特許第6123044号(P6123044)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6123044
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
【請求項の数】3
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2016-127014(P2016-127014)
(22)【出願日】2016年6月27日
【審査請求日】2016年6月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501016847
【氏名又は名称】KPE株式会社
(72)【発明者】
【氏名】堤 雄大
【審査官】 安藤 達哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−042996(JP,A)
【文献】 特開2010−268859(JP,A)
【文献】 特開2016−059691(JP,A)
【文献】 特開2014−061158(JP,A)
【文献】 特開2015−217077(JP,A)
【文献】 特開2015−077296(JP,A)
【文献】 特開2015−104445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1遊技状態における所定条件の成立に基づいて、第1カウンタを進行させるカウンタ進行手段と、
前記第1カウンタが所定のカウント値に到達したことに基づいて、第1抽選を実行する第2遊技状態に移行させる第1移行手段と、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、第2抽選を実行する第3遊技状態に移行させる第2移行手段と、
前記第3遊技状態における前記第2抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態よりも有利な第4遊技状態に移行させる第3移行手段と
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態から前記第2遊技状態を経て前記第3遊技状態へ移行する難易度を低減させるよう制御する移行難易度調整手段
を備え、
前記移行難易度調整手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として、
前記第3遊技状態へ移行させることを決定した場合に初期化し、前記第3遊技状態へ移行させないことを決定した場合に進行させる第2カウンタをさらに備え、
前記カウンタ進行手段は、
前記第1遊技状態において、前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第1カウンタに対して加算値が加算される確率の増加に係る制御、又は前記第1カウンタに対して加算される加算値の増加に係る制御のうち、少なくとも一方が実行され易くなるよう制御する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第2移行手段は、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第3遊技状態、又は前記第3遊技状態よりも高確率で前記第4遊技状態に移行させる抽選結果を導出する第5遊技状態に移行させ、
前記移行難易度調整手段は、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態又は前記第5遊技状態の何れにも移行させないことを決定した場合に前記第2カウンタを進行させるとともに、
前記第3遊技状態又は前記第5遊技状態の何れかへ移行させることを決定した場合に前記第2カウンタを初期化し
前記第2遊技状態において、前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を一定に保ちつつ、前記第3遊技状態へ移行させることを決定す
る抽選確率を上昇させるよう制御する
ことを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2移行手段は、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第3遊技状態、又は前記第3遊技状態よりも高確率で前記第4遊技状態に移行させる抽選結果を導出する第5遊技状態に移行させ、
前記移行難易度調整手段は、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させないことを決定した場合に前記第2カウンタを進行させ、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させないことを決定した場合に第3カウンタを進行させるとともに、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させることを決定した場合に、前記第2カウンタ及び前記第3カウンタを初期化し、
前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定した場合に、前記第3カウンタのみを初期化し
前記第2遊技状態において、
前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を上昇させ、
前記第3カウンタの進行度が高いほど、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を上昇させるよう制御する
ことを特徴とする請求項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンやパチンコ機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、メダルをベットした状態でスタートレバーを操作することで複数の役から当選する役を決定する内部抽選を行うとともに複数のリールが回転を開始させ、ストップボタンを操作することで複数のリールを停止させて内部抽選で当選を決定した役が入賞した場合に、入賞した役に対する配当としてのメダルが支払われるスロットマシンが知られている。
【0003】
現在提供されているスロットマシンの多くは、例えば、内部抽選の結果として特定の当選状態となった場合において小役を確実に入賞させることができる操作手順を報知する期間であるアシストタイムや、アシストタイム中にアシストタイムの残り期間を増加させることが可能な上乗せ特化ゾーンといったような、通常の遊技状態よりも有利な複数の状態を有しており、このような有利な状態が繰り返し発生または継続することで、より多くのメダルを獲得できるような遊技性を備えている。
【0004】
一般的に、アシストタイムや上乗せ特化ゾーンといった状態に移行するか否かは、内部抽選の結果に基づいた抽選により決定される。さらに、その抽選の確率が通常よりも高確率となる複数回のゲームによって構成される、いわゆるチャンスゾーンと称される特別なゲーム期間が備えられている。
【0005】
このように、チャンスゾーンの存在により、スロットマシンを遊技する上での最大の見せ場であるアシストタイムや上乗せ特化ゾーンに移行するか否かについての遊技者の期待感はさらに高められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−063943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、チャンスゾーンにおける抽選が通常の確率よりも高確率であるとはいえ、抽選である以上は、アシストタイムや上乗せ特化ゾーンに移行しないことが決定されることは避けられない。このため、複数回のチャンスゾーンの結果として、アシストタイムや上乗せ特化ゾーンへ移行しないことが連続的に決定された場合における遊技者の遊技継続意欲の低下は計り知れない。
【0008】
本発明は上述した問題に鑑みてなされたものであり、遊技者の遊技意欲の低下を抑制することが可能な特別なゲーム期間を備えた遊技機を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するために本発明が採用する手段を以下に説明する。なお、本発明の理解を容易にするために以下では図面の参照符号等を便宜的に括弧書で付記するが、本発明を表示の形態に限定する趣旨ではない。
【0010】
本発明の遊技機は、第1遊技状態(CZ移行抽選待機状態)における所定条件の成立に基づいて、第1カウンタ(CZ移行抽選ポイント)を進行させるカウンタ進行手段と、前記第1カウンタが所定のカウント値(30)に到達したことに基づいて、第1抽選(CZ移行抽選)を実行する第2遊技状態(CZ移行抽選状態)に移行させる第1移行手段と、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、第2抽選(ART移行抽選)を実行する第3遊技状態(CZ状態)に移行させる第2移行手段と、 前記第3遊技状態における前記第2抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態よりも有利な第4遊技状態(ART状態)に移行させる第3移行手段と を備え、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態から前記第2遊技状態を経て前記第3遊技状態へ移行する難易度を低減させるよう制御する移行難易度調整手段とを備え、前記移行難易度調整手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として、前記第3遊技状態へ移行させることを決定した場合に初期化し、前記第3遊技状態へ移行させないことを決定した場合に進行させる第2カウンタをさらに備え、前記カウンタ進行手段は、前記第1遊技状態において、前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第1カウンタに対して加算値が加算される確率の増加に係る制御、又は前記第1カウンタに対して加算される加算値の増加に係る制御のうち、少なくとも一方が実行され易くなるよう制御する。
【0011】
本発明の好適な態様の遊技機における前記第2移行手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第3遊技状態、又は前記第3遊技状態よりも高確率で前記第4遊技状態に移行させる抽選結果を導出する第5遊技状態に移行させ、前記移行難易度調整手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態又は前記第5遊技状態の何れにも移行させないことを決定した場合に前記第2カウンタを進行させるとともに、前記第3遊技状態又は前記第5遊技状態の何れかへ移行させることを決定した場合に前記第2カウンタを初期化し、前記第2遊技状態において、前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を一定に保ちつつ、前記第3遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を上昇させるよう制御してもよい。
【0012】
本発明の好適な態様の遊技機における前記第2移行手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第3遊技状態、又は前記第3遊技状態よりも高確率で前記第4遊技状態に移行させる抽選結果を導出する第5遊技状態に移行させ、前記移行難易度調整手段は、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させないことを決定した場合に前記第2カウンタを進行させ、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させないことを決定した場合に第3カウンタを進行させるとともに、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させることを決定した場合に、前記第2カウンタ及び前記第3カウンタを初期化し、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定した場合に、前記第3カウンタのみを初期化し、前記第2遊技状態において、前記第2カウンタの進行度が高いほど、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第3遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を上昇させ、前記第3カウンタの進行度が高いほど、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果として前記第5遊技状態へ移行させることを決定する抽選確率を上昇させるように制御してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遊技者の遊技意欲の低下を抑制することが可能な特別なゲーム期間を備えた遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。
