(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記旋回室は、前記流入管が前記旋回室に対して接線方向に連通する位置から前記旋回室の旋回方向に沿って180°旋回した位置までの範囲に、前記第一側壁と前記第二側壁との隙間が最も狭くなる狭隘部が含まれるように設けられてなる請求項1に記載のサイクロン分離装置。
前記旋回室は、前記第一側壁と前記第二側壁との隙間が最も狭くなる狭隘部から前記旋回室の旋回方向に沿って90°旋回した位置から270°旋回した位置までの範囲に、前記連通口が含まれるように設けられてなる請求項1又は請求項2に記載のサイクロン分離装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図において、同一又は相当する部分には、同一の符号を付している。重複する説明については、適宜簡略化或いは省略している。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における電気掃除機を示す斜視図である。
図1に示すように、電気掃除機1は内部に充電池を備えるコードレスタイプの縦型電気掃除機である。電気掃除機1は、図示しない充電台を備えている。充電台は、電源ケーブルによって外部電源に接続されており、電気掃除機1が充電台に載置されることにより両者が電気的に接続されて電池が充電される仕組みになっている。なお、電気掃除機1は、コードレスタイプのものに限らず電源コードを備えるものでもよい。
【0012】
電気掃除機1は、その要部が、吸込口体2、吸引パイプ3及び掃除機本体6から構成される。吸込口体2は、下向きに形成された開口から、床面上のごみ(塵埃)を空気と一緒に吸い込むためのものである。吸込口体2は、長手方向中央部に、排気のための接続部を備えている。吸引パイプ3は、円筒状を呈する真直ぐな部材からなる。吸引パイプ3の一端(吸気側)は、掃除機本体6に接続される。
【0013】
掃除機本体6は、ごみを含む空気(含塵空気)からごみを分離し、ごみが取り除かれた空気(清浄空気)を排出する(例えば、室内に戻す)ためのものである。掃除機本体6は、収容ユニット12と集塵ユニット13とにより構成されている。集塵ユニット13は、含塵空気からごみを分離し、分離したごみを一時的に溜めておくためのものである。集塵ユニット13は、内部で含塵空気を旋回させることにより、遠心力によってごみを空気から分離する。即ち、集塵ユニット13は、サイクロン分離機能を有するサイクロン分離装置として機能する。なお、集塵ユニット13の具体的な構成及び機能についてはその詳細を後述する。
【0014】
掃除機本体6の側面部には、使用者が清掃時に把持するための取っ手7が設けられている。取っ手7には、電気掃除機1の運転を制御するための操作スイッチ8が設けられている。掃除機本体6は、操作スイッチ8に対する操作に応じて後述する電動送風機10を駆動することにより予め設定された吸引動作を行う。以下、収容ユニット12及び集塵ユニット13の構成について詳細に説明する。
【0015】
図2は、この発明の実施の形態1における電気掃除機において、収容ユニットから集塵ユニットを取り外した状態を示す斜視図である。また、
図3は、この発明の実施の形態1における電気掃除機において、収容ユニットから集塵ユニットを取り外した状態の背面図である。更に、
図4は、
図3に示す電気掃除機のA−A断面図である。
【0016】
収容ユニット12は、充電池(図示せず)、電動送風機10、収容体14、吸気風路形成部16及び排気風路形成部17を備えている。
【0017】
収容体14は、収容ユニット12の外郭を構成するものであり、例えば成型品からなる。また、吸気風路形成部16は、掃除機本体6において、含塵空気を集塵ユニット13に導くための吸気風路19を形成する。吸気風路形成部16の一端(吸気側)は吸引パイプ3の他端(排気側)に接続され、吸気風路形成部16の他端は側面に設けられた接続口20を介して集塵ユニット13に接続される。
【0018】
排気風路形成部17は、掃除機本体6において、集塵ユニット13から排出された空気(集塵ユニット13においてごみが取り除かれた清浄空気)を、排気口(図示せず)に導くための排気風路21を形成する。
【0019】
