(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導光体の前記第2主面に形成され、前記複数の光源の前記光軸方向と平行な方向に延在し、前記導光体内部を導光する光の光路を規制する光閉じ込めレンズをさらに有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の照明装置。
前記光閉じ込めレンズは、前記複数の光源の前記光軸方向と略平行な方向に延在する、凸状、または凹状で、球面、または非球面であるシリンドリカル形状、または多角プリズム形状であって、
前記入射面の延在方向に密に、または略一定の間隔をおいて複数配置されることを特徴とする請求項8に記載の照明装置。
【背景技術】
【0002】
最近の大型液晶テレビまたはフラットディスプレイパネル等においては主に、直下型方式の照明装置と、エッジライト方式の照明装置とのどちらかが採用されている。直下型方式の照明装置では、光源として複数の冷陰極管またはLED(Light Emitting Diode)が、パネルの背面に規則的に配置される。液晶パネル等の画像表示素子と光源との間には、光散乱性の強い拡散板が設けられ、光源としての冷陰極管またはLEDが視認されないようにしている。
【0003】
一方、エッジライト方式の照明装置は、複数の冷陰極管またはLEDが、導光板と呼ばれる透光性の板の端面に配置される。一般的に、導光板の射出面(画像表示素子と対向する面)とは反対側に設けられる面(光偏向面)には、前記導光板の端面から入射する入射光を効率良く射出面へと導く光偏向要素が形成される。現在、光偏向面に形成される光偏向要素としては白色のインキがドット状に印刷された光偏向要素が一般的(例えば特許文献1)である。
【0004】
ところで、最近、液晶表示装置の動画性能改善、アクティブ方式の3D映像におけるクロストークの低減、または照明装置の高輝度化を目的として、射出面側にレンチキュラーレンズまたはプリズムレンズを配置した導光板が提案されている。
【0005】
この場合、画像データを画面上から下へ走査するため、光源は点光源であるLEDが採用される。また、前記LEDは画面の左右の何れか1辺、または2辺に複数配置される。
そのため、導光板から射出される光の配光分布を見ると、画面水平方向においては斜め方向へと強い輝度ピークが生じてしまう。特に光源であるLEDが左右の何れか1辺に配置されている場合、画面の左右視野が大きく異なるという問題が生じる。
【0006】
照明装置は、導光板の射出面側に1枚、または複数の光学シートが積層されるのが一般的である。光学シートは、導光板の光偏向面に形成された光偏向要素を暈して隠蔽すること、導光板からの射出光を観察者がいる方向へと偏向・集光すること等を目的に導光板の射出面側に積層される。特にプリズムシートは、導光板から斜め方向に射出された光を、観察者がいる方向へと偏向し、観察者がいる方向へと集光するため、一般的に使用されている。
【0007】
しかしながらプリズムシートは、一方向に延在する三角プリズムレンズが配置された光学シートであるため、上述した集光の効果は一方向のみに発揮される。従って、LEDが導光板の左右の何れか1辺、または2辺に配置された場合、画面水平方向に生じる斜めピーク光を観察者がいる方向へと偏向するには、三角プリズムレンズが画面垂直方向へと延在するプリズムシートを配置する必要がある。しかしながら、プリズムレンズが画面垂直方向へと延在するプリズムシートを配置すると、画面垂直方向の視野が広く、画面水平方向の視野が狭い画像を表示する画像表示装置となるため望ましくない。画像表示装置は、広い水平視野が求められるためである。
【0008】
この問題に対し、プリズムレンズが画面水平方向へと延在するプリズムシートを更に導光板に積層する方法が挙げられる。これにより、画面垂直方向にも集光することが出来る。しかしながら、この場合、垂直方向の視野は狭まるが、水平方向の視野も狭いままである。さらに、積層される光学シートが増えるため、照明装置としての効率が大きく低下し、コストもかかるため望ましくない。
【0009】
そこで一般的には、LEDが導光板の左右に配置された場合においても、プリズムレンズが画面水平方向へと延在するプリズムシートが導光板に積層される。しかしながら、前述したように、プリズムレンズが画面水平方向へと延在するプリズムシートは、導光板から水平方向に射出される強い斜め光を観察者がいる方向へと偏向する機能を有さない。そこで、例えば、拡散シートを2枚以上配置することができる。この場合、拡散シートは、例えば、導光板とプリズムシートとの間に2枚配置される。また、別の例としては、拡散シートは、導光板とプリズムシートとの間に1枚、プリズムシートと表示パネルとの間に1枚配置される。
拡散シートは、導光板の光偏向面に形成された光偏向要素を暈すと同時に、わずかではあるが観察者がいる方向へと集光する性能を有する。そのため、2枚以上の拡散シートを積層することで、導光板から斜め方向へと射出される光を観察者がいる方向へとわずかながら偏向することが出来る。
【0010】