図2】(A)リールユニットRL全体の構造を示す説明図、(B)右リールの詳細の構造を示す明図である。
図3】(A)リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図、(B)リール窓20内に表示される図柄の位置と入賞ラインLの関係を示す説明図である。
図4】スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
図5】1回のゲームに係る処理の流れを示すフローチャートである。
図6】内部抽選テーブルの構成を示す説明図である。
図7】リール回転処理におけるウェイト処理に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図8】リール回転処理における基本処理に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図9】リール停止処理で用いられる停止テーブルの構成を示す説明図である。
図10】図柄判定処理で用いられる役構成テーブルの構成を示す説明図である。
図11】AT状態における押し順の報知に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図12】押し順報知テーブルの構成を示す説明図である。
図13】CZ移行抽選ポイントに基づくCZ移行抽選状態への移行に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図14】CZ状態への移行抽選に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図15】CZ移行抽選に利用されるCZ移行抽選テーブルの構成を示す説明図である。
図16】ART状態中の処理の流れを示すフローチャートである。
図17】ARTゲームの残りゲーム数の加算に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図18】上乗せ抽選処理に利用される上乗せ抽選テーブルの構成を示す説明図である。
図19】CZ移行抽選ポイント抽選に利用されるCZ移行抽選ポイント抽選テーブルの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1の実施形態>
<1.用語の定義>
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
【0021】
「可変表示装置」とは、複数の図柄で構成された表示列を備え、表示列の図柄を可変表示させる表示装置のことをいう。表示列がリールで構成される場合には、リールの回転動作によりリール上に配置された図柄を可変表示させる。表示列が液晶表示器等による表示画像で構成される場合には、表示画像の内容を変化させることで表示画像としての図柄を可変表示させる。
【0022】
「リール窓」とは、可変表示装置の備える表示列を構成する複数の図柄の一部を遊技者に視認可能とするものをいう。
【0023】
「停止図柄」とは、可変表示装置により表示列の図柄の可変表示を停止した場合において、表示列を構成する複数の図柄のうち、リール窓を通して遊技者に視認可能となった図柄のことをいう。リール窓内に図柄が停止することを「停止表示」という。
【0024】
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
【0025】
「ベット」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定することをいう。ベットされた遊技媒体はゲームの開始とともに消費される。ゲームを開始するために設定された遊技媒体の数のことのことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ゲームを開始するために必要な遊技媒体を設定するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
【0026】
「スタートレバー」とは、ゲームの開始を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
【0027】
「ゲーム」とは、スタートレバーの操作を契機として可変表示装置が備える表示列の図柄の可変表示を開始したときから、表示列の図柄の可変表示が停止して入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1ゲーム」、「1回のゲーム」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。
【0028】
「ストップボタン」とは、可変表示装置が備える表示列の図柄の可変表示の停止を指示するために遊技者が操作するための装置のことをいう。
【0029】
「内部抽選」とは、ゲームの開始を契機として、予め定められた複数の役から1以上の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定することをいう。
【0030】
「役」とは、所定の特典に対応付けられた図柄組合せパターンのことをいう。役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示した場合に、役に対応する特典が付与される(本明細書では、例えば入賞ライン上に、表示列の左から右にかけて図柄「X」、図柄「Y」、図柄「Z」が停止表示した場合に所定の特典を付与するような役を、「X−Y−Z」役と称する場合がある)。役の「当選」とは、内部抽選の結果として、役の入賞が許容される状態になることをいう。役の「入賞」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。役は、特典の種別に応じてボーナス役、小役、再遊技役に大別される。小役は、入賞に応じてメダルが払出される役である。再遊技役は、入賞に応じて再遊技が付与される役であって、入賞に応じて追加のベットなしに再度のゲームの開始が可能となる。ボーナス役は、入賞に応じてボーナスゲームが作動する役であって、入賞に応じてメダルの払出しに関して有利な状態に移行する。
【0031】
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。
【0032】
「停止テーブル」とは、ストップボタンが操作された場合に、ストップボタンが操作されたタイミングに応じてリール上の図柄をどのように停止表示させるかを定義したテーブルのことをいい、リールの停止制御に利用される。
【0033】
「役構成テーブル」とは、役に対応する図柄組合せと特典が定義されたテーブルのことをいい、入賞の判定処理以降の処理に利用される。
【0034】
「ボーナスゲーム」とは、ボーナス役の入賞に応じて移行する遊技状態であって、ボーナスゲームが作動中の遊技状態は、ボーナスゲームが作動していない遊技状態と比較して、メダルの払出しに関して有利な状態である。ボーナスゲームは、遊技規則上における「普通役物」、「第一種特別役物」、「第一種特別役物に係る役物連続作動装置」、「第二種特別役物」、「第二種特別役物に係る役物連続作動装置」等によって実現される。
【0035】
「AT」(アシストタイム)及び「ART」(アシストリプレイタイム)とは、小役を確実に入賞させるためのストップボタンの操作方法(押し順又は操作タイミング)が遊技者に報知される遊技状態のことである。報知された通りに遊技者がストップボタンを操作することで小役が入賞し、より多くのメダルを獲得することができる。通常遊技状態と比較して、再遊技役の当選確率が一定のものを「AT」といい、再遊技役の当選確率が高確率に変動するものを「ART」という。
【0036】
「CZ」(チャンスゾーン)とは、AT状態(ART状態)に移行させるか否かを抽選により決定するための1回以上のゲームで構成される区間である。CZ状態では、通常遊技状態における抽選よりも高確率でAT状態(ART状態)への移行が決定される。
【0037】
「押し順」とは、ストップボタンの操作順序のことをいい、「順押し」とは、左、中、右の順序、「ハサミ押し」とは、左、右、中の順序、「逆押し」とは、右、中、左の順序でストップボタンを操作することをいう。「順押し」又は「ハサミ押し」以外の押し順のことを「変則押し順」という。
【0038】
「設定値」とは、スロットマシンにおける、ベットされるメダル枚数に対する支払われるメダル枚数の割合である払出率を示す値であり、予め定められた複数種類の設定値から、任意の設定値をスロットマシンに設定することができる。複数種類の設定値のそれぞれは、内部抽選による役の抽選確率に関連付けられている。
【0039】
以下に、本発明に係る遊技機を、実施形態としてスロットマシンを例に説明する。
【0040】
<2.遊技機の構成>
(1)全体構成
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の概観を示す斜視図である。スロットマシン1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類を配置した操作部OP、リールユニットRLが備える各リールR1〜R3の図柄を視認するリール窓20や遊技の進行に係る情報を表示するための表示器類を配置したパネル表示部DP、遊技の進行に係る情報を表示するための液晶表示器類や電飾装置を配置した演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
【0041】
操作部OPには、操作部OPの上面右側にメダル投入口10を配置し、上面左側にベットボタン11が配置されている。メダル投入口10へのメダルの投入、またはベットボタン11を操作することにより、スロットマシン1に対してベットすることができる。ベットボタン11の下部位置の前面側には、リールユニットRLの各リールR1〜R3の回転の開始を指示するためのスタートレバー12を配置し、その右側には左リールR1の回転の停止を指示するための左ストップボタン13a、中リールR2の回転の停止を指示するための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転の停止を指示するための右ストップボタン13cを配置し、遊技を進行させるための基本操作順序となる、ベットボタン11→スタートレバー12→左ストップボタン13a→中ストップボタン13b→右ストップボタン13cという、一連の流れの操作を行い易いようになっている。
【0042】
スタートレバー12の左側には、貯留装置(RAM105におけるメダルのクレジット数の記憶領域のこと)に記憶されたクレジットを精算してメダル受皿40にメダルを払い出す精算ボタン14を配置する。この精算ボタン14は遊技をやめる場合に使用し、操作の頻度が低いことや遊技中に誤って操作しないよう、上記一連の操作の流れから外れる位置に配置してある。さらに操作部OPには、メダル貸機がスロットマシン1に接続されている場合に使用する貸出ボタン15、メダル貸機に挿入されたプリペイカードや現金を返却する返却ボタン16及びメダル貸機の貸出可能な度数表示が行われる度数表示器17が設けてある。なお、このように、スロットマシン1にメダル貸機が接続されている場合には、スロットマシン1のこれらの貸出ボタン15、返却ボタン16の操作によるメダル貸機の作動及び度数表示器17による度数表示は、メダル貸機の制御によって行われる。
【0043】
パネル表示部DPには、1つのリールにつき3個の連続した図柄が目視でき、3つのリールで9個分の図柄をのぞむ透明アクリル板からなるリール窓20を設け、さらにリール窓20上には水平の入賞ラインLを有する。このリール窓20の左側には、入賞ラインLに対応した入賞ライン表示器21を設け、メダルを3枚投入すると入賞ラインLに対応した入賞ライン表示器21が点灯するようになっている。なお、入賞ラインLとは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せを遊技者に分かりやすく表現したリール窓20上の表示のことであるが、本明細書では、「入賞ラインL」と役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せ(「入賞ライン」)を同義に扱う場合がある。
【0044】
また、遊技の結果、入賞ラインL上に役に対応する図柄の組み合わせが成立した場合には役の入賞となり、入賞ラインLに対応した入賞ライン表示器21が点滅表示し、遊技者に知らせるようになっている。また、リール窓20の右側には、役が入賞した場合に点灯する表示器や遊技状態に応じて点灯するLEDなどの複数のLEDが配置された遊技ガイド表示器22が設けられている。さらにリール窓20の下側には、貯留装置に蓄えられたクレジット数を表示するクレジット数表示器23a、特定の遊技状態におけるメダルの獲得枚数の表示を行う獲得枚数表示器23b、及び役が入賞した場合に付与された配当数を表示する配当数表示器23cから構成される遊技価値情報表示部23を有している。
【0045】
演出表示部TPには、遊技の進行状態を画像で表示する液晶表示装置30、遊技の進行状態に応じて色彩や点灯パターンを変化させて表示させる電飾LED31及び遊技の進行状態に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が配置されている。
【0046】
