(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。尚、図面が異なっても対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0010】
(実施の形態1)
(1)構造
図1乃至3は、実施の形態1の半導体装置2の平面図である。
図4は、
図1乃至3のIV-IV線に沿った断面図である。
【0011】
図1には、基板表面(半導体装置2が形成された基板)における半導体装置2の構造(LDMOSトランジスタ)が示されている。
【0012】
図2には、例えば1層目の層間絶縁膜24(
図4参照)の上に設けられた配線(第1シールド配線6a等)および1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eが示されている。
図2にはさらに、破線および一点鎖線により、基板表面の構造(
図1参照)が示されている。
【0013】
図3には、例えば最上層の層間絶縁膜34(
図4参照)に設けられた配線9(例えば、グランド配線)が示されている。
図3にはさらに、破線および一点鎖線により、基板表面の構造(
図1参照)が示されている。
【0014】
図1及び4に示すように半導体装置2は、p型(第1導電型)のソース領域10を有する。半導体装置2はさらに
図4に示すように、少なくともソース領域10側方のチャネル領域16上に配置されたゲート絶縁膜18を有する。半導体装置2はさらに、ゲート絶縁膜18を挟んでチャネル領域16に対向するゲート電極20を有する。
【0015】
すなわち半導体装置2は、半導体基板68のチャネル領域16上に形成されたゲート絶縁膜18と、ゲート絶縁膜18上に形成されたゲート電極20とを有する。半導体装置2はさらに、半導体基板68に形成された第1導電型のソース領域10を有する。
【0016】
半導体装置2はさらに
図1に示すように、チャネル領域16を挟んでソース領域10に対向し、p型不純物濃度(第1導電型の不純物濃度)がソース領域10より低いp型のドリフト領域12を有する。半導体装置2はさらに、ドリフト領域12内に配置され、p型不純物濃度がドリフト領域12より高いp型のドレイン領域14を有する。
【0017】
すなわち半導体装置2は、半導体基板68に形成された第1導電型のドレイン領域14を有している。半導体装置2はさらに、チャネル領域16とドレイン領域14との間に少なくとも一部が形成され、不純物濃度がドレイン領域14より低い第1導電型のドリフト領域12を有している。
【0018】
半導体装置2はさらに、ソース領域10とドリフト領域12とを囲いチャネル領域16を含むn型(第1導電型とは反対の第2導電型)の第1半導体領域22aを有する。第1半導体領域22aは例えば、n型ウェルである。第1半導体領域22aの厚さは、例えば2.5μm〜8.0μmである。
【0019】
半導体装置2は更に
図2に示すように、ソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分(
図2では、ソース領域10と一致している)を平面視においてゲート電極20とともに囲う第1シールド配線6aを有する。第1シールド配線6aは、例えば第1コンタクトプラグ8aにより第1半導体領域22aに接続されている。
【0020】
具体的には例えば
図4に示すように、第1シールド配線6aは、第1半導体領域22aに設けられn型不純物濃度が周囲より高いボディ・タップ領域36に接続される。第1シールド配線6aは
図4に示すように、例えば1層目の層間絶縁膜24を挟んで第1半導体領域22aに対向する配線である。
【0021】
ゲート電極20はチャネル領域16を覆うとともに、ソース領域10のうちチャネル領域16に接する部分(図示せず)を覆う。この部分は例えば、ソース領域10にイオン注入されたp型不純物が熱処理によりゲート電極20の下に拡散した領域である。ゲート電極20の側面は好ましくは、サイドウォール21で覆われる。
【0022】
半導体装置2は、第1半導体領域22a(
図1参照)を囲うp型の第2半導体領域22b(
図4参照)を有してもよい。第2半導体領域22bは、例えばp型の半導体基板68である。この場合、第1シールド配線6aは、
図2に示すよう平面視において第1半導体領域22a内で少なくともドリフト領域12を囲う内縁(内周)25を有することが好ましい。第1シールド配線6aの外縁(外周)は、第1半導体領域22a内になくてもよい。例えば、第1シールド配線6aの外縁(外周)は平面視において、第2半導体領域22bにあってもよい。
【0023】
半導体装置2はさらに、
図3及び4に示すように、第1半導体領域22aに第1シールド配線6aを挟んで対向する配線9を有する。配線9には、ソース領域10の電位より低い電位(例えば、基板電位)が印加される。配線9は例えば、第2半導体領域22bに接続されたグランド配線である。配線9(以下、低電位配線と呼ぶ)は好ましくは、例えば最上層の層間絶縁膜34に設けられる。
【0024】
図1及び4に示すように、チャネル領域16はドリフト領域12によりドレイン領域14から隔てられている。ドリフト領域12の不純物濃度(例えば、1×10
15〜5×10
17cm
−3)は、ドレイン領域14の不純物濃度より低い。したがってドリフト領域12の比抵抗は、ドレイン領域14の比抵抗より高い。さらにドリフト領域12はチャネル領域16に接する部分45を除きフィールド絶縁膜40に覆われて、薄くなっている。このため、ドリフト領域12の抵抗は高い。したがってソース領域10に高い電位(例えば、40〜120V)が印加されても、ゲート絶縁膜18は容易には破壊されない。
【0025】
ソース領域10と略同じ電位(例えば、80V)がゲート電極20に印加されると、チャネル領域16は非導通状態になる。一方、ゲート電極20にソース領域10の電位より数V(例えば、5V)低い電位が印加されると、チャネル領域16は導通状態になる。
【0026】
チャネル領域16が導通すると、ソース領域10の電位に近い高電圧がソース領域10とドレイン領域14の間に加わる。この電圧が直接チャネル領域16に加わると、ゲート絶縁膜18は破壊されてしまう。
【0027】
