(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123617
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3213 20060101AFI20170424BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20170424BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20170424BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20170424BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20170424BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20170424BHJP
H01L 23/532 20060101ALI20170424BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20170424BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
H01L21/88 C
H01L29/78 652T
H01L29/78 301F
H01L29/78 301B
H01L29/78 658F
H01L21/88 N
H01L21/306 F
H01L21/306 D
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-202716(P2013-202716)
(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-70100(P2015-70100A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雅秀
【審査官】
佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
実開平02−102727(JP,U)
【文献】
特開2003−243654(JP,A)
【文献】
特開昭51−065586(JP,A)
【文献】
特開昭49−040862(JP,A)
【文献】
特開昭52−079876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3213
H01L 21/28
H01L 21/306
H01L 21/3205
H01L 21/336
H01L 21/768
H01L 23/532
H01L 29/12
H01L 29/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体ウエハの表面にデバイス構造を形成する第1形成工程と、
前記半導体ウエハ上に、前記デバイス構造を覆う絶縁膜を形成する第2形成工程と、
前記絶縁膜を選択的に除去し、前記デバイス構造を構成する導電部を露出させる露出工程と、
前記絶縁膜上に、前記導電部に接して、アルミニウムおよびシリコンを含む金属層を形成する第3形成工程と、
第1のウェットエッチングにより、前記金属層を所定のパターンに成形する成形工程と、
前記成形工程によって成形された前記金属層の間に露出された前記絶縁膜の表面層を、第2のウェットエッチングにより所定の厚さ分除去する除去工程と、
を含み、
前記除去工程では、フッ化物を含む薬液を用いて前記第2のウェットエッチングを行うことで、前記絶縁膜の、前記第3形成工程によって前記金属層と前記絶縁膜との界面に析出したシリコンの析出物が付着している部分を除去し、
前記所定の厚さは、前記析出物の粒径に基づいて決定され、かつ300nm以上1μm以下であり、
前記フッ化物を含む薬液は、バッファードフッ酸、フッ酸またはフッ化アンモニウムであることを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1形成工程では、
前記デバイス構造として、前記半導体ウエハの表面に前記絶縁膜よりも厚さの薄いゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記デバイス構造として、前記半導体ウエハの表面に、前記ゲート電極と電気的に絶縁された入力電極を形成する工程と、を含み、
前記露出工程では、前記導電部として前記ゲート電極および前記入力電極を露出させることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、シリコン(Si)を大幅に上回るバンドギャップや破壊電界強度を有する。このため、半導体スイッチング素子の一部の素子をより低損失な素子で置き換える、または単体で耐圧10kVを超える超高耐圧な半導体スイッチング素子を実現することができる半導体材料として期待されている。炭化珪素を半導体材料として用いた例えばMOSFET(絶縁ゲート型電界効果トランジスタ)などの半導体スイッチング素子(以下、炭化珪素半導体スイッチング素子とする)は、高周波・高温動作に優れた素子であり、高温環境かつ大電流密度での使用が想定される。このため、表面電極材料として、純度99.00%以上の純アルミニウム(Al)よりもエレクトロマイグレーション耐性に優れるAl−Si合金が採用されている。
