(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
装置本体を形成し、かつ内部に搭載された冷却ファンが駆動することにより、外部の空気を内部に導入して内部に装着された冷却フィン間を通過させてから外部に送出することで前記装置本体に収納されたパワーモジュールを放熱させるヒートシンクを構成するフレーム体を備えた電力変換装置において、
前記フレーム体は、少なくとも一つの側面に形成された凹部と、前記凹部に立設された複数の外部フィンとを備えつつ、内部と前記凹部とを連通させるスリットが形成されるとともに該凹部を覆うカバー体が設けられており、
前記冷却ファンの駆動により内部に導入した空気の一部を前記外部フィン間に通過させた後に外部に送出することを特徴とする電力変換装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電力変換装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である電力変換装置を示す斜視図である。ここで例示する電力変換装置は、装置本体1を備えている。
【0013】
装置本体1は、収納本体10とフレーム体20とを備えて構成してある。収納本体10は、後面が開口した直方状の形態をなしており、フレーム体20の前方域を覆う態様で該フレーム体20に連結されている。かかる収納本体10は、フレーム体20との間に様々な制御機器を収納するための収納空間を画成している。
【0014】
フレーム体20は、上面及び下面が開口した直方状を成すものであり、例えばダイカストにより構成してある。
【0015】
図2は、
図1に示したフレーム体の内部構造を模式的に示す縦断面図であり、
図3は、
図2のA−A線断面図である。これら
図2及び
図3に示すように、フレーム体20には、フィンユニット21と、冷却ファン22とが配設してある。
【0016】
フィンユニット21は、ベース部21aの後面に上下方向に沿って延在する複数の冷却フィン21bが左右方向に並設されることで構成したものである。このフィンユニット21のベース部21aは、フレーム体20の前面20aの図示せぬ開口を貫通するパワーモジュール11に熱的に接続してある。このパワーモジュール11は、公知のものであり、収納本体10に配設された図示せぬ基板の後面に実装されており、入力を順変換するコン
バータ部とこのコンバータ部の出力を逆変換するインバータ部とを含む回路部を備えるものである。
【0017】
冷却ファン22は、フレーム体20の上面開口20bを閉塞する態様で配設されている。この冷却ファン22は、駆動することによりフレーム体20の下方、あるいはフレーム体20の側面に形成された側面開口20cを通じて外部の空気をフレーム体20の内部に導入し、冷却フィン21b間に空気を通過させて外部に送出する送風手段である。このように冷却フィン21b間に空気が通過することで、フィンユニット21にて熱交換が積極的に行われることとなり、フレーム体20はパワーモジュール11等の機器のヒートシンクを構成している。
【0018】
また、フレーム体20におけるフィンユニット21の下方域には、図示せぬコンデンサが設けてある。このコンデンサは、図示せぬブスバー(導体)を介してパワーモジュール11に電気的に接続されることで、コンバータ部の出力を平滑化するものである。
【0019】
上記フレーム体20においては、左右の両側面に凹部23が形成してあり、この凹部23の底部23aには、複数の外部フィン24が前後方向に並設している。ここで外部フィン24は、フレーム体20と同様に例えばダイカストにより構成してあり、フレーム体20の成形時に同時に成形されるものである。従って、外部フィン24は、フレーム体20と熱的に接続されている。
【0020】
また、かかる凹部23の上面及び下面には、それぞれ上面スリット23b及び下面スリット23cが形成してある。これにより凹部23は、上面スリット23b及び下面スリット23cを介してフレーム体20の内部と連通している。
【0021】
更に、上記凹部23は、側面の開口が例えば樹脂よりなるカバー体25により閉塞されている。ここでカバー体25による閉塞の仕方は、特に限定されるものではないが、カバー体25に形成される係止片25aが凹部23の図示せぬ係止部に係止することで閉塞するようにしてもよい。
【0022】
以上のような構成を有する本実施の形態1である電力変換装置においては、冷却ファン22の駆動により、
図4に示すように、フレーム体20の下方、あるいはフレーム体20の側面開口20c(
図1参照)より外部の空気がフレーム体20の内部に侵入し、その大部分は上方に向けて流れることで冷却フィン21b間を通過し、その後に上面開口20bより外部に送出される。また、フレーム体20の凹部23は、上面スリット23b及び下面スリット23cを介してフレーム体20の内部と連通していることから、
図4に示すように、フレーム体20の内部に侵入した空気の一部が下面スリット23cより凹部23に侵入し、外部フィン24間を通過してその後に上面スリット23bよりフレーム体20の内部に再度侵入して上面開口20bより外部に送出されることとなる。
【0023】
つまり、上記電力変換装置においては、フィンユニット21を構成する冷却フィン21bでの熱交換だけでなく、外部フィン24間にも強制的に空気を通過させて熱交換を行うことで、フレーム体20を介して熱的に接続されるパワーモジュール11の放熱を促進させることができる。
【0024】
