特許第6123204号(P6123204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123204
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】海藻養殖基材
(51)【国際特許分類】
   A01G 33/02 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   A01G33/02 102
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-211937(P2012-211937)
(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2014-64516(P2014-64516A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】成田 周作
(72)【発明者】
【氏名】梶山 宏史
(72)【発明者】
【氏名】藤山 友道
【審査官】 大熊 靖夫
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−513762(JP,A)
【文献】 実開昭55−142963(JP,U)
【文献】 実開昭49−023489(JP,U)
【文献】 実開平04−071448(JP,U)
【文献】 実開昭60−104070(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第01745693(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0198761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 33/00−33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目空き長さ0.5mm以下の目空きを有する布帛からなり、
布帛に、長さ700mm以下の切れ込みが、10〜200mmの間隔で複数あることを特徴とする海藻養殖基材。
【請求項2】
布帛のJIS L 1907 7.3.1沈降法による吸水性が、60秒以下であることを特徴とする請求項1記載の海藻養殖基材。
【請求項3】
布帛が織物、編物から選ばれたものである請求項1又は2記載の海藻養殖基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、布帛を用いた海藻を養殖させるための基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海苔などの海藻の養殖では、ロープ、網等線状の基材に海藻の胞子などを付着させたり、ブロック、石等の基材の上に胞子を付着させ、海藻を育成する方法が行われている。(特許文献1、2)
ロープ、網等の線状基材では、胞子などの付着密度が低く、収穫量がなかなか上がらないという課題がある。また、ブロック、石などの基材に胞子を付着させる方法は、養殖場で胞子を付着させ、海藻の幼体が生育すると、天然海域に移動させるのが通常であり、基材は質量や体積が大きいことから、搬出、作業に多大な工数が必要になるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09−96号公報
【特許文献2】特開2007−135523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、海藻の胞子の付着性がよく、海中での展開性に優れた海藻養殖基材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)目空き大きさ1mm以下の目空きを有する布帛からなり、布帛に、長さ700mm以下の切れ込みが、10〜200mmの間隔で複数あることを特徴とする海藻養殖基材。
(2)布帛のJIS L 1907 7.3.1沈降法による吸水性が、60秒以下であることを特徴とする前記海藻養殖基材。
(3)布帛が織物、編物から選ばれたものである前記いずれかの海藻養殖基材。
【発明の効果】
【0006】
本発明の布帛からなる基材を用いることで、海中での展開性が高く、胞子の付着性が高い海藻養殖基材が提供される
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例に使用した布帛の平面図である。
図2】実施例に使用した布帛の平面図である。
図3】実施例に使用した布帛の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<形状に関する説明>
本発明に用いる海藻養殖基材は、目空き大きさ1mm以下の目空きを有する布帛であって、長さ700mm以下の切れ込みが10〜200mmの間隔で複数にあることを特徴とする。
【0009】
