特許第6123306号(P6123306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123306
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20170424BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20170424BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G03G15/16
   G03G15/00 550
   G03G15/01
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-8495(P2013-8495)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139632(P2014-139632A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年8月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】難波 治之
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−126529(JP,A)
【文献】 特開平04−366857(JP,A)
【文献】 特開2010−197961(JP,A)
【文献】 特開2009−008982(JP,A)
【文献】 特開平03−042687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/00− 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸が形成されている記録媒体の片面にのみ画像を形成する画像形成装置であって、
少なくとも表面が非弾性体で構成され、複数の像担持体で形成されたトナー像が重ねて転写される第1転写体と、
少なくとも表面が弾性体で構成され、前記第1転写体上のトナー像が転写される第2転写体と、
前記第1転写体上のトナー像を前記第2転写体に転写する第1転写手段と、
前記第2転写体上のトナー像を記録媒体に転写する第2転写手段と
を備え、
前記第1転写手段及び前記第2転写手段は、前記第1転写体及び前記第2転写体を挟み込む第1ローラ及び第2ローラと、当該第1ローラ及び第2ローラのいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、
前記第1転写体が無端の非弾性ベルトであり、前記第2転写体が無端の弾性ベルトであり、
前記第1ローラは前記非弾性ベルトの内部に配置されており、前記第2ローラは前記弾性ベルトの内部に配置されており、
前記電圧印加手段が前記第2ローラに電圧を印加する場合、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記電圧印加手段は、前記第1転写手段を構成し、
前記電圧印加手段が前記第1ローラに電圧を印加する場合、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記電圧印加手段は、前記第2転写手段を構成する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録媒体が表面に凹凸が形成されていない記録媒体である場合、前記第1転写手段は、前記第1転写体上のトナー像を当該凹凸が形成されていない記録媒体に転写することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1転写手段は、前記第1転写体上のトナー像が前記第2転写体に接触した後に、前記第2転写体に前記第1転写体上のトナー像の電荷と逆極性の電圧を印加することにより、前記第1転写体上のトナー像を前記第2転写体に転写し、
前記第2転写手段は、前記第2転写体上のトナー像が前記記録媒体に接触した後に、前記第2転写体と対向する転写部材に前記第2転写体上のトナー像の電荷と逆極性の電圧を印加することにより、前記第2転写体上のトナー像を前記記録媒体に転写することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも表面が非弾性ベルトで構成される第1転写体と、少なくとも表面が弾性ベルトで構成される第2転写体と、前記第1転写体及び前記第2転写体を挟み込む第1ローラ及び第2ローラと、当該第1ローラ及び第2ローラのいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1ローラは前記非弾性ベルトの内部に配置されており、前記第2ローラは前記弾性ベルトの内部に配置され、表面に凹凸が形成されている記録媒体の片面にのみ画像を形成する画像形成装置の画像形成方法であって、
