特許第6123103号(P6123103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6123103車輪のキャンバ変更による持ち上げ効果を用いてパレットを持ち上げ移動させるための、手動操作の転動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123103
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】車輪のキャンバ変更による持ち上げ効果を用いてパレットを持ち上げ移動させるための、手動操作の転動装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20170424BHJP
   B62B 3/10 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B62B3/02 Z
   B62B3/10 Z
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-522344(P2016-522344)
(86)(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公表番号】特表2016-527125(P2016-527125A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014057809
(87)【国際公開番号】WO2015000615
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2016年5月9日
(31)【優先権主張番号】13175344.4
(32)【優先日】2013年7月5日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516005289
【氏名又は名称】パレア アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】スワートリング, ミカエル
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第00804091(GB,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01502267(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02
B62B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置であって、
枠組から前向きに突出する第1および第2のフォーク(1、2)を含む枠組であって、各フォークが前記パレットと接触するための頂部表面(6)を有する、枠組と、
前記枠組に手による力を加えるための、前記枠組に接続されたハンドル(7)と、
地面から前記枠組を支持するための、前記枠組に接続された支持部材(8a〜d)と、を備える装置において、前記枠組が、上側端部が前記ハンドルに接続されかつ下側端部が前記第1のフォークに接続されて第1のフレーム要素(10)を形成する第1の脚部(3)、ならびに、上側端部が前記ハンドルに接続されかつ下側端部が前記第2のフォークに接続されて第2のフレーム要素(12)を形成する第2の脚部(4)を備え、前記第1および前記第2のフレーム要素の各々が、前記それぞれのフォークの長手軸(L、L)と平行な軸を中心に枢動可能に構成され、このことにより、前記パレットを移送するための第1の位置と前記両フォークを前記パレットの下に位置付けるための第2の位置との間で前記枠組が枢動可能とされ、また、前記両フォークおよび支持部材が、前記両フォークの前記頂部表面の最高点と対応する前記支持部材の最低点との間の垂直距離(h、h)が前記第1の位置においてよりも前記第2の位置においてより短くなるように設計され、このことにより、各フレーム要素の前記フォークおよび前記支持部材が、前記パレットを持ち上げかつ下降させるためのてこを形成することを特徴とする、前記手動操作の装置。
【請求項2】
