特許第6123345号(P6123345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横浜ゴム株式会社の特許一覧

特許6123345ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法
<>
  • 特許6123345-ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法 図000002
  • 特許6123345-ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法 図000003
  • 特許6123345-ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法 図000004
  • 特許6123345-ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123345
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】ゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/64 20060101AFI20170424BHJP
   B29B 7/56 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B29B7/64
   B29B7/56
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-33134(P2013-33134)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-162035(P2014-162035A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 友吾
(72)【発明者】
【氏名】占部 幸治
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−015637(JP,A)
【文献】 特開2005−262670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B7/00−11/14
B29B13/00−15/06
B29C31/00−31/10
B29C37/00−37/04
B29C71/00−71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オープンロール機の前ロールと後ロールの長手方向の一端に位置する供給部に素練りされたゴム材料を配合剤と共に連続して投入し、
それら2本のロールを互いに逆向きに回転させ、それら2本のロールの間から漏れ出たゴム材料を前記前ロールの外周面に巻き付け、それら2本のロールの長手方向の一端から他端に向けてゴム材料と配合剤とを混練りしつつ移動させ、
前記2本のロールの長手方向の他端に位置する排出部から配合剤が配合されたゴム材料を連続して取り出すに際して、
前記後ロールと反対に位置する前記前ロールの側部の外周面に反転部材を配設し、
前記反転部材は、前記後ロールと反対に位置する前記前ロールの側部の外周面の下部に入口を有し前記前ロールの側部の外周面の上部で前記入口よりも前記供給部寄りの箇所に出口を有し前記前ロールの側部の外周面の周方向に沿って前記入口から前記出口に延在する反転溝と、前記入口の前記排出部側の端部に配置され前記前ロールの外周面に巻き付いたゴム材料に切れ目を形成するカッターとを備え、
前記カッターにより前記前ロールの回転に伴い前記前ロールの外周面に巻き付いたゴム材料に切れ目を連続して形成し、
前記切れ目を前記排出部側の端部とするゴム材料部分を、前記前ロールの回転に伴って前記入口から前記反転溝内に侵入させ、
前記前ロールの回転に伴って前記反転溝内に侵入した前記ゴム材料部分を、前記反転溝により前記外周面から剥し前記反転溝内で前記排出部側の端部から前記供給部側の端部へと移動させつつ前記ゴム材料部分の表裏を反転させ、前記剥がした箇所よりも前記供給部寄りの前記前ロールの側部の外周面の箇所に前記出口から戻すようにし、
前記反転溝は、前記カッターの前記供給部側に位置し前記前ロールの径方向外側に凸状で前記前ロールの外周面に対向する湾曲面と、前記湾曲面の前記供給部側の端部に接続し前記前ロールの外周面に対向する円筒面からなる溝面とを含んで構成され、
前記カッター側の前記湾曲面の端部は、前記前ロールの回転に伴い前記入口に侵入したゴム材料部分に接触し、ゴム材料部分を前記前ロールから強制的に剥がして反転させるように前記前ロールの外周面に近接する寸法で形成され、
