(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1接続部分および前記第2接続部分では、前記第1接続部分の前記第1凹部の底部からの高さ寸法と前記第2接続部分の前記第1凹部の底部からの高さ寸法との比が0.5:1.0から1.0:0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の電池ケース。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電池ケースのように、破断用溝部の底部における肉厚(残厚)によって、安全弁の作動圧力を制御する構成の場合、内部圧力が設定圧力に到達しなくても破断用溝部が開裂するという問題点がある。具体的には、二次電池の場合、充電と放電の繰り返しに伴って内部圧力が変動するため、破断用溝部に圧縮応力と引張応力とが繰り返し加わる結果、破断用溝部の底部が疲労して強度が低下し、内部圧力が設定圧力に到達しなくても破断用溝部が開裂する。より具体的には、二次電池の場合、充電時に発熱するため、二次電池の温度が上昇して内部圧力が上昇する一方、放電時には、かかる発熱が発生しないため、二次電池の温度が低下し、内部圧力が低下する。なお、環境温度の変化に伴って内部圧力が変動して、破断用溝部が疲労し、内部圧力が設定圧力に到達しなくても破断用溝部が開裂することもある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、破断用溝部を利用した安全弁において、作動圧力の安定化を図ることのできる電池ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、金属板を加工したケースのいずれかの面を構成する板部に安全弁用の破断用溝部が形成された電池ケースであって、前記板部には、ケース内側に向けて凹ませた第1凹部が形成され、前記第1凹部の底部の中央または略中央に前記破断用溝部が形成され、前記板部において前記第1凹部を間に挟む両側で当該第1凹部に接続する第1接続部分および第2接続部分のうちの少なくとも一方は、
前記板部を厚さ方向においてケース外側に向けて多重に折り重ねた折り重ね部分から
なり、前記折り重ね部分で最もケース外側で重なっている部分が前記第1凹部の底部と繋がっており、前記折り重ね部分において前記板部のケース外側の面に重なる部分は、当該板部のケース外側の面から離間していることを特徴とする。
【0008】
本発明における「第1凹部の底部の中央または略中央に破断用溝部が形成されている」とは、第1凹部の底部の幅方向の中央に限らず、第1凹部の底部のうち、変形しやすい部位(中心付近)に破断用溝部が形成されている構成を含む意味である。
【0009】
本発明に係る電池ケースにおいて、安全弁用の破断用溝部は、ケースのいずれかの面を構成する板部をケース内側に向けて凹ませた第1凹部の底部に形成されているため、充電と放電の繰り返し等に伴って内部圧力が変動した場合でも、かかる内部圧力の変化は、第1凹部がケース外側およびケース内側に変形することによって吸収される。このため、破断用溝部には、過大な圧縮応力や過大な引張応力が加わらないので、破断用溝部に疲労が発生しにくい。従って、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき以外は、破断用溝部が開裂しない。それ故、安全弁の作動圧力の安定化を図ることができる。また、変形しやすい第1凹部の底部の中央または略中央に破断用溝部を形成したため、第1凹部がケース外側に膨らむ際、破断用溝部には、まず、圧縮応力が加わった後、引張応力が加わって破断用溝部が開裂する。このため、破断用溝部では、溝底部の厚さがある程度、厚くても確実に開裂する。従って、破断用溝部の強度
を高めることができるので、二次電池の組み立て作業中に破断用溝部が開裂するという事態が発生しにくい。それ故、電池ケースの取り扱いが容易である。また、本発明では、第1凹部の変形と、破断用溝部の開裂という2段階の圧力を受ける構成であるため、破断用溝部の溝部底部の厚さや形状、第1凹部の形状等、作動圧を設定するパラメータが多いので、作動圧を任意のレベルに設定することができる。また、凹部を湾曲した形状とすると、変形しやすく、圧力を吸収しやすい。さらに、本発明において、第1接続部分および第2接続部分のうちの少なくとも一方は、板部を厚さ方向において多重に折り重ねた折り重ね部分からなる。このため、折り重ね部分でも変形するので、内部圧力の変化を吸収しやすい。
また、折り重ね部分において前記板部のケース外側の面に重なる部分は、当該板部のケース外側の面から離間しているため、折り重ね部分でも変形しやすい。従って、内部圧力の変化を吸収しやすい。
【0010】
本発明において、前記板部において前記第1凹部を間に挟む両側で当該第1凹部に接続する第1接続部分および第2接続部分では、前記第1接続部分の前記第1凹部の底部からの高さ寸法と前記第2接続部分の前記第1凹部の底部からの高さ寸法との比が0.5:1.0から1.0:0.5の範囲にあることが好ましい。かかる構成によれば、第1凹部が変形する際の形状を制御しやすいので、安全弁の作動圧を安定化させることができる。また、第1凹部が変形する際の形状を制御しやすいので、第1凹部が変形する際、破断用溝部に余計な力が加わることを抑制することができる。
