(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
装置本体に対して引き出し可能に配設した収納箱と、前記収納箱の上面に設けられ、同一金種の硬貨を複数枚積層した状態で包装して成る棒状硬貨を個別に収納する収納溝を有した収納トレイとを備え、前記装置本体から前記収納箱を引き出すことによりそれぞれの収納溝に収納された棒状硬貨が取り出し可能となる硬貨収納装置において、
前記収納トレイを複数のトレイユニットの組み合わせによって構成するとともに、個々のトレイユニットを前記収納箱に対して着脱可能に配設し、
さらに前記トレイユニットは、平面視が互いに合同となる正方形に構成され、10枚で1桁繰り上がる1系硬貨を積層した棒状硬貨を収納するための1系硬貨収納溝と、前記1系硬貨と同じ桁の硬貨であって2枚で1桁繰り上がる5系硬貨を積層した棒状硬貨を収納するための5系硬貨収納溝とを有し、前記1系硬貨収納溝及び前記5系硬貨収納溝が正方形の一辺に沿って並べて形成された複数の混合棒金用トレイユニットを含むことを特徴とする硬貨収納装置。
前記トレイユニットは、積層した硬貨の桁が互いに異なる棒状硬貨をそれぞれ収納するための収納溝を並べて設けた繰上棒金用トレイユニットを含むことを特徴とする請求項1に記載の硬貨収納装置。
前記収納トレイは、平面視の縦横寸法が最小となる基準トレイユニットと、平面視の縦横寸法がそれぞれ前記基準トレイユニットの整数倍となるように構成した倍数トレイユニットとを備えることを特徴とする請求項1に記載の硬貨収納装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、販売する商品の価格は店舗によって様々であり、必要となる釣銭硬貨の種類も店舗によって異なる場合が多い。例えば、商品の価格が1円単位で設定された店舗では、釣銭も1円単位となるため、1円硬貨や5円硬貨を含めたすべての種類の硬貨を用意しておく必要がある。これに対して商品の価格が10円単位で設定された店舗では、客から受け取る金種が1円硬貨や5円硬貨の場合はあるが、釣銭が10円を下回ることはないため、1円硬貨や5円硬貨を釣銭として用意する必要はない。
【0007】
これらすべての店舗に対応できるように硬貨収納装置を構成するには、すべての種類の棒状硬貨を収納できるように収納溝が設けられていなければならない。しかしながら、10円単位で商品の価格が設定された店舗にあっては、上述したように釣銭硬貨として1円硬貨及び5円硬貨が必要ないため、これらの棒状硬貨を収納する収納溝がデッドスペースとなり、釣銭硬貨として必要な10円以上の棒状硬貨の収納数が制限される等、使い勝手の点で必ずしも好ましいとはいえない。尚、店舗ごとの要求に応じて硬貨収納装置を構成すれば、もちろん上述の問題を招来することはないが、製造コストの点を考慮すれば現実的でないのは明らかである。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストが著しく増大する事態を招来することなく店舗の様々な要求に応じて棒状硬貨を収納することのできる硬貨収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る硬貨収納装置は、装置本体に対して引き出し可能に配設した収納箱と、前記収納箱の上面に設けられ、同一金種の硬貨を複数枚積層した状態で包装して成る棒状硬貨を個別に収納する収納溝を有した収納トレイとを備え、前記装置本体から前記収納箱を引き出すことによりそれぞれの収納溝に収納された棒状硬貨が取り出し可能となる硬貨収納装置において、前記収納トレイを複数のトレイユニットの組み合わせによって構成するとともに、個々のトレイユニットを前記収納箱に対して着脱可能に配設し、さらに前記トレイユニットは、
平面視が互いに合同となる正方形に構成され、10枚で1桁繰り上がる1系硬貨を積層した棒状硬貨を収納するための1系硬貨収納溝と、前記1系硬貨と同じ桁の硬貨であって2枚で1桁繰り上がる5系硬貨を積層した棒状硬貨を収納するための5系硬貨収納溝とを有
