(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売する自動販売機は、自動販売機本体である本体キャビネットを備えている。本体キャビネットは、前面が開口した直方状の断熱筐体として形成されたものである。この本体キャビネットには、その前面に外扉と内扉とが設けられており、その内部に商品収容庫が設けられている。外扉は、本体キャビネットの前面開口を開閉するためのものである。内扉は、商品収容庫の前面を開閉するためのものである。商品収容庫は断熱構造を有しており、その内部に商品収納装置及び背面ダクトが設けられている。
【0003】
商品収納装置は投入された商品を上下方向に沿って収納するもので、販売指令が与えられた場合に最下位の商品を払い出すものである。商品収納装置から払い出された商品は、外扉に設けられた商品取出口を通じて取り出し可能な状態になる。
【0004】
背面ダクトは、商品収容庫の背面に設けられており、商品搬出装置が配設される収納域と区画される導風路を構成するものである。この背面ダクトには、商品収納装置の中間部の高さレベルに対応した個所に吸込口が設けられているとともに、商品収納装置の下部に対応した個所に吹出口が設けられている。吹出口の前方には蒸発器及び庫内送風ファンが設けられている。蒸発器は、商品収容庫の外部に設けられた圧縮機や凝縮器等と冷凍サイクルを構成するものであり、自身の周囲空気を冷却する冷却手段である。
【0005】
このような自動販売機においては、庫内送風ファンを駆動させると、背面ダクトの吸込口を通じて導風路に導入された空気は、吹出口から吹き出されて蒸発器で冷却される。蒸発器で冷却された空気は、上方に向けて商品収納装置を通過することで該商品収納装置に収納された商品を冷却し、その後に吸込口を通じて導風路に導入されて循環する(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述したような自動販売機では、ダクトの吸込口及び吹出口が固定されているので、商品収容庫の収納域における空気の循環経路も略一義的に決定されることとなり、結果的に商品の収納状況や販売状況に応じてきめ細やかに庫内温度分布を調整することは困難である。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品の収納状況や販売状況に応じてきめ細やかに庫内温度分布を調整することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る自動販売機は、自動販売機本体の内部の商品収容庫における収納域に配設され、かつ販売指令が与えられた場合に
最下位に収納する商品を
下方の商品シュータに払い出す商品収納装置と、前記商品収容庫に配設されることで前記収納域と区画される導風路を構成するダクトと、前記ダクト
の前記商品シュータより上方側に形成された
上方開口部から前記収納域の空気を導風路に導入し、かつ
該ダクトの前記商品シュータよりも下方側に形成された下方開口部から前記導風路を通過した空気を前記収納域に送出する態様で、前記商品収容庫の内部の空気を前記収納域と前記導風路との間で循環させる循環手段と、前記循環手段により循環される空気を所望の温度に調整する温度調整手段とを備えた自動販売機において、前記
上方開口部は、前記ダクトの上下方向及び左右方向に沿って並設された複数の通気用開口と、前記通気用開口毎に配設され、かつ対応する通気用開口の開度を調整する開度調整機構とを備え
、前記通気用開口は、自身の中心部を中心とする所定の円周上にその円周方向に沿って所定間隔毎に複数の通気孔が形成されることにより構成されており、前記開度調整機構は、前記ダクトに正逆回転可能に配設された回転体が自身の中心軸回りに所定量回転することにより、該回転体に形成された通過孔と前記通気孔とが対向する面積の度合いにより前記通気用開口の開度を調整するものであり、前記回転体は、径方向外部に向けて突出する突部が前記ダクトに設けられた規制ピンに当接することにより原点位置に位置し、更に原点位置に位置する場合には前記通過孔が前記通気孔に対向しないで前記通気用開口を閉成する一方、該原点位置から回転する場合には前記通過孔の少なくとも一部が前記通過孔に対向して前記通気用開口を開成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記自動販売機において、前記
下方開口部は、前記ダクトに形成された1つの通風孔により構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の通気用開口がダクトの上下方向及び左右方向に沿って並設され、かつ通気用開口毎に配設された開度調整機構が対応する通気用開口の開度を調整することで、
