特許第6123628号(P6123628)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6123628
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/00 20060101AFI20170424BHJP
   G07F 11/24 20060101ALI20170424BHJP
   G07F 11/30 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   G07F9/00 107A
   G07F11/24 B
   G07F11/30
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-216337(P2013-216337)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-79365(P2015-79365A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年3月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】福田 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】大野 雄喜
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−077051(JP,A)
【文献】 特開2001−307205(JP,A)
【文献】 実開昭62−081190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 9/00
G07F 11/24
G07F 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、前記引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が基板の上フランジから外側に引き出される態様で基板の外方に延在する連結部材および前記連結部材の他端と係合する態様で前記左右一対のラック側板に上下方向にスライド自在に架設され、少なくとも一端がラック側板の外方に突出した可動バーからなり、前記可動バーを上方にスライド移動させるところの、ラック側板の膨出部により形成されるラック側板の外側のデッドスペースを前後方向に案内される態様でラック側板の前方から差し込まれる操作レバーからなるアタッチメント部材を設け、前記アタッチメント部材をラック側板の前方から差し込んで可動バーを上方にスライド移動させることにより連結部材を介して商品搬出装置を作動させることを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
請求項1に記載の自動販売機において、連結部材の他端は下方に傾斜したフックを備え、当該フックは商品収納ラックの下方から商品搬出装置を装着する際、その傾斜面が可動バーに当接すると連結部材を撓ませるとともに前記可動バーを乗り越えると連結部材の復元力により可動バーと係合可能となることを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が商品搬出装置の基板の下フランジに臨むスライド部材からなり、当該スライド部材を直接手動操作することより商品搬出装置を作動させることを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
請求項3に記載の自動販売機において、スライド部材の一端はリンク機構と少なくともソレノイドのストロークだけ遊びをもって連結されてなることを特徴とする自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、庫内に飲料などの商品を収容し、購入者が代金を投入して希望する商品を選択すると庫内に収容した商品を販売する自動販売機に係り、特に、震災などによりライフラインが停止した緊急時に自動販売機を飲料供給源として庫内に収容した商品を無料で提供できるようにした自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機は断熱筐体としてなる本体キャビネットの商品収納庫内に前記商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に複数の商品見本を左右に並べて展示し、前記商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンの操作に基いて選択された商品を販売するように構成されている。この種の自動販売機について図10を用いて説明する。
【0003】
この自動販売機は、図10に示すように、前面が開口した本体キャビネット1と、本体キャビネット1の前面にヒンジにより開閉可能に支持された外扉6とを備え、前記本体キャビネット1は鋼板製の外箱の内側、すなわち、上壁,左右側壁,背壁および底壁1aにウレタンフォームからなる断熱ボードを配設して断熱筐体として構成されている。前記本体キャビネット1の断熱ボードで囲まれた商品収納庫内は断熱仕切板2により左右方向に複数の商品収納室3,4,5に区画されている。前記各商品収納室3,4,5には、この例ではサーペンタイン方式と呼ばれる蛇行した商品収納通路を有する商品収納ラック8がそれぞれ収設されている。前記本体キャビネット1の前面に開閉可能に支持された外扉6と本体キャビネット1における商品収納庫の前面との間には内扉7が配設され、この例では内扉7が上下に分割されている。下部側の内扉7には各商品収納室3,4,5の商品収納ラック8から払い出された商品を送出するシュータ9と対峙する位置に搬出扉7aを有する商品搬出口が設けられている。前記搬出扉7aは上端入口を軸支されて垂下するとともに自重により商品搬出口を閉塞して冷気若しくは暖気の流出を防止しており、シュート9を介して搬出される商品により押し開かれ、当該商品を外扉6の商品取出口6aに送出するように形成されている。なお、前記外扉6の前面の上部域は商品見本を展示する透明板で覆われたディスプレイ室として形成され、前記透明板の前面には商品選択ボタンユニットが設けられ、商品選択ボタンユニットには展示された商品見本に対応して設けられた商品選択ボタンを有している。また、外扉6の前面には硬貨投入口、紙幣挿入口、硬貨返却口、返却レバー、商品取出口、ハンドルロックなどが設けられている。
【0004】
前記商品収納ラック8は、図11に示すように、平板状の薄板鋼板からなる左右一対のラック側板81,81、このラック側板81,81に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列82の間に画成された前後複数列(図では5列)の蛇行状の商品収納通路83、本体キャビネット1の前面開口に形成された商品投入口SL(図10参照)と2列目以降の商品収納通路83の上端入口とを連係するトップトレイ84、前記それぞれの商品収納通路83の下端出口に配設された商品搬出装置10、この商品搬出装置10と商品収納通路を挟んで対向配置された出口調整板100とからなる。前記商品収納ラック8は、図11の例では2列の商品収納通路83を備えた前段側の商品収納ラック8a、および3列の商品収納通路83を備えた後段側の商品収納ラック8bからなる2連のものであり、各商品収納ラック8a,8bの左右一対のラック側板81,81の上端に架設されたラック側フック金具811,811を商品収納庫の天井に敷設された本体側フック金具(不図示)に係止固定される。なお、左右一対のラック側板81,81の前後縁には外側に膨出するカール部若しくはダブルホールドされたフランジからなる膨出部が形成され、薄板鋼板からなるラック側板81,81の剛性を高めるとともにラック側板81,81の端縁エッジに手が触れることがないように構成されている。このような技術については実開昭62−81190号公報などに開示されて周知である。
【0005】
