(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光軸に沿って一方の側から入射された平行光を、焦点位置として測定対象物上に設定した測定スポットに向けて集光して他方の側から出射するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、光軸に沿った平行光に変換して一方の側から出射する集光コリメート手段と、
測定対象物を破壊することなく加熱する加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、
前記加熱用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く加熱用レーザ導光手段と、
前記測定スポットから放射された赤外線を検出可能な赤外線検出手段と、
前記測定スポットから放射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段へと導く放射赤外線導光手段と、
前記加熱用レーザよりも小さな出力の第1補正レーザ波長の第1補正用レーザを出射する第1補正用レーザ光源と、
前記第1補正用レーザ光源から出射された前記第1補正用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く第1補正用レーザ導光手段と、
前記測定スポットにて反射された前記第1補正用レーザを検出可能な第1補正用レーザ検出手段と、
前記測定スポットにて反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された前記第1補正用レーザを前記第1補正用レーザ検出手段へと導く第1反射レーザ導光手段と、
前記加熱用レーザよりも小さな出力の第2補正レーザ波長の第2補正用レーザを出射する第2補正用レーザ光源と、
前記第2補正用レーザ光源から出射された前記第2補正用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く第2補正用レーザ導光手段と、
前記測定スポットにて反射された前記第2補正用レーザを検出可能な第2補正用レーザ検出手段と、
前記測定スポットにて反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された前記第2補正用レーザを前記第2補正用レーザ検出手段へと導く第2反射レーザ導光手段と、
制御手段と、を備えており、
前記制御手段は、
前記加熱用レーザ光源と前記第1補正用レーザ光源と前記第2補正用レーザ光源を制御するとともに、前記赤外線検出手段からの検出信号と前記第1補正用レーザ検出手段からの検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段からの検出信号に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を測定し、測定した前記温度上昇特性に基づいて測定対象物の状態を判定する、
光学非破壊検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された従来技術では、加熱して飽和温度に達するまでの温度上昇状態を測定しているが、異なる2波長の赤外線を用いて温度を測定しており、測定個所の反射率または放射率を用いた補正を行っていない。また、異なる2波長の赤外線の比を利用する方法では、実際に、どの2波長を選定するかによって、測定精度、測定可能温度範囲が決まってしまう。
また特許文献2に記載された従来技術では、反射率測定用レーザを照射した結果を反射率測定用の赤外線センサで検出している。つまり、反射率を測定するために、反射率測定用レーザで対象を加熱しており、本来の加熱用レーザによる加熱に加えて、反射率測定用レーザでも加熱している。これでは測定結果の温度下降特性に反射率測定用レーザによる温度が重畳されており、適切な補正ができているか否か疑問が残る。また加熱時に飽和温度に達するまでの時間は一般的に数10ms程度であるのに対して、加熱後の温度下降時間は数10秒〜数分程度かかるのが一般的であり、温度下降時間を測定する特許文献2に記載の従来技術では、検査時間が非常に長くなるので好ましくない。
また特許文献3に記載された従来技術では、非常に大掛かりな装置で、試料を溶融・浮遊させるものであり、ワイヤボンディングの接合状態の検査には適用できない。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、より短時間に、且つより高い信頼性にて、ワイヤボンディング個所等の測定対象物の検査が可能であり、測定可能温度範囲がより広い、光学非破壊検査装置及び光学非破壊検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る光学非破壊検査装置及び光学非破壊検査方法は次の手段をとる。
まず、本発明の第1の発明は、光軸に沿って一方の側から入射された平行光を、焦点位置として測定対象物上に設定した測定スポットに向けて集光して他方の側から出射するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、光軸に沿った平行光に変換して一方の側から出射する集光コリメート手段と、測定対象物を破壊することなく加熱する加熱レーザ波長の加熱用レーザを出射する加熱用レーザ光源と、前記加熱用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く加熱用レーザ導光手段と、前記測定スポットから放射された赤外線を検出可能な赤外線検出手段と、前記測定スポットから放射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段へと導く放射赤外線導光手段と、前記加熱用レーザよりも小さな出力の第1補正レーザ波長の第1補正用レーザを出射する第1補正用レーザ光源と、前記第1補正用レーザ光源から出射された前記第1補正用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く第1補正用レーザ導光手段と、前記測定スポットにて反射された前記第1補正用レーザを検出可能な第1補正用レーザ検出手段と、前記測定スポットにて反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された前記第1補正用レーザを前記第1補正用レーザ検出手段へと導く第1反射レーザ導光手段と、前記加熱用レーザよりも小さな出力の第2補正レーザ波長の第2補正用レーザを出射する第2補正用レーザ光源と、前記第2補正用レーザ光源から出射された前記第2補正用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側へと導く第2補正用レーザ導光手段と、前記測定スポットにて反射された前記第2補正用レーザを検出可能な第2補正用レーザ検出手段と、前記測定スポットにて反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された前記第2補正用レーザを前記第2補正用レーザ検出手段へと導く第2反射レーザ導光手段と、制御手段と、を備えた光学非破壊検査装置である。
そして、前記制御手段は、前記加熱用レーザ光源と前記第1補正用レーザ光源と前記第2補正用レーザ光源を制御するとともに、前記赤外線検出手段からの検出信号と前記第1補正用レーザ検出手段からの検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段からの検出信号に基づいて、加熱時間に応じた前記測定スポットの温度上昇状態である温度上昇特性を測定し、測定した前記温度上昇特性に基づいて測定対象物の状態を判定する。
【0007】
この第1の発明では、測定対象物の加熱時の温度上昇特性を測定するので、より短時間に検査を行うことができる。
また、補正用レーザによる赤外線を検出するのでなく、測定スポットにて反射された補正用レーザそのものを補正用レーザ検出手段で検出するので、補正用レーザで測定対象物を加熱する必要がない。従って、加熱用レーザによる加熱に影響しない程度の小さな出力で補正用レーザを照射すればよいので、反射率測定用レーザによる温度が重畳されず、より正確な温度を検出することができる。
また、第1補正レーザ波長の第1補正用レーザと、第2補正レーザ波長の第2補正用レーザを用いることで、より高精度に反射率を求めることができるので、より正確な温度を測定することができる。
また、補正用レーザ検出手段からの検出信号に基づいて、赤外線検出手段にて検出した温度を補正することができるので、2波長の赤外線の比から温度を求める場合よりも、より広い温度範囲を測定することができる。
また、作業者のスキルや体調等に影響されず、安定的により信頼性の高い検査を行うことができる。
【0008】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記加熱用レーザ導光手段は、前記加熱用レーザ光源の近傍に配置されて、前記加熱用レーザ光源から出射された加熱用レーザを平行光に変換する加熱用レーザコリメート手段と、前記集光コリメート手段の光軸上に配置されて、前記加熱用レーザ光源から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長の加熱用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側に向けて反射するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光を透過する加熱レーザ用選択反射手段と、あるいは、前記集光コリメート手段の光軸上に配置されて、前記加熱用レーザ光源から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長の加熱用レーザを前記集光コリメート手段の一方の側に向けて透過するとともに、前記測定スポットから放射及び反射されて前記集光コリメート手段の一方の側から出射された加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光を反射する加熱レーザ用選択反射手段と、にて構成されている。
【0009】
この第2の発明では、加熱用レーザ導光手段を、適切に実現することができる。
【0010】