しかしながら、LEDが導光板の左右の何れか1辺、または2辺に配置された照明装置において、プリズムレンズが画面水平方向へと延在するプリズムレンズを有するプリズムシートを積層した照明装置は、導光板からの射出光を効率良く観察者がいる方向へと偏向出来ない。そのため、照明装置が低輝度になるという問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、光源が導光板の左右の何れか1辺、または2辺に配置された照明装置において、光学シートを増やすことなく導光板からの射出光を効率良く観察者がいる方向へと偏向し、且つ、画面水平視野を極端に狭めることのないレンズシートを備えた照明装置、及び前記照明装置を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の問題を解決するために、以下のような手段を講じる。
即ち、本発明の第1態様に係る照明装置は、第1主面と、前記第1主面とは反対の第2主面と、前記第1主面と前記第2主面とを接続する4つの側端面と、を有する透光性の導光体と、透光性の基材と、前記基材の一方の面に設けられて、一方向に延在する第1レンズアレイと、前記基材の前記面に設けられて前記第1レンズアレイとは交差する方向に延在する第2レンズアレイとを有し、前記導光体に積層されるレンズシートと、複数の光源と、前記第1主面に形成され、前記導光体内を導光する光を前記第2主面側へと偏向する光偏向要素と、を有し、前記4つの側端面のうち1つの側端面、または互いに反対の2つの側端面が前記複数の光源から出射された光が入射する入射面であって、前記複数の光源が、前記入射面に対向する位置に、前記入射面の延在方向に平行に並べて配置され、前記複数の光源の光軸は前記入射面の法線方向と略一致し、前記レンズシートの表面積に対し、前記第1レンズアレイ、及び前記第2レンズアレイのうち選択された一方のレンズアレイの表面積の占める割合が20%以上50%以下の範囲に設定され、前記選択されたレンズアレイのレンズ延在方向と、前記複数の光源の光軸とが略直交
し、前記導光体の前記入射面に配置された前記複数の光源のうち、1つの前記入射面に配置された前記複数の光源のみを点灯させたときの前記レンズシートへの入射光のピーク角度をθiとし、ピーク輝度を100%としたとき、輝度が80%まで低下する角度差を、ピーク角度より大きい角度方向の角度差をΔD、ピーク角度より小さい角度方向の角度差をΔdとしたとき、前記レンズシートの屈折率をnとし、前記選択されたレンズアレイの頂角θが以下の式1を満す。
【数1】
【0014】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記第1レンズアレイは、頂角が70度以上110度以下である台形レンズであって、前記第2レンズアレイは、前記台形レンズよりも高さが低い、頂角が70度以上110度以下である三角プリズムレンズが、前記台形レンズの頂部に交差角が90度±10度となるように形成され、記台形レンズの頂部と、前記三角プリズムレンズの頂部とが一致していてもよい。
【0015】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記第1レンズアレイは、間隔を空けて配置され、かつ、頂角が70度以上110度以下である第1三角プリズムレンズを有し、前記第2レンズアレイは、前記第1三角プリズムレンズよりも高さが低い、頂角が70度以上110度以下である第2三角プリズムレンズを有し、前記第2三角プリズムレンズは、前記各第1三角プリズムレンズの間に、前記第1三角プリズムレンズとの交差角が90度±10度となるように形成され、前記第1三角プリズムレンズと、前記第2三角プリズムレンズの底部とが一致していてもよい。
【0016】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記レンズシートと、前記導光体との間に配置され、射出面を有する拡散シートをさらに有し、前記拡散シートは、前記射出面に凹凸形状が形成された表面拡散シートであってもよい。
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記射出面には、拡散ビーズがコーティングされていてもよい。
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記表面拡散シートの前記射出面には、略半球形状であるマイクロレンズが形成されていてもよい。
【0018】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記光偏向要素は、前記光軸と直交する方向に第1の間隔で並んだドット列が、光軸方向に複数配置されることで形成され、隣り合う前記ドット列は、前記光軸と直交する方向に第1の間隔の1/2の間隔である第2の間隔ずれて配置され、隣り合う前記ドット列の前記光軸方向における間隔が略一定に、または前記入射面(複数の光源)から離れるにつれて狭くなるように配置されていてもよい。
【0019】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記導光体の前記第2主面に形成され、前記複数の光源の前記光軸方向と平行な方向に延在し、前記導光体内部を導光する光の光路を規制する光閉じ込めレンズをさらに有していてもよい。
【0020】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記光閉じ込めレンズは、前記複数の光源の前記光軸方向と略平行な方向に延在する、凸状、または凹状で、球面、または非球面であるシリンドリカル形状、または多角プリズム形状であって、前記入射面の延在方向に密に、または略一定の間隔をおいて複数配置されていてもよい。
