(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
吸入室、吐出室、斜板室及びシリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記駆動軸と前記斜板との間に設けられ、前記駆動軸の回転軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾斜角度に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記傾斜角度を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記斜板室は前記吸入室と連通し、
前記アクチュエータは、前記斜板室内で前記駆動軸に固定された固定体と、前記斜板室内で前記回転軸心方向に移動可能な可動体と、前記固定体と前記可動体とにより区画され、前記吐出室内の潤滑油を含んだ冷媒を導入することにより前記可動体を移動させる制御圧室とを有し、
前記ハウジングには、前記吐出室及び前記制御圧室と連通する圧力調整室と、前記斜板室と前記圧力調整室とを連通する軸孔とが形成され、
前記軸孔には、前記駆動軸を回転可能に支持する軸受が配置され、
前記駆動軸と前記軸孔との間には、前記軸受を介して前記圧力調整室と前記斜板室とを連通する連通路が設けられ、
前記連通路内には、前記駆動軸周りに配置された環状部材が設けられ、
前記環状部材は、前記圧力調整室と前記斜板室とを常時連通する絞りを有し、
前記環状部材は、前記圧力調整室と前記斜板室との圧力差に基づいて前記連通路を移動することにより、前記連通路を流通する前記冷媒の流量を調整することを特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
前記環状部材は、前記回転軸心と平行な軸方向に延びる第1切欠きと、前記第1切欠きに対して前記軸方向と直交する周方向でずれつつ、前記第1切欠きの延長方向で前記軸方向に延びる第2切欠きと、前記周方向に延び、前記第1切欠きと前記第2切欠きとを接続する第3切欠きとを有し、
前記第3切欠きが前記絞りである請求項1又は2記載の容量可変型斜板式圧縮機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上記従来の圧縮機では、駆動軸と軸孔との間の潤滑が不十分となり、ここに焼付きが生じ、耐久性が低下することが懸念される。
【0013】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、高い耐久性を発揮可能な容量可変型斜板式圧縮機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の容量可変型斜板式圧縮機は、吸入室、吐出室、斜板室及びシリンダボアが形成されたハウジングと、前記ハウジングに回転可能に支持された駆動軸と、前記駆動軸の回転によって前記斜板室内で回転可能な斜板と、前記駆動軸と前記斜板との間に設けられ、前記駆動軸の回転軸心に直交する方向に対する前記斜板の傾斜角度の変更を許容するリンク機構と、前記シリンダボアに往復動可能に収納されたピストンと、前記斜板の回転により、前記傾斜角度に応じたストロークで前記ピストンを前記シリンダボア内で往復動させる変換機構と、前記傾斜角度を変更可能なアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する制御機構とを備え、
前記斜板室は前記吸入室と連通し、
前記アクチュエータは、前記斜板室内で前記駆動軸に固定された固定体と、前記斜板室内で前記回転軸心方向に移動可能な可動体と、前記固定体と前記可動体とにより区画され、前記吐出室内の潤滑油を含んだ冷媒を導入することにより前記可動体を移動させる制御圧室とを有し、
前記ハウジングには、前記吐出室及び前記制御圧室と連通する圧力調整室と、前記斜板室と前記圧力調整室とを連通する軸孔とが形成され、
前記軸孔には、前記駆動軸を回転可能に支持する軸受が配置され、
前記駆動軸と前記軸孔との間には、前記軸受を介して前記圧力調整室と前記斜板室とを連通する連通路が設けられ、
前記連通路内には、前記駆動軸周りに配置された環状部材が設けられ、
前記環状部材は、前記圧力調整室と前記斜板室とを常時連通する絞りを有し、
前記環状部材は、前記圧力調整室と前記斜板室との圧力差に基づいて前記連通路を移動することにより、前記連通路を流通する前記冷媒の流量を調整することを特徴とする。
【0015】
本発明の圧縮機では、ハウジングに圧力調整室が形成されており、この圧力調整室は吐出室と連通している。このため、圧力調整室には、吐出室内の冷媒中に含まれる潤滑油が貯留される。また、この圧縮機では圧力調整室と斜板室
とを連通する軸孔がハウジングに形成されており、この軸孔には、駆動軸を回転可能に支持する軸受が配置されている。さらに、この圧縮機では、駆動軸周りに環状部材が配置されており、この環状部材は連通路に設けられている。
【0016】
ここで、この環状部材は、圧力調整室と斜板室との圧力差に基づいて連通路を移動することにより、連通路を流通する冷媒の流量を調整する。具体的には、圧力調整室と斜板室との圧力差が大きくなると、環状部材は、連通路を流通する冷媒の流量が減少するように連通路を移動する。一方、圧力調整室と斜板室の圧力差が小さくなると、環状部材は、連通路を流通する冷媒の流量が増大するように連通路を移動する。
【0017】
そして、このように連通路を冷媒が流通する際、この圧縮機では、冷媒と共に潤滑油も連通路を流通する。これにより、この圧縮機では、軸孔に潤滑油を供給することが可能となり、この供給された潤滑油によって、軸受と駆動軸との間を好適に潤滑することが可能となる。この際、この圧縮機では、上記のように環状部材が連通路を流通する冷媒の流量を調整することに伴い、軸孔に供給される潤滑油の供給量も調整される。このため、この圧縮機では、駆動軸と軸受との間に焼付きが生じ難い。
【0018】
したがって、本発明の圧縮機は、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、高い耐久性を発揮する。
【0019】
特に、この圧縮機では、環状部材が連通路を流通する冷媒の流量を調整することにより、連通路を通じて必要以上に圧力調整室から斜板室へ冷媒が流通することを防止しつつ、圧力調整室内の圧力を調整することが可能である。このため、この圧縮機では、吐出室内の冷媒の圧力によって制御圧室の圧力を変更し易く、吐出容量を好適に変更することが可能である。
【0020】
このように、この圧縮機では、環状部材が連通路を流通する冷媒の流量を調整、ひいては、圧力調整室の圧力を調整するバルブとして機能する。さらに、この環状部材は、軸受に供給される潤滑油の供給量を調整するバルブとしても機能する。一般的にこれらのようなバルブは構成が複雑で体格も大きいことから駆動軸の周りに配置することは困難である。これに対し、この圧縮機では、環状部材が絞りを有するという簡単な構成であることから、環状部材を駆動軸の周りに配置しつつ、上記のようなバルブとして機能させることが可能となっている。
【0021】
環状部材は、連通路を好適に移動するだけでなく、駆動軸と軸孔との間で良好な摺動性を確保できることが好ましい。また、環状部材は、耐久性や耐油性が高いことが好ましい。さらに、環状部材は、潤滑油に対する親和性に優れていることが好ましい。これらのため、環状部材は、例えば、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の樹脂や金属によって形成されることが好ましい。一方、例えば、ゴム製のOリングのように、連通路を封止して、冷媒や潤滑油の流通を阻止するような部材は、本発明における環状部材には含まれない。