電動送風機10は収容体14に収容されている。電動送風機10は、電気掃除機1に形成された風路(掃除機本体6の内部に含塵空気を流入させるための風路、吸気風路19、後述する集塵ユニット13内の風路、排気風路21)に、気流を発生させるためのものである。
【0020】
電動送風機10が吸引動作を開始すると、電気掃除機1に形成された各風路に、気流(吸引風)が発生する。吸込口体2に吸い込まれた含塵空気は、吸引パイプ3を通過して掃除機本体6の内部に取り込まれる。掃除機本体6の内部に流入した含塵空気は、吸気風路形成部16を経て、接続口20から集塵ユニット13に送られる。集塵ユニット13の内部に発生する気流については後述する。集塵ユニット13から排出された空気(清浄空気)は、排気風路21に流入し、排気風路21内において電動送風機10を通過する。電動送風機10を通過した空気は、排気風路21を更に進み、排気口から掃除機本体6(電気掃除機1)の外部に排出される。
【0021】
次に、
図5〜
図10も参照して、集塵ユニット13について詳細に説明する。
図5は、この発明の実施の形態1における電気掃除機の集塵ユニットを示す斜視図である。また、
図6は、この発明の実施の形態1における電気掃除機の集塵ユニットを示す正面図である。また、
図7は、
図6に示す集塵ユニットのB−B断面図である。また、
図8は、
図7に示す集塵ユニットのC−C断面図である。また、
図9は、
図7に示す集塵ユニットのD−D断面図である。さらに
図10は、この発明の実施の形態1における電気掃除機の集塵ユニットの分解図である。
【0022】
図5に示すように、集塵ユニット13は、全体として円筒形状を呈している。
図10に示すように、集塵ユニット13は、フィルター部61、排出孔部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26から構成されている。なお、以下の集塵ユニット13に関する説明においては、
図6に示す向きを基準に上下方向を特定することとする。
【0023】
フィルター部61、排出孔部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、例えば、成型品からなる。集塵部ケース26は、内部を視認できるように透明度の高い樹脂材料が用いられる。フィルター部61、排出孔部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26は、ロック機構に対する操作等により、
図10に示す状態に分解したり、
図5に示す状態に組み立てたりすることができるように構成されている。また、集塵ユニット13は、
図5に示す状態から集塵部ケース26のみを取り外すこともできる。
【0024】
フィルター部61、排出孔部ケース24、流入部ケース25及び集塵部ケース26が適切に配置されると、集塵ユニット13には、流入風路27、旋回室29、0次集塵室30、一次集塵室31及び流出風路32が形成される。
【0025】
流入部ケース25は、円筒部33、円錐部34、隔壁部35、流入管36及び接続部38を備えている。円筒部33は、中空の円筒形状を呈する。円筒部33は、中心軸が上下方向を向くように配置される。円錐部34は、先端部が切り取られた中空の円錐形状を呈する。円錐部34は、中心軸が円筒部33の中心軸と一致するように、上下方向に配置される。円錐部34は、上端部が円筒部33の下端部に接続され、下方に向かうに従って径が小さくなるように設けられる。このような構成によれば、円錐部34の下端部は、中心軸方向下側を向いて開口する。以下、円錐部34の下端部に形成されたこの開口を一次開口39と称することとする。
【0026】
円筒部33の内部空間と円錐部34の内部空間とからなる一続きの空間は、旋回室29を構成する。旋回室29は、含塵空気を旋回させるための空間である。なお、旋回室29を形成する側壁は、本発明の「第一側壁」に相当し、軸方向長さの全域において、円筒および円錐の面形状を成している。
【0027】
隔壁部35は、円筒部33よりも小さな径の円筒形状を呈する。円錐部34が隔壁部35の内側の空間に上方から挿入されると、隔壁部35の上端部が、円錐部34の外周面(または外周面に設けられた部材)に下方から接触する。隔壁部35の内側に形成された空間のうち、円錐部34を除く部分が一次集塵室31を形成する。つまり、一次集塵室31は、円錐部34(旋回室29の下部)の下方を覆い、その周囲を取り囲むように配置される。一次集塵室31は、一次開口39を介して旋回室29に通じている。旋回室29において含塵空気から分離されたごみの一部は、一次開口39を通って一次集塵室31に落下して捕捉される。
