(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1部材の上記傾斜面の先端側に、上記突片の先端側が係合可能な係合部が設けられており、上記突片が上記係合部と係合することにより、上記第2部材が上記第1位置に固定される請求項1に記載の接続装置。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は、本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0026】
[血液成分分離装置10の概要]
図1に示されるように、血液成分分離装置10は、シリンジ11、12、13と、2個の接続装置14と、を備えている。シリンジ11は、採血に用いられる。また、シリンジ11は、採血により得られた血液(全血)の弱遠心に用いられる。シリンジ12及び一方の接続装置14は、弱遠心により分離された遠心分離区分55(
図9(B))の吸引に用いられる。また、シリンジ12は、吸引した遠心分離区分55の強遠心に用いられる。シリンジ13及び他方の接続装置14は、強遠心により分離された上澄み57(
図9(D))の吸引に用いられる。シリンジ11、12が第1シリンジに相当する。シリンジ12、13が第2シリンジに相当する。シリンジ11、12、13は同じ構成であるので、以下では、シリンジ11について説明がされる。
【0027】
図2に示されるように、シリンジ11は、シリンジ筒20と、採血針15と、キャップ16と、ガスケット35と、プランジャ25と、を備えている。
【0028】
シリンジ筒20は円筒形状である。シリンジ筒20の長手方向105(中心軸線に沿う方向)における一方の端部は、縮径され、採血針15及びキャップ16が着脱されるポート21を構成している。
図3に示されるように、シリンジ筒20の他方の端部は、縮径されることなく開口されている。シリンジ筒20の開口22からガスケット35が挿入される。
【0029】
ガスケット35は、開口22側の円柱部36と、ポート21側の円錐部37と、を有している。円柱部36は、シリンジ筒20の内径とほぼ同じ外径の円柱形状であり、全周に亘ってシリンジ筒20の内周面に密着している。ガスケット35により、シリンジ筒20の内部空間が液密に封止される。円錐部37は、シリンジ筒20の底面23に密着可能に、底面23の形状に合わせて円錐形状に形成されている。円錐部37は、ガスケット35がシリンジ筒20の奥まで押し込まれたときに、シリンジ筒20の底面23に密着する。これにより、採血された血液や、吸引された遠心分離区分55及び上澄み57(
図9)への空気の混入が抑制される。
【0030】
また、ガスケット35は、プランジャ25のネジ部26がねじ込まれるネジ孔38を有している。
【0031】
図2に示されるように、プランジャ25は棒状の部材であり、軸方向の一端部に、ガスケット35のネジ孔38にねじ込まれるネジ部26を有している。プランジャ25は、ネジ部26側からシリンジ筒20内に挿入され、ガスケット35に取り付けられる。プランジャ25は、採血の際及び遠心分離区分55及び上澄み57(
図9)の吸引の際に、シリンジ11、12、13に取り付けられ、遠心分離の際に、シリンジ11、12から取り外される。使用者は、プランジャ25を操作して、長手方向105に沿ってガスケット35を往復動させる。
【0032】
図3に示されるように、キャップ16は、大径部30と、大径部30の内側に配置された小径部31と、小径部31の内側に配置された栓部32と、を有している。キャップ16がポート21に取り付けられると、小径部31の内周面は、ポート21の外周面に、全周に亘って密着する。また、栓部32は、ポート21の内部空間に侵入して当該内部空間を閉塞する。キャップ16は、遠心分離の際などに、シリンジ筒20に取り付けられる。
【0033】
シリンジ筒20、ガスケット35、プランジャ25、キャップ16の素材は、ガラスや樹脂材料などを採用できる。血液成分分離装置10がディスポーザル品とされることや、滅菌が施されることを考慮すると、シリンジ筒20、プランジャ25をポリプロピレンの成型品とし、キャップ16をポリプロピレンやエラストマーの成型品とし、ガスケット35をエラストマーの成型品とすることが一般的である。
【0034】
[接続装置14]
図9に示されるように、接続装置14は、遠心分離区分55及び上澄み57を吸引する際に、シリンジ12、13に取り付けられて使用される。
図4に示されるように、接続装置14は、第1部材40と、第2部材60と、中空針17と、ハブ42(
図5)と、を備えている。第1部材40は、ハブ42及び中空針17を保持する部材である。第2部材60は、中空針17の先端18を覆う部材である。
【0035】
[第1部材40]
第1部材40は、円筒形状の基部41と、補強リブ44と、第1鍔45と、第2鍔46と、支持部48と、を有するポリプロピレンなどの樹脂成型品である。以下では、基部41の中心軸線に平行な方向を軸方向100とし、軸方向100の一方の向きを第1向き101とし、他方の向きを第2向き102とし、基部41の周方向を周方向103として説明がされる。軸方向100が長尺方向に相当する。なお、
図4では、第2部材60の構成が明瞭に示されるように、第2部材60は、第1部材40への取り付け向きとは軸方向100において反対向きにされて示されている。
【0036】
図6に示されるように、基部41の第2向き102側の内部空間(第1内部空間に相当する)に、ハブ42が配置されている。ハブ42は、シリンジ筒20のポート21(
図2)が内部空間に圧入される部材である。接続装置14は、ハブ42において、シリンジ12、13に着脱される。
【0037】
基部41の第1向き101側の端部は、他部よりも小径にされており、小径部43が構成されている。
図7に示されるように、小径部43は、軸方向100への第1部材40と第2部材60との相対的な移動において、第2部材60の円筒部61の内部空間に進退し、第2部材60を軸方向100へ案内する。
【0038】
図4に示されるように、第1鍔45は、円板形状であり、基部41の第2向き102側の端部の外周面から外側へ向かって突出されている。使用者は、例えば、第1鍔45に指を当て、シリンジ筒20のポート21(
図2)をハブ42(
図5)に圧入して接続装置14をシリンジ筒20に取り付ける。
【0039】
図4に示されるように、第2鍔46は、円板形状であり、基部41の外周面から外側へ向かって突出されている。第2鍔46は、小径部43の第2向き102側に設けられている。
図6に示される第2鍔46の直径D1は、シリンジ筒20の内径D2(
図3)より僅かに小さい。
図8に示されるように、第2鍔46は、接続装置14がシリンジ筒20に挿入される際に、シリンジ筒20の長手方向105へ接続装置14を案内する。
【0040】