【0022】
連通路は、駆動軸と軸孔との間に形成された凹条部を有し得る。そして、環状部材は、凹条部内に配置されていることが好ましい。この場合には、連通路に環状部材を容易に設けることが可能となる。また、環状部材は、圧力調整室と斜板室との圧力差によって、凹条部内を移動することとなる。
【0023】
環状部材は、回転軸心と平行な軸方向に延びる第1切欠きと、第1切欠きに対して軸方向と直交する周方向でずれつつ、第1切欠きの延長方向で軸方向に延びる第2切欠きと、周方向に延び、第1切欠きと第2切欠きとを接続する第3切欠きとを有し得る。そして、第3切欠きが絞りであることが好ましい。
【0024】
環状部材が駆動軸周りに配置される際、軸方向に延びる第1、2切欠きは、駆動軸の径の公差や組み付け時の公差等により幅が変わり易い。これに対し、周方向に延びる第3切欠きは幅が変わり難い。このため、第3切欠きを絞りとすることにより、連通路を流通する冷媒の流量を好適に調整することが可能となる。
【0025】
本発明の圧縮機において、軸受は、駆動軸と軸孔との間に設けられるラジアル軸受であり得る。また、環状部材及びラジアル軸受は、駆動軸周りに設けられて圧力調整室と斜板室との間に配置され得る。そして、ラジアル軸受は、環状部材よりも圧力調整室側に配置されていることが好ましい。
【0026】
また、本発明の圧縮機において、軸受は、駆動軸と軸孔との間に設けられるラジアル軸受であり得る。さらに、環状部材及びラジアル軸受は、駆動軸周りに設けられて圧力調整室と前記斜板室との間に配置され得る。そして、環状部材は、ラジアル軸受よりも圧力調整室側に配置されていることも好ましい。
【0027】
これらの場合には、ラジアル軸受により、駆動軸を好適に支持することが可能となる。そして、圧力調整室内の潤滑油によって、ラジアル軸受を好適に潤滑することが可能となる。このため、これらの圧縮機では、この圧縮機では、駆動軸とラジアル軸受との間に焼付きが生じ難い。
【0028】
このようにラジアル軸受が設けられる場合、環状部材の外径又は内径は、ラジアル軸受の外径又は内径と略同一であることが好ましい。また、環状部材の内径は、ラジアル軸受の外径又は内径と略同一であることも好ましい。
【0029】
これらにより、例えば、環状部材のみが軸孔と摺接し、ラジアル軸受は軸孔と摺接しない状態となったり、ラジアル軸受は軸孔と摺接するものの、環状部材は軸孔と摺接しない状態となったりすることを防止できる。このため、この圧縮機では、環状部材とラジアル軸受とについて、共に好適に機能させることが可能となる。
【0030】
ここで、環状部材の外径又は内径と、ラジアル軸受の外径又は内径とにおいて、環状部材やラジアル軸受における部品毎の公差や、組み付け時の公差等による差異が生じていても、これらについては、本発明における略同一の範囲とすることができる。同様に、環状部材とラジアル軸受とを共に機能させる目的が達成できるのであれば、環状部材の外径又は内径と、ラジアル軸受の外径又は内径とに差異が生じていても、本発明における略同一の範囲とすることができる。
【0031】
本発明の圧縮機において、連通路に設けられる環状部材は一つでも良く、複数でも良い。特に、環状部材は複数であることが好ましい。この場合には、複数の環状部材によって、圧縮機の作動時に個々の環状部材に作用する負荷を調整することが可能となる。このため、この圧縮機では、環状部材の耐久性を高くすることができる。
【0032】
本発明の圧縮機において、駆動軸は、駆動軸本体と、駆動軸本体に嵌合され、凹状部が凹設されたキャップとを有していることが好ましい。この場合には、駆動軸本体の形状の複雑化を抑制でき、駆動軸を容易に製造することが可能となる。また、駆動軸に対して環状部材を設け易くなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の圧縮機は、アクチュエータを用いて吐出容量を変更する圧縮機において、高い耐久性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。実施例1〜3の圧縮機は容量可変型両頭斜板式圧縮機である。これらの圧縮機は、いずれも車両に搭載されており、車両用空調装置の冷凍回路を構成している。
【0036】
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の圧縮機は、ハウジング1と、駆動軸3と、斜板5と、リンク機構7と、複数のピストン9と、一対のシュー11a、11bと、アクチュエータ13と、
図2に示す制御機構15とを備えている。
【0037】
図1に示すように、ハウジング1は、圧縮機の前方に位置するフロントハウジング17と、圧縮機の後方に位置するリヤハウジング19と、フロントハウジング17とリヤハウジング19との間に位置する第1、2シリンダブロック21、23と、第1、2弁形成プレート39、41とを有している。
【0038】
フロントハウジング17には、前方に向かって突出するボス17aが形成されている。このボス17a内には軸封装置25が設けられている。また、フロントハウジング17内には、第1吸入室27a及び第1吐出室29aが形成されている。第1吸入室27aはフロントハウジング17の内周側に位置している。第1吐出室29aは環状に形成されており、フロントハウジング17において、第1吸入室27aの外周側に位置している。
【0039】
さらに、フロントハウジング17には、第1フロント側連通路18aが形成されている。この第1フロント側連通路18aは、前端側が第1吐出室29aに連通しており、後端側がフロントハウジング17の後端に開いている。
【0040】
リヤハウジング19には、上記の制御機構15が設けられている。また、リヤハウジング19には、第2吸入室27b、第2吐出室29b及び圧力調整室31が形成されている。圧力調整室31はリヤハウジング19の中心部分に位置している。第2吸入室27bは環状に形成されており、リヤハウジング19において、圧力調整室31の外周側に位置している。第2吐出室29bも環状に形成されており、リヤハウジング19において、第2吸入室27bの外周側に位置している。
【0041】
さらに、リヤハウジング19には、第1リヤ側連通路20aが形成されている。この第1リヤ側連通路20aは、後端側が第2吐出室29bに連通しており、前端側がリヤハウジング19の前端に開いている。
【0042】
第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック23との間には、斜板室33が形成されている。この斜板室33は、ハウジング1における前後方向の略中央に位置している。
【0043】
第1シリンダブロック21には、複数個の第1シリンダボア21aが周方向に等角度間隔でそれぞれ平行に形成されている。また、第1シリンダブロック21には、駆動軸3を挿通させる第1軸孔21bが形成されている。この第1軸孔21b内には、第1滑り軸受22aが設けられている。なお、第1滑り軸受22aに換えて、転がり軸受を設けても良い。
【0044】
