(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(画像形成装置10)
まず、画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0018】
画像形成装置10は、
図1に示されるように、各構成部品が内部に収容される画像形成装置本体11(筐体)を備えている。画像形成装置本体11の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される複数の収容部12と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部14と、記録媒体Pに形成された画像を記録媒体Pに定着する定着装置60と、が設けられている。画像形成装置本体11の内部には、さらに、収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、が設けられている。また、画像形成装置本体11の上部には、定着装置60によって画像が定着された記録媒体Pが排出される排出部18が設けられている。
【0019】
画像形成部14は、縁に余白部分を有さない縁なし画像を記録媒体Pに形成可能とされている。具体的には、画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する形成部の一例としての画像形成ユニット22Y、22M、22C、22K(以下、22Y〜22Kと示す)と、画像形成ユニット22Y〜22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写ベルト24(転写体の一例)と、を備えている。さらに、画像形成部14は、各画像形成ユニット22Y〜22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写ロール26と、一次転写ロール26によって中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を中間転写ベルト24から記録媒体Pへ転写する二次転写ロール28を含む転写装置70と、を備えている。なお、画像形成部14は、上記の構成に限られず、他の構成であっても良く、記録媒体Pに画像を形成するものであればよい。
【0020】
画像形成ユニット22Y〜22Kは、水平方向に対して傾斜した状態で、画像形成装置本体11の内部に配置されている。また、画像形成ユニット22Y〜22Kは、一方向(例えば、
図1における反時計回り方向)へ回転する感光体32をそれぞれ有している。なお、各画像形成ユニット22Y〜22Kは、同様に構成されているので、
図1において、画像形成ユニット22M、22C、22Kにおける各部の符号を省略している。
【0021】
各感光体32の周囲には、感光体32の回転方向上流側から順に、感光体32を帯電させる帯電装置としての帯電ロール23と、帯電ロール23によって帯電した感光体32を露光して感光体32に静電潜像を形成する露光装置36と、露光装置36によって感光体32に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置38と、が設けられている。
【0022】
露光装置36は、制御部20から送られた画像信号に基づき静電潜像を形成するようになっている。制御部20から送られる画像信号としては、例えば、制御部20が外部装置から取得した画像信号がある。
【0023】
現像装置38は、感光体32へ現像剤を供給する現像剤供給体38Aと、現像剤供給体38Aへ付与される現像剤を攪拌しながら搬送する複数の搬送部材38Bと、を備えている。
【0024】
中間転写ベルト24は、環状に形成されると共に、画像形成ユニット22Y〜22Kの上側に配置されている。中間転写ベルト24の内周側には、中間転写ベルト24が巻き掛けられる巻掛ロール42、43、44が設けられている。中間転写ベルト24は、例えば、巻掛ロール44が回転駆動することによって、感光体32と接触しながら一方向(例えば、
図1における時計回り方向)へ循環移動(回転)するようになっている。なお、巻掛ロール42は、二次転写ロール28に対向する対向ロールとされている。
【0025】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで感光体32に対向している。一次転写ロール26と感光体32との間が、感光体32に形成されたトナー画像が中間転写ベルト24に転写される一次転写位置とされている。
【0026】
そして、一次転写ロール26には、トナー極性とは逆極性の一次転写電圧(一次転写電流)が印加されるようになっている。これにより、感光体32と一次転写ロール26との間に一次転写電界が形成されて、感光体32に形成されたトナー画像に対して静電力が作用し、当該トナー画像が一次転写位置で中間転写ベルト24に転写される。
【0027】
転写装置70の二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで巻掛ロール42に対向している。二次転写ロール28と巻掛ロール42との間が、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像が記録媒体Pに転写される二次転写位置とされている。
【0028】