しかし、ドリフト領域12の抵抗により電圧が降下するので、ソース領域10とドレイン領域14の間の電圧がチャネル領域16に直接加わることはない。このため、ゲート絶縁膜18は容易には破壊されない。
【0028】
チャネル領域16に加わる電圧を抑制するためには、ドレイン領域14とチャネル領域16の間隔G(
図1参照)は長いほど好ましい。例えばこの間隔Gは、ソース領域10からドレイン領域14に向かう方向に沿ったチャネル領域16の長さLより長いことが好ましい。ドレイン領域14とチャネル領域16の間隔Gは好ましくは、1.5μm〜10μmである。
【0029】
図2に示すように、第1シールド配線6aは好ましくは、ゲート電極20の4隅のうちソース領域10側に位置する2隅を覆う。これにより、第1シールド配線6aの形成位置が目標位置から多少ずれても、第1シールド配線6aとゲート電極20はソース領域10を囲むことができる。第1シールド配線6aとゲート電極20とが重なる領域の幅は、例えば0.5μm程度である。
【0030】
第1半導体領域22aおよび第2半導体領域22bは、ソース領域10、チャネル領域16、ドレイン領域14、ボディ・タップ領域36、および基板タップ領域38等を除きフィールド絶縁膜40により覆われている(
図4参照)。
【0031】
ソース領域10は
図4に示すように、第2コンタクトプラグ8bによりソース配線26に接続されている。ドレイン領域14は、第3コンタクトプラグ8cによりドレイン配線28に接続されている。第2半導体領域22bは、第4コンタクトプラグ8dにより基板タップ配線44に接続される。具体的には例えば第2半導体領域22bは、基板タップ領域38のうちフィールド絶縁膜40で覆われていない領域42に接続される。ゲート電極20は
図2に示すように、第5コンタクトプラグ8eによりゲート配線30に接続される。
【0032】
なお
図4に示すように、ソース領域10、ドレイン領域14、ゲート電極20、ボディ・タップ領域36、および基板タップ領域38の表面はコンタクト電極11により覆われている。しかし、コンタクト電極11は
図1乃至3では省略されている。
【0033】
(2)リーク電流の抑制
―リーク電流の経路―
第1半導体領域22a(
図4参照)と第2半導体領域22bの間には、例えば40V〜120V程度の逆バイアス電圧が印加される。このため、第1半導体領域22aと第2半導体領域22bの接合面(pnジャンクション)における電界は大きくなる。その結果、この接合面でアバランシェ降伏が起きやすくなる。第1半導体領域22aとドリフト領域12の接合面についても同様である。
【0034】
そこで、第1半導体領域22aのn型不純物濃度は低くなっている。第1半導体領域22aのn型不純物濃度は、例えば1×10
15〜5×10
16cm
−3(または、5×10
15〜1×10
16cm
−3)である。このため、第1半導体領域22aとフィールド絶縁膜40の界面に比較的小さな電界が印加されても、第1半導体領域22aには反転層が形成させる。
【0035】
図5は、第1シールド配線6aを有さない半導体装置46の平面図である。
図6は、
図5のVI-VI線に沿った断面図である。
図5の破線および一点鎖線は、基板表面の構造(LDMOS)を示している。
図5の実線は、1層目の層間絶縁膜24上(
図6参照)に設けられた配線および1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eを示している。
図5の実線はさらに、最上層の層間絶縁膜34(
図6参照)に設けられた低電位配線(例えば、グランド配線)を示している。
【0036】
半導体装置46では、ボディ・タップ領域36は、第1シールド配線6aの代わりに、ボディ・タップ配線48に接続されている。ボディ・タップ配線48は、第1シールド配線6aとは異なり、ソース領域10および/またはドリフト領域12を囲わない。第1シールド配線6aの代わりにボディ・タップ配線48を有する点を除けば、
図5の半導体装置46の構造は、実施の形態1の半導体装置2と略同じである。
【0037】
上述したように、第1半導体領域22aには高電位(例えば、80V)が印加される。一方、低電位配線9には例えば、基板電位(0V)が印加される。第1半導体領域22aとフィールド絶縁膜40の界面50(
図6参照)には第1半導体領域22aから低電位配線9に向かう強い電界が発生する。この電界により第1半導体領域22aには反転層が発生し、第1半導体領域22aの表面を通る電流経路が形成される。
【0038】
図7は、この半導体装置46の第1半導体領域22aに形成される電流経路を説明する図である。
図7に示すように第1半導体領域22aには、ソース領域10とドリフト領域12を接続する第1電流経路52aが形成される。
【0039】
さらに第1半導体領域22aには、ソース領域10と第2半導体領域22bを接続する第2電流経路52bが形成される。さらに第1半導体領域22aには、ドリフト領域12と第2半導体領域22bを接続する第3電流経路52cが形成される。これらの電流経路を通って、半導体装置46にはリーク電流が流れる。
【0040】
半導体装置46には例えば、導通状態(ON状態)で数mA(1〜10mA)の電流が流れる。一方、非導通状態(OFF状態)では半導体装置46には例えば、数μA(1〜10μA)の電流が流れる。
【0041】
―ソース・ドレイン間リーク電流の抑制―
第1シールド配線6a(
図2参照)は、第1半導体領域22aに接続されている。このため低電位配線9(
図4参照)が発生する電界は遮蔽され、第1半導体領域22aのうち第1シールド配線6aで覆われた部分には到達しない。このため、この部分に反転層は形成されない。したがって、第1半導体領域22aのうち第1シールド配線6aで覆われた部分には電流経路(物理的経路)は形成されない。
【0042】
第1シールド配線6aと同様ゲート電極20は、低電位配線9が発生する電界を遮蔽する。したがって、第1半導体領域22aのうちゲート電極20で覆われた部分にも電流経路(ゲート電極20の電位に応答して流れる信号電流の経路(例えば、チャネル領域16)は含まない。以下同様)は形成されない。
【0043】
図2を参照して説明したように、第1シールド配線6aは平面視において、ソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分(
