(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)本発明のアース端子ユニットは、前記2つの分割金具のうち一方の前記分割金具には、前記第1ボルト貫通孔を全周に亘って連続して包囲する形態の枠部が形成され、前記枠部の内周縁が前記第1板状接続部の少なくとも一部となっていてもよい。この構成によれば、第1板状接続部の強度が枠部によって高められる。
【0012】
(2)本発明のアース端子ユニットは、前記分割金具は、板状部から前記導電路用接続部を延出させた形態であり、前記2つの分割金具が合体して前記第1アース用端子金具が構成された状態では、前記板状部同士が幅方向に並ぶことにより前記第1板状接続部を含む第1アース用接続部が構成され、前記第2アース用端子金具は、前記第2板状接続部を含む第2アース用接続部から、導電路用接続部を延出させた形態であり、前記第1アース用接続部と前記第2アース用接続部が前記幅方向に並ぶ配置で組み付けられ、前記第1アース用端子金具の前記導電路用接続部と前記第2アース用端子金具の前記導電路用接続部が、前記幅方向に対して交差する方向に延出していてもよい。この構成によれば、第1アース用端子金具と第2アース用端子金具に形成された複数の導電路用接続部の全てが、幅方向において、第1アース用接続部及び第2アース用接続部が占める範囲内に配置される。したがって、幅方向への大型化を回避できる。
【0013】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図10を参照して説明する。本実施例のアース端子ユニットAは、第1導電路Wa(請求項に記載のアース用導電路)が接続される第1アース用端子金具10と、第2導電路Wb(請求項に記載のアース用導電路)が接続される第2アース用端子金具40とを重ね合わせ、この両アース用端子金具10,40を1本のボルトBによって接地部Eに接続するものである。そして、本実施例の第1アース用端子金具10は、2つの分割金具20,30を合体させて構成されていながら、単体のアース用端子金具と同じ長さ(種類)のボルトBを流用できる点に特徴を有している。
【0014】
尚、以下の説明における上下の向きについては、便宜上、アース端子ユニットAが水平な接地部E(接地面)に接続されている状態(
図10を参照)を基準とする。また、アース端子ユニットAを構成する各部品の板厚方向と、上下方向とは、同義で用いる。また、前後方向については、
図2における右方を前方と定義する。左右方向については、
図2における上方を左方と定義する。
【0015】
<第1アース用端子金具10>
図2,3,4,8に示すように、第1アース用端子金具10は、第1分割金具20(
図5を参照)と、第1分割金具20とは別体部品である第2分割金具30(
図7を参照)とを合体させて構成されている。両分割金具20,30を合体させた形態について説明する。第1アース用端子金具10は、全体として概ね平板状をなす第1アース用接続部11と、第1アース用接続部11の後端縁に連なるハーネス用接続部16とを備えている。
【0016】
図4に示すように、第1アース用接続部11には、上下方向(板厚方向)に貫通した形態の第1ボルト貫通孔12が形成されている。第1ボルト貫通孔12の開口縁部のうち前縁部と後縁部は、左右方向に延びた前後一対の第1板状接続部13となっている。前後両第1板状接続部13の上面における左端部には、上方へ僅かに叩き出した形態の第1接点部14が形成されている。
【0017】
第1ボルト貫通孔12の開口縁部のうち左右両縁部は、左右一対の第1組付用係止部14L,14Rとなっている。この左右両第1組付用係止部14L,14Rは、第1板状接続部13に対し上方(表面側)へ段差状に突出した形態である。この第1組付用係止部14L,14Rと第1板状接続部13との高低差は、第1板状接続部13及び第1組付用係止部14L,14Rの板厚よりも僅かに小さい寸法とされている。左側の第1組付用係止部14Lには、上下方向に貫通する第1組付用係止孔15Lが形成されている。右側の第1組付用係止部14Rには、切り起こしにより斜め左下方へ突出した形態の第1組付用係止突起15Rが形成されている。
【0018】
ハーネス用接続部16は、第1アース用接続部11の後端縁から左右に並列された状態で立ち上がるように延出する複数本のアーム部17と、複数本のアーム部17の上端から後方へ延出する水平な4枚の板状支持部18と、各板状支持部18の後端縁から後方へ並列して片持ち状に延出した形態の複数本のタブ19(請求項に記載の導電路用接続部)とから構成されている。4枚の板状支持部18は、上下に間隔を空けて配置されている。上側の2枚の板状支持部18は、その左端縁において連結されており、下側の2枚の板状支持部18は、その左端縁において連結されている。
