特許第6123437号(P6123437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6123437車両用ロック装置及び車両用スライドドア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123437
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】車両用ロック装置及び車両用スライドドア装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/665 20150101AFI20170424BHJP
   E05D 15/10 20060101ALI20170424BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20170424BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   E05F15/665
   E05D15/10
   B60J5/06 A
   B60J5/00 M
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-78814(P2013-78814)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-201956(P2014-201956A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年7月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 知英
(72)【発明者】
【氏名】碓井 敬之
(72)【発明者】
【氏名】桐生 知仁
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−82927(JP,A)
【文献】 特開2003−41828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00− 15/79
E05D 15/00− 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック部材を備え、
ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に構成されるとともに、
前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに設定された固定面に当接するように構成された板状部を備え、
前記板状部が前記固定面と前記固定面との間に所定の隙間を形成する保持部との間に挟み込まれることにより前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に保持されるように構成された、車両用ロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ロック装置において、
前記板状部は、締結により前記固定面と前記保持部との間に共締めされるように構成された、車両用ロック装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用ロック装置において、
前記板状部が前記保持部に挟み込まれる位置において前記固定面に対して位置決めされるように構成された、車両用ロック装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ロック装置において、
前記支持アームの幅方向端部において前記支持アームの延伸方向に延設された側板部に対して当接する状態で前記固定面を摺動することにより、前記板状部が前記隙間に挿入されるように構成された、車両用ロック装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車両用ロック装置において、
前記保持部から離間した位置において前記固定面に開口する孔部に対して嵌合するように構成された嵌合部を有する、車両用ロック装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の車両用ロック装置において、
前記固定面に交差するように構成された支持軸と、前記支持軸に回動自在に支持された
前記ロック部材と、を有し、
前記支持軸は、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部を有する、車両用ロック装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用ロック装置において、
前記ロック部材は、周面に開口し且つ車体に設けられたストライカに対して係合可能に構成された係合溝を有するラッチと、前記ラッチに係合することにより前記ラッチの回動位置を保持可能なポールと、を備えるとともに、
前記螺子部は、前記ラッチ又は前記ポールの少なくとも一方の支持軸に設けられた、
車両用ロック装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の車両用ロック装置において、
前記ロック部材の支持軸を軸方向に挟み込む第1ブラケット及び第2ブラケットを有し、
前記第1ブラケット及び第2ブラケットが連結された状態で前記支持アームに取り付けられるように構成されるとともに、
前記板状部は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットの端部を重ね合わせてなる、
車両用ロック装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の車両用ロック装置において、
前記板状部には、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部が設けられる、車両用ロック装置。
【請求項10】
請求項1〜請求項8の何れか一項に記載の車両用ロック装置を備えた車両用スライドドア装置において、
前記保持部には、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部が設けられる、車両用スライドドア装置。
【請求項11】
車体の側面に設けられたガイドレールと、
相対移動可能に前記ガイドレールに連結される連結部材と、を備え、
前記ガイドレール及び連結部材を介して前記車体にスライドドアを支持することにより、前記ガイドレールに沿った前記スライドドアの前後移動に基づいて、前記車体の側面に形成されたドア開口部を開閉可能に構成されるとともに、