前記商品搬出装置10は、図11に示すように、薄い箱形の基板11の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収容通路83に突出する突出位置に向けて移動し、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路83から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材12と、前記基板11の開口部から商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83から退避する退避位置に向けて付勢され、前記販売商品に続く販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材13と、前記第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構(図では基板11に隠れて見えない)と、前記リンク機構を駆動するソレノイド(図では基板11に隠れて見えない)とを有し、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を商品収納通路83に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材13で保持したうえで販売商品を払い出すように構成されている。また、商品搬出装置10の基板11の上下フランジには、ラック側板81,81に架設された棒状のピン部材P,Pと係合する係合部を設けて商品収納ラック81,81に着脱自在に装着されとともに前後に隣接する商品収納通路83、図11の例では第1,2列および第3,4列の商品収納通路83,83に対して2個の商品搬出装置10,10を背中合わせに抱き合わせて商品収納ラック81,81に取付けられる。前述した商品搬出装置10のラック側板81,81に架設された棒状のピン部材P,Pへの取付けは特開平11−232542号公報などに開示されて周知である。
【0006】
ところで、自動販売機の庫内には缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品が収容されていることから、これを飲料供給源として提供すれば自動販売機が緊急時の食品供給拠点として役立つ。ところが、緊急時、特に震災などによりライフラインが停止した場合には自動販売機の運転・販売制御も停止するので庫内の商品を販売に供することができない。そこで、補助電源装置(バッテリー等)を内蔵し、商用電源が停止した場合に冷却/加熱ユニットや商品見本の照明光源などを切り離したうえで補助電源装置により商品の販売を可能としたものも知られているが、補助電源装置を内蔵した場合にはコストの上昇は免れず、また、自動販売機のコンセントを引き抜くなどの悪戯対策が必要となる。そのため、補助電源装置を内蔵することなく手動操作により商品の払い出しを可能とした自動販売機が知られている(例えば、特許文献1)。この特許文献1に開示された自動販売機においては、外扉に形成した小扉の内部に商品搬出装置のリンク機構に連結したワイヤーを引き回し、小扉のロックを電気錠により構成し、商用電源が停止した緊急時に小扉を開放可能として小扉を解放したうえでワイヤーを操作することにより商品搬出装置を動作させて商品を払い出すように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3924954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に記載された自動販売機は、緊急時には小扉を開放してワイヤーを操作することにより商品搬出装置を動作させて商品を払い出すことができる点で優れている。しかしながら、小扉が形成された外扉は本体キャビネットに開閉可能であることから、小扉の内部と本体キャビネットの庫内(商品収納室)に収設された商品収納ラックに搭載された商品搬出装置のリンク機構との間を連結するワイヤーは外扉の開閉に支障を来たすことの無いように引き回さねばならない。そのため、ワイヤーの引き回しが煩雑であるという課題を有する。また、商品収納ラックに商品搬出装置を装着した状態においては当該商品搬出装置の周囲に作業空間がないことから、商品収納ラックから商品搬出装置を取り外した状態で商品搬出装置のリンク機構にワイヤーを結合させたうえで商品収納ラックに装着せねばならない。そのため、一般的に採用されているところの、商品収納ラックの下方から商品搬出装置を着脱する方式を採用することが困難であるので、商品搬出装置の商品収納ラックへの着脱方式を新たに設計せねばならないという課題を有する。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、大幅な設計変更を行うことなく、緊急時には手動操作により飲料供給源として庫内に収容した商品を供給することが可能な自動販売機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、前記引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が基板の上フランジから外側に引き出される態様で基板の外方に延在する連結部材および前記連結部材の他端と係合する態様で前記左右一対のラック側板に上下方向にスライド自在に架設され、少なくとも一端がラック側板の外方に突出した可動バーからなり、前記可動バーを上方にスライド移動させるところの、ラック側板の膨出部により形成されるラック側板の外側のデッドスペースを前後方向に案内される態様でラック側板の前方から差し込まれる操作レバーからなるアタッチメント部材を設け、前記アタッチメント部材をラック側板の前方から差し込んで可動バーを上方にスライド移動させることにより連結部材を介して商品搬出装置を作動させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る発明は請求項1に記載の自動販売機において、連結部材の他端は下方に傾斜したフックを備え、当該フックは商品収納ラックの下方から商品搬出装置を装着する際、その傾斜面が可動バーに当接すると連結部材を撓ませるとともに前記可動バーを乗り越えると連結部材の復元力により可動バーと係合可能となることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る発明は、断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が商品搬出装置の基板の下フランジに臨むスライド部材からなり、当該スライド部材を直接手動操作することより商品搬出装置を作動させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は請求項3に記載の自動販売機において、スライド部材の一端はリンク機構と少なくともソレノイドのストロークだけ遊びをもって連結されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に係る自動販売機によれば、断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、前記引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が基板の上フランジから外側に引き出される態様で基板の外方に延在する連結部材および前記連結部材の他端と係合する態様で前記左右一対のラック側板に上下方向にスライド自在に架設され、少なくとも一端がラック側板の外方に突出した可動バーからなり、前記可動バーを上方にスライド移動させるところの、ラック側板の膨出部により形成されるラック側板の外側のデッドスペースを前後方向に案内される態様でラック側板の前方から差し込まれる操作レバーからなるアタッチメント部材を設け、前記アタッチメント部材をラック側板の前方から差し込んで可動バーを上方にスライド移動させることにより連結部材を介して商品搬出装置を作動させることにより、大幅な設計変更を行うことなく引き外し部材を追加装備するという簡単な構成によりライフラインが停止した緊急時には引き外し部材を手動操作することにより商品搬出装置を作動させて販売商品を払い出すことができ、緊急時の食品供給拠点として活用することができる自動販売機を安価に提供することができることは勿論のこと、引き外し部材を配備した状態で商品搬出装置を商品収納ラックに着脱することが可能となる利点を有する。さらに、前記操作レバーをラック側板の前方から差し込んで可動バーを上方にスライド移動させることにより連結部材を介して商品搬出装置を作動させることにより、可動バーを上方にスライド移動させる操作レバーの案内スペースとして左右一対のラック側板の前後端に外側に向けて膨出する膨出部により形成されるところのデッドスペース、つまり隣接する商品収納ラックの間に形成されるデッドスペースを活用することができる。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る自動販売機によれば、請求項1に記載の自動販売機において、連結部材の他端は下方に傾斜したフックを備え、当該フックは商品収納ラックの下方から商品搬出装置を装着する際、その傾斜面が可動バーに当接すると連結部材を撓ませるとともに前記可動バーを乗り越えると連結部材の復元力により可動バーと係合可能となることにより、一般的に採用されている商品収納ラックの下方から商品搬出装置を装着する方式を採用することができるという利点を有する。
【0018】