図2では、ソース領域10に一致している)をゲート電極20とともに囲っている。したがって第1シールド配線6aはゲート電極20とともに平面視において、第1半導体領域22aのうちソース領域10とドリフト領域12とを接続する部分(第1電流経路52aが通る領域)を覆っている。
【0044】
上述したように、第1半導体領域22aのうち第1シールド配線6aで覆われた部分に電流経路は形成されない。同様に第1半導体領域22aのうちゲート電極20で覆われた部分にも電流経路は形成されない。
【0045】
したがって第1シールド配線6aを有する半導体装置2には、ソース領域10とドリフト領域12とを接続する第1電流経路52a(
図7参照)は形成されない。ドレイン領域14はドリフト領域12内に設けられる。したがって半導体装置2によれば、ソース領域10からドレイン領域14に流れるリーク電流が抑制される。
【0046】
図2に示すように、平面視において第1シールド配線6aおよびゲート電極20のいずれをも通らずに、ソース領域10とドリフト領域12(またはドレイン領域14)とを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。換言するならば、第1シールド配線6aはゲート電極20とともに平面視において、ソース領域10をドリフト領域12(またはドレイン領域14)から隔離している。このため半導体装置102には、第1電流経路52aは形成されない。
【0047】
―ソース・第2半導体領域間リーク電流の抑制―
図3に示すように低電位配線9は、第1半導体領域22aのうちソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する部分(第2電流経路52bが通る領域)を覆っている。したがって第1シールド配線6aを有さない半導体装置46には
図7に示すように、第1半導体領域22aを通ってソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する第2電流経路52bが形成される。
【0048】
しかし半導体装置2では
図2に示すように、第1シールド配線6aはゲート電極20とともに平面視において第1半導体領域22aのうちソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する部分(第2電流経路52bが通る領域)を覆っている。
【0049】
したがって半導体装置2によれば、ソース領域10から第2半導体領域22bに流れるリーク電流が抑制される。
【0050】
図2に示すように、平面視において第1シールド配線6aおよびゲート電極20のいずれをも通らずに、ソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。換言するならば、第1シールド配線6aはゲート電極20とともに平面視において、ソース領域10を第2半導体領域22bから隔離している。このため半導体装置102には、第2電流経路52bは形成されない。
【0051】
―ドレイン・第2半導体領域間リーク電流の抑制―
図3に示すように低電位配線9は、第1半導体領域22aのうちドリフト領域12と第2半導体領域22bとを接続する部分(第3電流経路52cが通る領域)を覆っている。したがって第1シールド配線6aを有さない半導体装置46では
図7に示すように、第1半導体領域22aを通ってドリフト領域12と第2半導体領域22bとを接続する第3電流経路52cが形成される。
【0052】
しかし半導体装置2では
図2に示すように、第1シールド配線6aはゲート電極20とともに平面視においてドリフト領域12と第2半導体領域22bとを接続する部分(第3電流経路52cが通る領域)を覆っている。このため、第3電流経路52cは形成されない。
【0053】
このため半導体装置2には、ドリフト領域12と第2半導体領域22bとを接続する第3電流経路52cは形成されない。ドレイン領域14は、ドリフト領域12内に設けられている。したがって半導体装置2によれば、ドレイン領域14から第2半導体領域22bに流れるリーク電流が抑制される。
【0054】
ところで平面視において第1シールド配線6aを通らずに、ドリフト領域12と第2半導体領域22bとを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。換言するならば、第1シールド配線6aは平面視において、ドリフト領域12(またはドレイン領域14)を第2半導体領域22bから隔離している。このため半導体装置102には、第3電流経路52cは形成されない。
【0055】
以上のように、第1シールド配線6aを有する半導体装置2によれば、第1電流経路52a〜第3電流経路52cを通って流れるリーク電流が抑制される。このため、半導体装置2のリーク電流は極めて小さい。
【0056】
例えば、第1シールド配線6aを有さない半導体装置46が非導通状態(OFF状態)の時、この半導体装置46に流れる電流は数μA程度である。一方、第1シールド配線6aを有する半導体装置2が非導通状態(OFF状態)の時、半導体装置2に流れる電流は1μA未満である。
【0057】
ところで、低電位配線9は、最上層の層間絶縁膜34に形成される。層間絶縁膜一層の厚さは、例えば1.2μm程度である。基板表面には、例えば5層程度の層間絶縁膜が積層される。したがって低電位配線9は、基板表面から6μm程度離れた位置に配置される。このように基板表面から遠く離れた位置に低電位配線9が形成されても、第1半導体層22aに40V〜120Vの高電位が加えられると、第1シールド配線6aを有さない半導体装置46の第1半導体層22aは反転する。一方、実施の形態1の半導体装置2によれば、第1シールド配線6aにより低電位配線9が形成する電界が遮蔽されて第1半導体層22aの反転は抑制される。
【0058】
第1シールド配線6aは、ゲート電極20には接続されない。したがって第1シールド配線6aの寄生容量により、ゲート電極20の容量が増加することはない。
【0059】
ところで
図2に示す例では、第1シールド配線6aはゲート電極20の隅を2か所覆うだけで、ゲート電極20を横断していない。しかし第1シールド配線6aは、ゲート電極20を横断してもよい。
【0060】