次に、本発明の第3の発明は、上記第2の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記放射赤外線導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記集光コリメート手段の一方の側から出射されて前記加熱レーザ用選択反射手段を透過あるいは反射した加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、当該平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて反射するとともに所定赤外線波長とは異なる波長の平行光を透過する所定赤外線用選択反射手段と、あるいは、前記集光コリメート手段の一方の側から出射されて前記加熱レーザ用選択反射手段を透過あるいは反射した加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、当該平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて透過するとともに所定赤外線波長とは異なる波長の平行光を反射する所定赤外線用選択反射手段と、前記赤外線検出手段の近傍に配置されて、前記所定赤外線用選択反射手段を反射あるいは透過した所定赤外線波長の平行光の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて集光する赤外線集光手段と、にて構成されている。
【0011】
この第3の発明では、放射赤外線導光手段を、適切に実現することができる。
【0012】
次に、本発明の第4の発明は、上記第3の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記第1補正用レーザ導光手段は、前記第1補正用レーザ光源の近傍に配置されて前記第1補正用レーザ光源から出射された第1補正用レーザを平行光に変換する第1補正用レーザコリメート手段と、第1補正レーザ波長の光を第1所定割合で反射するとともに第2所定割合で透過して、前記第1補正用レーザ光源から出射されて平行光に変換された第1補正レーザ波長の第1補正用レーザを、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段と前記所定赤外線用選択反射手段を経由して補正レーザ用選択反射手段を反射あるいは透過した第1補正レーザを含む平行光と重なるように前記補正レーザ用選択反射手段に向けて反射あるいは透過する第1ビームスプリッタと、前記測定スポットにて反射されて前記所定赤外線用選択反射手段を透過あるいは反射した所定赤外線波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、前記第1補正用レーザ光源から出射されて前記第1ビームスプリッタを反射あるいは透過した第1補正レーザ波長の平行光を、所定赤外線波長とは異なる波長の平行光と重なるように前記所定赤外線用選択反射手段に向けて反射して第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光を透過する前記補正レーザ用選択反射手段と、あるいは、前記所定赤外線用選択反射手段を透過あるいは反射した所定赤外線波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、前記第1補正用レーザ光源から出射されて前記第1ビームスプリッタを反射あるいは透過した第1補正レーザ波長の平行光を、所定赤外線波長とは異なる波長の平行光と重なるように前記所定赤外線用選択反射手段に向けて透過して第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光を反射する前記補正レーザ用選択反射手段と、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記加熱レーザ用選択反射手段と、にて構成されている。
また、前記第1反射レーザ導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記第1ビームスプリッタと、前記第1補正用レーザ検出手段の近傍に配置されて、前記測定スポットから反射されて前記第1ビームスプリッタから前記第1補正用レーザ光源とは異なる方向に向かうように透過あるいは反射された第1補正レーザ波長の平行光を前記第1補正用レーザ検出手段に向けて集光する第1反射レーザ集光手段と、にて構成されている。
【0013】
この第4の発明では、第1補正用レーザ導光手段と第1反射レーザ導光手段を、適切に実現することができる。
【0014】
次に、本発明の第5の発明は、上記第4の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記第2補正用レーザ導光手段は、前記第2補正用レーザ光源の近傍に配置されて前記第2補正用レーザ光源から出射された第2補正用レーザを平行光に変換する第2補正用レーザコリメート手段と、第2補正レーザ波長の光を第3所定割合で反射するとともに第4所定割合で透過して、前記第2補正用レーザ光源から出射されて平行光に変換された第2補正レーザ波長の第2補正用レーザを、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段と前記所定赤外線用選択反射手段を経由して前記補正レーザ用選択反射手段を透過あるいは反射した第2補正レーザを含む平行光と重なるように前記補正レーザ用選択反射手段に向けて反射あるいは透過する第2ビームスプリッタと、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記加熱レーザ用選択反射手段と、にて構成されている。
また、前記第2反射レーザ導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記第2ビームスプリッタと、前記第2補正用レーザ検出手段の近傍に配置されて、前記測定スポットから反射されて前記第2ビームスプリッタから前記第2補正用レーザ光源とは異なる方向に向かうように透過あるいは反射された第2補正レーザ波長の平行光を前記第2補正用レーザ検出手段に向けて集光する第2反射レーザ集光手段と、にて構成されている。
【0015】
この第5の発明では、第2補正用レーザ導光手段と第2反射レーザ導光手段を、適切に実現することができる。
【0016】
次に、本発明の第6の発明は、上記第2の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記第1補正用レーザ導光手段は、前記第1補正用レーザ光源の近傍に配置されて前記第1補正用レーザ光源から出射された第1補正用レーザを平行光に変換する第1補正用レーザコリメート手段と、第1補正レーザ波長の光を第1所定割合で反射するとともに第2所定割合で透過して、前記第1補正用レーザ光源から出射されて平行光に変換された第1補正レーザ波長の第1補正用レーザを、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段を経由して補正レーザ用選択反射手段を反射あるいは透過した第1補正レーザを含む平行光と重なるように前記補正レーザ用選択反射手段に向けて反射あるいは透過する第1ビームスプリッタと、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段を透過あるいは反射した加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、前記第1補正用レーザ光源から出射されて前記第1ビームスプリッタを反射あるいは透過した第1補正レーザ波長の平行光を、前記加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光と重なるように前記加熱レーザ用選択反射手段に向けて反射して第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光を透過する前記補正レーザ用選択反射手段と、あるいは、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段を透過あるいは反射した加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、前記第1補正用レーザ光源から出射されて前記第1ビームスプリッタを反射あるいは透過した第1補正レーザ波長の平行光を、前記加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光と重なるように前記加熱レーザ用選択反射手段に向けて透過して第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光を反射する前記補正レーザ用選択反射手段と、前記加熱レーザ用選択反射手段と、にて構成されている。
また、前記第1反射レーザ導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記第1ビームスプリッタと、前記第1補正用レーザ検出手段の近傍に配置されて、前記測定スポットから反射されて前記第1ビームスプリッタから前記第1補正用レーザ光源とは異なる方向に向かうように透過あるいは反射された第1補正レーザ波長の平行光を前記第1補正用レーザ検出手段に向けて集光する第1反射レーザ集光手段と、にて構成されている。
【0017】
この第6の発明では、第1補正用レーザ導光手段と第1反射レーザ導光手段を、適切に実現することができる。
【0018】
次に、本発明の第7の発明は、上記第6の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記放射赤外線導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記集光コリメート手段の一方の側から出射されて前記加熱レーザ用選択反射手段と前記補正レーザ用選択反射手段を経由した加熱レーザ波長及び第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、当該平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて反射するとともに所定赤外線波長とは異なる波長の平行光を透過する所定赤外線用選択反射手段と、あるいは、前記集光コリメート手段の一方の側から出射されて前記加熱レーザ用選択反射手段と前記補正レーザ用選択反射手段を経由した加熱レーザ波長及び第1補正レーザ波長とは異なる波長の平行光の経路上に配置されて、当該平行光の中から所定赤外線波長の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて透過するとともに所定赤外線波長とは異なる波長の平行光を反射する所定赤外線用選択反射手段と、前記赤外線検出手段の近傍に配置されて前記所定赤外線用選択反射手段を反射あるいは透過した所定赤外線波長の平行光の赤外線を前記赤外線検出手段に向けて集光する赤外線集光手段と、にて構成されている。