【0028】
流入管36は、外部風路としての吸気風路19を通過してきた含塵空気を、旋回室29を構成する円筒部33の内部に導くためのものである。流入管36の内部空間は、流入風路27を形成する。流入風路27は、吸気風路19から旋回室29に含塵空気を流入させるための風路の一部である。
【0029】
流入管36は、例えば、四角筒形状を呈し、円筒部33に接続される。流入管36は、一端が外側を向いて開口し、他端が円筒部33の内部に開口する。流入管36の上記一端は、集塵ユニット13に含塵空気を取り込むためのユニット流入口40を形成する。流入管36の上記他端は、流入風路27を通過してきた含塵空気を円筒部33の内部(旋回室29)に取り込むための主流入口41を形成する。
【0030】
流入管36は、円筒部33の上部に接続される。このため、主流入口41は、円筒部33の上部(つまり旋回室29を形成する側壁の最上部)に形成される。流入管36は、一直線状を呈する部材からなる。流入管36は、その軸が、円筒部33の中心軸に対して直角をなし、且つ円筒部33の接線方向に配置される。
【0031】
集塵ユニット13には、吸気風路19から旋回室29に含塵空気を流入させるための風路として、上記流入風路27が設けられている。
【0032】
接続部38は、円筒部33から外側に突出するように設けられる。接続部38は、全体としてリング状を呈している。接続部38は、円筒部33のほぼ中間高さに配置される。
【0033】
集塵部ケース26は、底部46及び外壁部47を備えている。底部46は、全体として略円形を呈する。外壁部47は、円筒部33よりも大きな外形の円筒形状を呈する。なお、ここでいう円筒形状は、他の部品との嵌合等のために一部円筒ではない面又は凹凸が含まれている円筒形状も含むものとする。外壁部47は、底部46の縁部から立設される。つまり、集塵部ケース26は、外壁部47と底部46とにより、一方(下方)が閉じた略円筒状の部材によって形成される。外壁部47は、隔壁部35の外側に配置される。このため、集塵部ケース26には、その内部に、隔壁部35によって区切られた2つの空間が形成される。
【0034】
外壁部47の上端部は、接続部38の縁部に下方から接触する。外壁部47と隔壁部35との間、及び外壁部47と円筒部33及び円錐部34の各一部との間に形成された、円筒状を呈する一続きの空間が、0次集塵室30を形成する。この一続きの空間は、上方が接続部38により塞がれ、また下方が底部46により塞がれる。0次集塵室30は、円筒部33の下部及び円錐部34(すなわち、旋回室29の大部分)の周囲を取り囲み、更に、一次集塵室31の周囲も取り囲むように配置される。なお。集塵部ケース26の外壁部47は、本発明の「第二側壁」に相当する。
【0035】
旋回室29を形成する側壁には0次開口48が設けられている。旋回室29は、0次開口48を介して0次集塵室30に通じている。つまり、0次開口48は、旋回室29と0次集塵室30とを連通させる連通口として機能する。0次開口48は、主流入口41よりも低い位置(下流側)、且つ一次開口39よりも高い位置(上流側)に形成される。例えば、0次開口48は、円筒部33の下端部から円錐部34の上端部にかけて設けられ、接続部38よりも僅かに低い位置に配置される。このような構成によれば、0次開口48は、0次集塵室30の最上部近傍に配置されることとなるため、0次集塵室30は、0次開口48から下方に延びるように設けられることとなる。なお、0次開口48は、旋回室29の旋回方向の幅が中心軸方向の幅よりも長手となる横長形状とすることが好ましい。
【0036】
排出孔部ケース24は、底部49と、側壁部50と、排出部51とを備えている。排出孔部ケース24は、フィルター部61の下部に下方から密着するように配置されている。底部49は、板状を呈している。
【0037】
排出孔部ケース24が流入部ケース25に対して適切に配置されると、底部49は、円筒部33の上方を塞ぐように配置される。すなわち、旋回室29の上壁は、底部49によって形成される。
【0038】
側壁部50は、底部49から直立するように設けられている。なお、排出孔部ケース24には、フィルター部61が上方から被せられる。