さらに、第1シリンダブロック21には、第1軸孔21bと連通して第1軸孔21bと同軸をなす第1凹部21cが形成されている。第1凹部21cは斜板室33と連通しており、斜板室33の一部となっている。第1凹部21cは、前端に向かって段状に縮径する形状とされている。第1凹部21cの前端には、第1スラスト軸受35aが設けられている。さらに、第1シリンダブロック21には、斜板室33と第1吸入室27aとを連通する第1連絡路37aが形成されている。また、第1シリンダブロック21には、後述する各第1吸入リード弁391aの最大開度を規制する第1リテーナ溝21eが凹設されている。
【0045】
さらに、第1シリンダブロック21には、第2フロント側連通路18bが形成されている。この第2フロント側連通路18bは、前端が第1シリンダブロック21の前端側に開いており、後端が第1シリンダブロック21の後端側に開いている。
【0046】
第2シリンダブロック23にも、第1シリンダブロック21と同様、複数個の第2シリンダボア23aが形成されている。各第2シリンダボア23aは、各第1シリンダボア21aと前後で対になっている。各第1シリンダボア21aと各第2シリンダボア23aとは同径に形成されている。
【0047】
また、第2シリンダブロック23には、駆動軸3を挿通させる第2軸孔23bが形成されている。第2軸孔23bは後端側で圧力調整室31と連通している。この第2軸孔23bが本発明における軸孔に相当している。また、この第2軸孔23内には、第2滑り軸受22bが設けられている。この第2滑り軸受22bが本発明におけるラジアル軸受に相当している。なお、第2滑り軸受22bに換えて、転がり軸受を設けても良い。
【0048】
また、第2シリンダブロック23には、第2軸孔23bと連通して第2軸孔23bと同軸をなす第2凹部23cが形成されている。第2凹部23cも斜板室33と連通しており、斜板室33の一部となっている。これにより、第2軸孔23bは前端側で斜板室33と連通している。第2凹部23cは、後端に向かって段状に縮径する形状とされている。第2凹部23cの後端には、第2スラスト軸受35bが設けられている。さらに、第2シリンダブロック23には、斜板室33と第2吸入室27bとを連通する第2連絡路37bが形成されている。また、第2シリンダブロック23には、後述する各第2吸入リード弁411aの最大開度を規制する第2リテーナ溝23eが凹設されている。
【0049】
第2シリンダブロック23には、吐出ポート230と、合流吐出室231と、第3フロント側連通路18cと、第2リヤ側連通路20bと、吸入ポート330とが形成されている。吐出ポート230と合流吐出室231とは、互いに連通している。この合流吐出室231は、吐出ポート230を介して管路を構成する図示しない凝縮器と接続している。
【0050】
第3フロント側連通路18cは、前端側が第2シリンダブロック23の前端に開いており、後端側が合流吐出室231に連通している。この第3フロント側連通路18cは、第1シリンダブロック21と第2シリンダブロック23とが接合することで、第2フロント側連通路18bの後端側と連通する。
【0051】
第2リヤ側連通路20bは、前端側が合流吐出室231に連通しており、後端側が第2シリンダブロック23の後端に開いている。
【0052】
吸入ポート330は、第2シリンダブロック23に形成されている。この吸入ポート330を介して斜板室33は、管路を構成する図示しない蒸発器と接続している。
【0053】
第1弁形成プレート39は、フロントハウジング17と第1シリンダブロック21との間に設けられている。また、第2弁形成プレート41は、リヤハウジング19と第2シリンダブロック23との間に設けられている。
【0054】
第1弁形成プレート39は、第1バルブプレート390と、第1吸入弁プレート391と、第1吐出弁プレート392と、第1リテーナプレート393とを有している。第1バルブプレート390、第1吐出弁プレート392及び第1リテーナプレート393には、第1シリンダボア21aと同数の第1吸入孔390aが形成されている。また、第1バルブプレート390及び第1吸入弁プレート391には、第1シリンダボア21aと同数の第1吐出孔390bが形成されている。さらに、第1バルブプレート390、第1吸入弁プレート391、第1吐出弁プレート392及び第1リテーナプレート393には、第1吸入連通孔390cが形成されている。また、第1バルブプレート390及び第1吸入弁プレート391には、第1吐出連通孔390dが形成されている。
【0055】
各第1シリンダボア21aは、各第1吸入孔390aを通じて第1吸入室27aと連通する。また、各第1シリンダボア21aは、各第1吐出孔390bを通じて第1吐出室29aと連通する。第1吸入連通孔390cを通じて、第1吸入室27aと第1連絡路37aとが連通している。第1吐出連通孔390dを通じて、第1フロント側連通路18aと第2フロント側連通路18bとが連通している。
【0056】
第1吸入弁プレート391は、第1バルブプレート390の後面に設けられている。この第1吸入弁プレート391には、弾性変形により各第1吸入孔390aを開閉可能な第1吸入リード弁391aが複数形成されている。また、第1吐出弁プレート392は、第1バルブプレート390の前面に設けられている。この第1吐出弁プレート392には、弾性変形により各第1吐出孔390bを開閉可能な第1吐出リード弁392aが複数形成されている。第1リテーナプレート393は、第1吐出弁プレート392の前面に設けられている。この第1リテーナプレート393は、各第1吐出リード弁392aの最大開度を規制する。
【0057】
第2弁形成プレート41は、第2バルブプレート410と、第2吸入弁プレート411と、第2吐出弁プレート412と、第2リテーナプレート413とを有している。第2バルブプレート410、第2吐出弁プレート412及び第2リテーナプレート413には、第2シリンダボア23aと同数の第2吸入孔410aが形成されている。また、第2バルブプレート410及び第2吸入弁プレート411には、第2シリンダボア23aと同数の第2吐出孔410bが形成されている。さらに、第2バルブプレート410、第2吸入弁プレート411、第2吐出弁プレート412及び第2リテーナプレート413には、第2吸入連通孔410cが形成されている。また、第2バルブプレート410及び第2吸入弁プレート411には、第2吐出連通孔410dが形成されている。
【0058】
各第2シリンダボア23aは、各第2吸入孔410aを通じて第2吸入室27bと連通している。また、各第2シリンダボア23aは、各第2吐出孔410bを通じて第2吐出室29bと連通している。第2吸入連通孔410cを通じて、第2吸入室27bと第2連絡路37bとが連通している。第2吐出連通孔410dを通じて、第1リヤ側連通路20aと第2リヤ側連通路20bとが連通している。
【0059】
第2吸入弁プレート411は、第2バルブプレート410の前面に設けられている。この第2吸入弁プレート411には、弾性変形により各第2吸入孔410aを開閉可能な第2吸入リード弁411aが複数形成されている。また、第2吐出弁プレート412は、第2バルブプレート410の後面に設けられている。この第2吐出弁プレート412には、弾性変形により各第2吐出孔410bを開閉可能な第2吐出リード弁412aが複数形成されている。第2リテーナプレート413は、第2吐出弁プレート412の後面に設けられている。この第2リテーナプレート413は、各第2吐出リード弁412aの最大開度を規制する。
【0060】
この圧縮機では、第1フロント側連通路18a、第1吐出連通孔390d、第2フロント側連通路18b及び第3フロント側連通路18cによって、第1吐出連通路18が形成されている。また、第1リヤ側連通路20a、第2吐出連通孔410d及び第2リヤ側連通路20bによって、第2吐出連通路20が形成されている。