前記ドア開口部の縁部に設けられた前記ガイドレールには、前記スライドドアに固定されることにより該スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる支持アームを備えた前記連結部材が連結され、
前記支持アームには、前記スライドドアを全開位置で保持可能なロック装置が設けられるものであって、
前記支持アームは、前記ドア開口部に臨む表面に対して裏側となる位置に前記ロック装置の固定面を有するとともに、
前記ロック装置は、前記固定面に当接する板状部を備え、
前記固定面には、該固定面との間に前記ロック装置の板状部を挟み込んで保持することが可能な保持部が設けられた車両用スライドドア装置。
【請求項12】
ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に構成されるとともに、
前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに設定された固定部と前記固定部との間に所定の隙間を形成する保持部との間に挟み込まれることにより前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に
保持されるように構成された被保持部を備える、車両用ロック装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両用ロック装置において、
前記固定部に交差するように構成された支持軸と、前記支持軸に回動自在に支持されたロック部材と、を有し、
前記支持軸は、前記保持部から離間した位置において前記固定部に開口する孔部に対して嵌合するように構成された嵌合部と、前記嵌合部の軸端面に設けられ、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部と、を有する、
車両用ロック装置。
【請求項14】
請求項13に記載の車両用ロック装置において、
前記嵌合部の軸端面は、前記嵌合部が前記固定部に開口する前記孔部に対して嵌合した際に、前記孔部内に位置するように構成された、車両用ロック装置。
【請求項15】
ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に設けられるとともに、
前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに保持される被保持部を有し、
前記被保持部は、前記支持アームの延伸方向に開口する保持開口部を形成し前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に設けられる保持部に対して、前記保持部の前記保持開口部に前記支持アームの延伸方向に沿って挿入される、車両用ロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ロック装置及び車両用スライドドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用のスライドドア装置は、車両前後方向に延びるガイドレールと、このガイドレールに対し、その延設方向に沿って相対移動可能に連結される連結部材と、を備えている。そして、これらのガイドレール及び連結部材を介して車体にスライドドアを支持することにより、そのガイドレールに沿ったスライドドアの前後移動に基づいて、車体の側面に形成された車両のドア開口部を開閉することが可能となっている。
【0003】
また、多くの場合、ガイドレールに連結される連結部材には、そのスライドドア側からガイドレール側に向かって延びる支持アームが設けられている。そして、例えば、特許文献1に記載のスライドドア装置においては、その支持アームに、スライドドアを全開位置で保持するためのロック装置(全開ロック)が設けられている。
【0004】
即ち、ドア開口部から接触可能な位置にロック装置を設けることで、そのメンテナンス性を向上させることができる。例えば、ロック装置に故障が生じた場合であっても、ドア開口部を介して直接的にロック装置を操作することができる。そして、これにより、そのスライドドアの拘束を解除して当該スライドドアを閉動作させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−41828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の構成では、ドア開口部に臨む支持アームの表側にロック装置が固定されている。このため、その意匠性が低下する可能性があるのみならず、ドア開口部を介した異物の侵入によって、ロック装置の信頼性が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、その支持アームの裏側にロック装置を固定する構成が考えられる。しかしながら、このような構成を採用した場合には、その取り付け作業が煩雑になるという問題があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高い信頼性を確保可能、且つ取り付け容易な車両用ロック装置及び車両用スライドドア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、ロック部材を備え、ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に構成されるとともに、前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに設定された固定面に当接するように構成された板状部を備え、前記板状部が前記固定面と前記固定面との間に所定の隙間を形成する保持部との間に挟み込まれることにより前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に保持されるように構成されたものであることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、支持アームの裏側に保護された状態でロック装置を支持することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。また、仮組み状態のロック装置を支えることなく支持アームの裏側に保持することができる。その結果、容易にロック装置を取り付けることができる。
【0011】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、前記板状部は、締結により前記固定面と前記保持部との間に共締めされるように構成されたことが好ましい。
上記構成によれば、固定面に対して確実にロック装置を固定することができる。また、その保持位置を締結部とすることで、締結の際、ロック装置と支持アームとの間に位置ずれが生じ難くなる。そして、これにより、その締結作業を容易化することができる。