し、前記1系硬貨収納溝及び前記5系硬貨収納溝が正方形の一辺に沿って並べて形成された複数の混合棒金用トレイユニットを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記混合棒金用トレイユニットには、5系硬貨収納溝よりも多い数の1系硬貨収納溝を設けたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記混合棒金用トレイユニットのそれぞれには、1つの5系硬貨収納溝と4つの1系硬貨収納溝とを並べて設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記トレイユニットは、積層した硬貨の桁が互いに異なる棒状硬貨をそれぞれ収納するための収納溝を並べて設けた繰上棒金用トレイユニットを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記収納トレイは、互いに合同となる長方形の平面視を有するように構成した複数のトレイユニットを備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記収納トレイは、平面視の縦横寸法が最小となる基準トレイユニットと、平面視の縦横寸法がそれぞれ前記基準トレイユニットの整数倍となるように構成した倍数トレイユニットとを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上述した硬貨収納装置において、前記倍数トレイユニットは、紙葉を収納するための紙葉収納凹部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収納トレイを複数のトレイユニットの組み合わせによって構成するとともに、個々のトレイユニットを収納箱に対して着脱可能に配設しているため、トレイユニットの種類を適宜交換することで、製造コストが著しく増大する事態を招来することなく店舗の様々な要求に応じて棒状硬貨を収納することが可能となる。しかも、同じ桁の棒状硬貨を収納する1系硬貨収納溝と5系硬貨収納溝とを有した混合棒金用トレイユニットを含むように収納トレイを構成しているため、効率良く釣銭を準備することができるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る硬貨収納装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1及び
図2は、本発明の実施の形態である硬貨収納装置を示したものである。ここで例示する硬貨収納装置10は、
図3に示すように、上面に釣銭機1を搭載した形態で使用し、この釣銭機1に補充する硬貨を準備金として収納しておくためのものである。硬貨収納装置10が収納対象とする硬貨は、1枚1枚が個別となった硬貨の他、棒状硬貨と称される形態のものである。棒状硬貨は、同一金種のものを予め設定した枚数だけ積層して包装し、一つの取扱単位として構成したものである。本実施の形態では、
図2に示すように、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨をそれぞれ所定の枚数ずつ包装した6種類の棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500を硬貨収納装置10の収納対象としている。
【0021】
図1〜
図3に示すように、硬貨収納装置10は、装置本体11及び収納箱12を備えて構成してある。装置本体11は、例えば釣銭機1を搭載することのできる大きさを有した薄型の箱体であり、前面にのみ開口を有している。収納箱12は、装置本体11の内部に収容可能となる大きさを有し、上面が開口した箱状を成すものである。尚、本実施の形態では便宜上、
図4の(a)に示すように、収納箱12が平面視で(3×m)となる左右幅方向寸法を有し、かつ(3×n)の奥行き寸法を有した長方形の例を示している。但し、m,nはいずれも任意の正数とする。
【0022】
この収納箱12は、装置本体11との間に介在させた図示せぬスライド機構を介してスライド可能に支持させてあり、
図1及び
図4の(a)に示すように、装置本体11の内部に収めた状態と、
図2及び
図4の(b)に示すように、前面開口11aから装置本体11の手前側に引き出した状態との間を移動することが可能である。収納箱12を装置本体11の内部に収めた場合には、
図1及び
図4の(a)に示すように、収納箱12の前面に設けた前面プレート12aによって装置本体11の前面開口11aが覆われることになる。収納箱12を装置本体11から引き出した場合には、
図2及び
図4の(b)に示すように、収納箱12の上面が装置本体11の外部に開放された状態となる。これら装置本体11と収納箱12との間には、
図4に示すように、第1ロック機構20、第2ロック機構30及び緩衝機構40が設けてある。
【0023】