しかも、上記電力変換装置では、凹部23を形成して該凹部23に外部フィン24を並設させてカバー体25で閉塞しているだけなので、フレーム体20の外径寸法を拡大させずに伝熱面積を増大させるとともに外部フィン24間に強制的に空気を通過させて熱交換を促進させているので、ヒートシンクとしての冷却効率の向上を図ることができる。
【0025】
また、上記電力変換装置では、両側面に凹部23を形成して該凹部23に外部フィン24を並設させていることで、フィンユニット21とフレーム体20の両側面との間に製造上生じていたデッドスペースを有効に活用することができ、これによっても冷却効率の向上を図ることができる。
【0026】
更に、上記電力変換装置によれば、両側面に凹部23を形成して該凹部23に外部フィン24を並設させているだけなので、特殊な金型を用いることなく製造することができ、製造コストが過大なものとなることを抑制することができる。
【0027】
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2である電力変換装置を構成するフレーム体の側面図である。尚、上述した実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0028】
ここで例示するフレーム体30は、実施の形態1と同様に、収納本体10とともに装置本体1を構成するもので、上面及び下面が開口した直方状を成すものであり、例えばダイカストにより構成してある。
【0029】
図6は、
図5に示したフレーム体の内部構造を模式的に示す縦断面図である。この
図6に示すように、フレーム体30には、フィンユニット21と、冷却ファン22とが配設してある。
【0030】
フィンユニット21は、ベース部21aの後面に上下方向に沿って延在する複数の冷却フィン21bが左右方向に並設されることで構成したものである。このフィンユニット21のベース部21aは、フレーム体30の前面の図示せぬ開口を貫通するパワーモジュール11(
図3参照)に熱的に接続してある。このパワーモジュール11は、公知のものであり、収納本体10に配設された図示せぬ基板の後面に実装されており、入力を順変換するコンバータ部とこのコンバータ部の出力を逆変換するインバータ部とを含む回路部を備えるものである。
【0031】
冷却ファン22は、フレーム体30の上面開口30bを閉塞する態様で配設されている。この冷却ファン22は、駆動することによりフレーム体30の下方、あるいはフレーム体30の側面開口30cを通じて外部の空気をフレーム体30の内部に導入し、冷却フィン21b間に空気を通過させて外部に送出する送風手段である。このように冷却フィン21b間に空気が通過することで、フィンユニット21にて熱交換が積極的に行われることとなり、フレーム体30はパワーモジュール11等の機器のヒートシンクを構成している。
【0032】
上記フレーム体30においては、左右の両側面に凹部33が形成してあり、この凹部33の底部33a及び下面33cには、複数の外部フィン34が前後方向に並設している。ここで外部フィン34は、フレーム体30と同様に例えばダイカストにより構成してあり、フレーム体30の成形時に同時に成形されるものである。従って、外部フィン34は、フレーム体30と熱的に接続されている。
【0033】
また、かかる凹部33の上面には、上面スリット33bが形成してある。これにより凹部33は、上面スリット33bを介してフレーム体30の内部と連通している。更に、上記凹部33の下面33cは、下方に向かうに連れて漸次外方に傾斜する傾斜面となっている。
【0034】
以上のような構成を有する本実施の形態2である電力変換装置においては、冷却ファン22の駆動により、
図7に示すように、フレーム体30の下方、あるいはフレーム体30の側面開口30cより外部の空気がフレーム体30の内部に侵入し、上方に向けて流れることで冷却フィン21b間を通過し、その後に上面開口30bより外部に送出される。また、フレーム体30の凹部33は、上面スリット33bを介してフレーム体30の内部と連通していることから、冷却ファン22の駆動により外部の空気が凹部33に侵入し、外部フィン34間を通過してその後に上面スリット33bよりフレーム体30の内部に侵入して上面開口30bより外部に送出されることとなる。
【0035】
つまり、上記電力変換装置においては、フィンユニット21を構成する冷却フィン21bでの熱交換だけでなく、外部フィン34間にも強制的に空気を通過させて熱交換を行うことで、フレーム体30を介して熱的に接続されるパワーモジュール11の放熱を促進させることができる。
【0036】
しかも、上記電力変換装置では、凹部33を形成して該凹部33に外部フィン34を並設させているだけなので、フレーム体30の外径寸法を拡大させずに伝熱面積を増大させるとともに外部フィン34間に強制的に空気を通過させて熱交換を促進させているので、ヒートシンクとしての冷却効率の向上を図ることができる。
【0037】
また、上記電力変換装置では、両側面に凹部33を形成して該凹部33に外部フィン34を並設させていることで、フィンユニット21とフレーム体30の両側面との間に製造上生じていたデッドスペースを有効に活用することができ、これによっても冷却効率の向上を図ることができる。
【0038】
更に、上記電力変換装置によれば、両側面に凹部33を形成して該凹部33に外部フィン34を並設させているだけなので、特殊な金型を用いることなく製造することができ、製造コストが過大なものとなることを抑制することができる。
【0039】
<実施の形態3>
図8は、本発明の実施の形態3である電力変換装置を構成するフレーム体の側面図である。尚、上述した実施の形態1及び2と同一の構成には同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0040】
