特許第6123399号(P6123399)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123399
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】バッテリー充電装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 11/18 20060101AFI20170424BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20170424BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20170424BHJP
   H01M 10/46 20060101ALI20170424BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20170424BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B60L11/18 A
   H02J7/00 P
   H02J7/00 303C
   H01M10/44 Q
   H01M10/46
   H01M10/42 P
   B60L3/00 S
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-58435(P2013-58435)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-183713(P2014-183713A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 泰由
(72)【発明者】
【氏名】神村 康夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】初見 典彦
【審査官】 久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−189760(JP,A)
【文献】 特開平07−111702(JP,A)
【文献】 特開平05−211724(JP,A)
【文献】 特開2004−048900(JP,A)
【文献】 特開平09−219934(JP,A)
【文献】 特開2010−231258(JP,A)
【文献】 特開2014−057418(JP,A)
【文献】 特開2006−174619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00− 3/12
7/00−13/00
15/00−15/42
H01M 10/42
H01M 10/44
H01M 10/46
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車の走行用バッテリーから電力の供給を受けて充電される補機バッテリーと、
前記補機バッテリーから供給される電力を用いて稼働する通信装置と、
前記通信装置の通信状態を検知する通信状態検知部と、
前記走行用バッテリーから前記補機バッテリーへの電力供給を制御する制御部と、を備え、
前記電動車は、特定の利用者間で車両を共同利用するカーシェアリングサービス用の車両であり、
前記通信装置は、前記カーシェアリングサービスに関する情報を通信するカーシェアリング用デバイスであり、
前記通信状態検知部は、前記電動車の電源がオフされている間に所定時間ごとに前記カーシェアリング用デバイスが通信をおこなったか否かを判断し、
前記制御部は、
前記電動車の電源がオフされている間に、前記通信状態検知部が前記所定時間内に前記カーシェアリング用デバイスと通信をおこなわなかったと判断した場合には、前記所定時間経過後に前記補機バッテリーを充電する第1充電を実行し、
前記電源がオフされている間に、前記通信状態検知部が前記所定時間内に前記カーシェアリング用デバイスと通信をおこなったと判断した場合には、前記所定時間経過後に前記第1充電よりも前記補機バッテリーに供給する電力量を増加させる第2充電を実行する、
ことを特徴とする補機バッテリー充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第2充電を実行する場合、前記第1充電を実行する場合よりも前記走行用バッテリーから前記補機バッテリーへの電力供給時間を長くする、
ことを特徴とする請求項1に記載の補機バッテリー充電装置。
【請求項3】
前記走行用バッテリーと前記補機バッテリーとはDC−DCコンバータを介して接続されており、
前記制御部は、前記第2充電を実行する場合、前記第1充電を実行する場合よりも前記DC−DCコンバータの出力電圧値を増加させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の補機バッテリー充電装置。
【請求項4】
前記電動車の開口部を覆う被覆部材の開閉状態を検知する開閉状態検知部を備え、