第1ロック機構20は、釣銭機1やPOSレジスタ(図示せず)等の上位機器から与えられた制御信号に応じて動作し、装置本体11に対する収納箱12の引き出し方向への移動を制御するものである。第1ロック機構20としては、例えば、
図4に示すように、収納箱12の後壁に設けた係合ロッド21と、装置本体11の内部に設けたフック部材22と、フック部材22を動作させるための電磁ソレノイド23とを備えて構成することができる。この第1ロック機構20では、
図4の(a)に示すように、収納箱12を装置本体11の内部に収めた状態で電磁ソレノイド23の駆動によりフック部材22が係合ロッド21に係合されると、装置本体11に対する収納箱12の引き出し方向の移動が制限される。
図4の(b)に示すように、電磁ソレノイド23を逆方向に駆動してフック部材22と係合ロッド21との係合状態を解除すれば、装置本体11に対して収納箱12を引き出すことが可能となる。
【0024】
第2ロック機構30は、
図2に示すように、収納箱12の前面プレート12aに設けた鍵穴31に鍵32を挿入して施解錠操作することにより、装置本体11に対する収納箱12の引き出し方向への移動を制御するものである。第2ロック機構30が施錠操作された状態においては、第1ロック機構20が収納箱12の引き出しを許容する状態となっている場合であっても、装置本体11に対する収納箱12の引き出し方向への移動が阻止されることになる。
【0025】
緩衝機構40は、装置本体11と収納箱12との間に介在し、収納箱12を装置本体11の内部に収める際の衝撃を緩和するものである。また、この緩衝機構40は、第2ロック機構30が解錠状態であって第1ロック機構20が収納箱12の引き出し方向への移動を許容する状態に切り換わった際に収納箱12を引き出し方向へ押し出す機能を兼ねている。緩衝機構40としては、例えば、
図4に示すように、装置本体11に受部41を設ける一方、収納箱12の後壁にダンパ42及びバネ43を配設することによって構成することができる。この緩衝機構40では、収納箱12を装置本体11の内部に収めた場合に装置本体11の受部41にダンパ42及びバネ43が当接することで衝撃が緩和されることになる。収納箱12が装置本体11の内部に収められた状態では、
図4の(a)に示すように、バネ43が撓んだ状態となる。この状態から第1ロック機構20及び第2ロック機構30がいずれも収納箱12の引き出しを許容する状態となると、
図4の(b)に示すように、バネ43の復元力で収納箱12が前方に押し出されるようになる。
【0026】
図2〜
図4に示すように、収納箱12には、制御ボックス50及び収納トレイ60が設けてある。制御ボックス50は、図には明示していないが、その内部に硬貨収納装置10を制御する主制御ユニットを収容するためのもので、収納箱12の左奥方となる位置に配設してある。この制御ボックス50は、平面視において左右幅方向寸法がm、奥行き寸法がnとなる長方形状に形成してある。収納トレイ60は、複数のトレイユニット610,620,630,640を組み合わせることにより、収納箱12の上面において制御ボックス50を除く全面を覆うように構成したものである。収納トレイ60を構成するトレイユニット610,620,630,640は、
図5に示すように、混合棒金用トレイユニット610、繰上棒金用トレイユニット620、バラ硬貨用トレイユニット630、汎用収納トレイユニット640を含むように構成してある。
【0027】
混合棒金用トレイユニット610、繰上棒金用トレイユニット620、バラ硬貨用トレイユニット630は、平面視において左右幅方向寸法がm、奥行き寸法がnの長方形となるように構成したものである。汎用収納トレイユニット640は、平面視において左右幅方向寸法が(2×m)、奥行き寸法がnの長方形となるように構成したものである。
【0028】
混合棒金用トレイユニット610は、1系硬貨を積層した棒状硬貨BC1,BC10,BC100と、1系硬貨と同じ桁の5系硬貨を積層した棒状硬貨BC5,BC50,BC500とをまとめて収納するためのものである。ここで、1系硬貨とは、10枚で合計金額が1桁繰り上がる1円硬貨、10円硬貨、100円硬貨を総称するものとして定義し、5系硬貨とは、2枚で合計金額が1桁繰り上がる5円硬貨、50円硬貨、500円硬貨を総称するものとして定義する。つまり、混合棒金用トレイユニット610としては、
図5の(a)に示すように、1円の棒状硬貨BC1と5円の棒状硬貨BC5とをまとめて収納する1桁硬貨に対応したもの(610A)、
図5の(b)に示すように、10円の棒状硬貨BC10と50円の棒状硬貨BC50とをまとめて収納する2桁硬貨に対応したもの(610B)、