図2に示す例では、第1シールド配線6aは平面視においてドリフト領域12を囲っている。しかし、第1シールド配線6aはドリフト領域12を囲わなくてもよい。このような構造でも、第1電流経路52aおよび第2電流経路52bは形成されない。したがって、リーク電流は減少する。
【0061】
(3)ドレイン電流変動の抑制
シールド配線を有するLDMOSトランジスタにドレイン電流が流れると、ドレイン飽和電流が変化することがある。
【0062】
図8乃至12は、シールド配線を有するLDMOSトランジスタのドレイン飽和電流の変化を説明する図である。
図8乃至11には、シールド配線54a〜54gを有する複数のLDMOSトランジスタ56a〜56gが示されている。複数のLDMOSトランジスタ56a〜56gの構造は、シールド配線54a〜54gの形状を除き、
図1乃至4を参照した説明した実施の形態1の半導体装置2の構造と略同じである。
【0063】
シールド配線54a〜54gは、半導体装置2の第1シールド配線6aと同様、第1半導体領域22a(
図1参照)に接続されている。シールド配線54a〜54gはそれぞれ、第1半導体領域22aの異なる範囲を覆っている。ただしシールド配線54a〜54gは第1シールド配線6aと略同様に、ソース領域10、ドレイン領域14、およびゲート電極20は覆わない。
【0064】
シールド配線54a〜54gが覆う範囲は、
図8(a)乃至10(b)に示すように徐々に広がり、シールド配線54fは第1半導体領域22aの大部分を覆う。
図11では、シールド配線54gが覆う範囲は再び広くなる。
【0065】
図12は、ドレイン飽和電流(drain saturation current)の初期変動を示している。横軸は、LDMOSトランジスタ56a〜56gにドレイン電流を流した回数である。縦軸は、ドレイン飽和電流の初期値に対するドレイン飽和電流の変化率である。
図12の各特性曲線に付けられた符号は、各特性曲線に対応するLDMOSを表している。
【0066】
ドレイン飽和電流の測定は、第1半導体領域22aとソース領域10とに0Vを印加しドレイン領域14に−87Vを印加した状態で行う。ゲート電極20には、−6.5Vを印加する。
【0067】
図12に示すように、LDMOSトランジスタ56a〜56e,56gのドレイン飽和電流の初期変動は僅かである。一方、LDMOSトランジスタ56fのドレイン飽和電流は、一度ドレイン電流が流れただけで大きく変化する。
【0068】
LDMOSトランジスタ56fのシールド配線54fは
図10(b)に示すように、ゲート電極20とドレイン領域14の間を覆っている。一方、他のLDMOSトランジスタ56a〜56e,56gのシールド配線54a〜54e,54gは、ゲート電極20とドレイン領域14の間を覆っていない。
【0069】
ゲート電極20とドレイン領域14の間には、ドリフト領域12が延在している。ドリフト領域12には、ドレイン領域14の電位−87Vが印加される。一方、シールド配線54fには第1半導体領域22aの電位0Vが印加される。このため、ドリフト領域12の表面にはシールド配線54fからドリフト領域12に向かう電界が発生する。
【0070】
ドレイン電流が流れると、この電界によりフィールド絶縁膜40に電子がトラップされる。その結果ドリフト領域12の抵抗値が変化して、ドレイン飽和電流が変化すると考えられる。
【0071】
図2に示すように、実施の形態1の半導体装置2の第1シールド配線6aは、ゲート電極20とドレイン領域14の間を覆わない。
図13は、半導体装置2の第1シールド配線6aが覆う範囲を説明する図である。
図13の破線は、半導体装置2の基板表面の一部を示している。
【0072】
ドレイン電流は、ソース領域10のドレイン領域14に対向する辺の両端58とドレイン領域14のソース領域10に対向する辺の両端60とを外縁が通る四角形領域62の内側を流れる。これにより、電子がフィールド絶縁膜40にトラップされる。
【0073】
そこで、実施の形態1の第1シールド配線6aは、四角形領域62のうちゲート電極20とドレイン配線14に挟まれた部分64の上方には延在しないように配置される。すなわち第1シールド配線6aは平面視において、ゲート電極20とドレイン領域14の間に延在しない。このため、半導体装置2のドレイン飽和電流の初期変動は小さい。
【0074】
(4)製造方法
図14〜24は、半導体装置2の製造方法を説明する図である。
図14(a)、15(a) …… 24(a)は平面図である。
図14(b)、15(b) …… 24(b)はそれぞれ、
図14(a)、15(a) …… 24(a)のXIVB-XIVB, XVB-XVB,……XXIVB-XXIVB線に沿った断面図である。
【0075】
―第1半導体領域の形成(
図14(a)及び14(b))―
まず、比抵抗が10Ω・cm程度のP型半導体基板(例えば、P型Si基板)を用意する。この半導体基板の表面を酸化して、厚さ10nm程度の保護膜(図示せず)を形成する。
【0076】
次に
図14(b)に示すように、第1半導体領域22aに対応する開口が設けられた第1レジスト膜66aを保護膜の上に形成する。なお
図14(a)には、第1レジスト膜66aは示されていない。
【0077】
このレジスト膜66aを介して半導体基板68に、例えばリンイオン(P
+)をイオン注入する。これによりn型不純物が、第1半導体領域22aに対応する半導体領域69に導入される。加速電圧は、例えば2MeVである。ドーズ量は、例えば3.50×10
12cm
-2である。その後、第1レジスト膜66aを剥離する。
【0078】
次に半導体基板68をアニールして、注入したリンを活性化する。この時、注入したリンが拡散する。アニール温度は、例えば1150℃である。アニール時間は、例えば360分である。アニール雰囲気は、例えばN
2である。これにより、第1半導体領域22a(n型ボディ領域)が形成される。
【0079】
―トレンチの形成(
図15(a)〜
図16(b))―
まず、半導体基板68上の保護膜を除去する。その後、半導体基板68を再度酸化して、厚さ15nm程度の保護膜(図示せず)を形成する。酸化温度は、例えば900℃程度である。
【0080】
この保護膜の上に気相成長法により、150nm程度の窒化膜(SiN膜)を形成する。この窒化膜をエッチングして、フィールド絶縁膜40に対応するスペースを形成する。これにより