【0014】
本発明において、前記破断用溝部は、前記第1凹部の底部のケース外側の面に形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1凹部がケース外側に膨らむ際、破断用溝部が開こうとするので、破断用溝部を確実に開裂させることができる。
【0015】
本発明において、前記第1凹部の底部は、平面部を備え、当該平面部に前記破断用溝部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、破断用溝部を形成する際、溝底部の厚さを制御しやすい。
【0016】
本発明において、前記第1凹部は、前記板部において溝状に延在しており、前記破断用溝部は、前記第1凹部の延在方向に沿って延在していることが好ましい。
【0017】
本発明において、前記第1凹部は、周方向で繋がった環状に形成されていることが好ましい。
【0018】
この場合、前記破断用溝部は、1つ以上の途切れ部分をもって前記第1凹部に沿って周方向に延在していることが好ましい。かかる構成によれば、破断用溝部が開裂する位置を特定することができるので、破断用溝部の開裂後(安全弁の作動後)の形状を制御することができる。また、破断用溝部が開裂した際、破断片の飛散を防止することができる。さらに、途切れ部分は、破断部分の強度に影響するので、途切れ部分の位置や数によって、破断用溝部の疲労の抑制や破断圧力の制御を行うことができる。
【0019】
本発明において、前記第1凹部は、前記板部において円形に形成されており、前記破断用溝部は、前記第1凹部の底部の中央または略中央で交差する2本の溝からなる構成を採用してもよい。かかる構成によれば、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき、破断用溝部が確実に開裂する。
【0020】
この場合、前記2本の溝は、直角に交差していることが好ましい。かかる構成によれば、第1凹部の底部の2本の溝で仕切られた4つの部分は同等の強度を有するので、内部圧力が上昇した際、同様に変形する。このため、破断用溝部が不用意に開裂しない。
【0021】
また、前記第1凹部の底部において、前記2本の溝で仕切られた4つの部分には、補強用の凹部が形成されていることが好ましい。かかる構成によれば、2本の溝で仕切られた4つの部分が十分な強度を有しているため、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇では破断用溝部が開裂しない。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る電池ケースにおいては、充電と放電の繰り返し等に伴って内部圧力が変動した場合でも、かかる内部圧力の変化は、第1凹部がケース外側およびケース内側に変形することによって吸収される。このため、破断用溝部には、過大な圧縮応力や過大な引張応力が加わらないので、破断用溝部に疲労が発生しにくい。従って、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき以外は、破断用溝部が開裂しない。それ故、安全弁の作動圧力の安定化を図ることができる。また、変形しやすい第1凹部の底部の中央または略中央に破断用溝部を形成したため、第1凹部がケース外側に膨らむ際、破断用溝部には、まず、圧縮応力が加わった後、引張応力が加わって破断用溝部が開裂する。このため、破断用溝部では、溝底部の厚さがある程度、厚くても確実に開裂する。従って、破断用溝部の強度を高めることができるので、二次電池の組み立て作業中に破断用溝部が開裂するという事態が発生しにくい。それ故、電池ケースの取り扱いが容易である。また、本発明では、第1凹部の変形と、破断用溝部の開裂という2段階の圧力を受ける構成であるため、破断用溝部の溝部底部の厚さや形状、第1凹部の形状等、作動圧を設定するパラメータが多いので、作動圧を任意のレベルに設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0025】
[実施の形態1]
(電池ケースの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1の外観を示す斜視図であり、電池ケース1をケース本体10と蓋2とに分解した様子を示している。
【0026】
図1に示すように、本形態に係る電池ケース1は、扁平な直方体形状の箱形のケース本体10と、ケース本体10の開口を塞ぐ板状の蓋2とを有しており、ケース本体10および蓋2はいずれも、金属板にプレス等の加工を行うことにより製造される。本形態では、ケース本体10および蓋2はいずれも、厚さが0.3mm〜3.0mmのアルミニウム合金の板材にプレス等の加工を行うことにより製造される。なお、銅や鉄等の他の金属の板材にプレス等の加工を行うことにより、ケース本体10および蓋2を製造してもよい。
【0027】
電池ケース1の内部には、リチウムイオン二次電池等の二次電池用の電極(図示せず)および電解液が収容されることになる。本形態において、蓋2は、ケース本体10の開口を塞いだ状態でレーザ溶接等の方法により固定されることにより、電池ケース1を密閉状態とし、この状態で、蓋2は、電池ケース1の一面を構成することになる。なお、以下の説明では、便宜上、蓋2において、ケース外側を向く面2aを表面あるいは上面とし、ケース内側を向く面2bを裏面あるいは下面として説明する。