本発明の基材は面形状のものが好ましい。面形状を定義するのであれば、少なくとも、海藻の胞子が付着する面を有しているものといえる。基材の形状は、三角形、四角形、五角形、六角形やそれ以上の多角形等特に限定されないが、養殖するための設置の効率性から、四角形、さらに長方形が好ましい。海藻を養殖する部分の大きさは特に限定されないが、例えば500mm角、800mm角、1000mm角、1200mm角、1500mm角や、500×1000mm、1000×1200mm、1000×2000mmなど正方形や長方形であることが好ましい。大きさは、養殖するための作業性から、一辺が2000mm以下の四角形状が好ましい。
【0010】
また、本発明の海藻養殖基材は、基材を海中に固定するための固定部分があることが好ましい。基材の海中への固定方法としては、基材のタテ又はヨコの両端部を筒状に縫製し、そこに棒状の固定資材を通して、その棒状の固定資材と海上に設置した浮きや海中に設置した重しとを固定する方法や、基材の四隅に孔を明け、そこに浮きや重しとを固定する方法が上げられる。基材の四隅に孔を開ける方法は、基材が大きくなれば、必要に応じて、四隅の間に孔を開け、そこからも基材を固定する。
【0011】
固定部分の大きさは、基材を海底に固定するための十分な大きさがあれば良い。例えば、棒状の固定資材を海中に通す方法であれば、布帛のタテ又はヨコ方向に10cmの幅で縫製すれば十分である。すなわち、基材における固定部分の必要量は、折り返すため、倍の20cmとなる。また、基材の四隅に固定する方法であれば、布帛の四隅にそれぞれ10cm角程度の大きさがあることが好ましい。
【0012】
基材の厚みは、0.1〜10mmが好ましい。より好ましくは、0.3〜5mm、さらに好ましくは、0.5〜3mmである。厚みが小さすぎると、海藻を養殖するために必要な強度が得にくくなるとともに、海中での展開性が悪くなる。厚みが大きすぎると、波が基材を押し上げ、海上に浮かせてしまう傾向がある。
【0013】
また、目空きとは、布帛に空いた胞子が付着するための孔になる部分である。目空きがあることで、目空きが無いものと比較して、より胞子が一定間隔で均一に付着しやすくなるとともに、目空きを通じて海水が抜けることで、海中での展開性が良くなる。目空きとは、織物又は編物の糸と糸が構成する空隙のことである。目空きの大きさは、目空きの内部に接する想像上の円(内接円)の直径である。目空きの大きさは、1mm以下が好ましい。さらに好ましくは、0.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以下である。1mm以上の目空きだけでは、海藻の胞子が、ほとんど孔をすり抜けてしまうため、好ましくない。一方、海水の抜けやすさから0.01mm以上がいい。
【0014】
本発明の海藻養殖基材は、海水での展開性を良くするため切れ込みを複数有する。養殖基材が、海中に沈み込む際、切れ込みから海水が抜けることにより、海中での展開性が向上する。海中においても、切れ込みの間から海水が抜けていくので、海水の流れにより、基材が流されたり、反転することが少なくなる。切り込みの間隔は、10mm〜200mmが好ましく。より好ましくは、30〜150mm。より好ましくは、50〜120mmである。
【0015】
切れ込の間隔が、小さい、布帛の切れ込みが乱れやすくなり、胞子が脱離しやすくなる。一方、切れ込み幅が大きいと、海水中での展開性が悪くなる傾向がある。
【0016】
切れ込みの長さは、700mm以下が好ましい。より好ましくは、600mm以下、さらに好ましくは500mm以下である。切れ込み長さが、大きすぎると切れ込みの間の布帛が海水中で乱れやすくなり、胞子の付着性が落ちる傾向にある。切れ込みの長さは、50mm以上が好ましい。
【0017】
切れ込みは、布帛の大きさに対し、長さ700mm以下になるよう、また均等の幅に入れると良い。切れ込みと切れ込みを切れ込みの方向に並べる場合、その長手方向の間隔は、切れ込みの幅と同様、10〜200mmが好ましい。布帛の強度を向上させるため、より好ましくは、30〜150mm、より好ましくは、50〜120mmである。
【0018】
切れ込みの少なくとも一方の端部は布帛の面の中で終わり、結果として、切れ込みによって生じた布帛小片が切れ込みのないところを介してつながることになる。切れ込みはもう一方の端部でも、布帛の面の中で終わっている状態、すなわち、布帛の面の中に切れ込みがある状態が好ましい。この形態であると切れ込み間の布帛の乱れが少なくなり、胞子の付着性が良好となる。また切れ込みの方向は特に限定されない。
【0019】
また、本発明の海藻養殖基材の切れ込みの具体例について述べる。
【0020】
図1では、タテ1400mm、ヨコ1000mmの養殖基材である。切れ込みの間隔を15mmとして、図1のように等間隔に65本切れ込みをいれる。基材の中央には切れ込みがない部分、すなわち布帛が連続する部分を50mmの幅として設け、切れ込みの長さを475mmとし、タテ方向に切れ込みを2列並べた形状が上げられる。
【0021】
また、図2は、図1と同じ大きさのタテ1400mm、ヨコ1000mmの養殖基材である。切れ込みの間隔を50mmとして、図2のように等間隔に19本切れ込みを入れ、切れ込み長さを475mmとし、タテ方向に切れ込みを2列並べた形状が上げられる。