図5の(c)に示すように、100円の棒状硬貨BC100と500円の棒状硬貨BC500とをまとめて収納する3桁硬貨に対応したもの(610C)の合計3種類が用意してある。1桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Aには、4つの1系硬貨収納溝611Aと1つの5系硬貨収納溝612Aとが設けてあり、2桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Bには、4つの1系硬貨収納溝611Bと1つの5系硬貨収納溝612Bとが設けてあり、3桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Cには、4つの1系硬貨収納溝611Cと1つの5系硬貨収納溝612Cとが設けてある。個々の収納溝611A,611B,611C,612A,612B,612Cは、収納対象となる棒状硬貨BC1,BC10,BC100,BC5,BC50,BC500を収納することのできる大きさに形成した半円柱状の凹部であり、混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cの奥行き方向に沿って互いにほぼ平行となるように配置してある。
【0029】
繰上棒金用トレイユニット620は、互いに桁数が異なる硬貨を積層した棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500をまとめて収納するためのもので、
図5の(d)に示すように、1円の棒状硬貨BC1と10円の棒状硬貨BC10と100円の棒状硬貨BC100とをまとめて収納する1系硬貨に対応したもの(620A)、
図5の(e)に示すように、5円の棒状硬貨BC5と50円の棒状硬貨BC50と500円の棒状硬貨BC500とをまとめて収納する5系硬貨に対応したもの(620B)の合計2種類が用意してある。1系硬貨繰上棒金用トレイユニット620Aには、3種類の棒状硬貨BC1,BC10,BC100を1つずつ収納するための収納溝621A,622A,623Aが設けてあり、5系硬貨繰上棒金用トレイユニット620Bには、3種類の棒状硬貨BC5,BC50,BC500を1つずつ収納するための収納溝621B,622B,623Bが設けてある。個々の収納溝621A,622A,623A,621B,622B,623Bは、収納対象となる棒状硬貨BC1,BC10,BC100,BC5,BC50,BC500を収納することのできる大きさに形成した半円柱状の凹部であり、繰上棒金用トレイユニット620A,620Bの奥行き方向に沿って互いにほぼ平行となるように配置してある。
【0030】
これら混合棒金用トレイユニット610A,610B,610C及び繰上棒金用トレイユニット620A,620Bには、
図6に示すように、それぞれの下面に金種識別制御基板70が支持させてある。金種識別制御基板70は、図には明示していないが、それぞれの収納溝611A,611B,611C,612A,612B,612C,621A,622A,623A,621B,622B,623Bに対して対応する棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500が収納されているか否かを検出するとともに、収納された棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500の金種を識別するための磁気コイルや光学センサ等の硬貨識別手段を実装したものである。また、金種識別制御基板70には、自身の識別情報を出力するための識別情報出力手段も実装してある。
【0031】
バラ硬貨用トレイユニット630は、
図5の(f)に示すように、棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500の包装を解いて個別となった硬貨や釣銭機1で識別できなかった硬貨を収納するためのもので、その上面にバラ硬貨を任意の姿勢で収納できる凹部631を有している。汎用収納トレイユニット640は、
図5の(g)に示すように、上述した硬貨以外の収納物、例えば紙幣、商品券等の紙葉類やハンコ等の小物を収納するためのもので、その上面にバラ硬貨用トレイユニット630よりも大きな紙葉収納凹部641を有している。
【0032】
またこれらのトレイユニット610,620,630,640には、
図6及び