【0061】
また、この圧縮機では、第1、2連絡路37a、37b及び第1、2吸入連通孔390c、410cにより、第1、2吸入室27a、27bと斜板室33とが互いに連通している。このため、第1、2吸入室27a、27b内と斜板室33内とは、圧力がほぼ等しくなっている。そして、斜板室33には、吸入ポート330を通じて蒸発器を経た低圧の冷媒ガスが流入することから、斜板室33内及び第1、2吸入室27a、27b内の各圧力は、第1、2吐出室29a、29b内よりも低圧である。
【0062】
駆動軸3は、駆動軸本体30と第1支持部材43aと第2支持部材43bとで構成されている。駆動軸本体30は、ハウジング1の前方側から後方側に向かって延びており、ボス17aから後方に向かって挿通されて、第1、2滑り軸受22a、22b内に挿通されている。これにより、駆動軸本体30、ひいては、駆動軸3は、回転軸心O周りで回転可能にハウジング1に軸支されている。駆動軸本体30の前端はボス17a内に位置しており、後端は圧力調整室31内に突出している。
【0063】
また、この駆動軸本体30には、斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とが設けられている。これらの斜板5とリンク機構7とアクチュエータ13とは、それぞれ斜板室33内に配置されている。
【0064】
第1支持部材43aは、駆動軸本体30の前端側に圧入されており、第1軸孔21b内において第1滑り軸受22aとの間に位置している。また、この第1支持部材43aには、第1スラスト軸受35aと当接するフランジ430が形成されているとともに、後述する第2ピン47bが挿通される取付部(図示略)が形成されている。さらに、第1支持部材43aは、第1復帰ばね44aの前端が固定されている。この第1復帰ばね44aは、回転軸心O方向で、第1支持部材43a側から斜板室33側に向かって延びている。
【0065】
図3に示すように、第2支持部材43bは、駆動軸本体30の後端側に圧入されており、第2軸孔23b内に位置している。この第2支持部材43bが本発明におけるキャップに相当する。第2支持部材43bの前端には、フランジ431が形成されている。このフランジ431は、第2凹部23c内に突出しており、第2スラスト軸受35bと当接している。また、第2支持部材43bには、後端側に縮径部432が形成されている。この縮径部432の後端は、圧力調整室31内に突出している。
【0066】
さらに、第2支持部材43bには、フランジ431と縮径部432との間となる位置に回転軸心Oと同心の第1、2凹条部433、434が凹設されている。これらの第1、2凹条部433、434は、第2滑り軸受22bを介して圧力調整室31と斜板室33とを連通している。第1凹条部433には第1環状部材61aが収納されており、第2凹条部434には、第2環状部材61bが収納されている。これにより、第1、2環状部材61a、61bは、第2支持部材43bと第2軸孔23bの間に位置している。
【0067】
また、第2滑り軸受22bは、縮径部432に圧入されている。こうして、第2滑り軸受22bは、第2軸孔23b内に設けられており、第2軸孔23bの後端側に位置している。そして、第2滑り軸受22bが第2軸孔23bの後端側に位置していることから、この圧縮機では、第2軸孔23b内において、第2滑り軸受22bは、第1、2環状部材61a、61bよりも圧力調整室31側に配置されている。また、第2滑り軸受22bの後端は、圧力調整室31に面している。
【0068】
第1環状部材61aの外径及び第2環状部材61bの外径と、第2滑り軸受22bの外径とは、略同一に形成されている。これにより、この圧縮機では、第1環状部材61aの外周面と、第2環状部材61bの外周面と、第2滑り軸受22bの外周面とがいずれも第2軸孔22bの内周面と摺接可能となっている。
【0069】
第1、2環状部材61a、61bは、いずれもPEEK製である。第1、2環状部材61a、61bは同一の構成であり、
図4の(A)に示すように、合口63をそれぞれ有している。以下、第1環状部材61aの
合口63を例に構成を説明する。
【0070】
同図の(B)に示すように、この合口63は、第1〜3切欠き630a〜630cによって形成されている。第1切欠き630aは第1環状部材61aの軸方向に延びている。第2切欠き630bは、第1切欠き630aに対して周方向でずれつつ、第1環状部材61aの軸方向に延びている。第3切欠き630cは、第1環状部材61aの厚さ方向の中央で周方向に延びており、第1切欠き630aと第2切欠き630bとに連続している。これらの第1〜3切欠き630a〜630cにより、合口63はクランク形状をなしている。そして、
図5に示すように、第1、2凹条部433、434内にそれぞれ環状部材61a、61bが設けられることにより、第3切欠き630cは、圧力調整室31と斜板室31とを常時連通する。このため、同図の実線矢印で示すように、この第3切欠き630cを冷媒と共に冷媒中に含まれる潤滑油が流通可能となっている。
【0071】
ここで、
図4の(C)に示すように、この合口63において、第3切欠き630cは、第1、2切欠き630a、630bと比較して冷媒等の流路面積が小さくなるように形成されている。これにより、第3切欠き630cは、第1、2環状部材61a、61bにおける絞りとなっている。そして、第2軸孔23bと第2支持部材43bとの間と、第1、2凹状部433、434と、各第3切欠き630cとは、本発明における連通路として機能する。なお、金属等によって
第1、2環状部材61a、61bを形成しても良い。
【0072】
図3に示すように、この圧縮機では、これらの第1、2環状部材61a、61bにより、第2軸孔23bと圧力調整室31とが区画されている。ここで、上記のように第1、2環状部材61a、61bには、それぞれ
合口63が形成されていることから、各
合口63を通じて、第2軸孔23bと圧力調整室31とを連通可能となっている。
【0073】
図1に示すように、斜板5は環状の平板形状をなしており、前面5aと後面5bとを有している。前面5aは、斜板室33内において圧縮機の前方に面している。また、後面5bは、斜板室33内において圧縮機の後方に面している。
【0074】
斜板5はリングプレート45に固定されている。このリングプレート45は環状の平板形状に形成されており、中心部に挿通孔45aが形成されている。斜板5は、斜板室33内において挿通孔45aに駆動軸本体30が挿通されることにより、駆動軸3に取り付けられている。
【0075】
リンク機構7はラグアーム49を有している。ラグアーム49は、斜板室33内において、斜板5よりも前方に配置されており、斜板5と第1支持部材43aとの間に位置している。ラグアーム49は、前端側から後端側に向かって略L字形状となるように形成されている。ラグアーム49は、
図6に示すように、回転軸心Oに
直交する方向に対する斜板5の傾斜角度が最小になった時に第1支持部材43aのフランジ430と当接するようになっている。また、ラグアーム49の後端側には、ウェイト部49aが形成されている。ウェイト部49aは、アクチュエータ13の周方向におよそ半周にわたって延びている。なお、ウェイト部49aの形状は適宜設計することが可能である。
【0076】
図1に示すように、ラグアーム49の後端側は、第1ピン47aによってリングプレート45の一端側と接続されている。これにより、ラグアーム49の前端側は、第1ピン47aの軸心を第1揺動軸心M1として、リングプレート45の一端側、すなわち斜板5に対し、第1揺動軸心M1周りで揺動可能に支持されている。この第1揺動軸心M1は、駆動軸3の回転軸心Oと直交する方向に延びている。