【0013】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、記板状部が前記保持部に挟み込まれる位置において前記固定面に対して位置決めされるように構成されことが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、目視することなくロック装置を位置決めすることができる。そして、これにより、より容易にロック装置を取り付けることができる。
上記課題を解決する車両用ロック装置は、前記支持アームの幅方向端部において前記支持アームの延伸方向に延設された側板部に対して当接する状態で前記固定面を摺動することにより、前記板状部が前記隙間に挿入されるように構成されたことが好ましい。
【0015】
即ち、ロック装置は、支持アームに対し、その固定面に当接することにより上下方向の取り付け位置が規定され、側板部に当接することにより幅方向の取り付け位置が規定される。更に、側板部に案内されて固定面を摺動することにより、その板状部が保持部内に挿入される。そして、これにより、そのロック装置の取り付け位置が規定される。従って、上記構成によれば、目視を要することなく、容易にロック装置を位置決めすることができる。そして、これにより、より容易にロック装置を取り付けることができる。
【0016】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、記保持部から離間した位置において前記固定面に開口する孔部に対して嵌合するように構成された嵌合部を有することが好ましい。
【0017】
即ち、保持部に保持される板状部から離間した位置に嵌合部を設けることで、その板状部を中心としたロック装置の回動を規制することができる。そして、これにより、より精度よく、ロック装置を位置決めすることができる。
【0018】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、記固定面に交差するように構成された支持軸と、前記支持軸に回動自在に支持された前記ロック部材と、有し、前記支持軸は、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部を有することが好ましい。
【0019】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、前記ロック部材は、周面に開口し且つ車体に設けられたストライカに対して係合可能に構成された係合溝を有するラッチと、前記ラッチに係合することにより前記ラッチの回動位置を保持可能なポールと、を備えるとともに、前記螺子部は、前記ラッチ又は前記ポールの少なくとも一方の支持軸に設けられたことが好ましい。
【0020】
上記各構成によれば、支持アームの裏側にナットを保持することなく、表面側から螺子部材(ボルト等)を螺着することができる。また、併せてその部品点数を減らすことができる。その結果、締結作業を更に容易化することができる。そして、支持軸の内部を利用することにより、ロック装置の小型化を図ることができる。
【0021】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、記ロック部材の支持軸を軸方向に挟み込む第1ブラケット及び第2ブラケットを有し、前記第1ブラケット及び第2ブラケットが連結された状態で前記支持アームに取り付けられるように構成されるとともに、前記板状部は、前記第1ブラケット及び第2ブラケットの端部を重ね合わせてなることが好ましい。
【0022】
上記構成によれば、容易に板状部を形成することができる。そして、ロック部材が一体に組み付けられた状態(アッセンブリー状態)で、容易に、ロック装置を支持アームに取り付けることができる。
【0023】
上記課題を解決する車両用ロック装置は、前記板状部には、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部が設けられることが好ましい。
上記課題を解決する車両用スライドドア装置は、前記保持部には、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部が設けられることが好ましい。
上記各構成によれば、支持アームの裏側にナットを保持することなく、表面側から螺子部材(ボルト等)を螺着することができる。また、併せてその部品点数を減らすことができる。そして、これにより、その締結作業を更に容易化することができる。
上記課題を解決する車両用スライドドア装置は、車体の側面に設けられたガイドレール
と、相対移動可能に前記ガイドレールに連結される連結部材と、を備え、前記ガイドレール及び連結部材を介して前記車体にスライドドアを支持することにより、前記ガイドレールに沿った前記スライドドアの前後移動に基づいて、前記車体の側面に形成されたドア開口部を開閉可能に構成されるとともに、前記ドア開口部の縁部に設けられた前記ガイドレールには、前記スライドドアに固定されることにより該スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる支持アームを備えた前記連結部材が連結され、前記支持アームには、前記スライドドアを全開位置で保持可能なロック装置が設けられるものであって、前記支持アームは、前記ドア開口部に臨む表面に対して裏側となる位置に前記ロック装置の固定面を有するとともに、前記ロック装置は、前記固定面に当接する板状部を備え、前記固定面には、該固定面との間に前記ロック装置の板状部を挟み込んで保持することが可能な保持部が設けられたものであることが好ましい。
上記課題を解決する車両用ロック装置は、ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に構成されるとともに、前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに設定された固定部と前記固定部との間に所定の隙間を形成する保持部との間に挟み込まれることにより前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に保持されるように構成された被保持部を備えるものであることが好ましい。
上記課題を解決する車両用ロック装置は、前記固定部に交差するように構成された支持軸と、前記支持軸に回動自在に支持されたロック部材と、を有し、前記支持軸は、前記保持部から離間した位置において前記固定部に開口する孔部に対して嵌合するように構成された嵌合部と、前記嵌合部の軸端面に設けられ、前記支持アームに対する前記ロック装置の締結に用いられるように構成された螺子部と、を有することが好ましい。