前記第1転写体上に複数の像担持体で形成されたトナー像が重なるように転写し、
前記電圧印加手段が前記第2ローラに電圧を印加することによって、前記第2転写体上に前記第1転写体上のトナー像を転写し、
前記電圧印加手段が前記第1ローラに電圧を印加することによって、前記第2転写体上のトナー像を記録媒体に転写する
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項5】
前記第2転写手段が前記第2転写体上のトナー像を前記記録媒体に転写するまで、前記第1転写体上の別のトナー像が前記第2ローラと前記第1転写体との間で前記記録媒体をプレニップする位置に到達しないように、前記複数の像担持体による前記トナー像の形成タイミングを制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、中間転写体を用いてトナーを静電転写する画像形成装置が知られている。中間転写体を用いて用紙に画像を形成する場合、一般的に感光体等の像担持体から中間転写体に順にカラートナー像を色ずれなく転写し、さらに一括して用紙に多色画像を転写する。この場合、表面が平滑な用紙又はエンボス紙と呼ばれる凹凸が形成された用紙が使用される。
【0003】
また、中間転写体の一例として、特許文献1には、ゴム材料で構成される中間転写体が開示されている。特許文献2には、多層構造を有し、一つの層が低硬度材料で構成される中間転写体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−195679号公報
【0005】
【特許文献2】特開2004−191659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、表面の粗い記録媒体に対して転写不良のない且つ色ずれのないトナー像を転写することができる画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の画像形成装置は、表面に凹凸が形成されている記録媒体の片面にのみ画像を形成する画像形成装置であって、少なくとも表面が非弾性体で構成され、複数の像担持体で形成されたトナー像が重ねて転写される第1転写体と、少なくとも表面が弾性体で構成され、前記第1転写体上のトナー像が転写される第2転写体と、前記第1転写体上のトナー像を前記第2転写体に転写する第1転写手段と、前記第2転写体上のトナー像を記録媒体に転写する第2転写手段とを備え、前記第1転写手段及び前記第2転写手段は、前記第1転写体及び前記第2転写体を挟み込む第1ローラ及び第2ローラと、当該第1ローラ及び第2ローラのいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1転写体が無端の非弾性ベルトであり、前記第2転写体が無端の弾性ベルトであり、前記第1ローラは前記非弾性ベルトの内部に配置されており、前記第2ローラは前記弾性ベルトの内部に配置されており、前記電圧印加手段が前記第2ローラに電圧を印加する場合、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記電圧印加手段は、前記第1転写手段を構成し、前記電圧印加手段が前記第1ローラに電圧を印加する場合、前記第1ローラ、前記第2ローラ及び前記電圧印加手段は、前記第2転写手段を構成することを特徴とする。
【0010】
請求項の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記記録媒体が表面に凹凸が形成されていない記録媒体である場合、前記第1転写手段は、前記第1転写体上のトナー像を当該凹凸が形成されていない記録媒体に転写することを特徴とする。
【0011】
請求項3の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第1転写手段は、前記第1転写体上のトナー像が前記第2転写体に接触した後に、前記第2転写体に前記第1転写体上のトナー像の電荷と逆極性の電圧を印加することにより、前記第1転写体上のトナー像を前記第2転写体に転写し、前記第2転写手段は、前記第2転写体上のトナー像が前記記録媒体に接触した後に、前記第2転写体と対向する転写部材に前記第2転写体上のトナー像の電荷と逆極性の電圧を印加することにより、前記第2転写体上のトナー像を前記記録媒体に転写することを特徴とする。
【0012】
請求項4の画像形成方法は、少なくとも表面が非弾性ベルトで構成される第1転写体と、少なくとも表面が弾性ベルトで構成される第2転写体と、前記第1転写体及び前記第2転写体を挟み込む第1ローラ及び第2ローラと、当該第1ローラ及び第2ローラのいずれか一方に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記第1ローラは前記非弾性ベルトの内部に配置されており、前記第2ローラは前記弾性ベルトの内部に配置され、表面に凹凸が形成されている記録媒体の片面にのみ画像を形成する画像形成装置の画像形成方法であって、前記第1転写体上に複数の像担持体で形成されたトナー像が重なるように転写し、前記電圧印加手段が前記第2ローラに電圧を印加することによって、前記第2転写体上に前記第1転写体上のトナー像を転写し、前記電圧印加手段が前記第1ローラに電圧を印加することによって、前記第2転写体上のトナー像を記録媒体に転写することを特徴とする。
