【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、上述の課題は、次の排ガス処理装置さらにはその方法により解決される。
【0012】
[排ガス処理装置]
本発明における排ガス処理装置は、次の第一発明、第二発明そして第三発明のごとく構成され、いずれによっても上記課題は解決される。
【0013】
<第一発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを除塵処理する集塵装置と、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭を吹き込む活性炭供給装置とを備える排ガス処理装置において、集塵装置の下流側で排ガス中の水銀濃度を測定する下流側水銀濃度計と、活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御装置を備え、制御装置は、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値に基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理装置。
【0014】
<第二発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを除塵処理する集塵装置と、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭を吹き込む活性炭供給装置とを備える排ガス処理装置において、炉の下流側でかつ集塵装置の上流側で排ガス中の水銀濃度を測定する上流側水銀濃度計と、活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御装置を備え、制御装置は、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、上流側水銀濃度計による水銀濃度測定値に基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理装置。
【0015】
<第三発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを除塵処理する集塵装置と、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭を吹き込む活性炭供給装置とを備える排ガス処理装置において、炉の下流側でかつ集塵装置の上流側で排ガス中の水銀濃度を測定する上流側水銀濃度計と、集塵装置の下流側で排ガス中の水銀濃度を測定する下流側水銀濃度計と、活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御装置を備え、制御装置は、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、上流側水銀濃度計による水銀濃度測定値と下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値とに基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理装置。
【0016】
第一ないし第三発明においては、制御装置は、上流側水銀濃度計又は下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値が所定水銀濃度以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御することが好ましい。時間平均としてはさほど水銀濃度が高くないにも拘らず一時的に急激に水銀濃度が高くなったときに、この高い水銀濃度に合せて多量の活性炭を供給すると、その後の時間にわたり過剰に活性炭を供給してしまう結果になる。このような過剰な供給となることを、上記活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御することにより防止できる。
【0017】
また、第一発明においては、制御装置は、下流側水銀濃度計による集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める比率が0.4〜0.8の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、上記予め定める比率が0.4〜0.8の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングが定められる。このように定める理由は、上記予め定める比率が0.4より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める比率が0.8より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0018】
また、第二発明においては、制御装置は、上流側水銀濃度計による集塵装置の上流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める比率が20〜200の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、上記予め定める比率が20〜200の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定める比率が20より小さいときに、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める比率が200より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0019】