受皿部BPには、メダル払出装置が駆動されてメダル払出口40aから排出されたメダルを貯めるメダル受皿40を設け、メダル受皿40の左側には灰皿を設けてある。
【0047】
(2)リールユニットの構成
図2は、スロットマシン1のリールユニットRLの構造を示す説明図である。図2(A)は、リールユニットRL全体の構造を示し、図2(B)は、右リールの詳細の構造を示す。
【0048】
リールR1〜R3は、透明なABS樹脂等からなり、軸部から放射線状に延びた複数のスポーク部と環状の枠からなるリール枠56a〜56cと、そのリール枠56a〜56cの周面に貼り付けられている21個の各種の図柄(図柄番号PN:1〜21)が印刷されたリール帯58a〜58cから構成される。リールR1〜R3は、ステッピングモータ54a〜54cに固定され回転動作するようになっている。リールR1〜R3の回転動作には、504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用し、所定のパルスを供給することで所定の図柄をリール窓20に表示させることができる。さらにLED(図示せず)を設置したバックライト装置53a〜53cを設け、リール帯58a〜58cの内側から光を照射できるようになっている。このように、リール帯58a〜58cの内側からバックライト装置53a〜53cによって光を照射することで、遊技者にリール帯58a〜58c上の図柄を目立たせることができる。
【0049】
またスポーク部の一つに検知板57a〜57cを取り付け、リール位置検出センサ55a〜55cによって、リールR1〜R3が1回転するごとに1パルスのリール位置検出信号155a〜155cを出力できるようになっている。このリール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL上に位置するように検知板57a〜57cとリール帯58a〜58cとの位置が設定してある。
【0050】
リールユニットRLにおいて、リールR1〜R3、リールR1〜R3が固定されたステッピングモータ54a〜54c、バックライト装置53a〜53c及びリール位置検出センサ55a〜55cを、それぞれベース板52a〜52cに固定することで一つのユニット構成としている。また、リールユニットRLは、ベース板52a〜52cをリールユニットRLのケース体50に設けられたガイドレール51a〜51cに沿って挿入してケース体50内に収容するようになっている。
【0051】
図3(A)は、リール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには21個の図柄を等間隔で配置して印刷されている。504ステップのパルスを供給することで1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、21個の図柄を配置すると図柄の間隔は24ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓の中央の入賞ラインL上に位置するようにしたから、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから36ステップ進めれば図柄番号PN=2が入賞ラインL上に位置し、60ステップ進めれば図柄番号PN=3が入賞ラインL上に位置し、492ステップ進めれば図柄番号PN=21が入賞ラインL上に位置することになる。492ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これにより、リール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により所定の図柄を入賞ラインL上に位置させることができる。
【0052】
図3(B)は、スロットマシン1の入賞ラインLを示す説明図である。スロットマシン1は1つの入賞ラインLを備えている。入賞ラインLは、リール窓20内における各リールの中段の図柄位置により形成される。スロットマシン1は、入賞ラインL上に役に対応する図柄組合せが停止表示したと判定された場合に、役が入賞したと判定される。
【0053】
(3)設定変更装置の構成
図示は省略するが、スロットマシン1の本体2の内部には、設定変更キー受容部と、設定表示器と、設定変更ボタンとを含んで構成される設定変更ユニット70を備えている。設定変更キー受容部は、専用の設定変更キーの挿入を受け付ける受付部である。設定変更キーを設定変更キー受容部に挿入し、所定位置まで回転させた状態でスロットマシン1の電源を投入することで、スロットマシン1は設定変更モードとして起動する。
【0054】
設定変更モードでは、スロットマシン1に設定されている現在の設定値が設定表示器に表示される。このとき、設定変更ボタンが押下されると、1〜6の範囲で循環的に設定値が1つずつ変化する。スタートレバー12が操作されると、そのときに設定表示器に表示されている設定値が、スロットマシン1に設定される設定値として確定される。
【0055】
設定変更モードにおいて確定された設定値は、スロットマシン1の電源を再投入することで有効化される。このような手順により、予め定められたスロットマシン1の払出率に係る複数種類の設定を、選択的に利用することができる。
【0056】
<3.スロットマシンの電気的構成>
図4は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。スロットマシン1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、液晶表示器に対して表示制御を行い画像表示する表示制御基板100B、パネル表示部DP又は演出表示部TPのLED類や音の演出の制御を行う電飾制御基板100Cを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(central processing unit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read−only memory)104、RAM(random−access memory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105を備えなくてもよい。
【0057】
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生されられたINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、フラグ類やカウンタ類などの各種の遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取り、各種モータ、LEDを駆動する。
【0058】
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたベットボタン11、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14ボタンが遊技者に操作されたことに応じて出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力されることで検知される。
【0059】
表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cのそれぞれは、リールユニットRLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に入力される。リール駆動信号154a〜154cのそれぞれは、リールユニットRLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
【0060】
メダル投入信号160は、メダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダル投入センサが、投入されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162は、メダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダル払出センサが、メダル払出装置により払い出されたメダルを検出した場合に出力される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
【0061】
設定信号170は、設定変更ユニット70を構成する設定変更キー受容部が、専用の設定変更キーの挿入を受け付けて所定位置まで回転された状態であることを検出した場合に出力される設定変更キーON情報と、設定変更ユニット70を構成する設定変更ボタンが押下されたことを検出した場合に出力される設定変更ボタン押下情報とを含んだ信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に入力される。また、設定信号170は、設定変更ユニット70を構成する設定表示器に設定値を表示するための表示信号を含み、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
【0062】
CPU101は、データ送出回路106を介して表示制御基板100B及び電飾制御基板100Cへ各種コマンドを出力する。電飾制御基板100Cは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信し、入賞ライン表示器21、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御、リールユニットRLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する。
【0063】
表示制御基板100Bは、CPU(central processing unit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read−only memory)194、RAM(random−access memory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路b193で発生されられたINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号のタイミングは、例えば、2ミリ秒とする。CPU191のストローブ信号は、プログラムの実行に応じて、フラグ類やカウンタ類などの各種の遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
【0064】
<4.ゲーム基本処理>
スロットマシン1における1回のゲームに係る処理の流れを、図5を用いて説明する。
【0065】
<4−1.処理の流れ>
(1)メダル受付処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダル受皿40に返却する(Sa501)。
【0066】
具体的には、ベット数が3かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、ベット数が3かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動して、投入されたメダルをメダル受皿40に返却する。
【0067】
(2)ベット処理
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、ベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ゲームの開始に必要なベット数を設定する(Sa502)。
【0068】
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が3未満の場合にベットボタン11が操作されると、CPU101は、クレジット数を減算してベット数を加算する。また、再遊技役が入賞した場合には、CPU101は、そのゲームでベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
【0069】
(3)レバー受付処理
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた場合にゲームを開始させる(Sa503)。具体的には、ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が3未満に設定された状態でスタートレバー12が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
【0070】
(4)内部抽選処理
スロットマシン1は、ゲームの開始にともない、予め定められた複数の役から1以上の役の当選または何れの役も当選しないハズレを、抽選により決定する(Sa504)。ベット数が3に設定された状態でスタートレバー12が操作されると、CPU101は、内部抽選処理を実行する。内部抽選処理の詳細については後述する。
【0071】
(5)リール回転処理
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行とともに、リールR上に配置された図柄を可変表示させるためにリールR1〜R3のそれぞれを回転動作させる(Sa505)。具体的には、CPU101は、ステッピングモータ54a〜54cのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、リールR1〜R3のそれぞれを回転させる。リール回転処理の詳細については後述する。
