(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の放射線撮影装置には次のような問題がある。
すなわち、従来の装置では、操作パネルがスクリーンセーバモードに移行してしまうと、撮影条件の確認が不足したまま術者が撮影を開始してしまう可能性がある。
【0008】
従来の装置で撮影を行うときは、まず術者は被検体を天板52に載置し、操作パネルの表示を視認しながら撮影条件の設定を行う。撮影条件の設定を終えた術者が例えば被検体の体位の調整をする必要性から操作パネルから離れたとし、その後に操作パネルはスクリーンセーバモード画像に移行したとする。
【0009】
操作パネルの前に戻った術者が入力装置を通じて放射線照射開始の指示を行うと、操作パネルは、上述のようにスクリーンセーバ画像に代えて撮影条件を表示する。そして、放射線照射が開始されることになる。
【0010】
上述の術者は、放射線の照射直前に撮影条件の確認が十分にできていない。すなわち、術者は、放射線照射開始の指示を行うときに撮影条件を視認してはいないのである。この時点の操作パネルには撮影条件ではなくスクリーンセーバ画像が表示されていたからである。
【0011】
撮影の失敗を防ぐ観点でいえば、術者が入力装置を通じて放射線照射開始の指示を行う際に操作パネルに撮影条件が表示されていることが望ましい。術者が撮影条件の設定ミスに撮影直前になって気が付くことがあるからである。従来の構成によれば、撮影条件を確実に操作パネルに表示させるようにするには、操作パネルのスクリーンセーバ機能をオフにすることになる。この様な設定は、操作パネルの劣化防止や、セキュリティーの観点からすれば望ましいとは言えない。
【0012】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、撮影条件を術者に確実に視認させることができる放射線撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る放射線撮影装置は、(A)術者の撮影条件の設定を入力させる入力手段と、(B)設定された撮影条件に従って被検体に向けて放射線を照射する放射線源と、(C)被検体から透過してきた放射線を検出する検出手段と、(D1)スクリーンセーバ画像が表示可能となっている表示手段とを備え、(E1)表示手段は、撮影条件をスクリーンセーバ画像内に表示することを特徴とするものである。
【0014】
[作用・効果]本発明によれば、撮影条件を術者に確実に視認させることができる放射線撮影装置を提供できる。すなわち、本発明に係る撮影装置の表示手段は、撮影条件をスクリーンセーバ画像内に表示する構成となっている。この様に構成することで、表示手段から離れていた術者が再び表示手段の前に戻ってきたときに、スクリーンセーバが起動していたとしても、術者は撮影条件を視認することができ、撮影のやり直しが少なく被検体の被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
【0015】
また、本発明に係る放射線撮影装置は、(A)術者の撮影条件の設定を入力させる入力手段と、(B)設定された撮影条件に従って被検体に向けて放射線を照射する放射線源と、(C)被検体から透過してきた放射線を検出する検出手段と、(D2)術者にパスワードの入力を求めるパスワード入力画像が表示可能画像が表示可能となっている表示手段とを備え、(E2)表示手段は、撮影条件をパスワード入力画像に表示することを特徴とするものである。
【0016】
[作用・効果]本発明は、スクリーンセーバ画像を表示する構成に限られずパスワード入力画像を表示する構成についても有効である。すなわち、本発明に係る撮影装置の表示手段は、撮影条件をパスワード入力画像内に表示する構成となっている。この様に構成することで、表示手段から離れていた術者が再び表示手段の前に戻ってきたときに、パスワード入力画像が表示されていたとしても、術者は撮影条件を視認することができ、撮影のやり直しが少なく被検体の被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
【0017】