【0077】
ラグアーム49の前端側は、第2ピン47bによって第1支持部材43aと接続されている。これにより、ラグアーム49の後端側は、第2ピン47bの軸心を第2揺動軸心M2として、第1支持部材43a、すなわち駆動軸3に対し、第2揺動軸心M2周りで揺動可能に支持されている。この第2揺動軸心M2は第1揺動軸心M1と平行に延びている。これらのラグアーム49、第1、2ピン47a、47bが本発明におけるリンク機構7に相当している。
【0078】
ウェイト部49aは、ラグアーム49の後端側、つまり、第1揺動軸心M1を基準として第2揺動軸心M2とは反対側に延在して設けられている。このため、ラグアーム49が第1ピン47aによってリングプレート45に支持されることで、ウェイト部49aはリングプレート45の溝部45bを通って、リングプレート45の後面、つまり斜板5の後面5b側に位置する。そして、斜板5が回転軸心O周りに回転することにより発生する遠心力が斜板5の後面5b側でウェイト部49aにも作用することとなる。
【0079】
この圧縮機では、斜板5と駆動軸3とがリンク機構7によって接続されることにより、斜板5は駆動軸3と共に回転することが可能となっている。また、ラグアーム49の両端がそれぞれ第1揺動軸心M1及び第2揺動軸心M2周りで揺動することにより、斜板5は傾斜角度を変更することが可能となっている。
【0080】
各ピストン9は、それぞれ前端側に第1頭部9aを有しており、後端側に第2頭部9bを有している。各第1頭部9aは各第1シリンダボア21a内を往復動可能に収納されている。これらの各第1頭部9aと第1弁形成プレート39とにより、各第1シリンダボア21a内にそれぞれ第1圧縮室21dが区画されている。各第2頭部9bは各第2シリンダボア23a内を往復動可能に収納されている。これらの各第2頭部9bと第2弁形成プレート41とにより、各第2シリンダボア23a内にそれぞれ第2圧縮室23dが区画されている。
【0081】
また、各ピストン9の中央には係合部9cが形成されている。各係合部9c内には、半球状のシュー11a、11bがそれぞれ設けられている。これらのシュー11a、11bによって斜板5の回転がピストン9の往復動に変換されるようになっている。シュー11a、11bが本発明における変換機構に相当している。こうして、斜板5の傾斜角度に応じたストロークで、第1、2頭部9a、9bがそれぞれ第1、2シリンダボア21a、23a内を往復動することが可能となっている。
【0082】
ここで、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度の変更に伴いピストン9のストロークが変化することで、第1頭部9aと第2頭部9bの各上死点位置が移動する。具体的には、斜板5の傾斜角度が小さくなるに伴って、第1頭部9aの上死点位置よりも第2頭部9bの上死点位置が大きく移動する。
【0083】
図1に示すように、アクチュエータ13は、斜板室33内に配置されている。アクチュエータ13は、斜板5よりも後方側に位置しており、第2凹部23c内に進入することが可能となっている。このアクチュエータ13は、可動体13aと固定体13bと制御圧室13cとを有している。制御圧室13cは、可動体13aと固定体13bとの間に形成されている。
【0084】
可動体13aは、本体部130と周壁131とを有している。本体部130は、可動体13aの後方に位置しており、回転軸心Oから離れる方向で径方向に延びている。周壁131は、本体部130の外周縁と連続し、前方から後方に向かって延びている。また、この周壁131の前端には、連結部132が形成されている。これらの本体部130、周壁131及び連結部132により、可動体13aは有底の円筒状を呈している。
【0085】
固定体13bは、可動体13aの内径とほぼ同径の円板状に形成されている。この固定体13bとリングプレート45との間には、第2復帰ばね44bが設けられている。具体的には、この第2復帰ばね44bの後端は、固定体13bに固定されており、第2復帰ばね44bの前端は、リングプレート45の他端側に固定されている。
【0086】
可動体13a及び固定体13bには、駆動軸本体30が挿通されている。これにより、可動体13aは、第2収納室23cに収納された状態で、斜板5を挟んでリンク機構7と対向した状態で配置されている。一方、固定体13bは、斜板5よりも後方で可動体13a内に配置されており、その周囲が周壁131によって取り囲まれた状態となっている。これにより、可動体13aと固定体13bとの間に制御圧室13cが形成されている。この制御圧室13cは、可動体13aの本体部130と周壁131と固定体13bとによって斜板室33から区画されている。
【0087】
この圧縮機では、駆動軸本体30が挿通されることにより、可動体13aは、駆動軸3と共に回転可能となっているとともに、斜板室33内において、駆動軸3の回転軸心O方向に移動することが可能となっている。一方、固定体13bは、駆動軸本体30に挿通された状態で、駆動軸本体30に固定されている。これにより、固定体13bは、駆動軸3と共に回転することのみ可能となっており、可動体13aのように移動することは不可能となっている。こうして、可動体13aは、回転軸心O方向に移動するに当たり、固定体13bに対して相対移動する。
【0088】
可動体13aの連結部132には、リングプレート45の他端側が第3ピン47cによって接続されている。これにより、リングプレート45の他端側、すなわち、斜板5は、第3ピン47cの軸心を作用軸心M3として、作用軸心M3周りで可動体13aに揺動可能に支持されている。この作用軸心M3は、第1、2揺動軸心M1、M2と平行に延びている。こうして、可動体13aは斜板5と連結された状態となっている。そして、この可動体13aは、斜板5の傾斜角度が最大になった時に第2支持部材43bのフランジ431と当接するようになっている。
【0089】
また、駆動軸本体30内には、後端から前方に向かって回転軸心O方向に延びる軸路3aと、軸路3aの前端から径方向に延びて駆動軸本体30の外周面に開く径路3bとが形成されている。軸路3aの後端は圧力調整室31に開いている。一方、径路3bは、制御圧室13cに開いている。これにより、制御圧室13cは、径路3b及び軸路3aを通じて、圧力調整室31と連通している。
【0090】
駆動軸本体30の先端にはねじ部3dが形成されている。このねじ部3dを介して駆動軸3は、図示しないプーリ又は電磁クラッチと接続されている。
【0091】
図2に示すように、制御機構15は、低圧通路15aと高圧通路15bと制御弁15cとオリフィス15dと、軸路3aと、径路3bとを有している。
【0092】
低圧通路15aは、圧力調整室31と第2吸入室27bとに接続されている。この低圧通路15aと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13bと圧力調整室31と第2吸入室27bとが連通している。高圧通路15bは、圧力調整室31と第2吐出室29bとに接続されている。この高圧通路15bと軸路3aと径路3bとによって、制御圧室13bと圧力調整室31と第2吐出室29bとが連通している。また、高圧通路15bには、オリフィス15dが設けられている。
【0093】
制御弁15cは低圧通路15aに設けられている。この制御弁15cは、第2吸入室27b内の圧力に基づき、低圧通路15aの開度を調整することが可能となっている。