【0072】
(6)リール停止処理
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13が操作されるとリールRの回転動作を停止させる(Sa506)。リールRの回転中にストップボタン13が操作されると、CPU101は、操作されたストップボタン13に対応するリールRが固定されたステッピングモータ54に所定のパルスを供給することで、対応するリールRの回転動作を停止させる。リール停止処理の詳細については後述する。
【0073】
(7)図柄判定処理
スロットマシン1は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せを判定する(Sa507)。リールR1〜R3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。図柄判定処理の詳細については後述する。
【0074】
(8)特典付与処理
スロットマシン1は、図柄判定処理によって役に入賞したと判定された場合に、役に対応する特典を付与する処理を実行する(Sa508)。特典付与処理の詳細については後述する。
【0075】
<4−2.各処理の詳細説明>
上述した1回のゲームに係る各処理の詳細について説明する。
【0076】
(1)内部抽選処理の詳細
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、1もしくは複数の役の当選または何れの役も当選しないハズレを抽選により決定するための処理であり、図6に示す内部抽選テーブルを用いて実行される。内部抽選テーブルでは、1または複数の役と、抽選確率を示す抽選値との対応関係が定義されている。
【0077】
なお、スロットマシン1は、内部抽選処理における再遊技役の当選確率の異なる複数の再遊技確率変動状態(RT状態)の種別に対応する複数種類の内部抽選データから構成された内部抽選テーブルを備えている。
【0078】
CPU101は、スタートレバー12の操作を受け付けると、不図示の乱数発生器から0〜65535の範囲から1つの乱数値を取得する。次に、取得した乱数値を、内部抽選テーブルで定義された複数の抽選値と順次に比較しながら、該当する抽選値を特定する。より具体的には、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値と、内部抽選テーブルにおける1番目の抽選値とを比較する。比較した結果、乱数値が抽選値未満の場合には、1番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。乱数値が抽選値以上の場合には、乱数値と、1番目の抽選値に2番目の抽選値を加算した値とを比較する。比較した結果、乱数値が1番目と2番目の抽選値の合計未満の場合には、2番目の抽選値に対応付けられた役の当選を決定する。
【0079】
このように、乱数値が、1番目からN番目までの抽選値の合計値未満となるまで繰り返したときのN番目の抽選値に対応付けられた役を、当選する役として決定する。例えば、CPU101は、乱数発生器から取得した乱数値が3077である場合、乱数値は1番目の抽選値(300)以上であるので、この値に2番目の抽選値(2500)を加える。乱数値(3077)は、1番目と2番目の抽選値の合計値(2800)以上であるので、これに3番目の抽選値(500)を加算する。乱数値(3077)は、1番目〜3番目の抽選値の合計値(3300)未満であるので、3番目の抽選値(500)に対応付けられた「スイカ1」役の当選を決定する。
【0080】
以上のように、内部抽選処理では、内部抽選テーブルを利用して、乱数発生器から取得した乱数値に該当する抽選値を特定し、特定した抽選値に対応する役の当選を決定する。なお、本明細書では、内部抽選処理の結果として抽選される役のグループ(内部抽選処理の結果として当選が決定され得る1以上の役が属するグループ)を、内部抽選テーブルで定義された複数の抽選値のそれぞれと対応付けて、抽選対象Nの様に称する場合がある。
【0081】
(2)リール回転処理の詳細
スロットマシン1におけるリール回転処理の詳細について説明する。上述したように、スロットマシン1は、ステッピングモータ54にパルスを供給することでリールRを回転動作させる。
【0082】
(2−1)ウェイト処理
スロットマシン1は、リールRの回転動作の開始に先だって、各ゲーム間における最小遊技時間を確保するためのウェイト処理を実行する。リール回転処理におけるウェイト処理に係る処理の流れを、図7を用いて説明する。
【0083】
まず、スロットマシン1は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を経過しているか否かを判断する(Sa701)。具体的には、CPU101は、RAM105に記憶されたインターバルタイマの値が、最小遊技時間を超えているか否かを判断する。スロットマシン1において、最小遊技時間は4.1秒に予め設定されている。CPU101は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていると判断した場合には処理を先に進め(Sa701:YES)、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていないと判断した場合には、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えるまで処理を待機する(Sa701:NO)。これが、スロットマシン1における、各ゲーム間における最小遊技時間を担保するためのウェイト処理である。
【0084】
CPU101は、インターバルタイマの値が最小遊技時間を超えていると判断した場合には、インターバルタイマの値を0にリセットするとともに(Sa702)、インターバルタイマの計時を開始させる(Sa703)。CPU101は、インターバルタイマをリセットして計時を開始させた後に、以降の処理を実行する。
【0085】
以上のように、スロットマシン1では、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー12の操作を受け付けた後に実行されるウェイト処理により、各ゲーム間の間隔が最小遊技時間である4.1秒以上となるよう制御される。
【0086】
リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの間は、リールRは回転動作が継続される。そして、この間にもインターバルタイマは計時される。従って、リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの期間が長いほど、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は短くなり、リールRが回転動作を開始してからストップボタン13が操作されるまでの期間が短いほど、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は長くなる。このように、リールRが回転動作を開始してから、遊技者によりストップボタン13が操作されるまでの期間に応じて、次回のゲームにおけるウェイト処理での待機時間は変化する。
【0087】
(2−2)基本処理
スロットマシン1は、上述したウェイト処理の後に、ステッピングモータ54にパルスを供給することでリールRを回転動作させる。メイン制御基板100A(CPU101)は、各リールRに供給したパルスのステップ数をそれぞれRAM105に保持しており、各リールRにパルスを供給するたびにステップ数をそれぞれ加算して更新する。また、CPU101は、リール位置検出センサ55から出力されるリール位置検出信号155が入力されると、対応するリールRについてのステップ数を0にリセットする。
【0088】
このように、CPU101は、リール位置検出信号155が入力された時点で、リールの回転位置が基準回転位置にあると判断できるので、基準回転位置から供給したステップ数を管理することで、現在のリールの回転位置を常に把握することができる。
【0089】
図8を用いて、スロットマシン1のリール回転処理における基本処理に係る処理の流れを説明する。なお、本処理は、上述したCPU101で実行される割込みプログラム内で実行される処理であり、リールRの回転動作が開始されてから、周期的に発生する割込みのたびに実行される。また、本処理は1つのリールRに対して実行される処理であり、複数のリールRが回転動作している場合は、回転動作する各リールRに対してそれぞれ実行される。
【0090】
リール回転処理において、CPU101は、回転動作の対象であるリールRに対応するステッピングモータ54に対して、パルス(ステッピングモータ駆動信号)を供給する(Sa801)。これにより、リールRが1ステップだけ回転動作する。CPU101は、ステッピングモータ54に対してパルスを供給したことに応じて、ステップ数に1を加算する(Sa802)。これにより、CPU101は、ステッピングモータ54に供給した累積のパルス数を把握することができる。
【0091】
次に、CPU101は、リール位置検出信号155が入力されているか否かを判定する(Sa803)。リール位置検出信号155が入力されていない場合は(Sa803:NO)、現在のステップ数が504を超えているか否かを判定する(Sa804)。現在のステップ数が504を超えていない場合は、そのまま処理を終了する(Sa804:NO)。
【0092】
一方で、リール位置検出信号155が入力されている場合は(Sa803:YES)、現在のステップ数が504より少ないか否かを判定する(Sa805)。現在のステップ数が504より少なくない場合は(Sa805:NO)、ステップ数を0にリセットする(Sa806)。これにより、CPU101は、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点からステッピングモータ54に供給した累積のパルス数を把握することができる。
【0093】
これに対して、現在のステップ数が504より少ない場合には(Sa805:YES)、CPU101は、リールRの回転動作が異常状態にあると判断し、所定のエラー処理を実行する(Sa807)。これは、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点から1周分を回転動作させるために必要な504パルスをステッピングモータ54に供給するよりも前に、リールRの回転位置が基準回転位置に到達してしまったことを意味する。つまり、何らかの理由によりリールが脱調してしまい、CPU101が把握しているリールRの回転位置と、実際のリールRの回転位置とのズレが発生していることを意味する。
【0094】
また、現在のステップ数が504を超えているか否かを判定した際に(Sa804)、現在のステップ数が504を超えている場合(Sa804:YES)も、CPU101は、リールRの回転動作が異常状態にあると判断し、所定のエラー処理を実行する(Sa807)。これは、リールRの回転位置が基準回転位置に到達した時点から1周分を回転動作させるために必要な504パルスよりも多くのパルスをステッピングモータ54に供給しているにも関わらず、リールRの回転位置が基準回転位置に到達していないことを意味する。つまり、上述したケースと同様に、何らかの理由によりリールが脱調してしまい、CPU101が把握しているリールRの回転位置と、実際のリールRの回転位置とのズレが発生していることを意味する。
【0095】
このように、スロットマシン1のリール回転処理において、CPU101は、現在のリールの回転位置を常に把握しながら、リールRの回転動作を制御している。また、リールRが脱調したことを正確に把握することができる。
【0096】
(3)リール停止処理の詳細
スロットマシン1におけるリール停止処理の詳細について説明する。
【0097】
図9は、スロットマシン1におけるリール停止処理で用いられる停止テーブルの構成を示している。この停止テーブルは、内部抽選処理により「スイカ1」役の当選が決定している場合において、ストップボタン13が順押し(左リールR1に対応するストップボタン13a、中リールR2に対応するストップボタン13b、右リールR3に対応するストップボタン13cの順番で操作されること)された場合に用いられる停止テーブルを示している。
【0098】
「図柄番号PN」はストップボタン13が操作されたタイミングで入賞ラインL上に位置する図柄の図柄番号、「滑りコマ数」は当該タイミングでストップボタン13が操作された場合に、リールRが停止するまでにリールRを回転移動させる移動量を図柄数で示したものである。例えば、CPU101は、左リールR1が回転中に、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作されると、図柄番号PN=17に対応する滑りコマ数は「0」なので、図柄番号PN=17の「スイカ」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで、左リールR1を停止させる。