【0028】
本形態の電池ケース1において、蓋2は、金属板にプレス等の加工を行うことにより、ケース本体10の開口を塞ぐ板部3の中央位置に安全弁4が形成された構造を有している。安全弁4は、電池ケース1を用いて二次電池を構成した際、通常時は閉じた状態にあり、電池ケース1の内部圧力が過度に上昇した際に開状態となって電池ケース1の内部圧力を逃がす機能を担っている。
【0029】
なお、蓋2の長さ方向の両端部付近には、二次電池の端子(図示せず)が配置される端子穴210、220が形成されている。端子穴210、220のうち、一方の端子穴210には陽極端子が配置され、他方の端子穴220には負極端子が配置される。また、蓋2には、電解質を注入するための注入孔等(図示せず)が形成されていることもある。
【0030】
(安全弁4の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1の蓋2の構成を示す説明図であり、
図2(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は各々、蓋2をケース外側からみた平面図、蓋2の正面図、蓋2をケース内側からみた底面図、蓋2に形成した安全弁4をケース外側からみた様子を拡大して示す説明図、および蓋2に形成した安全弁4をケース内側からみた様子を拡大して示す説明図である。
図3は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1の蓋2に形成した安全弁4の説明図であり、
図3(a)、(b)、(c)は各々、安全弁4の拡大断面図、破断用溝部45をさらに拡大した断面図、および開裂後の破断用溝部45を拡大した断面図である。
【0031】
図2および
図3に示すように、蓋2において、板部3には、プレスにより板部3を薄板化してなる薄板部分30が形成されている。かかる薄板部分30には、プレスにより薄板部分30をケース内側に向けて湾曲した形状に凹ませた湾曲部44(第1凹部40)が形成されている。本形態において、薄板部分30は円形領域として形成され、湾曲部44(第1凹部40)は、周方向に延在して周方向に繋がっていることにより、薄板部分30と同心状の環状領域として形成されている。なお、板部3のうち、薄板部分30を除く領域は、薄板部分30より分厚い平板部分39になっている。本形態において、薄板部分30は、後述する部位によって厚さが相違するが、薄板部分30の厚さは0.1mm〜0.8mm程度である。また、第1凹部40を構成する湾曲部44の厚さは0.2mm〜0.5mm程度である。
【0032】
板部3において湾曲部44(第1凹部40)を間に挟む両側で湾曲部44に接続する第1接続部分46および第2接続部分47は、板部3からケース外側に向けて突出した位置にある。かかる第1接続部分46および第2接続部分47は、湾曲部44を挟む両側で湾曲部44に沿って環状に延在している。
【0033】
第1接続部分46および第2接続部分47において、第1接続部分46の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h1と、第2接続部分47の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h2との比は、0.5:1.0から1.0:0.5の範囲に設定されている。すなわち、第1接続部分46の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h1と、第2接続部分47の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h2とが大きく相違しないように設定されている。本形態においては、第1接続部分46の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h1と、第2接続部分47の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h2との比は、概ね、1.0:1.0に設定されている。
【0034】
第2接続部分47に対して第1凹部40とは反対側には、プレスによりケース内側に向けて凹ませた第2凹部41が形成されており、かかる第2凹部41も、第2接続部分47と同様、第1凹部40に沿って環状に延在している。本形態では、第2凹部41の中心部には、プレスによりケース外側に向けて突出した凸部49が形成されている。第2接続部分47の厚さは0.75mm程度であり、第2凹部41を構成する部分の厚さは0.1mm程度である。
【0035】
また、第1接続部分46に対して第1凹部40とは反対側には、ケース内側に向けて凹んだ第2凹部42が形成されており、かかる第2凹部42は、薄板部分30の外周部分31に相当する。第2凹部42も、第2接続部分47と同様、第1凹部40に沿って環状に延在している。このため、蓋2には、中心側から外周側に向けて、凸部49、第2凹部41、第2接続部分47、第1凹部40、第1接続部分46、および第2凹部42が同心状に形成されている。かかる形状に対応して、蓋2のケース内側の面2b(裏面)には、複数本の環状の凸部や凹部が形成されている。