上方開口部は通気用開口の開度が個別に調整可能とされているので、商品の収納状況や販売状況に応じてそれぞれの通気用開口の開度を開度調整機構により調整する結果、
下方開口部及び
上方開口部を通じて商品収容庫の内部の空気を収納域と導風路との間で循環させることにより所望の温度分布を形成することができる。従って、商品の収納状況や販売状況に応じてきめ細やかに庫内温度分布を調整することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び
図2は、それぞれ本発明の実施の形態である自動販売機を示すものであり、
図1は、内部構造を正面から見た場合を示す断面図であり、
図2は、断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、例えば缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を冷却、若しくは加熱した状態で販売するもので、自動販売機本体である本体キャビネット1を備えている。
【0016】
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の形態を成すものである。この本体キャビネット1には、その内部に例えば2つの断熱仕切板2によって仕切られた3つの独立した商品収容庫3が左右に並んだ態様で設けられている。この商品収容庫3は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を所望の温度に維持した状態で収容するためのもので、断熱構造を有している。
【0017】
本体キャビネット1の前面には、外扉4及び内扉5が設けられている。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するためのものであり、内扉5は、商品収容庫3の前面を開閉するためのものである。この内扉5は、上下に分割されており、上側の扉5aは商品を補充する際に開閉するものである。
【0018】
上記商品収容庫3の収納域3aには、商品収納装置である商品収納ラック6が配設されている。商品収納ラック6は、上下方向に沿って延在する蛇行状の商品収納通路6aを有するもので、商品収納通路6aに商品を収納する一方、商品販売指令が与えられた場合には最下位に位置するものから商品の払い出しを行うものである。本実施の形態では、複数の商品収納通路6aを有した商品収納ラック6が前後に配設されるようにしている。
【0019】
また、商品収容庫3には、商品シュータ7及び背面ダクト20が設けられている。商品シュータ7は、商品収納ラック6の下方域に設けられている。この商品シュータ7は、多数の通気孔を有した平板状部材であり、商品収容庫3の後方から前方に向けて漸次低くなる態様で傾斜して配設されている。かかる商品シュータ7は、商品収納ラック6から払い出された商品を外扉4に設けられた商品取出口4aに導くためのものである。
【0020】
背面ダクト20は、商品収容庫3における背面側において、上記収納域3aと区画される導風路20aを構成するものである。この背面ダクト20は、上下方向に沿って延在するものであり、最上部は商品収納ラック6の中間高さレベルよりもやや上方側に位置している。
【0021】
この背面ダクト20においては、商品シュータ7よりも下方側となる部位に下方開口部(第1開口部)30が設けられているとともに、商品シュータ7よりも上方側となる部位に上方開口部(第2開口部)40が設けられている。
【0022】
下方開口部30は、背面ダクト20に形成された1つの通風孔31により構成されている。この通風孔31の前方側には蒸発器8及び庫内送風ファンFが設けられている。蒸発器8は、通風孔31の前方側に配設されており、商品収容庫3の下部の機械室9に配置された圧縮機10、放熱器11及び膨張機構12とともに冷凍サイクルを構成しており、自身の周囲を通過する空気を所望の温度に冷却する温度調整手段である。庫内送風ファンFは、図示せぬ制御手段からの駆動指令に応じて駆動することで商品収容庫3の内部の空気を収納域3aと導風路20aとの間で循環させる循環手段である。
【0023】
上方開口部40は、通気用開口41及び開度調整機構42を備えて構成されている。通気用開口41は、複数あり、
図3に示すように背面ダクト20の上下方向及び左右方向に沿って所定間隔毎に並ぶよう設けられている。尚、
図3から明らかなように、中央の商品収容庫3の背面ダクト20においては、複数の通気用開口41が上下方向に沿って所定間隔毎に並ぶよう設けられている。