前記端部を除く残りの前記湾曲面の部分と前記溝面は、前記湾曲面によるゴム材料の反転が効率良くなされるように、前記入口に侵入し前記前ロールに巻き付いたゴム材料部分に接触しない寸法で形成されている、
ことを特徴とするゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法。
【請求項2】
前記反転部材には、前記カッターが前記前ロールの長手方向に間隔をおいて複数枚取着されていると共に、前記カッター毎に前記反転溝がそれぞれ形成され、
前記複数のカッターと前記複数の反転溝により、前記前ロールの長手方向に沿った複数箇所において、前記ゴム材料部分を前記前ロールの外周面から剥がし、前記ゴム材料の部分の表裏を反転させ、前記剥がした箇所よりも前記供給部寄りの前記前ロールの外周面の箇所に戻すことが行われる、
ことを特徴とする請求項1記載のゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープンロール機を用い、ゴム材料と配合剤とを連続して供給し、混練りされたゴム材料を連続して取り出すゴム材料の製造方法に関し、さらに詳細には、オープンロール機を用いて均一に配合剤が混合されたゴム材料を連続して取り出すゴム材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム製品は、一般に、各種の配合剤が配合されたゴム材料が加工されることで形成されている。
ゴム材料に各種の配合剤を配合するにあたり、まず、素練りが行われ、配合剤の混合を可能とした性質や、加硫の加工に必要な性質などがゴム材料に付与される。
そして、混練りにおいて、素練りされたゴム材料に、補強材や老化防止材、架橋材、架橋促進材などの配合剤への配合がなされ、混練りでは、ゴム材料に対して配合剤が均一に配合されることが好ましい。
大量のゴムを連続して混練りする装置として、例えば、中空のバレル内に互いに逆向きに回転する一対の混練ロータを配置した密閉式連続混練機(特許文献1)が知られている。
【0003】
この密閉式連続混練機では、バレルの長手方向の一方の端部の供給口からバレルの内部に被混練材料を連続して供給し、一対の混練ロータにより混練した材料を、バレルの長手方向の他方の端部の取り出し口から連続して取り出すようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−152705
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、密閉式連続混練機では、熱が逃げにくく、冷却効率を高める上で不利であり、また、一対の混練ロータを回転させるために大きな動力源を要し、装置が高価で大掛りなものとなる。
そこで、熱が逃げ易く冷却効率に優れ、大きな動力源を要せず、小型で安価なオープンロール機を用いて混練りを連続して行なうことが考えられる。
オープンロール機を用いた場合、前ロールと後ロールの長手方向の一端に被混練材料を連続して投入し、前ロールと後ロールの長手方向の他端から混練した材料を連続して取り出すことが考えられる。
しかしながら、前ロールと後ロールとの間隙から漏れ出たゴム材料は、その性質によっては、前ロールの外周面に巻き付いたままとなり、前ロールと後ロールとの間に盛り上がるバンクへ戻されず、表層側とロール溝側とでゴムの推進が異なりゴムの練り状態も不均一となり、均一に配合剤が配合されたゴム材料を連続して取り出す上で不利となる。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、オープンロール機を用いて均一に配合剤が混合されたゴム材料を連続して取り出すことができるゴム材料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明のゴム材料と配合剤とを混練りするゴム材料の製造方法は、オープンロール機の前ロールと後ロールの長手方向の一端に位置する供給部に素練りされたゴム材料を配合剤と共に連続して投入し、それら2本のロールを互いに逆向きに回転させ、それら2本のロールの間から漏れ出たゴム材料を前記前ロールの外周面に巻き付け、それら2本のロールの長手方向の一端から他端に向けてゴム材料と配合剤とを混練りしつつ移動させ、前記2本のロールの長手方向の他端に位置する排出部から配合剤が配合されたゴム材料を連続して取り出すに際して、前記後ロールと反対に位置する前記前ロールの側部の外周面に反転部材を配設し、前記反転部材は、前記後ロールと反対に位置する前記前ロールの側部の外周面の下部に入