【0094】
この圧縮機では、
図1に示す吸入ポート330に対して蒸発器に繋がる配管が接続されるとともに、吐出ポート230に対して凝縮器に繋がる配管が接続される。凝縮器は配管及び膨張弁を介して蒸発器と接続される。これらの圧縮機、蒸発器、膨張弁、凝縮器等によって車両用空調装置の冷凍回路が構成されている。なお、蒸発器、膨張弁、凝縮器及び各配管の図示は省略する。
【0095】
以上のように構成された圧縮機では、駆動軸3が回転することにより、斜板5が回転し、各ピストン9が第1、2シリンダボア21a、23a内を往復動する。このため、第1、2圧縮室21d、23dがピストンストロークに応じて容積変化を生じる。このため、この圧縮機では、第1、2圧縮室21d、23dへ冷媒ガスを吸入する吸入行程と、第1、2圧縮室21d、23dにおいて冷媒ガスが圧縮される圧縮行程と、圧縮された冷媒ガスが第1、2吐出室29a、29bに吐出される吐出行程等とが繰り返し行われることとなる。
【0096】
第1吐出室29aに吐出された冷媒ガスは、第1吐出連通路18を経て合流吐出室231に至る。同様に、第2吐出室29bに吐出された冷媒ガスは、第2吐出連通路20を経て合流吐出室231に至る。そして、合流吐出室231に至った冷媒ガスは、吐出ポート230から凝縮器に吐出される。
【0097】
そして、これらの吸入行程等が行われる間、斜板5、リングプレート45、ラグアーム49及び第1ピン47aからなる回転体には斜板5の傾斜角度を小さくするピストン圧縮力が作用する。そして、斜板5の傾斜角度が変更されれば、ピストン9のストロークの増減による容量制御を行うことが可能である。
【0098】
具体的には、制御機構15において、
図2に示す制御弁15cが低圧通路15aの開度を大きくすれば、圧力調整室31内の圧力、ひいては制御圧室13c内の圧力が第2吸入室27b内の圧力とほぼ等しくなる。このため、斜板5に作用するピストン圧縮力によって、
図3に示すように、アクチュエータ13では、可動体13aが斜板室33の前方側に向かって移動する。このため、この圧縮機では、可動体13aがラグアーム49に近接し、制御圧室13cの容積が減少する。
【0099】
これにより、第2復帰ばね44bの付勢力に抗しつつ、リングプレート45の他端側、すなわち、斜板5の他端側が作用軸心M3周りで
反時計回り方向に揺動する。また、ラグアーム49の後端が第1揺動軸心M1周りで時計回り方向に揺動するとともに、ラグアーム49の前端が第2揺動軸心M2周りで反時計回り方向に揺動する。このため、ラグアーム49が第1支持部材43aのフランジ430に接近する。これらにより、斜板5は、作用軸心M3を作用点とし、第1揺動軸心M1を支点として揺動する。このため、駆動軸3の回転軸心Oに
直交する方向に対する斜板5の傾斜角度が減少し、ピストン9のストロークが減少する。このため、この圧縮機では、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が小さくなる。なお、
図6に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機における最小傾斜角度である。
【0100】
ここで、この圧縮機では、ウェイト部49aに作用した遠心力も斜板5に付与される。このため、この圧縮機では、斜板5が傾斜角度を減少させる方向に変位し易くなっている。
【0101】
また、斜板5の傾斜角度が減少することにより、リングプレート45が第1復帰ばね44aの後端と当接する。これにより、第1復帰ばね44aが弾性変形し、第1復帰ばね44aの後端が第1支持部材43aに近接する。
【0102】
ここで、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度が小さくなり、ピストン9のストロークが減少することにより、第2頭部9bの上死点位置が第2弁形成プレート41から遠隔する。このため、この圧縮機では、斜板5の傾斜角度がゼロ度に近づくことで、第1圧縮室21d側では僅かに圧縮仕事が行われる一方、第2圧縮室23d側では圧縮仕事が行われなくなる。
【0103】
一方、
図2に示す制御弁15cが低圧通路15aの開度を小さくすれば、圧力調整室31内の圧力が大きくなり、制御圧室13c内の圧力が大きくなる。このため、斜板5に作用するピストン圧縮力に抗して、アクチュエータ13では、
図1に示すように、可動体13aが斜板室33の後方側に向かって移動する。このため、この圧縮機では、可動体13aがラグアーム49から遠隔し、制御圧室13cの容積が増大する。
【0104】
これにより、作用軸心M3において、連結部132を通じて可動体13aが斜板5の下端側を斜板室33の後方側へ牽引する状態となる。これにより、斜板5の他端側が作用軸心M3周りで
時計回り方向に揺動する。また、ラグアーム49の後端が第1揺動軸心M1周りで反時計回り方向に揺動するとともに、ラグアーム49の前端が第2揺動軸心M2周りで時計回り方向に揺動する。このため、ラグアーム49が第1支持部材43aのフランジ430から離間する。これらにより、斜板5は、作用軸心M3及び第1揺動軸心M1をそれぞれ作用点及び支点とし、上述の傾斜角度が小さくなる場合と反対方向に揺動する。このため、駆動軸3の回転軸心Oに
直交する方向に対する斜板5の傾斜角度が増大し、ピストン9のストロークが増大することで、駆動軸3の1回転当たりの吐出容量が大きくなる。なお、
図1に示す斜板5の傾斜角度がこの圧縮機における最大傾斜角度である。
【0105】
この圧縮機では、リヤハウジング19に圧力調整室31が形成され、制御機構15は、第2吐出室29bと圧力調整室31とを高圧通路15bによって連通しているとともに、第2吸入室27aと圧力調整室31とを低圧通路15aによって連通している。これにより、この圧縮機では、圧力調整室31には、第2吐出室29bや第2吸入室27a内の冷媒中に含まれる潤滑油が貯留される。そして、
図5の実線矢印で示すように、この圧縮機では、圧力調整室31と第2収納室23cとの圧力差、ひいては、圧力調整室31と斜板室33との圧力差により、圧力調整室31内の冷媒が第1、2環状部材61a、61bの各第3切欠き630cの他、第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間や第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間等を斜板室33に向かって流通する。
【0106】
そして、この圧縮機では、圧力調整室31と斜板室33との圧力差に基づいて、第1環状部材61aが第1凹条部433を移動するとともに、第2環状部材61bが第2凹条部434を移動する。これにより、この圧縮機では、第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間や第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間を流通する冷媒の流量、すなわち、圧力調整室31から斜板室33へ流通する冷媒の流量を調整することが可能となっている。
【0107】
具体的には、上記のように、圧力調整室31内の圧力を大きくして、圧力調整室31と斜板室33との圧力差を大きくすれば、