図7に示すように、それぞれの四隅部に弾性係合片80が設けてある。弾性係合片80は、個々のトレイユニット610,620,630,640の周囲に位置する平板部の裏面から下方に向けて突出したもので、個々の突出端部に側方に突出した爪部81を有している。図には明示していないが、混合棒金用トレイユニット610A,610B,610C、繰上棒金用トレイユニット620A,620B、バラ硬貨用トレイユニット630については、互いに共通となる位置に弾性係合片80が設けてあり、汎用収納トレイユニット640については、混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cを2つ横に並べた場合に四隅部となる位置の弾性係合片80と共通となる位置に弾性係合片80が設けてある。
【0033】
上記のような構成を有する複数種類のトレイユニット610,620,630,640は、
図7に示すように、連結具90によって縦横に連結することによって収納トレイ60を構成し、収納箱12の上面に設置される。連結具90は、トレイユニット610,620,630,640に設けた弾性係合片80を挿通させる係合孔(図示せず)を有し、係合孔に弾性係合片80を挿通させることによって爪部81を係合させ、隣設する2つのトレイユニット610,620,630,640を着脱可能に連結するものである。収納箱12の上面に設置された収納トレイ60は、収納箱12との間の適宜箇所にネジ(図示せず)を螺合させることにより、収納箱12からの脱落が阻止された状態となる。
【0034】
図には明示していないが、収納箱12に対して混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cもしくは繰上棒金用トレイユニット620A,620Bが設置された場合には、それぞれの金種識別制御基板70が制御ボックス50に収容した主制御ユニットと接続された状態となり、金種識別制御基板70に実装した硬貨識別手段や識別情報出力手段から主制御ユニットに対して出力信号が与えられることになる。
【0035】
ここで、縦横に連結するトレイユニット610,620,630,640の種類は任意であり、硬貨収納装置10を設置する店舗の要求に応じて適宜選択すれば良い。但し、本実施の形態の場合には、連結したトレイユニット610,620,630,640の左右幅方向寸法の合計が手前2列は3×m以下、奥方の1列は2×m以下であり、奥行き寸法の合計が3×n以下となるように選択する必要がある。
【0036】
例えば、販売する商品の価格が1円単位で設定された店舗では、釣銭も1円単位となるため、1円硬貨や5円硬貨を含めたすべての種類の硬貨を用意しておく必要がある。従って、この店舗に設置する硬貨収納装置10としては、
図8の(a)に示すように、1桁硬貨混合棒金用トレイユニット610A、2桁硬貨混合棒金用トレイユニット610B、3桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Cのすべてを含むように収納トレイ60を構成し、これを収納箱12の上面にセットすれば、収納箱12を装置本体11から引き出すことで釣銭機1に必要となるすべての硬貨の補充を行うことが可能となる。
【0037】
しかも、1円から9円までの釣銭を最小枚数で各一回ずつ支払う場合に必要な硬貨の組み合わせとしては、5円硬貨が5枚必要となるのに対して1円硬貨は4倍の20枚必要となる。具体的に説明すると、釣銭が1円の場合は1円硬貨1枚、2円の場合は1円硬貨2枚、3円の場合は1円硬貨3枚、4円の場合は1円硬貨4枚、5円の場合は5円硬貨1枚、6円の場合は5円硬貨1枚と1円硬貨1枚、7円の場合は5円硬貨1枚と1円硬貨2枚、8円の場合は5円硬貨1枚と1円硬貨3枚、9円の場合は5円硬貨1枚と1円硬貨4枚となるため、単純に合計すれば、1円から9円までの釣銭を最小枚数で支払う場合に5円硬貨5枚と1円硬貨20枚が必要となる。10円硬貨と50円硬貨、100円硬貨と500円硬貨についても同様である。従って、1つの混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cに収納した1系硬貨の枚数及び5系硬貨の枚数が実際の使用頻度に応じたものとなり、同じ桁の1系硬貨と5系硬貨との補充タイミングが同じになる等、硬貨収納装置10に対する棒金の補充作業を減少させることができるようになる。
【0038】
一方、販売する商品の価格が10円単位で設定された店舗では、客から受け取る金種が1円硬貨や5円硬貨の場合はあるが、釣銭として1円硬貨及び5円硬貨を準備する必要がない。従って、この店舗に設置する硬貨収納装置10としては、