【0019】
図1に示すように、ハーネス用接続部16のうち上側の2枚の板状支持部18とこの板状支持部18から突出するタブ19は、上段側コネクタハウジングH内に収容されている。下側の2枚の板状支持部18とこの板状支持部18から突出するタブ19は、下段側コネクタハウジングH内に収容されている。コネクタハウジングHには、後端面に開口する複数のキャビティCが形成されており、各キャビティC内では、夫々、タブ19が個別に待機している。キャビティC内には、ワイヤーハーネス(図示省略)を構成する第1導電路Waの端末部の雌端子金具T(
図2を参照)が挿入され、キャビティC内で雌端子金具Tとタブ19が接続されるようになっている。
【0020】
<第1分割金具20>
図5,6に示すように、第1分割金具20は、第1アース用接続部11を構成する第1板状部21と、ハーネス用接続部16のうち上側の2枚の板状支持部18と、第1板状部21の後端縁から延出して上側の2枚の板状支持部18を支持する複数本のアーム部17と、上側の2枚の板状支持部18から突出する複数のタブ19とを一体に形成したものである。
【0021】
第1板状部21には、上下方向に貫通する開口部22が形成されている。この開口部22は第1ボルト貫通孔12を構成するものである。開口部22は、第1板状部21を構成する枠部23により、全周に亘って連続して包囲されている。開口部22の開口縁のうち前後両縁部には、その右側領域から開口部22内へ張り出した形態の張出部24が形成されている。この一対の張出部24は、第1板状接続部13を構成する。この張出部24は、枠部23を構成している。
【0022】
開口部22の開口縁のうち右縁部には、上記した右側の第1組付用係止部14Rが形成されている。この右側の第1組付用係止部14Rは、第1板状部21に対して段差状に高くなっている。この右側の第1組付用係止部14Rと第1板状部21との高低差は、第1板状部21の板厚寸法よりも僅かに小さい寸法である。この右側の第1組付用係止部14Rは、張出部24と同様、枠部23を構成している。
【0023】
また、第1板状部21には、第1分割金具20と第2分割金具30を合体させる手段として、第1合体用係止部25が形成されている。第1合体用係止部25は、第1板状部21のうち開口部22よりも左方の位置に配置されている。この第1合体用係止部25の形成されている位置は、第1板状接続部13(張出部24)とは異なる位置であり、締付部材のボルトBとは非接触となる位置である。第1合体用係止部25は、第1板状部21を下方へ段差状に叩き出した形態である。第1合体用係止部25と第1板状部21との高低差は、第1板状部21の板厚寸法よりも僅かに小さい寸法である。第1合体用係止部25の上面には、切り起こしにより斜め上前方に突出した形態の合体用係止突起26が形成されている。
【0024】
<第2分割金具30>
図7に示すように、第2分割金具30は、第1アース用接続部11を構成する第2板状部31と、ハーネス用接続部16のうち下側の2枚の板状支持部18と、第1板状分割金具の後端縁から延出して下側の2枚の板状支持部18を支持する複数本のアーム部17と、下側の2枚の板状支持部18から突出する複数のタブ19とを一体に形成したものである。第2板状部31の板厚寸法は第1板状部21と同じ寸法である。
【0025】
第2板状部31の右側縁部には、上記した左側の第1組付用係止部14Lが形成されている。この左側の第1組付用係止部14Lは、第2板状部31に対して段差状に高くなっている。この左側の第1組付用係止部14Lと第2板状部31との高低差は、第2板状部31の板厚寸法よりも僅かに小さい寸法である。第2板状部31の右側縁部には、左方へ片持ち状に延出した形態の前後一対の突出部32が形成されている。この前後両突出部32は、第1板状部21の張出部24と共同して第1板状接続部13を構成する。
【0026】
また、第2板状部31には、第1分割金具20と第2分割金具30を合体させる手段として、第2合体用係止部33が形成されている。第2合体用係止部33は、第2板状部31のうち左側の第1組付用係止部14Lよりも左方の位置に配置されている。この第2合体用係止部33の形成されている位置は、第1板状接続部13(突出部32)とは異なる位置であり、締付部材のボルトBとは非接触となる位置である。第2合体用係止部33は、第2板状部31を上方へ段差状に叩き出した形態である。第2合体用係止部33と第2板状部31との高低差は、第2板状部31の板厚寸法よりも僅かに小さい寸法である。第2合体用係止部33には、上下方向に貫通した形態の合体用係止孔34が形成されている。また、第2板状部31には、第2合体用係止部33の前方に隣接する領域を上下方向に貫通させた形態の逃がし孔35が形成されている。