口を有し前記前ロールの側部の外周面の上部で前記入口よりも前記供給部寄りの箇所に出口を有し前記前ロールの側部の外周面の周方向に沿って前記入口から前記出口に延在する反転溝と、前記入口の前記排出部側の端部に配置され前記前ロールの外周面に巻き付いたゴム材料に切れ目を形成するカッターとを備え、前記カッターにより前記前ロールの回転に伴い前記前ロールの外周面に巻き付いたゴム材料に切れ目を連続して形成し、前記切れ目を前記排出部側の端部とするゴム材料部分を、前記前ロールの回転に伴って前記入口から前記反転溝内に侵入させ、前記前ロールの回転に伴って前記反転溝内に侵入した前記ゴム材料部分を、前記反転溝により前記外周面から剥し前記反転溝内で前記排出部側の端部から前記供給部側の端部へと移動させつつ前記ゴム材料部分の表裏を反転させ、前記剥がした箇所よりも前記供給部寄りの前記前ロールの側部の外周面の箇所に前記出口から戻すようにし、前記反転溝は、前記カッターの前記供給部側に位置し前記前ロールの径方向外側に凸状で前記前ロールの外周面に対向する湾曲面と、前記湾曲面の前記供給部側の端部に接続し前記前ロールの外周面に対向する円筒面からなる溝面とを含んで構成され、前記カッター側の前記湾曲面の端部は、前記前ロールの回転に伴い前記入口に侵入したゴム材料部分に接触し、ゴム材料部分を前記前ロールから強制的に剥がして反転させるように前記前ロールの外周面に近接する寸法で形成され、前記端部を除く残りの前記湾曲面の部分と前記溝面は、前記湾曲面によるゴム材料の反転が効率良くなされるように、前記入口に侵入し前記前ロールに巻き付いたゴム材料部分に接触しない寸法で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、前ロールの外周面に巻き付いているゴム材料は、前ロールの回転に伴ってカッターにより切れ目が連続状に形成される。
そして、切れ目よりも供給部側のゴム材料の部分が、前ロールの回転に伴って反転溝に侵入していき、前ロールの外周面から強制的に剥がされ、その表裏が反転され、剥がされた箇所よりも供給部側の前ロールの外周面の箇所に戻される。
したがって、前ロールの外周面に巻き付いているゴム材料の反転が、前ロールの回転に伴って強制的に連続して行われ、ゴム材料と配合剤とを均一に混練りする上で有利となる。
したがって、前ロールと後ロールとの間隙から漏れ出たゴム材料がバンクへ戻されず前ロールの外周面に巻き付いたままとなるような性質の場合であっても、配合剤が均一に混練りされたゴム材料を連続して得る上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】前ロールに反転部材が配設されたオープンロール機の混練り時の側面図である。
図2】前ロールに反転部材が配設されたオープンロール機の平面図である。
図3】(A)は供給部側から見た反転部材の斜視図、(B)は排出部側から見た反転部材の斜視図である。
図4】(A)〜(D)は、図1のX矢印方向から見た反転部材の部分と前ロールの部分を見た図であり、反転溝によりゴム材料の部分が反転される説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面にしたがって説明する。
図1図2に示すように、オープンロール機10は、互いに平行に配置され温度と回転速度が調節可能な前ロール12と後ロール14とを備えている。
前ロール12の外周面にゴム材料が付着し易いように、前ロール12の外周面の温度は、後ロール14の外周面の温度よりも高く設定され、また、前ロール12の外周面の周速度は、後ロール14の外周面の周速度よりも大きく設定されている。
前ロール12の外周面と後ロール14の外周面には、それら2本のロールの長手方向の一方の端部から他方の端部にむけてゴム材料を移動させるための凹凸構造が形成されている。本実施の形態は凹凸構造として、前ロール12の外周面と後ロール14の外周面にそれぞれ螺旋状に形成された凹部16を用いている。
前ロール12と後ロール14とは、互いに逆向きに回転され、前ロール12と後ロール14の長手方向の一端は、素練りされたゴム材料が配合剤と共に供給される供給部20とされ、長手方向の他端は、配合剤が混練りされたゴム材料を取り出す排出部22とされる。
【0010】
供給部20に供給されたゴム材料と配合剤は、互いに逆向きに回転する2本のロール12、14間で混練りされると共に、混練りされたゴム材料と配合剤は2本のロール12、14間にバンク24として盛り上がる。
また、2本のロール12、14間の間隙から漏れ出た混練りされたゴム材料と配合剤は前ロール12の外周面に巻き付く。この前ロール12の外周面に巻き付いたゴム材料24Aは、前ロール12の回転に伴いバンク24へ戻され混練りされる。