【0003】
表面電極材料としてAl−Si合金を用いる場合、表面電極とその下層(層間絶縁膜や、層間絶縁膜のコンタクトホールに露出する電極)との界面に、表面電極中のSiが髭状や瘤状のSi析出物(Siノジュール)となって析出する。Siノジュールは、表面電極を所定の配線パターン(電極パターン)に成形(パターニング)するためのウェットエッチングに用いる例えばリン酸(H
3PO
4)、硝酸(HNO
3)および酢酸(CH
3COOH)など(以下、リン硝酢酸とする)を含む薬液に溶解しない。このため、Siノジュールは、パターニングされた表面電極間(配線間)に露出された層間絶縁膜に付着した状態または層間絶縁膜の表面層に食い込んだ状態(以下、単に付着とする)で残留する。配線間にSiノジュールが存在する場合、配線間を電気的に絶縁することができない虞がある。このため、ドライエッチングにより、表面電極間に残留するSiノジュールを除去するのが一般的である(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−079582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した炭化珪素半導体スイッチング素子では、半導体材料中にSi原子とC(炭素)原子とが1:1で存在することに起因して、Siを半導体材料として用いた半導体スイッチング素子よりもゲート絶縁膜中の欠陥密度が高くなり、電気的特性の安定性が損なわれることが知られている。さらに、上述した特許文献1に示す技術では、表面電極材料としてAl−Si合金を用いた場合、ゲート絶縁膜の形成条件によっては、素子表面に残留するSiノジュールを除去するためのドライエッチング時に素子表面がプラズマに晒されることで、オン電圧が設計条件に基づく所定の値から10%〜20%程度低圧側にずれてしまうという問題がある。
【0006】
このようなオン電圧の変動は、ゲート絶縁膜中の欠陥と、Siノジュールのドライエッチングにおいて処理炉内に発生させるプラズマとの相互作用により生じるものと推測される。一方、表面電極材料として純Alを用いる場合には、Siノジュールを除去するためのドライエッチングを行う必要がなくなるため、オン電圧が変動することを回避することができることが本発明者によって確認されている。しかしながら、表面電極材料として純Alを用いた場合、表面電極材料としてAl−Si合金を用いた場合よりも表面電極のエレクトロマイグレーション耐性が低く、素子の寿命を縮めるという問題がある。
【0007】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、表面電極のエレクトロマイグレーション耐性が高く、かつ所定の電気的特性を安定して得ることができる炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、パターニングされた表面電極間に露出する層間絶縁膜の表面層を、バッファードフッ酸(BHF)などのフッ化物を含む薬液を用いたウェットエッチングによって薄く除去することで、ドライエッチングを行うことなく、表面電極間に露出する層間絶縁膜に付着するSiノジュールをリフトオフすることができることを見出した。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0009】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、炭化珪素からなる半導体ウエハの表面にデバイス構造を形成する第1形成工程を行う。次に、前記半導体ウエハ上に、前記デバイス構造を覆う絶縁膜を形成する第2形成工程を行う。次に、前記絶縁膜を選択的に除去し、前記デバイス構造を構成する導電部を露出させる露出工程を行う。次に、前記絶縁膜上に、前記導電部に接して、アルミニウムおよびシリコンを含む金属層を形成する第3形成工程を行う。次に、第1のウェットエッチングにより、前記金属層を所定のパターンに成形する成形工程を行う。次に、前記成形工程によって成形された前記金属層の間に露出された前記絶縁膜の表面層を、第2のウェットエッチングにより所定の厚さ分除去する除去工程を行う。そして、前記除去工程では、
フッ化物を含む薬液を用いて前記第2のウェットエッチングを行うことで、前記絶縁膜の、前記第3形成工程によって前記金属層と前記絶縁膜との界面に析出したシリコンの析出物が付着している部分を除去する。
前記所定の厚さは、前記析出物の粒径に基づいて決定され、かつ300nm以上1μm以下である。前記フッ化物を含む薬液は、バッファードフッ酸、フッ酸またはフッ化アンモニウムである。
【0013】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1形成工程では、前記デバイス構造として、前記半導体ウエハの表面に前記絶縁膜よりも厚さの薄いゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記デバイス構造として、前記半導体ウエハの表面に、前記ゲート電極と電気的に絶縁された入力電極を形成する工程と、を含み、前記露出工程では、前記導電部として前記ゲート電極および前記入力電極を露出させることを特徴とする。
【0014】