図15(a)及び15(b)に示すように、エッチングマスク70が形成される。エッチングマスク70は、一定の形状を有する複数の窒化膜72のパターンである。
【0081】
このエッチングマスク70を介して半導体基板68をエッチングして、
図16(a)及び16(b)に示すように、深さ350nm程度のトレンチ74を形成する。
【0082】
―フィールド絶縁膜の形成(
図17(a)及び17(b))―
まず半導体基板68の表面を酸化して、トレンチ74の内壁に厚さ40nm程度の酸化膜を形成する。その後、気相成長法より675nm程度の酸化膜を成長して、トレンチ74を酸化膜で埋める。
【0083】
次に、成長した酸化膜を窒化膜72が露出するまでCMP(Chemical Mechanical Polishing)により研磨して、成長した酸化膜を平坦化する。その後、窒化膜72および保護膜(図示せず)を除去して
図17(a)及び17(b)に示すように、フィールド絶縁膜40を形成する。
【0084】
―ドリフト領域等の形成(
図18(a)及び18(b))―
半導体基板68を再度酸化して、厚さ10nm程度の保護膜(図示せず)を形成する。酸化温度は、例えば900℃程度である。
【0085】
次に
図18(b)に示すように、ドリフト領域12に対応する開口が設けられた第2レジスト膜66bを、保護膜(図示せず)の上に形成する。なお
図18(a)には、第2レジスト膜66bは示されていない。
【0086】
この第2レジスト膜66bを介して半導体基板68に、例えばホウ素イオン(B
+)をイオン注入する。これにより、ドリフト領域12に対応する半導体領域76にp型不純物が導入される。加速電圧は、例えば150keVである。ドーズ量は、例えば5.5×10
12cm
-2である。その後、第2レジスト膜66bを剥離する。
【0087】
さらに開口が設けられたレジスト膜(図示せず)を介して、チャネル領域16に対応する半導体領域に例えばヒ素イオン(As
+)をイオン注入する。この時導入されるヒ素(n型不純物)により、半導体装置2の閾値が調整される。
【0088】
加速電圧は、例えば80keVである。ドーズ量は、例えば1.0×10
12cm
-2である。チャネル領域16とドリフト領域12の間隔は、例えば0.4μm程度である。
【0089】
次に
図19(b)に示すように、基板タップ領域38に対応する開口が設けられた第3レジスト膜66cを、保護膜(図示せず)の上に形成する。なお
図19(a)には、第3レジスト膜66cは示されていない。
【0090】
この第3レジスト膜66cを介して半導体基板68に、例えばホウ素イオン(B
+)を2度イオン注入する。これにより、基板タップ領域38に対応する半導体領域78にp型不純物が導入される。加速電圧は、例えば230keVと13keVである。ドーズ量は、例えば3.0×10
13cm
-2と1.5×10
13cm
-2である。その後、第3レジスト膜66cを剥離する。
【0091】
次に半導体基板68をアニールして、イオン注入された不純物を活性化する。アニール温度は、例えば1000℃である。アニール時間は、例えば10秒である。アニール雰囲気は、例えばN
2である。これにより、ドリフト領域12およびチャネル領域16が完成する。
【0092】
―ゲート絶縁膜の形成(
図20(a)及び20(b))―
次に、保護膜(図示せず)を除去する。その後、半導体基板68の表面を酸化して
図20(b)に示すように、厚さ18nm程度の酸化膜80を形成する。酸化温度は、800℃である。雰囲気は、ウエット酸化雰囲気である。
【0093】
―ゲート電極の形成(
図21(a)及び21(b))―
酸化膜80が形成された半導体基板68に、気相成長法により厚さ180nm程度のポリシリコンを成長する。このポリシリコンをエッチングして、
図21(a)及び21(b)に示すように、ゲート電極20に対応するポリシリコン膜82を形成する。この時、酸化膜80がエッチングされて、ゲート絶縁膜18が形成される。
【0094】
―ソース領域、ドレイン領域、基板タップ領域、およびボディ・タップ領域の形成―
次に開口が設けられたレジスト膜(図示せず)を介して、ソース領域10、ドレイン領域14、および基板タップ領域38それぞれに対応する半導体領域に、例えばBF
2+イオンを注入する。加速電圧は、例えば80keVである。ドーズ量は、例えば4.5×10
13cm
-2である。その後、レジスト膜を剥離する。
【0095】
さらに、ポリシリコン膜82の側面にサイドウォールを形成する。その後開口が設けられたレジスト膜(図示せず)を介して、ソース領域10、ドレイン領域14、および基板タップ領域38それぞれに対応する半導体領域とポリシリコン膜82とに、例えばホウ素イオン(B
+)とフッ素イオン(F
+)をイオン注入する。加速電圧は、例えば5keVと8keVである。ドーズ量は、例えば2.0×10
15cm
-2と4.0×10
14cm
-2である。その後、レジスト膜を剥離する。
【0096】
さらに開口が設けられたレジスト膜(図示せず)を介して、ボディ・タップ領域36に対応する半導体領域に、例えばP
+イオンを注入する。加速電圧は、例えば15keVである。ドーズ量は、例えば2.0×10
15cm
-2である。
【0097】
その後、半導体基板68をアニールする。アニール温度は、例えば1000℃である。アニール時間は、例えば10秒である。アニール雰囲気は、例えばN
2である。これにより、ソース領域10と、ドレイン領域14と、基板タップ領域38と、ボディ・タップ領域が完成する。さらにポリシリコン膜82がp型になって、ゲート電極20が完成する。
【0098】
このアニールにより、ソース領域10に対応する半導体領域に注入された不純物が横方向に拡散する。その結果、ゲート電極20により部分的に覆われたソース領域10が形成される。
【0099】
―コンタクト電極の形成(
図22(a)及び22(b))―
次に、ソース領域10、ドレイン領域14、ボディ・タップ領域36、および基板タップ領域38を覆う酸化膜を除去する。その後、半導体基板68の表面に厚さ6nmのコバルト膜を、スパッターにより形成する。
【0100】
コバルト膜を形成した半導体基板68をアニールして、コバルトシリサイドを1次形成する。アニール温度は、例えば540℃である。アニール雰囲気は、例えばN