上記課題を解決する車両用ロック装置は、 前記嵌合部の軸端面は、前記嵌合部が前記固定部に開口する前記孔部に対して嵌合した際に、前記孔部内に位置するように構成されたことが好ましい。
上記課題を解決する車両用ロック装置は、ドア開口部に設けられたガイドレールと前記ドア開口部を開閉可能なスライドドアとの間の連結部材に固定されることにより前記ガイドレールに沿って前後移動する前記スライドドアを全開位置で保持可能に設けられるとともに、前記スライドドア側から前記ガイドレール側に向かって延びる前記連結部材の支持アームに保持される被保持部を有し、前記被保持部は、前記支持アームの延伸方向に開口する保持開口部を形成し前記ドア開口部に臨む前記支持アームの表面に対して裏側となる位置に設けられる保持部に対して、前記保持部の前記保持開口部に前記支持アームの延伸方向に沿って挿入されることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高い信頼性を確保するとともに容易にロック装置を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】車両用スライドドア装置の概略構成図。
図2】センターレール及びその連結部材の構成を示す断面図(図1におけるII−II断面)。
図3】ロアレール及びその連結部材の構成を示す断面図(図1におけるIII−III断面)。
図4】スライドドアに形成された操作伝達系の概略構成図。
図5】ロアレールに連結される連結部材の平面図。
図6】支持アームに設けられたロック装置の固定構造を示す断面図(図5におけるVI−VI断面、固定状態)。
図7】全開ロックを構成するロック装置の動作を説明する図。
図8】支持アームの側板部とロック装置と位置関係を示す断面図(図5におけるVIII−VIII断面図)。
図9】支持アームに設けられたロック装置の固定構造を示す断面図(図5におけるVI−VI断面、取り付け前)。
図10】支持アームに設けられたロック装置の固定構造を示す断面図(図5におけるVI−VI断面、仮組み状態)。
図11】別例のロック装置の固定構造を示す断面図(固定状態)。
図12】別例のロック装置の固定構造を示す断面図(取り付け前)。
図13】別例のロック装置の固定構造を示す断面図(固定状態)。
図14】別例のロック装置の固定構造を示す断面図(取り付け前)。
図15】別例のロック装置の固定構造を示す拡大断面図(取り付け前)。
図16】別例のロック装置の固定構造を示す平面図(取り付け後)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、車両用スライドドア装置の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は、車両前後方向に移動することにより車体2の側面2aに形成されたドア開口部3を開閉可能なスライドドア4を備えている。
【0027】
詳述すると、この車両1には、車両前後方向に延びる複数のガイドレール5と、その延設方向に沿って相対移動可能に各ガイドレール5に連結される連結部材7と、を備えたスライドドア装置10が設けられている。そして、スライドドア4は、これらのガイドレール5(5A〜5C)及び連結部材7(7A〜7C)を介して車体2に支持されることにより、上記のように車両前後方向に移動して、その車体2の側面2aに形成されたドア開口部3を開閉することが可能となっている。
【0028】
具体的には、本実施形態のスライドドア装置10は、そのドア開口部3の後方において車両前後方向に延設されたセンターレール5Aと、ドア開口部3の下縁3b及び上縁3cにおいて、それぞれ車両前後方向に延設されたロアレール5B及びアッパレール5Cと、を備えている。また、スライドドア4の後端部には、センターレール5Aに連結される連結部材7Aが設けられている。そして、スライドドア4の前端部には、ロアレール5Bに連結される連結部材7B、及びアッパレール5Cに連結される連結部材7Cが設けられている。
【0029】
さらに詳述すると、図2に示すように、センターレール5Aは、車体2の側面2aに形成された車両前後方向(図2中、紙面に直交する方向)に延びる溝状の凹部12内に配置されている。また、センターレール5Aに連結される連結部材7Aは、スライドドア4の内側面4aに固定されるブラケット13と、上下方向に延びる支軸L1を有して回動自在にブラケット13に支持された支持アーム14と、を備えている。そして、この支持アーム14の先端14aには、センターレール5Aが形成する軌道T(図1参照)上を転動可能なガイドローラー16(16A)が設けられている。
【0030】
具体的には、センターレール5Aは、車幅方向(図2中、左右方向)に対向する一対の側壁部17a,17bを有している。また、ガイドローラー16Aは、上下方向に延びる支軸L2によって回転自在に支持されている。そして、センターレール5Aには、そのレール内に上記支持アーム14の先端14aを挿入可能な開口部17cが形成されている。
【0031】
即ち、連結部材7Aは、そのガイドローラー16Aが上記両側壁部17a,17b間に挟み込まれる態様で、センターレール5Aに連結されている。また、そのガイドローラー16Aが各側壁部17a,17bの何れかに当接することにより、その側壁部17a,17b上に軌道Tが形成される。そして、連結部材7Aは、その軌道T上をガイドローラー16Aが転動することにより、センターレール5Aの延伸方向に沿って移動することが可能となっている。
【0032】
また、図3に示すように、ドア開口部3の下縁3bには、車両前後方向(図3中、紙面に直交する方向)に延びる溝状の凹部18が形成されている。そして、ロアレール5Bは、この凹部18内に配置されている。
【0033】
具体的には、ロアレール5Bは、車幅方向(図3中、左右方向)に対向する一対の側壁部20a,20bを備えて下向きに開口する略コ字状の端面形状(断面形状)を有している。また、このロアレール5Bに連結される連結部材7Bは、スライドドア4の内側面4aに対する固定部21aと、スライドドア4側からロアレール5B側に向かって車幅方向内側(図3中、右側)に延びる延伸部21bと、を有した支持アーム21を備えている。更に、その延伸部21bの先端には、上下方向に延びる支軸L3を有して回動自在に連結されたローラー保持部22が設けられている。そして、このローラー保持部22には、上下方向に延びる支軸L4を有してロアレール5Bが形成する軌道T上を転動可能なガイドローラー16(16B)が設けられている。
【0034】
即ち、連結部材7Bもまた、そのローラー保持部22に設けられたガイドローラー16Bが上記両側壁部20a,20b間に挟み込まれる態様で、ロアレール5Bに連結されている。そして、その各側壁部20a,20b上に形成される軌道T上をガイドローラー16Bが転動することにより、ロアレール5Bの延伸方向に沿って移動することが可能となっている。