各脚部(3、4)が、L字形状のフレーム要素(10、12)を形成するように、対応する前記フォーク(1、2)に接続される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持部材(8a〜d)が車輪であり、各フレーム要素(10、12)には前輪および後輪が設けられ、前記前輪および後輪は前記フォークの長手軸(L、L)により形成される平面に対して垂直な軸を中心に枢動可能に装着される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハンドル(7)が、前記第1の脚部(3)に、前記第1のフォーク(1)の長手軸(L)と平行な軸(A)を中心に枢動可能に接続され、かつ、前記ハンドルが、前記第2の脚部(4)に、前記第2のフォーク(2)の長手軸(L)と平行な軸(A)を中心に枢動可能に接続される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ハンドル(7)が平行にかつ互いに距離をおいて構成された第1および第2の距離要素(14、15)、ならびに前記第1および第2の距離要素の間に接続された主ハンドル部(16)を備え、前記第1の距離要素が、前記第1の脚部(3)に、前記第1のフォークの前記長手軸(L)と平行な軸(A)を中心に枢動可能に接続され、前記第2の距離要素が、前記第2の脚部に、前記第2のフォークの前記長手軸(L)と平行な軸(A)を中心に枢動可能に接続される、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置に、前記ハンドル(7)を前記脚部(3、4)に対して固定された位置に取り外し可能にロックするように適合されたロック機構(18)が設けられる、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
前記枠組が、一方の端部が前記第1の脚部(3)の下側部分に枢動可能に接続されかつ他方の端部が前記第2の脚部(4)の下側部分に枢動可能に接続されている、フレーム部(20)を備え、
前記フレーム部(20)が、細長く、かつ、一方の端部が、前記第1の脚部(3)に、前記第1のフォーク(1)の前記長手軸(L)と平行な軸を中心に枢動可能に接続され、他方の端部が、前記第2の脚部(4)に、前記第2のフォーク(2)の前記長手軸(L)と平行な軸を中心に枢動可能に接続されている、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記フレーム要素(10、12)が平行に構成され、前記第2の位置における前記脚部(3、4)の間の距離が前記第1の位置における前記脚部(3、4)の間の距離より小さい、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記フォーク(1、2)の各々の長さが、長手方向に調整可能である、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フォーク(1、2)の各々には、前記前輪および後輪(8a〜d)の回転軸に対して垂直な回転軸が配設され、かつ前記フォークの前記頂部表面(6)に隣接する長い側面に接続された、前記第2の位置において前記装置の移動を容易にするための、少なくとも2つの支持車輪(32)が設けられる、請求項3に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置に関し、この装置は、枠組と、枠組から前向きに突出する2つの実質的に平行なフォークであって、各フォークがパレットと接触しているように適合された頂部表面を有するフォークと、枠組に手による力を加えるための、枠組に接続されたハンドルと、地面から枠組を支持するための、枠組に接続された支持部材とを備える。
【背景技術】
【0002】
パレットを持ち上げ移動させるための装置は、パレットジャッキ、パレットトラック、ポンプトラック、またはジガーと呼ばれる。手動のパレットジャッキは、手動駆動のまたは手動操作のジャッキと呼ばれる。パレットジャッキは、工業、物品の取引または流通において、パレットを移動させるために使用される台車である。従来の手動操作のパレットジャッキには、2つの平行なフォークが設けられ、これらはその後部および前部の旋回部において車輪によって支持される。パレットジャッキは、手動で下降および上昇されるプルハンドルにより、液圧で上昇または下降される。前輪はフォークの端部の内側に装着されており、液圧ジャッキが上昇されると、フォークは、前輪から垂直方向に分離され、積載物を、これが床を離れるまで、上向きに押しやる。パレットは、続く移動のために床を離れるのに十分なだけしか持ち上げられない。
【0003】
US3982767は、垂直軸を中心に回転可能でありかつ操舵可能な車輪に載って移動可能な、組み合わされた車輪およびジャッキの組立体と、液圧ジャッキによってこの組立体に対して上昇可能かつ下降可能な持ち上げフォークと、前記持ち上げフォーク内で上昇可能かつ下降可能な支持車輪と、を有する、手動操作のパレットジャッキの例を開示する。車輪およびジャッキの組立体は、台車を引くための棒体を備えている。棒体は、ジャッキを上昇させるためのポンプ手段を備える。棒体は、車輪およびジャッキの組立体上に装着される。