【0019】
この第7の発明では、放射赤外線導光手段を、適切に実現することができる。
【0020】
次に、本発明の第8の発明は、上記第7の発明に係る光学非破壊検査装置であって、前記第2補正用レーザ導光手段は、前記第2補正用レーザ光源の近傍に配置されて前記第2補正用レーザ光源から出射された第2補正用レーザを平行光に変換する第2補正用レーザコリメート手段と、第2補正レーザ波長の光を第3所定割合で反射するとともに第4所定割合で透過して、前記第2補正用レーザ光源から出射されて平行光に変換された第2補正レーザ波長の第2補正用レーザを、前記測定スポットにて反射されて前記加熱レーザ用選択反射手段と前記補正レーザ用選択反射手段を経由して所定赤外線用選択反射手段を透過あるいは反射した第2補正レーザを含む平行光と重なるように前記所定赤外線用選択反射手段に向けて反射あるいは透過する第2ビームスプリッタと、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記加熱レーザ用選択反射手段と、にて構成されている。
また、前記第2反射レーザ導光手段は、前記加熱レーザ用選択反射手段と、前記補正レーザ用選択反射手段と、前記所定赤外線用選択反射手段と、前記第2ビームスプリッタと、前記第2補正用レーザ検出手段の近傍に配置されて前記第2ビームスプリッタから前記第2補正用レーザ光源とは異なる方向に向かうように透過あるいは反射された第2補正レーザ波長の平行光を前記第2補正用レーザ検出手段に向けて集光する第2反射レーザ集光手段と、にて構成されている。
【0021】
この第8の発明では、第2補正用レーザ導光手段と第2反射レーザ導光手段を、適切に実現することができる。
【0022】
次に、本発明の第9の発明は、上記第1の発明〜第8の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査装置であって、第1補正レーザ波長と第2補正レーザ波長における一方は加熱レーザ波長よりも長い波長に設定されており、他方は加熱レーザ波長よりも短い波長に設定されている。
【0023】
この第9の発明では、第1補正レーザ波長と第2補正レーザ波長を適切に設定し、より高精度に反射率を求めることができる。
【0024】
次に、本発明の第10の発明は、上記第1の発明〜第9の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査装置であって、前記制御手段は、前記加熱用レーザ光源を制御して前記加熱用レーザにて前記測定スポットを加熱しながら前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込み、前記第1補正用レーザ光源と前記第2補正用レーザ光源を制御して第1補正用レーザと第2補正用レーザを前記測定スポットに照射しながら前記第1補正用レーザ検出手段からの検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段からの検出信号を取り込み、前記第1補正用レーザ検出手段から取り込んだ検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段から取り込んだ検出信号に基づいて、前記測定スポットの反射率を測定し、測定した前記反射率に基づいて、前記赤外線検出手段から取り込んだ検出値を補正し、補正した検出値に基づいた温度を求め、求めた温度と加熱時間による前記温度上昇特性に基づいて、測定対象物の状態を判定する。
【0025】
この第10の発明では、第1補正用レーザ及び第2補正用レーザで加熱することなく、測定スポットから反射された第1補正用レーザ及び第2補正用レーザそのものを検出して測定スポットの反射率を測定する。そして、測定した反射率に基づいて、赤外線検出手段からの検出値を補正し、補正した検出値から求めた温度にて温度上昇特性を求めるので、より正確な温度上昇特性を得ることができる。
従って、作業者のスキルや体調等に影響されず、安定的により信頼性の高い検査を行うことができる。
【0026】
次に、本発明の第11の発明は、上記第1の発明〜第9の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査装置であって、前記制御手段は、前記第1補正用レーザ光源と前記第2補正用レーザ光源を制御して第1補正用レーザと第2補正用レーザを前記測定スポットに照射しながら前記第1補正用レーザ検出手段からの検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段からの検出信号を取り込み、前記第1補正用レーザ検出手段から取り込んだ検出信号と前記第2補正用レーザ検出手段から取り込んだ検出信号に基づいて、前記測定スポットの反射率を測定し、測定した前記反射率に基づいて前記加熱用レーザ光源からの加熱用レーザの出力を調整し、出力を調整した前記加熱用レーザにて前記測定スポットを加熱しながら前記赤外線検出手段からの検出信号を取り込み、前記赤外線検出手段から取り込んだ検出信号に基づいた温度を求め、求めた温度と加熱時間による前記温度上昇特性に基づいて、測定対象物の状態を判定する。
【0027】
この第11の発明では、第1補正用レーザ及び第2補正用レーザで加熱することなく、測定スポットから反射された第1補正用レーザ及び第2補正用レーザそのものを検出して測定スポットの反射率を測定し、測定した反射率に基づいて加熱用レーザの出力を調整する。このため、測定スポットの加熱に利用されるエネルギーをより正確に与えることができるので、より正確な温度上昇特性を得ることができる。
従って、作業者のスキルや体調等に影響されず、安定的により信頼性の高い検査を行うことができる。
【0028】
次に、本発明の第12の発明は、上記第1の発明〜第11の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査装置であって、前記測定対象物は、2つの部材を接合した接合部を含む接合構造部位であり、前記測定スポットは、前記2つの部材における一方の部材の表面に設定されており、前記制御手段は、前記温度上昇特性に基づいて、前記2つの部材の接合状態を判定する。
【0029】
この第12の発明では、光学非破壊検査装置を、例えば2つの部材が電極とワイヤである場合、電極とワイヤの接合状態の判定として適切に利用することができる。
【0030】
次に、本発明の第13の発明は、上記第12の発明に係る光学非破壊検査装置であって、判定する前記2つの部材の接合状態とは、前記2つの部材の接合部の面積の大きさであり、前記制御手段は、前記温度上昇特性に基づいて、前記2つの部材の接合部の面積が許容範囲内であるか否かを判定する。
【0031】
この第13の発明では、温度上昇特性に基づいて、例えば2つの部材が電極とワイヤである場合、電極とワイヤの接合部の面積が許容範囲内であるか否かを判定するので、電極とワイヤの接合状態の良否の判定を、より適切に行うことができる。
【0032】
次に、本発明の第14の発明は、上記第1の発明〜第13の発明のいずれか1つに係る光学非破壊検査装置を用いて、測定対象物の状態、あるいは前記2つの部材の接合状態、あるいは前記2つの部材の接合部の面積が許容範囲内であるか否か、を前記制御手段にて判定する、光学非破壊検査方法である。
【0033】
この第14の発明では、より短時間に、且つより高い信頼性にて、ワイヤボンディング個所等の測定対象物の検査が可能であり、測定可能温度範囲がより広い、光学非破壊検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
●[測定対象物の例(
図1)]
図1を用いて測定対象物の例について説明する。
図1(A)は、基板90上に設けた各電極92に、径が数10[μm]〜数100[μm]程度のアルミ等のワイヤ93の一方端をワイヤボンディングにて接合し、基板90上に固定した半導体チップ94の各端子に、ワイヤ93の他方端をワイヤボンディングにて接合した状態の斜視図を示している。
また
図1(B)は、
図1(A)をB方向から見た図である。
本実施の形態の説明では、ワイヤ93と電極92を接合した接合部96を含む接合構造部位97を測定対象物として説明する。
【0036】
電極92にワイヤ93が適切に接合されているか否かを判定するには、接合部96の面積(ワイヤ93と対向している電極92の面と平行な方向の面積)が許容範囲内であるか否かで接合状態の良否を判定すればよい。
そこで、
図1(B)の接合構造部位97の拡大図に示すように、接合構造部位97のワイヤ93の表面に測定スポットSPを設定し、測定スポットSPに加熱用レーザを照射して加熱する。すると、測定スポットSPの温度は徐々に上昇し、測定スポットSPからワイヤ93内及び接合部96を経由して電極92へと熱が伝播される。また測定スポットSPを含む接合構造部位97からは、上昇した温度に応じた赤外線が放射される。
また測定スポットSPの温度は徐々に上昇するが、加熱量と放熱量が一致する飽和温度に達すると、温度の上昇が止まり、加熱を継続してもほぼ一定の温度となる。ここで、接合部96の面積が比較的大きい場合は熱伝導量が多いので、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的緩やかで飽和温度は比較的低くなり、接合部96の面積が比較的小さい場合は熱伝導量が少ないので(電極92に伝播される熱が少ない)、加熱時間に応じた温度の上昇が比較的急峻で飽和温度は比較的高くなる(
図12、
図13参照)。
従って、測定スポットSPに加熱レーザを照射して
図12、
図13に示すような温度上昇特性を測定し、温度上昇特性に基づいて、接合部96の面積の大きさを求め、求めた接合部96の面積が許容範囲内であるか否かを判定して接合状態の良否を判定することが可能である。
【0037】
以降の説明にて、上述した接合状態の良否を判定することが可能な光学非破壊検査装置1A(第1の実施の形態)〜1G(第7の実施の形態)、及び光学非破壊検査方法の詳細について説明する。
なお第1〜第7の実施の形態では、加熱レーザ用選択反射手段11A、11B、所定赤外線用選択反射手段12A、12B、補正レーザ用選択反射手段13A、13B、14A、14Bの特性の違いにより、各構成要素の配置位置や方向(反射方向や透過方向)等が異なる。
以下に説明する第1の実施の形態(
図2)、第2の実施の形態(
図3)には、集光コリメート手段10の光軸上に、加熱レーザ用選択反射手段11A、所定赤外線用選択反射手段12A、補正レーザ用選択反射手段13Aを配置した基本形となる光学非破壊検査装置の構成を示している。なお、第1の実施の形態と第2の実施の形態では、赤外線検出手段33と第1補正レーザブロックの配置位置が異なっている。