【0036】
ここで、第1接続部分46は、薄板部分30を板部3の厚さ方向において多重に折り重ねた折り重ね部分からなる。より具体的には、第1接続部分46(折り重ね部分)は、薄板部分30の最も外周側に位置する外周部分31の内縁から外周部分31と重なるように径方向外側に折れ曲がった下層部分461と、下層部分461の外周部分31とは反対側の端部から下層部分461と重なるように径方向内側に折れ曲がった上層部分462とを備えており、かかる上層部分462から第1凹部40を形成する湾曲部44が繋がっている。
【0037】
本形態では、第1接続部分46(折り重ね部分)において、板部3のケース外側の面に重なる部分は、板部3のケース外側の面から離間している。すなわち、第1接続部分46(折り重ね部分)において、外周部分31と下層部分461とは離間しており、外周部分31と下層部分461との間には環状の隙間35が空いている。
【0038】
このように構成した蓋2において、第1凹部40(湾曲部44)の底部440の幅方向の中央または略中央には、安全弁4を構成する破断用溝部45が形成されている。本形態において、破断用溝部45は、第1凹部40の幅方向の中央位置で第1凹部40に沿って延在している。ここで、破断用溝部45は、周方向の一箇所に途切れ部分459を備えている。具体的には、破断用溝部45は、蓋2の長手方向のうち、陽極端子が配置される端子穴210が位置する側に途切れ部分459を備えている。本形態では、途切れ部分459が1個所に形成されているが、途切れ部分459は複数個所に設けてもよい。
【0039】
図3(b)に示すように、破断用溝部45は、断面が略V字形状であり、溝底部450は、設定される破断荷重に応じて所定の肉厚に設定されている。本形態において、第1凹部40(湾曲部44)の底部440の厚さは0.25mm〜0.5mm程度であり、溝底部450の厚さは0.03mm〜0.08mm程度である。かかる破断用溝部45は、以下に説明するように、電池ケース1の内部圧力が過剰に上昇したとき、
図3(c)に示すように開裂し、内部圧力を電池ケース1の外部に逃がす安全弁4として機能する。
【0040】
(安全弁4等の機能)
図4は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1において内部圧力の上昇に伴う安全弁4の形状変化を示す説明図であり、
図4(a)、(b)、(c)は各々、内部圧力が通常状態にあるときの安全弁4の説明図、内部圧力が上昇したときの安全弁4の説明図、および内部圧力がさらに上昇したときの安全弁4の説明図である。
図5は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1における破断用溝部45の溝底部450における厚さと安全弁4の作動圧との関係を示すグラフである。なお、
図5に示す関係は、JIS3000系(Al−Mn)アルミニウム合金を用い、湾曲部44の底部440の厚さを0.27mmとした場合の結果である。
【0041】
本形態の電池ケース1を用いた二次電池においては、充電と放電の繰り返しに伴って内部圧力が変動する。より具体的には、二次電池の場合、充電時に発熱するため、二次電池の温度が上昇して内部圧力が上昇する一方、放電時には、かかる発熱が発生しないため、二次電池の温度が低下し、内部圧力が低下する。なお、環境温度の変化に伴って内部圧力が変動することもある。
【0042】
このような内部圧力の上昇があった際、蓋2は、
図4(a)に示す状態から
図4(b)に示す状態のように、薄板部分30全体がケース外側に変位するとともに、湾曲部44がケース外側に向けて変形する。その際、第1接続部分46を構成する折り重ね部分も変形する。そして、充電が停止して内部圧力が低下すると、蓋2は、薄板部分30全体がケース内側に変位するとともに、湾曲部44もケース内側に変形し、
図4(b)に示す状態から
図4(a)に示す状態に戻る。
【0043】
これに対して、内部圧力が上昇して、
図4(a)に示す状態から
図4(b)に示すように、蓋2の薄板部分30全体がケース外側に変位するとともに、湾曲部44がケース外側に変形した後も、内部圧力がさらに上昇すると、蓋2は、
図4(b)に示す状態から
図4(c)に示す状態のように、薄板部分30全体がさらにケース外側に変位するとともに、湾曲部44がケース外側に膨らむように変形する。また、第1接続部分46を構成する折り重ね部分も変形する。そして、内部圧力が設定値を超えた時点で、破断用溝部45は、
図3(c)に示したように開裂する。従って、内部圧力を電池ケース1の外部に逃がすことができる。
【0044】
本形態では、内部圧力が1.1MPa(設定値)を超えた時点で、破断用溝部45が開裂するように、溝底部450の厚さ等を設定してある。また、本形態では、溝底部450の厚さが多少ばらついたときでも、内部圧力が1.1MPa(設定値)を超えた時点で、破断用溝部45が開裂するように設定してある。
【0045】
より具体的には、
図5に示すように、溝底部450の厚さを厚くする程、安全弁4の作動圧(破断用溝部45が開裂する圧力)は高くなる。本形態では、内部圧力が増大しても、内部圧力が比較的低い場合には、かかる内部圧力の増大を薄板部分30や第1凹部40の変形で吸収しているため、