【0004】
従来の手動操作のパレットジャッキは、これらが重いこと、かさ張ること、および操作が難しいことなどの、いくつかの欠点を有する。多くの場合、パレット上に積載された物品と一緒にパレットジャッキを移送することが望まれている。しかしながら、このことは多くの場合、物品の移送を実行する車両の積載容量が限られているため、問題である。
【0005】
CA101758845は、折り畳み可能な軽量の手動式パレットトラックを開示する。このパレットトラックには、フォークのヒンジ部分が設けられ、これは、操作位置から保管位置へと上向きに畳むことができる。したがって、畳まれたトラックは、容易に移送および保管することができ、この結果、このトラックは、たとえばトラック車の運転室内で保管することによって、別の場所での使用のために利用可能とすることができる。
【発明の概要】
【0006】
上記の問題を少なくとも部分的に克服すること、およびパレットを持ち上げ移動させるための改善された手動操作の装置を提供することが、本発明の目的である。
【0007】
この目的は、請求項1において規定されるような装置によって達成される。
【0008】
本発明は、枠組が、上側端部がハンドルに動作可能に接続されかつ下側端部が前記フォークの第1のものに接続されて第1のフレーム要素を形成する第1の脚部、ならびに、上側端部がハンドルに動作可能に接続されかつ下側端部が前記フォークの第2のものに接続されて第2のフレーム要素を形成する第2の脚部を備え、第1のフレーム要素および第2のフレーム要素の各々が、それぞれのフォークの長手軸と平行な軸を中心に枢動可能に構成され、このことにより、パレットを移送するための第1の位置とフォークをパレットの下に位置付けるための第2の位置との間で枠組が枢動可能とされ、また、フォークおよび支持部材は、フォークの頂部表面の最高点と対応する支持部材の最低点との間の垂直距離が第1の位置においてよりも第2の位置においてより短くなるように設計され、このことにより、各フレーム要素のフォークおよび支持部材は、パレットを持ち上げかつ下降させるためのてこを形成することを特徴とする。
【0009】
パレットは、フレーム要素の枢動移動によって、地面に対して持ち上げられかつ下降される。フォークは、装置が第2の位置にあるとき、パレットの下の位置へと移動され、パレットは、フレーム要素を第1の位置へと枢動させることによって持ち上げられ、このことにより、パレットの垂直移動を生じさせる。パレットは、枠組が第1の位置にあるとき、水平方向に移動され得る。パレットは、フレーム要素を第2の位置へと枢動させることによって、下降される。枠組が第2の位置にあるとき、フォークは、パレットの下から離れるように移動され得る。フォークおよび支持部材は、パレットを持ち上げかつ下降させるためのてこを形成し、杆体は、これらの移動を促進するためのてこの延長部を形成する。てこに手動でトルクを加えることによって枠組の枢動移動をもたらすための、手動で作動するハンドルが、杆体に接続される。
【0010】
本発明による装置は、パレットの垂直移動をもたらすための液圧ポンプを必要としない。本発明による装置は、従来の手動式パレットトラックよりも、複雑でなく、製造が容易であり、したがって高価でない。本発明による装置は、従来の手動式パレットトラックと比較して、より小さく、より軽く、操作がより容易であり、重量がより小さく、占めるスペースがより小さい。
【0011】
てこを実現するために、フォークおよび支持部材は、フォークの頂部表面の最高点と対応する支持部材の最低点との間の垂直距離が、第1の位置においてよりも第2の位置においてより短くなるように設計される。このことは、フォークおよび対応する支持部材の高さが、フォークおよび対応する支持部材の幅よりも大きくなることを意味する。
【0012】
本発明の実施形態によれば、フレーム要素は平行に構成され、前記脚部同士の間の距離は、第1の位置においてよりも第2の位置において、より小さい。このことは、装置が、フレーム要素が第1の位置にあるときよりも第2の位置にあるときに、より薄く、したがって占有するスペースがより小さいことを意味する。したがって、装置を、これが第2の位置にあるときに保管することが有利である。
【0013】