また、上述の放射線撮影装置において、画像内に表示される撮影条件は、放射線源の制御条件であればより望ましい。
【0018】
[作用・効果]上述の構成は、本発明に係る放射線撮影装置のより具体的な構成を例示するものである。画像内に表示される撮影条件が放射線源の制御条件であれば、術者は実際の撮影の前に放射線源がこれからどのような制御を受けるのかを確実に知ることができる。これにより、誤った線量で撮影がなされることがなくなり、装置の安全性はより高いものとなる。
【0019】
また、上述の放射線撮影装置において、画像内に表示される撮影条件は、検出手段における放射線の照射範囲であればより望ましい。
【0020】
[作用・効果]上述の構成は、本発明に係る放射線撮影装置のより具体的な構成を例示するものである。画像内に表示される撮影条件が検出手段における放射線の照射範囲であれば、術者は実際の撮影の前に検出手段のどの部分を使って撮影がなされるのかを確実に知ることができる。これにより、誤った線量で撮影がなされることがなくなり、装置の安全性はより高いものとなる。
【0021】
また、上述の放射線撮影装置において、画像内に表示される撮影条件は、被検体に関する情報を含まなければより望ましい。
【0022】
[作用・効果]上述の構成は、本発明に係る放射線撮影装置のより具体的な構成を例示するものである。画像内に表示される撮影条件が被検体に関する情報を含まなければ、よりプライバシーに配慮された放射線撮影装置が提供できる。術者が表示手段から離れてしまうと、第三者が表示手段を見てしまう事態も起こりえる。この様な場合でも、第三者は検査中の被検体を特定することができない。画像に被検体の個人情報が表示されていないからである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、撮影条件を術者に確実に視認させることができる放射線撮影装置を提供できる。すなわち、本発明に係る撮影装置の表示手段は、撮影条件をスクリーンセーバ画像内に表示する構成となっている。この様に構成することで、表示手段から離れていた術者が再び表示手段の前に戻ってきたときに、スクリーンセーバが起動していたとしても、術者は撮影条件を視認することができ、撮影のやり直しが少なく被検体の被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
【実施例1】
【0025】
以降、本発明の実施例を説明する。実施例におけるX線は、本発明の放射線に相当する。また、FPDは、フラット・パネル・ディテクタの略である。
【0026】
<X線撮影装置の全体構成>
まず、実施例1に係るX線撮影装置1の構成について説明する。X線撮影装置1は、
図1に示すように仰臥位の被検体Mを載置する天板2と、天板2の下側に設けられたX線を被検体Mに照射するX線管3と、天板2に載置されるとともに被検体Mの下部に配置された被検体Mを透過してきたX線を検出して検出信号を出力するFPD4とを備えている。FPD4は、被検体Mの体軸方向Aまたは体側方向Sのいずれかに沿った4つの辺を有する矩形となっている。このFPD4は、撮影の際、天板2の下部に配置され、そのX線を検出する検出面4aは、X線管3および被検体M側に向いている。また、X線管3は、四角錐形状のX線をFPD4に向けて照射する。したがって、FPD4は、X線を検出面4aの全面で受光することになる。支柱5は、天板2の下側(他面側)から天板2の上側(一面側)に向けて伸びており、X線管3およびFPD4を支持している。このようにX線管3は、設定された撮影条件に従って被検体Mに向けて放射線を照射する構成であり、FPD4は、被検体Mから透過してきた放射線を検出する構成である。X線管3は、本発明の放射線源に相当し、FPD4は、本発明の検出手段に相当する。
【0027】
X線管3には、X線管3から照射されるX線の広がりを制限するコリメータ3aが設けられている。コリメータ3aは、X線管3から照射されるX線の広がりを制限する。
【0028】
X線管制御部6(
図1参照)は、所定の管電流、管電圧、パルス幅でX線管3を制御する目的で設けられている。X線管制御部6の制御によりX線がX線管3から発せられると、X線は、被検体Mを透過してFPD4の検出面4aに入射する。FPD4の検出面4aには、X線を検出する検出素子が2次元マトリックス状に配列されている。FPD4は、各検出素子が検出したX線強度を検出素子の位置情報とともに検出信号として出力する。