上述した発明によれば、表面電極材料としてアルミニウムおよびシリコンを含む金属層を用いることにより、表面電極のエレクトロマイグレーション耐性を高くすることができる。また、表面電極材料としてアルミニウムおよびシリコンを含む金属層を用いた場合においても、ドライエッチングを用いずに、表面電極のパターニング後に素子表面に残存するシリコンの析出物を除去することができるため、オン電圧が設計条件に基づく所定の値からずれることを回避することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、表面電極のエレクトロマイグレーション耐性を高くすることができ、かつ所定の電気的特性を安定して得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図2】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図3】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図4】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図5】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【
図6】実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0018】
(実施の形態)
実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法について、炭化珪素を半導体材料として用いたnチャネル型MOSFETを製造する場合を例に説明する。
図1〜6は、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、例えば単結晶からなるn型炭化珪素ウエハ1の上に、所定のデバイス構造を形成する。具体的には、薬液洗浄や犠牲酸化などの方法で予め清浄化されたn型炭化珪素ウエハ1を用意する。次に、n型炭化珪素ウエハ1のおもて面上に、例えばエピタキシャル成長によりn
-型ドリフト層2を成長させる。次に、例えばイオン注入により、n
-型ドリフト層2の、n型炭化珪素ウエハ1側に対して反対側の表面層にp型ウェル層3を選択的に形成する。
【0019】
次に、例えばイオン注入により、p型ウェル層3の内部にn
+型高濃度領域4を選択的に形成する。次に、p型ウェル層3の、n
+型高濃度領域4とn
-型ドリフト層2とに挟まれた部分の表面上に、ゲート絶縁膜5を介してゲート電極(導電部)6を形成する。次に、n
-型ドリフト層2の、n型炭化珪素ウエハ1側に対して反対側の表面に、p型ウェル層3、n
+型高濃度領域4、ゲート絶縁膜5およびゲート電極6からなるMOSゲート(金属−酸化膜−半導体からなる絶縁ゲート)構造を被覆(密封)するように層間絶縁膜7を形成する。層間絶縁膜7の厚さは、設計条件に基づく本来必要な厚さに加えて、後述する第2のウェットエッチングによって除去される所定の厚さ分、具体的には第2のウェットエッチングによって減少する例えば300nm以上1μm以下程度の厚さ分を厚くしておくことが望ましい。ここまでの状態が
図1に示されている。
【0020】
次に、層間絶縁膜7を選択的に除去して第1コンタクトホール8を形成し、第1コンタクトホール8にn
+型高濃度領域4を露出させる。次に、一般的な方法により、第1コンタクトホール8に露出するn
+型高濃度領域4にオーミック接触するオーミック電極(導電部)9を形成する。オーミック電極9の材料は、例えば、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金を用いてもよい。このNi合金の組成や、オーミックシンタリング(熱処理)の条件などは設計条件に合わせて種々変更可能である。層間絶縁膜7に第1コンタクトホール8を形成する方法として、例えばドライエッチングを用いてもよい。ここまでの状態が
図2に示されている。
【0021】
次に、層間絶縁膜7を選択的に除去して第2コンタクトホール(ゲートコンタクトホール)10を形成し、第2コンタクトホール10にゲート電極6を露出させる。層間絶縁膜7に第2コンタクトホール10を形成する方法として、例えばウェットエッチングを用いてもよい。ここまでの状態が
図3に示されている。
【0022】
次に、例えばスパッタリングにより、第1,2コンタクトホール8,10を埋め込むように、層間絶縁膜7上に表面電極としてアルミニウム(Al)およびシリコン(Si)を含む金属層(以下、Al−Si層とする)11を成膜(形成)する。具体的には、Al−Si層11は、例えば1wt%程度のシリコンを含有するアルミニウム合金層であってもよい。Al−Si層11の厚さは、設計条件に合わせて種々変更可能であり、例えば2μm以上7μm以下程度であってもよい。Al−Si層11を形成することにより、Al−Si層11とその下層(層間絶縁膜7や、層間絶縁膜7の第1,2コンタクトホール8,10に露出するゲート電極6およびオーミック電極9)との界面に、Al−Si層11中のSiが髭状や瘤状のSi析出物(Siノジュール)12となって析出する。ここまでの状態が
図4に示されている。
【0023】
次に、フォトリソグラフィおよび第1のウェットエッチングによってAl−Si層11を所定の配線パターンに成形(パターニング)し、第1コンタクトホール8を介してオーミック電極9に接するAl−Si配線層11aと、第2コンタクトホール10を介してゲート電極6に接するAl−Si配線層11bとを形成する。Al−Si配線層11a,11b間(以下、パターン開口部13とする)には層間絶縁膜7が露出される。第1のウェットエッチングの薬液として、例えばリン酸(H