請求項5の画像形成装置は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記第2転写手段が前記第2転写体上のトナー像を前記記録媒体に転写するまで、前記第1転写体上の別のトナー像が前記第2ローラと前記第1転写体との間で前記記録媒体をプレニップする位置に到達しないように、前記複数の像担持体による前記トナー像の形成タイミングを制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、表面の粗い記録媒体に対して転写不良のない且つ色ずれのないトナー像を転写することができる。さらに、第1転写体上のトナー像を第2転写体に転写する構成と第2転写体上のトナー像を記録媒体に転写する構成とを共通化でき、装置の小型化を図ることができる。
【0016】
請求項の発明によれば、表面に凹凸が形成されていない記録媒体が使用される場合には、第2転写体の利用を回避できる。
【0017】
請求項の発明によれば、転写によるトナー像のばらけを回避できる。
【0018】
請求項の発明によれば、表面の粗い記録媒体に対して転写不良のない且つ色ずれのないトナー像を転写することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】比較例に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図2】(A)及び(B)は、中間転写体の断面図である。
図3】(A)は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。(B)は、図3(A)の画像形成装置の一部の変形例を示すブロック図である。
図4】第2の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
図5】第3の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(比較例)
図1は、画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図1の画像形成装置1は、例えば、カラー複写機であるが、カラーの複合機又はカラープリンターでもよい。画像形成装置1は、複数の像担持体に形成される互いに異なる色のトナー像を、共通の中間転写体に一次転写することにより中間転写体上で各色のトナー像を重ね合わせる。そして、画像形成装置1は、中間転写体上に形成されたカラートナー像を記録媒体に二次転写することにより、記録媒体にカラートナー像を形成する。従って、画像形成装置1は、いわゆる中間転写方式の装置である。
【0023】
画像形成装置1は、無端状のベルトにより構成されている中間転写体7を有する。中間転写体7は、中間ローラ2,3、対向ローラ4及び一次転写ローラ6Y、6M、6C及び6Kにより張架されており、図1の矢印A方向に移動する。即ち、中間転写体7は、図1の矢印A方向に回転する。画像形成装置1には、イエロートナー像、マゼンダトナー像、シアントナー像及びブラックトナー像をそれぞれ形成するトナー像形成ユニット9Y、9M、9C及び9Kが、中間転写体7の移動方向に沿って、順番に離間して設けられている。
【0024】
トナー像形成ユニット9Yは、感光体である像担持体10Y、帯電装置11Y、露光装置12Y、現像器13Y及びクリーニング装置14Yを有する。像担持体10Yは、不図示の駆動装置により矢印B方向に回転する。像担持体10Yでは、帯電装置11Yにより像担持体10Yの表面が一様に帯電され、露光装置12Yにより画像情報に応じた静電潜像が形成される。現像器13Yは、回転駆動され、像担持体10Y上に形成された静電潜像に応じたトナー像を形成する。トナー像は、負極性に帯電される。
【0025】
クリーニング装置14Yは、一次転写後に像担持体10Yの表面から残ったトナーを取り除くウレタンゴムなどの弾性体を備えている。トナー像形成ユニット9M、9C及び9Kも、それぞれ、像担持体10M,10C,10K、帯電装置11M,11C,11K、露光装置12M,12C,12K、現像器13M,13C,13K、及びクリーニング装置14M,14C,14Kを有する。トナー像形成ユニット9M、9C及び9Kは、上記トナー像形成ユニット9Yと同様の機能を有する。
【0026】