ここで例示するフレーム体40は、実施の形態1及び2と同様に、収納本体10とともに装置本体1を構成するもので、上面及び下面が開口した直方状を成すものであり、例えばダイカストにより構成してある。
【0041】
図9は、
図8に示したフレーム体の内部構造を模式的に示す縦断面図である。この
図9に示すように、フレーム体40には、フィンユニット21と、冷却ファン22とが配設してある。
【0042】
フィンユニット21は、ベース部21aの後面に上下方向に沿って延在する複数の冷却フィン21bが左右方向に並設されることで構成したものである。このフィンユニット21のベース部21aは、フレーム体40の前面の図示せぬ開口を貫通するパワーモジュール11(
図3参照)に熱的に接続してある。このパワーモジュール11は、公知のものであり、収納本体10に配設された図示せぬ基板の後面に実装されており、入力を順変換するコンバータ部とこのコンバータ部の出力を逆変換するインバータ部とを含む回路部を備えるものである。
【0043】
冷却ファン22は、フレーム体40の上面開口40bを閉塞する態様で配設されている。この冷却ファン22は、駆動することによりフレーム体40の下方、あるいはフレーム体40の側面開口40cを通じて外部の空気をフレーム体40の内部に導入し、冷却フィン21b間に空気を通過させて外部に送出する送風手段である。このように冷却フィン21b間に空気が通過することで、フィンユニット21にて熱交換が積極的に行われることとなり、フレーム体40はパワーモジュール11等の機器のヒートシンクを構成している。
【0044】
上記フレーム体40においては、左右の両側面に上方凹部43及び下方凹部45がそれぞれ形成してあり、これら上方凹部43及び下方凹部45の底部43a,45a及び下面43c,45cには、複数の外部フィン44,46が前後方向に並設している。ここで外部フィン44,46は、フレーム体40と同様に例えばダイカストにより構成してあり、フレーム体40の成形時に同時に成形されるものである。従って、外部フィン44,46は、フレーム体40と熱的に接続されている。
【0045】
また、かかる上方凹部43及び下方凹部45のそれぞれの上面には、上面スリット43b,45bが形成してある。これにより上方凹部43及び下方凹部45は、それぞれ上面スリット43b,45bを介してフレーム体40の内部と連通している。更に、上記上方凹部43及び下方凹部45のそれぞれの下面43c,45cは、下方に向かうに連れて漸次外方に傾斜する傾斜面となっている。
【0046】
以上のような構成を有する本実施の形態3である電力変換装置においては、冷却ファン22の駆動により、
図10に示すように、フレーム体40の下方、あるいはフレーム体40の側面開口40cより外部の空気がフレーム体40の内部に侵入し、上方に向けて流れることで冷却フィン21b間を通過し、その後に上面開口40bより外部に送出される。また、フレーム体40の上方凹部43及び下方凹部45は、それぞれ上面スリット43b,45bを介してフレーム体40の内部と連通していることから、冷却ファン22の駆動により外部の空気が上方凹部43及び下方凹部45のそれぞれに侵入し、外部フィン44,46間を通過してその後に上面スリット43b,45bよりフレーム体40の内部に侵入して上面開口40bより外部に送出されることとなる。
【0047】
つまり、上記電力変換装置においては、フィンユニット21を構成する冷却フィン21bでの熱交換だけでなく、外部フィン44,46間にも強制的に空気を通過させて熱交換を行うことで、フレーム体40を介して熱的に接続されるパワーモジュール11の放熱を促進させることができる。
【0048】
しかも、上記電力変換装置では、上方凹部43及び下方凹部45を形成してこれら凹部43,45に外部フィン44,46を並設させているだけなので、フレーム体40の外径寸法を拡大させずに伝熱面積を増大させるとともに外部フィン44,46間に強制的に空気を通過させて熱交換を促進させているので、ヒートシンクとしての冷却効率の向上を図ることができる。
【0049】
特に、上方凹部43及び下方凹部45を設けることで、フレーム体40の上下方向の寸法が大きい場合にも、それぞれの凹部43,45における上面スリット43b,45bと、外部フィン44,46の下端部との距離を所定の大きさに保つことができ、各凹部43,45に良好に外部の空気を強制的に通過させることができる。
【0050】
また、上記電力変換装置では、両側面に上方凹部43及び下方凹部45を形成してこれら凹部43,45に外部フィン44,46を並設させていることで、フィンユニット21とフレーム体40の両側面との間に製造上生じていたデッドスペースを有効に活用することができ、これによっても冷却効率の向上を図ることができる。
【0051】
更に、上記電力変換装置によれば、両側面に上方凹部43及び下方凹部45を形成してこれら凹部43,45に外部フィン44,46を並設させているだけなので、特殊な金型を用いることなく製造することができ、製造コストが過大なものとなることを抑制することができる。
【0052】
以上、本発明の好適な実施の形態1〜3について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0053】
上述した実施の形態1では、凹部23を閉塞するカバー体25が設けられていたが、かかるカバー体25の下方部に複数のスリットを形成してもよい。
【0054】
上述した実施の形態3では、フレーム体40の側面に上方凹部43及び下方凹部45を設けられていたが、フレーム体の上下方向の寸法が大きい場合には、3つ以上の凹部を所定間隔毎に形成するようにしてもよい。