また第1の実施の形態(
図2)の変形例を、第3の実施の形態(
図4)、第4の実施の形態(
図5)に示し、第2の実施の形態(
図3)の変形例を、第5の実施の形態(
図6)〜第7の実施の形態(
図8)に示す。
【0038】
●[第1の実施の形態における光学非破壊検査装置1Aの構成(
図2)]
次に
図2を用いて、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aの構成について説明する。
図2に示す光学非破壊検査装置1Aは、集光コリメート手段10、加熱レーザ用選択反射手段11A、所定赤外線用選択反射手段12A、補正レーザ用選択反射手段13A、第1ビームスプリッタ15A、第2ビームスプリッタ16A、加熱用レーザ光源21、加熱用レーザコリメート手段41、赤外線検出手段33、赤外線集光手段53、第1補正用レーザ光源22、第1補正用レーザコリメート手段42、第1補正用レーザ検出手段31、第1反射レーザ集光手段51、第2補正用レーザ光源23、第2補正用レーザコリメート手段43、第2補正用レーザ検出手段32、第2反射レーザ集光手段52、制御手段50、等にて構成されている。
加熱レーザ用選択反射手段11Aは、加熱レーザ波長(λa)の光を反射し、加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の光を透過する、例えばダイクロイックミラーである。
所定赤外線用選択反射手段12Aは、所定赤外線波長(λ1)の光を反射し、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の光を透過する、例えばダイクロイックミラーである。
補正レーザ用選択反射手段13Aは、第1補正レーザ波長(λb)の光を反射し、第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の光を透過する、例えばダイクロイックミラーである。
【0039】
集光コリメート手段10は、自身の光軸に沿って一方の側から(
図2の例では上方から)入射された平行光を、焦点位置として測定対象物上に設定した測定スポットSPに向けて集光して他方の側から(
図2の例では下方から)出射する。
また集光コリメート手段10は、(焦点位置である)測定スポットSPから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、自身の光軸に沿った平行光に変換して一方の側から出射する。
なお集光コリメート手段10は、光を透過させて屈折する集光レンズで構成することも可能であるが、異なる複数の波長の光を扱うので、色収差が発生する集光レンズではあまり好ましくない。そこで、(非球面)反射ミラー10A、10Bにて集光コリメート手段を構成することで、色収差の発生を排除し、広い波長帯に対応させている。
【0040】
加熱用レーザ光源21は、測定対象物を破壊することなく加熱することが可能な出力に調整された、加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザを、制御手段50からの制御信号に基づいて出射する。例えば加熱用レーザ光源21は、半導体レーザである。
加熱用レーザコリメート手段41は、加熱用レーザ光源21の近傍(レーザ出射位置の近傍であって加熱用レーザの光軸上)に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを平行光の加熱用レーザLaに変換する。例えば加熱用レーザコリメート手段41は、加熱レーザ波長(λa)の光のみを平行光に変換すればよいので、コリメートレンズでよい。なお加熱用レーザ光源21が平行光の加熱用レーザを出射できるのであれば加熱用レーザコリメート手段41を省略することができる。
【0041】
加熱レーザ用選択反射手段11Aは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザLaを集光コリメート手段10の一方の側に向けて反射するとともに、測定スポットSPから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光を透過する。
そして、加熱用レーザコリメート手段41と加熱レーザ用選択反射手段11Aにて加熱用レーザ導光手段が構成されており、加熱用レーザ導光手段は、加熱用レーザ光源21から出射された加熱用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
【0042】
赤外線検出手段33は、測定スポットSPから放射された赤外線のエネルギーを検出可能であり、例えば赤外線検出手段33は、赤外線センサである。なお赤外線検出手段33からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
所定赤外線用選択反射手段12Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光L12(加熱レーザ波長とは異なる波長の平行光)の経路上に配置されている(この場合、集光コリメート手段10の光軸上に配置されている)。そして所定赤外線用選択反射手段12Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過してきた平行光L12の中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線の平行光Lsを赤外線検出手段33に向けて反射し、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L13を透過する。従って、赤外線検出手段33は、所定赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーのみを検出する。
【0043】
また赤外線集光手段53は、赤外線検出手段33の近傍(検出位置の近傍)に配置されて、所定赤外線用選択反射手段12Aにて反射された所定赤外線波長(λ1)の赤外線である平行光Lsを、赤外線検出手段33に向けて集光する。例えば赤外線集光手段53は、所定赤外線波長(λ1)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。
そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと赤外線集光手段53にて放射赤外線導光手段が構成されており、放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光の中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線を、赤外線検出手段33へと導く。
【0044】
第1補正用レーザ光源22は、加熱レーザよりも充分小さな出力に調整された、第1補正レーザ波長(λb)の第1補正用レーザを、制御手段50からの制御信号に基づいて出射する。例えば第1補正用レーザ光源22は、半導体レーザである。また第1補正用レーザによって測定スポットSPが加熱される温度が、加熱用レーザによって測定スポットが加熱される温度に影響を与えない程度となるように、第1補正用レーザ光源22の出力が調整されている。また第1補正レーザ波長(λb)は、加熱レーザ波長(λa)及び第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長である。
第1補正用レーザコリメート手段42は、第1補正用レーザ光源22の近傍(レーザ出射位置の近傍であって第1補正用レーザの光軸上)に配置されて、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正用レーザを平行光Lbに変換する。例えば第1補正用レーザコリメート手段42は、第1補正レーザ波長(λb)の光のみを平行光に変換すればよいので、コリメートレンズでよい。なお第1補正用レーザ光源22が平行光の第1補正用レーザを出射できるのであれば第1補正用レーザコリメート手段42を省略することができる。
【0045】
第1ビームスプリッタ15Aは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光(第1補正用レーザ)を第1所定割合で反射するとともに第2所定割合で透過する。そして第1ビームスプリッタ15Aは、第1補正用レーザ光源22から出射されて平行光Lbに変換された第1補正レーザ波長(λb)の第1補正用レーザを、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aを経由して補正レーザ用選択反射手段13Aにて反射された第1補正レーザを含む平行光L14Aと重なるように、補正レーザ用選択反射手段13Aに向けて、第1所定割合で反射する。なお、第1補正用レーザ光源22から出射されて第1ビームスプリッタ15Aを透過した第2所定割合の第1補正用レーザは、どこにも使用されず破棄される。
【0046】
補正レーザ用選択反射手段13Aは、測定スポットから反射されて所定赤外線用選択反射手段12Aを透過した所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L13の経路上に配置されている。
そして補正レーザ用選択反射手段13Aは、第1補正用レーザ光源22から出射されて第1ビームスプリッタ15Aにて反射された第1補正レーザ波長(λb)の平行光L14Aを、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L13と重なるように所定赤外線用選択反射手段12Aに向けて反射し、第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の平行光を透過する。
そして、第1補正用レーザコリメート手段42と第1ビームスプリッタ15Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと加熱レーザ用選択反射手段11Aにて第1補正用レーザ導光手段が構成されており、第1補正用レーザ導光手段は、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
【0047】
第1補正用レーザ検出手段31は、測定スポットSPにて反射された第1補正用レーザのエネルギーを検出可能であり、例えば第1補正用レーザ検出手段31は、第1補正レーザ波長(λb)の光のエネルギーを検出可能な光センサである。なお第1補正用レーザ検出手段31からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