3PO
4)、硝酸(HNO
3)および酢酸(CH
3COOH)など(リン硝酢酸)を含む薬液を用いてもよい。Siノジュール12は、リン硝酢酸を含む殆どの薬液に溶解しない。このため、第1のウェットエッチングが終了した時点では、Siノジュール12は、パターン開口部13に露出する層間絶縁膜7に付着した状態または層間絶縁膜7の表面層に食い込んだ状態(以下、単に付着とする)で残存している。すなわち、素子表面にSiノジュール12が付着した状態となっている。ここまでの状態が
図5に示されている。
【0024】
第1のウェットエッチングによってAl−Si層11をパターニングすることにより、ドライエッチングよってAl−Si層11をパターニングする場合よりもスループットを向上させることができる。また、ドライエッチングによってAl−Si層11をパターニングする場合、オン電圧が変動し、設計条件に基づいて設定された所定のオン電圧を維持することができない虞があるが、本発明においては、第1のウェットエッチングによってAl−Si層11をパターニングするため、オン電圧が変動することを回避することができる。
【0025】
次に、例えばバッファードフッ酸、フッ酸(HF)またはフッ化アンモニウム(NH
4F)などのフッ化物を含む薬液を用いた第2のウェットエッチングにより、パターン開口部13に露出された層間絶縁膜7の表面層を所定の厚さ分除去する。この第2のウェットエッチングにより、パターン開口部13の内部において、Siノジュール12が付着している部分が除去されるため、素子表面からSiノジュール12が剥離(リフトオフ)され除去される。ここまでの状態が
図6に示されている。
【0026】
第2のウェットエッチングによって除去する層間絶縁膜7の表面層の厚さは、Siノジュール12の平均的な粒径(直径)に対応させて例えば300nm以上1μm以下程度が好ましく、より好ましくは例えば500nm以上800nm以下程度であるのがよい。第2のウェットエッチングに用いる薬液には、Al−Si層11の平面パターン(配線形状)が変化することを回避するため、例えばAl系金属の溶解を抑制することができる保護剤が添加されているのが好ましい。その後、例えばAl−Si配線層11a,11bを覆うようにおもて面側にパッシベーション保護膜を形成するなど、配線層形成以降の一般的な工程を行った後、個々のチップに切断(ダイシング)することにより、実施の形態にかかる炭化珪素半導体装置が完成する。
【0027】
以上、説明したように、実施の形態によれば、パターン開口部に露出された層間絶縁膜の表面層を、フッ化物を含む薬液を用いてウェットエッチングによって所定の厚さを薄く除去することにより、表面電極材料としてAl−Si合金を用いた場合においても、ドライエッチングを行うことなく、表面電極のパターニング後に素子表面に残存するSiノジュールを除去することができる。このため、表面電極材料としてAl−Si合金を用いて表面電極のエレクトロマイグレーション耐性を高くすることができるとともに、オン電圧が変動することを回避することができ、所定の電気的特性を安定して得ることができる。このため、歩留りを向上させることができる。
【0028】
また、ドライエッチングによってSiノジュールを除去する場合、オン電圧の変動を考慮して素子設計を行う必要があるが、実施の形態によれば、Siノジュールを除去する際にドライエッチングを用いていないため、オン電圧の変動を考慮して素子設計を行う必要がなく、素子設計が容易となる。また、製造工程中にドライエッチング工程が含まれる場合、一般的にドライエッチング工程は枚葉処理であるため、スループットを向上させるにはドライエッチャーを複数台用意する必要があるが、実施の形態によれば、バッチ処理が可能なウェットエッチング工程によって表面電極のパターニングおよびSiノジュールの除去を行うため、スループットを大幅に向上させることができる。
【0029】
以上において本発明では、nチャネル型MOSFETを例に説明しているが、上述した実施の形態に限らず、表面電極材料としてAl−Si合金を用いたさまざまな構成のMOSゲート型半導体装置に適用可能である。また、本発明は、基板片面に電極を有する横型半導体装置や、基板両面に電極を有する縦型半導体装置のいずれの構造にも適用可能である。すなわち、本発明を適用して横型半導体装置を作製(製造)する場合、表面電極のパターニングによりゲート電極用、入力電極用および出力電極用の配線層をそれぞれ形成すればよい。本発明を適用して縦型半導体装置を作製する場合、表面電極のパターニングによりゲート電極用および入力電極用の配線層をそれぞれ形成し、炭化珪素ウエハの裏面に出力電極となる裏面電極を形成すればよい。また、本発明は、導電型を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素半導体スイッチング素子などに使用される半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 n型炭化珪素ウエハ
2 n
-型ドリフト層
3 p型ウェル層
4 n
+型高濃度領域
5 ゲート絶縁膜
6 ゲート電極
7 層間絶縁膜
8 第1コンタクトホール
9 オーミック電極
10 第2コンタクトホール
11 Al−Si層
12 Siノジュール
13 Al−Si層のパターン開口部