図5からわかるように、溝底部450の厚さを厚くする程、安全弁4の作動圧が直線的に増大する領域Aと、溝底部450の厚さを厚くしても、安全弁4の作動圧が略変化しない領域Bと、溝底部450の厚さを厚くする程、安全弁4の作動圧が直線的に増大する領域Cとが出現する。そこで、本形態では、溝底部450の厚さについては、溝底部450の厚さを厚くしても、安全弁4の作動圧が略変化しない領域Bに相当する条件(点線Dで囲んだ条件)に設定してある。より具体的には、溝底部450の厚さを0.07mmに設定してある。かかる条件であれば、溝底部450の厚さが多少ばらついたときでも、内部圧力が1.1MPa(設定値)を超えた時点で、破断用溝部45が確実に開裂する。
【0046】
(電池ケース1の製造方法)
図6は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1の製造工程のうち、蓋2に安全弁4を形成する方法を示す工程断面図である。
【0047】
本形態の電池ケース1の蓋2に安全弁4を形成する工程では、
図6を参照して以下に説明するように、延し成形工程、第1矯正工程、第2矯正工程、折返し工程、予備折重ね工程、本折重ね工程、および溝部成形工程を行う。
【0048】
具体的には、まず、
図6(a)に示す延し成形工程において、下型となる延し成形用ダイ101と上型となる延し成形用パンチ102とを用いてアルミニウム合金からなる板材20にプレスを行い、
図6(b)に示すように、筒状壁部37と薄板部分30を形成する。
【0049】
次に、第1矯正工程では、図示を省略するが、矯正用ダイと矯正用パンチとを用いて薄板部分30を平坦に矯正する。また、第2矯正工程では、図示を省略するが、矯正用ダイと矯正用パンチとを用いて筒状壁部37が垂直になるように矯正する。
【0050】
次に、
図6(c)、(d)に示す折返し工程では、下型となる折返し用ダイ131と折返し用パンチ132とを用いて薄板部分30を折り返し、屈曲部34を形成する。
【0051】
次に、
図6(e)に示す予備折重ね工程では、下型となる予備折重ね用ダイ141と上型となる予備折重ね用パンチ142と用いて屈曲部34を外側に傾かせて屈曲部34を折り重ねるための予備工程を行う。
【0052】
次に、
図6(f)に示す本折重ね工程では、下型となる本折重ね用ダイ151と上型となる本折重ね用パンチ152とを用いて屈曲部34を折り重ねる。その結果、
図3を参照して説明したように、薄板部分30の外周部分31に重なるように折れ曲がった下層部分461と、下層部分461に重なるように折れ曲がった上層部分462とを備えた折り重ね部分(第1接続部分46)が形成される。
【0053】
次に、
図6(g)示す溝部成形工程では、下型となる溝部成形用ダイ161と上型となる溝部成形用パンチ162とを用いて薄板部分30をプレスし、
図3を参照して説明した凸部49、第2凹部41、第2接続部分47および湾曲部44(第1凹部40)を形成する。その際、湾曲部44の底部440に破断用溝部45を同時に形成する。
【0054】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電池ケース1の蓋2では、板部3をケース内側に向けて湾曲した形状に凹ませた湾曲部44(第1凹部40)が形成され、湾曲部44の底部440の中央または略中央に安全弁4用の破断用溝部45が形成されている。このため、充電と放電の繰り返し等に伴って内部圧力が変動した場合でも、かかる内部圧力の変化は、湾曲部44がケース外側およびケース内側に変形することによって吸収される。このため、破断用溝部45には、過大な圧縮応力や過大な引張応力が加わらないので、破断用溝部45に疲労が発生しにくい。特に本形態においては、破断用溝部45が形成された部分が湾曲部44になっているので、変形を妨げる角部分がない。従って、充電と放電の繰り返し等に起因する内部圧力の変化に追従するように湾曲部44を確実に変形させることができる。このため、充電と放電の繰り返し等に伴う内部圧力の変動を湾曲部44の変形によって確実に吸収することができるので、破断用溝部45に疲労が発生しにくい。従って、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき以外は、破断用溝部45が開裂しない。それ故、安全弁4の作動圧力の安定化を図ることができる。
【0055】
また、変形しやすい湾曲部44の中央または略中央に破断用溝部45を形成したため、湾曲部44がケース外側に膨らむ際、破断用溝部45には、まず、圧縮応力が加わった後、引張応力が加わって破断用溝部45が開裂する。このため、破断用溝部45では、溝底部450の厚さがある程度、厚くても確実に開裂する。従って、破断用溝部45の強度を高めることができるので、二次電池の組み立て作業中に破断用溝部45が開裂するという事態が発生しにくい。それ故、電池ケース1の取り扱いが容易である。
【0056】
また、湾曲部44の変形と、破断用溝部45の開裂という2段階の圧力を受ける構成であるため、破断用溝部45の溝底部450の厚さや形状、湾曲部44の形状等、作動圧を設定するパラメータが多いので、作動圧を任意のレベルに設定することができる。