さらに、図3のように切れ込み間隔を120mmとするものがある。図3のように9本切れ、切れ込み長さを475mmとし、タテ方向に切れ込みを2列並べた形状が上げられる。
【0022】
ここで切れ込みとは、布帛が切れた状態にあればよく、作成時に布帛を切断する必要はない。すなわち海藻養殖基材の切れ込みの作成方法としては、布帛を基材の大きさに切断した後、型抜き機などで物理的に切れ込みを作成する方法や、編立時に糸抜き組織として、予め切れ込みを作成する方法、熱により、繊維を溶融させて切断する方法があげられる。また複数の小さい布同士の一部を縫い合わせてもよい。
【0023】
また、本発明の海藻養殖基材に使用される布帛は、JIS L 1907 7.3.1沈降法による吸水性が、60秒以下であることが好ましい。沈降法による吸水性の値が大きいと、海水に沈めて作業しようとする際、なかなか沈まず、展開性や作業性が著しく劣ることとなる。海藻養殖基材に吸水性を付与する方法としては、繊維に親水性の油剤を付与する方法や、布帛にした後に吸水性樹脂を付与する方法が上げられる。
【0024】
繊維に親水性の油剤を付与する場合、ポリエーテルエステル系、ポリエーテル活性剤、ポリエチレンワックスなどの混合物油剤などが好ましく用いられる。付着量は、布帛を構成する繊維に対し、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1質量%以上である。
【0025】
また、布帛に吸水性樹脂を付与するものとしては、ポリエステル系樹脂、アクリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いることができる。付着量は、付着量は、布帛を構成する繊維に対し、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1質量%以上である。
【0026】
続いて、本発明の海藻養殖基材を構成する布帛について述べる。
【0027】
本発明に用いる使用繊維は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ビニロン、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成繊維が好ましい。特に海水への沈降性の観点から、比重が1以上である、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ビニロン、ポリ乳酸が好ましい。さらに海水中での寸法安定性の観点から、比重が1.3であるポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸などのポリエステル系繊維が好ましく用いられる。繊維形態は、マルチフィラメント、モノフィラメント、紡績糸など特に限定されないが、マルチフィラメントが布帛は、モノフィラメントや紡績糸と比較して、単糸繊度が細いため、織編物としたときの目空きが小さいこと、さらに柔軟性を奏するため特に好ましく用いられる。
【0028】
用いる繊維の総繊度としては、50〜200dtex、さらに好ましくは、総繊度50〜90dtexが、目空きの緻密さと柔軟性を奏するため好ましい。さらに、仮撚加工などのけん縮加工を施してもよい。
【0029】
また、本発明に用いる海藻養殖基材の好ましい態様としては、織物や編物が好ましい。中でも、海中で布帛が傷ついたときのほつれにくさの観点から、経編物が好ましく用いられる。
【0030】
織物としては、平織物のメッシュ構造、編物としては、トリコットやダブルラッセル生地を用い、鹿の子や亀甲柄などの目空き組織が好ましい。
【0031】
例えば、トリコット編物では、フロント糸に1−0/1−2、2−3/2−1、バック糸として、2−3/2−1、1−0/1−2のチュール組織。3枚筬では、フロント糸に1−0/0−1、ミドル糸に2−3/2−1、1−0/1−2、バック糸に1−0/1−2、2−3/2−1などの組織。
【0032】
また、ダブルラッセル生地は、フロント側のL1、L2とバック側のL4、L5にメッシュ組織、ミドルのL3には、厚みを持たせるための、立体構造組織をとる。
例えば、
L1:2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1/1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2//
L2:1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2/2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1//
L3:0−1−0−1/1−0−1−0//
L4:0−0−0−1/1−1−1−0//
L5:0−0−4−4/4−4−0−0//の目空き組織が用いられる。
【0033】
これらの経編地では、切れ込み幅の部分のみ糸を編み合わせないよう組織を変化させることで、予め均等に切れ込みが入った切れ込み編地を作成することも出来る。
【0034】