【0039】
排出部51は、旋回室29内の空気を旋回室29の外に排出するためのものである。排出部51の内部空間は、旋回室29内の空気を集塵ユニット13の外に流出させるための流出風路32の一部(前半部)を形成する。
【0040】
排出部51は、底部49の中央部に設けられている。排出部51は、底部49を貫通し(底部49の上面側で開口し)、底部49から下方に突出する。排出孔部ケース24が流入部ケース25に適切に取り付けられると、排出部51は、旋回室29の上壁から、旋回室29の内部に突出するように配置される。
【0041】
排出部51は、予め設定された中間位置よりも上方の部分が円筒状を呈する。排出部51の上記中間位置よりも下方の部分は、下方に向かうに従って径が小さくなる中空の円錐状を呈する。排出部51は、中心軸が円筒部33の中心軸と一致するように、上下方向に配置される。このため、旋回室29、0次集塵室30、一次集塵室31及び排出部51の内部空間(流出風路32の前半部)は、集塵ユニット13内でほぼ同心状に配置される。排出部51の下端は、例えば、0次開口48の一部(上部)と同じ高さに配置される。
【0042】
排出部51には、多数の微細孔が設けられている。この微細孔は、旋回室29内の空気を旋回室29の外に排出する(流出風路32に取り込む)ための排出口54を形成する。排出口54は、0次開口48の下端よりも上方位置に設けられる。排出口54は、主流入口41と同じ高さにも配置される。但し、排出部51のうち、主流入口41が直接対向する部分に、排出口54は形成されていない。
【0043】
図11は、
図1に示す電気掃除機を、
図3に示すA−A断面と同じ断面で切断した断面図である。上記構成を有する集塵ユニット13が収容ユニット12に適切に取り付けられると、旋回室29等の中心軸が、収容体14の中心軸と略一致しフィルター部61の上面と収容ユニット12の下面が合わさる。そして、ユニット流入口40が接続口20に接続される。また、ユニット流出口58は、接続口22に接続される。
【0044】
次に、本実施の形態1における電気掃除機の特徴的構成について説明する。本実施の形態1の電気掃除機は、旋回室29の側壁が0次集塵室30の側壁に接触しない範囲で、旋回室29の側壁を構成する円筒部33及び円錐部34の中心軸が、0次集塵室30の側壁を構成する外壁部47の中心軸から偏心して構成されている。このような構成によれば、旋回室29が0次集塵室30に対して偏心して配置されることとなるため、旋回室29の側壁と0次集塵室30の側壁との間に、側壁間の隙間が狭小となる狭隘部59が形成される。
【0045】
なお、旋回室29は、流入管36が旋回室29に対して接線方向に交わる接線部の位置から、旋回室29の旋回方向に沿って180°旋回した位置までの範囲に狭隘部59が位置するようにその偏心方向が設定される。なお、更に好ましくは、旋回室29は、接線部から旋回室29の旋回方向に沿って90°旋回した位置に狭隘部59が位置するようにその偏心方向が設定される。
【0046】
また、0次開口48は、狭隘部59から旋回室29の旋回方向に沿って90°旋回した位置から270°旋回した位置までの範囲に含まれるように設けられる。なお、更に好ましくは、0次開口48は、狭隘部59から旋回室29の旋回方向に沿って180°旋回した位置に設けられる。
【0047】
また、旋回室29は、狭隘部59の幅をa[mm]、旋回室29に流入する風量をQ[m
3/min]とした場合に、a/Qが5以上25以下となるようにその偏心度合が設定される。
【0048】
次に、上記特徴的構成を有する集塵ユニット13の機能について具体的に説明する。電動送風機10の吸引動作が開始されると、含塵空気は吸気風路19を通過して接続口20に達する。当該含塵空気は、接続口20及びユニット流入口40を順次通過して、流入管36の内部、すなわち流入風路27に流入する。流入風路27に流入した含塵空気は、
図8に示すように流入管36内を延在方向に直進し、流入管36の終端に達する。流入管36の終端に達した含塵空気は、主流入口41を通過して円筒部33の内周面(旋回室29の内壁面)に沿うように、旋回室29の接線方向から流入する。かかる経路が、
図8において経路aとして実線の矢印で示されている。
【0049】