2である。アニール時間は、例えば30秒である。その後、未反応のコバルトを自己形成的に除去する。その後半導体基板68をさらにアニールして、コバルトシリサイドを2次形成する。
【0101】
これにより、
図22(a)及び22(b)に示すように、コバルトシリサイドのコンタクト電極84が形成される。
【0102】
―コンタクトプラグの形成(
図23(a)及び23(b))―
コンタクト電極84を形成した半導体基板68上に1層目の層間絶縁膜24を堆積する。この層間絶縁膜24にコンタクトホールを形成し、バリアメタル(図示せず)と第1コンタクトプラグ86a〜第5コンタクトプラグ86eを形成する。なお
図23(a)には、コンタクト電極84は示されていない。
【0103】
第1コンタクトプラグ86a〜第5コンタクトプラグ86eはそれぞれ、ボディ・タップ領域36、ソース領域10、ドレイン領域14、基板タップ領域38、およびゲート電極18に接続される。第1コンタクトプラグ86a〜第5コンタクトプラグ86eは、例えばタングステンコンタクトプラグである。
【0104】
―第1シールド配線等の形成(
図24(a)及び24(b))―
第1コンタクトプラグ86a〜第5コンタクトプラグ86eが形成された1層目の間絶縁膜24の上に、導電膜(例えば、AlCuTi膜)を堆積する。この導電膜をエッチングして、第1シールド配線6aとソース配線26とドレイン配線28と基板タップ配線44ゲート電極30とを形成する。なお
図24(a)には、コンタクト電極84は示されていない。
【0105】
第1シールド配線6aは、第1コンタクトプラグ86aを介して、ボディ・タップ領域36に接続される。ソース配線26等はそれぞれ対応する領域に、第2コンタクトプラグ86b〜第5コンタクトプラグ86eを介して接続される。
【0106】
―第2層目以降の層間絶縁膜および低電位配線の形成―
その後、第2層目以降の層間絶縁膜、コンタクトプラグ、および配線を形成する。最上層の層間絶縁膜には、例えば基板タップ領域38に接続された低電位配線9を形成する。
【0107】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1に類似している。したがって、実施の形態1と共通する部分の説明は省略または簡単にする。
【0108】
図25乃至27は、実施の形態2の半導体装置102の平面図である。
図27は、
図25乃至26のXXVII-XXVII線に沿った断面図である。
【0109】
図25には、基板表面(半導体装置102が形成された基板の表面)における半導体装置102の構造(LDMOSトランジスタ)が示されている。
図26には、1層目の層間絶縁膜24(
図27参照)の上に設けられた配線(第1シールド配線106a等)および1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eが示されている。
図26の破線および一点鎖線は、基板表面の構造(
図25参照)を示している。
図25及び26では、コンタクト電極11は省略されている。
【0110】
図25に示すように、半導体装置102の基板表面における構造は、実施の形態1の半導体装置2の基板表面における構造と略同じである。ただし
図25に示す半導体装置102では、ソース領域10はボディ・タップ領域36に接している。ただしソース領域10は、ボディ・タップ領域36から離隔していてもよい。半導体装置102は実施の形態1の半導体装置2と同様、第1シールド配線106a(
図26参照)と低電位配線9(
図27参照)とを有する。
【0111】
図26及び27に示すように第1シールド配線106aは、第1半導体領域22aとソース領域10とに接続され、ソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分(
図26では、ソース領域10に一致している)を覆う。低電位配線9は、第1半導体領域22aに第1シールド配線106aを挟んで対向する。
【0112】
半導体装置2は、第1半導体領域22a(
図25参照)を囲うp型の第2半導体領域22b(
図27参照)を有することが好ましい。
【0113】
平面視において第1シールド配線106aを通らずにソース領域10とドリフト領域12(またはドレイン領域14)とを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。同様に平面視において第1シールド配線106aを通らずにソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。すなわち第1シールド配線106aは、ソース領域10をドリフト領域12(またはドレイン領域14)と第2半導体領域22bとから隔離している。
【0114】
このため、半導体装置102には、
図7を参照して説明した第1電流経路52aおよび第2電流経路52bは形成されない。したがって半導体装置102によれば、LDMOSトランジスタを有する半導体装置のリーク電流が抑制される。
【0115】
第1シールド配線106aは、
図26に示すよう平面視において第1半導体領域22a内でドリフト領域12を囲う内縁(内周)25を有することが好ましい。
【0116】
この場合、平面視において第1シールド配線106aを通らずにドリフト領域14と第2半導体領域22bを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。すなわち第1シールド配線106aは、ドリフト領域12を第2半導体領域22bから隔離している。このため第3電流経路52cが形成されないので、リーク電流はさらに抑制される。
【0117】
第1シールド配線106aは、実施の形態1の第1シールド配線6aと同様、ゲート電極20とドレイン領域14の間に延在しないことが好ましい。
【0118】
図26に示す半導体装置102では、第1シールド配線106aはソース領域10全体を覆っている。しかし第1シールド配線106aは、ソース領域10を部分的に覆ってもよい。
【0119】
