(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の検出対象物の測定方法は、検出対象物である検体を保持した検体保持部をスキャナーで読み込んで検出対象物である検体の画像データを取得し、画像データをソフトウェアで自動的に処理して所定の測定を行うことを特徴とする。さらに、測定結果をソフトウェアで自動的にデータ処理しても良い。これにより、手動で処理することなく、ソフトウェアを用いて自動的に検出対象物である検体を測定することができるため、容易かつ正確に検体の検出や計測等の検査を行うことができる。
【0018】
例えば、検体保持部に検体を採取し、スキャナーで読み込んだ画像データから、検体をソフトウェアで自動的に検出,測定することができる。また、検体を試薬で反応させ、スキャナーで読み込んだ画像データから、反応状態を測定することもできる。
【0019】
まず、
図1を用いて採取した検体の大きさと個数を測定する場合を例に、本発明の検出対象物の測定方法の概略を説明する。
図1は本発明の検出対象物の測定方法の概略を示すフロー図である。
【0020】
採取した検体の大きさと個数を測定する場合は、
図1に示すように、まず、粘着シート等の検体保持部に検出対象物である検体を採取する(ステップ1)。次に、検体保持部をスキャナーで読み込み、検体保持部に付着した検体の画像データを取得する(ステップ2)。次に、画像データをソフトウェアにより処理して、画像データ中の検体を検出する(ステップ3)。次に、ソフトウェアを用いて自動的に検体の大きさ等を測定する(ステップ4)。大きさは検体の最大径や、平均径等任意に設定できる。次に、ソフトウェアを用いて自動的に検体の個数を測定する(ステップ5)。なお、検出対象物の大きさの測定と個数の測定の順番は任意である。次に、測定した検出対象物の大きさや個数等から、あらかじめ定めたデータ処理をソフトウェアを用いて自動的に行う(ステップ6)。そして、最後に、必要に応じてこれらのデータを用いて所定の評価を行う(ステップ7)。
【0021】
このように、スキャナーで検体が付着した検体保持部を読み取り、ソフトウェアを用いて画像処理することにより検体を検出し、ソフトウェアを用いて検出した検体の大きさ等を測定すると共に個数を測定し、さらにソフトウェアを用いて自動的にあらかじめ定めたデータ処理を行うことにより、容易かつ正確に検体の検出や計測等の検査を行うことができる。
【0022】
次に、ソフトウェアの動作例について、
図2を用いて説明する。
図2は本発明におけるソフトウェアの動作を例示する図である。
まず、スキャナーで読み取られた画像データを、ソフトウェアが格納されたPC等の機器に読み込む。画像データは、カラーあるいは白黒のデータであり、スキャナーの解像度に応じたサイズの画素の集合として表される(
図2(a))。次に、機器でソフトウェアを動作させて、画像データをあらかじめ定めた所定の濃度をしきい値として2値化処理する(
図2(b))。そして、画像データ中の各画素を検体と下地に分別して検体を検出する。例えば、濃色の検体を検出する場合には白色等の検体保持部を用い、画像データを白色と黒色に2値化し、2値化後のデータのうち白色の画素を下地、黒色の画素を検体と認識して検体を検出する。また、しきい値は、画像データのあらかじめ設定した一部の画素の濃度の平均値から一定の値を差し引いた値とすることにより、照明のむらが減少することとなり好ましい。次に、ソフトウェアにより、検体と認識された画素のうち、隣接する画素群を1つの検体と定め(
図2(c))、画像データ中の検体の数を自動的に測定する。次に、ソフトウェアで1つの検体の画素群の重心を求める。その重心を利用して水平方向と垂直方向の分散と共分散を求める。水平方向と垂直方向の分散と共分散から慣性主軸の水平方向との角度を求める。この慣性主軸の角度をそれぞれの検体で求める。これらの慣性主軸を各検体の長軸と仮定して、ソフトウェアにて各検体の長軸に平行な方向の最大画素と最小画素を抽出して距離を計算することによりこれらの長軸に平行な方向の各検体の長さを各検体の大きさとして算出する(
図2(d))。また、このような長軸の長さ以外にも検体の大きさを求めることができ、例えば、検体が構成する画素の個数と1画素の長さから、検体の任意に定めた方向における画素の個数を測定して長さを求め、最大値や平均値を検体の大きさとすることもできる。さらに、測定したデータをソフトウェアにより自動的に所定のデータ形式に変換しても良い。
【0023】
ここで、検出することが必要な検出対象物の大きさに対応して画像処理をする必要があるので、ソフトウェアはその大きさに応じて検出精度を決定する。さらに、検出精度に応じて、スキャナーの解像度が決まるので、用いるスキャナーに要求される解像度が決定される。
【0024】
検体保持部として、例えば粘着シートが用いられる。粘着シートは、用途に応じて寸法が決定される。また、検出対象物の色によって粘着シートの色を決定することにより、検出対象物を容易に検出することができる。例えば、検出対象物が濃色の場合は粘着シート表面を白色や淡色にし、検出対象物が淡色の場合は粘着シート表面を黒色や濃色にすることが好ましい。さらに、検出対象物の採取後に異物が混入することを防ぐため、粘着シートに透光性のある保護フィルムを設け、採取後に保護フィルムを粘着シート表面に貼り付けても良い。