【0099】
スロットマシン1は、リールRの回転中にストップボタン13の操作を受け付けると、リールRの回転を停止させる。より具体的には、CPU101は、リールRの回転中にストップボタン13a〜13cのいずれかの操作を受け付けると、操作を受け付けたストップボタン13に対応するリールRを停止させる制御を実行する。これを、リールR1〜R3の全てが停止するまで繰り返す。このとき、CPU101は、ストップボタン13に対する操作がなされた時点から、最大4図柄分のリールの回転量の範囲内において、対応するリールRを停止させる。また、CPU101は、内部抽選処理により何らかの役の当選が決定されている場合には、当選した役に係る図柄を入賞ラインL上に引き込むように、リールRを停止させる。
【0100】
例えば、CPU101は、リールR1〜R3が回転中であって、内部抽選処理により「スイカ1」役の当選が決定している状況において、左リールR1における図柄番号PN=15の「プラム」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで左ストップボタン13aが操作された場合、左リールR1を2図柄分だけ回転移動させて図柄番号PN=17の「スイカ」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで、左リールR1を停止させる。
【0101】
次に、CPU101は、中リールR2における図柄番号PN=7の「チェリー」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで中ストップボタン13bが操作された場合、中リールR2を4図柄分だけ回転移動させて図柄番号PN=11の「スイカ」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで、中リールR2を停止させる。
【0102】
次に、CPU101は、右リールR3における図柄番号PN=7の「ベル」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合、右リールR3を2図柄分だけ回転移動させて図柄番号PN=9の「チェリー」図柄が入賞ラインL上に位置するタイミングで、右リールR3を停止させる。リールR1〜R3の全てが停止した結果、入賞ラインL上には「スイカ」図柄(左リールR1)、「スイカ」図柄(中リールR2)、「チェリー」図柄(右リールR3)、が停止する。
【0103】
内部抽選処理により「スイカ1」役の当選が決定していたにも関わらず右リールR3において入賞ラインL上に「スイカ」図柄を停止させないのは、右リールR3において、右ストップボタン13cが操作されたタイミングである図柄番号PN=7の図柄の位置から4図柄分先の図柄番号PN=11の図柄までの間に、「スイカ」図柄が存在しないためである。このようなタイミングでストップボタン13が操作された場合には、ストップボタン13が操作されたタイミングにおいて入賞ラインL上に位置する図柄から4図柄分先までの範囲内で予め定められた図柄を、入賞ラインL上に停止させる。
【0104】
このように、CPU101は、特定のストップボタン13の操作に対して、ストップボタン13の操作タイミング応じた適切な滑りコマ数を取得するために停止テーブルを用いて、リール停止処理を実行する。なお、図9に示した停止テーブルは、CPU101がリール停止処理を実行するたびに、停止テーブルを構成するための予めROM104に記憶された複数の要素データから、内部抽選処理の結果等に基づいて特定される要素データを適宜に組み合わせた結果としてのデータ構造を示している。
【0105】
このように構成された停止テーブルを用いてリール停止処理を実行することで、ベット数、内部抽選処理の結果、停止済のリールRの停止の状態、及びストップボタン13の操作タイミングに対して常に同一の停止結果を得られることを前提としつつ、許容された引き込み範囲内で、当選している役に係る図柄組合せを入賞ラインL上に成立させるように、かつ当選していない役に係る図柄組合せを入賞ラインL上に成立させないように、リールRを停止させることができる。
【0106】
(4)図柄判定処理の詳細
スロットマシン1における図柄判定処理の詳細について説明する。CPU101は、リールR1〜R3の全てが停止した後に、図柄判定処理を実行する。図10は、スロットマシン1における図柄判定処理で用いられる役構成テーブルの構成を示している。役構成テーブルでは、役ごとに、役に対応する図柄組合せと、役が入賞した場合に付与する配当とが定義されている。「ANY」はいかなる図柄でもよいことを示している。
【0107】
CPU101は、入賞ラインL上に停止した図柄組合せが、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致するか否かを判定する。CPU101は、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれかと一致すると判定した場合は、その図柄組合せに対応する役が入賞したと判定し、役構成テーブルで定義された図柄組合せのいずれにも一致しないと判定した場合には、何れの役にも入賞していないと判定する。
【0108】
(5)特典付与処理の詳細
スロットマシン1における特典付与処理の詳細について説明する。CPU101は、図柄判定処理を実行した後に、特典付与処理を実行する。特典付与処理は、図柄判定処理により入賞が判定された役に応じた特典を付与するための処理であり、図10に示す役構成テーブルを用いて実現される。
【0109】
CPU101は、図柄判定処理により再遊技役に入賞したと判定した場合に、特典付与処理により、自動ベット処理を実行する(図5:Sa508→Sa502)。自動ベット処理では、直前のゲームを開始させるためのベット数と同数のベット数を、RAM105に記憶するベットカウンタに設定する。スロットマシン1においては、再遊技役として「リプレイ1」役、「リプレイ2」役、「リプレイ3」役、及び「リプレイ4」役が該当する。
【0110】
CPU101は、図柄判定処理により再遊技役に入賞していないと判定した場合であって、図柄判定処理により小役に入賞したと判定した場合に、特典付与処理により、入賞した小役に対応する配当で示された枚数のメダルを払出すためにメダル支払処理を実行する。
【0111】
小役とは、配当としてのメダルの支払いが対応付けられた役であり、スロットマシン1においては、「チェリー1」役、「チェリー2」役、「スイカ1」役、「スイカ2」役、「ベル」役、「制御1」役、「制御2」役、「制御3」役、「制御4」役、「制御5」役、「制御6」役、及び「制御7」役が該当し、それぞれ2枚、2枚、3枚、3枚、9枚、1枚、1枚、1枚、1枚、1枚、1枚、及び1枚の配当が対応付けられている。CPU101は、メダル支払処理において、入賞したと判定した役に対応する配当に応じた値を、貯留装置に加算する。CPU101は、貯留装置のクレジット数が、メダル払出装置を駆動して50枚を超えた分の遊技メダルをメダル受皿40に払い出す。
【0112】
<5.ARTゲーム>
(1)AT状態
スロットマシン1は、通常の遊技状態である通常遊技状態と、通常遊技状態と比較して遊技者にとって有利な遊技状態であるAT状態とを備える。スロットマシン1は、所定の開始条件が成立したことを契機として、遊技状態を通常遊技状態からAT状態に移行させ、所定の終了条件が成立したことを契機として、遊技状態をAT状態から通常遊技状態に移行させる。このように、スロットマシン1は、通常遊技状態とAT状態との間で遊技状態を切り替えながら遊技を進行させる。
【0113】
スロットマシン1におけるAT状態は、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象として抽選対象6〜8が抽選された場合に、各抽選対象に属する配当の異なる複数の小役のうち、最も配当の高い小役である「ベル」役を入賞させるためのストップボタン13の押し順(抽選対象6の場合には第1停止として左ストップボタン13aを操作すること。抽選対象7の場合には第1停止として中ストップボタン13bを操作すること。抽選対象8の場合には第1停止として右ストップボタン13cを操作すること。)を遊技者に報知する遊技状態のことをいう。このとき、報知された押し順以外の押し順でストップボタン13が操作された場合には、最も配当の高い小役である「ベル」役は入賞させずに、ストップボタン13の操作のタイミングに応じて配当の最も低い小役である「制御1」役〜「制御7」役の何れかを入賞させるか、または入賞させないように制御される。
【0114】
また、AT状態では、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象として抽選対象10〜12が抽選された場合に、各抽選対象に属する複数の再遊技役のうち、「リプレイ1」役以外の再遊技役を入賞させるためのストップボタン13の押し順(抽選対象10の場合には第1停止として左ストップボタン13aを操作すること。抽選対象11の場合には第1停止として中ストップボタン13bを操作すること。抽選対象12の場合には第1停止として右ストップボタン13cを操作すること。)を遊技者に報知する。このとき、報知された押し順以外の押し順でストップボタン13が操作された場合には、「リプレイ1」役が入賞するように制御される。
【0115】
一方で、通常遊技状態とは、上述した小役または再遊技役を入賞させるための押し順を遊技者に報知しない状態のことである。
【0116】
(2)RT状態
スロットマシン1は、内部抽選処理における再遊技役の抽選態様の異なる複数の再遊技確率変動状態(RT状態)を備える。再遊技役の抽選態様とは、具体的には内部抽選処理により当選が決定される再遊技役の種類や各再遊技役の当選確率のことであり、RT状態の種別に応じてこれらが変化することをいう。
【0117】
スロットマシン1は、再遊技役の抽選確率が相対的に低いRT0のRT状態と、再遊技役の抽選確率が相対的に高いRT1のRT状態とを備え、複数種類のRT状態の間でRT状態を切り替えながら遊技を進行させる。スロットマシン1は、RT0に予め関連付けられた特定の図柄組合せが停止表示さたことに基づいてRT状態をRT0に移行させ、RT1に予め関連付けられた特定の図柄組合せが停止表示さたことに基づいてRT状態をRT1に移行させる。
【0118】
スロットマシン1では、内部抽選処理の結果として抽選対象6〜8が抽選された場合において、各抽選対象に予め関連付けられた、最も配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順以外の押し順でストップボタン13が操作された場合にリール停止処理により停止表示される図柄組合せが、RT0のRT状態に予め関連付けられている。
【0119】
また、内部抽選処理の結果として抽選対象10〜12が抽選された場合において、各抽選対象に予め関連付けられた特定のストップボタン13の押し順(抽選対象10の場合には第1停止として左ストップボタン13aを操作すること。抽選対象11の場合には第1停止として中ストップボタン13bを操作すること。抽選対象12の場合には第1停止として右ストップボタン13cを操作すること。)でストップボタン13が操作された場合にリール停止処理により停止表示される図柄組合せ(抽選対象10の場合には「リプレイ2」役に対応する図柄組合せ「プラム−プラム−ベル」、抽選対象11の場合には「リプレイ3」役に対応する図柄組合せ「プラム−ベル−プラム」、抽選対象12の場合には「リプレイ4」役に対応する図柄組合せ「ベル−プラム−プラム」)が、RT1のRT状態に予め関連付けられている。このように、スロットマシン1は、上述した通常遊技状態とAT状態とを含んだ遊技状態とは独立して、RT状態を切り替えながら遊技を進行させる。
【0120】
(3)ART状態
スロットマシン1は、遊技状態がAT状態となり、且つ再遊技役の当選確率が相対的に高いRT状態であるRT1のRT状態となった場合に、遊技者にとって最も有利な状態(ART状態)となる。
【0121】
スロットマシン1では、遊技状態がAT状態である場合に、内部抽選処理により抽選対象10〜12が抽選された場合には、リール停止処理によりRT1のRT状態に対応する特定の図柄組合せが停止表示されることが予め関連付けられた特定の押し順を遊技者に報知する。従って、遊技状態がAT状態である場合には、内部抽選処理により抽選対象10〜12が抽選された場合に報知される押し順の通りにストップボタン13を操作することで、リール停止処理により停止表示される図柄組合せに基づいて、RT状態がRT1に移行する。
【0122】
また、スロットマシン1では、遊技状態がAT状態である場合に、内部抽選処理により抽選対象6〜8が抽選された場合には、各抽選対象に予め関連付けられた、最も配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順以外の押し順を遊技者に報知する。従って、遊技状態がAT状態である場合には、内部抽選処理により抽選対象6〜8が抽選された場合に報知される押し順の通りにストップボタン13を操作することで、リール停止処理により停止表示される図柄に基づいて、RT状態がRT0に移行することはない(RT状態がRT1である場合にはRT1のRT状態が維持される)。
【0123】