各脚部は、脚部がハンドルと支持部材との間に延長されたてこを形成するようにてこと整合されるように、対応するフォークに接続される。好ましくは、各脚部は、L字形状のフレーム要素を形成するように、対応するフォークに接続される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、支持部材は車輪であり、各フレーム要素には、前輪および後輪が設けられ、これらの車輪の少なくとも1つは、枢動可能に装着される。好ましくは、各フレーム要素には、少なくとも2つの枢動可能に装着された車輪が設けられる。フレーム要素に2つの枢動可能に装着された車輪を設けることにより、装置を、フォークの長手軸に対して様々な方向に移動させることが可能である。こうして、装置を、フォークの長手軸と整合された方向に、ならびにフォークの長手軸に対して垂直な方向に、移動させることが可能である。このことは、たとえばパレットが、ドア開口部などの狭い開口部を通して移動されることになるときに有利である。
【0015】
本発明の実施形態によれば、ハンドルは、第1および第2の脚部に枢動可能に接続される。この実施形態は、ハンドルが、フレーム要素が枢動するのと同時に枢動することを可能にする。
【0016】
本発明の実施形態によれば、ハンドルは、第1の脚部に、第1のフォークの長手軸と平行な軸を中心に枢動可能に接続され、また、ハンドルは、第2の脚部に、第2のフォークの長手軸と平行な軸を中心に枢動可能に接続される。
【0017】
本発明の実施形態によれば、ハンドルは、平行にかつ互いに距離をおいて構成された第1および第2の距離要素、ならびに第1および第2の距離要素の間に接続された主ハンドル部を備え、第1の距離要素は、第1の脚部に、第1のフォークの長手軸と平行な軸を中心に枢動可能に接続され、第2の距離要素は、第2の脚部に、第2のフォークの長手軸と平行な軸を中心に枢動可能に接続される。この実施形態は、第1および第2の位置の間でフレーム要素が枢動されるときに、ハンドルを本質的に水平に維持することを可能にし、このことにより、装置の使用を容易にする。
【0018】
本発明の実施形態によれば、装置には、ハンドルを脚部に対して固定された位置に取り外し可能にロックするように適合された、ロック手段が設けられる。装置が地面からパレットを持ち上げており、装置がパレットを移動させるために使用されるとき、装置を安定させるために、ハンドルを脚部に対して固定された位置にロックすることが有利である。
【0019】
本発明の実施形態によれば、枠組は、一方の端部が第1の脚部の下側部分に枢動可能に接続され、他方の端部が第2の脚部の下側部分に枢動可能に接続されている、フレーム部を備える。このフレーム部は、装置をさらに安定させる。
【0020】
本発明の実施形態によれば、前記フレーム部は、一方の端部が第1の脚部に、第1のフォークの長手軸に平行な軸を中心に枢動可能に接続され、他方の端部が第2の脚部に、第2のフォークの長手軸に平行な軸を中心に枢動可能に接続された、杆体である。
【0021】
本発明の実施形態によれば、フォークは、調整可能な長さを有して構成される。この実施形態は、パレットの長さまたは幅に適合するように、フォークの長さを調整することを可能にする。
【0022】
本発明の実施形態によれば、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置であって、各フォークが細長くかつ頂部表面に隣接する2つの長い側面を有し、これらの長い側面の少なくとも一方には、パレットキャリアが畳まれた位置にあるときにその移動を容易にしかつ床が擦られることを防止するための、支持要素が設けられる、装置。
【0023】
本発明の実施形態によれば、フォークの各々には、それ自体の回転軸が前輪および後輪の回転軸に対して垂直な状態で構成され、かつフォークの頂部表面に隣接する長い側面に接続された、少なくとも2つの支持車輪が設けられる。支持車輪は、フレーム要素が第2の位置にあるとき、フォークをパレットの下で移動させることを容易にする。
【0024】
本発明が、本発明の様々な実施形態の説明によって、および付属の図面を参照して、以下でより厳密に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】直立位置にある、本発明の実施形態による、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置の斜視図である。
図2】傾けられた位置にある、図1おける装置を示す図である。
図3】畳まれた位置にある、図1および図2における装置を示す図である。
図4】直立位置にある装置の正面図である。
図5】畳まれた位置にある装置の正面図である。
図6】装置のロック機構をより詳細に示す図である。
図7a】パレットを持ち上げ移動させるための装置の使用を例示する図である。
図7b】パレットを持ち上げ移動させるための装置の使用を例示する図である。
図7c】パレットを持ち上げ移動させるための装置の使用を例示する図である。