【0029】
画像生成部11は、FPD4より出力される検出信号を基に被検体Mの透視像の静止画を生成する。画像生成部11は、本発明の画像生成手段に相当する。
【0030】
主制御部27(
図1参照)は、各制御部を統括的に制御する目的で設けられている。この主制御部27は、CPUによって構成され、各種のプログラムを実行することによりX線管制御部6および各部を実現している。また、上述の各部は、それらを担当する演算装置に分割されて実行されてもよい。記憶部28は、装置制御に関する情報の一切を記憶する。表示部29は、撮影条件や撮影された画像を表示するなどの目的で設けられている。なお、表示部29は、撮影条件を含め撮影に関する情報を表示するとともに、表示をスクリーンセーバ画像に切替可能となっている。表示部29は、本発明の表示手段に相当する。スクリーンセーバ画像とは、表示部29が後述のスクリーンセーバモードに移行したときに表示する画像のことである。
【0031】
入力部26は、術者が行う撮影条件の入力や、撮影開始の指示などをX線撮影装置1に対して行うヒューマンインターフェースである。入力部26の具体例としては、例えば、装置に付属のキーボードやマウス、装置に付設されている操作卓に配列された各種ボタン、およびフットスイッチなどを挙げることができる。このように入力部26は、術者の撮影条件の設定を入力させる構成である。入力部26は、本発明の入力手段に相当する。
【0032】
<表示部の構成>
続いて、実施例1の構成に係る表示部29について説明する。
図2は、表示部29の外見を表している。表示部29には、これから撮影を行おうとする被検体Mの名前29aが表示される。この他、表示部29は、X線管3の制御条件29bや、FPD4の使用領域29c等の撮影条件と、術者のメモ29d等が表示されている。
【0033】
表示部29はスクリーンセーバ機能を有している。スクリーンセーバとは、表示部29の劣化を防止する目的で設けられている表示部29の機能の一つである。スクリーンセーバ機能の意義について説明する。
図2のような画像を表示部29が表示し続けると、表示部29を構成する画素のうち特定のものについての劣化が早まる。すなわち、表示部29を構成する画素のうち、符号29a〜29dの各文字や記号を構成する画素は、常に同じ輝度で発光し続けており、符号29a〜29dの各文字や記号を構成しない画素は、暗いままである。
【0034】
このまま
図2のような表示を続けると、この画素の使用状況の差が表示部29に焼き付いてしまい、表示部29は、例え
図2に示す表示を終了したとしても、符号29a〜29dの各文字や記号の残像が常に現れるようになってしまう。これを防ぐ目的で、表示部29は、一定の時間同じ表示が連続した場合は、
図2のような静止画に替えて、画素の使用状況を平均化するような動画を表示するように構成される。この様にすることで、各画素の劣化が画素同士で一定となるので、文字や記号の残像が表示部29に現れることがなくなる。この動画を表示するモードがスクリーンセーバモードである。
【0035】
<本発明の特徴的な構成>
図3は、表示部29がスクリーンセーバモードに移行したときの様子を示している。
図3に示すように、表示部29には、X線管3の制御に関する撮影条件(X線管3の制御条件29b)の表示が表示されている。しかもこの撮影条件の表示は、
図3の矢印が示すように、斜め方向に常に動いている。この様にすることにより、X線管3の制御条件29bを示す文字が表示部29に焼き付いてしまうことを防ぐことができる。このように、表示部29は、撮影条件をスクリーンセーバ画像内に表示する。スクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件とは、X線管3の制御条件である。
【0036】
また、スクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件は、被検体Mに関する情報を含まない。検体に関する情報とは、具体的には