【0027】
<第1分割金具20と第2分割金具30の合体形態>
第1分割金具20と第2分割金具30は、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40の組付けを行う前に予め合体させておく。両分割金具20,30を合体させる際には、第2板状部31の上面に第1板状部21を重ね合わせ、第1合体用係止部25を逃がし孔35内に入り込ませる。このとき、右側の第1組付用係止部14Rが左側の第1組付用係止部14Lに対して前方にずれた位置に配置され、前後一対の張出部24が前後一対の突出部32に対して前方にずれた位置に配置される。また、枠部23の一部が後側の突出部32の上に乗り上がった状態となる。つまり、第1分割金具20は、第2分割金具30に対し正規の合体位置よりも前方にずれた位置にある。
【0028】
この状態から、第1分割金具20を第2分割金具30に対して相対的に後方へスライド(平行移動)させながら、第1合体用係止部25を第2合体用係止部33の下に潜り込ませる。この間、第2分割金具30に形成されている左側の第1組付用係止部14Lが、第1分割金具20の開口部22の開口縁における左縁に摺接するとともに、第2分割金具30の第2板状部31の左側縁に形成されているリブ36が、第1分割金具20の第1板状部21の左側縁に摺接する。この左右の摺接作用により、第1分割金具20と第2分割金具30は、左右方向に相対移動することなく、安定した位置関係を保ってスライドする。
【0029】
そして、第1分割金具20と第2分割金具30が正規の合体状態に至ると、前側の突出部32が開口部22の開口縁に対して後方から当接することにより、第1分割金具20が後方への相対移動(スライド)を規制される。同時に、合体用係止突起26が合体用係止孔34に係止することにより、第1分割金具20が第2分割金具30に対して前方への戻りが規制される。また、左側の第1組付用係止部14Lとリブ36が第1板状部21に対して左右から挟むように当接するとともに、張出部24の左端と突出部32の右端が当接することにより、第1分割金具20と第2分割金具30の左右方向への相対移動が規制される。さらに、第1板状部21が第2板状部31の上面に当接し、第1合体用係止部25が第2合体用係止部33の下面に当接することにより、第1分割金具20と第2分割金具30は上下方向への相対移動(分離動作)が規制される。以上により、第1分割金具20と第2分割金具30が合体状態に保持され、第1アース用端子金具10が構成される。
【0030】
第1分割金具20と第2分割金具30を合体した状態では、前側の張出部24と前側の突出部32が、面一状をなして左右に隣接して並ぶように配置され、後側の張出部24と後側の突出部32が、面一状をなして左右に隣接して並ぶように配置される。そして、この前後一対の張出部24と前後一対の突出部32により、前後一対の第1板状接続部13が構成されている。また、右側の第1組付用係止部14Rと左側の第1組付用係止部14Lは、第1板状接続部13よりも高い位置に配置されている。そして、第1板状部21の開口部22のうち、前後一対の第1板状接続部13と左右一対の第1組付用係止部14L,14Rによって囲まれた領域が、第1ボルト貫通孔12となっている。
【0031】
<第2アース用端子金具40>
図8に示すように、第2アース用端子金具40は単一部品である。第2アース用端子金具40は、全体として概ね平板状をなす第2アース用接続部41と、第2アース用接続部41の後端縁に連なるオープンバレル状の圧着部47(請求項に記載の導電路用接続部)とを備えている。圧着部47には、被覆電線からなる1本の第2導電路Wbが圧着により接続されるようになっている。第2アース用接続部41の板厚寸法は、第1アース用端子金具10を構成している第1板状部21及び第2板状部31の板厚とほぼ同じ寸法である。
【0032】
第2アース用接続部41には、上下方向(板厚方向)に貫通した形態の第2ボルト貫通孔42が形成されている。第2ボルト貫通孔42の開口縁部のうち前縁部と後縁部は、左右方向に延びた前後一対の第2板状接続部43となっている。前後両第2板状接続部43の下面における右端部には、下方へ僅かに叩き出した形態の第2接点部44が形成されている。
【0033】