図4に示されるように、第2鍔46には、第2部材60の弾性部63が差し込まれる4つの差込孔47が設けられている。4つの差込孔47は、周方向103において、90度の間隔を空けて均等に配置されている。周方向103において、差込孔47の壁面と弾性部63とが当接することにより、周方向103における第2部材60の周り止めがなされる。
【0041】
補強リブ44は、基部41の外周面から外側へ向かって突出されており、且つ軸方向100に沿って延びている。4つの補強リブ44が基部41に設けられている。4つの補強リブ44は、周方向103において、互いに90度の間隔を空けて配置されている。4つの補強リブ44は、差込孔47に差し込まれた弾性部63と干渉しないように、周方向103において、差込孔47に対して45度だけずらされている。
【0042】
図6に示されるように、基部41の径方向において対向する2つの補強リブ44の突出の先端間の距離は、第2鍔46の直径D1より短い。よって、
図8に示されるように、接続装置14をシリンジ筒20内に挿入可能である。
【0043】
図4に示されるように、支持部48は、第2鍔46の第2向き102側に設けられている。支持部48は、第1部材40と第2部材60との軸方向100への相対的な移動において、第2部材60の弾性部63を弾性変形させるものである。支持部48は、第2向き102へ向かって外側へ拡がるテーパ形状の4つの傾斜面49を有している。傾斜面49は、周方向103において2つの補強リブ44の間となる位置にそれぞれ設けられている。
図7(A)、(B)に示されるように、弾性部63の爪65が傾斜面49上を摺動し、弾性部63の突片64が弾性変形される。
【0044】
図6に示されるように、傾斜面49の第1向き101側の端からは、当接リブ50が基部41の径方向の外側へ向かって突出されている。当接リブ50は、周方向103(
図4)における基部41の全周に亘って設けられている。
図7に示されるように、当接リブ50は、傾斜面49上を摺動された弾性部63の爪65と当接し、第2部材60の移動を制止する。
【0045】
図6に示されるように、当接リブ50の第1向き101側には、基部41の外周面から凹む凹部51が設けられている。凹部51は、周方向103(
図4)における基部41の全周に亘って設けられている。
図7(A)、(C)に示されるように、第2部材60が使用者により第1向き101へ引っ張られると、弾性部63の爪65は、当接リブ50を乗り越え、凹部51に嵌まる。爪65が凹部51に嵌ることにより、第2部材60は、第1部材40に固定される。第2部材60の固定は、PRP(
図9)を得る一連の作業が終了して接続装置14を破棄する際に行われる。凹部51が係合部及びロック機構に相当する。
【0046】
図6に示されるように、爪65が当接リブ50を乗り越えることができるように、当接リブ50の第2向き102側の面は、曲面にされている。但し、爪65に曲面が設けられていてもよい。また、爪65が凹部51から外れないように、当接リブ50の突出の先端の第1向き101側は、エッジにされている。
【0047】
[中空針17]
図5に示されるように、中空針17は、基部41の中心軸線に重なる位置に配置されている。中空針17は、基端においてハブ42と連結されている。
【0048】
中空針17の先端18は、小径部43から第1向き101へ突出している。小径部43からの中空針17の突出量L3(
図7(B))は、ガスケット35の厚みT(
図3)よりも僅かに大きい。よって、
図8(C)に示されるよう、中空針17は、ガスケット35を穿通可能である。
【0049】
[第2部材60]
図4に示されるように、第2部材60は、円筒部61と、鍔62と、4つの弾性部63と、を備えている。第2部材60は、ポリプロピレンなどにより成型された樹脂成型品である。よって、弾性部63は弾性変形可能である。第2部材60は、第1向き101側から弾性部63を差込孔47に差し込むことにより、第1部材40に取り付けられている。周方向103における弾性部63と差込孔47の壁面との当接により、第2部材60の周方向103への周り止めがされている。
【0050】
図6に示されるように、円筒部61の内径D3は、小径部43の外径D4より僅かに大きい。円筒部61内に、小径部43が進退する。これにより、第2部材60は、軸方向100へ案内される。第2部材60は、
図7(A)に示される第1位置と、
図7(B)に示される第2位置との間において、第1部材40に対して往復動される。円筒部61の内部空間が第2内部空間に相当する。
【0051】
図6に示されるように、円筒部61の外径D5は、ガスケット35のネジ孔38の直径D6(
図3)よりも小さい。
図8(A)に示されるように、接続装置14がシリンジ筒20内に挿入されると、円筒部61は、ガスケット35のネジ孔38内に侵入する。
【0052】
図6に示されるように、軸方向100における円筒部61の長さL2は、中空針17の先端18の突出量L3(
図7(B))よりも長く、軸方向100における小径部43の長さL1と、ほぼ同じである。円筒部61は、
図7(A)に示される第1位置において中空針17の先端18を収容し、
図7(B)に示される第2位置において小径部43を覆って中空針17の先端18を露出させる。また、長さL2は、ガスケット35のネジ孔38の深さD7(
図3)とほぼ同じである。よって、
図8(A)に示されるように、円筒部61がネジ孔38の底面に当接すると、鍔62とガスケット35とが当接する。
【0053】
図4に示されるように、鍔62は、円板形状であり、円筒部61の外周面の第2向き102側の端から円筒部61の径方向外側へ向かって突出されている。
図7(B)に示されるように、鍔62は、第2部材60が第2位置へ到達すると、第1部材40の第2鍔46と当接する。これにより、第2位置を越えた第2部材60の移動が制止される。
【0054】
図4に示されるように、弾性部63は、鍔62から突出された4つの突片64と、各突片64の突出の先端に設けられた爪65と、を有している。突片64は、周方向103において、90度の間隔を空けて配置されている。突片64は、第1部材40の第2鍔46の差込孔47に差し込まれる。
【0055】
図5に示されるように、爪65は、突片64の突出の先端部から支持部48の傾斜面49へ向かって突出されており、第1位置において、傾斜面49に当接している。第2部材60が
図7(A)に示される第1位置から
図7(B)に示される第2位置へ移動されると、爪65が傾斜面49上を摺動し、突片64が弾性変形される。弾性変形された突片64は、第1部材40に対して円筒部61を第1向き101へ弾性付勢する。
【0056】
[接続装置14の動作]
図7及び
図8を参照して、接続装置14がシリンジ12に取り付けられてシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入されるときの接続装置14の動作について説明がされる。