一次転写ローラ6Y、6M、6C及び6Kは、中間転写体7を介してそれぞれ像担持体10Y、10M、10C及び10Kの下に配置されている。中間転写体7は、一次転写ローラ6Y、6M、6C及び6Kと像担持体10Y、10M、10C及び10Kとの間で押圧されている。それぞれ押圧されている部分は一次転写領域15Y、15M、15C及び15Kを形成する。一次転写ローラ6Y、6M、6C及び6Kに、不図示の電流供給装置によって電流が供給されると、像担持体10Y、10M、10C及び10K上に形成されたそれぞれのトナー像が中間転写体7上に転写される。
【0027】
中間転写体7の移動方向において、トナー像形成ユニット9Kよりも下流の位置に、二次転写領域16が形成されている。二次転写領域16は、対向ローラ4と二次転写ローラ5との間で中間転写体7上のトナー像を記録媒体17に二次転写する領域である。電圧印加回路18が二次転写ローラ5にトナーの電荷と逆極性の電圧を印加すると、記録媒体17にトナーの電荷と逆極性の電荷が供給され、中間転写体7上のトナー像が記録媒体17に二次転写される。トナー像が転写された記録媒体17は、矢印C方向に搬送される。電圧印加回路18が二次転写ローラ5にトナーの電荷と逆極性の電圧を印加するときには、対向ローラ4は接地されている。
【0028】
二次転写ローラ5は、図1に示すように、対向ローラ4に対して中間転写体7の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。また、二次転写ローラ5は、中間転写体7を介して対向ローラ4に接触している。つまり、二次転写ローラ5と中間転写体7との間で記録媒体17をプレニップする位置(即ち、プレニップ位置19)は、二次転写ローラ5が中間転写体7を介して対向ローラ4と接触する位置(即ち、二次転写領域16)よりも中間転写体7の移動方向において上流側に設けられている。
【0029】
従って、中間転写体7上のトナー像が記録媒体17に接触した後に、二次転写ローラ5にトナーの電荷と逆極性の電圧が印加され、記録媒体17にトナーの電荷と逆極性の電荷が供給される。これにより、二次転写前に中間転写体7上のトナーが放電し、二次転写ローラ5に向かって飛散すること(いわゆるギャップ転写)が防止される。
【0030】
図2(A)及び図2(B)は、中間転写体の断面図である。図2(A)の中間転写体7a及び図2(B)の中間転写体7bは、図1の中間転写体7の一例である。
【0031】
図2(A)の中間転写体7aは、0.08mm厚のポリイミド(PI)で構成されるシームレスベルトであり、十分な剛性を有する非弾性体である。図2(B)の中間転写体7bは、上記0.08mm厚のポリイミド上に0.5mm厚のシリコンゴムで構成される弾性層を設けた中間転写体である。シリコンゴムの硬度は30°である。
【0032】
本出願人は、図1の画像形成装置1にこの2つの中間転写体を交互に装着して、プリントを行った。図2(A)の中間転写体7aが画像形成装置1に装着された場合には、エンボス紙へのトナーの転写性が悪かった。これはエンボス紙の凹部にトナーが転写されないためである。一方、図2(B)の中間転写体7bが画像形成装置1に装着された場合には、エンボス紙へのトナーの転写性は良好であったが、色ずれが生じていた。この色ずれは、一次転写領域で接触する像担持体10Y,10M,10C,10Kと中間転写体7bの摩擦力により、中間転写体7bの厚み方向と垂直な方向に生じる弾性層の不規則な歪みと歪みの解放とに起因すると考えられる。
【0033】
従って、中間転写体7a及び中間転写体7bのいずれが使用される場合でも、比較例の画像形成装置1は、エンボス紙のような表面の粗い記録媒体に対して転写不良のない且つ色ずれのない画像を形成することができない。
【0034】
(第1の実施の形態)
図3(A)は、第1の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。図3(B)は、図3(A)の画像形成装置の一部の変形例を示すブロック図である。
【0035】
第1の実施の形態に係る画像形成装置100では、図1の画像形成装置1と同一の構成に同一の符号を付し、その説明を省略する。図3(A)及び図3(B)において、例えば、点線の記録媒体17は普通紙であり、実線の記録媒体17は凹凸のあるエンボス紙である。図3(A)及び図3(B)では、普通紙は矢印C方向に搬送され、エンボス紙は矢印D方向に搬送されるので、普通紙及びエンボス紙の搬送方向が互いに異なる。
【0036】
画像形成装置100は、対向ローラ4、弾性ローラ20及び転写ローラ23に電圧を印加すると共に対向ローラ4及び弾性ローラ20を適宜接地する電圧印加回路25を備えている。
【0037】
画像形成装置100では、中間転写体として図2(A)の中間転写体7aを使用する。また、表面が弾性体で形成される弾性ローラ20を二次転写の転写ローラとして使用する。弾性ローラ20の表面の弾性体は、例えばシリコンゴムで形成される。また、弾性ローラ20の表面の硬度は、例えば30°である。
【0038】