図5の(A)に示すように、第1、2環状部材61a、61bがそれぞれ第1、2凹条部433、434内を前方に移動する。これにより、第1環状部材61aが第1凹条部433の前壁面と当接し、この当接した箇所では、第1環状部材61aと凹条部433との隙間が閉塞される。同様に、第2環状部材61bが第2凹条部434の前壁面と当接し、この当接した箇所では、第2環状部材61bと凹条部434との隙間が閉塞される。これらのため、同図の実線矢印で示すように、圧力調整室31内の冷媒は
、第1、2環状部材61a、61bの各第3切欠き630cのみを流通して、斜板室25へ流通する。このため、圧力調整室31から斜板室33へ流通する冷媒の流量が減少する。
【0108】
一方、上記のように、圧力調整室31内の圧力を小さくして、圧力調整室31と斜板室33との圧力差を小さくすれば、
図5の(B)に示すように、第1、2環状部材61a、61bがそれぞれ第1、2凹条部433、434内の略中央に移動する。このため、同図の実線矢印で示すように、圧力調整室31内の冷媒は、第1、2環状部材61a、61bの各第3切欠き630cと、第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間と、第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間とを流通して、斜板室25へ流通する。つまり、同図の(A)に示す、圧力調整室31と斜板室33との圧力差が大きい状態と比べて、圧力調整室31から斜板室33へ流通する冷媒の流量が増大する。
【0109】
そして、このように各第3切欠き630c等を冷媒が流通する際、この圧縮機では、冷媒と共に圧力調整室31に貯留された潤滑油も各第3切欠き630c等を流通する。これにより、この圧縮機では、第2軸孔23bに設けられた第2滑り軸受22bに潤滑油を供給することが可能となる。このため、この圧縮機では、供給された潤滑油によって、第2滑り軸受22bと第2支持部材43bとの間を好適に潤滑することが可能となっている。この際、この圧縮機では、上記のように第1、2環状部材61a、61bが第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間や第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間を流通する冷媒の流量を調整することに伴い、第2滑り軸受22bに供給される潤滑油の供給量も調整される。このため、この圧縮機では、第2支持部材43bと第2滑り軸受22bとの間に焼付きが生じ難くなっている。
【0110】
したがって、実施例1の圧縮機は、アクチュエータ13を用いて吐出容量を変更する圧縮機において、高い耐久性を発揮する。
【0111】
特に、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bが第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間と、第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間を流通する冷媒の流量とをそれぞれ調整する。これにより、この圧縮機では、これらの各隙間や各第3切欠き630cを通じて必要以上に圧力調整室31から斜板室33へ冷媒が流通することを防止しつつ、圧力調整室31内の圧力を調整することが可能となっている。このため、この圧縮機では、第2吐出室29b内の冷媒の圧力によって制御圧室13cの圧力を変更し易く、吐出容量を好適に変更することが可能となっている。
【0112】
このように、この圧縮機では、第1環状部材61aが第1環状部材61aと第1凹条部433との隙間を流通する冷媒の流量を調整するとともに、第2環状部材61bが第2環状部材61bと第2凹条部434との隙間を流通する冷媒の流量を調整する。これにより、この圧縮機において、第1、2環状部材61a、61bは、圧力調整室31の圧力を調整するバルブとして機能している。さらに、第1、2環状部材61a、61bは、第2滑り軸受22bに供給される潤滑油の供給量を調整するバルブとしても機能している。一般的にこれらのようなバルブは構成が複雑で体格も大きいことから駆動軸3の周りに配置することは困難である。これに対し、この圧縮機では、第1、2環状部材
61a、61bが絞りとなる第3切欠き630cを含む合口63をそれぞれ有しているという簡単な構成である。このため、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bを第2支持部材43bの周りに配置しつつ、上記のようなバルブとして機能させることが可能となっている。
【0113】
また、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bの各合口63は、第1〜3切欠き630a〜630cによって構成されており、上記のように、第3切欠き630cは第1、2環状部材61a、61bにおける絞りとして機能している。ここで、第1、2環状部材61a、61bが第2支持部材43bの第1、2凹条部433、434にそれぞれに組み付けられる際、軸方向に延びる第1、2切欠き630a、630bは、第2支持部材43bや第1、2凹状部433、434の径の公差の他、組み付け時の公差等により幅、すなわち、冷媒及び潤滑油が流通する際の流路面積が変わり易い。これに対し、周方向に延びる第3切欠き630cは、第1、2環状部材61a、61bが第2支持部材43bに組み付けられた際も流路面積が変わり難い。このため、この圧縮機では、圧力調整室31から斜板室33へ流通する冷媒の流量を好適に調整することが可能となっている。また、第2軸受22b等に供給される潤滑油の供給量も好適に調整することが可能となっている。
【0114】
さらに、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bがPEEK製であるため、負荷によっても摩耗等がし難くなっているとともに、耐油性が高くなっている。また、第1、2環状部材61a、61bは、潤滑油に対する親和性も優れている。
【0115】
さらに、この圧縮機では、第2支持部材43bに対して、第1環状部材61aと第2環状部材61bとが設けられることにより、第1、2環状部材61a、61bは、圧縮機の作動時に作用する負荷を調整することが可能となっている。これらのため、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bの耐久性が高くなっている。
【0116】
また、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bの各外径と第2滑り軸受22bの外径とが略同一に形成されている。このため、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bが第2軸孔23bの内周面と好適に摺接するとともに、第2滑り軸受22bが第2軸孔23bの内周面と好適に摺接する。これにより、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bと第2滑り軸受22bとが共に好適に機能する。
【0117】
さらに、この圧縮機では、第2軸孔23b内において、第2滑り軸受22bは、第1、2環状部材61a、61bよりも圧力調整室31側に配置されており、後端が圧力調整室31に面している。このため、この圧縮機では、圧力調整室31内の潤滑油によって第2滑り軸受22bを好適に潤滑することが可能となっている。
【0118】