【0035】
尚、本実施形態では、アッパレール5C及び当該アッパレール5Cに連結される連結部材7Cもまた、その配置を除いて上記ロアレール5B及び当該ロアレール5Bに連結される連結部材7Bと略同様の構成を有している。このため、便宜上、その詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施形態では、各連結部材7には、それぞれ、二つのガイドローラー16が設けられている。また、図2に示すように、本実施形態では、連結部材7Aを構成する支持アーム14の先端14aには、センターレール5Aの下壁部17d上を転動するロードローラー28が設けられている。更に、図3に示すように、連結部材7B(7C)を構成するローラー保持部22にも、同様のロードローラー28が設けられている。そして、本実施形態では、これらのロードローラー28によって、そのスライドドア4の荷重が支えられるようになっている。
【0037】
本実施形態のスライドドア4は、このように各ガイドレール5(5A〜5C)及び連結部材7(7A〜7C)を介して車体2に支持されている。そして、本実施形態のスライドドア装置10は、各ガイドローラー16の転動を伴いつつ、各ガイドレール5(5A〜5C)と各連結部材7(7A〜7C)とが相対移動することによって、その支持するスライドドア4を車両前後方向に移動させることが可能となっている。
【0038】
また、図4に示すように、スライドドア4には、当該スライドドア4を全閉位置で保持するためのフロントロック31及びリアロック32(全閉ロック)、並びにスライドドア4を全開位置で保持するための全開ロック33が設けられている。また、これらのロック装置(31〜33)は、ワイヤーケーブルやリンク等の伝達部材34を介してインサイドドアハンドル35及びアウトサイドドアハンドル36に接続されている。そして、本実施形態では、これにより、そのスライドドア4を開閉動作するための操作伝達系37が形成されている。
【0039】
具体的には、各ドアハンドル(35,36)に対する操作入力は、その操作伝達系37の途中に設けられたリモコン(リモートコントロール装置)38に入力される。そして、このリモコン38の動作に基づいて、その操作入力に応じた適切なロック装置(31〜33)がアンロック動作するようになっている。
【0040】
(全開ロック)
次に、支持アームに設けられたロック装置(全開ロック)について説明する。
図5に示すように、本実施形態では、ロアレール5Bに連結される連結部材7Bの支持アーム21には、上記全開ロック33を構成するロック装置40が設けられている。
【0041】
具体的には、図6に示すように、本実施形態の支持アーム21は、そのドア開口部3に臨む表面S1に対して裏側となる位置(裏面S2)に、ロック装置40の固定面41を有している。そして、ロック装置40は、その固定面41に交差する支持軸(42A,42B)を有して回動自在に支持された複数のロック部材(43,44)を備えて構成されている。
【0042】
詳述すると、本実施形態のロック装置40は、平行する二本の支持軸42A,42Bと、これらの支持軸42A,42Bによって回動自在に軸支されたロック部材としてのラッチ43及びポール44と、を備えている。また、ロック装置40は、これらの支持軸42A,42Bを軸方向に挟み込む第1ブラケット45及び第2ブラケット46を備えている。そして、ロック装置40は、その第1ブラケット45が固定面41に当接する状態で上記支持アーム21に固定されている。
【0043】
図7に示すように、ラッチ43は、その周面43sに開口する係合溝47を有している。また、車体2側には、スライドドア4が全開位置に移動することにより、ラッチ43の係合溝47に係合可能なストライカ48が設けられている。更に、ポール44は、その係合溝47にストライカ48が係合した状態でラッチ43に係合することにより、該ラッチ43の回動位置を保持することが可能となっている。そして、本実施形態のロック装置40は、これにより、スライドドア4の前方移動を規制して、その全開位置を保持することが可能となっている。
【0044】
さらに詳述すると、これらのラッチ43及びポール44は、それぞれ、その支持軸42A,42Bに嵌装された捩りコイルバネ50,51の弾性力に基づいて、互いに相反する方向に付勢されている。具体的には、ラッチ43は、図7中、時計回り方向に付勢され、ポール44は、反時計回り方向に付勢されている。そして、これにより、ラッチ43及びポール44は、互いの周面43s,44sが摺接する状態となっている。
【0045】
また、ポール44の周面44sには、係合突部52が形成されている。更に、ラッチ43の周面43sには、その係合突部52と係合可能な係合凹部53が形成されている。そして、本実施形態では、これらポール44の係合突部52とラッチ43の係合凹部53との係合関係に基づいて、そのラッチ43の回動位置が保持されるようになっている。
【0046】
具体的には、ロック装置40がアンロック状態にある場合、ポール44は、その係合突部52の基端部分に位置する周面44sが、ラッチ43の周面43sにおける上記係合凹部53よりも上記係合溝47の開口部分に近い部分に摺接するようになっている(図7中、二点鎖線に示す位置)。また、このとき、ラッチ43の回動位置は、その係合溝47が車両後方側に開口するように設定されている。即ち、連結部材7Bの支持アーム21に設けられたロック装置40は、スライドドア4と一体に前後移動することにより、車体2側に設けられたストライカ48に対して接離するように構成されている。そして、本実施形態では、これにより、そのスライドドア4の開動作に基づいて、ラッチ43の係合溝47とストライカ48とが係合するようになっている。
【0047】
また、ラッチ43は、その後、スライドドア4が更に車両後方側に移動することによって、その係合溝47に係合するストライカ48に押圧される態様で、図7中、反時計周り方向に回動する。更に、このラッチ43の回動によって、その周面43sに対してポール44(の周面44s)が摺接する位置は、上記係合溝47側から係合凹部53側に向かって移動する。そして、スライドドア4が全開位置にある場合には、そのポール44の係合突部52がラッチ43の係合凹部53に係合するように構成されている。
【0048】
即ち、本実施形態では、その係合突部52と係合凹部53との係合関係に基づいて、図7中、時計回り方向におけるラッチ43の回動、つまりは、その係合溝47とストライカ48との係合が解除される方向におけるラッチ43の回動が規制される。そして、これにより、そのラッチ43の係合溝47からストライカ48が脱離不能な状態で、ラッチ43の回動位置を保持することが可能となっている(ロック状態)。