弾性ローラ20は、図1の二次転写ローラ5と同様に、対向ローラ4に対して中間転写体7の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。弾性ローラ20は、中間転写体7aを介して対向ローラ4に接触している。つまり、弾性ローラ20と中間転写体7aとの間で記録媒体17をプレニップする位置(即ち、プレニップ位置19)は、弾性ローラ20が中間転写体7aを介して対向ローラ4と接触する位置(即ち、二次転写領域16)よりも中間転写体7aの移動方向において上流側に設けられている。これにより、中間転写体7a上のトナー像は、弾性ローラ20に接触した後、二次転写領域16に到達する。ここで、電圧印加回路25が、トナーの電荷と逆極性の電圧を弾性ローラ20に印加することにより、弾性ローラ20の表面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、二次転写領域16で中間転写体7a上のトナー像は弾性ローラ20上に二次転写される。従って、二次転写工程前のギャップ転写が防止され、トナーばらけや放電不良の無いトナー像が弾性ローラ20に転写される。
【0039】
尚、普通紙(図3(A)及び図3(B)の点線の記録媒体17)が使用される場合には、中間転写体7a上のトナー像は、弾性ローラ20に二次転写されることなく、直接普通紙に転写される。
【0040】
また、画像形成装置100は、張架ローラ21,22と、転写ローラ23と、搬送ベルト24とを備えている。搬送ベルト24は張架ローラ21,22及び転写ローラ23により張架されている。搬送ベルト24は矢印E方向に回転する。
【0041】
転写ローラ23は搬送ベルト24を介して弾性ローラ20に接触している。弾性ローラ20は、転写ローラ23に対して搬送ベルト24の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。つまり、弾性ローラ20と搬送ベルト24との間で記録媒体17をプレニップする位置(即ち、プレニップ位置26)は、転写ローラ23が搬送ベルト24を介して弾性ローラ20と接触する位置(即ち、三次転写領域27)よりも搬送ベルト24の移動方向において上流側に設けられている。
【0042】
従って、弾性ローラ20のトナー像は記録媒体17に接触した後に、三次転写領域27に到達する。そして、電圧印加回路25が、トナーの電荷と逆極性の電圧を転写ローラ23に印加することにより、記録媒体17の裏面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、三次転写領域27で弾性ローラ20上のトナー像は記録媒体17上に三次転写される。これにより、転写不良のない且つ色ずれのないトナー像が記録媒体17上に転写される。また、中間転写体7aから弾性ローラ20へのトナー像の転写と同様に、プレニップで弾性ローラ20上のトナー像を搬送ベルト上の記録媒体17(エンボス紙)に密着させるので、トナーばらけや放電不良の無いトナー像が得られる。
【0043】
図3(A)では、転写ローラ23が張架ローラ21から独立して設けられているが、図3(B)のように、張架ローラ21Aが張架及び転写の機能を有してもよい。また、搬送ベルト24を搬送ローラに置き換えることもできるが、この場合、プレニップでトナー像を記録媒体17上に密着させる効果、即ちトナーばらけを防止する効果等は得られない。
【0044】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。第2の実施の形態に係る画像形成装置101では、上記の画像形成装置1又は100と同一の構成に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
画像形成装置101は、転写ローラ31、張架ローラ32、転写ベルト33、弾性ローラ34、張架ローラ35,36、転写ローラ37及び搬送ベルト38を備えている。さらに、画像形成装置101は、対向ローラ4、転写ローラ31、弾性ローラ34及び転写ローラ37に電圧を印加すると共に対向ローラ4、転写ローラ31及び弾性ローラ34を適宜接地する電圧印加回路39を備えている。
【0046】
これ以外の構成は、画像形成装置1又は100の対応する構成と同様である。転写ベルト33は転写ローラ31及び張架ローラ32により張架されている。搬送ベルト38は、張架ローラ35,36及び転写ローラ37により張架されている。
【0047】
転写ローラ31は、図3の弾性ローラ20と同様に、対向ローラ4に対して中間転写体7aの移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。また、転写ローラ31は、中間転写体7a及び転写ベルト33を介して対向ローラ4に接触している。中間転写体7a上のトナー像は、転写ベルト33を介して転写ローラ31に接触した後、二次転写領域16に到達する。ここで、電圧印加回路39が、トナーの電荷と逆極性の電圧を転写ローラ31に印加することにより、転写ベルト33の表面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、二次転写領域16で中間転写体7a上のトナー像は転写ベルト33上に二次転写される。従って、トナーばらけや放電不良の無いトナー像が転写ベルト33に転写される。尚、普通紙(点線の記録媒体17)が使用される場合には、中間転写体7a上のトナー像は、転写ベルト33に二次転写されることなく、直接普通紙に転写される。