そして、巻掛ロール42にトナー極性と同極性の二次転写電圧(二次転写電流)が印加されるようになっている。これにより、巻掛ロール42と二次転写ロール28との間に二次転写電界が形成されて、中間転写ベルト24のトナー画像に対して静電力が作用し、当該トナー画像が二次転写位置で記録媒体Pに転写される。
【0029】
搬送部16は、収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール46と、送出ロール46に送り出された記録媒体Pが搬送される搬送路48と、搬送路48に沿って配置され送出ロール46によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ搬送する複数の搬送ロール50と、を有している。
【0030】
定着装置60は、二次転写位置に対する搬送方向下流側に配置されている。定着装置60では、加熱ロール62による加熱と、加圧ロール64による加圧とによって、中間転写ベルト24から記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる。
【0031】
次に、本実施形態に係る画像形成装置10における、記録媒体Pへ画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0032】
本実施形態に係る画像形成装置10では、収容部12から送出ロール46によって送り出された記録媒体Pが、複数の搬送ロール50によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0033】
一方、画像形成ユニット22Y〜22Kでは、帯電ロール23によって帯電した感光体32が、露光装置36によって露光されて感光体32に静電潜像が形成される。その静電潜像が現像装置38によって現像されて感光体32にトナー画像が形成される。画像形成ユニット22Y〜22Kで形成された各色のトナー画像は、一次転写位置にて中間転写ベルト24に転写されて、カラー画像が形成される。そして、中間転写ベルト24に形成されたカラー画像が、二次転写位置にて記録媒体Pへ転写される。
【0034】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置60へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置60により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、搬送ロール52によって排出部18に排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0035】
ここで、縁なしのトナー画像を記録媒体Pに形成する場合には、記録媒体Pの縁部に余白部分が形成されないように、記録媒体Pのサイズよりも大きいサイズのトナー画像が各色の感光体32に形成される。このトナー画像が中間転写ベルト24に転写されてから、記録媒体Pに転写される。このように、中間転写ベルト24に転写されるトナー画像のサイズは、記録媒体Pのサイズよりも大きいため、トナー画像が中間転写ベルト24に残り、中間転写ベルト24から二次転写ロール28の表面にトナー画像が転移する。本実施形態では、二次転写ロール28のトナー画像が記録媒体Pの裏面(画像形成が形成される面とは反対側の面)に転移するのを抑制するため、後述のように、ブレード72にて、二次転写ロール28の表面に付着したトナーが除去する。
【0036】
(転写装置70)
次に、本実施形態に係る転写装置70の構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る転写装置70の構成を示す概略図である。
【0037】
転写装置70は、
図2に示されるように、前述の二次転写ロール28(転写部材の一例)と、二次転写ロール28に付着したトナーを除去するブレード72(除去部材の一例)と、を備えている。さらに、転写装置70は、二次転写ロール28を回転駆動する駆動部98と、二次転写ロール28の周囲の温度を測定する温度計99と、を備えている。なお、温度計99は、画像形成装置本体11の内部に設けられていれば、二次転写ロール28の周囲に配置されていなくてもよい。以下に、二次転写ロール28、ブレード72及び駆動部98の具体的な構成について説明する。
【0038】
(二次転写ロール28)
二次転写ロール28は、弾性ロール80と、弾性ロール80の外周を被覆し導電性を有する円筒状のチューブ90と、を有している。弾性ロール80は、導電性を有する円筒状又は円柱状の支持体82(シャフト)と、支持体82の外周面に設けられ導電性を有する弾性層84と、を備えている。以下、支持体82、弾性層84及びチューブ90の具体的な構成について説明する。
【0039】
(支持体82)
支持体82としては、例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属の部材が挙げられる。また、支持体82としては、例えば、外側の面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂やセラミック部材)、導電剤の分散された部材(例えば樹脂やセラミック部材)等を用いてもよい。
【0040】
(弾性層84)