また、第2ボルト貫通孔42の開口縁部のうち左右両縁部は、左右一対の第2組付用係止部45L,45Rとなっている。この左右両第2組付用係止部45L,45Rは、第2板状接続部43に対し下方(裏面側)へ段差状に突出した形態である。つまり、第2板状接続部43からの第2組付用係止部45L,45Rの突出方向と、第1板状接続部13からの第1組付用係止部14L,14Rの突出方向は、上下逆となっている。この第2組付用係止部45L,45Rと第2板状接続部43との高低差は、第2板状接続部43及び第2組付用係止部45L,45Rの板厚よりも僅かに小さい寸法とされている。右側の第2組付用係止部45Rには、上下方向に貫通する第2組付用係止孔46Rが形成されている。左側の第1組付用係止部14Lには、切り起こしにより斜め右上方へ突出した形態の第2組付用係止突起46Lが形成されている。
【0034】
<第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40の組付け形態>
第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40を組み付ける際には、第1アース用接続部11の上面に第2アース用接続部41を重ね合わせ、左側の第2組付用係止部45Lを、左側の第1組付用係止部14Lよりも右方に配置して、第1ボルト貫通孔12内に収容する。したがって、右側の第2組付用係止部45Rは右側の第1組付用係止部14Rに対して右方にずれた位置に配置される。また、前後一対の第2板状接続部43は、前後一対の第1板状接続部13に対し、右方へいずれはいるが、前後方向においては正規の組付け状態と同じ位置関係となる。つまり、第2アース用端子金具40は、第1アース用端子金具10に対し正規の合体位置よりも右方にずれた位置にある。
【0035】
この状態から、第2アース用端子金具40を第1アース用端子金具10に対して相対的に左方へスライド(平行移動)させる。この間に、左側の第2組付用係止部45Lが左側の第1組付用係止部14Lの下に潜り込むとともに、右側の第2組付用係止部45Rが右側の第1組付用係止部14Rの下に潜り込む。そして、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40が正規の組付け状態に至ると、左側の第2組付用係止部45Lの前後両端部が左側の第1組付用係止部14Lの前後両端部に対して右方から当接するとともに、右側の第2組付用係止部45Rの前後両端部が右側の第1組付用係止部14Rの前後両端部に対して右方から当接することにより、第2アース用端子金具40が左方への相対移動(スライド)を規制される。
【0036】
同時に、第2組付用係止突起46Lが第1組付用係止孔15Lに係止するとともに、第2組付用係止孔46Rが第1組付用係止突起15Rに係止することにより、第2アース用端子金具40が第1アース用端子金具10に対して右方への戻りが規制される。さらに、第2アース用接続部41の下面の第2接点部44が第1アース用接続部11の上面に当接するととも、第1アース用接続部11の上面の第1接点部14が第2アース用接続部41の下面に当接することにより、第2アース用端子金具40は第1アース用端子金具10に対して下方へ相対移動することを規制される。また、第2組付用係止部45L,45Rが第1組付用係止部14L,14Rの下面に当接することにより、第2アース用端子金具40は第1アース用端子金具10に対して上方へ相対移動(分離)することを規制される。以上により、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40が組み付けられ、アース端子ユニットAが構成される。
【0037】
第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40を組み付けた状態では、下側に位置する第1ボルト貫通孔12と上側に位置する第2ボルト貫通孔42が、ほぼ同心状をなして整合した状態となる。また、この両ボルト貫通孔12,42の開口縁部においては、前後一対の第1板状接続部13と前後一対の第2板状接続部43が上下に重なるとともに、左右一対の第1組付用係止部14L,14Rと左右一対の第2組付用係止部45L,45Rが上下に重なる。そして、上下方向において、第1組付用係止部14L,14Rの上面は、第2板状接続部43の上面よりも僅かに低い位置で並ぶとともに、第1板状接続部13の下面は、第2組付用係止部45L,45Rの下面よりも僅かに高い位置で並ぶ。したがって、両ボルト貫通孔12,42の開口縁部におけるアース端子ユニットAの板厚寸法は、第1板状接続部13の板厚寸法と第2板状接続部43の板厚寸法を併せた寸法となる。
【0038】
<実施例1の作用及び効果>
上記構成になるアース端子ユニットAを接地部Eに接続する際には、アース端子ユニットAを接地部Eの上面に載置し、接地部EのナットNに両ボルト貫通孔12,42を対応させる。この状態で、ボルトBを、アース端子ユニットAの上方からボルト貫通孔12,42に差し込んでナットNにねじ込む。ボルトBを締め付けると、ボルトBの頭部の座面Sが、第2板状接続部43の上面に当接し、座面Sと接地部Eとの間で、両板状接続部13,43が板厚方向に挟み付けられる。以上により、アース端子ユニットAが両板状接続部13,43において接地部Eに接続される。