前記制御部は、前記第1充電または前記第2充電を実施している際に前記被覆部材が開放された場合、前記補機バッテリーへの充電を停止する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の補機バッテリー充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車に搭載された補機バッテリーを充電するバッテリー充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリット自動車などの電動車には、走行用モータの駆動電力を蓄電する走行用バッテリー(メインバッテリー)の他、EV−ECU等や車両内外のランプ類、カーオーディオなどの補機を駆動する電力を蓄電する補機バッテリーが設けられている。電動車における補機バッテリーの充電は、走行用バッテリーの高電圧電力をDC−DCコンバータで降圧して供給することによっておこなわれる。
【0003】
従来、補機バッテリーの充電は、車両の走行中(主電源がオンにされた状態)や普通充電中、急速充電中にのみおこなわれ、車両の駐車中(主電源がオフにされた状態)ではおこなわれないのが一般的である。しかしながら、車両の駐車中にもECUや車載機器などが電力を消費し、補機バッテリーの蓄電量は低下していく。補機バッテリーの蓄電量が所定量を下回ると、ガソリン車と同様に電動車においても車両の起動ができなくなる。
【0004】
駐車中における補機バッテリーの蓄電量低下に対応するため、たとえば、下記特許文献1では、電圧検知部によって補機電池(補機バッテリー)の電圧を検知して、所定値以下になったときに、DC−DCコンバータ部を作動させる。これにより、補機電池内の蓄電量を所定量以上に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−062018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術では、補機バッテリーの電圧を検知する電圧センサを設ける必要があり、車両のコストが増加するという問題点がある。また、たとえば電圧センサを設けずに一定時間ごとに定期的に充電をおこなう方法も考えられるが、補機バッテリーが満充電に近い状態で充電をおこなうと過充電状態となり、バッテリー寿命に影響を及ぼすという問題点がある。
【0007】
また、近年、特定の利用者間で車両を共同利用するカーシェアリングサービスの普及が進んでいる。カーシェアリング用の車両には、カーシェアリングサービスに関する情報を通信するカーシェアリング用デバイスが搭載されている。カーシェアリング用デバイスは、車両の走行中のみならず車両が駐車されてからもカーシェアリングサービス用サーバとの間で通信をおこなうため、車両の駐車中にも多くの電力を消費する。このため、カーシェアリング用の車両では、駐車中における補機バッテリー充電の必要性が高くなる。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、駐車中に適切な電力量で補機バッテリーを充電することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した問題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる補機バッテリー充電装置は、電動車の走行用バッテリーから電力の供給を受けて充電される補機バッテリーと、前記補機バッテリーから供給される電力を用いて稼働する通信装置と、前記通信装置の通信状態を検知する通信状態検知部と、前記走行用バッテリーから前記補機バッテリーへの電力供給を制御する制御部と、を備え、前記電動車は、特定の利用者間で車両を共同利用するカーシェアリングサービス用の車両であり、前記通信装置は、前記カーシェアリングサービスに関する情報を通信するカーシェアリング用デバイスであり、前記通信状態検知部は、前記電動車の電源がオフされている間に所定時間ごとに前記カーシェアリング用デバイスが通信をおこなったか否かを判断し、前記制御部は、前記電動車の電源がオフされている間に、前記通信状態検知部が前記所定時間内に前記カーシェアリング用デバイスと通信をおこなわなかったと判断した場合には、前記所定時間経過後に前記補機バッテリーを充電する第1充電を実行し、前記電源がオフされている間に、前記通信状態検知部が前記所定時間内に前記カーシェアリング用デバイスと通信をおこなったと判断した場合には、前記所定時間経過後に前記第1充電よりも前記補機バッテリーに供給する電力量を増加させる第2充電を実行する、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかる補機バッテリー充電装置は、前記制御部は、前記第2充電を実行する場合、前記第1充電を実行する場合よりも前記走行用バッテリーから前記補機バッテリーへの電力供給時間を長くする、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかる補機バッテリー充電装置は、前記走行用バッテリーと前記補機バッテリーとはDC−DCコンバータを介して接続されており、前記制御部は、前記第2充電を実行する場合、前記第1充電を実行する場合よりも前記DC−DCコンバータの出力電圧値を増加させる、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかる補機バッテリー充電装置は、前記電動車の開口部を覆う被覆部材の開閉状態を検知する開閉状態検知部を備え、前記制御部は、前記第1充電または前記第2充電を実施している際に前記被覆部材が開放された場合、前記補機バッテリーへの充電を停止する、ことを特徴とする
【発明の効果】
【0010】