【0057】
図8に示されるように、接続装置14は、ハブ42においてシリンジ12のシリンジ筒に取り付けられる。なお、接続装置14は、製造時に予めシリンジ12、13に取り付けられていてもよい。
【0058】
図7(A)に示されるように、接続装置14が第1シリンジ11のシリンジ筒20内へ挿入される前は、中空針17の先端18は、第2部材60により覆われている。
【0059】
図8(A)に示されるように、接続装置14は、使用者により、第2部材60側からシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入される。そうすると、円筒部61は、シリンジ11のガスケット35のネジ孔38に侵入し、ネジ孔38の底面に当接する。接続装置14がシリンジ筒20内へさらに押し込まれると、第2部材60は、ガスケット35に押され、第1部材40に対して第2向き102へ相対的に移動される。そうすると、
図8(B)に示されるように、中空針17の先端18は、徐々に第2部材60から出て、ネジ孔38の底面に突き刺さる。
【0060】
図8(C)に示されるように、第2部材60が第2位置に到達すると、中空針17の先端18は、ガスケット35を穿通する。これにより、シリンジ11のシリンジ筒20の内部空間と、シリンジ12のシリンジ筒20の内部空間とが、中空針17の内部空間を通じて連通される。また、第2部材60が第2位置に到達すると、第2部材60は、鍔62と第1部材40の第2鍔46との当接により、第1部材40に対する相対的な移動を制止される。よって、接続装置14がシリンジ筒20内へさらに押し込まれると、ガスケット35は、接続装置14により押され、シリンジ筒20の底面23(
図3)側へ移動される。
【0061】
接続装置14がシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入され、第1部材40が第1位置から第2位置へ移動されると、
図7(A)、(B)に示されるように、弾性部63の爪65が支持部48の傾斜面49上を摺動する。これにより、突片64が弾性的に撓まされる。撓んだ突片64の弾性力により、第2部材60は、第1部材40に対して、第1向き101へ弾性付勢される。
【0062】
使用者により、接続装置14がシリンジ11のシリンジ筒20から引き出されると、突片64の弾性力により、第2部材60は、第1部材40に対して第1向き101へ相対的に移動され、
図7(A)に示される第1位置に戻される。第2部材60が第1位置に戻されると、弾性部63の爪65が第1部材40の当接リブ50に当接し、第2部材60の移動が制止される。第2部材60が第1位置に戻されることにより、中空針17の先端18が第2部材60の円筒部61に収容される。
【0063】
次に、
図7(A)、(C)を参照して、接続装置14を破棄する際の動作について説明がされる。PRP(
図9)を得る一連の作業が終了すると、
図7(A)に示される第1位置にある第2部材60は、使用者により、第1部材40に対して第1向き101へ引っ張られ、
図7(C)に示された状態にされる。使用者は、例えば、鍔62に指を掛け、第1部材40に対して第2部材60を第1向き101へ引っ張る。第2部材60が第1向き101へ引っ張られると、突片64が弾性的に撓み、弾性部63の爪65が第1部材40の当接リブ50を乗り越える。当接リブ50を乗り越えた爪65は、撓んだ突片64の弾性力により、凹部51に嵌め込まれる。爪65が凹部51に嵌ることにより、第2部材60は、中空針17の先端18を収容した状態において、第1部材40に固定される。この状態において、接続装置14が破棄される。
【0064】
[血液成分分離装置10の動作]
図2、及び
図9を参照して、血液成分分離装置10の動作について説明がされる。まず、シリンジ11のシリンジ筒20に採血針15(
図2)が取り付けられ、ガスケット35にプランジャ25(
図2)が取り付けられ、採血が行われる。シリンジ筒20内の血液は、全血であり、赤血球、白血球、血小板、血漿などを含む。
【0065】
次に、シリンジ11のガスケット35からプランジャ25が取り外され、シリンジ11のシリンジ筒20が遠心分離装置に取り付けられる(
図9(A))。プランジャ25がガスケット35から取り外されることにより、誤ってガスケット35が移動されるおそれを低減できる。
【0066】
遠心分離装置により、弱遠心が行われる。弱遠心とは、血液の遠心分離において慣用されており、一般に、「全血を赤血球とその他(白血球、血小板、血漿)に分離する遠心分離」(非特許文献1参照)と定義される。具体的には、遠心分離条件が約500〜2500rpmの範囲における遠心分離が弱遠心とされる。弱遠心とするのは、分離された遠心分離区分55と遠心分離区分56との境界付近に血小板が集中することを抑制し、得られるPRPにおける血小板の濃度を高めるためである。なお、遠心分離装置は一般的なものなので、詳細な説明は省略される。
【0067】
遠心分離装置において、シリンジ筒20は、中心軸線を回転の径方向に沿わせ、開口22側を回転の中心側として配置される。これにより、シリンジ筒20内の血液(全血)は、赤血球を含む下側の遠心分離区分56と、白血球、血小板及び血漿を含む上側の遠心分離区分55とに分離される。
【0068】
遠心分離後、シリンジ12に取り付けられた接続装置14が、シリンジ11のシリンジ筒20内に挿入される(
図9(B))。遠心分離区分55は、接続装置14の中空針17を通じてシリンジ12に吸引される。これにより、シリンジ11において、赤血球が得られ、シリンジ12において、白血球、血小板及び血漿が得られる。赤血球は、廃棄されるか、別目的に使用される。その後、シリンジ12から接続装置14が取り外され、シリンジ筒20にキャップ16が取り付けられる。また、シリンジ12からプランジャ25が取り外される(
図9(C))。
【0069】
次に、シリンジ12のシリンジ筒20が遠心分離装置に取り付けられる。遠心分離装置により、強遠心が行われる。強遠心とは、血液の遠心分離において慣用されており、一般に、「血小板、白血球と残留赤血球を血漿から分離する遠心分離」(非特許文献1参照)と定義される。本発明では、シリンジ筒20の底部に血小板を濃縮する遠心分離を強遠心という。具体的には、遠心分離条件が約3000〜4000rpmの範囲における遠心分離が強遠心とされる。
【0070】
遠心分離装置において、シリンジ筒20は、中心軸線を回転の径方向に沿わせ、開口22側を回転の中心側として配置される。これにより、遠心分離区分55は、血小板を多く含む下側のPRPと、上澄み57とに分離される。
【0071】
遠心分離後、シリンジ13に取り付けられた接続装置14が、シリンジ12のシリンジ筒20に挿入される(