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記光偏向要素は、各々が前記第1主面内に独立して離散的に配置される凸状、または凹状のドットレンズであって、前記ドットレンズの前記第1主面に垂直且つ前記光軸方向と平行な方向における断面形状は、前記第1主面から最も離れた位置である頂部と、前記頂部から前記第1主面へと至る2つの輪郭線を有しており、前記輪郭線の前記第1主面に対する平均傾斜角度は、前記レンズシートを構成する前記選択されたレンズアレイの傾斜面における前記第1主面に対する平均傾斜角度よりも小さくてもよい。
【0021】
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記レンズシートの射出面側には、拡散機能が弱い弱拡散シート、または弱い拡散機能を有する偏光分離反射シートが積層されていてもよい。
本発明の第1態様に係る照明装置においては、前記導光体の前記第1主面側に、反射シートをさらに備えていてもよい。
本発明の第2態様に係る表示装置は、画素単位での透過/遮光に応じて表示画像を規定する画像表示素子と、本発明の第1態様に係る照明装置とを具備する。
【発明の効果】
【0022】
前記本発明の態様に係る照明装置によれば、導光体の光射出面側には、透光性の基材の一面に第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとが形成されたレンズシートを積層し、表面積の割合が20%以上50%以下である何れか一方のレンズアレイの延在方向と、光源の光軸方向とが略直交することで、水平方向の視野を大きく狭めることなく、高輝度な照明装置、及び前記照明装置を用いた表示装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態における導光体7を備える照明装置3、及び前記照明装置3を具備する表示装置1の概略断面図であり、各部位の縮図は実際とは一致しない。
図1に示す表示装置1は、画像表示素子2と、この画像表示素子2の光入射側に臨ませて配置された照明装置3とを備える。
照明装置3は、画像表示素子2の光入射側に配置された、レンズシート20と、拡散シート8と、導光体7と、光源6と、反射板5とを少なくとも備える。
【0025】
光源6は、導光体7の入射端面7Lに対向する位置であって、入射端面7Lの延在方向(
図1の紙面奥行方向)と平行に1つ、または複数並べて配置される。光源6としては例えば点光源が挙げられる。点光源としては、LED(発光ダイオード)が挙げられ、LEDとしては白色LEDまたは光の3原色である赤色、緑色、青色のチップで構成されるRGB−LED等が挙げられる。また、光源6はCCFL(冷陰極管)に代表される蛍光管であっても良い。
図1では、光源6が導光体7の互いに反対の2つの端面7Lに配置された例を示しているが、これに限らず、1つの端面に配置する場合もあり得る。また導光体7の形状は、
図1に示すような平板形状ではなく、楔形状等であっても良い。
【0026】
導光体7の観察者側Fが第2主面7b、第2主面とは反対の面が第1主面7aであって、光源6から導光体7へと入射した光は、第1主面7aによって進路を偏向され、第2主面7bから射出される。すなわち、第1主面7aが光偏向面7aであり、第2主面7bが光射出面7bである。光偏向面7aには、光源6からの入射光を射出面7b側へと偏向する光偏向要素18が形成される。光偏向要素18には、例えば白色の拡散反射ドットが印刷されている。また別の例としては、凹型または凸型のマイクロレンズ形状またはピラミッド形状等が挙げられる。このような形状は、型を使って転写する方法、レーザーを使って形成する方法、またはフォトリソグラフィーによって形成する方法など複数挙げられ、適宜選択することができる。
【0027】
このような導光体7の光射出面7bから射出される光は、観察者側Fに対して傾いた方向である斜め方向に光強度のピークを有する。すなわち、
図2に示されるように、光源6の光軸L方向へと傾いて射出される。ここで、
図2では光の挙動だけを簡易的に説明するため、光源6は片側1辺に配置された場合を図示し、光偏向要素18は省略している。このような斜め方向に光強度のピークを有する射出光を効率良く観察者側Fへと偏向するには、
図3〜
図5に示されるように、光源6の光軸Lと直交する方向へと延在するレンズを有するプリズムシート30またはレンチキュラーシート31を、導光体7の観察者側Fに配置することが望ましい。
【0028】
しかしながら、表示装置1に組み込まれる照明装置3は、射出光を観察者側Fへと偏向することで観察者側Fの輝度を高めるだけでなく、表示装置1の視野も考慮して設計する必要がある。すなわち、液晶テレビに代表される表示装置1は、画面垂直方向の視野に比べて、画面水平方向の視野の方を十分に確保しなければならない。従って、一般的に表示装置1に組み込まれる照明装置3は、画面垂直方向の視野を狭くすることで観察者側Fの輝度を高め、画面水平方向の視野は広くなるように設計される。
【0029】
ところが前述したように、最近の3D用スキャニングバックライトは、映像の走査に合わせて照明装置3を画面垂直方向に複数分割し、画面上から下へ向かって順次点灯・消灯をスクロールさせるため、光源6を画面の左右に配置する必要がある。つまり、光源6の光軸Lは画面水平方向と一致する。その場合、導光体7からの射出光は、画面水平方向側へと傾いた光強度のピークを有する斜め光となる。このような斜め光を観察者側へと偏向するためには、画面垂直方向へと延在するプリズムシート30またはレンチキュラーシート31を配置することが望ましい。しかしながら、画面垂直方向へと延在するプリズムシート30またはレンチキュラーシート31は、画面水平方向の視野を狭めて観察者側Fの輝度を高める機能を有する。そのため、上記の構成では、先述した望ましい視野を得ることが出来ない。また、特にプリズムシート30はサイドローブが発生してしまうため、プリズムシート30の上に更に拡散性の光学シートを配置しなければならないといった問題も生じる。