【0039】
本実施例のアース端子ユニットAは、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40を組み付けて構成されている。第1アース用端子金具10には、第1ボルト貫通孔12と、第1ボルト貫通孔12の開口縁に配された第1板状接続部13と、第1組付用係止部14L,14Rが形成されている。第2アース用端子金具40には、第2ボルト貫通孔42と、第2ボルト貫通孔42の開口縁に配された第2板状接続部43と、第2組付用係止部45L,45Rが形成されている。そして、両アース用端子金具10,40は。第1組付用係止部14L,14Rと第2組付用係止部45L,45Rとの係止により、第1板状接続部13と第2板状接続部43とが板厚方向に重ね合わせられた組付け状態に保持される。組み付けられた両アース用端子金具10,40は、締付部材を構成するボルトBを第1ボルト貫通孔12と第2ボルト貫通孔42に貫通させ、締付部材の座面Sと接地部Eとの間で第1板状接続部13と第2板状接続部43を挟み付けた状態で、接地部Eに接続される。
【0040】
本実施例のアース端子ユニットAは、第1アース用端子金具10が、第2導電路Wbの雌端子金具Tと接続可能な複数のタブ19を有する2つの分割金具20,30を合体して構成されている。したがって、第1アース用端子金具が単一部品である場合に比べると、本実施例のアース端子ユニットAは、接続可能な第1導電路Wa(アース用導電路)の本数や種類数を増やすことができるようになっている。
【0041】
また、2つの分割金具20,30には、第1板状接続部13とは異なる位置において互いに係止することで、2つの分割金具20,30を合体状態に保持する合体用係止部25,33が形成されている。第1板状接続部13とは異なる位置に配置された合体用係止部25,33は、ボルトBの座面Sや接地部Eと干渉することがない。そして、合体用係止部25,33を第1板状接続部13とは異なる位置に配置したことより、第1板状接続部13を一枚板状としている。
【0042】
この構成によれば、第1板状接続部13の厚さ寸法は、第1アース用端子金具が単一部品である場合と同じ寸法に維持されていることを意味する。したがって、本実施例によれば、第1アース用端子金具10の構成部品が2つに増えていても、接地部Eと締付部材の座面Sとの間隔を変更せずに済んでいる。このように、本実施例によれば、使用する締付部材(ボルトB)の種類数を増やすことなく、接続可能な第1導電路Wa(アース用導電路)の本数や種類数を増やすことができる。
【0043】
また、本実施例のアース端子ユニットAは、2つの分割金具20,30の両方に、第1板状接続部13が形成されている。この構成によれば、2つの分割金具20,30の両方共に、第1板状接続部13において締付部材の座面Sと接地部Eとの間で確実に挟み付けられるので、接地部Eとの接続信頼性が高い。また、2つの分割金具20,30のうち第1分割金具20には、第1ボルト貫通孔12を全周に亘って連続して包囲する形態の枠部23が形成され、枠部23の内周縁が第1板状接続部13の一部を構成する張出部24となっている。この構成により、第1板状接続部13の強度が枠部23によって高められている。
【0044】
また、第1分割金具20と第2分割金具30を合体状態に保持する手段である第1合体用係止部25と第2合体用係止部33の係止強度は、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40を組付け状態に保持する手段である第1組付用係止部14L,14R第2組付用係止部45L,45Rとの係止強度よりも大きく設定されている。この設定によれば、第1アース用端子金具10と第2アース用端子金具40を組み付ける工程で、第1合体用係止部25と第2合体用係止部33との係止が解除されないので、第1分割金具20と第2分割金具30が分離せずに済む。
【0045】
また、
図2に示すように、第2アース用端子金具40の圧着部47では、第2導電路Wbとの接触部分の全体が、シリコン樹脂等の止水材48によって包囲されている。したがって、第2アース用端子金具40に水が付着しても、その水が、第2導電路Wbの芯線の内部や、芯線と絶縁被覆との隙間を通ってアース端子ユニットAとは反対側へ浸水することが防止されている。
【0046】
<実施例2>
次に、本発明を具体化した実施例2を