また、この圧縮機では、駆動軸3が駆動軸本体30と、第1、2支持部材とによって構成されている。このため、この圧縮機では、駆動軸本体30の形状の複雑化を抑制でき、駆動軸3を容易に製造することが可能となっている。また、第2支持部材43bに第1、2環状部材61a、61bを設けることにより、駆動軸3に対して第1、2環状部材61a、61bを設け易くなっている。
【0119】
(実施例2)
実施例2の圧縮機では、実施例1の圧縮機における第2支持部材43bに換えて、
図7に示す第2支持部材46が駆動軸本体30に圧入されている。これにより、この圧縮機では、駆動軸本体30と、第1支持部材43aと、第2支持部材46とによって駆動軸3が構成されている。
【0120】
また、この圧縮機では、第2滑り軸受22bに換えて、第2滑り軸受22cが第2軸孔23b内に設けられている。この第2滑り軸受22cも本発明におけるラジアル軸受に相当している。なお、第2滑り軸受22cに換えて、転がり軸受を設けても良い。
【0121】
第2支持部材46は、駆動軸本体30の後端側に圧入されており、第2軸孔23b内に位置している。この第2支持部材46も本発明におけるキャップに相当する。第2支持部材46の前端には、フランジ461が形成されている。このフランジ461は、第2凹部23c内に突出しており、第2スラスト軸受35bと当接している。また、このフランジ461には、斜板5の傾斜角度が最大になった時に可動体13aが当接するようになっている。
【0122】
また、第2支持部材46の後端側には、縮径部462が形成されている。そして、この縮径部462には、回転軸心Oと同心の第1、2凹状部463、464が凹設されている。第1凹状部463には、実施例1の圧縮機と同様、第1環状部材61aが配置されており、第2凹状部464には、第2環状部材61bが配置されている。これにより、第1、2環状部材61a、61bは、第2支持部材46と第2軸孔23bの間に位置している。第2支持部材46の後端、つまり縮径部462は圧力調整室31内に突出している。
【0123】
第2滑り軸受22cは、第2軸孔23b前端側に位置している。また、この第2滑り軸受22cの内径は、第1環状部材61aの外径及び第2環状部材61bの各外径と略同一に形成されている。そして、この圧縮機では、上記のように、第1、2環状部材61a、61bが第1、2凹状部463、464内に設けられて、第2支持部材46の後端側に位置している。これにより、この圧縮機では、第2軸孔23b内において、第1、2環状部材61a、61bは、第2滑り軸受22cよりも圧力調整室31側に配置されている。そして、第2軸孔23bと第2支持部材46との間と、第1、2凹状部463、464と、各第3切欠き630cとは、本発明における連通路として機能する。この圧縮機における他の構成は実施例1の圧縮機と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0124】
この圧縮機では、上記のように、第2滑り軸受22cよりも第1、2環状部材61a、61bの方が圧力調整室31側に配置されている。この点、この圧縮機でも実施例1の圧縮機と同様に、各第3切欠き630cの他、第1環状部材61aと第1凹条部463との隙間や第2環状部材61bと第2凹条部464との隙間等を通じて冷媒及び潤滑油が流通することから、第2滑り軸受22c等は好適に潤滑されることとなる。このため、この圧縮機でも、第2支持部材46と第2滑り軸受22cとの間に焼付きが生じ難くなっている。
【0125】
また、この圧縮機では、第1、2環状部材61a
、61bの各外径と第2滑り軸受22cの内径とが略同一に形成されている。このため、この圧縮機では、第1、2環状部材61a、61bが第2軸孔23bの内周面と好適に摺接するとともに、第2支持部材46と第2滑り軸受22cの内周面とが好適に摺接する。このため、この圧縮機においても、第1、2環状部材61a、61bと第2滑り軸受22cとが共に好適に機能する。この圧縮機における他の作用は実施例1の圧縮機と同様である。
【0126】
(実施例3)
実施例3の圧縮機では、実施例1の圧縮機における第1、2環状部材61a、61bに換えて、
図8の(A)に示す第1、2環状部材65a、65bを採用している。これらの第1、2環状部材65a、65bもPEEK製である。また、これらの第1、2環状部材65a、65bも第1、2凹状部433、434にそれぞれ収納されており、第2支持部材43bと第2軸孔23bの間に位置している。
【0127】
第1、2環状部材65a、65bは同一の構成であり、合口67をそれぞれ有している。以下、第1環状部材65aの合口67を例に構成を説明する。
【0128】
同図の(A)、(B)に示すように、この合口67は、第1〜3切欠き670a〜670cと、一対の連通溝670d、670eとによって形成されている。第1切欠き670aは第1環状部材65aの軸方向に延びている。第2切欠き670bは、第1切欠き670aに対して周方向でずれつつ、第1環状部材65aの軸方向に延びている。第3切欠き670cは、第1環状部材65aの厚さ方向の中央で周方向に延びており、第1切欠き670aと第2切欠き670bとに連続している。各連通溝670d、670eは、同図の(C)に示すように、軸方向と平行な断面が略半円形をなしている。各連通溝670d、670eは、第3切欠き670cを挟んで対向しつつ、第3切欠き670cに沿って延びており、それぞれ第1切欠き670aと第2切欠き670bとに連続している。
【0129】
第3切欠き670cは、第1、2凹条部433、434内にそれぞれ第1、2環状部材65a、65bが設けられることにより、圧力調整室31と斜板室31とを常時連通する。上記の第1、2環状部材61a、61bと同様、第3切欠き670cは、第1、2切欠き670a、670bと比較して冷媒等の流路面積が小さくなるように形成されている。これにより、第3切欠き670cは、第1,2環状部材65a、65bにおける絞りとなっている。そして、第2軸孔23bと第2支持部材43bとの間と、第1、2凹状部433、434と、各第3切欠き670cとは、本発明における連通路として機能する。なお、金属等によって環状部材65a、65bを形成しても良い。この圧縮機における他の構成は実施例1の圧縮機と同様である。
【0130】
これらの第1、2環状部材65a、65bについても、実施例1の圧縮機における第1、2環状部材61a、61bと同様に作用する。ここで、これらの第1、2環状部材65a、65bでは、連通溝670d、670eによっても冷媒及び潤滑油の流量を調整することが可能となっている。この圧縮機における他の作用は実施例1の圧縮機と同様である。
【0131】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0132】
例えば、実施例1の圧縮機において、第2支持部材43bに対して第1環状部材61aのみを設けても良い。また、第2支持部材43bに対して、三個以上の環状部材を設けても良い。実施例2、3の圧縮機についても同様である。
【0133】
また、実施例2の圧縮機に対して、実施例3の圧縮機における第1、2環状部材65a、65bを設けても良い。
【0134】
さらに、制御機構15について、高圧通路15bに対して制御弁15cを設けるとともに、低圧通路15aにオリフィス15dを設ける構成としても良い。この場合には、制御弁15cによって、高圧通路15b開度を調整することが可能となる。これにより、第2吐出室29b内の高圧によって制御圧室13bを迅速に高圧とすることができ、迅速に圧縮容量を増大させることが可能となる。
【0135】
また、第1シリンダブロック21又は第2シリンダブロック23の一方のみに圧縮室が形成されるように圧縮機を構成しても良い。