そして、バンク24は2本のロール12、14間で混練りされつつ排出部22側へと移動していき、排出部22から配合剤が混練りされたゴム材料が取り出される。
【0011】
一方、前ロール12と後ロール14との間隙から漏れ出たゴム材料24Aは、その性質によっては、前ロール12の外周面に巻き付いたままとなり、バンク24へ戻されず、均一に配合剤が配合されたゴム材料を連続して取り出す上で不利となる。
そこで、本発明では、前ロール12の外周面に対向させて反転部材30を配設し、前ロール12の回転に伴って、前ロール12の外周面に巻き付いたゴム材料24Aを前ロール12の外周面から強制的に剥がし、その表裏を反転させ、剥がした箇所よりも供給部20寄りの前ロール12の外周面の箇所に戻すようにした。
【0012】
反転部材30は、図1図2に示すように、前ロール12の軸方向から見て、後ロール14と反対側に位置する前ロール12の側部に配置されている。
本実施の形態では、反転部材30は、前ロール12の外周面の周方向に沿って前ロール12の外周面の1/4周程度延在する長さと、前ロール12の長手方向に沿った幅を有している。
図3(A)、(B)に示すように、反転部材30は、カッター32と、前ロール12の長手方向においてカッター32の供給部20側の箇所に設けられた反転溝34とを備えている。
反転溝34は、前ロール12の外周面の周方向に沿ってかつ供給部20側に変位しつつ、前ロール12の外周面の1/4周程度延在している。
本実施の形態では、カッター32が反転部材30の幅方向に一定の間隔をおいて5枚取着されていると共に、それらカッター32毎に反転溝34がそれぞれ形成されている。
【0013】
カッター32は、前ロール12の回転に伴い前ロール12の外周面に付着したゴム材料24Aに切れ目を連続状に入れるものである。
カッター32は、反転部材30の長さ方向の両端部のうち前ロール12の回転方向と逆方向に位置する端部に取着されている。
【0014】
反転溝34は、反転部材30の幅方向において各カッター32の供給部20側の反転部材30の箇所に設けられている。
反転溝34は、供給部20側に変位しつつ前ロール12の外周面の周方向に沿って反転部材30の長さ方向の全長にわたって延在している。
反転溝34の延在方向で前ロール12の回転方向と逆方向の端部に位置する箇所が、反転溝34の入口34Aとなっており、反転溝34の延在方向で前ロール12の回転方向の端部に位置する箇所が、反転溝34の出口34Bとなっている。
【0015】
反転溝34は、湾曲面3402と、溝面3404とを備え、溝面3404は、供給部20側に位置する湾曲面3402の端部に接続している。
それら湾曲面3402と溝面3404は、供給部20側に変位しつつ前ロール12の外周面の周方向に沿って延在している。
図4(A)乃至(D)に示すように、湾曲面3402と溝面3404は、カッター32により形成された切れ目を排出部22側の端部とするゴム材料部分24Cを、前ロール12の回転に伴ってその内側に侵入させる箇所であり、さらに、湾曲面3402は、前ロール12の回転に伴ってゴム材料部分24Cを前ロール12から強制的に剥がしその表裏を反転させる箇所である。
本実施の形態では、5枚のカッター32毎に反転溝34がそれぞれ形成されているため、図3(A)、(B)に示すように、最も供給部20側に近い反転溝34Xにおいて、カッター32により形成された切れ目を排出部22側の端部とするゴム材料部分24Cが反転溝34Xに侵入し、残りの4つの反転溝34には、カッター32により両端に切れ目が入れられたゴム材料部分24Cが侵入する。
【0016】
排出部22側の湾曲面3402の端部3402Aは、前ロール12の回転に伴い反転溝34の内側に侵入したゴム材料部分24Cに接触し、ゴム材料部分24Cを排出部22側に逃がすことなく前ロール12から強制的に剥がし、剥がす箇所を排出部22側から供給部20側に移動させつつ反転させるように、前ロール12の外周面に近接する(当接する場合も含む)寸法で形成されている。
端部3402Aを除く残りの湾曲面3402の部分と、溝面3404は、湾曲面3402によるゴム材料24Aの反転が効率良くなされるように、反転溝34内に侵入し前ロール12に巻き付いたゴム材料部分24Cに接触しない寸法で形成され、溝面3404は、円筒面で形成されている。
本実施の形態では、反転溝34の内側に侵入したゴム材料部分24Cを、供給部20側に効果的に変位させるように、湾曲面3402の端部3402Aに接続する内周面36が形成されている。
内周面36は、湾曲面3402の全長にわたり一定の幅を持って前ロール12の外周面に近接する(当接する場合も含む)する円筒面で形成され、供給部20側に変位しつつ前ロール12の外周面の周方向に沿って延在している。