本発明の海藻養殖基材は、布帛に胞子を付着させ、海中に沈めて使用する。胞子の付着の継続性が高く、効率的な養殖を行うことができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例により、さらに詳細に説明する。なお、本発明中の各評価は、次の方法で求めた。
【0036】
[測定方法]
(1)引張強力
JIS L 1096(8.14.1)(2010) A法に基づいて測定した。サンプルを幅50mm、長さ300mmの大きさでタテ方向、ヨコ方向へ5枚を採取し、試験片を初荷重の下で適切な性能をもつ引張試験機でつかみ,つかみ間隔 200mm、引張速度200mmにて切断時の最大荷重の平均値を測定した。
予め、切れ込みの入った布帛2は、切れ込みのない部分(200+200mm=400mm)の部分を使用して測定した。
【0037】
(2)目付
JIS L 1096(8.4.2)(2010)に規定された方法により、布帛の単位面積当たりの質量を求めた。
【0038】
(3)目空き
光学顕微鏡(キーエンス製 VX−2000)を用い、布帛表面を50倍に拡大し、目空き孔を10点任意に選び、ソフトによる3点間内接円直径の測定を行った。なお目空きの値は測定を異なる場所10点で行い、その平均値で示してある。
【0039】
ダブルラッセルなどの2枚生地については、孔の狭い方を測定した。
【0040】
(4)親水性
JIS L 1907 7.3.1沈降法に準じて測定した。400mm×400mmの試験片を3枚採取し、続いて、布帛のタテ方向に、長さ300mm、幅、100mmにて3本切れ込みを入れ、次に、試験片の測定面を下向きにして、水を入れた水槽中に浮かべた後、試験片が湿潤して水中に沈降し始めるまでの時間をストップウォッチで1秒単位まで測定した。60秒以上経過しても沈降しない場合は、沈降しないものと判定した。ただし,試験片3枚のうち1枚が沈降しない場合は,更に1枚の試験片を追加採取し,同様の試験を行った。
【0041】
(5)厚さ
得られた布帛をJIS L 1096(8.4)(2010)に基づいて測定した。試料の異なる5か所について厚さ測定器を用い、10秒間及び0.7kPaの下で厚さ(mm)を測り,その平均値を算出した。
【0042】
(6)水中展開性
水槽中に食塩を3.5重量%溶かした人工海水に、作成した基材を浸漬し、基材を海中に沈める形態に広げ、沈降させ水中での展開状態を評価した。布帛が端の折れ曲がりや、丸まりなどなく均一に沈降するものを◎、布帛が沈降するが、布帛の端や切れ込み部分がやや乱れているものを○、布帛が沈降しない又は、布帛の端や切れ込み部分が乱れたり、お互いに重なり、水槽底面を覆うことが出来ないにものを×と評価した。
【0043】
(7)胞子付着性
水槽中に海藻養殖基材を沈め、海苔胞子を水槽上より100万個/mの密度にて均一に振りかけ、一週間後の付着状態を確認した。切れ込みの間の布帛部分を10箇所選択し、ルーペにて中心部5mm×5mm角の範囲を観察し、胞子の付着有無を確認した。胞子が少なくとも5個以上付着している観察点が、8点以上認められるものを◎、5〜7点付着が認められるものを○、それ以下を×と判定した。
<参考例1>
28ゲージのトリコット編機を用い、84T36Fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を、L1:1−0/0−1(フルセット)、L2:2−3/2−1、1−0/1−2(1in、1out)、L3:1−0/1−2、2−3/2−1(1in、1out)の組織で、機上コース80コースにて編成した。得られた布帛をセッターで120℃×2分セットを施し、84コース、40ウエールに仕上げた。
【0044】
仕上げた生地の評価結果を表1に示す。布帛1は、引張強力タテ33.0N/cm、ヨコ29.5N/cm、目付90g/m、厚み0.5mm、目空き0.3mm、吸水性10秒であった。
<参考例2>
22GGのダブルラッセル生地を用い、L1、L2、L4、L5に84T36Fのポリエチレンテレフタレート加工糸を用い、L3に33T−1のポリエチレンテレフタレート分繊糸を用い、L1:2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1/1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2//
L2:1−0−0−0/1−2−2−2/1−0−0−0/1−2−2−2/2−3−3−3/2−1−1−1/2−3−3−3/2−1−1−1//
L3:0−1−0−1/1−0−1−0//
L4:0−0−0−1/1−1−1−0//
L5:0−0−4−4/4−4−0−0//
の組織にて、予め、図1〜3のように切れ込み間隔が15〜120mm、タテ方向に切れ込み無し長さ200mm、切れ込み長さが475mm、切れ込みなし長さ50mm、切れ込み長さ475mm、切れ込み無し長さ200mmの繰り返し編成とし、幅100cm、機上コース40コース/インチで編成し布帛2を得た。得られた布帛2評価結果を表1に示す。得られた布帛2は、引張強力タテ56.5N/cm、ヨコ68.6N/cm、目付250g/m、厚み1.9mm、目空き間隔0.3mm、吸水性5秒であった。
<参考例3>