発明によれば、電動車の電源がオフされている間にも補機バッテリーを充電(第1充電)するので、電動車の停車中に通信装置が補機バッテリーの電力を消費する場合においても補機バッテリーのバッテリー上がりを防止することができる。また、請求項1の発明によれば、電源がオフされている間に通信装置が通信をおこなった場合には通信装置が通信をおこなっていない場合よりも補機バッテリーに供給する電力量を増加させた第2充電をおこなうので、通信装置の処理の中でも特に電力消費量が多い通信動作がおこなわれた場合に、適切な量の電力を充電することができ、過充電を防止しつつ補機バッテリー内の電力量を一定量確保することができる。
発明によれば、第2充電をおこなう場合には補機バッテリーへの電力供給時間を長くするので、供給電力量の変更を容易におこなうことができる。
発明によれば、第2充電をおこなう場合にはDC−DCコンバータの出力電圧値を増加させるので、補機バッテリーへの供給電力量を増加させた場合でも充電時間を短縮、または一定に保つことができる。
発明によれば、補機バッテリーへの充電中に電動車の被覆部材が開放された場合、補機バッテリーへの充電を停止するので、電動車の駐車中に利用者が何らかの作業をおこなう場合にも安全を確保することができる。
発明によれば、電動車の利用後(駐車中)に負荷の高い通信をおこなう必要があるカーシェアリング用デバイスを通信装置として用いるので、電動車がカーシェアリングサービス用の車両である場合に補機バッテリーのバッテリー上がりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態にかかる補機バッテリー充電装置10の構成を示すブロック図である。
図2】カーシェアリングサービスの概要を示す説明図である。
図3】補機バッテリー充電装置10の処理の手順を示すフローチャートである。
図4】パワースイッチ124の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる補機バッテリー充電装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる補機バッテリー充電装置10の構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる補機バッテリー充電装置10は、車両20の補機バッテリー102を充電するための装置である。車両20は、電気自動車やハイブリット自動車なの電動車であり、特定の利用者間で車両を共同利用するカーシェアリングサービス用の車両である。
【0014】
補機バッテリー102は、車両20のEV−ECU120や車両内外のランプ類、カーオーディオ(図示なし)、通信装置としてのカーシェアリング用デバイス200などの補機を駆動する電力を蓄電する12Vバッテリーである。
補機バッテリー102は、後述するEV−ECU120の制御によって、走行用バッテリー104から電力の供給を受けて充電される。このとき、走行用バッテリー104に蓄電された電力は、DC−DCコンバータ106で降圧された上で補機バッテリー102に供給される。
【0015】
走行用バッテリー104は、モータ114の駆動用電力を蓄電する。より詳細には、走行用バッテリー104に蓄電された電力は、インバータ112によって交流に変換され、モータ114に供給される。モータ114は、供給された電力を用いて回転運動をおこない、この回転がタイヤTに伝達されることによって、車両20が走行する。走行用バッテリー104はたとえば330V程度の高電圧バッテリーである。
走行用バッテリー104の状態(たとえば残存電力量やバッテリー温度、故障の有無など)は、BUM(Battery Management Unit)108によって監視されている。また、走行用バッテリー104への充電は、普通充電口110aまたは急速充電口110bを介しておこなわれる。普通充電口110aは、家庭用コンセントなど比較的低圧な電源を用いた充電をおこなう場合に用いられる。また、急速充電口110bは、比較的高圧な急速充電用充電装置などを用いた充電をおこなう場合に用いられる。
【0016】
EV−ECU120は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成され、車両20全体の制御を司る。請求項における通信検知部および制御部は、前記CPUにより前記制御プログラムを実行することによって実現する。
【0017】
ドアセンサ122は、車両20の開口部を覆う被覆部材の開閉状態を検知する開閉状態検知部である。ドアセンサ122は、たとえば車両20の乗降口を覆う前後左右の乗降用ドア、後部荷室を覆うテールゲート、車両前部を覆うボンネットなどの開閉状態を検知する。
【0018】
パワースイッチ124は、車両20の主電源のオンオフを切り替えるための操作部である。パワースイッチ124の操作状態は、ECU120に出力される。本実施の形態では、パワースイッチ124は回転式であり、ツマミを所望の位置に回転させることによって操作をおこなうものとする。
図4は、パワースイッチ124の一例を示す説明図である。図4に示すパワースイッチは、ツマミ126をLOCK、ACC、ON、STARTの4つの位置に移動可能である。LOCKの位置では、車両20の主電源およびアクセサリー電源がオフとなる。ACCの位置では、主に補機バッテリー102から電力の供給を受けて稼働する機器(補機)が使用可能となる。ONの位置では、モータ114に電力が供給され走行可能となるとともに、車両20内のすべての電子機器が使用可能となる。STARTの位置では、モータ114への電力の供給が開始される。なお、ツマミ126をSTARTの位置に合わせた場合でも、STARTの位置に固定されることはなく、手を放すと自動的にONの位置に移動する。