【0049】
また、本実施形態では、ポール44の係合突部52には、伝達部材34を構成するワイヤーケーブル54との接続部55が形成されている。具体的には、本実施形態のワイヤーケーブル54は、金属製のワイヤー54aを樹脂製のチューブ54b内に挿通してなる周知の構造を有しており、ポール44には、そのワイヤー54aの先端に設けられた玉状の端末部54cを係止可能な溝部を有した接続部55が形成されている。そして、第2ブラケット46には、そのチューブ54bの一端を掛止するケーブル保持部56が形成されている。
【0050】
即ち、ポール44は、ワイヤーケーブル54に引かれることにより、捩りコイルバネ51の弾性力に抗して、図7中、時計回り方向に回動する。また、このポール44の回動によって、その係合突部52とラッチ43(の係合凹部53)との係合が解除される。つまり、ラッチ43が時計回り方向に回動可能となることで、その係合溝47からストライカ48が脱離可能な状態になる。そして、本実施形態のロック装置40は、これにより、そのラッチ43(の係合溝47)とストライカ48との係合関係に基づくロック状態を解除(アンロック)することが可能となっている。
【0051】
図5及び図8に示すように、本実施形態では、支持アーム21の幅方向両端部には、ドア開口部に臨む表側(表面S1側)に凸となる湾曲形状を有して支持アーム21の延伸方向に延びるビード57a,57bが形成されている。尚、本実施形態では、これらのビード57a,57bの間にもビード57cが形成されている。そして、ロック装置40の外部に引き出されたワイヤーケーブル54は、そのビード57aの内側に配索されることにより、スライドドア4側に引き出されるようになっている。
【0052】
(ロック装置の固定構造)
次に、上記支持アームに設けられたロック装置の固定構造について説明する。
図9に示すように、本実施形態では、第1ブラケット45及び第2ブラケット46は、支持アーム21に取り付けられる前の工程において、各支持軸42A,42Bを軸方向に挟み込む状態で連結されている。そして、本実施形態のロック装置40は、これにより、そのロック部材としてのラッチ43及びポール44(並びに各捩りコイルバネ50,51)が一体に組み付けられた状態(アッセンブリー状態)で、支持アーム21に取り付けられるようになっている。
【0053】
詳述すると、本実施形態では、各支持軸42A,42Bは、第1ブラケット45及び第2ブラケット46を貫通する態様で設けられている。そして、第1ブラケット45及び第2ブラケット46は、支持軸42Aの軸方向両端部、及び支持軸42Bにおける第2ブラケット46側の軸方向端部をかしめることにより、これら各支持軸42A,42Bを挟み込む状態で連結されている。
【0054】
また、本実施形態のロック装置40は、その連結により重ね合わされた第1ブラケット45の端部45aと第2ブラケット46の端部46aとが形成する板状部61を備えている。そして、支持アーム21の裏面S2に設定されたロック装置40の固定面41には、当該固定面41との間に上記ロック装置40の板状部61を挟み込んで保持することが可能な保持部62が形成されている。
【0055】
具体的には、本実施形態の板状部61は、第2ブラケット46の端部46aを第1ブラケット45側に折り曲げて、その端部45aに重ね合わせることにより形成されている。一方、固定面41には、段部63aを有した板状部材63が固着されている。そして、本実施形態では、これにより、その段部63aと固定面41との間に上記板状部61の厚みDに相当する隙間Xを有した保持部62が形成されている。
【0056】
さらに詳述すると、本実施形態の保持部62は、その隙間Xが支持アーム21の基端側(図9中、右側)に開口するように構成されている。そして、ロック装置40は、支持アーム21の延伸方向、基端側から先端側(図9中、右側から左側)に向かって摺動する態様で当該支持アーム21に取り付けられることにより、その固定面41に当接する板状部61が保持部62の隙間Xに挿入されるようになっている。
【0057】
図8に示すように、本実施形態では、支持アーム21の幅方向端部に設けられたビード57aは、その幅方向端部に支持アーム21の表側から裏側(同図中、上側から下側)に向かって延びるフランジ状の側板部59を形成する。また、ロック装置40の第2ブラケット46は、そのロック装置40が支持アーム21に取り付けられる際、上記側板部59に当接する側壁部46bを備えている。そして、本実施形態では、その第2ブラケット46の側壁部46bと支持アーム21の側板部59とが当接する幅方向位置において、そのロック装置40の板状部61を保持部62の隙間Xに挿入することが可能となっている。
【0058】
即ち、本実施形態のロック装置40は、その支持アーム21の延伸方向に延びる側板部59に案内される態様で固定面41を摺動することにより、支持アーム21に取り付けられる。そして、その板状部61が保持部62に挟み込まれる位置において、固定面41に対して位置決めされるようになっている。
【0059】
図10に示すように、本実施形態のロック装置40は、その板状部61が保持部62に挟み込まれることにより支持アーム21の裏面S2側に保持される。そして、二本のボルト64b,64xを用いて固定面41に締結されるようになっている。
【0060】
詳述すると、図6図9及び図10に示すように、本実施形態では、ロック装置40の板状部61には、ボルト64xを挿通するための挿通孔66が形成されている。また、支持アーム21には、その板状部61が保持部62に挟み込まれる位置に開口する挿通孔65xが形成されている。そして、保持部62には、その挿通孔65xと同軸となる位置に、ボルト64xが螺合する螺子部(ナット)67xが形成されている。
【0061】
即ち、ボルト64xは、支持アーム21の表面S1側から、当該支持アーム21の挿通孔65x及び板状部61の挿通孔66に挿通されることにより、保持部62に設けられた螺子部67xに螺着される。そして、本実施形態のロック装置40は、これにより、その板状部61が保持部62と固定面41との間に共締めされる態様で当該固定面41に締結されるようになっている。
【0062】
また、支持アーム21には、その固定面41にロック装置40が取り付けられた状態において、ロック部材としてのポール44の支持軸42Bと同軸となる位置に開口する挿通孔65bが形成されている。そして、本実施形態では、そのポール44の支持軸42Bに、ボルト64bが螺合する螺子部(ナット)67bが形成されている。
【0063】
本実施形態では、上記のように第1ブラケット45を貫通して固定面41側に突出する支持軸42Bの軸方向端部は、孔部としての挿通孔65bに嵌合する嵌合部69bとなっている。そして、螺子部67bは、その嵌合部69bの軸端面に螺子穴を穿設することにより形成されている。