【0030】
本発明に係る照明装置3を構成するレンズシート20は、透光性の基材と、前記基材の一方の面に設けられて、一方向に延在する第1レンズアレイと、前記基材の前記面に設けられて前記第1レンズアレイとは交差する方向に延在する第2レンズアレイとを有し、
図6以下を用いて詳細に説明する。
図6に示されるレンズシート20Aは、延在する方向が略直交する第1レンズアレイ21Aと第1レンズアレイ21Aよりも小さな第2レンズアレイ22Aとを有する。ここで略直交するとは、第1レンズアレイ21Aの延在する方向と第2レンズアレイ22Aの延在する方向との交差角度(交差角)が90度±10度の範囲を示す。第1レンズアレイ21Aは台形プリズム形状であり、第2レンズアレイ22Aは三角プリズム形状であり、前記第2レンズアレイ22Aは第1レンズアレイ21Aの頂部に形成される。また、第1レンズアレイ21Aの頂部と第2レンズアレイ22Aの頂部とは一致している。
そして第1レンズアレイ21Aと第2レンズアレイ22Aとの何れか一方の延在方向と、光源6の光軸L方向とが略直交している。ここで略直交しているとは、第1レンズアレイ21Aと第2レンズアレイ22Aとの何れか一方の延在方向と光源6の光軸Lとのなす角度が90度±10度の範囲を示す。この導光体7の入射端面7Lの延在方向と略一致した方向に延在するレンズアレイが、光源6の光軸Lと直交した方向に対して光軸L方向へと傾いた斜めの射出光を集光し、光軸L方向へと傾いた斜めの射出光を観察者側Fへと偏向する。
【0031】
第1レンズアレイ21Aである台形プリズムアレイ21Aの頂角は70度以上110度以下の範囲であることが望ましい。台形プリズムアレイ21Aの頂角がこの範囲である場合、レンズシート20Aに入射した光を集光し、観察者側Fの輝度を高めるため好ましい。また、台形プリズムアレイ21Aの頂角が70度より小さい場合、サイドローブが大きくなることで輝度が低下し、110度より大きい場合、集光機能が低く光の射出角度範囲が広がって輝度が低下する。ここで、台形プリズムアレイ21Aの頂角とは、台形の斜辺を延長して三角形状として見た場合の頂角を指している。
【0032】
第2レンズアレイ22Aである三角プリズムアレイ22Aの頂角は70度以上110度以下の範囲であることが望ましい。三角プリズムアレイ22Aの頂角がこの範囲である場合、レンズシート20Aに入射した光を集光し、観察者側Fの輝度を高めるため好ましい。また、三角プリズム22の頂角が70度より小さい場合、サイドローブが大きくなることで輝度が低下し、110度より大きい場合、集光機能が低く光の射出角度範囲が広がって輝度が低下する。三角プリズムアレイ22Aは、台形プリズムアレイ21Aよりも小さく、且つ、台形プリズムアレイ21Aの頂部と三角プリズムアレイ22Aの頂部とは一致する。
【0033】
このように本発明のレンズシート20Aは第1レンズアレイ21Aと第2レンズアレイ22Aとが各々独立したレンズアレイとして形成されるため、二方向の視野角特性の制御が容易である。すなわち、台形プリズム21Aの頂部の幅を小さくすると、レンズシート20Aの表面積に対して台形プリズムアレイ21Aが占める割合が増加し、台形プリズムアレイ21Aの集光機能が向上する。一方、台形プリズムアレイ21Aの頂部を大きくすると、レンズシート20Aの表面積に対して三角プリズムアレイ22Aが占める割合が増加し、三角プリズムアレイ22Aの集光機能が向上する。
【0034】
従来の三角プリズムシート、または台形プリズムシートは、頂角が約100度未満である場合、サイドローブが生じるという課題がある。サイドローブとは
図11に示されるように、観察者側Fへの集光ピークとは別に斜め方向にピーク(サイドローブ)が発生し、観察者側Fへの集光ピークとサイドローブとの間に暗い視野が生じることを言う。本発明に係るレンズシート20Aは、頂角が70度以上110度以下の範囲に設定された台形プリズムアレイ21Aと三角プリズムアレイ22Aとを有するが、サイドローブは生じない。プリズムは延在方向と直交する方向に集光機能を有し、延在方向には集光機能を有さない。
図11で示される丸でプロットされた視野角特性が、プリズム延在方向と直交する方向の特性(V)であり、Xでプロットされた視野角特性が、プリズム延在方向の特性(H)である。従って、レンズシート20Aは第1レンズアレイ21Aと第2レンズアレイ22Aとの2つのプリズムが存在するため、双方の集光機能を補完することが出来る。つまり、
図11に示されるようなプリズムと直交する方向の視野角特性(V)とプリズムと平行する方向の視野角特性(H)とを足し合わせた配光を得ることが出来る。したがって、本発明に係るレンズシート20Aを用いると、
図12に示されるようにサイドローブが生じない。ここで、
図12に示される視野角特性図は、台形プリズムアレイ21Aの頂角を90度、三角プリズムアレイ22Aの頂角を90度とし、レンズシート20Aの表面積に対して各々のレンズアレイが占める割合を50%とした場合の特性図である。従って、レンズシート20Aと画像表示素子2との間に拡散性光学シートを配置する必要が無く、高輝度特性が得られ、また光学シートも削減できる。
【0035】