【0048】
弾性ローラ34の表面は、弾性体、例えば硬度が30°であるシリコンゴムで形成されている。弾性ローラ34は、転写ローラ31に対して転写ベルト33の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。弾性ローラ34は、転写ベルト33を介して転写ローラ31に接触している。電圧印加回路39は、トナーの電荷と逆極性の電圧を弾性ローラ34に印加することにより、弾性ローラ34の表面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、転写ベルト33上のトナー像は弾性ローラ34上に三次転写される。
【0049】
転写ローラ37は搬送ベルト38を介して弾性ローラ34に接触している。弾性ローラ34は、転写ローラ37に対して搬送ベルト38の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。つまり、弾性ローラ34と搬送ベルト38との間で記録媒体17をプレニップする位置は、転写ローラ37が搬送ベルト38を介して弾性ローラ34と接触する位置よりも搬送ベルト38の移動方向において上流側に設けられている。
【0050】
弾性ローラ34のトナー像は記録媒体17に接触した後に、電圧印加回路39は、トナーの電荷と逆極性の電圧を転写ローラ37に印加することにより、記録媒体17の裏面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、弾性ローラ34上のトナー像は記録媒体17上に四次転写される。これにより、転写不良のない且つ色ずれのないトナー像が記録媒体17上に転写される。また、中間転写体7aから転写ベルト33へのトナー像の転写と同様に、プレニップで弾性ローラ34上のトナー像を搬送ベルト38上の記録媒体17(エンボス紙)に密着させるので、トナーばらけや放電不良の無いトナー像が得られる。
【0051】
第2の実施の形態によれば、普通紙の搬送方向(図4の矢印C方向)とエンボス紙の搬送方向(図4の矢印D方向)が同一であるので、紙送りの切り替えが容易となり、画像形成装置101の小型化が図れる。
【0052】
さらに、弾性ローラ34、張架ローラ35,36、転写ローラ37及び搬送ベルト38を1つのユニット60(例えばエンボス紙用のオプションユニット)として、画像形成装置101から着脱可能に構成してもよい。この場合、画像形成装置101は、弾性ローラ34、張架ローラ35,36、転写ローラ37及び搬送ベルト38を除いた構成要素で構成される。本実施の形態では、画像データを鏡像とする必要もない。
【0053】
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成を示すブロック図である。第3の実施の形態に係る画像形成装置102では、上記の画像形成装置1、100又は101と同一の構成に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
画像形成装置102は、転写ローラ41、張架ローラ42及び転写ベルト43を備えている。また、画像形成装置102は、対向ローラ4及び転写ローラ41に電圧を印加すると共に対向ローラ4若しくは転写ローラ41を適宜接地する電圧印加回路44と、トナー像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kによるトナー像の形成タイミング(即ち一次転写タイミング)を制御する制御部50を備えている。これ以外の構成は、画像形成装置1、100又は101の対応する構成と同様である。
【0055】
転写ベルト43は、転写ローラ41及び張架ローラ42により張架されている。転写ベルト43は、図2(B)の中間転写体7bと同様に、0.08mm厚のポリイミド上に0.5mm厚のシリコンゴムで構成される弾性層を設けた転写体である。シリコンゴムの硬度は、例えば30°である。転写ベルト43の周長は、画像形成装置102で使用される用紙の最大サイズの長辺を超える長さである。例えば、画像形成装置102で使用される用紙の最大サイズがA3サイズである場合、A3サイズの長辺は420mmであるので、転写ベルト43の周長は420mm以上である。
【0056】