【0057】
さらに、本形態では、蓋2を構成する板部3に薄板部分30を形成し、薄板部分30に安全弁4を設けたため、必要以上に安全弁4がケース外側に突出することがない。このため、蓋2の取り付け作業等の際、安全弁4を損傷させるおそれが小さいという利点がある。
【0058】
また、本形態において、板部3において湾曲部44を間に挟む両側で湾曲部44に接続する第1接続部分46および第2接続部分47は、板部3からケース外側に向けて突出した位置にあるため、ケース内側に向けて凹む湾曲部44を形成した場合でも、湾曲部44の底部440が板部3のケース内側の面から突出しない構造になるか、あるいはわずかに突出した構造で済む。また、第1接続部分46の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h1と第2接続部分47の湾曲部44の底部440からの高さ寸法h2との比が0.5:1.0から1.0:0.5の範囲にあるため、湾曲部44が変形する際の形状を制御しやすい。従って、安全弁4の作動圧を安定化させることができる。また、湾曲部44が変形する際の形状を制御しやすいので、湾曲部44が変形する際、破断用溝部45に余計な力が加わることを抑制することができる。
【0059】
また、第1接続部分46は、薄板部分30を板部3の厚さ方向において多重に折り重ねた折り重ね部分からなるため、折り重ね部分でも変形するので、充電と放電の繰り返し等に伴う内部圧力の変化を吸収しやすい。しかも、折り重ね部分において、板部3のケース外側の面に重なる部分は、板部3のケース外側の面から離間している。このため、折り重ね部分でも変形しやすいので、内部圧力の変化を吸収しやすい。
【0060】
また、第1接続部分46に対して湾曲部44とは反対側に第2凹部42が形成され、第2接続部分47に対して湾曲部44とは反対側に第2凹部41が形成されているため、湾曲部44に隣接する個所(第1接続部分46および第2接続部分47)の剛性を高めることができる。それ故、湾曲部44での変形を発生させやすい。
【0061】
また、破断用溝部45は、湾曲部44の底部440のケース外側の面に形成されているため、湾曲部44がケース外側に膨らむ際、破断用溝部45が開こうとするので、破断用溝部45を確実に開裂させることができる。また、破断用溝部45には、周方向の一部に途切れ部分459が形成されている。このため、破断用溝部45が開裂する位置を特定することができるので、破断用溝部45の開裂後(安全弁の作動後)の形状を制御することができる。また、破断用溝部45が開裂した際、破断片の飛散を防止することができる。さらに、途切れ部分459は、破断部分の強度に影響するので、途切れ部分459の位置や数によって、破断用溝部の疲労の抑制や破断圧力の制御を行うことができる。
【0062】
(湾曲部44の他の形態)
図7は、本発明の実施の形態1に係る電池ケース1に形成した安全弁4の別形態を示す説明図である。
図1〜
図6を参照して説明した電池ケース1では、湾曲部44の底部440も湾曲していたが、本形態においては、
図7に示すように、湾曲部44の底部440は平面部441になっており、かかる平面部441の中央または略中央に前記破断用溝部45が形成されている。
【0063】
かかる構成によれば、破断用溝部45を形成する際、溝底部450の厚さを制御しやすい。
【0064】
(実施の形態1の変形例)
上記実施の形態1では、第1接続部分46を折り重ね部分としたが、第2接続部分47を折り重ね部分とした構造や、第1接続部分46および第2接続部分47の双方を折り重ね部分とした構造を採用してもよい。
【0065】
上記実施の形態1では、電池ケース1の蓋2に安全弁4を形成したが、ケース本体10の側に安全弁を形成してもよい。
【0066】
上記実施の形態1では、湾曲部44を平面視で真円形状に形成したが、平面視で長円形状等となるように湾曲部44を形成してもよい。
【0067】
[実施の形態2]
(電池ケース1xおよび安全弁4xの構成)
図8は、本発明の実施の形態2に係る電池ケース1xの外観を示す斜視図であり、電池ケース1xをケース本体10と蓋2とに分解した様子を示している。
図9は、本発明の実施の形態2に係る電池ケース1xの蓋2の説明図であり、
図9(a)、(b)は各々、蓋2の平面図、および蓋2に形成した安全弁4xを拡大した平面図である。
図10は、本発明の実施の形態2に係る電池ケース1xの安全弁4xの断面図であり、
図10(a)、(b)、(c)は各々、
図9(b)のA−A′断面図、B−B′断面図、およびC−C′断面図である。なお、本形態の電池ケース1xは、実施の形態1に係る電池ケース1と基本的な構成が共通するため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0068】
図8に示すように、本形態に係る電池ケース1xも、実施の形態1と同様、扁平な直方体形状の箱形のケース本体10と、ケース本体10の開口を塞ぐ板状の蓋2とを有している。蓋2は、ケース本体10の開口を塞いだ状態でレーザ溶接等の方法により固定されることにより、電池ケース1xを密閉状態とし、この状態で、蓋2は、電池ケース1xの一面を構成する。また、本形態でも、実施の形態1と同様、蓋2は、金属板にプレス等の加工を行うことにより、ケース本体10の開口を塞ぐ板部3の中央位置に安全弁4xが形成された構造を有している。