図9(D))。上澄み57は、接続装置14の中空針17を通じてシリンジ13に吸引される。これにより、シリンジ12において、PRPが得られる。
【0072】
PRPにおける血小板の濃度は必ずしも明確に定義されていないが、例えば、1mLにおける血小板数を血小板の濃度とした場合、採取された全血における血小板の濃度に対して3〜7倍に濃縮されたものがPRPとされる。
【0073】
本実施形態では、弱遠心と強遠心との2回の遠心分離を行う態様が説明されているが、1回の遠心分離のみでPRPを得ることもできる。具体的には、シリンジ11のシリンジ筒20において強遠心を行い、全血を、赤血球を含む下側の遠心分離区分と、PRPと、上澄みとに分離させる。シリンジ12により、上澄みを吸引する。また、シリンジ11のシリンジ筒20にプランジャ25を取り付け、赤血球を含む下側の遠心分離区分をシリンジ筒20から排出する。これにより、シリンジ11において、PRPが得られる。
【0074】
[効果]
本実施形態では、接続装置14に中空針17が設けられているので、接続装置14に中空針17を通す必要がない。また、中空針17の先端18は、接続装置14がシリンジ筒20の内部空間に挿入され、ガスケット35と当接するまでは、第2部材60内にあり、ガスケット35と当接し、更にシリンジ筒20の内部空間に押しこまれた後は、シリンジ筒20内にある。よって、PRPを得るための一連の作業において、使用者が中空針17を誤って刺すことを防止できる。
【0075】
また、本実施形態では、当接リブ50が設けられたことにより、第1位置を越えた第2部材60の移動を制止できる。
【0076】
また、本実施形態では、接続装置を破棄する際に第2部材60を第1部材40に固定でき、破棄された接続装置14において、中空針17の先端18が誤って露出されるおそれを低減できる。
【0077】
[変形例1]
本変形例では、接続装置24が説明される。以下の説明において、接続装置14と同構成のものには、同一の符号が付されている。
図10に示されるように、接続装置24は、第1部材70と、第2部材80と、中空針17と、ハブ42と、を備えている。第1部材70は、中空針17を保持し、かつシリンジ12、13に着脱される部材である。第2部材80は、中空針17の先端18を覆う部材である。
【0078】
[第1部材70]
第1部材70は、基部71と、補強リブ44と、第1鍔45と、第3鍔72と、を有するポリプロピレンなどの樹脂成型品である。
【0079】
基部71は、円筒形状である。以下では、基部71の中心軸線に平行な方向を軸方向100とし、軸方向100の一方の向きを第1向き101とし、他方の向きを第2向き102とし、基部71の周方向を周方向103として説明がされる。軸方向100が長尺方向に相当する。なお、
図10では、第2部材80の構成が明瞭に示されるように、第2部材80の第1部材70に対する取り付け向きが周方向103へ90度回転されて第2部材80が示されている。
【0080】
図11に示されるように、基部71の第2向き102側の内部空間には、ハブ42が配置されている。接続装置24は、ハブ42において、シリンジ12やシリンジ13に着脱される。基部71の第1向き101側の端部に小径部43が設けられている。
【0081】
基部71の内部空間(第1内部空間に相当する)には、第2部材80の円筒部81が配置されている。第1部材70は、軸方向100へ移動可能に第2部材80を支持している。
【0082】
図10に示されるように、基部71は、軸方向100における基部71の中央部から第1向き101へ向かって延びる2つの長孔73を有している。2つの長孔73は、径方向において対向する位置に、径方向において基部71を貫通して設けられている。
図12に示されるように、長孔73を通じて、第2部材80の弾性片82が基部71の内部空間から基部71の外側へ向かって突出されている。
【0083】
図11に示されるように、長孔73の壁面のうち、周方向103(
図10)において対向する一対の壁面74からは、一対の突起75及び一対の凸部76が突出されている。一対の突起75は、壁面74の第1向き101側の端部に設けられており、周方向103において対向している。突起75は、後述の第3鍔72の第2向き102側に、第3鍔72から離間されて設けられている。
図12に示されるように、第3鍔72と突起75との間に、第2部材80の弾性片82の先端に設けられた爪83が圧入される。爪83は、突起75に引っ掛けられ、突起75に係止される。
【0084】
図10に示されるように、一対の凸部76は、軸方向100における壁面74のほぼ中央部に設けられており、周方向103において対向している。一対の凸部76の突出の先端間の距離L4は、弾性片82の幅W1よりも僅かに短くされている。具体的には、弾性片82の弾性変形や凸部76の弾性変形により弾性片82が一対の凸部76間を通過可能な程度に、距離L4は幅W1よりも短くされている。凸部76は、後述されるように、接続装置24が破棄される際に、弾性片82に当接して第2部材80を固定する。弾性片82が通過できるように、一対の凸部76の第2向き102側の面は、曲面にされている。また、第2部材80が第1位置に戻らないように、一対の凸部76の突出の先端の第1向き101側はエッジにされている。一対の凸部76が、係合部及びロック機構に相当する。
【0085】
第3鍔72は、差込孔47が設けられていない他は、第2鍔46と同構成である。
【0086】
2つの補強リブ44は、第1鍔45から第3鍔72まで軸方向100へ延びている。補強リブ44は、基部71の長孔73と重ならないように、周方向103において、長孔73に対して90度だけずらされて配置されている。
【0087】
[第2部材80]
第2部材80は、円筒部81と、円筒部81から延びる一対の弾性片82と、を備えている。第2部材80は、ポリプロピレンなどにより成型された樹脂成型品である。よって、第2部材80の弾性片82は弾性変形可能である。
【0088】
図11に示されるように、円筒部81は、外径D11が基部71の内径D8よりも小さい円筒形状である。円筒部81は、基部71の第1向き101側の開口から基部71内に挿入されている。第2部材80は、円筒部81において、軸方向100へ案内される。第2部材80は、
図13(A)に示される第1位置と、
図13(B)に示される第2位置との間において、第1部材70に対して軸方向100へ相対的に往復動される。円筒部81の内部空間が、第2内部空間に相当する。
【0089】
図12に示されるように、弾性片82は、円筒部81の第2向き102側の端部から延出されている。弾性片82は、山形に湾曲されており、長孔73を通じて基部71の内部空間から基部71の外側へ向かって突出されている。弾性片82の先端は、第3鍔72と突起75との間に挿入されている。弾性片82は、突起75に引っ掛けられた爪83を先端に有している。爪83により、弾性片82の先端は、第1部材70に係止されている。