転写ローラ41は、図3の弾性ローラ20と同様に、対向ローラ4に対して中間転写体7の移動方向の上流側にオフセットして(即ちずらして)配置されている。転写ローラ41は、中間転写体7a及び転写ベルト43を介して対向ローラ4に接触している。つまり、転写ローラ41と中間転写体7aとの間で記録媒体17をプレニップする位置(即ち、プレニップ位置19)は、転写ローラ41が中間転写体7a及び転写ベルト43を介して対向ローラ4と接触する位置(即ち、二次転写領域16)よりも中間転写体7aの移動方向において上流側に設けられている。これにより、中間転写体7a上のトナー像は、転写ベルト43に接触した後、二次転写領域16に到達する。ここで、電圧印加回路44が、トナーの電荷と逆極性の電圧を転写ローラ41に印加することにより、転写ベルト43の表面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、二次転写領域16で中間転写体7a上のトナー像は転写ベルト43上に二次転写される。従って、二次転写工程前のギャップ転写が防止され、トナーばらけや放電不良の無いトナー像が転写ベルト43に転写される。尚、普通紙(点線の記録媒体17)が使用される場合には、中間転写体7a上のトナー像は、転写ベルト43に二次転写されることなく、直接普通紙に転写される。
【0057】
転写ベルト43に転写されたトナー像は、矢印C方向に1周回転し、プレニップ位置19に到達した時点で、エンボス紙のような記録媒体17がプレニップ位置19に搬送される。転写ベルト43上のトナー像は、エンボス紙のような記録媒体17に接触した後、二次転写領域16に到達する。そして、電圧印加回路44が、トナーの電荷と逆極性の電圧を対向ローラ4に印加することにより、記録媒体17の表面にトナーの電荷と逆極性の電荷を供給する。この逆極性の電荷とトナーの電荷との静電的な吸引力により、二次転写領域16で転写ベルト43上のトナー像は記録媒体17上に三次転写される。従って、三次転写工程前のギャップ転写が防止され、トナーばらけや放電不良の無いトナー像がエンボス紙のような記録媒体17に転写される。二次転写領域16で二次転写及び三次転写が実行される。
【0058】
尚、二次転写時には、対向ローラ4が接地され、転写ローラ41がトナーの電荷と逆極性の電圧を中間転写体7a上のトナー像に印加する。一方、三次転写時には、転写ローラ41が接地され、対向ローラ4がトナーの電荷と逆極性の電圧を転写ベルト43上のトナー像に印加する。このように、二次転写後且つ三次転写前に、対向ローラ4及び転写ローラ41に印加される電圧が電圧印加回路44により切り替えられる。
【0059】
また、転写ベルト43に転写されたトナー像が、矢印C方向に1周回転し、プレニップ位置19に到達する間に、中間転写体7a上の別のトナー像がプレニップ位置19に到達することも考えられる。このため、三次転写を実行する場合には、三次転写が終了するまで中間転写体7a上の別のトナー像がプレニップ位置19に到達しないように、制御部50がトナー像形成ユニット9Y、9M、9C、9Kによるトナー像の形成タイミング(即ち一次転写タイミング)を制御する。
【0060】
第3の実施の形態によれば、二次転写及び三次転写を実行する構成(即ち、対向ローラ4、転写ローラ41及び電圧印加回路44)が共通化されているため、画像形成装置102の小型化が図れる。また、普通紙(図5の矢印C)及びエンボス紙(図5の矢印D)の搬送経路及び搬送方向が同一であるので、紙送りの切り替えが不要となり、画像形成装置102の小型化が図れる。
【0061】
以上説明したように、上記第1〜第3の実施の形態によれば、画像形成装置は、中間転写体上のトナー像を直接記録媒体に転写せずに、非弾性体の中間転写体、弾性体の転写体、記録用紙という順にトナー像を転写させる。これにより、一次転写の色ズレが防止され、記録媒体の表面の凹部へのトナーの追従性が向上する。
【0062】
上記第1〜第3の実施の形態では、例えば、中間転写体7aが特許請求の範囲の第1転写体に対応する。例えば、弾性ローラ20、弾性ローラ34又は転写ベルト43が特許請求の範囲の第2転写体に対応する。第1の実施の形態では、例えば、対向ローラ4、弾性ローラ20及び電圧印加回路25が特許請求の範囲の第1転写手段に対応する。第2の実施の形態では、例えば、対向ローラ4、転写ローラ31及び電圧印加回路39が特許請求の範囲の第1転写手段に対応する。第3の実施の形態では、例えば、対向ローラ4、転写ローラ41及び電圧印加回路44が特許請求の範囲の第1転写手段に対応する。第1の実施の形態では、例えば、弾性ローラ20、転写ローラ23及び電圧印加回路25が特許請求の範囲の第2転写手段に対応する。第2の実施の形態では、例えば、弾性ローラ34、転写ローラ37及び電圧印加回路39が特許請求の範囲の第2転写手段に対応する。第3の実施の形態では、例えば、対向ローラ4、転写ローラ41及び電圧印加回路44が特許請求の範囲の第2転写手段に対応する。
【符号の説明】
【0063】
1、100〜102 画像形成装置
4 対向ローラ
6Y,6M,6C,6K 一次転写ローラ
7,7a,7b 中間転写体
9Y,9M,9C,9K トナー像形成ユニット
20,34 弾性ローラ
23,31,41 転写ローラ
25,39,44 電圧印加回路
33,43 転写ベルト
図1
図2
図3
図4
図5