図11を参照して説明する。本実施例2のアース端子ユニットFは、第1アース用端子金具50における第1導電路54,56との接続手段である導電路用接続部を実施例1の第1アース用端子金具10のタブ19とは異なる形態としたものである。その他の構成については上記実施例1と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0047】
第1アース用端子金具50は、第1アース用接続部50aから左右2つのオープンバレル状の圧着部53、55(請求項に記載の導電路用接続部)を後方へ片持ち状に延出させた形態であり、第1分割金具51と第2分割金具52とを合体させて構成されている。第1分割金具51は、実施例1と同じ形態の第1板状接続部(図示省略)の一部を含む第1板状部51aから、一方の圧着部53を延出させた形態である。第2分割金具52は、第1板状接続部の一部を含む第2板状部52aから、他方の圧着部55を延出させた形態である。第1板状部51aと第2板状部52aは、両分割金具51,52を合体させた状態で、第1アース用接続部50aを構成する。
【0048】
第1分割金具51の圧着部53には、芯線を銅又は銅合金とした複数本の被覆電線を束ねた形態の第1導電路54(請求項に記載のアース用導電路)が、一括して圧着することにより接続されている。第2分割金具52の圧着部55には、芯線をアルミニウム又はアルミニウム合金とした複数本の被覆電線を束ねた形態の第1導電路56が、一括して圧着することにより接続されている。尚、圧着部53,55に接続される被覆電線の芯線の材質と、圧着部53,55に接続される被覆電線の本数は、適宜に変更することができる。また、圧着部53,55には、実施例1と同じく止水材48を用いた防水手段を適用することができる。
【0049】
第1分割金具51と第2分割金具52には、夫々、実施例1と同じ係止構造を有する第1合体用係止部25と第2合体用係止部33が形成されている。但し、本実施例2の合体用係止部25,33の合体方向は、前後方向ではなく幅方向(左右方向)、つまり、第1アース用端子金具50と第2アース用端子金具40の組付け方向と平行な方向である。本実施例2では、合体用係止部25,33の係止強度を組付用係止部13,43の係止強度よりも高くしているので、アース用端子金具40,50同士を組み付ける際に、合体用係止部25,33の係止が解除されて分割金具51,52同士が分離する、という虞はない。
【0050】
2つの分割金具51,52が合体して第1アース用端子金具50が構成された状態では、板状部51a,52a同士が幅方向に並ぶことにより第1板状接続部を含む第1アース用接続部50aが構成されている。第2アース用端子金具40は、第2板状接続部43を含む第2アース用接続部41から、圧着部47を後方へ片持ち状に延出させた形態である。第1アース用接続部50aと第2アース用接続部41は、幅方向(つまり、第1分割金具51の第1板状部51aと第2分割金具52の第2板状部52aとが並ぶ方向と平行な方向)に並ぶ配置で組み付けられる。そして、第1アース用端子金具50の圧着部53,55と第2アース用端子金具40の圧着部47は、上記幅方向に対して交差する方向(後方)に延出している。この構成によれば、第1アース用端子金具50と第2アース用端子金具40に形成された複数の圧着部47,53,55の全てが、幅方向において、第1アース用接続部50a及び第2アース用接続部41が占める範囲内に配置される。したがって、幅方向への大型化を回避できる。
【0051】
また、3つの圧着部47,53,55は、幅方向に並列配置されているので、これらの圧着部47,53,55に圧着された被覆電線54,56も、幅方向に並んだ状態で後方へ延出される。本実施例2では、幅方向中央に配置された圧着部55に接続された被覆電線56の束の外径寸法は、幅方向左側に配置された圧着部53に接続された被覆電線54の束の外径寸法、及び幅方向右側に配置された圧着部47に接続された被覆電線の外径寸法よりも大きい寸法である。したがって、これらの被覆電線54,56を一括してテープ巻きしたときに、ワイヤーハーネスの束が安定した形状となる。
【0052】
<実施例3>
次に、本発明を具体化した実施例3を
図12を参照して説明する。本実施例3のアース端子ユニットGは、第2アース用端子金具60を上記実施例2の第2アース用端子金具40とは異なる構成としたものである。その他の構成については上記実施例2と同じであるため、同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0053】