また、本発明の請求項3に係る自動販売機によれば、断熱筐体として形成された本体キャビネットの商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部を有する左右のラック側板間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置を有する商品収納ラックが配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置は、基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材と、前記基板の開口部から商品収納通路に出没自在に軸支され、前記商品収納通路から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材と、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構と、前記リンク機構を駆動するソレノイドとを備え、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置の基板の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置における少なくとも第1ストッパ部材のロック解除動作をリンク機構に伝達する引き外し部材を設け、引き外し部材は、一端が前記リンク機構に係合するとともに他端が商品搬出装置の基板の下フランジに臨むスライド部材からなり、当該スライド部材を直接手動操作することより商品搬出装置を作動させることにより、大幅な設計変更を行うことなく商品搬出装置にスライド部材を追加装備するという簡単な構成によりライフラインが停止した緊急時には引き外し部材を手動操作することにより商品搬出装置を作動させて販売商品を払い出すことができ、緊急時の食品供給拠点として活用することができる自動販売機を安価に提供することができる。
【0019】
また、本発明の請求項4に係る自動販売機によれば、請求項3に記載の自動販売機において、スライド部材の一端はリンク機構と少なくともソレノイドのストロークだけ遊びをもって連結されてなることにより、通常の販売動作、すなわち、前記ソレノイドの励磁・釈放によりリンク機構を介して第1ストッパ部材および第2ストッパ部材を商品収納通路に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材により保持したうえで販売商品を払い出す販売動作時にスライド部材がリンク機構とともに移動することがない、つまりソレノイド吸引時の負荷となることがないので、通常の販売動作に悪影響を及ぼすことがないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る自動販売機における商品収納ラックの側面図である。
図2図1の商品搬出装置を示し、(a)はその背面斜視図、(b)は連結部材の斜視図である。
図3図2の商品搬出装置を出口調整板とともに示す側面図である。
図4図2の商品搬出装置の動作を示し(a)は販売待機状態の概略側面図、(b)は商品搬出時の概略側面図である。
図5図1の商品収納ラックにおけるラック側板のA部の拡大図である。
図6図5の可動バーの斜視図である。
図7図2の商品搬出装置に装備された連結部材とラック側板に架設された可動バーの関係を示し、(a)は通常時の要部側面図、(b)は緊急時の要部側面図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る自動販売機における商品収納ラックに搭載された商品搬出装置の背面斜視図である。
図9図8の商品搬出装置の要部を示し、(a)は要部拡大図、(b)はスライド部材の斜視図である。
図10】本発明が対象とする自動販売機の外扉開放状態の斜視図である。
図11図10の自動販売機における商品収納ラックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態の自動販売機を添付図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1乃至図7は本発明の実施の形態1の自動販売機に係る商品収納ラックを示し、各図において、図10図11に示した従来装置と同一のものには同一の符号を付している。
【0022】
図1は実施の形態1に係る自動販売機の商品収納ラック8を示し、この商品収納ラック8は、平板状の薄板鋼板からなる左右のラック側板81の間に上下方向に半ピッチずらして向かい合わせに架設した前後一対の湾曲状レールセグメント列82の間の画成された蛇行状の商品収納通路83を前後方向に2列備えた前段側の商品収納ラック8a,中段の商品収納ラック8c,後段側の商品収納ラック8bからなる3連のものであり、図では正面視右側のラック側板81についてはその一部を残して切断した状態を示している。各商品収納通路83内には当該商品収納通路83内に突出するように付勢された姿勢制御ダンパー85が配設され、また、各商品収納通路83の下端出口には商品を1個ずつ搬出する商品搬出装置10が配設され、2列目以降の商品収納通路83の上端入口はトップトレイ84を介して本体キャビネット1の前面開口に形成された商品投入口SLに連通し、最前列の商品収納通路83の上端入口は商品投入口SLに直接連通している。前記トップトレイ84の終端と商品収納通路83の上端入口との間のコーナー位置(アウトコーナー側)には揺動自在に架設された商品投入ガイド86が配設されている。この商品投入ガイド86は、商品投入口SLから横向き・横倒し姿勢で投入された商品がトップトレイ84を転動中に横向き姿勢が乱れて縦向き方向に傾いた場合にも当該商品の姿勢を矯正して商品収納通路83に落下させるものである。なお、商品収納ラック8a,8b,8cの上下方向の長さは後段側の商品収納ラック8bから前段側の商品収納ラック8aに向かうに従って長く、商品収納ラック8a,8b,8cの下端が、商品収納ラック8から払い出された商品を送出するシュータ9(図10参照)の前傾姿勢に合わせて庫内奥行き方向に上り用の階段状になるように形成されている。
【0023】
図1において、80は、左右一対のラック側板81,81にそれぞれ形成された上下方向に延在する長穴であり、この長穴80を貫通して可動バー20がラック側板81,81に上下方向にスライド移動自在に架設されている。40は薄板鋼板からなる長尺の操作レバーであり、左右一対のラック側板81,81の外壁に固定されたガイド部材30によりラック側板81の外側を前後方向に案内される態様でラック側板81の前方から差し込まれるものである。前記可動バー20、ガイド部材30、操作レバー40については次に示す商品搬出装置10の説明に引き続いて詳述する。
【0024】
前記商品搬出装置10は、図2に示すように、矩形板金製の基板11を備え、当該基板11の周囲4辺には背面(商品収納通路83とは反対側の面)方向に折り曲げた上フランジ11a,下フランジ11b,左フランジ11c,右フランジ11dを有する浅い箱形に形成されている。基板11の板面の下半領域には、商品収納通路83に通じる大きな開口部11eが設けられ、基板11の上半領域の左右中央位置には開口部(図2では、後述する売切検出スイッチ18に隠れて見えない)が設けられている。前記開口部11eの周囲4辺も背面側に折り曲げた上下左右のフランジ11e1〜11e4が設けられ、左右のフランジ11e3,11e4に架け渡された第1軸101、第2軸102に回動自在に軸支された第1ストッパ部材12、第2ストッパ部材13が開口部11eを通して商品収納通路83に出没自在に配設されている。また、基板11の上フランジ11aの端縁には上方に向って延在する左右一対のフック片11a1,11a1が突設される一方、左右のフランジ11c、11dには上方に向って延在するガイド突起11c1,11d1が設けてあり、このフック片11a1,11a1とガイド突起11c1,11d1とにより左右一対のラック側板81,81に架設される上側のピン部材P(図3参照)を挟み込む。また、基板11の下フランジ11bと開口部11eの下フランジ11e2との間には左右一対のラック側板81,81に架設される下側のピン部材Pに係合・離脱する合成樹脂製のフック部材Fが固着されている。そして、前記基板11の背面には軸受部材14、リンク機構15、回動ストッパ16、ソレノイド17、売切検出スイッチ18が配設されている。なお、基板11の上フランジ11aの両サイドの端縁に設けた上方に延在するガイド片11a2,11a2は商品搬出装置10を左右一対のラック側板81,81に架設される上側のピン部材P(図3参照)に取付ける際、ピン部材Pに摺接してフック片11a1,11a1とガイド突起11c1,11d1との間にピン部材Pを嵌合させるためのガイドとなるものである。
【0025】