そして、レンズシート20Aの表面積に対し、台形プリズムアレイ21Aが占める割合と三角プリズムアレイ22Aが占める割合とを調整することで、画面垂直方向の視野と画面水平方向との視野を調整することが可能である。ここで、第1レンズアレイ21と第2レンズアレイ22との何れか一方のレンズアレイは、光源6の光軸Lと略直交する方向に延在するため、画面水平方向の視野を制御する機能を有する。前述した通り、テレビに代表される画像表示装置1においては、画面垂直方向より画面水平方向の視野を広く設計することが望ましい。そこで、レンズシート20Aの表面積に対して、光源6の光軸Lと略直交する方向に延在するレンズアレイが占める割合は、最大でも50%以下であることが望ましい。一方、光源6の光軸Lと略直交する方向に延在するレンズアレイは、導光体7から斜め方向に射出される光を観察者側Fへと偏向する機能を有するため、レンズシート20Aの表面積に対して占める割合が少なくなるほど照明装置3の輝度を向上する効果が少なくなる。そこで、光源6の光軸Lと略直交する方向に延在するレンズアレイが占める割合は、少なくとも20%以上であることが望ましい。従って、レンズシート20Aを構成する第1レンズアレイ21A、及び第2レンズアレイ22Aのうち、光源6の光軸Lと略直交する方向に延在する一方のレンズアレイが、レンズシート20Aの表面積に対して占める割合は、20%以上50%以下の範囲であることが望ましい。第1レンズアレイ21Aと第2レンズアレイ22Aとの面積率をこのように調整することで、観察者側Fの輝度を高めながら、十分な画面水平方向の視野角特性を確保した照明装置3を得ることが出来る。
【0036】
本発明に係る二方向にプリズムレンズ機能を有するレンズシート20の別の機能について以下説明する。
図16A及び
図16Bは、本発明に係る導光体7の光偏向面7aに形成される光偏向要素18の配置を例示している。光偏向要素18は光偏向面7aにおいて光軸と直交する方向(X方向)に略一定の間隔XD(第1の間隔)で配置される。この間隔XDで配置された光偏向要素を1つの列としたとき、光軸方向(Y方向)においては、
図16Bに示されるように、光偏向要素列がX方向に第1の間隔の1/2の間隔である1/2・XD(第2の間隔)ずつシフトしていることが望ましい。
つまり、前記光偏向要素は、X方向に第1の間隔で並んだドット列が、Y方向に複数配置されることで形成され、隣り合う前記ドット列は、X方向に第1の間隔の1/2の間隔である第2の間隔ずれて配置され、前記Y方向における隣り合う前記ドット列の間隔が略一定に、または入射面7L(光源)から離れるにつれて狭くなるように配置されることが望ましい。
また光偏向要素18の配置は、光偏向面7aをY方向において複数のブロックに分割しても良い。このとき各ブロック内においてはX方向の間隔は一定であり、入射面7Lに近いブロックほどX方向の間隔は大きく、入射面7Lから離れたブロックほどX方向の間隔が小さくなることが望ましい。
照明装置3においては、光偏向要素18が視認されないことが求められる。本発明に係るレンズシート20を介して光偏向要素18を観察したとき、二方向にプリズムレンズ機能を有するため、光偏向要素は4つにスプリットされて視認される。
図16Aは光偏向要素列がX方向にシフトせずにY方向へと配置された場合の例であり、
図16Bは光偏向要素列がX方向に1/2・XDずつシフトしながらY方向へと配置された場合の例である。
図16Aにおいては、光偏向要素18が上下左右へとスプリットされるが、斜め方向には光偏向要素18の像(
図16Aにおける破線の円)が現れない。
一方、
図16Bにおいては、光偏向要素18が上下左右へとスプリットされ、斜め方向には別の光偏向要素18があるため、面内均一に光偏向要素18の像(
図16Bにおける破線の円)が生じ、光偏向要素18の視認性が大幅に低減することができる。
【0037】
本発明に係る二方向にプリズムレンズ機能を有するレンズシート20について、別の例を以下説明する。
図7に示されるのは、二方向にプリズムレンズ機能を有するピラミッドレンズシート20Bである。ピラミッドレンズシート20Bは、光源6の光軸L方向と、前記光軸L方向とは直交する方向の二方向に集光する機能を有する。従って、ピラミッドレンズシート20Bは、導光体7から射出される光軸L方向へと傾いた斜め光を観察者側Fへと偏向すると同時に、画面垂直方向の視野を狭めることで観察者側Fの輝度を高める機能を併せ持つため望ましい。また、ピラミッドレンズシート20Bは、二方向の集光機能を有するが、二方向の頂角を変えることで視野角特性を調整することが可能である。すなわち、ピラミッドレンズシート20Bの第1レンズアレイ21Bの頂角と第2レンズアレイ22Bの頂角とを異なる角度にすることで、画面水平・垂直方向の視野角特性を変更することが可能となる。
【0038】
図8に示される逆ピラミッドレンズシート20Cは、上述したピラミッドレンズシート20Bとはネガポジ(凹凸)を逆転した形状を有し、第1レンズアレイ21Cと第2レンズアレイ22Cとを有する。ピラミッドレンズシート20Bとほぼ同等な光学特性が得られるため、どちらの構成にするかを適宜選択することが可能である。
【0039】
図9に示されるのはヒップルーフレンズシート20Dである。上述したように、ピラミッドレンズシート20B及び逆ピラミッドレンズシート20Cは、二方向の視野角特性を変える場合、それぞれの頂角を変更する必要がある。一方、ヒップルーフレンズシート20Dは、二方向の頂角を変更することなく、ヒップルーフレンズシート20Dの表面積に対して第1レンズアレイ21Dと第2レンズアレイ22Dとの面積割合を調整することで、二方向の視野角特性を調整することが可能なため好ましい。