主流入口41から旋回室29に取り込まれた含塵空気は、旋回室29内において、側壁に沿って旋回する旋回気流を形成する。この旋回気流は、中心軸近傍の強制渦領域とその外側の自由渦領域とを形成しながら、その経路構造と重力とによって下向きに流れていく。
【0050】
旋回気流(旋回室29内の空気)に含まれるごみには、遠心力が作用する。例えば、繊維ごみ、毛髪といった比較的嵩の大きなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみα」という)は、この遠心力によって、円筒部33の内周面(旋回室29の内壁面)に押し付けられながら、旋回室29内を落下する。また旋回室29内の空気の一部は遠心力により0次集塵室30に流入する。
【0051】
図12は、
図7に示す集塵ユニットのD−D断面図を用いて、集塵ユニットへのごみの溜まり方を説明するための図である。ごみαは、0次開口48の高さに達すると旋回気流から分離され、0次開口48を通過して0次集塵室30に送られる。0次開口48から0次集塵室30に進入したごみαは、旋回室29内の空気の旋回方向と同じ方向に移動しながら、0次集塵室30内を落下する。ここで、本実施の形態の集塵ユニット13には、0次集塵室30内に狭隘部59が形成されている。このため、0次集塵室30内を旋回して狭隘部59まで到達したごみαは、当該狭隘部59の隙間に挟まれて捕捉される。このように、ごみαは、0次集塵室30の狭隘部59の最下部から旋回室29内の空気の旋回方向と反対の方向に徐々に蓄積していく。
【0052】
0次開口48から0次集塵室30に進入しなかったごみは、旋回室29内の気流に乗って、旋回室29内を旋回しながら下方に進む。砂ごみ、細かな繊維ごみといった比較的嵩の小さなごみ(以下、このようなごみのことを「ごみβ」という)は、一次開口39を通過する。そして、ごみβは、一次集塵室31に落下して捕捉される。
【0053】
旋回室29内で旋回する気流は、旋回室29の最下部に達すると、その進行方向を上向きに変えて、旋回室29の中心軸に沿って上昇する。この上昇気流を形成する空気からは、ごみα及びごみβが除去されている。ごみα及びごみβが取り除かれた気流(清浄空気)は、排出口54を通過して、旋回室29の外に排出される。旋回室29から排出された空気は、流出風路32を通過して、ユニット流出口58に達する。そして、清浄空気は、ユニット流出口58及び接続口22を順次通過して、排気風路21に送られる。
【0054】
このように、電動送風機10が吸引動作を行うと、ごみαが0次集塵室30に、そしてごみβが一次集塵室31に集積されていく。これらのごみα及びごみβは、集塵部ケース26を集塵ユニット13から取り外すことにより、容易に捨てることができる。
【0055】
また、本実施の形態の集塵ユニット13では、一次集塵室31が隔壁部35で覆われた円錐部34の側壁の外側の空間まで延在している。このため、一次集塵室31の上方の空間をごみの捕捉に使用できるので、集塵ユニット13の高さを抑えて小型に構成しつつ、集塵容積を確保することができる。
【0056】
また、本実施の形態の集塵ユニット13では、旋回室29の側壁を開口して0次開口48を設け、0次開口48を介して0次集塵室30に大きなごみを捕捉するため、大きなごみを捕捉するための別の分離装置を備える必要がなく、フィルター部61がない場合においても十分にごみの分離および捕捉が可能となる。このため、集塵ユニット13の小型化が可能となり、掃除機本体6及び電気掃除機1のサイズを小さくすることができる。
【0057】
また、上述した実施の形態の集塵ユニット13では、0次集塵室30内に流入したごみαが狭隘部59によって捕捉されるとともに、旋回方向と逆方向に順次蓄積されていく。このため、ごみαが0次集塵室30内で旋回し続けて舞い上がることが抑制される。これにより、0次開口48からごみが再び旋回室29内に流入することを防止することができるので、小型な構成で集塵ユニット13の分離効率を向上させることができる。
【0058】