【0024】
それぞれの通気用開口41は、中心域にある挿通孔411の中心軸(通気用開口41の中心部)を中心とする所定の円周上にその円周方向に沿って複数(図示の例では3つ)の通気孔412が等間隔に形成されることにより構成されている。
【0025】
開度調整機構42は、通気用開口41に対応して設けられており、回転板(回転体)421を備えて構成されている。回転板421は、円板状の形態をなしており、自身の中心部が対応する通気用開口41の挿通孔411の中心軸に一致するよう、背面ダクト20の後面側に配設されている。この回転板421は、挿通孔411を挿通する態様で配設された駆動源であるステッピングモータ422に連結されており、自身の中心部を中心にして回転可能なものである。尚、駆動源であるステッピングモータ422は正逆回転可能なものであり、これにより回転板421もステッピングモータ422の駆動に応じて正逆回転可能なものである。
【0026】
上記回転板421には、中心部を中心にして、通気用開口41の通気孔412と対向可能な円周上の領域(以下、対向領域ともいう)423にその円周方向に沿って複数(図示の例では3つ)の通過孔424が等間隔に形成されている。
【0027】
図4は、上方開口部を構成する開度調整機構の動作を説明するために後方側から見た場合を示す説明図である。この
図4を適宜用いながら、開度調整機構42による通気用開口41の開度調整について説明する。
【0028】
ステッピングモータ422が制御手段から与えられる駆動信号(駆動パルス)に応じて後方側から見た場合に時計回りに所定量ずつ回転することにより、回転板421も中心部を中心として時計回りに所定量ずつ回転し、回転板421の縁部から径外方向に突出するよう設けられた突部425が背面ダクト20の裏面に形成された規制ピン21に当接することにより、回転板421は原点位置に位置することとなる。このように回転板421が原点位置に位置する場合、
図4の(a)に示すように、回転板421の通過孔424は、通気用開口41の通気孔412と対向していない。これにより、通気用開口41の通気孔412は、回転板421の対向領域423における通過孔424間により閉成されている。
【0029】
このような状態からステッピングモータ422が制御手段から与えられる駆動信号に応じて後方側から見た場合に反時計回りに所定量ずつ回転すると、回転板421も反時計回りに所定量ずつ回転して原点位置から移動することとなる。このようにして回転板421が後方側から見た場合に反時計回りに所定角度回転すると、
図4の(b)に示すように、通過孔424の一部が通気孔412の一部に対向し、通気孔412の一部が開成される。
【0030】
そして、ステッピングモータ422が制御手段から与えられる駆動信号に応じて後方側から見た場合に反時計回りに所定量ずつさらに回転すると回転板421も反時計回りに回転し、いずれは、
図4の(c)に示すように、通過孔424が通気孔412に対向して通気孔412が開成される。
【0031】
このように開度調整機構42は、回転板421に形成された通過孔424と通気孔412とが対向する面積の度合いにより通気用開口41の開度を調整するものである。そして、開度調整機構42は、制御手段から与えられる駆動信号により回転板421が所定量ずつ回転するので、回転板421を原点位置に位置させた後に駆動信号の数を制御することにより、回転板421の回転移動量を制御することができ、これにより通気用開口41の開度を所望の大きさに調整することができる。
【0032】
このような構成を有する自動販売機においては、1つの商品収容庫3において、上方開口部40を構成する通気用開口41のうち、上方側に配設されたものの開度を大きくし、下方側に配設された通気用開口41の開度を小さくすると、庫内送風ファンFの駆動により商品収容庫3の内部の空気は、
図5に示すように循環する。すなわち、商品収容庫3における収納域3aの空気は、上方開口部40における上方側の通気用開口41から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に通風孔31(下方開口部30)から収納域3aに送出されて商品収納ラック6に収納された商品を通過して循環することになる。つまり、蒸発器8で冷却された空気は、商品収納ラック6を通過して該商品収納ラック6に収納された商品を冷却する結果、商品収納ラック6に収納された商品全体が所望の温度状態に冷却される。
【0033】