【0040】
図10に示されるのはクロスプリズムシート20Eである。クロスプリズムシート20Eは、隙間を空けて配置された第1レンズアレイ21Eと、前記隙間を埋めるように配置される第2レンズアレイ22Eとを有する。クロスプリズムシート20Eは、
図7〜
図9に示されるピラミッドレンズシート20B、逆ピラミッドレンズシート20C、及びヒップルーフレンズシート20Dと、第2レンズアレイ22Eの大きさが第1レンズアレイ21Eの大きさに比べて小さく設定され、各々が独立したプリズム形状を有している点で大きく異なる。第1レンズアレイ21Eと第2レンズアレイ22Eとが独立したプリズム形状を有しているため、各々の大きさ、頂角、または第1レンズアレイ21Eの隙間を調整することで、容易に二方向の視野角特性を制御することが出来るため好ましい。また、
図7〜
図9に示されるレンズシート20は、底部と頂部とが一致しているため、レンズシート20を成形するための型を準備する際、二方向のプリズム型を完全に一致させなければならない。したがって、二方向のプリズム型がずれた場合、光学特性に影響が出るのみならず、外観上の筋状のムラとして視認されてしまうといった問題も生じる。
図10に示されるようなクロスプリズムシート20Eは、第1レンズアレイ21Eと第2レンズアレイ22Eとの大きさが異なるため、二方向のプリズム型に多少のずれが生じても、外観上の問題は発生しないため好ましい。
【0041】
また、本発明に係る照明装置3を構成する導光体7の光偏向面7aには光偏向要素18が形成される。この光偏向要素18が観察者に視認されないよう、導光体7とレンズシート20との間に拡散シート8を配置してもよい。この場合、拡散シート8としては、主に射出面の凹凸によって光を拡散する、表面拡散シート8であることが望ましい。拡散シート8には、射出面の凹凸によって拡散する表面拡散タイプと、拡散シート内部に拡散材を含有した内部拡散タイプとがある。表面拡散シート8は入射光を拡散して射出するだけでなく、わずかではあるが、斜め方向の入射光を観察者側Fへと偏向する機能を有する。結果、内部拡散タイプの拡散シートより表面拡散タイプの拡散シート8の方が、照明装置3の輝度を高めることが出来る。
【0042】
表面拡散シート8としては、拡散ビーズをコーティングした拡散シート8A、または略半球形状であるマイクロレンズを規則的に、または不規則的に配置したマイクロレンズシート8Bが挙げられる。拡散ビーズをコーティングした拡散シート8Aに比べてマイクロレンズシート8Bは斜め方向の入射光を観察者側Fへと偏向する機能が強いため、照明装置3の輝度が高められる一方で、光偏向要素18の隠蔽性は劣る。したがって、導光体7の光偏向要素18の種類によって拡散シートを適宜選択することが望ましい。また、マイクロレンズシート8Bの内部に若干の拡散材を添加することで、光偏向要素18の隠蔽性を高めることも出来る。
【0043】
本発明に係る照明装置3を構成する導光体7の光偏向面7aに形成される光偏向要素18としては、白色の拡散反射ドット18A、または凹状または凸状のマイクロドット18Bが挙げられる。光偏向要素18としては、特にマイクロドット18Bであることが望ましい。マイクロドット18Bは、拡散反射ドット18Aに比べて、射出光の射出角度を制御することが出来る。すなわち、最も効率良く観察者側Fへと光を偏向することが出来る角度でレンズシート20へ入射するように、導光体7からの射出光を制御することができる。
【0044】
ここで、導光体7の入射端面7Lに配置された光源6のうち、1つの入射端面7Lに配置された光源6のみを点灯させた際の、レンズシート20への入射光の輝度がピークとなる斜めピーク角度をθiとし、そのピーク輝度を100%としたときに輝度が80%まで低下する角度差について、前記ピーク角度より大きい角度方向の角度差をΔD、前記ピーク角度より小さい角度方向の角度差をΔdとしたとき、第1レンズアレイ21、または第2レンズアレイ22のうち、入射端面7Lの延在方向と略一致する方向に延在するレンズアレイの頂角θが以下の式1を満たすことが望ましい。ここでnはレンズシート20の屈折率である。
【数1】
・・・式1
ただし、
・・・式2
【0045】
上述したピーク角度θiと角度差ΔD、Δdとの関係図を
図13に示す。式1は、入射角θiと入射角θiで入射した光を観察者側Fへと偏向するプリズム頂角θとの関係式である。ここで、レンズシート20に入射する光はコリメート光ではなく、角度方向に広がり幅を持った光であるため、入射光のピーク角度θiとプリズム頂角θとの関係が完全一致しない場合であっても、その広がり幅の範囲に入っていれば効率的に観察者側Fへと偏向される。そこで角度差範囲として、ピーク輝度を100%としたときに、輝度が80%まで低下する角度範囲と規定する。
【0046】
レンズシート20への入射光が式1を満たすとき、前記レンズシート20が観察者側Fへと効率良く偏向することが出来、観察者側Fの輝度が高い照明装置3を得ることが出来るため望ましい。また輝度を高めるだけでなく、レンズシート3での反射光も低減されるため、照明装置3の効率も向上する。
一方、式1を満たさない場合、観察者側Fへ偏向される光よりも、斜め方向へと偏向される光が増加するため、観察者側Fの輝度が大きくは向上しない。更に、レンズシート20での反射光が増加することで、照明装置3の効率も低下する。
【0047】