【0090】
図11に示されるように、基部71の径方向における一対の山形の弾性片82の頂点部84間の距離L5は、シリンジ筒20の内径D2(
図3)よりも長くされている。
図14に示されるように、接続装置24がシリンジ筒20内に挿入されると、弾性片82は、シリンジ筒20の開口22の縁に当接する。
【0091】
[中空針17]
図11に示されるように、中空針17の外径D9は、円筒部81の内径D10より小さくされている。
図12に示されるように、中空針17は、円筒部81内及び基部71内に配置され、基端においてハブ42(
図11)と連結されている。中空針17の先端は、第1部材70の小径部43から第1向き101へ、突出量L3(
図7)だけ突出されている。これにより、中空針17は、ガスケット35を穿通可能である(
図14(B))。中空針17の先端18は、第2部材80が
図13(A)に示される第1位置にあるとき、第2部材80に収容され、第2部材80が
図13(B)に示される第2位置にあるとき、露出される。
【0092】
[接続装置24の動作]
図13、及び
図14を参照して、接続装置24がシリンジ12に取り付けられてシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入されるときの動作について説明がされる。
【0093】
接続装置24は、ハブ42においてシリンジ12のシリンジ筒20に取り付けられる。使用者は、第1部材90を持って接続装置34をシリンジ12に取り付ける。なお、製造時において、接続装置24がシリンジ12に取り付けられていてもよい。
【0094】
接続装置24がシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入されていないときは、第2部材80は、
図13(A)に示される第1位置にある。第1位置にある第2部材80は、中空針17の先端18を収容している。
【0095】
図14(A)に示されるように、中空針17の先端18側から接続装置24がシリンジ筒20内へ挿入されると、弾性片82がシリンジ11のシリンジ筒20の開口22の縁に当接する。また、円筒部81がシリンジ11のガスケット35のネジ孔38の底面に当接する。接続装置24がシリンジ筒20内へさらに押しこまれると、弾性片82及び円筒部81は、シリンジ筒20及びガスケット35により、第2向き102へ押され、
図14(B)に示される第2位置へ移動される。これにより、弾性片82は、第1部材70に係止された先端を基点に弾性変形され、
図14(A)に示される山形形状から、
図14(B)に示される直線形状に近い緩やかな山形形状へ弾性変形される。弾性変形された弾性片82は、第1部材70に対して、円筒部81を第1向き101へ弾性付勢する。
【0096】
円筒部81は、ガスケット35により第2向き102へ押されることにより、また、弾性片82の弾性変形により、第1位置から第2位置へ移動される。これにより、中空針17の先端18が露出される。
図14(B)に示されるように、露出された中空針17の先端18は、ガスケット35のネジ孔38の底面に突き刺さり、ガスケット35を穿通する。
【0097】
図14(B)に示されるように、中空針17がガスケット35を穿通する第2位置において、弾性片82は、シリンジ筒20の内周面の内側にあり、それ以上弾性変形されない。また、第2位置において、円筒81は、小径部43の内側にあり、それ以上ガスケット35に押されることはない。よって、第2部材80は、第2位置を越えて移動されることはない。
【0098】
接続装置24がシリンジ筒20から引き抜かれると、第2部材80は、弾性片82の弾性力により、
図13(B)に示される第2位置から、
図13(A)に示される第1位置に移動され、中空針17の先端18を覆う。第2部材80が第1位置へ移動されると、弾性片82が一対の凸部76に当接する。これにより、第1位置を越えた第2部材80の移動が制止される。
【0099】
次に、
図13を参照し、接続装置24が破棄される際の接続装置24の動作について説明がされる。PRP(
図9)を得る一連の作業が終了すると、
図13(A)に示される第1位置にある第2部材80は、使用者により、第1部材70に対して第1向き101へ移動される。使用者は、例えば、円筒部81を摘んで第1向き101へ引っ張り、または、弾性片82を第1向き101へ押すことにより、第1部材70に対して第2部材80を移動させる。第2部材80が移動されると、弾性片82は、弾性片82の弾性変形や凸部76の弾性変形により、一対の凸部76の間を通過する。弾性片82が一対の凸部76間を通過することにより、第2部材80は、第1部材70に固定される(
図13(C))。この状態において、接続装置24が破棄される。
【0100】
[効果]
本変形例では、接続装置24に中空針17が設けられているので、接続装置24に中空針17を通す必要がない。また、中空針17の先端18は、接続装置24がシリンジ筒20の内部空間に挿入されていないときは、第2部材80内にあり、シリンジ筒20内に挿入されているときは、シリンジ筒20内にある。よって、PRPを得るための一連の作業において、使用者が中空針17を誤って刺すことを防止できる。
【0101】
また、本変形例では、接続装置24を破棄する際に第2部材80を第1部材70に固定できるので、破棄された接続装置24において、中空針17の先端18が誤って露出されるおそれを低減できる。
【0102】
なお、本変形例では、円筒部81の先端がガスケット35のネジ孔38の底面に当接したときにシリンジ筒20の開口22の縁に当接するように弾性片82が設けられた例が説明された。しかしながら、円筒部81がネジ孔38の底面に当接する前に弾性片82がシリンジ筒20の開口22の縁に当接するように弾性片82が設けられてもよい。
【0103】
[変形例2]
本変形例では、
図15に示される接続装置34が説明される。以下の説明において、接続装置14や接続装置24と同構成のものには、同一の符号が付されている。
【0104】
接続装置34は、第1部材90と、第2部材110と、中空針17と、ハブ42と、を備えている。第1部材90は、中空針17及びハブ42を保持する部材である。第2部材110は、中空針17の先端18を覆う部材である。
【0105】
[第1部材90]
第1部材90は、円筒形状の円筒部92と、円筒部92から延出された弾性部93と、を有するポリプロピレンなどの樹脂成型品である。よって、弾性部93は弾性変形可能である。以下では、円筒部92の中心軸線に平行な方向を軸方向100とし、軸方向100の一方の向きを第1向き101とし、他方の向きを第2向き102とし、円筒部92の周方向を周方向103として説明がされる。軸方向100が長尺方向に相当する。
【0106】