前記第1ストッパ部材12は、図3に示すように、金属板121の裏面に樹脂製(たとえば、ポリアセタール)の軸受台122を備えて構成されている。前記軸受台122は、金属板121に固定される平板状の基台(不図示)の左右端部に金属板121の裏面方向に突出する左右一対の軸受突部122a,122a(図2に右端側の軸受突部122aが見えている)を有し、この左右一対の軸受突部122a,122aには異形溝122bが形成されている。前記第1ストッパ部材12は、第1軸101を中心として回動して、基板11の開口部11eから商品収納通路83に突出する突出位置と、開口部11eを閉塞する態様で商品収納通路83から退く退避位置との間に移動可能である。第1ストッパ部材12は、第1軸101に巻装した捻りコイルばね103(図2参照)の弾性付勢力によって突出位置に向けて常に付勢されており、突出位置においてその上面が販売商品G1(図4参照)を保持する保持面として形成されている。なお、図3において、100は商品搬出装置10の基板11との間に商品収納通路83を形成する出口通路板である。
【0026】
前記第2ストッパ部材13は合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなり、第2軸102に回動可能に支持してある。第2ストッパ部材13は、第2軸102を中心として回動して、基板11の開口部11eから商品収納通路83に突出する突出位置と、開口部11eを閉塞する態様で商品収納通路83から退く退避位置との間に回動可能である。第2ストッパ部材13は、第2軸102に巻装した捻りコイルばね(不図示)の弾性付勢力によって退避位置に向けて常に付勢されている。第2ストッパ部材13の先端は次販売商品G2(図4参照)を係止する商品係止部130として形成されている。また、第2ストッパ部材13の背面における左右一方側(図示の場合、左側)に片寄せた位置には後述する上リンク軸152を受け入れる凹状の摺動溝131aを備えたストッパ部131を設けている。
【0027】
前記軸受部材14は、基板11の開口部11eの上フランジ11e1と下フランジ11e2との間に架設されている。この軸受部材14は第1軸101,第2軸102の中間部を支持(すなわち、第1軸101,第2軸102が貫通している)するとともにリンク機構15および回動ストッパ16に関わる各軸(後述)の一方端を支持し、各軸の他方端は基板11の開口部11eの左フランジ11e3により支持している。ここで、軸受部材14と左フランジ11e3とにおける上記各軸を支持する構成はほぼ対称の構成であり、軸受部材14には左フランジ11e3に形成した上下方向に延在する長溝11e31,11e32に対応する長溝141,142(図4参照)を設けている。前記長溝11e31は、リンク機構15に関わる下リンク軸151(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持し、前記長溝11e32は、リンク機構15に関わる上リンク軸152(図2参照)を上下方向にスライド移動可能に支持している。 また、前記軸受部材14と左フランジ11e3の下端位置には回動ストッパ16に関わる回動ストッパ軸161(図2参照)を支持する支軸穴(不図示)を設けている。
【0028】
前記リンク機構15は、図2に示すように下リンク軸151と上リンク軸152を保持する鋼板製のリンク部材150からなり、上端がソレノイド17のプランジャー170に連結されている。前記リンク部材150には上リンク軸152が貫通する係合穴150a(図2では右端側の係合穴150aが見えている)を有する左右一対の上係合腕150bを設けている。この上係合腕150bは、リンク部材150の上下動作に連動して上リンク軸152を上下方向に移動させるものである。さらに、リンク部材150の下端には下リンク軸151が貫通して保持される左右一対の下係合腕150cを設けている。この下係合腕150cは、リンク部材150の上下動作に連動して下リンク軸151を上下方向に移動させるものである。前記下係合腕150cに保持された下リンク軸151には復帰ばね19(図2参照)の一端が係止され、復帰ばね19の他端は回動ストッパ軸161に係止されている。
【0029】
前記回動ストッパ16は回動ストッパ軸161に回動可能に支持してある。回動ストッパ16は、回動ストッパ軸161を中心として回動して、基板11の開口部11eから商品収納通路83に突出する突出位置と、開口部11eを閉塞する態様で商品収納通路83から退く退避位置との間に移動可能に設けてある。回動ストッパ軸161には、図には明示されていないが捻りコイルばねが巻装してあり、この捻りコイルばねの弾性付勢力によって回動ストッパ16は突出位置に向けて常に付勢されている。回動ストッパ16は、商品収納通路83に突出する先端部に支持軸162(図4参照)を備えている。この支持軸162は、両端部が第1ストッパ部材12の各軸受台122における左右一対の軸受突部122a,122aに形成した異形溝122bに係合する。また、回動ストッパ16の背面には、図4に示すようにロック溝163を備え、このロック溝163は、下リンク軸151を係合させて回動ストッパ16の回動を規制(ロック)するためのものである。前記回動ストッパ16は、下リンク軸151がロック溝163に係合している状態で突出位置にロックされる。このロック状態において回動ストッパ16の先端側に設けた支持軸162の両端部が第1ストッパ部材12における軸受台122の異形溝122bの小径溝部122b1に係合して第1ストッパ部材12を商品収納通路83に突出した突出位置(販売待機位置)にロックする。
【0030】
前記売切検出スイッチ18は、図2図3に示すようにマイクロスイッチ181と商品収納通路83に突出する商品検知レバー182とを有する。売切検出スイッチ18は、合成樹脂(例えば、ポリアセタール)からなる額縁状の取付台180にマイクロスイッチ181と商品検知レバー182とを組付けたものである。商品検知レバー182は取付台180に回動自在に軸支され、一端が取付台180に係止されるとともに他端が商品検知レバー182に係止された捻りコイルばね183により商品収納通路83に向けて進出するように付勢されている。商品検知レバー182は、商品収納通路83に商品がある状態では商品に押されて基板11の板面に沿うように後退している場合にはマイクロスイッチ181のアクチュエータ181aから離れており、商品収納通路83に商品がない状態(売切れ状態)になって捻りコイルばね183により商品収納通路83に進出した場合にアクチュエータ181aを押圧してマイクロスイッチ181を作動させるように構成されている。
【0031】
前記ソレノイド17は、基板11の背面側の左右一方側(図では左側)に片寄せた位置にねじS1,S2により固定されている。このソレノイド17はプランジャー170を挿通する貫通穴を備えたスプールに巻回されたコイルを絶縁性樹脂で覆った矩形状のコイル部171を積層された逆U字状の継鉄172で係止固定してなり、前記継鉄172の肩部を基板11に切り起こしにより形成された台座111(図2参照)にねじS1,S2により固定されている。このようにソレノイド17は前記台座111に載置して固定することにより基板11から浮き上がる態様で配設されている。このようにソレノイド17が基板11から浮き上がる態様で配設されることは特開2001−184556号公報などにより周知である。前記ソレノイド17が基板11から浮き上がっていることを利用して、その外郭を覆うように連結部材50(図2では点線で示す)が配設されている。この連結部材50が請求項1の引き外し部材を構成する。この連結部材50については後述する。
【0032】
なお、ソレノイド17とともに軸受部材14,リンク機構15,回動ストッパ16は基板11の背面側の左右一方側に片寄せた位置に配設されているが、これは同一構成の商品搬出装置10,10を背中合わせに抱き合わせた際にそれぞれの商品搬出装置10における軸受部材14,リンク機構15,回動ストッパ16,ソレノイド17が互いに干渉しないようにするためである。
【0033】
前記商品搬出装置10は、左右一対のラック側板81,81に架設される上下一対のピン部材P,P(図3参照)に着脱自在に取付けられる。すなわち、前記商品搬出装置10を上下のピン部材P,Pの間に跨って取付けるには、左右一対のラック側板81,81の下方から商品搬出装置10を商品収納通路83内に挿入し、先ず上側のピン部材Pに基板11の上フランジ11aの両サイドに形成したガイド片11a2,11a2を当接させる。この場合、上側のピン部材Pを通る鉛直線上に下側のピン部材Pが存在するので、商品搬出装置10を上側のピン部材Pを通る鉛直線に沿った姿勢で基板11のガイド片11a2,11a2を上側のピン部材Pに当接させることができない。そこで、商品搬出装置10は上部側に対して下部側が商品収納通路83側に突出するように傾けた傾斜姿勢で差し込まれる。基板11の上フランジ11aに形成したガイド片11a2,11a2をガイドとして商品搬出装置10を上方にスライドさせて基板11に形成したフック片11a1,11a1とガイド突起11c1,11d1との間に上側のピン部材Pを嵌め込む。続いて上側のピン部材Pを支点として商品搬出装置10を、基板11の下部に固着されたフック部材Fの自由端が下側のピン部材Pに当接するように回動(図3では時計方向)させ、フック部材Fの自由端を下側のピン部材Pに当接させたうえで更に押し込む(時計方向に回動させる外力を加える)とフック部材Fが湾曲拡開し、下側のピン部材Pがフック部材Fを乗り越えるとフック部材Fが元の状態に復元してフック部材Fが下側のピン部材Pに係合する。これにより上下一対のピン部材P,Pに商品搬出装置10が装着される(図3参照)。前述したように上下一対のピン部材P,Pに装着された商品搬出装置10を取り外すには、先ずフック部材Fに手(指)をかけて湾曲拡開させて下側のピン部材Pとの係合を解除した後、商品搬出装置10を上側のピン部材Pを支点として回動(図3においては反時計方向に回動)させたうえで商品搬出装置10を下方にスライドさせる。これにより基板11に形成したフック片11a1,11a1とガイド突起11c1,11d1とを上側のピン部材Pから外して商品搬出装置10を左右一対のラック側板81,81の下方から取り出す。