弾性層84は、例えば、ゴム材料(弾性材料)と発泡剤、必要に応じて、導電剤と、その他の添加剤と、を含んで構成されている。
【0041】
ゴム材料としては、例えば、少なくとも化学構造中に二重結合を有する、所謂、弾性材料が挙げられる。ゴム材料としては、具体的には、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ブチルゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらを混合したゴムが挙げられる。
【0042】
発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルセミカルバジド、P,P’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
【0043】
導電剤は、ゴム材料の導電性が低い場合やゴム材料が導電性を有しない場合など、必要に応じて用いる。導電剤としては、イオン導電剤や、カーボンブラック等の電子導電剤が挙げられる。
【0044】
その他の添加剤としては、例えば、発泡助剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などの通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
【0045】
弾性層84の硬度は、例えば、10度以上40度以下とされている。なお、本実施形態における硬度は、アスカーC法に基づき測定された硬度である。以下に示す硬度も、アスカーC法に基づき測定された硬度である。
【0046】
(チューブ90)
チューブ90の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート等の樹脂材料が挙げられる。チューブ90が含む導電剤としては、カーボンブラック等の導電剤が挙げられる。
【0047】
チューブ90の硬度は、弾性層84の硬度よりも高く、例えば、20度以上50度以下とされている。なお、対向ロール42の硬度は、チューブ90の硬度よりも高く、例えば、70度以上80度以下とされている。
【0048】
(ブレード72)
ブレード72は、弾性材料で構成され、長手方向断面が矩形状に形成されている。また、弾性材料としては、例えば、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、エチレン、プロピレン、ジエンゴム等のゴム材などが挙げられる。
【0049】
ブレード72は、断面視にてL字形状とされた支持材としての板金76に一端側が、接着等によって固定されている。
【0050】
ブレード72の硬度は、チューブ90及び弾性層84の硬度よりも高く、例えば、60度以上90度以下とされている。
【0051】
ブレード72は、端面72T(上面)と、二次転写ロール28に対向する側の側面72Sとで形成されるエッジ72A(角部の一例)が、二次転写ロール28のチューブ90の表面に接触している。前述のように、ブレード72の硬度がチューブ90及び弾性層84の硬度よりも高いため、二次転写ロール28は、
図3に示されるように、接触部分が凹状となる。すなわち、二次転写ロール28に食い込む曲面とされた接触領域が形成されている。
【0052】
ブレード72では、エッジ72Aが二次転写ロール28の表面に接触した状態で、二次転写ロール28が駆動部98によって一方向(
図2の矢印A方向)へ回転することで、二次転写ロール28の表面に付着したトナーを除去する。なお、ブレード72は、二次転写ロール28の回転によって、エッジ72Aが矢印A方向側(下側)に引っ張られ、端面72T(上面)が二次転写ロール28側(右側)へ向くように変形される(
図3参照)。
【0053】
(駆動部98)
駆動部98は、
図2に示されるように、二次転写ロール28の一方向(矢印A方向)への回転駆動(正転駆動)と、一方向とは逆方向(矢印B方向)への二次転写ロール28の回転駆動(逆転駆動)が可能となっている。
【0054】
具体的には、制御部20が、中間転写ベルト24のトナー画像を記録媒体Pに転写する転写動作において、二次転写ロール28の正転駆動を実行する。また、制御部20は、二次転写ロール28の転写動作における一方向への連続回転時間が、予め定められた時間以上である場合に、転写動作終了後に、二次転写ロール28の逆転駆動を実行する。
【0055】
制御部20は、より具体的には、第一環境温度の一例としての環境温度A(例えば、23℃以上)において、予め定められた時間として、第一時間の一例としての時間A(例えば、40秒)を用い、環境温度Aよりも低い第二環境温度の一例としての環境温度B(例えば、10℃以上23℃未満)において、予め定められた時間として、時間Aよりも長い第二時間の一例としての時間B(例えば、100秒)を用いる。
【0056】
さらに、制御部20は、環境温度Bよりも低い第三環境温度の一例としての環境温度C(例えば、10℃未満)において、予め定められた時間として、時間Bよりも長い第三時間の一例としての時間C(例えば、280秒)を用いる。この環境温度A、環境温度B及び環境温度Cは、温度計99によって測定される。なお、前述の環境温度B、環境温度C、時間B及び時間Cは、それぞれ、第一環境温度、第二環境温度、第一時間及び第二時間の一例としても把握可能である。
【0057】