更に式1を満足する光偏向要素18とレンズシート20との関係について詳細に説明する。上述したように、光偏向要素18は凹状、または凸状のマイクロドット18Bであることが望ましい。そして、マイクロドット18Bを光偏向面7aに垂直且つ光軸方向と平行な面で切断したときの切断面は、光偏向面7aから最も離れた頂部Tと、前記頂部Tから光偏向面7aへと至る2つの輪郭線とで構成される。このとき、輪郭線の光偏向面7aに対する平均傾斜角度は、レンズシート20の一方のレンズアレイの光偏向面7aに対する平均傾斜角度よりも小さいことが望ましい。
図15では1つの例として、凹状のマイクロドット18Bで構成された本発明に係る導光体7と、
図6に示されたレンズシート20Aとの構成を図示している。
図15では簡単のために表面拡散シート8は図示していない。
【0048】
マイクロドット18Bは凹状のマイクロレンズ形状であり、頂部Tから光偏向面7aへと至る球面とで構成される。一方、レンズシート20Aは光軸と直交する一方のレンズアレイが台形レンズアレイ21Aであり、直線の傾斜面を有している。台形レンズアレイの頂角をθとしたとき、台形レンズアレイの傾斜角度は(π−θ)/2となる。このとき、マイクロドット18Bの断面を構成する球面の各々の点における接線と光偏向面7aとのなす角度の平均値(平均傾斜角度)が、(π−θ)/2よりも小さくなることが望ましい。平均傾斜角度が(π−θ)/2より大きくなると、式1で説明したピーク角度θiが小さくなり式1を満足しなくなる。すなわち、式1を満足する望ましい光偏向要素18としては、その平均傾斜角度が(π−θ)/2以下であるマイクロドット18Bである。ここで、
図15では1つの例として凹状のマイクロドット18Bを図示したが、本発明はこれに限られず、例えば凸状であっても良いし、頂部Tから光偏向面7aへと至る輪郭線が球面ではなく直線であっても良い。
【0049】
本発明の照明装置3は、導光体7の入射端面7Lが観察者側Fから見て左右の側端面、または少なくとも左右の片側1辺に光源6が配置された場合において、最も輝度向上効果が高い構成を取る。前述したように、最近の3D用スキャニングバックライトは、映像の走査に合わせて照明装置3を画面垂直方向に複数分割し、画面上から下へ向かって順次点灯・消灯をスクロールさせる。そのため、光源6から導光体7に入射した光が分割した領域内を導光することが望まれる。しかしながら、光源6から射出される光はランバートであるため、導光体7に入射した光は内部を扇状に広がって導光する。
【0050】
そこで、導光体7の光射出面7bには光閉じ込めレンズ19が形成される方が良い。光閉じ込めレンズ19としては、一方向に延在する凹状、または凸状のプリズムレンズ形状、またはレンチキュラーレンズ形状が望ましい。また、光閉じ込めレンズ19の延在方向と、光源6の光軸Lとは略一致する。ここで、略一致するとは、光軸Lと光閉じ込めレンズ19の延在方向とのなす角度が0度±10度の範囲を示す。光軸Lと光閉じ込めレンズ19の延在方向とのなす角度が10度を超えると、スキャニングバックライト動作時に、分割したブロックが明らかに斜めとなって観察者に視認されてしまう。
また光閉じ込めレンズ19形状は特に凸レンチキュラー形状であることが望ましい。この場合、レンズ先端部が丸みを帯びるため、導光体7の光射出面7b側に配置する拡散シート8、またはレンズシート20との擦れに対して耐擦性が得られる。
【0051】
本発明に係る照明装置3を構成するレンズシート20はサイドローブが生じないため、レンズシート20の上に拡散シートを必要としない。しかしながら、画像表示素子2の画素構造とレンズシート20の第1レンズアレイ21または第2レンズアレイ22との間にモアレ干渉縞が生じる場合、前記モアレ干渉縞を抑制するための、弱い拡散機能を持つ拡散シート28を配置しても良い。前記拡散シート28としては、ヘイズが80%未満、透過率が80%以上であることが望ましい。ヘイズが80%を超えた場合、レンズシート20で観察者側Fへと偏向した光が拡散されてしまい輝度が低下する。また、透過率が80%を下回ると照明装置3の効率が低下するため望ましくない。また、前記拡散シート28は偏光分離機能を備えた偏光分離反射シート29であっても良い。
【0052】
画像表示素子2は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する素子であることが好ましい。画素単位で光を透過/遮光して画像を表示するものであれば、本発明の照明装置3により、観察者側Fへの輝度が向上された光を有効に利用して、画像品位の高い画像を表示させることができる。
画像表示素子2は、液晶表示素子であることが好ましい。液晶表示素子は、画素単位で光を透過/遮光して画像を表示する代表的な素子であり、他の表示素子に比べて、画像品位を高くすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0053】
以上、本発明の照明装置3、並びに表示装置1について説明したが、本発明の照明装置3は表示装置1のみに適用されるものではない。すなわち光源6から射出された光を効率的に集光する機能を有する照明装置3として例えば照明機器などにも使用できる。すなわち本発明は、光源6の光軸Lとレンズシート20を構成するレンズアレイとの組合わせによって、光利用効率の高い照明装置3を提供することを目的としている。
以下、実施例に基づいて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例)