【0064】
即ち、ボルト64bもまた、支持アーム21の表面S1側から、ポール44の支持軸42Bに形成された螺子部67bに螺着される。そして、本実施形態のロック装置40は、これにより、そのポール44の支持軸42B及び上記板状部61の二箇所を締結部として、固定面41に固定されるようになっている。
【0065】
次に、上記のように構成された本実施形態のスライドドア装置10の作用について説明する。
本実施形態では、支持アーム21の固定面41(固定部に相当)に対して第1ブラケット45が当接、詳しくは、その当該第1ブラケット45が形成する板状部61が当接することにより、その上下方向におけるロック装置40の取り付け位置が規定される。また、支持アーム21の幅方向端部に設けられた側板部59に対し、第2ブラケット46(の側壁部46b)が当接することにより、その支持アーム21の幅方向におけるロック装置40の取り付け位置が規定される。更に、この状態でロック装置40を支持アーム21の延伸方向に摺動させることにより、その板状部61が、固定面41に形成された保持部62内に挿入される。そして、本実施形態では、これにより、その支持アーム21の延伸方向におけるロック装置40の取り付け位置が規定される。
【0066】
また、ロック装置40は、その板状部61が保持部62に挟み込まれることにより支持アーム21の裏面S2側に保持される。そして、本実施形態では、これにより、治具等を用いることなく、容易にロック装置40を支持アーム21に取り付けることが可能となっている。
【0067】
以上、本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ロアレール5Bに連結される連結部材7Bの支持アーム21は、ドア開口部3に臨む表面S1に対して裏側となる位置(裏面S2)に、全開ロック33を構成するロック装置40の固定面41を有する。また、ロック装置40は、固定面41に当接する板状部61を備える。そして、固定面41には、当該固定面41との間にロック装置40の板状部61を挟み込んで保持することが可能な保持部62が形成される。
【0068】
上記構成によれば、支持アーム21の裏側に保護された状態でロック装置40を支持することができる。そして、これにより、高い信頼性を確保することができる。また、仮組み状態のロック装置40を支えることなく支持アーム21の裏面S2側に保持することができる。その結果、容易にロック装置40を取り付けることができる。
【0069】
(2)板状部61は、締結により保持部62と固定面41との間に共締めされる。このような構成とすることで、固定面41に対して確実にロック装置40を固定することができる。また、その保持位置を締結部とすることで、締結の際、ロック装置40と支持アーム21との間に位置ずれが生じ難くなる。そして、これにより、その締結作業を容易化することができる。
【0070】
(3)ロック装置40の板状部61には、ボルト64xを挿通するための挿通孔66が形成され、支持アーム21には、その板状部61が保持部62に挟み込まれる位置に開口する挿通孔65xが形成される。そして、保持部62には、その挿通孔65xと同軸となる位置に、ボルト64xが螺合する螺子部(ナット)67xが形成される。
【0071】
上記構成によれば、支持アーム21の裏面S2側にナットを保持することなく、表面S1側からボルト64xを螺着することができる。また、併せてその部品点数を減らすことができる。そして、これにより、締結作業を更に容易化することができる。また、
(4)ロック装置40は、その板状部61が保持部62に挟み込まれる位置において、固定面41に対して位置決めされる。このような構成とすることで、目視することなくロック装置40を位置決めすることができる。そして、これにより、より容易にロック装置40を取り付けることができる。
【0072】
(5)支持アーム21の幅方向端部には、当該支持アーム21の延伸方向に延びる側板部59が形成される。そして、ロック装置40は、その側板部59に当接する状態で固定面41を摺動することにより、その板状部61が保持部62内に挿入されるように構成される。
【0073】
即ち、ロック装置40は、支持アーム21に対し、その固定面41に当接することにより上下方向の取り付け位置が規定され、側板部59に当接することにより幅方向の取り付け位置が規定される。更に、側板部59に案内されて固定面41を摺動することにより、その板状部61が保持部62内に挿入される。そして、これにより、そのロック装置40の取り付け位置が規定される。従って、上記構成によれば、目視を要することなく、容易にロック装置40を位置決めすることができる。そして、これにより、より容易にロック装置40を取り付けることができる。
【0074】
(6)ロック装置40は、周面43sに開口する係合溝47を有して車体2に設けられたストライカ48に係合可能なラッチ43と、このラッチ43に係合することにより当該ラッチ43の回動位置を保持可能なポール44と、を備える。そして、ポール44の支持軸42Bには、支持アーム21に対するロック装置40の締結に用いられる螺子部(ナット)67bが形成される。
【0075】
上記構成によれば、支持アーム21の裏面S2側にナットを保持することなく、表面S1側からボルト64bを螺着することができる。また、併せてその部品点数を減らすことができる。その結果、締結作業を更に容易化することができる。そして、支持軸42Bの内部を利用することにより、ロック装置40の小型化を図ることができる。
【0076】
(7)螺子部67bが形成された支持軸42Bの軸方向端部は、嵌合部69bとして、そのボルト64bが挿通される挿通孔65bに嵌合する。即ち、保持部62に保持される板状部61から離間した位置に嵌合部69bを設けることで、その板状部61を中心としたロック装置40の回動を規制することができる。そして、これにより、より精度よく、ロック装置40を位置決めすることができる。
【0077】
(8)ロック装置40は、ラッチ43及びポール44の各支持軸42A,42Bを軸方向に挟み込む第1ブラケット45及び第2ブラケット46を備えるとともに、これら第1ブラケット45及び第2ブラケット46が連結された状態で支持アーム21に取り付けられる。そして、板状部61は、その第1ブラケットの端部45aと第2ブラケットの端部46aとを重ね合わせることにより形成される。
【0078】
上記構成によれば、容易に板状部61を形成することができる。そして、そのロック部材としてのラッチ43及びポール44(並びに各捩りコイルバネ50,51)が一体に組み付けられた状態(アッセンブリー状態)で、容易に、ロック装置40を支持アーム21に取り付けることができる。
