが望ましい。
【0037】
これまで本発明について図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることは言うまでもないことである。
【0038】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
ユニコードにより記述された文字を表示する電子機器において利用可能である。特に、携帯電話機、PDA、音楽プレーヤーなどのような小型電子機器に適している。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の実施の形態による小型電子機器の一構成例を示したブロック図である。
【
図2】
図1内に開示した言語識別処理部が行う、文字列に利用されている言語の識別の処理を表すフローチャートである。
【
図3】
図1内に開示した言語判定処理部が行う、文字列を表示する処理を表すフローチャートである。
【
図4】
図1内に開示した言語判定処理部が行う、複数の文字列をソートする処理を表すフローチャートである。
【
図5】言語ごとに異なる文字に対してユニコードで同一の文字コードが割り当てられた文字の例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0041】
1 携帯電話端末
2 中央処理装置
3 主制御部
4 無線通信部
5 操作入力処理部
6 言語判定処理部(表示手段、ソート手段)
7 言語識別処理部(判別手段)
8 文字情報保存処理部
9 ユーザ指定保存処理部(言語保持手段)
10 表示処理部
11 メモリ部(記憶手段)
12 ユニコード変換テーブル(字形保存手段)
13 LCD
14 無線モジュール
15 操作部