【0034】
前述したように左右一対のラック側板81,81に架設される上下一対のピン部材P,P(図3参照)に装着された商品搬出装置10の動作について図4を参照して説明する。なお、図4では商品搬出装置10の動作を理解し易くするため概略構成を示している。
【0035】
図4の(a)に示した販売待機状態においては、ソレノイド17が通電されていない状態であって、リンク部材150が復帰ばね19(図2参照)によって下限位置まで下降している状態である。すなわち、上リンク軸152が軸受部材14の長溝142に沿って下方に移動し、下リンク軸151が軸受部材14の長溝141に沿って下方に移動している。販売待機状態において、第1ストッパ部材12は、捻りコイルばね103(図2参照)の弾性付勢力によって突出位置にあり、販売商品G1を保持している。また、販売待機状態において、回動ストッパ16は、不図示の捻りコイルばねの弾性付勢力によって突出位置にある。さらに、回動ストッパ16は、支持軸162が第1ストッパ部材12における異形溝122bの小径溝部122b1(図3参照)に係合していることで第1ストッパ部材12にかかる商品Gの荷重を受けている。さらに、回動ストッパ16は、ロック溝163に下リンク軸151が係合していることによって突出位置にロックされている。これにより、回動ストッパ16は、第1ストッパ部材12を突出位置にロックして第1ストッパ部材12の退避位置への移動を阻止している。一方、販売待機状態において、第2ストッパ部材13は、不図示の捻りコイルばねの弾性付勢力によって退避位置に復帰している。
【0036】
図4(a)に示した販売待機状態から販売指令によりソレノイド17が通電されると、ソレノイド17が復帰ばね19の弾性付勢力に抗してプランジャー170を吸引してリンク部材150を上昇させる。すると、リンク部材150の下リンク軸151が上昇して回動ストッパ16のロック溝163との係合が解除される。このロック解除により回動ストッパ16は商品荷重によって回動ストッパ軸161を中心として退避位置に向けて回動し、これに伴って支持軸162も異形溝122bの小径溝部122b1から外れて第1ストッパ部材12のロックが解除され、第1ストッパ部材12は商品Gの荷重により退避位置に向けて回動する。
【0037】
これと同時に第2ストッパ部材13は、上昇するリンク部材150の上リンク軸152の作用により退避位置から突出位置に向けて突出する。すなわち、販売待機状態からリンク部材150が上昇すると、第2ストッパ部材13の摺動溝131aに係合した上リンク軸152が上昇する。すると、第2ストッパ部材13は第2軸102を中心として突出位置に向けて捻りコイルばねの弾性付勢力に抗して移動する。リンク部材150が上限位置まで上昇すると上リンク軸152は第2ストッパ部材13のストッパ部131と係合して第2ストッパ部材13を突出位置にロックする。突出位置に至った第2ストッパ部材13は出口通路板100との間に次販売商品G2を保持する。この結果、販売商品G1のみが第1ストッパ部材12を擦り抜けて搬出される(図4の(b))。
【0038】
販売商品G1が第1ストッパ部材12を擦り抜けると第1ストッパ部材12は捻りコイルばね103の付勢力によって突出位置(販売待機位置)に復帰する。これと同時に回動ストッパ16も捻りコイルばねの弾性付勢力によって突出位置に復帰する。この場合、回動ストッパ16の先端に設けた支持軸162が第1ストッパ部材12における異形溝122bの壁面を摺動して小径溝部122b1に至る。これにより第1ストッパ部材12が販売待機位置でロック状態となる。
【0039】
そして、所定時間の経過後にソレノイド17への通電がなくなると、リンク部材150が復帰ばね19の付勢力により下降するので、上リンク軸152による第2ストッパ部材13のロックが解除され、第2ストッパ部材13は捻りコイルばねの付勢力により待機位置に復帰する。また、リンク部材150が下限位置まで下降すると下リンク軸151が回動ストッパ16のロック溝163と係合して第1ストッパ部材12を販売待機位置にロックする。
【0040】
ここで、前記商品搬出装置10のソレノイド17には、図2の(a)に点線で示すように連結部材50が装着されている。この連結部材50が請求項1の引き外し部材の一つを構成する。前記連結部材50は、図2の(b)に示すように、ソレノイド17の右端側を取り囲むように断面コ字状の本体51と、コ字状本体51の一方の脚片511(図2の(a)ではソレノイド17の上方に露出した脚片)の上縁から基板11の外側に引き出される態様で基板11の外方に延在する引出片52と、コ字状本体51の他方の脚片512(図2の(a)ではソレノイド17に隠れて見えない脚片)の下縁から下方に延在した連結片53とからなり、引出片52の先端には商品収納通路83側に折り返しにより鋭角に形成されたフック521が形成され、連結片53の先端には略直角に商品収納通路83とは反対側に折り曲げられたフック531が形成されている。前記連結部材50の商品搬出装置10への組み付けは、基板11にソレノイド17をねじ止めした後、売切検出スイッチ18の額縁状の取付台180を基板11に取付ける前の工程で次のように実施される。すなわち、図2に示すソレノイド17の右端側に、連結部材50のコ字状本体51の脚片511,512の開放部をソレノイド17に対峙させる態様で、そのコ字状本体51の他方の脚片512を基板11に当接させ、かつ、連結片53の先端に形成したフック531を基板11の開口部11eの上縁に沿って背面側に折り曲げた上フランジ11e1に当接させた状態で連結部材50を左側方向に移動させる。この場合、コ字状本体51の他方の脚片512は基板11から浮き上がるように配設されたソレノイド17と基板11の間の隙間に挿入される。そして、連結部材50のコ字状本体51の底部がソレノイド17に当接するとコ字状本体51の他方の脚片512がソレノイド17の背後に位置する一方、コ字状本体51の一方の脚片511がソレノイド17の上方に位置する態様でコ字状本体51がソレノイド17の右端側外郭を取り囲むように配設される。この状態で連結片53の先端に形成したフック531は、ソレノイド17におけるプランジャー170の左右に張り出した肩部よりも下方に位置している。すなわち、ソレノイド17におけるプランジャー170左右に張り出した肩部は、基板11の開口部11eの上縁に沿って背面側に折り曲げた上フランジ11e1の上方に位置しているので、当該上フランジ11e1に当接した状態で組み付けられる連結片53の先端に形成したフック531がソレノイド17におけるプランジャー170の左右に張り出した肩部よりも下方に位置することとなる。そして、連結片53の先端に形成したフック531が前記上フランジ11e1に当接していることにより連結片53の下降位置が定められる。前述したように、コ字状本体51がソレノイド17の右端側外郭を取り囲むように配設される連結部材50はソレノイド17によりガイドされて上下方向にスライド自在である。なお、図2の(a)では図示を省略したが、売切検出スイッチ18のマイクロスイッチ181への配線をカバーするプラスチック製の配線カバーがソレノイド17におけるプランジャー170の背後を横切るように配設されているものであり、連結部材50における連結片53が前記配線カバーの下方に潜り込むことによっても連結部材50の脱落が防止されている。前記配線カバーに保護された配線と売切検出スイッチ18のマイクロスイッチ181との接続は、配線の端部に接続された配線接続用コネクタを売切検出スイッチ18の額縁状の取付台180取り付けられたソケットに差し込むことによって行われる。
【0041】