第1ビームスプリッタ15Aは、測定スポットSPから反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aを透過して補正レーザ用選択反射手段13Aにて反射された(反射)第1補正用レーザを含む平行光L14Aを、第1補正用レーザ検出手段31に向けて第2所定割合で透過する。
【0048】
第1反射レーザ集光手段51は、第1補正用レーザ検出手段31の近傍(検出位置の近傍)に配置され、測定スポットSPから反射されて第1ビームスプリッタ15Aから第1補正用レーザ光源22とは異なる方向に向かうように透過された第1補正レーザ波長(λb)の平行光Lbr((反射)第1補正用レーザ)を、第1補正用レーザ検出手段31に向けて集光する。なお、測定スポットSPにて反射されて第1ビームスプリッタ15Aにて反射された(反射)第1補正用レーザは、どこにも使用されず破棄される。例えば第1反射レーザ集光手段51は、第1補正レーザ波長(λb)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。
そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと第1ビームスプリッタ15Aと第1反射レーザ集光手段51にて第1反射レーザ導光手段が構成されており、第1反射レーザ導光手段は、測定スポットSPにて反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された第1補正用レーザを、第1補正用レーザ検出手段31へと導く。
【0049】
第2補正用レーザ光源23は、加熱レーザよりも充分小さな出力に調整された、第2補正レーザ波長(λc)の第2補正用レーザを、制御手段50からの制御信号に基づいて出射する。例えば第2補正用レーザ光源23は、半導体レーザである。また第2補正用レーザによって測定スポットSPが加熱される温度が、加熱用レーザによって測定スポットが加熱される温度に影響を与えない程度となるように、第2補正用レーザ光源23の出力が調整されている。また第2補正レーザ波長(λc)は、加熱レーザ波長(λa)及び第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長である。
第2補正用レーザコリメート手段43は、第2補正用レーザ光源23の近傍(レーザ出射位置の近傍であって第2補正用レーザの光軸上)に配置されて、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正用レーザを平行光Lcに変換する。例えば第2補正用レーザコリメート手段43は、第2補正レーザ波長(λc)の光のみを平行光に変換すればよいので、コリメートレンズでよい。なお第2補正用レーザ光源23が平行光の第2補正用レーザを出射できるのであれば第2補正用レーザコリメート手段43を省略することができる。
【0050】
第2ビームスプリッタ16Aは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光(第2補正用レーザ)を第3所定割合で反射するとともに第4所定割合で透過する。そして第2ビームスプリッタ16Aは、第2補正用レーザ光源23から出射されて平行光Lcに変換された第2補正レーザ波長(λc)の第2補正用レーザを、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aを経由して補正レーザ用選択反射手段13Aを透過した第2補正レーザを含む平行光L14Bと重なるように、補正レーザ用選択反射手段13Aに向けて、第3所定割合で反射する。なお、第2補正用レーザ光源23から出射されて第2ビームスプリッタ16Aを透過した第4所定割合の第2補正用レーザは、どこにも使用されず破棄される。
【0051】
補正レーザ用選択反射手段13Aは、第2補正用レーザ光源23から出射されて第2ビームスプリッタ16Aにて反射された第2補正レーザ波長(λc)の平行光L14Bを、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L13と重なるように所定赤外線用選択反射手段12Aに向けて透過する。
そして、第2補正用レーザコリメート手段43と第2ビームスプリッタ16Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと加熱レーザ用選択反射手段11Aにて第2補正用レーザ導光手段が構成されており、第2補正用レーザ導光手段は、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
【0052】
第2補正用レーザ検出手段32は、測定スポットSPにて反射された第2補正用レーザのエネルギーを検出可能であり、例えば第2補正用レーザ検出手段32は、第2補正レーザ波長(λc)の光のエネルギーを検出可能な光センサである。なお第2補正用レーザ検出手段32からの検出信号は制御手段50に取り込まれる。
第2ビームスプリッタ16Aは、測定スポットSPから反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aを透過して補正レーザ用選択反射手段13Aを透過した(反射)第2補正用レーザを含む平行光L14Bを、第2補正用レーザ検出手段32に向けて第4所定割合で透過する。
【0053】
第2反射レーザ集光手段52は、第2補正用レーザ検出手段32の近傍(検出位置の近傍)に配置され、測定スポットSPから反射されて第2ビームスプリッタ16Aから第2補正用レーザ光源23とは異なる方向に向かうように透過された第2補正レーザ波長(λc)の平行光Lcr((反射)第2補正用レーザ)を、第2補正用レーザ検出手段32に向けて集光する。なお、測定スポットSPにて反射されて第2ビームスプリッタ16Aにて反射された(反射)第2補正用レーザは、どこにも使用されず破棄される。例えば第2反射レーザ集光手段52は、第2補正レーザ波長(λc)の光のみを集光すればよいので、集光レンズでよい。
そして、加熱レーザ用選択反射手段11Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと第2ビームスプリッタ16Aと第2反射レーザ集光手段52にて第2反射レーザ導光手段が構成されており、第2反射レーザ導光手段は、測定スポットSPにて反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された第2補正用レーザを、第2補正用レーザ検出手段32へと導く。
【0054】
制御手段50はパーソナルコンピュータ等であり、加熱用レーザ光源21と第1補正用レーザ光源22と第2補正用レーザ光源23を制御し、赤外線検出手段33からの検出信号と第1補正用レーザ検出手段31からの検出信号と第2補正用レーザ検出手段32からの検出信号に基づいて、加熱時間に応じた測定スポットSPの温度上昇状態である温度上昇特性を測定する。そして制御手段50は、測定した温度上昇特性に基づいて、測定対象物の状態を判定する。
なお、制御手段50の動作の詳細については後述する。
【0055】
また
図2における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図2における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図2における(補正レーザブロック)を、(補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段13Bは、第1補正レーザ波長(λb)の光を透過して第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の光を反射する。なお、補正レーザ用選択反射手段13Bの代わりに、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する補正レーザ用選択反射手段14Aを用いてもよい。
【0056】
●[第2の実施の形態における光学非破壊検査装置1Bの構成(
図3)]
次に
図3を用いて、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bの構成について説明する。
第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、「所定赤外線用選択反射手段12Aと赤外線集光手段53と赤外線検出手段33」の配置位置と、「補正レーザ用選択反射手段13Aと第1ビームスプリッタ15Aと第1補正用レーザコリメート手段42と第1補正用レーザ光源22と第1反射レーザ集光手段51と第1補正用レーザ検出手段31」の配置位置が、入れ替わっている点(
図2、
図3における上下方向の位置が入れ替わっている点)が異なる。従って、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、構成要素は同じで、一部の構成要素の配置位置のみが異なる。
以下、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aとの相違点について主に説明する。
【0057】
補正レーザ用選択反射手段13Aは、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過した加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L2の経路上に配置されている。そして補正レーザ用選択反射手段13Aは、第1補正用レーザ光源22から出射されて第1ビームスプリッタ15Aから反射された第1補正レーザ波長(λb)の平行光を、加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L12と重なるように加熱レーザ用選択反射手段11Aに向けて反射する。また補正レーザ用選択反射手段13Aは、第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の光を透過する。
【0058】
第1ビームスプリッタ15Aは、第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で反射するとともに第2所定割合で透過して、第1補正用レーザ光源22から出射されて平行光に変換された第1補正レーザ波長(λb)の第1補正用レーザを、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを経由して補正レーザ用選択反射手段13Aを反射した第1補正レーザを含む平行光L14Aと重なるように、補正レーザ用選択反射手段13Aに向けて反射する。
【0059】