図2における被検体Mの名前29aと術者のメモ29dのことである。この様な構成とすることで、術者が表示部29から離れている隙に第三者が表示部29を視認したとしても、第三者は被検体Mの個人情報を取得することはできない。
【0037】
X線管3の制御条件29bの表示の移動様式としては、特に限定されないが、例えば、X線管3の制御条件29bを表示するブロックが斜め方向に移動することにより表示部29の一端まで移動し尽くすと、この一端からブロックが反射するように移動方向を変わる様式がある。ブロックの移動方向を調整することにより、例えば、X線管3の制御条件29bを表示するブロックを
図4の上段に示すように渦巻き状の軌跡を辿らせるように移動させることもできる。また、
図4の中段、下段に示すようにブロックを横方向、または縦方向に往復するように移動させることもできる。
【0038】
スクリーンセーバモードに移行した表示部29は、常に入力部26を通じて術者の入力を監視している。入力部26を通じて術者が装置に何らかの入力を与えると、表示部29は、スクリーンセーバモードを解除し、表示部29の表示は、
図3の状態から
図2の状態に戻る。
【0039】
<X線撮影装置の動作>
続いて、X線撮影装置の動作について
図5を参照しながら説明する。実施例1に係るX線撮影装置1で被検体MのX線撮影を行うには、まず、被検体Mを天板2に載置することで被検体MをX線撮影装置1にセットする(被検体載置ステップS1)。続いて、術者は、入力部26を通じて撮影条件を設定する(撮影条件設定ステップS2)。撮影条件の設定とは例えば、術者が表示部29に表示された撮影様式のうちの1つを入力部26で選択することにより行われる。このときの撮影様式とは、例えば、胸部撮影などの撮影目的が付されており、術者が表示部29上の胸部撮影の表示を選択する動作をすると、胸部撮影に適した撮影条件が自動で設定される。
【0040】
撮影条件とは、例えば、管電流、管電圧、パルス幅などのX線管3に関するものと、FPD4のどの部分を撮影に用いるかを示すデータ等のFPD4に関するものとがある。また、上述の撮影条件にコリメータ3aの開度に関する情報や、画像生成部11の画像生成に関する設定値などを含めるようにしてもよい。この様に、実施例1におけるX線撮影装置1は、撮影様式に対応した各種の撮影条件がプリセットで決められており、主制御部27は、術者の入力部26を通じた選択に従って、各種撮影条件の設定がなされる。主制御部27は、撮影様式と各種の撮影条件とが対応したテーブルを参照することで撮影条件が設定される。設定された各種撮影条件は、
図2に示すように表示部29に表示される。
【0041】
また、術者は撮影様式を設定することで自動的に設定された撮影条件を微調整することができる。このような微調整は、術者が表示部29に表示された撮影条件を示す数値等を入力部26を通じて変更することで実現される。このように変更された各種撮影条件は、表示部29に表示される。また、表示部29は、被検体Mの氏名や病歴などの被検体Mに関する情報を入力部26を通じてX線撮影装置1に入力することができる。このような被検体Mに関する情報も表示部29に表示される。
図2における符号29aは、被検体Mの氏名が表示部29に表示されている様子を表しており、符号29dは、病歴などの被検体Mに関する情報が表示部29に表示されている様子を表している。
【0042】
<スクリーンセーバモード起動ステップS3>
ここで、術者が、被検体Mの体位調整の目的で表示部29から離れたものとする。この様な事態は撮影をする前に天板2上の被検体Mが動いてしまった場合や、術者がコリメータ3aの開度を調節する場合などに起こりえる。術者が表示部29から離れてしばらくすると表示部29は、スクリーンセーバモードに移行する。この様な動作は、入力部26に術者が入力を行った旨のデータを表示部29が逐次取得することで実現する。表示部29は、入力部26を通じた術者の入力が最後になされてから所定の時間が経過すると、スクリーンセーバモードを起動させる。最後の入力からスクリーンセーバモードが起動するまでの時間は、記憶部28に記憶された設定値が規定するものであり、設定値を変更することで調節することができる。表示部29は、この設定値を記憶部28より読み取ることで、最後の入力からスクリーンセーバモードが起動するまでの時間を認識して動作する。