本実施の形態において、車両20の電源がオフにされた状態とは、パワースイッチ124がLOCKの位置にある、すなわちキーオフ状態にある場合を指すものとする。
【0019】
カーシェアリング用デバイス200は、補機バッテリー102から供給される電力を用いて稼働する通信装置であり、車両20が利用されるカーシェアリングサービスに関する情報を通信する。カーシェアリング用デバイス200は、少なくとも通信部、制御部およびEV−ECU120とのインターフェースを含んで構成される。
【0020】
ここで、カーシェアリング用デバイス200が用いられるカーシェアリングサービスの概要について説明する。
図2は、カーシェアリングサービスの概要を示す説明図である。図2に示すように、カーシェアリングサービスを実現するカーシェアリングシステム30は、カーシェアリング用デバイス200が搭載された車両20、カーシェアリングサービスサーバ32、携帯電話端末やパーソナルコンピュータなどの利用者端末34によって構成される。カーシェアリング用デバイス200、カーシェアリングサービスサーバ32および利用者端末34は、ネットワーク300を介して通信可能である。
【0021】
カーシェアリングサービスを利用する利用者は、利用者端末34から車両20を利用したい日時などをカーシェアリングサービスサーバ32に送信する。カーシェアリングサービスサーバ32では、利用者が指定した日時に車両20の空きがあるか否かを確認する。指定の日時に車両20の空きがある場合には、カーシェアリングの予約を成立させ、予約情報を利用者端末34およびカーシェアリング用デバイス200に送信する。
【0022】
利用者は、車両20を予約した日時に所定の車両保管場所に行き、車両20を利用する。車両20の利用後は、車両保管場所に車両20を返却して一連の利用を終了する。カーシェアリング用デバイス200は、車両20の利用が終了した後にカーシェアリングサービスサーバ32との間で通信をおこなう。このとき通信する情報としては、たとえば車両20の電源がオンにされた時刻(キーオン時刻)、電源がオフにされた時刻(キーオフ時刻)、走行距離、現在位置、電力使用量、電池残量、故障の有無などが挙げられる。また、カーシェアリング用デバイス200は、利用者が車両20を利用している間や利用終了後に車両保管場所に駐車されている間にも、カーシェアリングサービスサーバ32との間で、上記した予約情報などを通信する。
【0023】
ここで、上述したように、カーシェアリング用デバイス200は補機バッテリー102の電力を用いて稼働する。補機バッテリー102内の電力は、車両20の走行中(電源がオンにされている間)は逐次走行用バッテリー104から供給されるため、いわゆるバッテリー上がりが生じることはない。一方、車両20の駐車中(電源がオフにされている間)は、走行用バッテリー104からの電力供給がおこなわれないため、バッテリー上がりが生じる可能性がある。特に、カーシェアリング用デバイス200において通信をおこなう場合には、消費電力が増大する。
【0024】
このため、補機バッテリー充電装置10では、車両20の電源がオフされている間は、たとえば所定時間ごとに、補機バッテリー102を充電する第1充電を実施するとともに、電源がオフされている間に通信装置であるカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなった場合には、カーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっていない場合よりも、すなわち第1充電よりも補機バッテリー102に供給する電力量を増加させる第2充電を実施する。カーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっているか否かは、EV−ECU120によって監視する。すなわち、本実施の形態では、EV−ECU120が通信状態検知部として機能する。
【0025】
なお、供給電力量を増加させる方法としては、たとえばDC−DCコンバータ106の出力電圧値を増加させる、または充電時間を長くする方法がある。すなわち、第1の方法は、車両20の電源がオフされている間にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなった場合、電源がオフされている間にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっていない場合よりもDC−DCコンバータ106の出力電圧値を増加させる方法(第2充電を実行する場合、第1充電を実行する場合よりも前記DC−DCコンバータの出力電圧値を増加させる方法)であり、第2の方法は、車両20の電源がオフされている間にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなった場合、電源がオフされている間にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっていない場合よりも走行用バッテリー104から補機バッテリー102への電力供給時間を長くする方法(第2充電を実行する場合、前記第1充電を実行する場合よりも前記走行用バッテリーから前記補機バッテリーへの電力供給時間を長くする方法)である。
【0026】