さて、図1に戻り、左右一対のラック側板81,81には上下方向に延在する長穴80,80が形成されている。図1の商品収納ラック8aのA部を拡大して示す図5も参照すると理解できるように、前記長穴80,80は左右一対のラック側板81,81に架設される上側のピン部材Pよりも上方に位置している。言い換えれば、前記長穴80,80は背中合わせに抱き合わせて商品収納ラック8に装着される商品搬出装置10の上方に位置している。また、前記長穴80,80の上端部には挿通穴80aが長穴80に連通して形成されている。そして、前記長穴80,80を貫通して可動バー20がラック側板81,81に上下方向にスライド移動自在に架設されている。前記可動バー20が連結部材50とともに請求項1の引き外し部材を構成する。前記可動バー20は、図6に示すように、Uチャンネル状の長尺部材からなり、左右一対の側板81,81から外方に突出する端部に抜け止めとして折り曲げられた左右一対の舌片21を有している。前記可動バー20は左右一対のラック側板81,81の間の寸法よりも長く形成され、左右一対のラック側板81,81から外方に突出する突出寸法が左右一対のラック側板81,81の前後縁に外側に膨出する態様で形成された膨出部801,801の膨出寸法よりも僅かに小さくなるように形成されている。
【0042】
前記可動バー20の左右一対のラック側板81,81への組み付けは、蛇行状の商品収納通路83を形成する前後一対の湾曲状レールセグメント列82の組み付け工程で行われる。すなわち、湾曲状レールセグメント列82(個別のレールセグメント、若しくは連続した湾曲面を備えた連続のレールセグメント)は、水平面からなる作業台に寝かせた状態の一方のラック側板81にレールセグメントの一端を係止固定した後、他方のラック側板81を、レールセグメントを覆うように被せたうえでレールセグメントの他端を他方のラック側板81に係止固定することにより組み付けられる。この湾曲状レールセグメント列82の組み付けの工程において前記可動バー20は次のように左右一対のラック側板81,81に組み付けられる。すなわち、作業台に寝かされた一方のラック側板81に形成された長穴80およびその長穴80に連通する挿通穴80aに可動バー20の一方の端部および舌片21(ここでは、舌片21が予め折り曲げられた可動バー20が製造ラインに投入される例を示す)を対峙させてその可動バー20の一方の端部を、長穴80を貫通させるとともに舌片21を挿通穴80aに貫通させた後、他方のラック側板81を被せる際に前記可動バー20の他方の端部および舌片21を他方のラック側板81の長穴80およびその長穴80に連通する挿通穴80aに対峙させてその可動バー20の他方の端部を長穴80を貫通させるとともに舌片21を挿通穴80aに貫通させ、前記可動バー20を長穴80に沿って下端部側(挿通穴80aとは反対側)にスライドさせることにより組み付けられる。
【0043】
また、図1図5に示すように、左右一対のラック側板81,81のうちの一方のラック側板81(この実施の形態では正面視右側のラック側板81)の外壁にはラック側板81から外方に突出した可動バー20に交差する通路を形成するトンネル31,31を備えたガイド部材30が固着されている。そして、ラック側板81の膨出部801,801におけるガイド部材30のトンネル31の延長線上の箇所は切り欠いて操作レバー40の挿脱溝802として形成されている。前記ラック側板80の挿脱溝802およびガイド部材30のトンネル31,31には薄板鋼板からなる長尺の操作レバー40が前後方向に案内され、その際ガイド部材30は操作レバー40のガイドレールとして機能する。操作レバー40は先端が先細となるように斜めにカットされており、ガイド部材30に案内されて後方に移動する際、可動バー20の下方に潜り込んで可動バー20を上方へ容易にスライド移動させるように構成されている。なお、商品収納ラック8a,8b,8cの上下方向の長さが後段側の商品収納ラック8bから前段側の商品収納ラック8aに向かうに従って長く、商品収納ラック8a,8b,8cの下端が商品収納ラック8から払い出された商品を送出するシュータ9(図9参照)の前傾姿勢に合わせて庫内奥行き方向に上り用の階段状になるように形成されていることからガイド部材30により形成される操作レバー40の案内通路を前方側に対して後方側が高くなるように傾斜した通路とし、長尺の操作レバー40により商品収納ラック8a,8b,8cに設けた可動バー20を操作可能としている。
【0044】
前記ラック側板81,81に架設された可動バー20には商品搬出装置10に追加装備された連結部材50における引出片52の先端に設けたフック521が係合する(図7参照)。なお、図7は、2個の商品搬出装置10を背中合わせに抱き合わせて商品収納ラック8に架設された上側のピン部材Pに装着された状態を示す概略側面図であって、図2図3の商品搬出装置10(図では右側の商品搬出装置10)に搭載されたソレノイド17のプランジャー170にメッシュを付して示し、連結部材50の外郭を塗り潰して示し、相手方の商品搬出装置(および基板)を符号10A(および11A)で示している。
【0045】
前記連結部材50における引出片52の先端に設けたフック521の可動バー20への係合は、商品搬出装置10を商品収納ラック8に装着する際に自動的に行われる。すなわち、商品搬出装置10の商品収納ラック8に取付けについては、前述したとおり、基板11の上フランジ11aに形成したガイド片11a2,11a2を上側のピン部材Pに当接させた状態で商品搬出装置10を上方にスライドさせて基板11に形成したフック片11a1,11a1(図2図3参照)とガイド突起11c1,11d1との間に上側のピン部材Pを嵌め込むのであるが、基板11の上フランジ11aに形成したガイド片11a2,11a2を上側のピン部材Pに当接させ際、商品搬出装置10は上部側に対して下部側が商品収納通路83側に突出するように傾けた傾斜姿勢(図7では上側のピン部材Pを通る鉛直線に対して右斜め下方から上側のピン部材Pに交差する直線の方向であり、例えれば、上側のピン部材Pを支点として商品搬出装置10を反時計方向に回動させた姿勢)で差し込まれる。したがって、通常の手順のとおりに商品搬出装置10の取り付けを行えば、連結部材50の引出片52の先端に設けたフック521は、上側のピン部材Pの下方を通過して上側のピン部材Pの左側の領域に進入する。そして、基板11の上フランジ11aに形成したガイド片11a2,11a2を上側のピン部材Pに当接させた状態で商品搬出装置10を上方にスライドさせて基板11に形成したフック片11a1,11a1(図2図3参照)とガイド突起11c1,11d1との間に上側のピン部材Pを嵌め込んだ後、商品搬出装置10における基板11の下部に固着されたフック部材F(図2図3参照)を下側のピン部材Pに係合させると上下一対のピン部材P,Pに商品搬出装置10が装着される。その際、連結部材50の引出片52の先端に設けたフック521が可動バー20の上部領域に移動して可動バー20と係合可能となる。なお、仮に、商品搬出装置10の傾斜姿勢の角度が小さくてフック521の傾斜面が可動バー20に当接した場合にも前記フック521の傾斜面が可動バー20に当接すると引出片52が撓み、前記フック521の傾斜面が可動バー20を乗り越えると引出片52の復元力により可動バーと係合可能となる。このように商品搬出装置10を商品収納ラック8に装着した状態において連結部材50における引出片52の先端に形成したフック521が可動バー20に係合している(図7の(a)参照)。
【0046】
また、上下一対のピン部材P,Pに装着された商品搬出装置10を取り外す際、可動バー20とフック521との係合が自動的に解除される。すなわち、フック部材Fと下側のピン部材Pとの係合を解除した後、基板11の上フランジ11aに形成したガイド片11a2,11a2が上側のピン部材Pに当接した状態で商品搬出装置10を商品収納通路83側に突出するように傾けた傾斜姿勢とすると、連結部材50の引出片52の先端に設けたフック521が可動バー20の上部領域から左側の領域に退避する。上側のピン部材Pに当接したガイド片11a2,11a2をガイドとして商品収納通路83側に突出するように傾けた傾斜姿勢の商品搬出装置10を右斜め下方にスライドさせると連結部材50の引出片52の先端に設けたフック521が可動バー20と係合することなく右斜め下方にスライド移動するので、商品搬出装置10を商品収納ラック8から取り外すことができる。
【0047】