本実施例3の第2アース用端子金具60は、実施例2の第1アース用端子金具50と同様、第2アース用接続部60aから左右2つのオープンバレル状の圧着部63(請求項に記載の導電路用接続部)を後方へ片持ち状に延出させた形態であり、第1分割金具61と第2分割金具62とを合体させて構成されている。第1分割金具61は、実施例1と同じ形状の第2板状接続部43の一部を含む第1板状部61aから、一方の圧着部63を延出させた形態である。第2分割金具62は、第2板状接続部43の一部を含む第2板状部62aから、他方の圧着部65を延出させた形態である。第1板状部61aと第2板状部62aは、両分割金具61,62を合体させた状態で、第2アース用接続部60aを構成する。
【0054】
第2アース用端子金具60を構成する第1分割金具61と第2分割金具62の合体構造は、実施例2の第1アース用端子金具50における第1分割金具51と第2分割金具52との合体構造と同一である。また、第2アース用端子金具60における第1アース用端子金具50との組付け構造は、実施例2と同様、左右一対の第2組付用係止部14L,14Rによって構成されている。各圧着部63に圧着される被覆電線(図示省略)の芯線の材質や、各圧着部63に圧着される被覆電線(図示省略)の本数は、適宜に設定、変更することができる。また、圧着部63には、実施例1,2と同じく止水材48を用いた防水手段を適用することができる。
【0055】
第2アース用端子金具60を構成する第1分割金具61と第2分割金具62には、夫々、実施例1,2と同じ係止構造を有する第1合体用係止部25と第2合体用係止部33が形成されている。但し、本実施例3の合体用係止部25,33の合体方向は、前後方向ではなく幅方向(左右方向)、つまり、第1アース用端子金具50における第1分割金具51と第2分割金具52の合体方向と平行に方向であり、第1アース用端子金具50と第2アース用端子金具60の組付け方向と平行な方向である。本実施例3では、合体用係止部25,33の係止強度を組付用係止部13,43の係止強度よりも高くしているので、アース用端子金具50,60同士を組み付ける際に、合体用係止部25,33の係止が解除されて分割金具51,52同士が分離したり、分割金具61,62同士が分離したりする、という虞はない。
【0056】
2つの分割金具51,52が合体して第1アース用端子金具50が構成された状態では、板状部51a,52a同士が幅方向に並ぶことにより第1板状接続部を含む第1アース用接続部50aが構成されている。また、2つの分割金具61,62が合体して第2アース用端子金具60が構成された状態では、板状部61a,62a同士が幅方向に並ぶことにより第2板状接続部43を含む第2アース用接続部60aが構成されている。そして、第1アース用接続部50aと第2アース用接続部60aは、幅方向に並ぶ配置で組み付けられる。
【0057】
そして、第1アース用端子金具50の2つの圧着部53,55と第2アース用端子金具60の2つの圧着部63は、幅方向に対して交差する方向(後方)に延出している。この構成によれば、第1アース用端子金具50と第2アース用端子金具60に形成された複数の圧着部53,55,63の全てが、幅方向において、第1アース用接続部50a及び第2アース用接続部60aが占める範囲内に配置される。したがって、幅方向への大型化を回避できる。
【0058】
また、4つの圧着部53,55,63は、幅方向に並列配置されているので、これらの圧着部53,55,63に圧着された被覆電線(図示省略)も、幅方向に並んだ状態で後方へ延出される。本実施例3では、幅方向中央に配置された2つの圧着部55,63に接続された被覆電線の束の外径寸法は、幅方向左側に配置された圧着部53に接続された被覆電線の束の外径寸法、及び幅方向右側に配置された圧着部63に接続された被覆電線の外径寸法よりも大きい寸法である。したがって、これらの被覆電線を一括してテープ巻きしたときに、ワイヤーハーネスの束が安定した形状となる。
【0059】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1〜3において、第1組付用係止部と第2組付用係止部が締付部材の座面と接地部との間で挟み付けられるようにしてもよい。
(2)上記実施例1〜3では、2つの分割金具の両方に第1板状接続部を形成したが、第1板状接続部をいずれか一方の分割金具のみに形成し、他方の分割金具には第1板状接続部を形成しない形態としてもよい。
(3)上記実施例1では、2つの分割金具に、夫々、複数の導電路用接続部が形成されているが、少なくとも一方の分割金具に形成される導電路用接続部の数は、1つだけであってもよい。
(4)上記実施例1では、分割金具の導電路用接続部を、雌形の導電路と雌雄嵌合されるタブ状としたが、分割金具の導電路用接続部は、雄形(タブ状)の導電路と雌雄嵌合される角筒状であってもよい。