第1シールド配線106aがソース領域10を部分的に覆うだけでも、第1電流経路52aおよび第2電流経路52bが狭められる。その結果、リーク電流が減少する。第1シールド配線106aがソース領域10を部分的に覆う場合、ソース領域10のうち第1シールド配線106a及びゲート電極20のいずれにも覆われていない部分は、平面視において第1シールド配線106a及びゲート電極20により囲われることが好ましい。
【0120】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1に類似している。したがって、実施の形態1と共通する部分の説明は省略または簡単にする。
【0121】
図28及び29は、実施の形態3の半導体装置202の平面図である。
図30は、
図28及び29のXXX-XXX線に沿った断面図である。
【0122】
図28には、例えば1層目の層間絶縁膜24上(
図30参照)に設けられた配線(第1シールド配線206a等)が示されている。
図29には、例えば2層目の層間絶縁膜86(
図30参照)の上に設けられた第2シールド配線206bおよび2層目の層間絶縁膜86に設けられた第6コンタクトプラグ8fが示されている。
【0123】
図28及び29にはさらに、例えば1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eが示されている。
図28及び29の破線および一点鎖線は基板表面(半導体装置202が形成された基板の表面)の構造を示している。
図28及び29では、コンタクト電極11は省略されている。
【0124】
半導体装置202の基板表面における構造(LDMOSトランジスタ)は、実施の形態1の半導体装置2の基板表面における構造と略同じである。したがって、半導体装置202の基板表面における構造の説明は省略する。
【0125】
半導体装置202は、第1シールド配線206a(
図28参照)と、第2シールド配線206b(
図29参照)と、第2半導体領域22b(
図30参照)と、低電位配線9(
図30参照)とを有する。
【0126】
半導体装置202は、
図28に示すように、ソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分(
図28では、ソース領域10に一致している)を平面視においてゲート電極20とともに囲う第1シールド配線206aを有する。第1シールド配線206aは、1層目の層間絶縁膜24を挟んで第1半導体領域22aに対向する。第1シールド配線206aは例えば、1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8aを介して第1半導体領域22aに接続される。
【0127】
平面視において第1シールド配線206aおよびゲート電極20のいずれをも通らずにソース領域10とドリフト領域12(またはドレイン領域14)とを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。同様に平面視において第1シールド配線206aおよびゲート電極20のいずれをも通らずにソース領域10と第2半導体領域22bとを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。すなわち第1シールド配線206aはゲート領域20とともに、ソース領域10をドリフト領域12(またはドレイン領域14)と第2半導体領域22bから隔離している。
【0128】
このため半導体装置202には、
図7を参照して説明した第1電流経路52aおよび第2電流経路52bは形成されない。したがって半導体装置202によれば、LDMOSトランジスタを有する半導体装置のリーク電流が抑制される。
【0129】
半導体装置202は
図29に示すように、平面視において第1半導体領域22a内で少なくともドリフト領域12を囲う内縁(内周)25を有する第2シールド配線206bを備える。
【0130】
第2シールド配線206bはさらに、層間絶縁膜(例えば、1層目の層間絶縁膜24および2層目の層間絶縁膜86)を挟んで第1半導体領域22aに対向する。第2シールド配線206bは例えば、1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8aと2層目の層間絶縁膜86に設けられた第6コンタクトプラグ8fとを介して第1半導体領域22aに接続される。
【0131】
平面視において第2シールド配線206bを通らずにドリフト領域12と第2半導体領域22bを接続する経路(幾何学的経路)は存在し得ない。すなわち第2シールド配線206bは、ドリフト領域12を第2半導体領域22bとから隔離している。このため第3電流経路52cが形成されないので、リーク電流はさらに抑制される。
【0132】
第1シールド配線206aおよび第2シールド配線206bは、実施の形態1の第1シールド配線6aと同様、ゲート電極20とドレイン領域14の間には延在しないことが好ましい。
【0133】
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態1に類似している。したがって、実施の形態1と共通する部分の説明は省略または簡単にする。
【0134】
図31及び32は、実施の形態4の半導体装置302の平面図である。
図31には、基板表面(半導体装置302が形成された基板の表面)における半導体装置302の構造(複数のLDMOSトランジスタ)が示されている。
図32には、1層目の層間絶縁膜24上に設けられた配線(第1シールド配線306a等)および1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eが示されている。
図32にはさらに、破線および一点鎖線により、基板表面の構造(
図31参照)が示されている。
図31及び32では、コンタクト電極11は省略されている。
【0135】
図31及び32に示すように、半導体装置302は、第1シールド配線306a(
図32参照)を共有する複数の半導体装置2(実施の形態1の半導体装置2)を有する。第1シールド配線306aは、第1半導体領域22aに接続され、平面視においてソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分をゲート電極20とともに囲っている。
【0136】
図31に示すように、複数の半導体装置2はさらに、第1半導体領域22aおよび第2半導体領域22bを共有する。複数の半導体装置2はさらに、ボディ・タップ領域36と基板タップ領域38とを共有する。