【0069】
図9および
図10に示すように、蓋2において、板部3には、プレスにより板部3を薄板化してなる薄板部分30が形成されている。かかる薄板部分30には、プレスにより薄板部分30をケース内側に向けて凹ませた第1凹部40xが形成されている。第1凹部40xの底部(底板部400x)は、ケース内側に向けて湾曲した湾曲部44になっている。本形態において、薄板部分30は円形領域として形成され、かかる円形の薄板部分30の内側に円形の第1凹部40xが薄板部分30と同心状に形成されている。なお、板部3のうち、薄板部分30を除く領域は、薄板部分30より分厚い平板部分39になっている。本形態において、薄板部分30は、後述する部位によって厚さが相違するが、薄板部分30の厚さは0.1mm〜0.8mm程度である。また、第1凹部40xの底板部400xの厚さは0.1mm〜0.4mm程度である。
【0070】
板部3において第1凹部40xと平板部分39との間に位置する環状の接続部分48xは、周方向の全体にわたって同一の構成をもって第1凹部40xを囲んでいる。従って、第1接続部分46xの第1凹部40xの底板部400xからの高さ寸法h1xと、第2接続部分47xの第1凹部40xの底板部400xからの高さ寸法h2xとは同一であり、高さ寸法h1x、h2xの比は、0.5:1.0から1.0:0.5の範囲に設定されている。
【0071】
接続部分48xは、薄板部分30を板部3の厚さ方向において多重に折り重ねた折り重ね部分からなる。より具体的には、接続部分48x(折り重ね部分)は、薄板部分30の最も外周側に位置する外周部分31の内縁から外周部分31と重なるように径方向外側に折れ曲がった下層部分481と、下層部分481の外周部分31とは反対側の端部から下層部分481と重なるように径方向内側に折れ曲がった上層部分482とを備えており、かかる上層部分482に第1凹部40xの底板部400xが繋がっている。従って、接続部分48x(第1接続部分46xおよび第2接続部分47x)に対して第1凹部40xとは反対側には、ケース内側に向けて凹んだ第2凹部42xが形成されており、かかる第2凹部42xは、薄板部分30の外周部分31に相当する。第2凹部42xも、接続部分48xと同様、第1凹部40xに沿って環状に延在している。
【0072】
接続部分48x(第1接続部分46xおよび第2接続部分47x)において、板部3のケース外側の面に重なる部分は、板部3のケース外側の面から離間している。すなわち、接続部分48xにおいて、外周部分31と下層部分481とは離間しており、外周部分31と下層部分481との間には環状の隙間35xが空いている。
【0073】
このように構成した蓋2において、第1凹部40xの底板部400xの中央または略中央には、安全弁4xを構成する破断用溝部45xが形成されている。本形態において、破断用溝部45xは、第1凹部40xの中央または略中央で交差する2本の溝451、452からなり、かかる溝451、452は、第1凹部40xの底板部400xのケース外面側(面2aの側)に形成されている。本形態において、2本の溝451、452は直交している。破断用溝部45xは、断面が台形形状または略V字形状であり、溝底部450xは、設定される破断荷重に応じて所定の肉厚に設定されている。破断用溝部45xの断面を台形形状にすれば、溝底部450xにおいて厚さの測定を行うことができる。本形態において、溝底部450xの厚さは0.03mm〜0.08mm程度である。かかる破断用溝部45xは、後述するように、電池ケース1xの内部圧力が過剰に上昇したときに開裂し、内部圧力を電池ケース1xの外部に逃がす安全弁4xとして機能する。
【0074】
また、本形態では、第1凹部40xの底板部400xのケース外面側(面2aの側)において2本の溝451、452によって区画された4つの領域401、402、403、404の中央には、プレス加工によりケース内側に向けて凹ませた円形の凹部405が形成されている。
【0075】
かかる構成の蓋2は、
図6を参照して説明した延し成形工程や溝部成形工程等に加えて、凹部405を形成するためのプレス加工を単独、あるいは他の工程と同時に行うことにより製造することができる。
【0076】
(安全弁4x等の機能)
図11は、本発明の実施の形態2に係る電池ケース1xにおいて内部圧力の上昇に伴う安全弁4xの形状変化を示す説明図であり、
図4(a)、(b)は各々、内部圧力が上昇したときの安全弁4xの説明図、および内部圧力がさらに上昇したときの安全弁4xの説明図である。
【0077】
本形態の電池ケース1xを用いた二次電池においては、充電と放電の繰り返しに伴って内部圧力が変動する。より具体的には、二次電池の場合、充電時に発熱するため、二次電池の温度が上昇して内部圧力が上昇する一方、放電時には、かかる発熱が発生しないため、二次電池の温度が低下し、内部圧力が低下する。なお、環境温度の変化に伴って内部圧力が変動することもある。
【0078】
このような内部圧力の上昇があった際、蓋2は、
図10に示す状態から
図11(a)に示す状態のように、薄板部分30全体がケース外側に変位するとともに、第1凹部40xの底板部400xがケース外側に向けて変形する。その際、接続部分48xを構成する折り重ね部分も変形する。そして、充電が停止して内部圧力が低下すると、蓋2は、薄板部分30全体がケース内側に変位するとともに、第1凹部40xの底部もケース内側に変形し、