かかる商品搬出装置10を商品収納ラック8に装着した状態において、図7の(a)に示すように、連結部材50における引出片52の先端に形成したフック521が可動バー20に係合しており、震災などによりライフラインが停止した緊急時には外扉6(図10参照)および内扉7(図10参照)を開放した後、商品収納ラック8aにおけるラック側板81の前縁に形成された膨出部801に開口した挿脱溝802(図5参照)から操作レバー40を差し込む。前記挿脱溝802から差し込まれカイド部材30に案内されて後方に移動する操作レバー40の先端が可動バー20の下方に潜り込むと可動バー20が上方へスライド移動する(図7の(b)参照)。可動バー20の上方へのスライド移動に伴って商品搬出装置10に追加装備された連結部材50における基板11から外側に引き出された引出片52のフック521が可動バー20に係合すると可動バー20の上方へのスライド移動が連結部材50に伝達されて連結部材50も上昇する。この連結部材50の上昇により下方に延在した連結片53が上昇してソレノイド17のプランジャー170を引き上げる。この状態は、通常販売時における販売待機状態から販売指令によりソレノイド17が通電された状態に相当し、リンク機構15を介して商品収納通路83に突出した突出位置にロックされた第1ストッパ部材12のロックを解除して最下位の商品が搬出される。また、背中合わせに抱き合わせて取付けられた相手方の商品搬出装置10に装備された連結片53も上昇してソレノイド17のプランジャー170を引き上げるので、当該商品搬出装置10のリンク機構15を介して商品収納通路83に突出した突出位置にロックされた第1ストッパ部材12のロックを解除して最下位の商品が搬出され、商品収納ラック8aにおける1,2列目の商品収納通路83,83から最下位の商品が搬出される。なお、操作レバー40により上方へスライド移動する可動バー20の移動量は、操作レバー40が配設される左右一対のラック側板81,81のうちの一方のラック側板81(この実施の形態では正面視右側のラック側板81)側の移動量に対して他方のラック側板81側の移動量が小さくなるが、図2図3を用いて説明したとおり、第1ストッパ部材12のロック解除がリンク部材150の下端に形成された左右一対の下係合腕150cに保持された下リンク軸151と回動ストッパ16のロック溝163との係合を引き外すような少しの量(ストローク)であればよい。つまり、ソレノイド17のストロークほどの移動量を必要としないので、操作レバー40の幅を適宜定めることにより背中合わせに抱き合わせて装着された一対(2個)の商品搬出装置10から商品を搬出することができる。
【0048】
更に操作レバー40を奥に向けて差し込んで商品収納ラック8b,8cの可動バー20を上方にスライド移動させると当該商品収納ラック8b,8cに取付けられた商品搬出装置10に装備された連結部材50を介してそれぞれの商品搬出装置10から前述と同様に最下位の商品が搬出される。そして、操作レバー40を引き抜くとそれぞれの商品搬出装置10の第1ストッパ部材12が商品収納通路83に突出するように復帰して商品を保持する。引き続き商品を搬出する際には操作レバー40を差し込むという動作を繰り返す。
【0049】
前述したようにこの実施の形態1の自動販売機によれば、断熱筐体として形成された本体キャビネット1の商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部801,801を有する左右のラック側板81,81間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路83に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置10を有する商品収納ラック8が配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置10は、基板11の開口部11eから商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路83から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材12と、前記基板11の開口部11eから商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路83の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材13と、前記第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構15と、前記リンク機構15を駆動するソレノイド17とを備え、前記ソレノイド17の励磁・釈放によりリンク機構15を介して第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を商品収納通路83に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材13により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置10の基板11の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置10における少なくとも第1ストッパ部材12のロック解除動作をリンク機構15に伝達する引き外し部材(可動バー20、連結部材50)を設け、当該引き外し部材をアタッチメント部材(操作レバー40)を介して手動操作することにより商品搬出装置10を作動させて販売商品を払い出すことにより、大幅な設計変更を行うことなく引き外し部材を追加装備するという簡単な構成によりライフラインが停止した緊急時には引き外し部材を手動操作することにより商品搬出装置10を作動させて販売商品を払い出すことができ、緊急時の食品供給拠点として活用することができる自動販売機を安価に提供することができる。また、引き外し部材(連結部材50)を配備した状態で商品搬出装置を商品収納ラックに着脱することが可能となる利点を有する。
【0050】
なお、上記実施の形態1の自動販売機においては、左右一対のラック側板81,81のうちの一方のラック側板81の外壁に操作レバー40を案内するガイド部材30を設けたものについて説明したが、左右一対のラック側板81,81の外壁に操作レバー40を案内するガイド部材30を設けることもできる、すなわち、一対のラック側板81,81の両側から操作レバー40を差し込んで可動バー20を手動操作することができるものである。また、ガイド部材30は、ラック側板81,81と別個の部材とすることなく、ラック側板81,81に一体に形成することもできるものである。
(実施の形態2)
図8および図9は本発明の実施の形態2の自動販売機に係る商品収納ラックに搭載された商品搬出装置10を示し、各図において、実施の形態1に係る商品搬出装置10と同一のものには同一の符号を付している。
【0051】
図8において、10で再び自動販売機の商品収納ラックに搭載された商品搬出装置を示し、前記商品搬出装置10は、図2図3に示す実施の形態1と同様に、基板11の開口部11eから商品収納通路83(図3参照)に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83(図3参照。以下、同様)の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に向けてねじりコイルばね103により付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路83から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材12と、前記基板11の開口部11eから商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路83の下から2番目位置の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材13と、前記第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を突出位置と退避位置とに移動させ、かつ、前記第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を突出位置にロックする態様で往復動作するリンク機構15と、前記リンク機構15を駆動するソレノイド17とを備え、前記ソレノイド17の励磁・釈放によりリンク機構15を介して第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を商品収納通路83に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材13により保持したうえで販売商品を払い出すように構成されている。
【0052】