また、上述した実施の形態の集塵ユニット13では、狭隘部59が、旋回室29の接線部の位置から旋回方向に沿って180°旋回した位置までの範囲に、より好ましくは90°旋回した位置に設けられる。旋回室29内の旋回力が低下すると、ごみの分離性能は悪化する。例えば、ユニット流入口40から主流入口41までの距離が短い場合には、吸気風路19の曲げ部によって乱れた気流が整わず、速度が低下した状態の空気が旋回室29に流入してしまう。このような事態を防ぐために、主流入口41から旋回室29に流入する空気の速度(流速)を上げて、予め設定された旋回力を確保しなければならない。旋回力を増加させる方法としては、電動送風機を大型化することが考えられるが、掃除機本体のサイズが大きくなってしまうことが問題となる。上記構成によれば、流入管36のユニット流入口40から主流入口41までの距離を長くすることができるので、旋回室29への空気の流入をスムーズにして分離性能を更に高めることが可能となる。これにより、装置の小型化が可能となる。
【0059】
また、上述した実施の形態の集塵ユニット13では、狭隘部59から旋回室29の旋回方向に沿って90°旋回した位置から270°旋回した位置までの範囲に、より好ましくは180°旋回した位置に0次開口48が設けられる。このような構成によれば、狭隘部59から0次開口48までの旋回距離を確保することができるので、集塵容積を有効に使うことができる。また、0次開口48付近の空間が広く確保されるので、ごみαの舞い上がりが生じた場合にも、0次開口48に付着しにくくなり、分離効率がさらに高まる。
【0060】
また、上述した実施の形態の集塵ユニット13では、0次開口48が横長形状に形成されているので、0次集塵室30の底面から0次開口48までの距離を大きく確保することができる。これにより、0次集塵室30底部から蓄積するごみαが0次開口48に近づくまでの耐久容量が増すので、集塵容積を有効に使うことができる。
【0061】
さらに、上述した実施の形態の集塵ユニット13では、狭隘部59の幅a[mm]と風量Q[m
3/min.]の関係が、a/Qが5以上25以下となるように設定されている。a/Qが5未満の場合は、風量Qに対して狭隘部59が狭く、気流が反転してごみが舞い上がる。また、a/Qが25より大きい場合は、狭隘部59が広く、ごみを捕捉できずに旋回し続ける。このため、上述した関係であれば、ごみを狭隘部59で捕捉することができる。
【0062】
実施の形態2.
実施の形態1では、縦型電気掃除機について説明したが、キャニスタータイプに適応しても良い。
図13は、この発明の実施の形態2における電気掃除機を示す斜視図である。また、
図14は、この発明の実施の形態2における電気掃除機の集塵ユニットを示す斜視図である。さらに、
図15は、この発明の実施の形態2における電気掃除機の集塵ユニットを示す平面図である。これらの図において、図示は省略するが、集塵ユニット13の内部には、円筒形状の流入部ケース25と同心円上となる位置に旋回室29が配置されている。そして、旋回室29は、流入管36が旋回室29に対して接線方向に交わる接線部の位置から、旋回室29の旋回方向に沿って90°〜270°旋回した位置までの範囲に狭隘部59が位置するようにその偏心方向が設定される。なお、更に好ましくは、旋回室29は、接線部から旋回室29の旋回方向に沿って180°旋回した位置に狭隘部59が位置するようにその偏心方向が設定される。
【0063】
上述した集塵ユニット13の構成によれば、流入管36の軸線を掃除機本体6の略幅方向中心に配置することができる。このため、流入管36と可撓性を備えた蛇腹状を呈する部材からなるサクションホース62との接続部の内部風路に曲げを構成することなく、略幅方向中心に配置でき、圧損を抑制できる効果がある。圧損を抑制することは、電動送風機10の出力を抑制することに繋がるため、掃除機本体6の小型化および軽量化、運転音の低減、さらに狭隘部形成によるごみの舞い上がり抑制といった効果がある。
【0064】
[その他]
本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、以下のような変形例を採用してもよい。
【0065】
本実施の形態では、電気掃除機1として縦型電気掃除機を例示したが、掃除機本体に車輪を備えた電気掃除機等、サイクロン分離装置を備えるあらゆる電気掃除機に上記集塵ユニット13の構造を適用することとしてもよい。
【0066】
本実施の形態では、0次集塵室30の形状、流入管36の配置、0次開口48及び狭隘部59の配置として幾つか例示したが、これらの配置は実施の形態1に記載のものに限定されない。すなわち、これらの最適値は、旋回室29内の気流の旋回速度、集塵ユニット13の大きさ、電動送風機10の出力風量等により変わるため、電気掃除機の使用に応じた最適値を選択することとすればよい。