そして、第1補正用レーザ導光手段は、第1補正用レーザコリメート手段42と第1ビームスプリッタ15Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと加熱レーザ用選択反射手段11Aにて構成されており、第1補正用レーザ導光手段は、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
また第1反射レーザ導光手段は、加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと第1ビームスプリッタ15Aと第1反射レーザ集光手段51にて構成されており、第1反射レーザ導光手段は、測定スポットSPにて反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された第1補正用レーザを、第1補正用レーザ検出手段31へと導く。
【0060】
所定赤外線用選択反射手段12Aは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aを経由した加熱レーザ波長(λa)及び第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の平行光L13Aの経路上に配置されている。そして所定赤外線用選択反射手段12Aは、前記平行光L13Aの中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線を赤外線検出手段33に向けて反射するとともに所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光L14Bを透過する。
そして、放射赤外線導光手段は、加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと赤外線集光手段53にて構成されており、放射赤外線導光手段は、測定スポットSPから放射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された平行光の中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線を、赤外線検出手段33へと導く。
【0061】
第2ビームスプリッタ16Aは、第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で反射するとともに第4所定割合で透過して、第2補正用レーザ光源23から出射されて平行光に変換された第2補正レーザ波長(λc)の第2補正用レーザLcを、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aを経由して所定赤外線用選択反射手段12Aを透過した第2補正レーザを含む平行光L14Bと重なるように、所定赤外線用選択反射手段12Aに向けて反射する。
【0062】
また、第2補正用レーザ導光手段は、第2補正用レーザコリメート手段43と第2ビームスプリッタ16Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと加熱レーザ用選択反射手段11Aにて構成されており、第2補正用レーザ導光手段は、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正用レーザを、平行光に変換して集光コリメート手段10の一方の側へと導く。
また第2反射レーザ導光手段は、加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aと所定赤外線用選択反射手段12Aと第2ビームスプリッタ16Aと第2反射レーザ集光手段52にて構成されており、第2反射レーザ導光手段は、測定スポットSPにて反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された第2補正用レーザを、第2補正用レーザ検出手段32へと導く。
【0063】
また
図3における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図3における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図3における(測定・補正レーザブロック)を、(測定・補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段14Aは、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する。
【0064】
●[第3の実施の形態における光学非破壊検査装置1Cの構成(
図4)]
次に
図4を用いて、第3の実施の形態の光学非破壊検査装置1Cの構成について説明する。
第3の実施の形態の光学非破壊検査装置1Cは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、所定赤外線用選択反射手段12Bの動作が異なるが、測定スポットから反射及び放射された光の経路において所定赤外線用選択反射手段12Bより後の経路及び所定赤外線用選択反射手段12Bより前の経路は第1の実施の形態と同じである。
以下、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aとの相違点について主に説明する。
【0065】
所定赤外線用選択反射手段12Bは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過した加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L12の経路上に配置されている。そして所定赤外線用選択反射手段12Bは、当該平行光L12の中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線を赤外線検出手段33に向けて透過し、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光を反射する(反射された平行光は、
図4中における平行光L13である)。
【0066】
また
図4における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図4における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図4における(補正レーザブロック)を、(補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段13Bは、第1補正レーザ波長(λb)の光を透過して第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の光を反射する。なお、補正レーザ用選択反射手段13Bの代わりに、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する補正レーザ用選択反射手段14Aを用いてもよい。
【0067】
●[第4の実施の形態における光学非破壊検査装置1Dの構成(
図5)]
次に
図5を用いて、第4の実施の形態の光学非破壊検査装置1Dの構成について説明する。
第4の実施の形態の光学非破壊検査装置1Dは、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aに対して、加熱レーザ用選択反射手段11Bの動作が異なるが、測定スポットから反射及び放射された光の経路において加熱レーザ用選択反射手段11Bより後の経路は第1の実施の形態と同じである。
以下、第1の実施の形態の光学非破壊検査装置1Aとの相違点について主に説明する。
【0068】
加熱レーザ用選択反射手段11Bは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザを、集光コリメート手段10の一方の側に向けて透過するとともに、測定スポットから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光を反射する(反射された平行光は、
図5中における平行光L12である)。
【0069】
また
図5における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図5における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図5における(補正レーザブロック)を、(補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段13Bは、第1補正レーザ波長(λb)の光を透過して第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の光を反射する。なお、補正レーザ用選択反射手段13Bの代わりに、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する補正レーザ用選択反射手段14Aを用いてもよい。
【0070】
●[第5の実施の形態における光学非破壊検査装置1Eの構成(
図6)]
次に
図6を用いて、第5の実施の形態の光学非破壊検査装置1Eの構成について説明する。
第5の実施の形態の光学非破壊検査装置1Eは、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bに対して、所定赤外線用選択反射手段12Bの動作が異なるが、測定スポットから反射及び放射された光の経路において所定赤外線用選択反射手段12Bより後の経路及び所定赤外線用選択反射手段12Bより前の経路は第2の実施の形態と同じである。
以下、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bとの相違点について主に説明する。
【0071】
所定赤外線用選択反射手段12Bは、集光コリメート手段10の一方の側から出射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aと補正レーザ用選択反射手段13Aを経由した加熱レーザ波長(λa)及び第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の平行光L13Aの経路上に配置されている。そして所定赤外線用選択反射手段12Bは、当該平行光L13Aの中から所定赤外線波長(λ1)の赤外線を赤外線検出手段33に向けて透過し、所定赤外線波長(λ1)とは異なる波長の平行光を反射する(反射された平行光は、
図6中における平行光L14Bである)。
【0072】
また