一方、上記自動販売機においては、1つの商品収容庫3において、上方開口部40を構成する通気用開口41のうち、下方側に配設されたものの開度を大きくし、上方側に配設された通気用開口41の開度を小さくすると、庫内送風ファンFの駆動により商品収容庫3の内部の空気は、
図6に示すように循環する。すなわち、商品収容庫3における収納域3aの空気は、上方開口部40における下方側の通気用開口41から導風路20aに進入し、導風路20aを通過した後に通風孔31から収納域3aに送出されて商品収納ラック6に収納された商品を通過して循環することになる。つまり、蒸発器8で冷却された空気は、商品収納ラック6の下方部を通過して該商品収納ラック6の下方部に収納された商品を冷却する結果、商品収納ラック6の下方部に収納された商品が所望の温度状態に冷却される。これにより、収納域3aの上下に温度分布を形成することができる。
【0034】
また、上記自動販売機においては、1つの商品収容庫3において、上方開口部40を構成する通気用開口41のうち、左方側に配設されたものの開度を大きくし、右方側に配設されたものの開度を小さくすると、
図7に示すように、庫内送風ファンFの駆動により導風路20aを通過して蒸発器8で冷却された空気の多くは、左方側の商品収納ラック6を通過して左方側に配設された通気用開口41を通じて導風路20aに進入するよう循環することから、左方側の商品収納ラック6に収納された商品は、右方側の商品収納ラック6に収納された商品よりも低い温度状態に冷却される。これにより、収納域3aの左右に温度分布を形成することができる。
【0035】
以上説明したように本実施の形態である自動販売機においては、複数の通気用開口41が背面ダクト20の上下方向及び左右方向に沿って並設され、かつ通気用開口41毎に配設された開度調整機構42が対応する通気用開口41の開度を調整することで、上方開口部40は、通気用開口41の開度が個別に調整可能とされている。これにより、商品の収納状況や販売状況に応じてそれぞれの通気用開口41の開度を開度調整機構42により調整する結果、下方開口部30及び上方開口部40を通じて商品収容庫3の内部の空気を収納域3aと導風路20aとの間で循環させることにより所望の温度分布を形成することができる。従って、商品の収納状況や販売状況に応じてきめ細やかに庫内温度分布を調整することができる。
【0036】
上記自動販売機によれば、通気用開口41が自身の中心部を中心とする所定の円周上にその円周方向に沿って所定間隔毎に複数の通気孔412が形成されることにより構成されており、開度調整機構42は、背面ダクト20に回転可能に配設された回転板421が自身の中心軸回りに所定量回転することにより、通過孔414と通気孔412とが対向する面積の度合いにより通気用開口41の開度を調整するので、スライド移動する場合のような移動代を確保する必要がなく、回転板421の回転移動に要するスペースを最小限にすることができる。これにより、上方開口部40の専有面積を必要最小限の大きさにすることができるので、背面ダクト20に上方開口部40を所望の数だけ設置することが可能になる。
【0037】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0038】
上述した実施の形態においては、庫内送風ファンFが下方開口部30を構成する通風孔31の前方域に設けられていたが、本発明においては、商品収容庫3の内部の空気を収納域3aと導風路20aとの間で循環させることができれば、その配設個所は特に限定されるものではない。また、庫内送風ファンFは、正逆回転可能なものであってもよい。これによれば、下方開口部30である通風孔31から収納域3aの空気を導風路20aに導入して上方開口部40のいずれかの通気用開口41から導風路20aを通過した空気を収納域3aに送出する態様で循環させることができる。
【0039】
上述した実施の形態においては、商品収容庫3に上下方向に沿って配設されたダクトとして背面ダクト20を例示したが、本発明におけるダクトは、かかる背面ダクトに限られず、商品収納装置(商品収納ラック)の側方に上下方向に沿って配設される側面ダクトであっても構わない。
【0040】
上述した実施の形態においては、温度調整手段である蒸発器8が下方開口部30(通風孔31)の前方側に配設してあったが、本発明においては、温度調整手段の配設個所は特に限定されるものではなく、商品収容庫の内部空気を所望の温度状態に調整することができればどのような個所であっても構わない。また、上述した実施の形態では、蒸発器8を温度調整手段の一例として示したが、本発明においては、例えばヒータのように通電状態となることにより自身の周囲を通過する空気を加熱するものを温度調整手段として適用してもよい。