【0017】
したがって、前ロール12の回転に伴って前ロール12の外周面に巻き付いているゴム材料24Aには、カッター32により切れ目が連続状に形成される。
そして、前ロール12の回転に伴って、図3(A)、(B)に左端に示す最も供給部20側に近い反転溝34Xには、切れ目を排出部22側の端部とするゴム材料部分24Cが侵入していく。
また、反転溝34Xを除く残りの4つの反転溝34には、両端に切れ目が入れられたゴム材料部分24Cが侵入していく。
図4(A)に示すように、反転溝38内に侵入したゴム材料部分24Cは、入口38A付近において、ゴム材料部分24Cの排出部22側の端部24C―1が、湾曲面3402の端部3402Aに接触し、ゴム材料部分24Cの端部24C―1から強制的に剥がされ始め、反転され始める。
【0018】
反転溝38内に侵入したゴム材料部分24Cは、前ロール12の回転に伴い、図4(B)〜(D)に示すように、湾曲面3402の端部3402Aに接触する箇所が、ゴム材料部分24Cの排出部22側の端部24C―1から供給部20側の端部24C―2(図4(A)参照)へと移動していき、前ロール12から剥がされ、供給部20側に移動されつつ反転されていく。
すなわち、湾曲面3402の端部3402Aは供給部20側に変位しつつ前ロール12の外周面に沿って延在しているので、前ロール12の回転に伴い、湾曲面3402の端部3402Aに接触するゴム材料部分24Cの箇所は、湾曲面3402の内側に侵入したゴム材料部分24Cから溝面3404の内側に侵入したゴム材料部分24Cへと供給部20側に向けて移動していく。
【0019】
この場合、反転溝34に侵入し湾曲面3402の端部3402Aに接触するゴム材料部分24Cの箇所には、カッター32により切れ目が形成され、反転溝34よりも排出部22側の箇所で前ロール12の外周面に巻き付いたゴム材料24Aから切り離されているので、反転溝34への侵入と湾曲面3402による反転が円滑に確実に行なわれる。
そして、出口38Bでは、図4(D)に示すように、反転溝34で表裏が反転されたゴム材料部分24Cが、剥がされた箇所よりも供給部20側の前ロール12の外周面の箇所に戻される。
【0020】
したがって、前ロール12の外周面に巻き付いているゴム材料24Aの反転が、前ロール12の回転に伴って連続して強制的に行われ、排出部22において配合剤が均一に混練りされたゴム材料を連続して得る上で有利となる。
したがって、前ロール12と後ロール14との間隙から漏れ出たゴム材料がバンクへ戻されず前ロール12の外周面に巻き付いたままとなるような性質の場合であっても、配合剤が均一に混練りされたゴム材料を連続して得る上で有利となる。
また、前ロール12の外周面から剥がし反転させたゴム材料部分24Cを、剥がした箇所よりも供給部20側に変位させた箇所に戻すようにしたので、前ロール12の長手方向に沿った所定の領域で混練りが繰り返して行われることになり、ゴム材料と配合剤とを均一に混練りする上で有利となる。
【0021】
また、カッター32が一枚で反転溝34が一つでも無論上述の効果が奏されるが、本実施の形態では、カッター32が前ロール12の長手方向に一定の間隔をおいて5枚取着されていると共に、それらカッター32毎に反転溝34がそれぞれ形成され、前ロール12の長手方向に間隔をおいた5箇所において前ロール12の外周面に巻き付いているゴム材料部分24Cの表裏の反転が行われるので、排出部22において配合剤がより一層均一に混練りされたゴム材料を連続して得る上で更に有利となる。
【0022】
なお、本実施の形態では、前ロール12の長手方向の中間箇所において、前ロール12に巻き付いたゴム材料を反転したが、前ロール12の長手方向に沿った反転部材30の配置箇所は限定されず任意であり、また、供給部20と排出部22との間の前ロール12の複数箇所において、それぞれ前ロール12に巻き付いたゴム材料を反転し、剥がした箇所よりも供給部20側に変位させた箇所に戻すようにしてもよい。
また、ゴム材料を反転させる反転溝34の構造は、実施の形態以外にも種々考えられ、実施の形態の構造に限定されない。
【符号の説明】
【0023】
10……オープンロール機、12……前ロール、14……後ロール、16……凹部、20……供給部、22……排出部、24……バンク、24A……前ロール12の外周面に巻き付いたゴム材料、24C……反転溝に侵入したゴム材料部分、30……反転部材、32……カッター、34……反転溝、34A……反転溝入口、34B……反転溝出口、3402……湾曲面、3404……溝面、36……内周面。
図1
図2
図3
図4