また、スロットマシン1では、遊技状態が通常遊技状態である場合には、内部抽選処理により抽選対象6〜8が抽選された場合であっても、各抽選対象に予め関連付けられた、最も配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順以外の押し順は遊技者に報知されない。従って、遊技状態が通常遊技状態である場合には、内部抽選処理により抽選対象6〜8が抽選された場合であっても、各抽選対象に予め関連付けられた、最も配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順以外の押し順を遊技者が認識することが出来ないため、結果として最も配当の高い小役を入賞させるためのストップボタン13の押し順以外の押し順が操作されることにより、リール停止処理によりRT0に対応する特定の図柄組合せが停止表示されることにより、RT状態がRT0に移行する。
【0124】
<5−1.押し順報知>
スロットマシン1のAT状態における押し順の報知に係る処理の流れを、図11を用いて説明する。メイン制御基板100A(CPU101)は、内部抽選処理が実行されると、現在の遊技状態がAT状態であるか否かを判定する(Sa1101)。CPU101は、遊技状態がAT状態ではないと判定した場合には、そのまま処理を終了する(Sa1101:NO)。一方で、CPU101は、遊技状態がAT状態であると判定した場合には(Sa1101:YES)、内部抽選処理の結果に基づいて報知内容を特定する処理を実行する(Sa1102)。次に、特定された報知内容に応じた報知の実行を、データ送出回路106を介して表示制御基板100Bに指示する(Sa1103)。図示は省略するが、表示制御基板100B(CPU191)は、メイン制御基板100A(CPU101)から受け付けた報知の実行に係る指示に従って、特定された報知内容を液晶表示装置30に出力させる。
【0125】
報知内容を特定する処理(Sa1102)は、図12に示す押し順報知テーブルを用いて実行される。押し順報知テーブルでは、内部抽選処理による抽選結果と、液晶表示装置30に表示すべき報知内容との対応関係が定義されている。押し順報知テーブルでは、抽選対象6と、第1停止として左ストップボタン13aの操作を促す報知内容、抽選対象7と、第1停止として中ストップボタン13bの操作を促す報知内容、抽選対象8と、第1停止として右ストップボタン13cの操作を促す報知内容、抽選対象10と、第1停止として左ストップボタン13aの操作を促す報知内容、抽選対象11と、第1停止として中ストップボタン13bの操作を促す報知内容、及び抽選対象12と、第1停止として右ストップボタン13cの操作を促す報知内容が、それぞれ対応付けられており、その他の抽選対象には、報知を行わないことが対応付けられている。CPU101は、報知内容を特定する処理において、押し順報知テーブルを参照することで、内部抽選処理による抽選結果に基づいて、液晶表示装置30に出力させるための報知内容を特定する。このように、スロットマシン1は、遊技状態がAT状態である場合において、内部抽選処理の結果に応じた報知内容を遊技者に報知する。
【0126】
<5−2.停止制御>
スロットマシン1における、内部抽選処理の結果としてAT状態での押し順の報知の対象となる抽選対象が抽選された場合のリール停止処理について説明する。
【0127】
(1)払出し数優先
スロットマシン1は、内部抽選処理により当選が決定された役を可能な限り入賞させるようにリール停止処理を実行する。つまり、ストップボタン13が操作された時点から、引き込み可能な範囲内(最大4図柄分のリールの回転量の範囲内)において、当選している役に係る図柄組合せを構成する図柄が存在する場合には、当該図柄を入賞ラインL上に引き込んで停止させる。
【0128】
以下に、図6で示した内部抽選テーブルを用いた内部抽選処理により、抽選対象6が抽選された場合を例にとって説明する。この状態において、CPU101は、当選が役された「ベル」役、「制御1」役、「制御2」役、「制御3」役、「制御4」役、及び「制御5」役のいずれかの役を可能な限り入賞させるようにリール停止処理を実行する。
【0129】
〔第1停止[左]正解時における第1停止[左]操作〕
CPU101は、第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合に、左ストップボタン13aが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、当選役である「ベル」役を構成する「ベル」図柄が存在し、他の当選役である「制御1〜4」役のいずれかを構成する「スイカ」図柄、又は「制御5」役を構成する「プラム」図柄が存在しない場合には、「ベル」図柄を、入賞ラインL上に停止させるように、左リールR1に対するリール停止処理を実行する。
【0130】
一方で、CPU101は、第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合に、左ストップボタン13aが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、当選役である「ベル」役(9枚配当)を構成する「ベル」図柄が存在し、さらに他の当選役である「制御1〜4」役(1枚配当)のいずれかを構成する「スイカ」図柄、又は「制御5」役(1枚配当)を構成する「プラム」図柄が存在する場合においては、配当が最も高い「ベル」役を構成する図柄である「ベル」図柄を、入賞ラインL上に停止させるように、左リールR1に対するリール停止処理を実行する。
【0131】
つまり、CPU101は、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止で左ストップボタン13aが操作された場合には、左ストップボタン13aの操作のタイミングに関わらず、必ず「ベル」図柄を入賞ラインL上に停止させるように、左リールR1に対するリール停止処理を実行する。
【0132】
左リールR1で入賞ラインL上に「ベル」図柄が停止した時点で、入賞の可能性のある役は「ベル」役しか残されていない。このため、CPU101は、中ストップボタン13bと右ストップボタン13cの操作の順番や操作のタイミングに関わらず、中リールR2、右リールR3のそれぞれにおいて、「ベル」役を構成する「ベル」図柄を入賞ラインL上に停止させるように、中リールR2、右リールR3のそれぞれに対するリール停止処理を実行する。
【0133】
スロットマシン1では、各リールRにおける各「ベル」図柄は、最大4図柄の間隔で配置されている。つまり、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合には、どのようなタイミングでストップボタン13が操作された場合でも、ストップボタン13が操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する「ベル」図柄を停止させるように、各リールRに対するリール停止処理を実行することが可能である。つまり、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止として左ストップボタン13aが操作された場合には、「ベル」役が入賞する。
【0134】
(2)組合せ数優先
〔第1停止[左]正解時における第1停止[右]操作〕
上述した状況において、CPU101は、第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合に、右ストップボタン13cが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、当選役である「制御3〜5」役のいずれかを構成する「プラム」図柄が存在し、他の当選役である「ベル」役を構成する「ベル」図柄、「制御1」役を構成する「BAR」図柄、又は「制御2」役を構成する「チェリー」図柄が存在しない場合には、「プラム」図柄を、入賞ラインL上に停止させるように、右リールR3に対するリール停止処理を実行する。
【0135】
一方で、CPU101は、第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合に、右ストップボタン13cが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、当選役である「制御3〜5」役のいずれかを構成する「プラム」図柄(3種類の役の入賞に寄与)が存在し、さらに他の当選役である「ベル」役を構成する「ベル」図柄(1種類の役の入賞に寄与)、「制御1」役を構成する「BAR」図柄(1種類の役の入賞に寄与)、又は「制御2」役を構成する「チェリー」図柄(1種類の役の入賞に寄与)が存在する場合においても、入賞が可能な役に係る図柄組合せを最も多く構成する図柄である「プラム」図柄を、入賞ラインL上に停止させるように、右リールR3に対するリール停止処理を実行する。
【0136】
つまり、CPU101は、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止で右ストップボタン13cが操作された場合には、右ストップボタン13cの操作のタイミングに関わらず、必ず「プラム」図柄を入賞ラインL上に停止させるように、右リールR3に対するリール停止処理を実行する。
【0137】
スロットマシン1では、各リールRにおける各「プラム」図柄は、最大4図柄の間隔で配置されている。つまり、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合には、どのようなタイミングでストップボタン13が操作された場合でも、ストップボタン13が操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する「プラム」図柄を停止させるように、各リールRに対するリール停止処理を実行することが可能である。
【0138】
右リールR3で入賞ラインL上に「プラム」図柄が停止した時点で、入賞の可能性のある役は「制御3〜5」役のいずれかしか残されていない。このため、CPU101は、第2停止で中ストップボタン13bが操作された場合に、中ストップボタン13bが操作された時点での引き込み可能な範囲内に、「制御3」役を構成する「プラム」図柄、「制御4」役を構成する「ベル」図柄、又は「制御5」役を構成する「7」図柄が存在する場合には、いずれかの図柄を入賞ラインL上に停止させるように、中リールR2に対するリール停止処理を実行する。
【0139】
次に、CPU101は、第3停止で左ストップボタン13aが操作された場合においても、左ストップボタン13aが操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する図柄のうち、右リールR3及び中リールR2が停止した時点で入賞の可能性が残されている役を構成する図柄を入賞ラインL上に停止させるように、左リールR1に対するリール停止処理を実行する。
【0140】
スロットマシン1では、各リールRにおける各「プラム」図柄は、最大4図柄の間隔で配置されている。つまり、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合には、どのようなタイミングで右ストップボタン13cが操作された場合でも、右ストップボタン13cが操作された時点での引き込み可能な範囲内に存在する「プラム」図柄を停止させるように、右リールR3に対するリール停止処理を実行することが可能である。つまり、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合には、第2停止及び第3停止におけるストップボタン13の種類や操作のタイミングに関わらず、「ベル」役は入賞しない。
【0141】
〔第1停止[左]正解時における第1停止[中]操作〕
詳細な説明は省略するが、上述した状況において、CPU101は、第1停止として中ストップボタン13bが操作された場合には、上述した第1停止として右ストップボタン13cが操作された場合におけるリール停止処理と同様に、当選役のうち、「ベル」役以外の役を可能な限り入賞させるように、リール停止処理を実行する。
【0142】
(3)まとめ
上述したような、それぞれ特典の内容(例えば小役においては配当数)の異なる役に係る図柄を入賞ラインL上に引き込む場合においては、払出し数または組合せ数に係る優先順位に従って、引き込む対象となる図柄が決定された。しかし、それぞれ特典の内容が同一の役(例えば再遊技役)に係る図柄を入賞ラインL上に引き込む場合においては、内部抽選処理の結果及びストップボタン13の操作タイミングに関連付けて予め定められた図柄であれば、当選している役に係る図柄組合せを構成する何れの図柄を、入賞ラインL上に引き込んで停止させてもよい。
【0143】
このように、スロットマシン1は、内部抽選処理により抽選対象6が抽選された状況において、第1停止で左ストップボタン13aが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で左ストップボタン13a以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。同様の仕組みにより、内部抽選処理により抽選対象7が抽選された状況において、第1停止で中ストップボタン13bが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で中ストップボタン13b以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。