図6における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図6における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図6における(測定・補正レーザブロック)を、(測定・補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段14Aは、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する。
【0073】
●[第6の実施の形態における光学非破壊検査装置1Fの構成(
図7)]
次に
図7を用いて、第6の実施の形態の光学非破壊検査装置1Fの構成について説明する。
第6の実施の形態の光学非破壊検査装置1Fは、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bに対して、補正レーザ用選択反射手段13Bの動作が異なるが、測定スポットから反射及び放射された光の経路において補正レーザ用選択反射手段13Bより後の経路及び補正レーザ用選択反射手段13Bより前の経路は第2の実施の形態と同じである。
以下、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bとの相違点について主に説明する。
【0074】
補正レーザ用選択反射手段13Bは、測定スポットにて反射されて加熱レーザ用選択反射手段11Aを透過した加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L12の経路上に配置されている。
そして補正レーザ用選択反射手段13Bは、第1補正用レーザ光源22から出射されて第1ビームスプリッタ15Aにて反射された第1補正レーザ波長(λb)の平行光を、加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光L12と重なるように加熱レーザ用選択反射手段11Aに向けて透過し、第1補正レーザ波長(λb)とは異なる波長の平行光を反射する(反射された平行光は、
図7中における平行光L13である)。
【0075】
また
図7における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図7における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図7における(測定・補正レーザブロック)を、(測定・補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段14Bは、第2補正レーザ波長(λc)の光を透過して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を反射する。
【0076】
●[第7の実施の形態における光学非破壊検査装置1Gの構成(
図8)]
次に
図8を用いて、第7の実施の形態の光学非破壊検査装置1Gの構成について説明する。
第7の実施の形態の光学非破壊検査装置1Gは、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bに対して、加熱レーザ用選択反射手段11Bの動作が異なるが、測定スポットから反射及び放射された光の経路において加熱レーザ用選択反射手段11Bより後の経路は第2の実施の形態と同じである。
以下、第2の実施の形態の光学非破壊検査装置1Bとの相違点について主に説明する。
【0077】
加熱レーザ用選択反射手段11Bは、集光コリメート手段10の光軸上に配置されて、加熱用レーザ光源21から出射されて平行光に変換された加熱レーザ波長(λa)の加熱用レーザを、集光コリメート手段10の一方の側に向けて透過するとともに、測定スポットから放射及び反射されて集光コリメート手段10の一方の側から出射された加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長の平行光を反射する(反射された平行光は、
図8中における平行光L12である)。
【0078】
また
図8における(第1補正レーザブロック)を、(第1補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第1ビームスプリッタ15Bは、第1補正用レーザ光源22から出射された第1補正レーザ波長(λb)の光を第1所定割合で透過するとともに第2所定割合で反射する。
また
図8における(第2補正レーザブロック)を、(第2補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、第2ビームスプリッタ16Bは、第2補正用レーザ光源23から出射された第2補正レーザ波長(λc)の光を第3所定割合で透過するとともに第4所定割合で反射する。
また
図8における(測定・補正レーザブロック)を、(測定・補正レーザブロックの他の例)に示すように構成してもよい。
この場合、補正レーザ用選択反射手段14Aは、第2補正レーザ波長(λc)の光を反射して第2補正レーザ波長(λc)とは異なる波長の光を透過する。
【0079】
●[光学非破壊検査装置の処理手順(その1)(
図9〜
図13)]
次に
図9に示すフローチャートを用いて、制御手段50の処理手順(その1)の例について説明する。なお光学非破壊検査装置の構成については、第1〜第7の実施の形態のいずれでもよい。
図9に示す処理は、測定スポットの検査を行う際、制御手段50にて実行される。
ステップS10では、制御手段50は、第1補正用レーザ光源及び第2補正用レーザ光源を制御して、第1補正用レーザ光源から第1補正用レーザを出射し、第2補正用レーザ光源から第2補正用レーザを出射し、ステップS15に進む。第1補正用レーザ及び第2補正用レーザは測定スポットに導光され、測定スポットにて反射された第1補正用レーザは第1補正用レーザ検出手段へと導光され、測定スポットにて反射された第2補正用レーザは第2補正用レーザ検出手段へと導光される。
ステップS15では、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザ光源から加熱用レーザを出射し、ステップS20に進む。加熱用レーザは測定スポットへと導光され、測定スポットから放射された赤外線は赤外線検出手段へと導光される。
【0080】
ステップS20にて、制御手段50は、赤外線検出手段からの検出信号に基づいて、所定赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーを検出し、検出した所定赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーと、ステップS15にて加熱用レーザの照射を開始してからの時間と、を取り込んで一時的に記憶し、ステップS25に進む。
例えば
図11は、照射された光を完全に吸収及び放射する黒体の温度が各温度(M1、M2・・M6)の場合において、黒体から放射される赤外線の波長(横軸)と、各波長の赤外線のエネルギー(縦軸)の関係を示す赤外線放射特性の例を示している。
例えば測定スポットが黒体である場合であって、検出した所定赤外線波長(λ1)の位置が
図11中に示す(λ1)の位置であり、検出した赤外線エネルギーがE1であった場合、測定スポットの温度は、M4[℃]であることがわかる。しかし、実際の測定スポットは黒体ではなく、照射された加熱用レーザの全てを吸収することなく一部を反射しているので補正が必要であり、続くステップS25〜ステップS35にて、ステップS20にて検出した赤外線エネルギーを補正する。
【0081】
ステップS25にて、制御手段50は、第1補正用レーザ検出手段からの検出信号と第2補正用レーザ検出手段からの検出信号に基づいて、第1補正用レーザ及び第2補正用レーザの反射率を測定し、ステップS30に進む。例えば制御手段50は、第1、第2補正用レーザ光源からの第1、第2補正用レーザのエネルギーと、第1、第2ビームスプリッタの反射率、第1、第2ビームスプリッタの透過率、第1、第2補正用レーザ検出手段にて検出した第1、第2補正レーザ波長の光のエネルギーと、に基づいて、測定スポットの反射率を測定する。
例えば
図10に、所定の表面状態に設定した物質A、物質B、物質Cにおける、照射する光の波長(横軸)と、反射率(縦軸)の関係を示す反射率特性の例を示す。
図10に示すように、反射率は物体の材質や照射する光の波長で変化するとともに、物体の表面状態(微細な凹凸の密度や深さ等)によっても変化する。従って、測定スポット毎に反射率を求める必要がある。
また、第1補正レーザ波長(λb)、第2補正レーザ波長(λc)は、加熱レーザ波長(λa)とは異なる波長である(同じ波長では加熱レーザ用選択反射手段ではじかれる)。そこで、
図10の例に示すように、第1補正レーザ波長(λb)と第2補正レーザ波長(λc)の一方(
図10の例では第1補正レーザ波長(λb))を加熱レーザ波長(λa)よりも短い波長に設定し、他方(
図10の例では第2補正レーザ波長(λc))を加熱レーザ波長(λa)よりも長い波長に設定する。
こうして、加熱レーザ波長(λa)に対して、適切な第1補正レーザ波長(λb)、適切な第2補正レーザ波長(λc)を設定することで、より正確な反射率を求めることができる。
図10の例では、[(第1補正レーザ波長にて測定した反射率)+(第2補正レーザ波長にて測定した反射率)]/2を求めることで、加熱レーザ波長(λa)の、より正確な反射率を求めることができる。
ステップS30にて、制御手段50は、ステップS25にて求めた反射率から放射率を計算し、ステップS35に進む。具体的には、放射率(%)=吸収率(%)=100(%)−反射率(%)という関係から、放射率を計算する。
【0082】
ステップS35にて制御手段50は、ステップS20にて一時的に記憶した赤外線エネルギー(検出値に相当)を、ステップS30にて計算した放射率に基づいて補正し、ステップS40に進む。例えばステップS20にて一時的に記憶した赤外線エネルギーが、
図11に示すE1であった場合、このE1をステップS30にて求めた放射率を用いて補正した結果がE1hであったとする。この場合、測定スポットの温度は、E1に相当するM4[℃](実温度)ではなく、補正したE1hに相当するM2[℃](補正温度)が正しい温度となる。なお、
図11の例に示すような赤外線放射特性は、予め記憶手段に記憶されており、制御手段50は、記憶手段に記憶されている赤外線放射特性と、検出及び補正した赤外線エネルギー(この場合、補正した検出値であるエネルギーE1h)に基づいて、測定スポットの温度(この場合、M2[℃])を求める。
そして制御手段は、ステップS20にて記憶した照射開始後の時間(加熱時間に相当)と、当該時間に対応する補正温度から、
図12の例に示す温度上昇特性を求める。例えば照射開始後の時間がT1であって、実温度(実際に測定した赤外線エネルギーによる温度)がM4[℃]、補正温度(補正した赤外線エネルギーによる温度)がM2[℃]であった場合を