また、第三発明において、制御装置は、下流側水銀濃度計による集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する下流側水銀濃度比率が予め定める比率以上であるとき、又は、上流側水銀濃度計による集塵装置の上流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する上流側水銀濃度比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.4〜0.8の範囲内で定められ、上記予め定める上流側水銀濃度比率が20〜200の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、第一には、上記予め定める下流側水銀比率が0.4〜0.8の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.4より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.8より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。また、第二には、上記予め定める上流側水銀濃度比率が20〜200の範囲内で活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定められた上流側水銀濃度比率が20より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める上流側水銀濃度比率が200より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0020】
さらには、第一ないし第三発明においては、制御装置は、処理排ガス流量に対する活性炭吹込み重量として定められる活性炭供給量の所定の最小値を、10〜200mg/Nm3に設定して制御することができる。このように活性炭供給量の所定の最小値を10〜200mg/Nm3の範囲で、排ガス中の水銀濃度が低い場合には該範囲のなかで低域の値とし、水銀濃度が高い場合には高域の値とすればよい。活性炭供給量を、排ガス中の水銀濃度が所定値より低い場合には、所定の最小値を保つようにすることで、集塵装置のバグフィルタには、活性炭の吸着層が常に形成されているようになるので、上記所定値よりも高濃度の水銀を含む排ガスが排出された際にも、予め形成された上記吸着層による吸着除去作用とその際に吹き込まれる活性炭による吸着除去作用とにより水銀を速やかにかつ確実に吸着除去でき、集塵後の排ガスの水銀濃度を十分に低濃度とする。上記所定の最小値を10mg/Nm3未満とすることは、集塵装置のバグフィルタに活性炭の吸着層を十分に形成することが困難であるため不適であり、上記所定の最小値を200mg/Nm3以上とすることは、活性炭供給量が過剰となりコストが嵩むので得策ではない。
【0021】
さらには、第一ないし第三発明において、制御装置は、処理排ガス流量に対する活性炭吹込み重量として定められる活性炭供給量の所定の最大値を、300〜1000mg/Nm3に設定して制御することができる。このように活性炭供給量の設定最大値を300〜1000mg/Nm3の範囲で、排ガス中の水銀濃度が低い場合には該範囲のなかで低域の値とし、水銀濃度が高い場合には高域の値とすればよい。上記設定最大値を300mg/Nm3未満とすることは、活性炭が排ガス中の水銀を吸着除去できない不具合が生じることがあるため不適であり、上記設定最大値を1000mg/Nm3以上とすることは、活性炭供給量が過剰となりコストが嵩むので得策ではない。
【0022】
また、第一ないし第三発明において、活性炭供給量の最小値から最大値へ向けた増大に関しては、制御装置は、排ガス中の水銀濃度測定値が零又は測定可能な限界最小値未満の値から、第一の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、所定の最小値の活性炭供給量のもとに活性炭を供給し、水銀濃度測定値が上記第一の所定水銀濃度に達した後に、水銀濃度測定値の増加にしたがって、所定の最小値から直線的に活性炭供給量を増大させ、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達したときに、活性炭供給量を所定の最大値の供給量とし、水銀濃度測定値が上記第二の所定水銀濃度に達した後には、水銀濃度測定値の増加に対してその所定の最大値で活性炭供給量を一定に保つようにすることができる。
【0023】
さらに、第一ないし第三発明において、活性炭供給量の最小値から最大値に向けた増大に関しては、制御装置は、排ガス中の水銀濃度測定値が零又は測定可能な限界最小値未満の値から、第一の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、所定の最小値で第一の供給量とする活性炭供給量のもとに活性炭を供給し、水銀濃度測定値が上記第一の所定水銀濃度に達したときに、階段状に活性炭供給量を所定の第二の供給量にまで増大させ、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、活性炭供給量を第二の供給量で一定に保ち、さらに、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達したときに、活性炭供給量を所定の第三の供給量にまで増大させるように、水銀濃度測定値の増加にしたがって、階段状に活性炭供給量を増大させることを繰り返し、活性炭供給量を所定の最大値にまで増大させた後は、水銀濃度測定値の増加に対してその所定の最大値で活性炭供給量を一定に保つようにすることもできる。
【0024】
上記のように、排ガス中の水銀濃度測定値に基づき、活性炭供給量を最小値から最大値へ向けて増大させることにより、活性炭供給装置の供給量調整機構にとって不具合が生じることもなく、活性炭供給量を円滑に制御することができる。
【0025】
[排ガス処理方法]
本発明における排ガス処理方法は、次の第四発明、第五発明そして第六発明のごとく構成され、いずれによっても上記課題は解決される。
【0026】
<第四発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを集塵装置で除塵処理し、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭供給装置から活性炭を吹き込むこととする排ガス処理方法において、集塵装置の下流側で排ガス中の水銀濃度を下流側水銀濃度計で測定する測定工程と、制御装置で活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御工程を備え、制御工程で、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値に基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理方法。
【0027】