【0144】
また、内部抽選処理により抽選対象8が抽選された状況において、第1停止で右ストップボタン13cが操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させ、第1停止で右ストップボタン13c以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「ベル」役を入賞させないように、リール停止処理を実行する。
【0145】
また、内部抽選処理により抽選対象10が抽選された状況において、第1停止で左ストップボタン13aが操作された場合には必ず「リプレイ2」役を入賞させ、第1停止で左ストップボタン13a以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「リプレイ1」役を入賞させるように、リール停止処理を実行する。
【0146】
また、内部抽選処理により抽選対象11が抽選された状況において、第1停止で中ストップボタン13bが操作された場合には必ず「リプレイ2」役を入賞させ、第1停止で中ストップボタン13b以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「リプレイ1」役を入賞させるように、リール停止処理を実行する。
【0147】
また、内部抽選処理により抽選対象12が抽選された状況において、第1停止で右ストップボタン13cが操作された場合には必ず「リプレイ2」役を入賞させ、第1停止で右ストップボタン13c以外のストップボタン13が操作された場合には必ず「リプレイ1」役を入賞させるように、リール停止処理を実行する。
【0148】
以上のように、スロットマシン1は、内部抽選処理により特定の結果が得られた場合において、通常遊技状態では確実には入賞させることができない「ベル」役、「リプレイ2」役、「リプレイ3」役、及び「リプレイ4」役を、AT状態では報知された押し順の通りにストップボタン13を操作することにより、確実に入賞させることができる。
【0149】
<5−3.通常遊技状態からART状態までの過程>
スロットマシン1における、通常遊技状態からART状態に至るまでの過程についてついて説明する。
【0150】
(1)CZ移行抽選待機状態
スロットマシン1は、CZ移行抽選待機状態において、1回のゲームが実行されるごとにCZ移行抽選ポイントを加算させ、所定の上限値に到達したことに応じてCZ移行抽選状態に移行する。
CZ移行抽選ポイントに基づくCZ移行抽選状態への移行に係る処理の流れを、図13を用いて説明する。
【0151】
まず、CPU101は、現在の状態がCZ移行抽選待機状態であるか否かを判定する(Sa1301)。CZ移行抽選待機状態ではないと判定した場合は、そのまま処理を終了する(Sa1301:NO)。CPU101は、CZ移行抽選待機状態であると判定した場合には(Sa1301:YES)、CZ移行抽選ポイントの加算に係る抽選を実行する(Sa1302)。この抽選では、内部抽選処理の結果に基づいて、CZ移行抽選ポイントの加算値を決定する。詳細は省略するが、内部抽選処理により抽選される確率が低い抽選対象であるほど、CZ移行抽選ポイントの加算値が大きい値となるように、0、5、10、20、又は30ポイントの何れかの値が、抽選により加算値として決定される。
【0152】
次にCPU101は、上述の抽選の結果を判定する(Sa1303)。CPU101は、上述の抽選の結果として0以外の加算値が決定されたと判定した場合には(Sa1303:YES)、決定された加算値を、RAM105に記憶されたCZ移行抽選ポイントを示すカウンタ変数に加算する(Sa1304)。一方で、CPU101は、上述の抽選の結果として決定された加算値が0であると判定した場合には(Sa1303:NO)、RAM105に記憶されたCZ移行抽選ポイントを示すカウンタ変数に1を加算する(Sa1305)。
【0153】
次にCPU101は、CZ移行抽選ポイントが上限値である30に到達したか否かを判定する(Sa1306)。CPU101は、CZ移行抽選ポイントが30に到達していないと判定した場合には、そのまま処理を終了する(Sa1306:NO)。一方で、CPU101は、CZ移行抽選ポイントが30に到達したと判定した場合には(Sa1306:YES)、CZ移行抽選状態へ移行させる(Sa1307)。
CPU101は、CZ移行抽選状態への移行にともない、RAM105に記憶されたCZ移行抽選ポイントを示すカウンタ変数を0にリセットする(Sa1308)。
【0154】
以上のように、スロットマシン1は、CZ移行抽選待機状態において、1回のゲームが実行されるごとに加算されるCZ移行抽選ポイントが上限値に到達したことに応じて、CZ移行抽選状態に移行する。CZ移行抽選ポイントは抽選により加算値が決定されるが、抽選で決定した加算値が0であっても1回のゲームで1ポイントが加算されるので、少なくとも30回ゲームを実行することでCZ移行抽選ポイントが上限値に到達して、CZ移行抽選状態に移行するようになっている。
【0155】
(2)CZ移行抽選状態
スロットマシン1は、CZ移行抽選状態において、内部抽選処理の結果と、CZ移行期待ポイントとに基づいた抽選によりCZ状態に移行するか否かを決定し、抽選の結果に応じてCZ状態に移行する。CZ状態への移行抽選に係る処理の流れを、図14を用いて説明する。
【0156】
まず、CPU101は、現在の状態がCZ移行抽選状態であるか否かを判定する(Sa1401)。CZ移行抽選状態ではないと判定した場合は、そのまま処理を終了する(Sa1401:NO)。CPU101は、CZ移行抽選状態であると判定した場合には(Sa1401:YES)、CZ移行抽選を実行する(Sa1302)。CZ移行抽選は、内部抽選処理の結果と、CZ移行期待ポイントとに基づいた抽選によりCZ状態に移行するか否かを抽選により決定する処理である。
【0157】
CZ移行抽選は、図15に示すCZ移行抽選テーブルを用いて実行される。まず、CPU101は、CZ移行抽選テーブル(A)を用いて、内部抽選処理の結果に基づいてCZ移行抽選のベース抽選値を決定する。次に、CPU101は、CZ移行抽選テーブル(B)を用いて、CZ移行期待ポイントに基づいて加算抽選値を決定する。ベース抽選値に加算抽選値を加えた値を、CZ移行抽選に利用する抽選値として設定する。CPU101は、不図示の乱数発生器から0〜65535の範囲で取得した乱数値と、設定された抽選値とを比較して、乱数値が抽選値よりも小さな値となった場合に、当選(CZ状態に移行することを決定する)と判定する。
【0158】
次に、CPU101は、CZ移行抽選の結果としてCZ状態に当選したか否かを判定する(Sa1403)。CPU101は、CZ状態に当選したと判定した場合は(Sa1403:YES)、CZ状態に移行させる(Sa1404)。CPU101は、CZ状態への移行にともない、RAM105に記憶されたCZ移行期待ポイントを示すカウンタ変数を0にリセットする(Sa1406)。一方で、CPU101は、CZ状態に当選しなかったと判定した場合は(Sa1403:NO)、RAM105に記憶されたCZ移行期待ポイントを示すカウンタ変数に1を加算する(Sa1405)。
【0159】
以上のように、スロットマシン1は、CZ移行抽選待機状態において、1回のゲームの内部抽選結果と、その時点でのCZ移行期待ポイントとに基づいた抽選により、CZ状態に移行するか否かを決定する。CZ移行期待ポイントは、CZ状態に移行することが決定された場合にリセットされ、CZ状態に移行しないことが決定された場合には加算され、CZ移行抽選ではCZ移行期待ポイントに基づいて加算抽選値が決定される。このため、CZ移行抽選で不当選が決定するほど、次回のCZ移行抽選ではCZ移行抽選で当選する確率が上昇することになる。
【0160】
(3)CZ状態
スロットマシン1は、CZ状態において、内部抽選処理の結果に基づいた抽選によりART状態に移行させるか否かを決定する。詳細は省略するが、ART状態に移行させるか否かを決定するART移行抽選は、内部抽選処理における抽選対象ごとに予め割り当てられた抽選値を用いて、当選(ART状態に移行させることを決定すること)、又は不当選(ART状態に移行させないことを決定すること)を、抽選により決定する処理である。
【0161】
CZ状態は、10ゲームの間だけ継続する。10ゲーム以内にART状態に移行させることが決定されなかった場合は、CZ状態は終了してCZ移行抽選待機状態に移行する。
【0162】
また、スロットマシン1は、CZ状態に移行したことを契機に、遊技状態をAT状態に移行させる。CZ状態が終了してCZ移行抽選待機状態に移行する場合には、遊技状態をAT状態から通常遊技状態に移行させ、CZ状態にART状態に移行させることが決定した場合には、遊技状態をAT状態のまま継続する。
【0163】
上述したように、AT状態では、RT0への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されないストップボタン13の押し順、及びRT1への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されるストップボタン13の押し順が遊技者に報知される。このため、CZ状態においてはRT状態がRT1に移行する可能性が高く、また、ART移行抽選に不当選とならない限りは、RT1のRT状態を維持させることができる。
【0164】
(4)ART状態
スロットマシン1は、CZ状態において、ART状態に移行することが決定すると、その時点でのRT状態がRT1である場合は、そのままART状態に移行する。一方で、その時点でのRT状態がRT0である場合は、RT1のRT状態に移行するのを待機するART準備状態(内部抽選処理により特定の再遊技役(「リプレイ2」役、「リプレイ3」役、又は「リプレイ4」役)が抽選されて、RT1のRT状態への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されたことにより、RT1のRT状態に移行するまでの状態)となる。ART準備状態において、RT1のRT状態への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されたことにより、RT1のRT状態に移行した場合に、ART状態に移行する。
【0165】
CPU101は、ART状態に移行することを決定した場合に、RAM105に記憶されたART状態の残りゲーム数を示すカウンタ変数に初期値として30を設定する。
【0166】
スロットマシン1におけるART状態中の処理の流れを、図16を用いて説明する。CPU101は、ART状態であるか否かを判定し(Sa1601)、ART状態ではないと判定した場合には、そのまま処理を終了する(Sa1601:NO)。一方で、CPU101は、ART状態であると判定した場合には、ストップボタン13の押し順の報知に係る処理を実行する(Sa1602、Sa1603)。この処理は、図11における処理Sa1102、Sa1103と同一の処理であるため、説明は省略する。
【0167】
次に、CPU101は、ART状態の残りゲーム数を減算する(Sa1604)。具体的には、RAM105に記憶されたART状態の残りゲーム数を示すカウンタ変数を1だけ減算する。
【0168】
次に、CPU101は、ART状態の残りゲーム数が残っているか否かを判定する(Sa1605)。具体的には、RAM105に記憶されたART状態の残りゲーム数を示すカウンタ変数が0でないか否かを判定する。CPU101は、ART状態の残りゲーム数が0ではないと判定した場合は、そのまま処理を終了する(Sa1605:NO)。
【0169】
一方で、CPU101は、ART状態の残りゲーム数が残っていないと判定した場合は(Sa1605:YES)、遊技状態を通常遊技状態に移行させる(Sa1606)。スロットマシン1は、遊技状態がAT状態から通常遊技状態に移行したことを契機として、ART状態が終了する。
【0170】
遊技状態をAT状態から通常遊技状態に移行させた時点では、RT状態はRT1のままであるが、通常遊技状態ではRT0への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されないストップボタン13の押し順が報知されなくなるため、内部抽選処理により特定の小役(抽選対象6〜8に属する小役)の当選が決定された際に、RT0への移行に係る特定の図柄組合せが停止表示されない押し順でストップボタン13を操作することができず、結果的にRT0のRT状態に移行する。
【0171】
以上のように、ART状態では、CZ状態の開始時に移行したAT状態、及びCZ期間中に移行したRT1のRT状態をそのまま維持しながらART状態が開始される。このため、ART状態に移行することを決定してから初めてRT1のRT状態への移行を待機するような構成と比較して、待機に必要なゲーム数(ART準備中に係るゲーム数)を短縮することが可能となる。
(5)ART状態中のゲーム数上乗せ