図11(a)に示す状態から
図10に示す状態に戻る。
【0079】
これに対して、内部圧力が上昇して、
図10に示す状態から
図11(a)に示すように、蓋2の薄板部分30全体がケース外側に変位するとともに、第1凹部40xの底板部400xがケース外側に変形した後も、内部圧力がさらに上昇すると、蓋2は、
図11(a)に示す状態から
図11(b)に示す状態のように、薄板部分30全体がさらにケース外側に変位するとともに、第1凹部40xの底板部400xがケース外側に膨らむように変形する。また、接続部分48xを構成する折り重ね部分も変形する。そして、内部圧力が設定値を超えた時点で、破断用溝部45は、開裂する。従って、内部圧力を電池ケース1xの外部に逃がすことができる。本形態では、内部圧力が1.1MPa(設定値)を超えた時点で、破断用溝部45が開裂するように、溝底部450xの厚さ等を設定してある。
【0080】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の電池ケース1xの蓋2では、板部3をケース内側に向けて湾曲した形状に凹ませた第1凹部40xが形成され、第1凹部40xの底板部400xの中央または略中央に安全弁4x用の破断用溝部45xが形成されている。このため、充電と放電の繰り返し等に伴って内部圧力が変動した場合でも、かかる内部圧力の変化は、第1凹部40xの底板部400xがケース外側およびケース内側に変形することによって吸収される。このため、破断用溝部45xには、過大な圧縮応力や過大な引張応力が加わらないので、破断用溝部45に疲労が発生しにくい。従って、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき以外は、破断用溝部45xが開裂しない。それ故、安全弁4xの作動圧力の安定化を図ることができる。
【0081】
また、変形しやすい第1凹部40xの底板部400xの中央または略中央に破断用溝部45xを形成したため、底板部400xがケース外側に膨らむ際、破断用溝部45xには、まず、圧縮応力が加わった後、引張応力が加わって破断用溝部45xが開裂する。このため、破断用溝部45xでは、溝底部450xの厚さがある程度、厚くても確実に開裂する。従って、破断用溝部45xの強度を高めることができるので、二次電池の組み立て作業中に破断用溝部45xが開裂するという事態が発生しにくい。それ故、電池ケース1xの取り扱いが容易である。また、第1凹部40xの底板部400xの変形と、破断用溝部45xの開裂という2段階の圧力を受ける構成であるため、破断用溝部45xの溝底部450xの厚さや形状、第1凹部40xの底板部400xの形状等、作動圧を設定するパラメータが多いので、作動圧を任意のレベルに設定することができる。
【0082】
また、本形態では、蓋2を構成する板部3に薄板部分30を形成し、薄板部分30に安全弁4xを設けたため、必要以上に安全弁4xがケース外側に突出することがない。このため、蓋2の取り付け作業等の際、安全弁4xを損傷させるおそれが小さいという利点がある。また、本形態において、接続部分48x(第1接続部分46xおよび第2接続部分47x)は、板部3からケース外側に向けて突出した位置にあるため、ケース内側に向けて凹む第1凹部40xを形成した場合でも、第1凹部40xの底板部400xが板部3のケース内側の面から突出しない構造になるか、あるいはわずかに突出した構造で済む等、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0083】
さらに、本形態では、第1凹部40xが円形に形成されており、破断用溝部45xは、第1凹部40xの底板部400xの中央または略中央で交差する2本の溝451、452からなる。このため、内部圧力が充電時や環境温度の上昇等の通常の圧力上昇を超えるようなレベルに達したとき、破断用溝部45xが確実に開裂する。
【0084】
また、2本の溝451、452は、直角に交差しているため、第1凹部40xの底板部400xの2本の溝451、452で仕切られた4つの部分401、402、403、404は同等の強度を有する。従って、内部圧力が上昇した際、4つの部分401、402、403、404は、同様に変形するため、破断用溝部45xが不用意に開裂しない。さらに、4つの部分401、402、403、404には凹部405が形成されており、凹部405は、4つの部分401、402、403、404を補強している。従って、4つの部分401、402、403、404は、十分な強度を有するため、破断用溝部45xが不用意に開裂しない。
【0085】
(実施の形態2の変形例)
上記実施の形態2では、第1凹部40xの底板部400xがケース内側に緩く湾曲していたが、第1凹部40xの底板部400xが平面部になっている構成を採用してもよい。
【0086】
上記実施の形態2では、電池ケース1xの蓋2に安全弁4xを形成したが、ケース本体10の側に安全弁を形成してもよい。
【0087】
上記実施の形態2では、第1凹部40xを平面視で真円形状に形成したが、平面視で長円形状等となるように第1凹部40xを形成してもよい。