【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例により、さらに詳細に説明する。なお、本発明中の各評価は、次の方法で求めた。
【0036】
[測定方法]
(1)引張強力
JIS L 1096(8.14.1)(2010) A法に基づいて測定した。サンプルを幅50mm、長さ300mmの大きさでタテ方向、ヨコ方向へ5枚を採取し、試験片を初荷重の下で適切な性能をもつ引張試験機でつかみ,つかみ間隔 200mm、引張速度200mmにて切断時の最大荷重の平均値を測定した。
予め、切れ込みの入った布帛2は、切れ込みのない部分(200+200mm=400mm)の部分を使用して測定した。
【0037】
(2)目付
JIS L 1096(8.4.2)(2010)に規定された方法により、布帛の単位面積当たりの質量を求めた。
【0038】
(3)目空き
光学顕微鏡(キーエンス製 VX−2000)を用い、布帛表面を50倍に拡大し、目空き孔を10点任意に選び、ソフトによる3点間内接円直径の測定を行った。なお目空きの値は測定を異なる場所10点で行い、その平均値で示してある。
【0039】
ダブルラッセルなどの2枚生地については、孔の狭い方を測定した。
【0040】
(4)親水性
JIS L 1907 7.3.1沈降法に準じて測定した。400mm×400mmの試験片を3枚採取し、続いて、布帛のタテ方向に、長さ300mm、幅、100mmにて3本切れ込みを入れ、次に、試験片の測定面を下向きにして、水を入れた水槽中に浮かべた後、試験片が湿潤して水中に沈降し始めるまでの時間をストップウォッチで1秒単位まで測定した。60秒以上経過しても沈降しない場合は、沈降しないものと判定した。ただし,試験片3枚のうち1枚が沈降しない場合は,更に1枚の試験片を追加採取し,同様の試験を行った。
【0041】
(5)厚さ
得られた布帛をJIS L 1096(8.4)(2010)に基づいて測定した。試料の異なる5か所について厚さ測定器を用い、10秒間及び0.7kPaの下で厚さ(mm)を測り,その平均値を算出した。
【0042】
(6)水中展開性
水槽中に食塩を3.5重量%溶かした人工海水に、作成した基材を浸漬し、基材を海中に沈める形態に広げ、沈降させ水中での展開状態を評価した。布帛が端の折れ曲がりや、丸まりなどなく均一に沈降するものを◎、布帛が沈降するが、布帛の端や切れ込み部分がやや乱れているものを○、布帛が沈降しない又は、布帛の端や切れ込み部分が乱れたり、お互いに重なり、水槽底面を覆うことが出来ないにものを×と評価した。
【0043】
(7)胞子付着性
水槽中に海藻養殖基材を沈め、海苔胞子を水槽上より100万個/m
2の密度にて均一に振りかけ、一週間後の付着状態を確認した。切れ込みの間の布帛部分を10箇所選択し、ルーペにて中心部5mm×5mm角の範囲を観察し、胞子の付着有無を確認した。胞子が少なくとも5個以上付着している観察点が、8点以上認められるものを◎、5〜7点付着が認められるものを○、それ以下を×と判定した。
<参考例1>
28ゲージのトリコット編機を用い、84T36Fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を、L1:1−0/0−1(フルセット)、L2:2−3/2−1、1−0/1−2(1in、1out)、L3:1−0/1−2、2−3/2−1(1in、1out)の組織で、機上コース80コースにて編成した。得られた布帛をセッターで120℃×2分セットを施し、84コース、40ウエールに仕上げた。
【0044】
仕上げた生地の評価結果を表1に示す。布帛1は、引張強力タテ33.0N/cm、ヨコ29.5N/cm、目付90g/m
2、厚み0.5mm、目空き0.3mm、吸水性10秒であった。
<参考例2>
22GGのダブルラッセル生地を用い、L1、L2、L4、L5に84T36Fのポリエチレンテレフタレート加工糸を用い、L3に33T−1のポリエチレンテレフタレート分繊糸を用い、L1:2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1/1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2//
L2:1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2/2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1//
L3:0−1−0−1/1−0−1−0//
L4:0−0−0−1/1−1−1−0//
L5:0−0−4−4/4−4−0−0//
の組織にて、予め、
図1〜3のように切れ込み間隔が15〜120mm、タテ方向に切れ込み無し長さ200mm、切れ込み長さが475mm、切れ込みなし長さ50mm、切れ込み長さ475mm、切れ込み無し長さ200mmの繰り返し編成とし、幅100cm、機上コース40コース/インチで編成し布帛2を得た。得られた布帛2評価結果を表1に示す。得られた布帛2は、引張強力タテ56.5N/cm、ヨコ68.6N/cm、目付250g/m
2、厚み1.9mm、目空き間隔0.3mm、吸水性5秒であった。
<参考例3>