図12に示す。なお制御手段にて、補正温度による温度上昇特性を求めればよく、実温度による温度上昇特性は、特に求めなくてもよい。
【0083】
ステップS40にて制御手段50は、測定終了タイミングであるか否かを判定する。制御手段50は、求めた補正温度が飽和温度に達していると判定した場合、測定終了タイミングであると判定する。例えば制御手段50は、今回のステップS35にて求めた補正温度が、前回のステップS35にて求めた補正温度に対して、所定値以下の温度上昇状態であった場合、飽和温度に達したと判定する。なお飽和温度は、
図12に示す温度上昇特性の傾きが所定値以下となった場合であって、温度がほぼ一定となった状態の温度である。
制御手段50は、飽和温度に達して測定終了タイミングであると判定した場合(Yes)はステップS45に進み、測定終了タイミングでないと判定した場合(No)はステップS20に戻る。なお、ステップS20に戻る際、所定時間(例えば1ms程度)待ってから戻ると、所定時間間隔で補正温度を求めることができるので、より好ましい。
【0084】
ステップS45に進んだ場合、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザの照射を停止し、ステップS50に進む。
ステップS50にて制御手段50は、第1補正用レーザ光源及び第2補正用レーザ光源を制御して、第1補正用レーザ及び第2補正用レーザの照射を停止し、ステップS55に進む。
ステップS55にて制御手段50は、ステップS60にて求めた補正温度による温度上昇特性に基づいて、測定対象物の状態を判定し、判定結果を表示手段等に表示して処理を終了する。
ここで
図13に、
図1における接合部96の面積が理想面積である場合の温度上昇特性(
図13中に点線にて示す)の例と、接合部96の面積が下限面積であった場合の温度上昇特性(
図13中に一点鎖線にて示す)の例と、接合部96の面積が上限面積であった場合の温度上昇特性(
図13中に二点鎖線にて示す)の例を示す。
例えば記憶手段に、接合部96の面積が下限面積である場合の(下限面積)温度上昇特性と、接合部96の面積が上限面積である場合の(上限面積)温度上昇特性と、を記憶しておく。
そしてステップS55にて制御手段50は、補正温度に基づいて求めた温度上昇特性が、記憶手段に記憶されている(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性と、の間にあるか否かを判定し、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間にある場合は接合状態が良好であると判定し、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間から外れている場合は接合状態が不良であると判定し、判定結果を表示する。
補正温度により求めた温度上昇特性が、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間にあることは、接合部の面積が、下限面積と上限面積の間にあることを示しており、接合部の面積が許容範囲内であることを示している。
【0085】
●[光学非破壊検査装置の処理手順(その2)(
図14)]
次に
図14に示すフローチャートを用いて、制御手段50の処理手順(その2)の例について説明する。なお光学非破壊検査装置の構成については、第1〜第7の実施の形態のいずれでもよい。
上述した処理手順(その1)では、測定した赤外線エネルギーを反射率に基づいて補正し、補正した赤外線エネルギーから求めた補正温度と、加熱開始からの時間にて、温度上昇特性を求めたが、以下に説明する処理手順(その2)では、反射率に基づいて加熱用レーザの出力を調整(増量)し、測定した赤外線エネルギーが、上記の「補正した赤外線エネルギー」と同等となるようにしたものである。
【0086】
ステップS110では、制御手段50は、第1補正用レーザ光源及び第2補正用レーザ光源を制御して、第1補正用レーザ光源から第1補正用レーザを出射し、第2補正用レーザ光源から第2補正用レーザを出射し、ステップS115に進む。第1補正用レーザ及び第2補正用レーザのそれぞれは測定スポットに導光され、測定スポットにて反射された第1補正用レーザは第1補正用レーザ検出手段へと導光され、測定スポットにて反射された第2補正用レーザは第2補正用レーザ検出手段へと導光される。
ステップS115にて、制御手段50は、第1補正用レーザ検出手段からの検出信号及び第2補正用レーザ検出手段からの検出信号に基づいて、測定スポットの反射率を測定し、ステップS120に進む。反射率の求め方は上述したとおりである。
ステップS120にて、制御手段50は、ステップS115にて求めた反射率から吸収率を計算し、ステップS125に進む。具体的には、吸収率(%)=100(%)−反射率(%)という関係から、吸収率を計算する。
ステップS125にて、制御手段50は、ステップS120にて求めた吸収率から放射率を計算し、ステップS130に進む。具体的には、吸収率(%)=放射率(%)という関係から、放射率を計算する。
【0087】
ステップS130にて、制御手段50は、ステップS120にて求めた吸収率に基づいて、加熱用レーザ光源から出力するべき出力値を計算し、ステップS135に進む。例えば、仮に出力W1で加熱用レーザを出射した場合、吸収率の関係から
図11における赤外線のエネルギーE1が検出されると予想された場合、検出される赤外線エネルギーがE1hとなるような加熱用レーザの出力W1hを、吸収率に応じて計算する。
ステップS135にて制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、ステップS130にて求めた出力値にて加熱用レーザを出射し、ステップS140に進む。
ステップS140にて制御手段50は、赤外線検出手段からの検出信号に基づいて、所定赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーを検出し、検出した所定赤外線波長(λ1)の赤外線のエネルギーと、加熱用レーザの照射を開始してからの時間と、を取り込んで記憶し、ステップS145に進む。
ステップS145にて制御手段50は、取り込んだ赤外線エネルギーに対応する温度(実温度)を求め、求めた実温度と、照射開始後の時間と、から温度上昇特性を求め、ステップS150に進む。この場合、吸収率に応じて加熱用レーザの出力を調整(増量)しているので、求めた実温度をそのまま温度上昇特性として利用すればよい。
【0088】
ステップS150にて制御手段50は、測定終了タイミングであるか否かを判定する。上述したように、制御手段50は、求めた温度が飽和温度に達していると判定した場合、測定終了タイミングであると判定する。
制御手段50は、飽和温度に達して測定終了タイミングであると判定した場合(Yes)はステップS155に進み、測定終了タイミングでないと判定した場合(No)はステップS115に戻る。なお、ステップS115に戻る際、所定時間(例えば1ms程度)待ってから戻ると、所定時間間隔で実温度を求めることができるので、より好ましい。
【0089】
ステップS155に進んだ場合、制御手段50は、加熱用レーザ光源を制御して、加熱用レーザの照射を停止し、ステップS160に進む。
ステップS160にて制御手段50は、第1補正用レーザ光源及び第2補正用レーザ光源を制御して、第1補正用レーザ及び第2補正用レーザの照射を停止し、ステップS165に進む。
ステップS165にて制御手段50は、ステップS145にて求めた実温度による温度上昇特性に基づいて、測定対象物の状態を判定し、判定結果を表示手段等に表示して処理を終了する。
測定対象物の状態の判定方法は、上述した方法と同様である。例えば記憶手段に、接合部96の面積が下限面積である場合の(下限面積)温度上昇特性と、接合部96の面積が上限面積である場合の(上限面積)温度上昇特性と、を記憶しておく。
そしてステップS165にて制御手段50は、
図13に示すように、実温度に基づいて求めた温度上昇特性が、記憶手段に記憶されている(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性と、の間にあるか否かを判定し、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間にある場合は接合状態が良好であると判定し、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間から外れている場合は接合状態が不良であると判定し、判定結果を表示する。
実温度により求めた温度上昇特性が、(下限面積)温度上昇特性と(上限面積)温度上昇特性の間にあることは、接合部の面積が、下限面積と上限面積の間にあることを示しており、接合部の面積が許容範囲内であることを示している。
【0090】
なお、以上に説明した第1〜第7の実施の形態の光学非破壊検査装置を用いて、処理手順(その1)または処理手順(その2)を実施することで、測定対象物(接合構造部位97)の状態、または2つの部材(ワイヤ93と電極92)の接合状態、または2つの部材(ワイヤ93と電極92)の接合部の面積が許容範囲内であるか否か、を制御手段にて判定する光学非破壊検査方法として利用することも可能である。
【0091】
以上、本実施の形態にて説明した光学非破壊検査装置は、加熱用レーザにて加熱を開始してから飽和温度に達するまでの数10ms程度の期間の温度上昇特性を用いて測定対象物の状態を判定するので、加熱後の放熱状態で判定する場合(数10秒〜数分程度)と比較して、非常に検査時間が短い。
また、1種類の波長の補正用レーザのみを利用する場合と比較して、反射率をより正確に測定することができるので、より正確に赤外線のエネルギーを補正することが可能であり、より正確な温度を求めることができる。
また、第1、第2補正用レーザで加熱することなく、測定スポットから反射された第1、第2補正用レーザそのものを検出して測定スポットの反射率を測定し、測定した反射率に基づいて温度を補正するので、より正確な温度上昇特性を得ることができる。
また、測定する赤外線の波長の選択肢が広く、適切な赤外線の波長を選択することで、より広い温度範囲を測定することができる。
また、ワイヤボンディング個所の接合の良否判定に利用することが可能であり、作業者による目視の検査や、抜き取りサンプルの破壊検査等と比較して、より高い信頼性で検査することができる。
【0092】
本発明の光学非破壊検査装置及び光学非破壊検査方法、の構成、構造、外観、形状、処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。