図8の(b)に示すように、2桁硬貨混合棒金用トレイユニット610B、3桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Cを含むように収納トレイ60を構成し、これを収納箱12の上面にセットすれば、必要となるすべての硬貨の補充を行うことが可能となる。1桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Aに換えてバラ硬貨用トレイユニット630や汎用収納トレイユニット640を連結させて収納トレイ60を構成すれば、硬貨以外の紙幣、商品券等の紙葉類やハンコ等の小物を収納することも可能となり、1桁硬貨混合棒金用トレイユニット610Aが設けられた場合にデッドスペースとなる硬貨収納装置10の内部を有効に利用することができるようになる。
【0039】
また、1系硬貨の使用頻度が高い店舗においては、例えば
図9の(a)に示すように、1系硬貨繰上棒金用トレイユニット620Aを多く含めて収納トレイ60を構成し、また、5系硬貨の使用頻度が高い店舗においては、例えば
図9の(b)に示すように、5系硬貨繰上棒金用トレイユニット620Bを多く含めて収納トレイ60を構成すれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
以上説明したように、上述の硬貨収納装置10によれば、収納トレイ60を複数のトレイユニット610,620,630,640の組み合わせによって構成するとともに、個々のトレイユニット610,620,630,640を収納箱12に対して着脱可能に配設しているため、トレイユニット610,620,630,640の種類を適宜交換することで、店舗の様々な要求に応じて棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500を収納することが可能となる。この場合、交換しない部分については、部品を共用化することができるため、製造コストが著しく増大する事態を招来することもない。しかも、同じ桁の棒状硬貨BC1,BC5,BC10,BC50,BC100,BC500を収納する1系硬貨収納溝611A,611B,611Cと5系硬貨収納溝612A,612B,612Cとを有した混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cを含むように収納トレイ60を構成しているため、1系硬貨と5系硬貨の補充タイミングが同じになる等、効率良く釣銭を準備することができ、硬貨収納装置10に対する棒金の補充作業を減少させることが可能になる等の作用効果を奏する。
【0041】
尚、上述した実施の形態では、トレイユニット610,620,630,640として長方形のものを例示しているが、
図10に示す収納箱12′のように、正方形となるようにトレイユニット610A′,610B′,610C′を構成することも可能である。トレイユニット610A′,610B′,610C′を正方形に構成した場合には、収納溝611A,611B,611C,612A,612B,612Cの方向を奥行き方向に沿って配置したり、左右方向に沿って配置したりすることも可能となり、店舗の要求に対してより柔軟に対応することが可能となる。
【0042】
また、上述した実施の形態では、混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cとして1つの5系硬貨収納溝612A,612B,612Cと4つの1系硬貨収納溝611A,611B,611Cとを並べて設けたものを例示しているが、1つの混合棒金用トレイユニットに設ける収納溝の数や配置は実施の形態のものに限らない。
【0043】
さらに、上述した実施の形態では、倍数トレイユニットとなる汎用収納トレイユニット640として、長辺が基準トレイユニットとなる混合棒金用トレイユニット610A,610B,610Cあるいは繰上棒金用トレイユニット620A,620Bあるいはバラ硬貨用トレイユニット630の2倍の長さとなるものを例示しているが、基準トレイユニットの2倍を超えた縦横寸法を有するように倍数トレイユニットを構成しても良い。
【0044】
また、上述した実施の形態では、収納箱12に制御ボックス50を備え、制御ボックス50を避ける位置に収納トレイ60を配設するようにしたものを例示しているが、収納箱12が制御ボックス50を備えている必要はなく、収納箱の上面全域に収納トレイを設けるようにしても構わない。