また、制御部20の逆転駆動の駆動距離(二次転写ロール28の回転距離)は、100μm以上180μm以下とされている。なお、制御部20による二次転写ロール28の逆転駆動の具体的な制御手順については、後述の作用において説明する。
【0058】
(実施形態に係る作用)
次に、実施形態に係る作用として、縁なしのトナー画像を記録媒体Pに形成する場合について説明する。
【0059】
縁なしのトナー画像を記録媒体Pに形成する場合には、記録媒体Pのサイズよりも大きいサイズのトナー画像が各色の感光体32に形成される。このトナー画像が中間転写ベルト24に転写されてから、記録媒体Pに転写される。このように、中間転写ベルト24に転写されるトナー画像のサイズは、記録媒体Pのサイズよりも大きいため、トナー画像が中間転写ベルト24に残り、二次転写位置において、中間転写ベルト24から二次転写ロール28の表面にトナーが転移する。
【0060】
また、二次転写位置において、記録媒体Pに含まれる成分としての例えば炭酸カルシウム(以下、媒体成分という)が、二次転写電界における静電力により、二次転写ロール28に付着する。
【0061】
二次転写ロール28に転移したトナー及び媒体成分は、ブレード72によって除去される。
【0062】
ここで、二次転写ロール28に転移したトナー100及び媒体成分200は、
図3に示されるように、ブレード72と二次転写ロール28との間のくさび状(側面視三角形状)の隙間Hに進入する。
【0063】
一般的なトナーではその外周に小粒径の外添剤が付着されているが、この外添剤は、二次転写位置までほとんど搬送されないため、当該隙間Hには外添剤が進入せず、トナー100及び媒体成分200を隙間Hへ制限するものが存在しない。そのため、トナー100及び媒体成分200は、
図4に示されるように、隙間Hの奥まで進入する。
【0064】
転写動作終了後に常に二次転写ロール28の駆動を停止した状態で維持する構成(比較例)、すなわち、二次転写ロール28を逆転駆動しない構成では、
図5に示されるように、ブレード72と二次転写ロール28との摩擦熱Eと、ブレード72の二次転写ロール28への押し付け力Fとが、隙間Hに侵入したトナー100に作用する。これにより、当該トナー100が溶融して当該トナー100が潰れる。このため、トナー100及び媒体成分200が固着し、二次転写ロール28上に薄膜300が形成される。
【0065】
この薄膜300には、二次転写ロール28の回転により隙間Hを通過する毎に、
図6に示されるように、媒体成分200がさらに付着し、当該薄膜300の膜厚が目視で確認可能な程度に厚くなる。なお、
図6に示す状態において、隙間Hを観察すると、領域R1(例えば、5μmの領域)において、ブレード72と二次転写ロール28が接触し、領域R2(例えば、15μm以上20μm以下の領域)において、潰れて凝集しているトナー100と、媒体成分200とが存在する。さらに、領域R3(例えば、60μmの領域)において、凝集はしていないが潰れているトナー100と、媒体成分200とが存在し、領域R4において、潰れていないトナー100と、媒体成分200とが存在している。
【0066】
これに対して、本実施形態では、制御部20が画像形成指令を取得すると、温度計99によって測定された環境温度が環境温度A(例えば23℃以上)である場合に、以下のように、制御部20によって二次転写ロール28の逆転駆動を実行する(
図7参照)。
【0067】
図7に示されるように、制御部20が画像形成指令を取得すると、前の画像形成動作からの経過時間が120秒以上か否かを判断する(ステップ100)。この判断の結果、当該経過時間が120秒未満である場合は、ステップ104に移行して画像形成動作を開始する。
【0068】
なお、経過時間とは、具体的には、前の画像形成動作の終了から、実行対象の画像形成動作の開始までの時間である。
【0069】
ステップ100での判断の結果、当該経過時間が第一経過時間(例えば、120秒)以上である場合は、二次転写ロール28の連続回転時間をリセットして(ステップ102)、画像形成動作を開始する(ステップ104)。
【0070】
当該画像形成動作が終了すると(ステップ106)、二次転写ロール28の連続回転時間が予め定められた第一時間(例えば40秒)以上か否かを判断する(ステップ108)。
【0071】
なお、ステップ102におけるリセットを実行している場合は、当該画像形成動作における二次転写ロール28の連続回転時間のみが第一時間以上か否かを判断する。ステップ102におけるリセットを実行していない場合は、当該画像形成動作における二次転写ロール28の連続回転時間に、前の画像形成動作における二次転写ロール28の連続回転時間を加算した時間が40秒以上か否かを判断する。すなわち、前の画像形成動作との間隔が第一経過時間以上経過していない場合(短い場合)は、連続的に回転しているものとみなし、前の画像形成動作における連続回転時間を加算する。
【0072】
この判断の結果、当該連続回転時間が第一時間以上である場合は、二次転写ロール28を逆転駆動する(ステップ110)。この判断の結果、当該連続回転時間が第一時間未満である場合は、二次転写ロール28の逆転駆動を実行しない。二次転写ロール28の逆転駆動の実行により、二次転写ロール28は、100μm以上180μm以下の範囲で回転する。
【0073】