また、補機バッテリー充電装置10では、車両20の電源がオフされている間における補機バッテリー102への充電中に車両20の開口部を覆う被覆部材(乗降用ドアやテールゲート、ボンネットなど)が開放された場合、補機バッテリー102への充電を停止する。これは、補機バッテリー102への充電は、走行用バッテリー104などの高電圧系の稼働を伴うものであり、たとえば、車両20の利用者がボンネットを開けて作業をおこなう場合などは、補機バッテリー102への充電を停止した方が安全性が高いと考えられるためである。なお、被覆部材が開放されたか否かは、EV−ECU120がドアセンサ122からの出力情報を参照することによって判断する。
【0027】
図3は、補機バッテリー充電装置10の処理の手順を示すフローチャートである。図3のフローチャートにおいて、補機バッテリー充電装置10は、まず、EV−ECU120によってパワースイッチ124の状態を検知して車両20の電源がオフにされているか否かを判断する(ステップS301)。車両20の電源がオフにされていない場合、すなわち車両20の走行中は(ステップS301:No)、走行用バッテリー104から補機バッテリー102に対して逐次電力を供給して充電をおこなう(ステップS309)。
【0028】
一方、車両20の電源がオフにされている場合、すなわち車両20の駐車中は(ステップS301:Yes)、車両20の電源がオフにされてから(2回目の充電以降は前回の充電から)所定時間経過するまで待機する(ステップS302:Noのループ)。この間、EV−ECU120は、カーシェアリング用デバイス200の通信状態を監視している。そして、所定時間が経過すると(ステップS302:Yes)、所定時間内にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなったか否かを判断する(ステップS303)。
【0029】
カーシェアリング用デバイス200が通信をおこなった場合は(ステップS303:Yes)、通信をおこなっていない場合と比較して供給電力量を増加させて充電をおこなう第2充電を実施する(ステップS304)。具体的には、上述のように、DC−DCコンバータ106の出力電圧値を増加させる、または電力供給時間を長くすることによって供給電力量を増加させる。一方、カーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっていない場合は(ステップS303:No)、1回当たりの充電電力量の基準値として定められた電力量(通常の供給電力量)を充電する第1充電を実施する(ステップS305)。
【0030】
充電中、EV−ECU120はドアセンサ122からの出力情報を参照し、車両20のドア(開口部の被覆部材)が開放されたか否かを判断する(ステップS306)。ドアが開放された場合は(ステップS306:Yes)、ステップS308に移行して直ちに受電を停止する(ステップS308)。一方、ドアが開放されない場合(ステップS306:No)、充電が完了するまでは(ステップS307:No)ステップS306に戻りドアの開閉を監視し、充電が完了すると(ステップS307:Yes)、充電を停止して本フローチャートによる処理を終了する。
【0031】
以上説明したように、実施の形態にかかる補機バッテリー充電装置10は、車両20の電源がオフされている間は所定時間ごとに補機バッテリーを充電する第1充電を実行するので、車両20の駐車中に通信装置(カーシェアリング用デバイス200)が補機バッテリー102の電力を消費する場合においても補機バッテリー102のバッテリー上がりを防止することができる。また、補機バッテリー充電装置10は、車両20の電源がオフされている間にカーシェアリング用デバイス200が通信をおこなった場合には、カーシェアリング用デバイス200が通信をおこなっていない場合よりも補機バッテリー102に供給する電力量を増加させる第2充電を実行するので、カーシェアリング用デバイス200の処理の中でも特に電力消費量が多い通信動作がおこなわれた場合に、適切な量の電力を充電することができ、過充電を防止しつつ補機バッテリー102内の電力量を一定量確保することができる。
【0032】
また、補機バッテリー充電装置10において、供給電力量を増加させるために補機バッテリー102への電力供給時間を長くすれば、供給電力量の変更を容易におこなうことができる。また、補機バッテリー充電装置10において、供給電力量を増加させるためにDC−DCコンバータ106の出力電圧値を増加させるようにすれば、補機バッテリー102への供給電力量を増加させた場合でも充電時間を短縮、または一定に保つことができる。
【0033】
また、補機バッテリー充電装置10は、補機バッテリー102への充電中に車両20の被覆部材が開放された場合、補機バッテリー102への充電を停止するので、車両20の駐車中に利用者が何らかの作業をおこなう場合にも安全を確保することができる。また、補機バッテリー充電装置10は、車両20の利用後(駐車中)に負荷の高い通信をおこなう必要があるカーシェアリング用デバイス200を通信装置として用いるので、車両20がカーシェアリングサービス用の車両である場合に補機バッテリー102のバッテリー上がりを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0034】
10……補機バッテリー充電装置、20……車両、30……カーシェアリングシステム、32……カーシェアリングサービスサーバ、34……利用者端末、102……補機バッテリー、104……走行用バッテリー、106……DC−DCコンバータ、110a……普通充電口、110b……急速充電口、112……インバータ、114……モータ、122……ドアセンサ、124……パワースイッチ、200……カーシェアリング用デバイス。
図1
図2
図3
図4