ハブ42は、円筒部92の第2向き102側の開口から円筒部92の内部空間(第1内部空間に相当する)に挿入され、第1部材90に取り付けられている。
【0107】
第1部材90は、後述されるように、第2部材110の基部111の内部空間(第2内部空間に相当する)を軸方向100へ第2部材110に対して相対的に移動される。
【0108】
図17に示されるように、円筒部92は、一対の貫通孔94を有している。一対の貫通孔94は、円筒部92の径方向において対向する位置において、円筒部92を貫通している。貫通孔94は、軸方向100における円筒部92のほぼ中央に設けられている。貫通孔94には、接続装置34が破棄される際に、第2部材110の係合凸部123が嵌め込まれる。これにより、第1部材90は、第2部材110に固定される。貫通孔94が、係合凹部に相当する。
【0109】
図15に示されるように、弾性部93は、フランジ95と、突片96と、一対のボス97と、を有している。フランジ95は、円筒部92の外周面の第2向き102側の端から径方向へ突出されている。
図18(B)に示されるように、フランジ95は、第2部材110の基部111と当接し、第1部材90と第2部材110との軸方向100への相対的な移動を制止する。
【0110】
図15に示されるように、突片96は、フランジ95から第1向き101へ突出されている。突片96は、第1部材90と第2部材110との相対的な移動において、第2部材110の傾斜面113上を摺動し、弾性的に撓ませられる。撓んだ突片96は、第1部材90に対して第2部材110を第1向き101へ弾性付勢する。
【0111】
一対のボス97は、突片96の先端の周方向103における両側面から周方向103へ突出されている。
図18(A)に示されるように、ボス97は、第2部材110の弾性片121に当接し、第1部材90と第2部材110との軸方向100への相対的な移動を制止する。
【0112】
第1部材90は、ボス97と弾性片121との当接、及びフランジ95と基部111との当接により、第2部材110に対する相対的な移動を制止される。よって、軸方向100における第1部材90の第2部材110に対する移動範囲は、軸方向100における突片96の長さL8(
図15)の範囲内になる。中空針17の先端18がガスケット35(
図3)を穿通できるように、突片96の全長L8は、ガスケット35の厚みT(
図3)より長くされる。
【0113】
[中空針17]
図16に示されるように、中空針17は、基端においてハブ42と連結されており、第1部材90から第1向き101へ突出されている。
【0114】
[第2部材110]
図15に示されるように、第2部材110は、基部111と、4つの補強リブ112と、第3鍔72と、ロック機構120と、を有するポリプロピレンなどの樹脂成型品である。
【0115】
基部111は、軸方向100へ延びる円筒形状である。
図17に示されるように、基部111の内径D12は、第1部材90の円筒部92の外径D13よりも僅かに大きくされている。円筒部92は、基部111の第2向き102側の開口から、基部111内に挿入されている。基部111は、円筒部92により、軸方向100へ案内される。第2部材110は、
図18(A)に示される第1位置と、
図18(B)に示される第2位置との間において、第1部材90に対して軸方向100へ相対的に往復動される。
【0116】
基部111の第1向き101側の端部に小径部43が設けられている。
図16に示されるように、基部111は、第1位置において中空針17の先端18を小径部43が覆うように、軸方向100における中空針17の長さに合わせた長さにされている。
【0117】
補強リブ112は、基部111の外周面から径方向へ突出されており、軸方向100へ延びている。4つの補強リブ112は、周方向103において、90度の間隔を空けて配置されている。第2向き102側の補強リブ112の突出の先端面は、第2向き102へ向かうにつれて基部111の外周面に近づく傾斜面113を構成している。
図18に示されるように、第1部材90と第2部材110とが軸方向100へ相対的に移動されると、第1部材90の突片96が傾斜面113上を摺動する。
【0118】
一対のロック機構120は、基部111の第2向き102側の端に、基部111の径方向に対向して設けられている。ロック機構120は、弾性片121と、弾性片121に設けられた把持部122と、把持部122から突出された係合凸部123と、を備えている。
【0119】
弾性片121は、弾性変形な略U字形状に構成されており、その一端が基部111に結合され、他端が把持部122と結合されている。これにより、弾性片121は、把持部122を基部111の係方向外側へ弾性付勢している。弾性片121が付勢部に相当する。より詳細には、弾性片121は、第2部材110の周方向において、把持部122の両側に一対が設けられている。また、一対の弾性片121の両方によって把持部122が弾性的に支持されている。
【0120】
一方のロック機構120の弾性片121と、他方のロック機構120の弾性片121とは、基部111の径方向において、距離L6(
図19(A))だけ離間されている。距離L6は、第1部材90の突片96の幅W2(
図15)より長くされている。
図18に示されるように、突片96は、一対の弾性片121の間を通じて傾斜面113まで延ばされており、先端において傾斜面113に当接している。また、距離L6は、第1部材90の一対のボス97の突出の先端間の距離L7(
図15)より短くされている。
図18(A)に示されるように、第1部材90と第2部材110とが軸方向100へ相対的に移動されると、ボス97が弾性片121に当接し、第1部材90と第2部材110との相対的な移動が制止される。
【0121】
図15に示されるように、把持部122は、一対の弾性片121の中間に設けられている。把持部122は、基部111の外周面に沿う板状である。把持部122は、第2部材110が第1部材90に取り付けられた状態において、第1部材90の貫通孔94に対向させて係合凸部123を支持している。一対のロック機構120の一対の把持部122は、基部111の径方向において対向している。使用者により一対の把持部122が摘まれると、弾性片121が弾性変形され、把持部122が基部111の外周面に当接する(
図19(B))。
【0122】
係合凸部123は、基部111の中心部へ向かって把持部122から突出されている。基部111には、第2向き102側の端面から切欠いた形状の一対の切欠114が設けられており、係合凸部123の先端は、この切欠114に位置している。切欠114は、ロック機構120を構成する一対の弾性片121の基部111に結合された側の端部の間に位置する。すなわち、切欠114の縁は、弾性片121の基部111に結合された側の端部を指す。使用者により把持部122が押され、把持部122が基部111の外周面に当接すると、係合凸部123の先端は、基部111の内周面内側へ突出され(