ポリエチレンテレフタレート短繊維3.3dtex、繊維長51mmをオープナーにて通した後、耕地の方法にて、カードマシンおよびニードルパンチマシンに投入し、針本数300本/cm2にてニードルパンチ不織布(布帛3)を得た。得られた布帛3の評価結果を表1に示す。布帛3は、引張強力タテ49.8N/cm、ヨコ40.1N/cm、目付205g/m
2、厚み1.0mm、目空き間隔なし、吸水性60秒以上であった。
<参考例4>
目空きの大きさを1.5mm以上となるよう28ゲージのトリコット編機を用い、84T36Fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を、L1:1−0/0−1(フルセット)、L2:1−0/2−3/4−5/3−2(糸通し○×××)、L3:4−5/3−2/1−0/2−3(糸通し×××○)組織で、機上コース80コースにて編成した。得られた布帛をセッターで120℃×2分セットを施し、84コース、40ウエールに仕上げた。
得られた布帛4の評価結果を表1に示す。布帛4は、引張強力タテ25.0N/cm、ヨコ20.5N/cm、目付80g/m
2、厚み0.5mm、目空き1.5mm、沈降性10秒であった。
【0045】
[実施例1]
布帛1を用い、仕上げた生地を
図1に示すように、まず長さ1400mmにカットし、型抜き機にて、
図1のように、切れ込みの間隔15mmで65本、切れ込み長さが475mmにて中央50mm切れ込みを入れない部分を作り、さらに長さ475mmの切れ込みを型抜き機で実施した。長手方向の両端200mmは折り返し、袋状に縫い合わせることで、基材1を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材7は、水中展開性○、胞子付着性○という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0046】
[実施例2]
実施例1で得られたトリコット生地の切れ込み間隔が50mmになるようにカットする以外は、実施例1と同じ工程で
図2の形状の基材2を作成した。得られた基材の評価結果を表2に示す。基材2は、水中展開性◎、胞子付着性◎という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0047】
[実施例3]
実施例1で得られたトリコット生地の切れ込み間隔が120mmになるようにカットする以外は、実施例1と同じ工程で
図3の形状の基材3を作成した。得られた基材の評価結果を表2に示す。基材3は、水中展開性:◎、胞子付着性:◎という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0048】
[実施例4]
切れ込み間隔15mmの布帛2を用い、
図1に示すよう、切れ込み無し200mm部分を折り返して、袋状に縫い合わせることで、基材4を得た。得られた基材4の評価結果を表2に示す。基材4は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0049】
[実施例5]
切れ込み間隔50mmの布帛2を用い、実施例4と同じ工程にて
図2のように基材5を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材5は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0050】
[実施例6]
切れ込み間隔120mmの布帛2を用い、実施例4と同じ工程にて
図3のように基材6を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材6は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0051】
[比較例1]
基材7として養殖用に用いられている、水中ロープ(太さ10mm)を用いて、胞子付着性を確認した。基材の評価結果を表2に示す。線状であるため水中展開性は評価できず、胞子付着性×という評価結果であり、上で説明した実施例が優れていた。
【0052】
[比較例2]
布帛3を用いた基材8の評価結果を表2に示す。基材8は、沈降性が悪く、水面に浮かんでしまう状態であり、水中展開性、胞子付着性の評価が出来なかった。
【0053】
[比較例3]
実施例1で作成した布帛の切れ込み幅を5mmにするほかは、実施例1と同じ工程で基材9を得た。
基材の評価結果を表2に示す。基材の評価結果を表1に示す。基材9は、沈降後、切れ込みの乱れがひどく、水中展開性×、胞子付着性が×であった。
【0054】
[比較例4]
実施例1で作成した布帛の切れ込みをなしとするほかは、実施例1と同じ工程で基材10を得た。基材の評価結果を表2に示す。基材10は、水中展開では、均一に展開せず×であり胞子付着性も×であった。
【0055】
[比較例5]
実施例1で作成した布帛の切れ込み長さを950mmにするほかは、実施例1と同じ工程で基材11を得た。基材の評価結果を表2に示す。基材11は、切れ込みがみだれやすく水中展開性×、胞子付着性×であった。
【0056】
[比較例6]
布帛4を用いる他は、実施例1と同じ工程で基材12を作成した。基材の評価結果を表2に示す。基材11は、水が通りやすく、水中展開性◎であったが、胞子が抜けてしまい、胞子付着性は×であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】