図8】本発明の第2の実施形態による、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態による、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の実施形態による、以下ではパレットキャリアと表される、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置の斜視図を示す。パレットキャリアは、第1および第2のフレーム要素10、12を含む枠組を備える。フレーム要素は、第1および第2の実質的に平行なフォーク1、2、ならびにこれらのフォークに接続された第1および第2の脚部3、4を含む。フレーム要素10、12の各々は、脚部3、4、およびこれらの脚部から離れるように延在するフォーク1、2を備える。各フォークは、頂部表面6、底部表面、2つの対向する長い側面、および2つの対向する短い側面を有する。頂部表面6は、パレットキャリアの操作中パレットと接触しているように適合される。パレットキャリアは、枠組に手による力を加えるための、枠組に接続されたハンドル7と、地面から枠組を支持するための、枠組に接続された支持部材8a〜dと、を備える。第1の脚部3は、上側端部がハンドル7に動作可能に接続されかつ下側端部が第1のフォーク1に接続されて、第1のフレーム要素10を形成する。第2の脚部4は、上側端部がハンドル7に動作可能に接続されかつ下側端部が第2のフォーク2に接続されて、第2のフレーム要素12を形成する。第1および第2のフレーム要素10、12の各々は、それぞれのフォークの長手軸L、Lと平行な軸を中心に枢動可能に構成される。
【0027】
フォークは、たとえば、角材で製作される。これらの角材は、中実または中空とすることができる。中空の角材は、中実の角材よりも重量が小さく、したがってパレットキャリアの重量を低減する。好ましくは、フォークは、鉄または鋼などの金属で製作される。好ましくは、フォークは、実質的に矩形の断面を有する。この実施形態では、フォークは、実質的に方形の断面を有する。任意選択で、フォークは、調整可能な長さを有する。この実施形態では、各フォークは、2つの部位、すなわち、脚部に接続された固定部2a、および可動部2bを含む。可動部2bは中空であり、固定部2aの外側端部を取り囲むように設計される。可動部2bは、フォークの長手方向L2に移動可能であり、このことにより、フォークの長さを調整することが可能である。フォークは、可動部2bを固定された関係で固定部2aにロックし、このことによりフォーク2の長さが変わらなくするように構成された、ロック機構9を含む。
【0028】
脚部3、4は、細長く、脚部がフォークから上向きに突出するように、フォーク1、2に接続される。この実施形態では、脚部3、4は、L字形状のフレーム要素10、12を形成するように、フォーク1、2に接続される、すなわち、脚部は、フォークに対して実質的に垂直に構成される。しかし、フレーム要素を、脚部とフォークとの間の角度が90°よりも大きくなるように構成することが可能である。この実施形態では、脚部3、4は、中空の金属角材で製作される。しかし、脚部は好ましくは、繊維ガラス、炭素繊維、またはポリマー材料などの、軽量の材料で製作される。この実施形態では、脚部はフォークに固定的に接続される。しかし、別の実施形態では、フォークは脚部に折り畳み可能に接続され得、このことによりフォークが、操作位置から保管位置へと上向きに畳まれることが可能になる。しかし、パレットキャリアの操作中、フォークは、脚部に関して固定されるべきである。2つのL字形状のフレーム要素は、その後部および前部において、車輪8a〜dによって支持される。
【0029】
支持部材の機能は、摩擦を低減すること、およびこれに応じてパレットキャリアの移動を容易にすることである。支持部材は、たとえば、車輪、スキッド、またはころである。図1に示された実施形態では、各フレーム要素10、12には、前輪8b、8c、および後輪8a、8dが設けられる。これらの車輪は、フォークの長手軸L、Lによって形成される平面と平行な回転軸を有する。車輪8a〜dは、フォークの長手軸L、Lによって形成される平面に対して垂直な軸を中心に枢動可能に装着される。全ての車輪が枢動可能に装着されることが有利であるが、これは、このことにより、パレットキャリアを全方向に移動させることが可能になるからである。代替の実施形態では、前輪、または後輪は、固定的に装着され得る。しかし、そのような場合、フォークは設計し直される必要がある。
【0030】