(5)上記実施例1では、分割金具の導電路用接続部は、導電路に対して容易に離脱可能な雌雄嵌合によって接続するようになっているが、分割金具の導電路用接続部は、溶接や圧着のように容易に離脱できない形態で導電路と接続されていてもよい。
(6)上記実施例1〜3では、一方の分割金具に第1ボルト貫通孔を包囲する枠部が形成され、第1板状接続部の一部のみが枠部の内周縁に形成されているが、第1板状接続部の全領域が枠部の内周縁に形成されていてもよい。
(7)上記実施例1では、第2アース用端子金具を単一部材としたが、第2アース用端子金具は、複数の分割金具を組み付けて構成されていてもよい。
(8)上記実施例1〜3では、第2アース用端子金具の導電路用接続部を、圧着により導電路に接続するようにしたが、第2アース用端子金具の導電路用接続部は、圧着に限らず、雄雌嵌合や溶接等の手段によって導電路に接続される形態であってもよい。
(9)上記実施例1では、第2アース用端子金具の導電路用接続部の数を1つとしたが、第2アース用端子金具に複数の導電路用接続部が形成されていてもよい。
(10)上記実施例1では、第2アース用端子金具の導電路用接続部を圧着タイプとしたが、第2アース用端子金具の導電路用接続部は、第1アース用端子金具と同じくタブでもよく、圧着や溶接等でもよい。
(11)上記実施例2,3において、第1アース用端子金具の圧着タイプの導電路用接続部を、実施例1のようにタブ状としてもよく、溶接等により接続される形態としてもよい。また、タブ状とする場合、タブの数は、1つでもよく、複数でもよい。
(12)上記実施例2,3において、第2アース用端子金具の圧着タイプの導電路用接続部を、実施例1のようにタブ状としてもよく、溶接等により接続される形態としてもよい。また、タブ状とする場合、タブの数は、1つでもよく、複数でもよい。
(13)上記実施例2,3では、第1アース用端子金具の導電路用接続部と第2アース用端子金具の導電路用接続部を、全て同じ接続形態(圧着タイプ)で揃えたが、第1アース用端子金具の導電路用接続部と第2アース用端子金具の導電路用接続部は、互いに異なる接続形態の組合せ(例えば、タブ状と圧着タイプとの組合せ、タブ状と溶接との組合せ、圧着タイプと溶接との組合せ等)であってもよい。
(14)上記実施例1〜3では、第1アース用端子金具を構成する2つの分割金具の導電路用接続部を同じ接続形態(タブ同士、又は圧着タイプ同士)で揃えたが、第1アース用端子金具を構成する2つの分割金具の導電路用接続部は、互いに異なる接続形態の組合せ(例えば、タブ状と圧着タイプとの組合せ、タブ状と溶接との組合せ、圧着と溶接との組合せ等)であってもよい。
(15)上記実施例3では、第2アース用端子金具を構成する2つの分割金具の導電路用接続部を同じ接続形態(圧着タイプ同士)で揃えたが、第2アース用端子金具を構成する2つの分割金具の導電路用接続部は、互いに異なる接続形態の組合せ(例えば、タブ状と圧着タイプとの組合せ、タブ状と溶接との組合せ、圧着と溶接との組合せ等)であってもよい。
(16)上記実施例2では、3つの導電路用接続部を、全て同一の接続形態(圧着同士)で揃えたが、3つの導電路用接続部の全てを互いに異なる接続形態の組合せ(例えば、タブと圧着と溶接の組合せ)としてもよく、3つのうち2つの導電路用接続部のみを同一の接続形態で揃えてもよい。
(17)上記実施例3では、4つの導電路用接続部を、全て同一の接続形態(圧着同士)で揃えたが、4つの導電路用接続部の全てを互いに異なる接続形態の組合せ(例えば、タブと圧着と溶接とそれ以外のものとの組合せ)としてもよく、4つのうち3つの導電路用接続部を同一接続形態で揃えてもよく、4つのうち2つの導電路用接続部を同一の接続形態で揃えるとともに残りの2つの導電路用接続部同士も同一の接続形態で揃えてもよく、4つのうち3つの導電路用接続部のみを同一の接続形態で揃えてもよい。
(18)上記実施例1〜3では、ボルト貫通孔に挿通したボルトを接地部にねじ込み、アース端子ユニットをボルトの頭部の座面と接地部との間で挟むようにしたが、接地部に立設した締付部材としてのスタッドボルトにボルト貫通孔を貫通させ、スタッドボルトにねじ込んだナットの座面と接地部との間でアース端子ユニットを挟むようにしてもよい。
(19)上記実施例1〜3では、全ての導電路用接続部が後方へ延出しているが、いずれかの導電路用接続部が前方や側方(右方又は左方)へ延出した形態であってもよい。つまり、1つのアース用端子金具に設け複数の導電路用接続部の延出方向が、互いに異なる方向であってもよい。
<参考例>
(1)上記実施例1〜3では、2つの分割金具の両方に第1組付用係止部を1つずつ形成したが、2つ分割金具のうちいずれか一方の分割金具のみに一対の第1組付用係止部を形成し、他方の分割金具には第1組付用係止部を形成しない形態も考えられる。