【0025】
次に、図面を用いて、本発明の検出対象物の測定方法の具体例を実施の形態として説明する。
(実施の形態1)
まず、
図1〜
図6を用いて、クリーンルーム等の所定の環境内の清浄度測定における異物の検出方法を本発明の検出対象物の測定方法の実施の形態として、クリーンルームの場合を例に説明する。クリーンルームの表面清浄度は、空気中の沈降性粒子状汚染物質を採取し、その個数を測定して、その割合の高低により判定される。
【0026】
図3は実施の形態1におけるクリーンルームの清浄度の測定を行う構成を説明する図、
図4は実施の形態1における測定結果をまとめた図、
図5は実施の形態1における粘着シートを例示する図、
図6は実施の形態1における粘着シートの表示画像を例示する図である。
【0027】
まず、クリーンルーム4の床や装置5の上等の清浄度を測定したい場所に、所定時間粘着シート1を載置し、空気中の沈降性粒子状汚染物質を異物として採取する(
図1のステップ1に相当)。次に、好ましくは、粘着シート1の採取面に透光性の保護フィルムを貼り付け、さらなる異物の混入を防止する。次に、粘着シート1をスキャナー2で読み込み、粘着シート1に付着した異物の画像データを取得する(
図1のステップ2に相当)。次に、画像データをソフトウェアが搭載されたPC3等の機器に転送し、画像データをソフトウェアで解析する(
図1のステップ3〜ステップ6に相当)。そして、解析結果からクリーンルーム4の表面清浄度を判定する。
【0028】
異物の採取,画像データの取得の後、ソフトウェアを用いた画像データの解析の際には、まず、画像データの各画素に対して、色の濃淡について所定のしきい値で2値化処理をすることにより、異物を検出する(
図1のステップ3に相当)。ここでは、2値化処理により各画素を異物であるか下地であるかを識別し、異物として認識された画素のうち隣接するものを合わせて1つの異物として検出する。次に、検出された異物に対して、異物の大きさを測定すると共に異物の数を計測する(
図1のステップ4,ステップ5に相当)。異物の大きさとしては、異物の最大径や平均径等を測定する。例えば、各異物の慣性主軸を求め、慣性主軸に平行な方向の異物の長さを測定する。さらに、ソフトウェアにより、異物の大きさをいくつかの範囲にグループ分けし、測定した異物の大きさと個数から、それぞれのグループに属する異物の個数を自動的に算出する。また、個数をさらに単位面積当たりの個数に換算したり、表面清浄度に換算することもできる(
図1のステップ6に相当)。
【0029】
具体的には、JACAの指針No.42,No.43に準拠して異物の測定を行うことができる。
図4にJACAの指針No.42,No.43に準拠して異物の測定結果を例示する表を示す。
【0030】
上記指針においては、1m
2あたりの個数を基準と判定する。よって、例えば、100cm
2あたりの個数を測定してから1m
2あたりの個数に換算する。そのため、粘着シート1として10cm×10cm=100cm
2のものを用いることができる(
図5(a))。または、任意の大きさの粘着シート1に10cm×10cm=100cm
2の画像認識に適した枠7を設け、枠7内を異物の測定領域とする(
図5(b))。さらに、いずれの粘着シート1にも保護フィルム6を設けることができる。保護フィルム6を設けることにより、所定の時間を越えてからの異物の付着を防止できると共に、スキャナーへの異物の付着等を防止することができる。また、例えば、粘着シート1として、ダストサンプラー(NTT−ATクリエイティブ株式会社製)を用いることができる。
【0031】
測定の際には、これらの粘着シート1をクリーンルーム4の所定の位置に24時間曝露する。そして、粘着シート1に付着した異物8をスキャナー2で読み込んで画像認識し、異物8を計測する。さらに、所定のデータ処理を行う。
【0032】
データ処理の際には、
図4に示すように、検出した異物8を大きさが300μm以上400μm未満,400μm以上500μm未満,500μm以上のグループにグループ分けして、それぞれのグループの異物8の個数をカウントする。この際、ソフトウェアにより、画像データから異物8を識別して個数を測定し、異物8の慣性主軸等から長径等を異物8の大きさとして測定する。また、これらの100cm
2あたりの個数を1m
2あたりの個数にソフトウェアで自動的に換算する。さらに、500μm以上の異物の個数からJACAの指針No.42に準拠した表面清浄度としてspcクラスを自動的に求める。さらに、これらのデータを自動的に表計算ソフトを用いて表した表として出力しても良い。
【0033】
図4では、各サイズの異物個数と換算値を示す。異物長径サイズ300μm以上の個数38個/100cm
2は、測定できた異物総数を示す。400μm以上の個数8個/100cm
2は300μm以上の異物個数より300μm以上400μm未満の異物個数を差し引いた個数である。
【0034】
最下段は500μmを超える異物の個数と1m
2当たりの換算値を示す。