<第五発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを集塵装置で除塵処理し、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭供給装置から活性炭を吹き込むこととする排ガス処理方法において、炉の下流側でかつ集塵装置の上流側で排ガス中の水銀濃度を上流側水銀濃度計で測定する測定工程と、制御装置で活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御工程を備え、 制御工程で、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、上流側水銀濃度計による水銀濃度測定値に基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理方法。
【0028】
<第六発明>
炉から排出され水銀を含む排ガスを集塵装置で除塵処理し、炉から集塵装置へ排ガスを導く排ガス流路へ活性炭供給装置から活性炭供給装置から活性炭を吹き込むこととする排ガス処理方法において、炉の下流側でかつ集塵装置の上流側で排ガス中の水銀濃度を上流側水銀濃度計で測定するとともに集塵装置の下流側で排ガス中の水銀濃度を下流側水銀濃度計で測定する測定工程と、制御装置で活性炭供給装置の活性炭供給量を制御する制御工程を備え、制御工程で、活性炭供給量を所定の最小値以上に維持するとともに、上流側水銀濃度計による水銀濃度測定値と下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値とに基づき、上記集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を設定値以下とするように、活性炭供給量を制御することを特徴とする排ガス処理方法。
【0029】
第四ないし第六発明においては、制御工程は、上流側水銀濃度計又は下流側水銀濃度計による水銀濃度測定値が所定水銀濃度以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御することが好ましい。時間平均としてはさほど水銀濃度が高くないにも拘らず一時的に急激に水銀濃度が高くなったときに、この高い水銀濃度に合せて多量の活性炭を供給すると、その後の時間にわたり過剰に活性炭を供給してしまう結果になる。このような過剰な供給となることを、上記活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御することにより防止できる。
【0030】
また、第四発明においては、制御工程は、下流側水銀濃度計による集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める比率が0.4〜0.8の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、上記予め定める比率が0.4〜0.8の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングが定められる。このように定める理由は、上記予め定める比率が0.4より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める比率が0.8より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0031】
また、第五発明においては、制御工程は、上流側水銀濃度計による集塵装置の上流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める比率が20〜200の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、上記予め定める比率が20〜200の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定める比率が20より小さいときに、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める比率が200より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0032】
また、第六発明において、制御工程は、下流側水銀濃度計による集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する下流側水銀濃度比率が予め定める比率以上であるとき、又は、上流側水銀濃度計による集塵装置の上流側での排ガス中の水銀濃度測定値の、集塵装置の下流側における排ガス中の水銀濃度設定値に対する上流側水銀濃度比率が予め定める比率以上であるとき、活性炭供給量を所定の最大値に保つように制御し、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.4〜0.8の範囲内で定められ、上記予め定める上流側水銀濃度比率が20〜200の範囲内で定められるようにすることができる。こうすることで、第一には、上記予め定める下流側水銀比率が0.4〜0.8の範囲内で、活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.4より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める下流側水銀濃度比率が0.8より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着除去できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。また、第二には、上記予め定める上流側水銀濃度比率が20〜200の範囲内で活性炭供給量を所定の最大値に保持するタイミングを定められる。このように定める理由は、上記予め定められた上流側水銀濃度比率が20より小さいときには、必要以上に多量の活性炭を供給する結果となり、活性炭を過剰に使用するために処理コストが嵩むという問題を生じてしまうこと、また、上記予め定める上流側水銀濃度比率が200より大きいときには、活性炭供給量が不足して十分に水銀を吸着できず、水銀濃度を水銀濃度設定値以下にまで低減できないという問題を生じてしまうからである。
【0033】