ハンドル7の一方の端部は、第1の脚部3に、第1のフォーク1の長手軸Lと平行な軸Aを中心に枢動可能に接続され、また、ハンドル7の他方の端部は、第2の脚部4に、第2のフォーク2の長手軸Lと平行な軸Aを中心に枢動可能に接続される。ハンドル7は、平行にかつ互いに距離をおいて構成された第1および第2の距離要素14、15、ならびに第1および第2の距離要素14、15の間に接続された主ハンドル部16を備える。第1の距離要素14は、第1の脚部3に、軸Aを中心に枢動可能に接続され、また、第2の距離要素15は、第2の脚部3に、軸Aを中心に枢動可能に接続される。ハンドル7には、ハンドル7を脚部3、4に対して固定された位置に取り外し可能にロックするように適合された、ロック機構18が設けられる。ロック機構18は、ロック要素がロックされているときはフレーム要素10、12の枢動が防止され、ロック機構がロック解除されているときはフレーム要素が枢動可能とされるように、構成される。ロック機構は、2つの作動ピン24を含む。したがって、ロック機構を作動させることによって、使用者は、フレーム要素を枢動可能にすることとそれらの枢動を防止することとの間で選択を行うことができる。好ましくは、ロック機構は、使用者がロック機構を作動させかつ同時にハンドルを保持することが可能となるように設計される。ロック機構18は、図6においてより詳細に示される。
【0031】
任意選択で、枠組は、たとえば杆体の形態の、第1および第2のフレーム要素10、12の間に接続された、フレーム部20を備える。フレーム部20の機能は、フォークを固定された関係に維持し、パレットキャリアを安定させることである。フレーム部20は、一方の端部が、第1の脚部3の下側部分に、第1のフォークの長手軸とLと平行な軸を中心に枢動可能に接続され、他方の端部が、第2の脚部4の下側部分に、第2のフォークの長手軸Lと平行な軸を中心に枢動可能に接続されている。
【0032】
本発明によるパレットキャリアは、図1図3に示されるように、直立位置と傾けられた位置と畳まれた位置との間で、枢動可能である。図1は、パレットの移送のために使用される、直立位置にあるパレットキャリアを示す。図2は、傾けられた位置にあるパレットキャリアを示す。図3は、パレットの下にフォークを位置付けるために使用される、畳まれた位置にあるパレットキャリアを示す。パレットキャリアは、右側にも左側にも畳むことができる。図4は、直立位置にあるパレットキャリアの正面図を示し、図5は、畳まれた位置にあるパレットキャリアの正面図を示す。フレーム要素10、12は平行に構成され、また、図4および図5に示されるように、脚部3、4の間の距離は、直立位置においてよりも畳まれた位置においてより小さい。したがって、パレットキャリアは、畳まれた位置においてより薄く、したがって占有するスペースがより小さい。パレットキャリアが使用されていないときは、パレットキャリアを畳まれた位置で保管することが有利である。
【0033】
フォーク1、2および支持部材8a〜dは、フォークの頂部表面6の最高点と対応する支持部材8a〜dの最低点との間の垂直距離が、直立位置においてよりも畳まれた位置においてより短くなるように設計され、このことにより、各フレーム要素のフォークおよび支持部材は、パレットを持ち上げかつ下降させるためのてこを形成する。支持部材8a〜dの最低点は、地面と接触している点である。図4および図5から見られるように、直立位置におけるフォーク1、2の頂部表面6と地面との間の垂直距離hは、畳まれた位置における頂部表面6の最高点と地面との間の垂直距離hよりも高い、すなわち、h>hである。垂直距離hは、パレットキャリアが畳まれた位置にあるときに、パレットの下でフォークを摺動させることが可能となるように、地面とパレットの下部との間の距離よりも短くなければならない。さらに、垂直距離hは、パレットキャリアが畳まれた位置から直立位置へと枢動されるときに、パレットを地面から持ち上げることが可能となるように、地面とパレットの下部との間の距離よりも大きくなければならない。図4および図5から見られるように、ハンドル7は、パレットキャリアが直立位置と畳まれた位置との間で枢動されるときに、主ハンドル部16が実質的に水平に維持されるように構成される。
【0034】