この実施の形態2に係る商品搬出装置10が実施の形態1の商品搬出装置10と相違する点は、上端(一端)がリンク機構15を構成するリンク部材150に保持された下リンク軸151に係合し、下端(他端)が基板11の下フランジ11bに臨むスライド部材60を追加装備した点である。このスライド部材60が請求項4の引き外し部材を構成する。前記スライド部材60は、図9の(b)にも示すように、薄板鋼板を適宜折り曲げて形成されてなり、垂下基板61の上部に上下方向に延在する引き外し穴611が形成されるとともに垂下基板61の下部に上下方向に延在する保持穴612が形成される一方、垂下基板61から直角に折り曲げられて下方に延在する操作板62の下端に押圧片621が折り曲げ形成されたものである。また、垂下基板61の下部にはその端縁から保持穴612に向けて折り返すように折り曲げられ、垂下基板61の板面との間に溝を形成する挟持片613が設けられている。前記スライド部材60は、引き外し穴611にリンク部材150の下端に形成された左右一対の下係合腕150c(図9の(a)参照)に保持された下リンク軸151が挿通されるとともに保持穴612に前記下リンク軸151と係合して突出位置にロックされる回動ストッパ16の回動支点となる回動ストッパ軸161が挿通され、押圧片621が基板11の下フランジ11bに臨む態様で配設されている。また、前記スライド部材60は、挟持片613と垂下基板61の板面との間に形成された溝が基板11における開口部11eの下フランジ11e2から切り起こしにより形成された平板状の突起片(不図示)に遊嵌され、これにより上下方向への移動が許容される一方、下リンク軸151や回動ストッパ軸161の軸線方向への移動が阻止される。なお、商品搬出装置10の基板11の下フランジ11bの高さ寸法は、左右フランジ11c,11dの高さ寸法より短く形成されており、2つの商品搬出装置10を背中合わせに抱き合わせた際、対向する下フランジ11b,11bの間には隙間が生じるものであり、この隙間にスライド部材60の押圧部621が臨むように構成されている。
【0053】
ここで、スライド部材60の引き外し穴611と保持穴612とは商品搬出装置10の販売機待機状態で保持穴612の上端(上縁)に回動ストッパ軸161が当接してスライド部材60が保持されている状態において引き外し穴611の下端(下縁)に下リンク軸151が位置するように定められている。つまり、商品搬出装置10の販売待機状態とは実施の形態1で説明したとおり、リンク部材150が復帰ばね19により下限位置まで下降し、これに伴って下リンク軸151が下降して回動ストッパ16を突出位置にロック(第1ストッパ部材12は回動ストッパ16により突出位置にロックされて退避位置への移動を阻止されている)している状態であり、この販売待機状態でスライド部材60は保持穴612の上端(上縁)に回動ストッパ軸161が当接し、引き外し穴611の下端(下縁)に下リンク軸151が位置した待機状態に保持されている。この待機状態でスライド部材60の下端部に形成された押圧片621が基板11の下フランジ11bに臨んで配置されている。そして、スライド部材60の引き外し穴611の上下方向の長さは、商品搬出装置10の通常の動作時においてリンク部材150が下限位置から上下位置まで上昇するストローク、つまり、ソレノイド17のストロークよりも僅かに長い寸法に定められている。
【0054】
かかる構成において、震災などによりライフラインが停止した緊急時には外扉6および内扉7(図10参照)を開放した後、商品収納ラック8の下方から手を差し入れて商品搬出装置10に配備したスライド部材60を操作する。この場合、スライド部材60の押圧片621が背中合わせに抱き合わされた2つの商品搬出装置10における基板11の対向する下フランジ11b,11bの間に形成される隙間に臨んで配設されているので、この2つの商品搬出装置10における基板11の対向する下フランジ11b,11bの間に形成された隙間から工具により押圧片621を押圧すると、スライド部材60の保持穴612が上下方向に延在しているのでスライド部材60が上昇する。スライド部材60が上昇すると、販売待機状態で復帰ばね19により下降している下リンク軸151が上動して突出位置にロックされた回動ストッパ16のロックが解除され、これに伴って突出位置にロックされて販売商品を保持した第1ストッパ部材12が突出位置から退避位置へ移動して販売商品が払い出される。ここで、スライド部材60の保持穴612の上下方向に延在する長さを、下リンク軸151の上動によりリンク部材150が上動して上リンク軸152によって第2ストッパ部材13が商品収納通路83(図3参照)に突出して次販売商品を保持するようなストロークより短く、下リンク軸151が回動ストッパ16のロックを引き外すだけの寸法とすることにより、スライド部材60の押圧片621を押し上げると第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13による商品の保持状態が解除されるので、商品収納通路83に収納された商品が連続して搬出される。なお、スライド部材60の保持穴612の上下方向に延在する長さを、下リンク軸151の上動によりリンク部材150が上動して上リンク軸152によって第2ストッパ部材13が商品収納通路83(図3参照)に突出して次販売商品を保持するようなストロークとすれば、スライド部材60の操作毎に商品を一個ずつ払い出すことができるものである。
【0055】
そして、スライド部材60の引き外し穴611の上下方向の寸法を、商品搬出装置10の通常の動作時においてリンク部材150が下限位置から上下位置まで上昇するストロークよりも僅かに長い寸法に定めたことにより、スライド部材60がソレノイド17の負荷となることがない。また、スライド部材60の押圧片621が基板11の下フランジ11bに臨む態様で配設されている、つまり、下フランジ11bから突出することがないように構成することにより、メンテナンス時等に不用意にスライド部材60が操作されること、或いは商品取出口から手を差し入れてスライド部材60を操作する悪戯を防止することができるものである。
【0056】
前述したようにこの実施の形態2に係る自動販売機によれば、断熱筐体として形成された本体キャビネット1の商品収納庫内に、前後縁に外方に膨出した膨出部801,801を有する左右のラック側板81,81間に前後列に並べて画成した蛇行状の商品収納通路83に商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出装置10を有する商品収納ラック8が配設された自動販売機であって、前記商品搬出装置10は、基板11の開口部11eから商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83の販売順位一番の商品(販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に向けて付勢され、前記販売商品の保持を解放する態様で前記商品収納通路83から退避する退避位置に移動可能に設けた第1ストッパ部材12と、前記基板11の開口部11eから商品収納通路83に出没自在に軸支され、前記商品収納通路83から退避する退避位置に向けて付勢され、前記商品収納通路83の販売順位二番の商品(次販売商品)を保持する態様で前記商品収納通路83に突出する突出位置に移動可能に設けた第2ストッパ部材13と、前記第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を突出位置と退避位置とに移動させるリンク機構15と、前記リンク機構15を駆動するソレノイド17とを備え、前記ソレノイド17の励磁・釈放によりリンク機構15を介して第1ストッパ部材12および第2ストッパ部材13を商品収納通路83に交互に出没させて次販売商品を第2ストッパ部材13により保持したうえで販売商品を払い出すものにおいて、前記商品搬出装置10の基板11の外部から手動操作されるとともに前記商品搬出装置10における少なくとも第1ストッパ部材12のロック解除動作をリンク機構15に伝達する引き外し部材(スライド部材60)を設け、当該引き外し部材を直接手動操作することにより商品搬出装置10を作動させて販売商品を払い出すことにより、大幅な設計変更を行うことなく引き外し部材を追加装備するという簡単な構成によりライフラインが停止した緊急時には引き外し部材を手動操作することにより商品搬出装置10を作動させて販売商品を払い出すことができ、緊急時の食品供給拠点として活用することができる自動販売機を安価に提供することができる。また、引き外し部材(スライド部材60)を配備した状態で商品搬出装置を商品収納ラックに着脱することが可能となる利点を有する。
【0057】
なお、実施の形態1の引き外し部材を構成する連結部材50,可動バー20、実施の形態2の引き外し部材を構成するスライド部材60の構成は発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更することができるものである。したがって、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1…本体キャビネット、6…外扉、10…商品搬出装置、11…基板、11a,11b,11c,11d…フランジ、12…第1ストッパ部材、13…第2ストッパ部材、14…軸受部材、15…リンク部材、16…回動ストッパ、17…ソレノイド、18…売切検出スイッチ、20…可動バー、21…舌片、30…ガイド部材、31…トンネル、50…連結部材、52…引出片、53…連結片、60…スライド部材、80…長穴、151…下リンク軸、521…フック、531…フック、611…引き外し穴、612…保持穴、621…押圧片、801…膨出部、802…挿脱溝、P…ピン部材。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11