【0043】
このとき、表示部29に表示された画像は、
図3のようなものである。したがって表示部29は、術者が近くにいなくても、X線管3の制御に関する設定値を表示し続けているということになる。しかも、設定値を示す文字群は、一つのブロックとなって表示部29のモニタ上を移動しているので、設定値の文字群が表示部29のモニタに焼き付いてしまうことがない。
【0044】
<入力ステップS4・スクリーンセーバモード終了ステップS5>
被検体Mの前で行う操作が終了した術者が、再び表示部29に戻ると、術者は表示部29に表示されたX線管3の制御に関する設定値を視認する。表示部29の前に戻った術者が入力部26を通じて何らかの入力を行うと、入力部26は、術者の入力があった旨を示すデータを表示部29に送出し、表示部29は、それを受けてスクリーンセーバモードを終了する。すると、表示部29の表示は、
図2のようなものに戻る。
【0045】
<撮影開始ステップS6>
上述の入力ステップS4における術者の指示が撮影開始の指示であったとする。この場合、X線管制御部6は、上述の撮影条件設定ステップS2で設定されたX線管3の制御に関する設定値に基づいてX線管3を制御する。X線管3は、この制御を受けて設定値通りにX線の照射を開始する。このX線管3のX線照射に関する設定値は、スクリーンセーバモード起動ステップS3において表示部29に表示された設定値と同じものである。
【0046】
X線照射が終了し、FPD4がX線の検出データを画像生成部11に送出すると、画像生成部11はこれを受けて被検体Mの透視像が写り込んだX線画像を生成する。X線画像が表示部29に表示されて、X線撮影装置1を用いた撮影動作は終了となる。
【0047】
以上のように、本発明によれば、撮影条件を術者に確実に視認させることができる放射線撮影装置を提供できる。すなわち、本発明に係る撮影装置の表示部29は、撮影条件をスクリーンセーバ画像内に表示する構成となっている。この様に構成することで、表示部29から離れていた術者が再び表示部29の前に戻ってきたときに、スクリーンセーバが起動していたとしても、術者は撮影条件を視認することができ、撮影の失敗が少なく被検体Mの被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
【0048】
上述のように、スクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件がX線管3の制御条件であれば、術者は実際の撮影の前にX線管3がこれからどのような制御を受けるのかを確実に知ることができる。これにより、誤った線量で撮影がなされることがなくなり、装置の安全性はより高いものとなる。
【0049】
また、上述のように、スクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件がFPD4における放射線の照射範囲であれば、術者は実際の撮影の前にFPD4のどの部分を使って撮影がなされるのかを確実に知ることができる。これにより、誤った線量で撮影がなされることがなくなり、装置の安全性はより高いものとなる。
【0050】
また、スクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件が被検体Mに関する情報を含まなければ、よりプライバシーに配慮された放射線撮影装置が提供できる。術者が表示部29から離れてしまうと、第三者が表示部29を見てしまう事態も起こりえる。この様な場合でも、第三者は検査中の被検体Mを特定することができない。画像に被検体Mの個人情報が表示されていないからである。
【0051】
本発明は上述の構成に限られず、下記のように変形実施することができる。
【0052】
(1)上述の実施例では、表示部29はスクリーンセーバモードを終了する際に、スクリーンセーバモードの起動前の画面(
図2参照)を表示するような構成となっていたが、本発明はこれに限られない。スクリーンセーバモードが起動した表示部29は、入力部26に何らかの入力がされると、