【0137】
図31に示すように、半導体装置302は、ドリフト領域312とドレイン領域314を共有する複数の半導体装置2のペア88を複数有する。
【0138】
このような構成により、半導体装置302のリーク電流は、実施の形態1の半導体装置22のリーク電流と同様に抑制される。さらに半導体装置302は実施の形態1の半導体装置2を複数有するので、半導体装置302の出力は大きい。
【0139】
(実施の形態5)
実施の形態5は、実施の形態1に類似している。したがって、実施の形態1と共通する部分の説明は省略または簡単にする。
【0140】
図33及び34は、実施の形態5の半導体装置402の平面図である。
図33には、基板表面(半導体装置402が形成された基板の表面)における半導体装置402の構造(複数のLDMOSトランジスタ)が示されている。
図34には、1層目の層間絶縁膜24の上に設けられた配線(第1シールド配線406a等)および1層目の層間絶縁膜24に設けられた第1コンタクトプラグ8a〜第5コンタクトプラグ8eが示されている。
図34にはさらに、破線および一点鎖線により、基板表面の構造(
図33参照)が示されている。
図33及び34では、コンタクト電極11は省略されている。
【0141】
図33及び34に示すように、半導体装置402は、第1シールド配線406a(
図34参照)を共有する複数の半導体装置102(実施の形態2の半導体装置102)を有する。第1シールド配線406aは、第1半導体領域22aとソース領域10(
図31参照)とに接続され、ソース領域10のうちゲート電極20で覆われていない部分を覆う。
【0142】
図33に示すように、複数の半導体装置102はさらに、第1半導体領域22aおよび第2半導体領域22bを共有する。複数の半導体装置102はさらに、ボディ・タップ領域36と基板タップ領域38とを共有する。
【0143】
図33に示すように、半導体装置402は、ドリフト領域412とドレイン領域414を共有する半導体装置102のペア90を複数有する。
【0144】
このような構成により、半導体装置402のリーク電流は、実施の形態2の半導体装置102のリーク電流と同様に抑制される。さらに半導体装置402は実施の形態2の半導体装置102を複数有するので、半導体装置402の出力は大きい。
【0145】
実施の形態1〜5では、第1導電型はp型であり、第2導電型はn型である。しかし第1導電型がn型であり、第2導電型がp型であってもよい。この場合、第1半導体領域に第1シールド配線を挟んで対向する配線9の電位は、ソース領域10の電位より高い。配線9は、例えば電源配線である。
【0146】
実施の形態1〜5では、第1半導体領域22aおよび第2半導体領域22bの大部分はフィールド絶縁膜40で覆われる。しかし、第1半導体領域22aおよび第2半導体領域22bはフィールド絶縁膜40で覆われなくてもよい。
【0147】
実施の形態1〜5の半導体装置は、第1半導体領域に第1シールド配線を挟んで対向する配線9を有する。しかし実施の形態1〜5の半導体装置は、このような配線を有していなくてもよい。
【0148】
このような配線を有していなくても、第1半導体領域に隣接する領域からの電界や装置外からの電界により第1半導体領域に反転層が形成されることがある。第1シールド配線および/第2シールド配線を有することで、このような電界によるリーク電流を抑制することができる。
【0149】
以上の実施の形態1〜5に関し、更に以下の付記を開示する。
【0150】
(付記1)
半導体基板のチャネル領域上に形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、
前記半導体基板に形成された第1導電型のソース領域と、
前記半導体基板に形成された前記第1導電型のドレイン領域と、
前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間に形成され、不純物濃度が前記ドレイン領域より低い前記第1導電型のドリフト領域と、
前記第1導電型とは反対の第2導電型を有し、前記ソース領域と前記ドリフト領域と前記ドレイン領域とを囲い、前記チャネル領域を含む第1半導体領域と、
前記第1半導体領域に接続され平面視において前記ソース領域のうち前記ゲート電極で覆われていない部分を前記ゲート電極とともに囲いまたは、前記第1半導体領域と前記ソース領域とに接続され前記部分を覆う第1シールド配線とを有する
半導体装置。
【0151】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置において、さらに、
前記第1半導体領域を囲う前記第1導電型の第2半導体領域を有し、
前記第1シールド配線は平面視において、前記第1半導体領域内で少なくとも前記ドリフト領域を囲う内縁を有することを
特徴とする半導体装置。
【0152】
(付記3)
付記1又は2に記載の半導体装置において、
前記第1シールド配線は平面視において、前記ゲート電極と前記ドレイン領域の間に延在しないことを
特徴とする半導体装置。
【0153】
(付記4)
付記1に記載の半導体装置において、さらに、
前記第1半導体領域を囲う前記第1導電型の第2半導体領域と、
前記第1半導体領域に接続され、平面視において前記第1半導体領域内で少なくとも前記ドリフト領域を囲う内縁を有する第2シールド配線を備えることを
特徴とする半導体装置。
【0154】
(付記5)
付記4に記載の半導体装置において、
前記第2シールド配線は平面視において、前記ゲート電極と前記ドレイン領域の間に延在しないことを
特徴とする半導体装置。
【0155】
(付記6)
付記1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置において、さらに、
前記第1半導体領域に前記第1シールド配線を挟んで対向する配線を有することを
特徴とする半導体装置。
【0156】
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記ドレイン領域と前記チャネル領域の間隔は、前記ソース領域から前記ドレインに向かう方向に沿った前記チャネル領域の長さより長いことを
特徴とする半導体装置。