ポリエチレンテレフタレート短繊維3.3dtex、繊維長51mmをオープナーにて通した後、耕地の方法にて、カードマシンおよびニードルパンチマシンに投入し、針本数300本/cm2にてニードルパンチ不織布(布帛3)を得た。得られた布帛3の評価結果を表1に示す。布帛3は、引張強力タテ49.8N/cm、ヨコ40.1N/cm、目付205g/m、厚み1.0mm、目空き間隔なし、吸水性60秒以上であった。
<参考例4>
目空きの大きさを1.5mm以上となるよう28ゲージのトリコット編機を用い、84T36Fのポリエチレンテレフタレート仮撚糸を、L1:1−0/0−1(フルセット)、L2:1−0/2−3/4−5/3−2(糸通し○×××)、L3:4−5/3−2/1−0/2−3(糸通し×××○)組織で、機上コース80コースにて編成した。得られた布帛をセッターで120℃×2分セットを施し、84コース、40ウエールに仕上げた。
得られた布帛4の評価結果を表1に示す。布帛4は、引張強力タテ25.0N/cm、ヨコ20.5N/cm、目付80g/m、厚み0.5mm、目空き1.5mm、沈降性10秒であった。
【0045】
[実施例1]
布帛1を用い、仕上げた生地を図1に示すように、まず長さ1400mmにカットし、型抜き機にて、図1のように、切れ込みの間隔15mmで65本、切れ込み長さが475mmにて中央50mm切れ込みを入れない部分を作り、さらに長さ475mmの切れ込みを型抜き機で実施した。長手方向の両端200mmは折り返し、袋状に縫い合わせることで、基材1を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材7は、水中展開性○、胞子付着性○という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0046】
[実施例2]
実施例1で得られたトリコット生地の切れ込み間隔が50mmになるようにカットする以外は、実施例1と同じ工程で図2の形状の基材2を作成した。得られた基材の評価結果を表2に示す。基材2は、水中展開性◎、胞子付着性◎という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0047】
[実施例3]
実施例1で得られたトリコット生地の切れ込み間隔が120mmになるようにカットする以外は、実施例1と同じ工程で図3の形状の基材3を作成した。得られた基材の評価結果を表2に示す。基材3は、水中展開性:◎、胞子付着性:◎という結果であり、海藻養殖基材として適していた。
【0048】
[実施例4]
切れ込み間隔15mmの布帛2を用い、図1に示すよう、切れ込み無し200mm部分を折り返して、袋状に縫い合わせることで、基材4を得た。得られた基材4の評価結果を表2に示す。基材4は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0049】
[実施例5]
切れ込み間隔50mmの布帛2を用い、実施例4と同じ工程にて図2のように基材5を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材5は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0050】
[実施例6]
切れ込み間隔120mmの布帛2を用い、実施例4と同じ工程にて図3のように基材6を得た。得られた基材の評価結果を表2に示す。得られた基材6は、水中展開性◎、胞子付着性○という結果であり海藻養殖基材として適していた。
【0051】
[比較例1]
基材7として養殖用に用いられている、水中ロープ(太さ10mm)を用いて、胞子付着性を確認した。基材の評価結果を表2に示す。線状であるため水中展開性は評価できず、胞子付着性×という評価結果であり、上で説明した実施例が優れていた。
【0052】
[比較例2]
布帛3を用いた基材8の評価結果を表2に示す。基材8は、沈降性が悪く、水面に浮かんでしまう状態であり、水中展開性、胞子付着性の評価が出来なかった。
【0053】
[比較例3]
実施例1で作成した布帛の切れ込み幅を5mmにするほかは、実施例1と同じ工程で基材9を得た。
基材の評価結果を表2に示す。基材の評価結果を表1に示す。基材9は、沈降後、切れ込みの乱れがひどく、水中展開性×、胞子付着性が×であった。
【0054】
[比較例4]
実施例1で作成した布帛の切れ込みをなしとするほかは、実施例1と同じ工程で基材10を得た。基材の評価結果を表2に示す。基材10は、水中展開では、均一に展開せず×であり胞子付着性も×であった。
【0055】
[比較例5]
実施例1で作成した布帛の切れ込み長さを950mmにするほかは、実施例1と同じ工程で基材11を得た。基材の評価結果を表2に示す。基材11は、切れ込みがみだれやすく水中展開性×、胞子付着性×であった。
【0056】
[比較例6]
布帛4を用いる他は、実施例1と同じ工程で基材12を作成した。基材の評価結果を表2に示す。基材11は、水が通りやすく、水中展開性◎であったが、胞子が抜けてしまい、胞子付着性は×であった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
図1
図2
図3