図19(B))、第1位置において、第1部材90の貫通孔94に嵌る(
図20(B))。
【0123】
図15に示されるように、周方向103における係合凸部123の両側面からは、平面視三角形状の一対の突起124が周方向103へ突出されている。より詳細には、突起124は、一対の弾性片121それぞれに向けて係合凸部123から突出している。使用者により把持部122が摘まれ、把持部122が基部111の外周面に当接すると(
図19(B))、一対の突起124は、基部111の切欠114の縁に引っ掛かり(すなわち、一対の弾性片121それぞれに係合し)、基部111に係止される。これにより、第1部材90は、第2部材110に固定される。突起124が、ロック部に相当する。
【0124】
[接続装置34の動作]
図18及び
図21を参照して、接続装置34がシリンジ12に取り付けられてシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入されるときの動作について説明がされる。
【0125】
使用者は、第1部材90を持って接続装置34をシリンジ12に取り付ける。なお、製造時において、接続装置34がシリンジ12に取り付けられていてもよい。
【0126】
図18(A)に示されるように、接続装置34がシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入される前は、中空針17の先端18は、第2部材110に覆われている。
【0127】
図21(A)に示されるように、シリンジ12に取り付けられた接続装置34は、小径部43側からシリンジ11のシリンジ筒20内に挿入される。そうすると、小径部43は、シリンジ11のガスケット35のネジ孔38の底面に当接する。この状態において、シリンジ12を介して第1部材90が使用者により押されると、第2部材110は、
図21(B)に示されるように、第1部材90に対して軸方向100へ相対的に移動される。そうすると、中空針17の先端18が小径部43から突出し、ガスケット35に突き刺さる。第1部材90が更に下向きへ押されると、
図21(C)に示されるように、第2部材110が第2位置になり、中空針17がガスケット35を穿通する。
【0128】
図18に示されるように、第2部材110が第1位置から第2位置に移動されると、突片96は、傾斜面113上を摺動し、弾性的に撓まされる。撓んだ突片96は、第1部材90に対して、第2部材110を第2向き102へ弾性付勢する。
【0129】
接続装置34がシリンジ11のシリンジ筒20から引き抜かれると、第2部材110は、撓んだ突片96の弾性力により、第1部材90に対して第2向き102へ移動され、第1位置に戻される。これにより、中空針17の先端18が小径部43に覆われる。
【0130】
次に、
図20を参照して、接続装置34を破棄する際の動作について説明がされる。PRP(
図9)を得る一連の作業が終了すると、使用者により、一対の把持部122が摘まれる。そうすると、ロック機構120は、弾性片121の弾性変形により、
図20(A)、(C)に示される位置から、
図20(B)、(D)に示される位置に移動される。そうすると、ロック機構120の係合凸部123が、第1部材90の貫通孔94に嵌まり、かつ突起124が切欠114(
図19(A))の縁に引っ掛かる。すなわち、一対の突起124と一対の弾性片121の基部111に結合された側の端部とがそれぞれ係合する。これにより、第2部材110が中空針17の先端18を収容した状態で第1部材90が第2部材110に固定される。この状態において、接続装置34が破棄される。
【0131】
[効果]
本変形例では、接続装置34に中空針17が設けられているので、中空針17を接続装置34に通す必要がない。また、中空針17の先端18は、接続装置34がシリンジ筒20の内部空間に挿入され、ガスケット35と当接するまでは、第2部材60内にあり、ガスケット35と当接し、更にシリンジ筒20の内部空間に押しこまれた後は、シリンジ筒20内にある。よって、PRPを得るための一連の作業において、使用者が中空針17を誤って刺すことを防止できる。
【0132】
また、本変形例では、接続装置34を破棄する際にロック機構120により第1部材90を第2部材110に固定できるので、破棄された接続装置34において、中空針17の先端18が誤って露出されるおそれが低減される。
【0133】
[変形例3]
本変形例では、
図22に示される接続装置34Aが説明される。以下の説明において、接続装置14、24、34と同構成のものには、同一の符号が付されている。より詳細には、変形例3に係る接続装置34Aは、後述するロック機構130の構成が変形例2に係る接続装置34と異なり、それ以外の構成は変形例2に係る接続装置34と共通するので、以下、変形例2の図面の一部を参照して説明される。
【0134】
接続装置34Aは、第1部材90と、第2部材110Aと、中空針17と、ハブ42と、を備えている。第1部材90は、中空針17及びハブ42を保持する部材である。第2部材110Aは、中空針17の先端18を覆う部材である。
【0135】
[第1部材90]
図22に示される第1部材90は、変形例2と同様に、円筒部92と弾性部93とで構成され、円筒部92の第2向き102側の開口にハブ42が取り付けられている。この第1部材90は、後述されるように、第2部材110Aの基部111の内部空間(第2内部空間に相当する)を軸方向100へ第2部材110Aに対して相対的に移動される。また、変形例2と同様に、軸方向100における円筒部92のほぼ中央に設けられている貫通孔94には、接続装置34Aが破棄される際に、第2部材110Aの係合凸部133が嵌め込まれる。これにより、第1部材90は、第2部材110Aに固定される。貫通孔94が、係合凹部に相当する。
【0136】
図22に示される弾性部93は、変形例2と同様に、フランジ95と、突片96と、一対のボス97と、を有している。
図23(B)に示されるように、フランジ95は、第2部材110Aの基部111と当接し、第1部材90と第2部材110Aとの軸方向100への相対的な移動を制止する。
【0137】
図23(A)及び
図23(B)に示されるように、突片96は、第1部材90と第2部材110Aとの相対的な移動において、第2部材110Aの傾斜面113上を摺動し、弾性的に撓ませられる。撓んだ突片96は、第1部材90に対して第2部材110Aを第1向き101へ弾性付勢する。
図23(A)に示されるように、ボス97は、第2部材110Aの弾性片131に当接し、第1部材90と第2部材110Aとの軸方向100への相対的な移動を制止する。
【0138】