図6に示すような装置の操作がロックされたときに表示されるパスワード入力画像を表示部29に表示させるようにしてもよい。つまり、本変形例に係る表示部29は、撮影条件を含め撮影に関する情報を表示するとともに、表示を術者にパスワードの入力を求めるパスワード入力画像に切替可能となっている。
【0053】
このようなパスワード入力画像には、
図6に示すように術者のユーザIDとパスワードを入力させるボックス29eと、
図3で説明したX線管3の制御に関する撮影条件とが同時に表示されている。すなわち、本変形例に係る表示部29は、撮影条件をパスワード入力画像に表示するのである。このとき
図3で説明したように被検体Mの個人情報は表示部29に表示されない。
【0054】
術者がこのパスワード入力画像を通じてユーザIDと正しいパスワードとを装置に入力すると、表示部29の表示は
図2の状態に戻る。すなわち、この変形例によれば、表示部29の表示は、
図2の状態からスクリーンセーバモードが起動して
図3の状態となった後、入力部26の入力を感知して
図6の状態となる。そして、表示部29の表示は、入力部26を通じたパスワードの入力により
図2の状態に戻る。
【0055】
この変形例において、パスワード入力画像では、撮影条件を示す文字群を静止させて表示するようにしてもよい。また、この変形例においてスクリーンセーバモードが起動した表示部29には必ずしも
図3のような表示させておく必要なく、例えばスクリーンセーバモードの起動中の表示部29が黒一色の画像を表示するように構成してもよい。さらには、スクリーンセーバモードを省略し、入力部26を通じた操作が一定時間行われないような場合、パスワード入力画像を表示部29に表示するようにしてもよい。この場合、最後の入力からパスワード入力画像が表示されるまでの時間は、記憶部28に記憶された設定値が規定するものであり、設定値を変更することで調節することができる。表示部29は、この設定値を記憶部28より読み取ることで、最後の入力からパスワード入力画像が表示されるまでの時間を認識して動作する。
【0056】
このように、本発明は、スクリーンセーバ画像を表示する構成に限られずパスワード入力画像を表示する構成についても有効である。すなわち、本発明に係る撮影装置の表示部29は、撮影条件をパスワード入力画像内に表示する構成となっている。この様に構成することで、表示部29から離れていた術者が再び表示部29の前に戻ってきたときに、パスワード入力画像が表示されていたとしても、術者は撮影条件を視認することができ、撮影の失敗が少なく被検体Mの被曝が抑制された放射線撮影装置が提供できる。
【0057】
(2)上述の実施例では、X線管3の制御条件がスクリーンセーバ起動中の表示部29に表示するようにしていたが、これに加えてFPD4のどの部分を撮影に用いるかを示すデータ等のFPD4に関する情報、コリメータ3aの開度に関する情報、または画像生成部11の画像生成に関する設定値などを含めて表示するようにしてもよい。本変形例におけるスクリーンセーバ画像内に表示される撮影条件は、例えばFPD4における放射線の照射範囲である。スクリーンセーバ起動中の表示部29に表示する対象を上述の情報のうちどれにするかは適宜選択することができる。さらに、この変形例の場合、X線管3の制御条件は必ずしもスクリーンセーバ起動中の表示部29に表示されなくてもよい。また、上述の変形例(1)におけるパスワード入力画像についても本変形例を採用することができる。
【0058】
(3)上述の実施例では、術者が入力部26を操作しない時間がある一定の長さを超えたことをスクリーンセーバを起動させる条件としていたが本発明はこの構成に限られない。術者が入力部26を通じてスクリーンセーバの起動を指示する構成としてもよい。この変形例は、上述の実施例と併用が可能な構成となっている。また、上述の変形例(1)におけるパスワード入力画像についても本変形例を採用することができる。
【0059】
(4)上述の実施例では、撮影条件を表示する表示部29のスクリーンセーバ画像やパスワード入力画像についてのものであったが、本発明はこの構成に限られない。X線撮影装置1に設けられたモニタのうち、撮影条件を表示する目的で設けられていないものについてもスクリーンセーバ画像やパスワード入力画像を表示するものであれば、本発明を適用することができる。