さらには、第四ないし第六発明において、制御工程は、処理排ガス流量に対する活性炭吹込み重量として定められる活性炭供給量の所定の最小値を、10〜200mg/Nm3に設定して制御することができる。このように活性炭供給量の所定の最小値を10〜200mg/Nm3の範囲で、排ガス中の水銀濃度が低い場合には該範囲のなかで低域の値とし、水銀濃度が高い場合には高域の値とすればよい。かくして活性炭供給量を、排ガス中の水銀濃度が所定値より低い場合には、所定の最小値を保つようにすることで、集塵装置のバグフィルタには、活性炭の吸着層が常に形成されているようになるので、上記所定値よりも濃度の高い高濃度の水銀を含む排ガスが排出された際にも、予め形成された上記吸着層による吸着除去作用とその際に吹き込まれる活性炭による吸着除去作用とにより水銀を速やかにかつ確実に吸着除去でき、集塵後の排ガスの水銀濃度を十分に低濃度とする。上記所定の最小値を10mg/Nm3未満とすることは、集塵装置のバグフィルタに活性炭の吸着層を十分に形成することが困難であるため不適であり、上記所定の最小値を200mg/Nm3以上とすることは、活性炭供給量が過剰となりコストが嵩むので得策ではない。
【0034】
さらには、第四ないし第六の発明においては、制御工程は、処理排ガス流量に対する活性炭吹込み重量として定められる活性炭供給量の所定の最大値を、300〜1000mg/Nm3に設定して制御することができる。このように活性炭供給量の設定最大値を300〜1000mg/Nm3の範囲で、排ガス中の水銀濃度が低い場合には該範囲のなかで低域の値とし、水銀濃度が高い場合には高域の値とすればよい。上記設定最大値を300mg/Nm3未満とすることは、活性炭が排ガス中の水銀を吸着除去できない不具合が生じることがあるため不適であり、上記設定最大値を1000mg/Nm3以上とすることは、活性炭供給量が過剰となりコストが嵩むので得策ではない。
【0035】
また、第四ないし第六発明において、活性炭供給量の最小値から最大値へ向けた増大に関しては、制御工程は、排ガス中の水銀濃度測定値が零又は測定可能な限界最小値未満の値から、第一の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、所定の最小値の活性炭供給量のもとに活性炭を供給し、水銀濃度測定値が上記第一の所定水銀濃度に達した後に、水銀濃度測定値の増加にしたがって、所定の最小値から直線的に活性炭供給量を増大させ、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達したときに、活性炭供給量を所定の最大値の供給量とし、水銀濃度測定値が上記第二の所定水銀濃度に達した後には、水銀濃度測定値の増加に対してその所定の最大値で活性炭供給量を一定に保つようにすることができる。
【0036】
さらに、第四ないし第六発明において、活性炭供給量の最小値から最大値に向けた増大に関しては、制御工程は、排ガスの水銀濃度測定値が零又は測定可能な限界最小値未満の値から、第一の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、所定の最小値で第一の供給量とする活性炭供給量のもとに活性炭を供給し、水銀濃度測定値が上記第一の所定水銀濃度に達したときに、階段状に活性炭供給量を所定の第二の供給量にまで増大させ、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達するまでの範囲には、活性炭供給量を第二の供給量で一定に保ち、さらに、水銀濃度測定値が第二の所定水銀濃度に達したときに、活性炭供給量を所定の第三の供給量にまで増大させるように、水銀濃度測定値の増加にしたがって、階段状に活性炭供給量を増大させることを繰り返し、活性炭供給量を所定の最大値にまで増大させた後は、水銀濃度測定値の増加に対してその所定の最大値で活性炭供給量を一定に保つようにすることもできる。
【0037】
上記のように、排ガスの水銀濃度測定値に基づき、活性炭供給量の最小値から最大値へ向けて増大させることにより、活性炭供給装置の供給量調整機構にとって不具合が生じることもなく、活性炭供給量を円滑に制御することができる。
【0038】
このような本発明によれば、第一発明そして第四発明では、集塵装置の下流側で、活性炭による水銀吸着除去後の排ガス中の実際の水銀濃度を水銀濃度計で測定して活性炭供給量を調整するので、活性炭供給量を過不足なく調整することで、この水銀濃度を許容される設定値以下とすることができる。
【0039】
第二発明そして第五発明では、炉よりも下流側で集塵装置よりも上流側で、水銀濃度を水銀濃度計で測定し、その測定値に基づき活性炭供給量を調整して集塵装置の下流側での排ガス中の水銀濃度を許容される設定値以下とする。炉からの排ガス中の水銀濃度が変動した場合に、排ガスの集塵装置への流入前に水銀濃度を測定しその測定値に基づき、速やかに活性炭供給量を適正量に調整することができ、水銀濃度の変動に対して遅れが生じることなく確実に煙突から排出される排ガス中の水銀濃度を許容される設定値以下とすることができる。
【0040】
さらに第三発明そして第六発明では、炉よりも下流側で集塵装置より上流側で水銀濃度を水銀濃度計で測定するとともに、集塵装置の下流側でも水銀濃度を水銀濃度計で測定し、これらの二つの測定値に基づき活性炭供給量を調整して集塵装置の下流側での水銀濃度を許容される設定値以下とする。炉よりも下流側で集塵装置よりも上流側での水銀濃度測定値に基づき、活性炭供給量のベース値を定める制御を行い、さらに、集塵装置の下流側での水銀濃度測定値に基づき、活性炭供給量をベース値に対して増減して調整するように、活性炭供給量を補完して制御する。このようにすることにより、水銀濃度の変動に対して遅れが生じることなくより確実に煙突から排出される排ガス中の水銀濃度を許容される設定値以下にできる。
【0041】
第一発明そして第四発明では、集塵装置の下流側での実際の水銀濃度を測定するので、確実に煙突から排出される排ガス中の水銀濃度が設定値以下になるが、炉からの排ガス中の水銀濃度が変動したときには、その変動に対して活性炭供給量の調整に遅れが伴う。一方、第二発明そして第五発明では、集塵装置よりも上流側で水銀濃度を測定するので、上記変動に対しても速やかに対応できる。さらに、第三発明および第六発明では、集塵装置よりも上流側で水銀濃度を測定し、さらに集塵装置の下流側で水銀濃度を測定し、これらの二つの測定値に基づき活性炭供給量を調整することで、水銀濃度の変動に対して遅れが生じることなく、より確実に煙突から排出される排ガス中の水銀濃度を許容される設定値以下にできる。