図6は、ロック機構18をより詳細に示す。距離要素14は、ボルト材19によって脚部3に接続される。ボルト材19は、脚部の長手軸において延在する脚部の細長い穴(図示せず)の中に位置付けられて、ボルト材、およびしたがってハンドルが、脚部に対して脚部3の長手方向に移動されることを可能にする。ロック機構18は、距離要素14に接続され、かつ突出部22およびロック機構のロック解除時に使用者によって作動されることになる作動ピン24を設けられた、枢動可能部材21を含む。距離要素14および脚部3には、対応する穴26、27が設けられる。図1に示されるように、ハンドルがロックされるとき、穴26および27は整合され、突出部22が、これらの穴の中に挿入される。ロック機構をロック解除しハンドルが枢動するのを可能にするために、使用者は、アクチュエータピンを上向きに押し、このことにより枢動可能部材21を脚部から離れるように移動させ、これに応じて突出部22は、穴26、27から取り外される。この時点で、使用者が、ハンドル7を脚部に対して上向きに移動させて、距離要素14と脚部3との間にスロット28を形成し、このことにより距離要素14をボルト材19の長手軸Aを中心に回転可能にすることが可能である。したがって、作動ピン24を上向きに作動させることによって、使用者は、フレーム要素からハンドルをロック解除し、フレーム要素を枢動可能にすることが可能であり、また、作動ピン24を下向きに作動させることによって、使用者は、フレーム要素に対するハンドルの位置をロックし、フレーム要素の枢動を防止することができる。
【0035】
図7a〜cは、パレット30を持ち上げ移動させるためのパレットキャリアの使用を例示する。第1のステップでは、図1に示されるように、キャリアは直立位置にある。ハンドル7は、図6に示されるように、作動ピン24を作動させることによってロック解除されて、フレーム要素の枢動を可能にする。第2のステップでは、パレットキャリアは、図2および図3に示されるような畳まれた位置へと枢動される。図1図3から見られるように、車輪8a〜dは、パレットキャリアが直立位置から畳まれた位置へと枢動されるとき、フォークに対して枢動される。第3のステップでは、パレットキャリアは、畳まれた位置においてパレット30の下に移動され、この結果、フォーク1、2は、図7aに示されるように、パレットの下に延在することになる。第4のステップでは、パレットキャリアは、図7a〜cに示されるように、畳まれた位置から直立位置へと枢動され、このことによりパレット30は、車輪8a〜dおよびフォーク1、2によって形成されたてこの移動により、地面から持ち上げられる。最後のステップでは、図7cに示されるように、パレットキャリアは直立位置にあり、ハンドル7は、作動ピン24を作動させることによってロックされて、フレーム要素の枢動を防止する。この時点で、パレットキャリアは、パレットを移動させる準備が整う。枢動可能な車輪により、パレットを、前向きの方向、すなわちフォークの長手方向に、ならびに側方に、すなわちフォークの長手方向に対して垂直な方向に、移動させることが可能である。
【0036】
図8は、本発明の第2の実施形態による、パレットを持ち上げ移動させるためのパレットキャリアを示す。本発明の第2の実施形態によるパレットキャリアは、フォークの長い側面に、パレットキャリアが畳まれた位置にあるときにその移動を容易にしかつ床が擦られることを防止するための、支持要素32が設けられる、という点で、第1の実施形態におけるパレットキャリアと異なる。支持要素は、たとえば、フォークの長い側面に取り付けられた、低摩擦材料で製作されたパッド、または、それ自体の回転軸が、フォークの底部表面上に構成された支持部材8a〜dの回転軸に対して垂直な状態で構成された、支持車輪32である。好ましくは、各フォークの長い側面のうちの少なくとも1つに、支持要素が設けられる。さらに好ましくは、パレットキャリアが右側と左側のどちらに畳まれているときでもその移動を容易にするために、各フォークの両方の長い側面に、1つまたは複数の支持部材が設けられる。図8に示される本発明の実施形態では、各フォークには、各長い側面上に2つの支持車輪が設けられる。支持車輪32は、それらの回転軸が前輪および後輪8a〜dの回転軸に対して垂直な状態で構成され、かつ、長い側面に接続される。支持要素32は、パレットキャリアが畳まれた位置にあるときにその移動を容易にするために、フォークが畳まれた位置において移動されるとき、地面と接触しているように構成される。
【0037】
図9は、装置が直立位置にあるときの、本発明の第3の実施形態による、パレットを持ち上げ移動させるための手動操作の装置を示す。フレーム要素10、12は、上下を逆にされたV字を形成するように取り付けられる。フレーム要素10、12は、これらのフレーム要素が枢動される前に、互いに引き離されて平行になる。装置は、ハンドル34を含む。
【0038】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲内で変更または修正され得る。たとえば、代替のロック機構が使用され得る。支持部材を、スキッドとすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8