【0079】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、支持アーム21に対するロック装置40の締結に用いられる螺子部(ナット)67bを、ポール44の支持軸42Bに形成することとした。
【0080】
しかし、これに限らず、図11及び図12に示すように、ラッチ43の支持軸42Aに、ボルト64aが螺合する螺子部(ナット)67aを形成する。そして、この螺子部67aを締結部として、ロック装置70を固定面41に締結する構成としてもよい。
【0081】
具体的には、このロック装置70において、第1ブラケット45及び第2ブラケット46は、支持軸42Bの軸方向両端部、及び支持軸42Aにおける第2ブラケット46側の軸方向端部をかしめることにより、これら各支持軸42A,42Bを挟み込む状態で連結されている。また、第1ブラケット45を貫通する支持軸42Aの軸方向端部は、ボルト64aを挿通すべく固定面41に形成された挿通孔65aに嵌合する嵌合部69aとなっている。そして、螺子部67aは、その嵌合部69aの軸端面に螺子穴を穿設することにより形成されている。
【0082】
また、この例において、保持部62は、上記の挿通孔65aよりも支持アーム21の基端側に設けられている。そして、固定面41との間にロック装置40の板状部61を挟み込む隙間Xは、支持アーム21の先端側(各図中、左側)に開口するように構成されている。
【0083】
即ち、このロック装置70において、板状部61は、ポール44の支持軸42Bを挟んでラッチ43の支持軸42Aの反対側(各図中、右側)に設けられている。そして、ロック装置70は、支持アーム21の延伸方向、先端側から基端側(各図中、左側から右側)に向かって摺動する態様で当該支持アーム21に取り付けられることにより、その板状部61が保持部62内に挿入されるようになっている。
【0084】
・また、図13及び図14に示すように、ラッチ43の支持軸42A及びポール44の支持軸42Bの両方に、ボルト64a,64bが螺合する螺子部67a,67bを形成する構成としてもよい。
【0085】
具体的には、このロック装置80では、ラッチの支持軸42A及びポール44の支持軸42Bは、それぞれ、その軸方向端部が第1ブラケット45を貫通して固定面41側に突出するように構成されている。尚、この例において、第1ブラケット45と第2ブラケット46とは、かしめや溶接等により、直接的に連結されている。そして、その固定面41側に突出する軸方向端部が、嵌合部69a,69bとして、各ボルト64a,64bが挿通される挿通孔65a,65bに嵌合するようになっている。
【0086】
また、この例において、保持部62には、螺子部が設けられていない。そして、ロック装置80は、その二本の支持軸42A,42Bを連結部として、固定面41に固定されるようになっている。
【0087】
・上記実施形態では、ロック装置40の板状部61には、ボルト64xを挿通するための挿通孔66が形成され、支持アーム21には、その板状部61が保持部62に挟み込まれる位置に開口する挿通孔65xが形成される。そして、保持部62には、その挿通孔65xと同軸となる位置に、ボルト64xが螺合する螺子部(ナット)67xが形成されることとした。
【0088】
しかし、これに限らず、図15及び図16に示すように、板状部81に螺子部81xが形成された構成としてもよい。具体的には、この例において、保持部82には、その隙間Xと同方向に開口する溝部83が形成されている。そして、板状部81は、その溝部83から螺子部81xが突出する状態で、保持部82と固定面41との間に挟み込まれるようになっている。
【0089】
・上記実施形態及び上記別例では、連結部を二箇所としたが、その数は任意に変更してもよい。例えば、板状部61、及び各支持軸42A,42Bを連結部とする構成であってもよい。
【0090】
・また、板状部61に螺子部(ナット)67xを設けることなく、通常のナットを用いて保持部62と固定面41との間に共締めする構成であってもよい。更に、例えば、かしめや溶接等、その他の固定構造を併用する構成であってもよい。そして、ボルトのような螺子部材を用いない固定構造についても、これを排除しない。
【0091】
・上記実施形態では、第1ブラケット45を貫通して固定面41側に突出する支持軸42Bの軸方向端部が、嵌合部69bとして、そのボルト64bが挿通される挿通孔65bに嵌合することとした。しかし、これに限らず、嵌合部69bが嵌合する孔部は、ボルト締結用の挿通孔でなくともよい。また、支持軸42Bの軸方向端部以外の部分を嵌合部とする構成であってもよい。そして、ロック部材の支持軸に螺子部が設けられることなく、単に、その軸方向端部が嵌合部として孔部に嵌合する構成であってもよい。
【0092】
・上記実施形態では、ロアレール5Bに連結される連結部材7Bの支持アーム21に対してロック装置40(全開ロック33)が設けられる構成に具体化したが、アッパレール5Cに連結される連結部材7Cの支持アームに対してロック装置を設ける構成に具体化してもよい。
【0093】
・更に、ロック装置40の構成についてもまた、任意に変更してもよい。例えば、ラッチ43及びポール44以外のロック部材を備える構成であってもよい。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
【0094】
(イ)前記嵌合部は、前記支持軸の軸方向端部であること、を特徴とする車両用スライドドア装置。これにより、既存の構成を利用しつつ、より精度よくロック装置を位置決めすることができる。
【符号の説明】
【0095】
1…車両、2…車体、2a…側面、3…ドア開口部、3b…下縁(縁部)、3c…上縁(縁部)、4…スライドドア、5…ガイドレール、5A…センターレール、5B…ロアレール、5C…アッパレール、7,7A,7B,7C…連結部材、10…スライドドア装置、16…ガイドローラー、21…支持アーム、21a…固定部、21b…延伸部、S1…表面、S2…裏面、33…全開ロック、40,70,80…ロック装置、41…固定面(固定部に相当)、42A,42B…支持軸、43…ラッチ(ロック部材)、43s…周面、44…ポール(ロック部材)、44s…周面、45…第1ブラケット、45a…端部、46…第2ブラケット、46a…端部、46b…側壁部、47…係合溝、48…ストライカ、52…係合突部、53…係合凹部、59…側板部、61,81…板状部、62,82…保持部、X…隙間、63…板状部材、63a…段部、64a,64b,64x…ボルト、65a,65b,65x,66…挿通孔、67a,67b,67x,81x…螺子部、69a,69b…嵌合部、83…溝部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16