第1部材90は、ボス97と弾性片131との当接、及びフランジ95と基部111との当接により、第2部材110Aに対する相対的な移動を制止される。よって、軸方向100における第1部材90の第2部材110Aに対する移動範囲は、軸方向100における突片96の長さL8(
図22)の範囲内になる。中空針17の先端18がガスケット35(
図3)を穿通できるように、突片96の全長L8は、ガスケット35の厚みT(
図3)より長くされる。
【0139】
[第2部材110A]
図22に示されるように、第2部材110Aは、基部111と、4つの補強リブ112と、第3鍔72と、ロック機構130と、を有するポリプロピレンなどの樹脂成型品である。なお、基部111、4つの補強リブ112、及び第3鍔72の構成は変形例2と共通する。
【0140】
一対のロック機構130は、基部111の第2向き102側の端に、基部111の径方向に対向して設けられている。ロック機構130は、弾性片131と、弾性片131に設けられた把持部132と、把持部132から突出された係合凸部133と、を備えている。
【0141】
弾性片131は、第2部材110Aの周方向103において、把持部132の両側に一対が設けられている。一対の弾性片131のうちの一方は、弾性変形な略U字形状に構成されており、その一端が基部111に結合され、他端が把持部132と結合されている。すなわち、この弾性片131は、把持部132を基部111の係方向外側へ弾性付勢している。弾性片131が付勢部に相当する。これに対して、一対の弾性片131のうちの他方は、基部111とのみ結合され、把持部132とは離間している。すなわち、一対の弾性片131のうちの一方のみによって把持部132が弾性的に支持されている。
【0142】
一方のロック機構130の弾性片131と、他方のロック機構130の弾性片131とは、基部111の径方向において、距離L6(
図24(A))だけ離間されている。距離L6は、第1部材90の突片96の幅W2(
図15)より長くされている。
図23に示されるように、突片96は、一対の弾性片131の間を通じて傾斜面113まで延ばされており、先端において傾斜面113に当接している。また、距離L6は、第1部材90の一対のボス97の突出の先端間の距離L7(
図15)より短くされている。
図23(A)に示されるように、第1部材90と第2部材110Aとが軸方向100へ相対的に移動されると、ボス97が弾性片131に当接し、第1部材90と第2部材110Aとの相対的な移動が制止される。
【0143】
図22に示されるように、把持部132は、一対の弾性片131の中間に設けられている。把持部132は、基部111の外周面に沿う板状である。把持部132は、第2部材110Aが第1部材90に取り付けられた状態において、第1部材90の貫通孔94に対向させて係合凸部133を支持している。一対のロック機構130の一対の把持部132は、基部111の径方向において対向している。使用者により一対の把持部132が摘まれると、弾性片131が弾性変形され、把持部132が基部111の外周面に当接する(
図24(B))。
【0144】
係合凸部133は、基部111の中心部へ向かって把持部132から突出されている。基部111には、第2向き102側の端面から切欠いた形状の一対の切欠114が設けられており、係合凸部133の先端は、この切欠114に位置している。変形例3における切欠114の縁は、一対の弾性片131のうちの他方(すなわち、把持部132を支持してない側の弾性片131)の端部を指す。使用者により把持部132が押され、把持部132が基部111の外周面に当接すると、係合凸部133の先端は、基部111の内周面内側へ突出され(
図24(B))、第1位置において、第1部材90の貫通孔94に嵌る(
図25(B)、(D))。
【0145】
図22に示されるように、周方向103における係合凸部133の一方側の側面からは、平面視三角形状の突起134が周方向103へ突出されている。より詳細には、突起134は、一対の弾性片131のうちの他方(すなわち、把持部132を支持していない側の弾性片131)に向けて係合凸部133から突出している。使用者により把持部132が摘まれ、把持部132が基部111の外周面に当接すると(
図24(B))、突起134は、基部111の切欠114の縁に引っ掛かり(すなわち、他方側の弾性片131に係合し)、基部111に係止される。これにより、第1部材90は、第2部材110Aに固定される。突起134が、ロック部に相当する。
【0146】
図25を参照して、接続装置34Aを破棄する際の動作について説明がされる。PRP(
図9)を得る一連の作業が終了すると、使用者により、一対の把持部132が摘まれる。そうすると、ロック機構130は、弾性片131の弾性変形により、
図25(A)、(C)に示される位置から、
図25(B)、(D)に示される位置に移動される。そうすると、ロック機構130の係合凸部133が、第1部材90の貫通孔94に嵌まり、かつ突起134が切欠114(
図24(B))の縁に引っ掛かる。より詳細には、突起134と他方側の弾性片131とが係合する。これにより、第2部材110Aが中空針17の先端18を収容した状態で第1部材90が第2部材110Aに固定される。この状態において、接続装置34Aが破棄される。
【0147】
[効果]
本変形例では、接続装置34Aに中空針17が設けられているので、中空針17を接続装置34Aに通す必要がない。また、中空針17の先端18は、接続装置34Aがシリンジ筒20の内部空間に挿入され、ガスケット35と当接するまでは、第2部材60内にあり、ガスケット35と当接し、更にシリンジ筒20の内部空間に押しこまれた後は、シリンジ筒20内にある。よって、PRPを得るための一連の作業において、使用者が中空針17を誤って刺すことを防止できる。
【0148】
また、本変形例では、接続装置34Aを破棄する際にロック機構130により第1部材90を第2部材110Aに固定できるので、破棄された接続装置34Aにおいて、中空針17の先端18が誤って露出されるおそれが低減される。
【0149】
[その他の変形例]
上述の実施形態及び変形例では、円筒部61と弾性部63、円筒部81と弾性片82、及び円筒部92と弾性部93とが樹脂材料により一体に成型された例が説明された。しかしながら、弾性部63や弾性片82や弾性部93の代わりに、板バネが設けられてもよい。この板バネは、弾性部63や弾性片82や弾性部93と同様の形状にされ、円筒部61や円筒部81や円筒部92に固着される。
【0150】
上述の実施形態及び変形例では、第1部材40、70、90にハブ42が取り付けられた例が説明された。しかしながら、ハブ42の代わりに、シリンジ筒20のポート21に着脱される接続部が成型により第1部材40、70、90に直接形成されていてもよい。また、ポート21が圧入されるハブ42の代わりに、ポート21がねじ込まれるネジ孔を有するハブが用いられていてもよい。