連続回転時間は、例えば、二次転写ロール28による転写動作開始から転写動作終了まで二次転写ロール28が回転するものとして転写動作開始から転写動作終了まで時間を連続回転時間とする。また、画像形成動作における記録媒体Pの画像形成枚数から連続回転時間を求めてもよい。さらに、連続回転時間は、センサ(検知部)によって、直接、二次転写ロール28の回転時間を測定してもよい。
【0074】
なお、温度計99によって測定された環境温度が環境温度Aよりも低い環境温度B(例えば、10℃以上23℃未満)である場合には、以下のように、基準となる経過時間及び連続回転時間が変更される。すなわち、第一経過時間に替えて、第一経過時間よりも短い第二経過時間(例えば60秒)が用いられ、第一時間に替えて、第一時間よりも長い第二時間(例えば、100秒)が用いられる。
【0075】
また、温度計99によって測定された環境温度が環境温度Bよりも低い環境温度C(例えば、10℃未満)である場合には、以下のように、基準となる経過時間及び連続回転時間が変更される。すなわち、第一経過時間に替えて、第二経過時間よりも短い第三経過時間(例えば20秒)が用いられ、第一時間に替えて、第二時間よりも長い第三時間(例えば、280秒)が用いられる。
【0076】
本実施形態では、前述のように、画像形成動作終了後、すなわち、二次転写ロール28の転写動作終了後に、予め定められた条件下で、二次転写ロール28が逆転駆動される。
【0077】
これにより、
図8に示されるように、ブレード72と二次転写ロール28との間のくさび状の隙間Hの奥へ進入したトナー100及び媒体成分200が、隙間Hの手前側に移動する。このため、トナー100及び媒体成分200に対して、ブレード72と二次転写ロール28との摩擦熱と、ブレード72の二次転写ロール28への押し付け力とが作用しにくくなり、トナーが潰れにくくなる。したがって、二次転写ロール28を逆転駆動しない構成に比べ、二次転写ロール28へのトナーの固着が抑制される。
【0078】
また、本実施形態では、二次転写ロール28の連続回転時間が予め定められた第一時間(例えば40秒)以上である場合に、転写動作終了後に二次転写ロール28を逆転駆動する。このため、転写動作終了後に常に二次転写ロール28を逆転駆動する構成に比べ、二次転写ロール28を逆回転駆動することによる二次障害が抑制される。
【0079】
さらに、本実施形態では、環境温度に応じて基準となる連続回転時間が決定され、この決定された連続回転時間以上である場合に、転写動作終了後に二次転写ロール28を逆転駆動する。このため、環境温度に関わらず常に同じ条件で転写動作終了後に二次転写ロール28を逆回転駆動する構成に比べ、二次転写ロール28を逆転駆動することによる二次障害が抑制される。
【0080】
なお、二次障害としては、例えば、ブレード72の側面72Sが、二次転写ロール28の逆転により、二次転写ロール28の逆転方向へ引っ張られて二次転写ロール28の表面によって摩耗することが考えられる。ブレード72の側面72Sが摩耗すると、ブレード72の二次転写ロール28に対する接触圧が弱くなり、トナーの除去不良が生じ得る。
【0081】
また、本実施形態では、制御部20の逆転駆動の駆動距離(二次転写ロール28の回転距離)は、100μm以上180μm以下とされている。当該駆動距離が100μm未満であると、ブレード72と二次転写ロール28との摩擦熱Eと、ブレード72の二次転写ロール28への押し付け力Fとが、隙間Hへ進入したトナー100及び媒体成分200に作用する状態が維持されて、トナー100が二次転写ロール28の表面に固着する場合がある。また、当該駆動距離が180μmを超えると、ブレード72の側面72Sが、二次転写ロール28の逆転方向へ引っ張られて二次転写ロール28の表面によって摩耗する場合がある。
【0082】
したがって、制御部20の逆転駆動の駆動距離(二次転写ロール28の回転距離)を、100μm以上180μm以下とすることで、トナー100の二次転写ロール28の表面への固着、及びブレード72の側面72Sの摩耗が効果的に抑制される。
【0083】
また、以上のように、本実施形態の構成によれば、二次転写ロール28へのトナーの固着が抑制されるので、二次転写ロール28へのトナーの固着に起因する画像不良が抑制される。
【0084】
(変形例)
本実施形態では、環境温度に応じて、基準となる経過時間及び連続回転時間が変更していたが、これに限られない。環境温度に関わらず、予め定められた1つの経過時間及び予め定められた1つの連続回転時間を用いて、二次転写ロール28の逆転駆動を制御してもよい。
【0085】
本実施形態では、二次転写ロール28の連続回転時間が、基準回転時間以上である場合に、二次転写ロール28を逆転駆動していたが、これに限られない。二次転写ロール28の連続回転時間に関わらず、転写動作終了後に常に二次転写ロール28の逆転駆動を実行するようにしてもよい。
【0086】
本実施形態では、除去部材の一例として、弾性材料で構成されたブレード72を用いたが、これに限られない。除去部材の一例としては、例えば、金属材料(例えば、ステンレス)で構成された板状のスクレーパを用いてもよい。なお、スクレーパは、ステンレス以外の金属材料で構成されていてもよい。
【0087】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。