スロットマシン1は、ART状態である場合において、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象が抽選された場合に、ART状態の残りゲーム数を増加させるか否かを抽選により決定する処理(上乗せ抽選処理)を実行する。以下に、スロットマシン1におけるARTゲームの残りゲーム数の加算に係る処理の流れを、図17を用いて説明する。
【0172】
CPU101は、内部抽選処理の結果として特定の抽選対象(抽選対象1〜5の何れか)が抽選されたか否かを判定する(Sa1701)。CPU101は、特定の抽選対象が抽選されていないと判定した場合は、そのまま処理を終了する(Sa1701:NO)。
【0173】
一方で、CPU101は、特定の抽選対象が抽選されたと判定した場合は(Sa1701:YES)、上乗せ抽選処理を実行する(Sa1702)。上乗せ抽選処理とは、増加させるART状態の残りゲーム数を抽選により決定する処理である。
【0174】
図18は、上乗せ抽選処理に利用される上乗せ抽選テーブルを説明するための説明図である。上乗せ抽選テーブルAでは、各上乗せゲーム数の抽選確率を示す抽選値と、上乗せゲーム数との対応関係が定義されている。より具体的には、上乗せ抽選処理において、CPU101は、不図示の乱数発生器から0〜65535の範囲で取得した乱数値と、内部抽選処理における抽選結果に対応する抽選値とを比較して、上乗せゲーム数を決定する。
【0175】
上乗せ抽選処理において乱数値と抽選値とを比較して1つの上乗せゲーム数を決定する抽選方法は、上述した内部抽選処理における抽選方法と同様のため説明は省略するが、図18に示す上乗せ抽選テーブルを利用した上乗せ抽選処理により、300ゲーム、200ゲーム、100ゲーム、50ゲーム、30ゲーム、20ゲーム、10ゲーム、5ゲーム、又は0ゲームが、ART状態の残りゲーム数に対する加算数として決定される。
【0176】
CPU101は、上乗せ抽選処理により決定された加算数(ゲーム数)を、ART状態の残りゲーム数に加算する(Sa1703)。具体的には、CPU101は、RAM105に記憶された、ART状態の残りゲーム数を示すカウンタ変数に、上乗せ抽選処理により決定されたゲーム数を加算する。
【0177】
以上のように、スロットマシン1は、ART状態中における所定の条件の成立により、ART状態の残りゲーム数が加算される。
【0178】
(6)リミット機能
スロットマシン1は、ART状態中に消化したゲーム数が最大消化ARTゲーム数として予め定められた1500ゲームに到達したことを条件として、ART状態の残りゲーム数の有無に関わらず、ARTゲームを強制的に終了させるリミット機能を備えている。
【0179】
より具体的には、CPU101は、ATゲーム中における各ゲームごとに、RAM105に記憶されたART状態中に消化したゲーム数を示すカウンタ変数を1ずつ加算するとともに、当該カウンタ変数が1500に到達したか否かを判断しており、ART状態中に消化したゲーム数が1500に到達したと判断した場合には、ART状態の残りゲーム数を0にリセットするとともに、ART状態を終了させる。
【0180】
ART状態の残りゲーム数とは異なり、ART状態中に消化したゲーム数は加算されるのみであるため、リミット機能の存在により、一連のARTゲームの最中に払い出されるメダルの総量が一定量を超えないように制御される。
【0181】
<6.変形例>
前述の形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された1以上の態様は相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0182】
(1)変形例1
上述の形態においては、CZ移行抽選状態におけるCZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかった回数を示すカウンタ変数であるCZ移行期待ポイントに基づいて、CZ移行抽選の抽選値(ベース抽選値に対する加算値)を決定する態様について説明した。しかし、CZ状態に当選しなかった回数を管理するためのカウンタ変数を用いずに、CZ状態に当選しなかった回数に応じてCZ移行抽選の抽選値が変化するように制御するようにしてもよい。
【0183】
例えば、内部抽選処理における各抽選対象ごとに関連付けられた抽選値を用いてCZ移行抽選を実行するような構成において、CZ移行抽選によりCZ状態に当選しないことが決定された場合に、上述した内部抽選処理における各抽選対象ごとに関連付けられた抽選値に、所定の値を加算するように制御されてもよい。このように制御することで、CZ状態に当選しなかったことに応じてCZ移行抽選で利用する抽選値が増加するので、CZ状態に当選しなかった回数を管理するためのカウンタ変数を用いずに、CZ状態に当選しなかったことに応じて、次回のCZ移行抽選が当選し易くなる。
【0184】
(2)変形例2
上述した形態においては、CZ移行抽選状態におけるCZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選によりCZ状態が当選する確率が向上するように制御する態様について説明した。しかし、CZ移行抽選状態におけるCZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選待機状態からCZ移行抽選状態への移行のし易さを向上させるように制御してもよい。
【0185】
例えば、CZ状態に当選しなかったことに応じて加算されるCZ移行期待ポイントに基づいて、CZ移行抽選ポイントの加算に係る抽選(以下「CZ移行抽選ポイント抽選」という)を実行するように制御してもよい。例えば、図19で示すCZ移行抽選ポイント抽選テーブルを用いてCZ移行抽選ポイントの加算に係る抽選を実行しても良い。
【0186】
図19(A)は、内部抽選処理における各抽選対象ごとに、CZ移行抽選ポイントの加算値である0、5、10、20、又は30ポイントのそれぞれが抽選される確率を示す抽選値が関連付けられている。図19(B)は、CZ移行期待ポイントに応じて追加される抽選値が関連付けられている。
【0187】
本態様のCZ移行抽選ポイント抽選では、まず、図19(A)のテーブルに基づいて、内部抽選処理により抽選された抽選対象に対応する、各CZ移行抽選ポイントの加算値に対応する抽選値(ベース)を取得する。次に、図19(B)に基づいて、CZ移行期待ポイントに応じた抽選値(追加分)を取得して、これを各抽選値(ベース)に加算する。そして、このようにして定められた各CZ移行抽選ポイントの加算値に対応する抽選値(ベース+追加分)に基づいて、CZ移行抽選ポイント加算値を抽選により決定する。このようにしてCZ移行抽選ポイント抽選を実行することで、CZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選ポイントが加算される確率が向上するため、CZ移行抽選待機状態からCZ移行抽選状態への移行のし易さが向上する。
【0188】
また、同様に、図19(A)のテーブルを利用して、内部抽選処理の結果に基づいた抽選により、CZ移行抽選ポイントの加算値(ベース)を決定し、図19(C)に基づいて、CZ移行期待ポイントに応じたCZ移行抽選ポイントの加算値(追加分)を加えた値を、CZ移行抽選ポイントの加算値(ベース+追加分)として決定してもよい。このようにしてCZ移行抽選ポイント抽選を実行することで、CZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選ポイントが加算される加算量が増加するため、CZ移行抽選待機状態からCZ移行抽選状態への移行のし易さが向上する。
【0189】
これらのCZ移行抽選ポイントが加算される確率の向上、およびCZ移行抽選ポイントが加算される加算量の増加の仕組みは、それぞれ単独で用いられても複合的に用いられてもよく、いずれの態様においても、CZ移行抽選状態におけるCZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選待機状態からCZ移行抽選状態への移行のし易さが向上する制御される。
【0190】
(3)変形例3
上述した形態においては、CZ移行抽選待機状態において、1回のゲームが実行されるごとにCZ移行抽選ポイントが加算される確率または加算量は、ゲームごとに一定である態様について説明した。しかし、CZ移行抽選待機状態に移行してからCZ移行抽選待機状態中に消化したゲーム数が少ないほど、1回のゲームが実行されるごとにCZ移行抽選ポイントが加算される確率または加算量が高くなる(多くなる)ように制御されてもよい。
【0191】
例えば、CZ移行抽選待機状態に移行してからのCZ移行抽選待機状態中に消化したゲーム数をカウントするカウント変数の値に応じて、上述したような方法を採用して、CZ移行抽選ポイントが加算される確率または加算量が変化するように制御するように構成してもよい。
【0192】
(4)変形例4
上述した形態においては、CZ移行抽選状態におけるCZ移行抽選により移行することが決定されるCZ状態は1種類である態様について説明した。しかし、ART状態への移行確率の異なる複数のCZ状態を備えるように構成されてもよい。
【0193】
さらに、複数のCZ状態を備えるように構成した場合に、CZ移行抽選状態により各CZ状態へ移行させる確率は、CZ移行抽選の実行ごとに同一となるよう制御されてもよいし、CZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて変化させるように制御されてもよい。また、複数のCZ状態における一部のCZ状態に対してのみ、CZ移行抽選状態により当該CZ状態へ移行させる確率を、CZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて変化させるように制御されてもよい。
【0194】
例えば、ART状態への移行確率が相対的に高いART移行抽選を実行する高確CZ状態と、ART状態への移行確率が相対的に低いART移行抽選を実行する通常CZ状態との2種類のCZ状態を備え、通常CZ状態についてのみ、CZ移行抽選により何れのCZ状態にも当選しなかったことに応じて、CZ移行抽選に当選する確率を変化させるように制御されてもよい。
【0195】
(5)変形例5
上述した形態においては、1種類のCZ移行期待ポイントのみを用いて、CZ移行抽選によりCZ状態に当選しなかったことに応じて、CZ状態に当選する確率を変化させる態様について説明した。しかし、複数種類のCZ状態のそれぞれに対応する複数のCZ移行期待ポイントを備えるよう構成されてもよい。
【0196】
例えば、上述したように高確CZ状態と通常CZ状態との2種類のCZ状態を備え、それぞれに対応するCZ移行期待ポイントとして、高確CZ移行期待ポイントと通常CZ移行期待ポイントとを備えてもよい。そして、このように構成した場合において、CZ移行抽選において高確CZ状態に移行することを決定した場合に高確CZ移行期待ポイントをリセットし、CZ移行抽選において通常CZ状態に移行することを決定した場合に通常CZ移行期待ポイントをリセットするように制御してもよい。
【0197】
また、上述の態様に代えて、CZ移行抽選において一方のCZ状態に移行することが決定された場合に、当該CZ状態に対応していないCZ移行期待ポイントもリセットするように制御されても良い。例えば、CZ移行抽選において通常CZ状態に移行することを決定した場合には、通常CZ移行期待ポイントと高確CZ移行期待ポイントの両方をリセットし、高確CZ状態に移行することを決定した場合には、高確CZ移行期待ポイントのみをリセットするように制御されてもよい。このように構成することで、各CZ状態に移行することについての遊技者の期待感を損なうことなく、各CZ状態に移行する確率を、適宜に設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0198】
1……スロットマシン、12……スタートレバー、13a〜13c……ストップボタン、R1〜R3……リール、20……リール窓、L……入賞ライン、14……精算ボタン、30……液晶表示装置、40……メダル受皿、100A……メイン制御基板、101……CPU、104……ROM、105……RAM、100B……表示制御基板、191……CPU、194……ROM、195……RAM。
【要約】
【課題】遊技者の遊技意欲の低下を抑制することが可能な特別なゲーム期間を備えた遊技機を提供する。
【解決手段】第1遊技状態における所定条件の成立に基づいて、第1カウンタを進行させるカウンタ進行手段と、前記第1カウンタが所定のカウント値に到達したことに基づいて、第1抽選を実行する第2遊技状態に移行させる第1移行手段と、前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、第2抽選を実行する第3遊技状態に移行させる第2移行手段と、前記第3遊技状態における前記第2抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態よりも有利な第4遊技状態に移行させる第3移行手段とを備え、 前記第2遊技状態における前記第1抽選の結果に応じて、前記第1遊技状態から前記第2遊技状態を経て前記第3遊技状態へ移行する難易度を低減させるよう制御する移行難易度調整手段をさらに備えた。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図19