【0054】
23インチサイズの照明装置3について、以下のような構成を用いた。
本実施例に係る照明装置3は、下から、反射板5、導光体7、マイクロレンズシート8B、レンズシート20の順番に重ねて構成される。反射板5は白色の拡散反射シート5であり、反射率は約98%である。マイクロレンズシート8Bは、PET基材上にUV硬化樹脂の略半球形状であるマイクロレンズがランダムに配置されている。光源6は白色のLEDが導光体7の横1辺に複数配置される。以下、本構成において、各実施例、及び比較例の特徴について詳細に説明する。
【実施例1】
【0055】
実施例1の照明装置3を構成する導光体7として、光偏向要素18が白色の拡散反射ドットAである印刷導光板7Aを採用した。またレンズシート20は、
図6に示されるレンズシート20Aを屈折率が約1.59であるポリカーボネート樹脂で成形した。第1レンズアレイ21である台形プリズムアレイ21Aを光源6の光軸Lと平行とする構成とし、この際、レンズシート20Aの表面積に対する、光源6の光軸Lと直交する三角プリズムアレイ22Aの面積率を40%とした。また、台形プリズムアレイ21Aの頂角、及び三角プリズムアレイ22Aの頂角は、双方共に90度とした。
【実施例2】
【0056】
実施例2の照明装置3を構成する導光体7として、光偏向要素18が凹マイクロドット18BBである賦形導光板7Bとした。凹マイクロドット18Bは楕円球の一部の形状とし、長手幅を200μm、他方幅を100μm、ドット高さを20μmとした。一方、賦形導光板7Bの光射出面7bには光閉じ込めレンズ19が形成され、前記光閉じ込めレンズのレンズ幅は150μm、高さは52μmとした。実施例2で用いたレンズシート20は、実施例1に示されるレンズシート20Aと同様とした。
[比較例1]
【0057】
比較例1の照明装置3を構成する導光体7として、実施例1と同様、印刷導光板7Aを準備した。レンズシート20は
図4に示されるようなプリズムシート30をポリカーボネート樹脂で成形し、プリズムシート30を構成するプリズムレンズの延在方向と、光源6の光軸Lとを平行とする構成を取った。またプリズムレンズの頂角は90度とした。
[比較例2]
【0058】
比較例2の照明装置3を構成する導光体7として、実施例1と同様、印刷導光板7Aを準備した。レンズシート20は
図4に示されるようなプリズムシート30をポリカーボネート樹脂で成形し、プリズムシート30を構成するプリズムレンズの延在方向と、光源6の光軸Lとを直交とする構成を取った。またプリズムレンズの頂角は90度とした。
【0059】
実施例1〜2、及び比較例1〜2の照明装置3の観察者側Fに画像表示素子2として液晶パネルを用意して表示装置1とし、正面輝度と光学的外観評価を行った。評価結果を
図14に示す。
【0060】
比較例1の表示装置は、印刷導光端7Aとマイクロレンズシート8B、プリズムシート30を有する最も一般的な照明装置3で構成される。比較例1では、プリズムシート30が原因のサイドローブが生じる結果となった。このサイドローブを抑制するためには、プリズムシート30の観察者側に更に拡散シートを配置する必要がある。
【0061】
実施例1では、比較例1と比べて高輝度な表示装置1が得られた。比較例1のプリズムシート30は、光軸Lと平行になるようにプリズムレンズが配置されているため、水平方向に傾いた射出光を偏向することは出来ない。一方、実施例1のレンズシート20Aは、光軸Lと直交する方向に延在する三角プリズムアレイ22Aを備えるため、導光体7から射出される斜め光を観察者側Fへと偏向することができる。また、レンズシート20Aの表面積に対する三角プリズムアレイ22Aの面積率は40%であり、他方、台形プリズムアレイ21Aの面積率は60%であり、画面水平方向における集光機能より画面垂直方向における集光機能の方が高い。従って、視野角は垂直方向よりも水平方向の方が大きく、水平・垂直方向における視野角のバランスの良い表示装置1を得ることが出来た。
【0062】
実施例2は、光偏向要素18が凹マイクロドット18Bである賦形導光板7Bであるため、実施例1よりも更に高輝度な表示装置1を得ることが出来た。実施例2は、実施例1と導光体7が印刷導光板7Aではなく、賦形導光板7Bであるという点で異なる。光射出面7bに光閉じ込めレンズ19が形成される賦形導光板7Bを使用することで、印刷導光板7Aを使用する場合と比べて10%程度高輝度な表示装置1を得ることが出来る。更に賦形導光板7Bとマイクロレンズシート8Bとから射出して、レンズシート20Aに入射する光のピーク角度が約30度であり式1を満足している。従って、実施例2では、高輝度な表示装置1を得ることが出来た。
【0063】
比較例2では、比較例1、及び実施例1に比べて高輝度な表示装置1を得ることが出来た。比較例2では、プリズムシート30を構成するプリズムレンズが光軸Lと直交する方向に延在する。従って、光軸L方向に傾いた斜め射出光を効率良く観察者側Fへと偏向することが出来る。しかしながら、比較例2のプリズムシート30は画面水平方向の光を集光するため、画面水平方向の視野が狭く、画面垂直方向の視野が広い表示装置1となり、視野角特性に問題が生じた。更に、プリズムシート30に起因するサイドローブも確認された。
【0064】
本実施例により、二方向にプリズムアレイを有するレンズシート20は、従来の一方向のプリズムアレイを有するプリズムシート30に比べて、高輝度でサイドローブが生じない照明装置3、及び前記照明装置3を備えた表示装置1を得ることが出来ることが確認された。