JACA指針No42では異物サイズが500μmを超える異物は区別する。500μmを超える異物は粗大粒子として扱われ、表記方法も表面M表示として特別な表記方法がある。最下段の表記事例がそれに当たる。“Msurface(300;>500μm);粘着フィルム;スキャナー”では、”300”は表面に付着した500μmを超える異物個数を示す。”粘着フィルム”は異物付着表面、スキャナーは測定方法を示す。
【0035】
粘着シート1を読み込むスキャナー2の解像度は、測定する必要のある異物8の最小の大きさによって定まり、必要な解像度を備えるスキャナー2を用いて粘着シート1の読み込みを行う。一般的にクリーンルームの清浄度を測定する際には、300μm以上の異物8を検出する必要がある。そのため、最低84dpi以上(25.4mm/84dots=300μm)の解像度を持つスキャナー2を使う必要がある。これより300μmの異物を検出することができる。もちろん、異物の寸法精度を上げる為、解像度は高いほうが良い。そのため、コスト及び製品普及度を考慮して、600〜1200dpiの解像度を持つスキャナー2を使うことが実用的である。600〜1200dpiの解像度で読み込むことができれば、100μm程度の異物8の検出を行うこともできる。
【0036】
このように、異物8を粘着シート1に採取し、粘着シート1をスキャナー2で読み取って、異物8を画像データとして取り込み、画像データからソフトウェアで自動的に異物を認識,計測,データ処理することにより、容易かつ正確に異物の検出および計測を行うことができる。
【0037】
なお、上記説明では、クリーンルームの清浄度の測定として、沈降性粒状汚染物質の計測を行う表面清浄度を測定する場合を例に説明したが、その他、浮遊粒子状汚染物質の計測等、様々な汚染物質の計測に用いることができる。
【0038】
また、スキャナー2としては、粘着シート1を読み取り部に載置して粘着シート1全体を一括して読み取るフラットベッドスキャナーを用いても良いし、粘着シート1を読み取り部に挿入して、粘着シート1の端から順次読み取っていく給紙式スキャナーを用いても良く、スキャナー2の読み取り形式は、各実施の形態においても任意である。
【0039】
また、前述のように、粘着シート1の採取面は、測定する異物の色に応じて、白,黒等の濃淡を使い分けることが好ましい。採取面の色を異物の色の反対色にすることにより、画像処理における異物の検出精度を向上させることができる。
【0040】
また、保護フィルム6を貼り付けることにより、異物8の採取後に、誤ってさらに異物が付着することを防止することができる。ただし、保護フィルム6に皺が入ると、スキャナー2での読み取りの際に、皺のために異物8の検出に誤差が生じる場合がある。そのため、保護フィルム6を通気性のあるフィルムとし、保護フィルム6の貼り付けの際に空気抜きを容易に行うことができる構成とし、皺の発生を抑制することもできる。例えば、保護フィルム6に異物8等の検体より十分に小さく、空気を通すことのできる穴を設けることができ、穴の大きさは、例えば、10μm〜30μmにすることが好ましい。また、このような通気性を備える保護フィルムは、実施の形態2および実施の形態3の検体保持部に適用することもできる。
【0041】
また、粘着シート1上に異物8が付いたままスキャナー2で読み取ると、粘着剤と異物8とがスキャナー2に接触し、粘着剤と異物8とがスキャナー2に転移して、スキャナー2が汚れて使えなくなったり、異物8が紛失してしまう可能性がある。これを防ぐためにも、測定後に異物8を封止する保護フィルム6が有用である。この保護フィルム6によりスキャナー2に粘着剤を付けず、また異物8を転移させずにスキャナー2で粘着シート1を読み取ることができる。
【0042】
また、異物8は測定後、異物8を分析する場合があり、粘着シート1から異物8を取り出すことがある。そのため、粘着シート1の採取面の粘着力は、異物8が十分に付着することができると共に、容易に取り出すことができる程度にすることが好ましい。例えば、粘着シート1の採取面の粘着力は、JIS Z 0237 8項[粘着力]に準拠して、初期:0.03〜0.05N/25mm,永久:0.04〜0.06N/25mmとすることが好ましい。ここで、JIS Z 0237 8項[粘着力]において粘着力は、ロードセル型引っ張り試験機にて剥離速度300m/minで剥がした時の抵抗値の平均とする。なお、試料幅:25mm,初期接着力:貼付け後20〜40分以内の粘着力,永久接着力:貼付け24時間後の粘着力とする。
【0043】
また、粘着シート1には、固有認識、偽造防止として、ロゴ、会社名、2次元コード、バーコード、印刷による暗号文字、等を表示することができる。これによりソフトウェアが粘着シート1を特定できる。粘着シート1を特定することにより、粘着シート1の偽造防止になる。また、登録された粘着シート1であると確認できない粘着シート1は異物測定を行わないようにできる。さらに、粘着シート1を固有認識することにより、あらかじめ定められたデータ処理を行うようにできる。例えば、上記例では異物8を、大きさが300μm以上400μm未満,400μm以上500μm未満,500μm以上の物にグループ分けしたが、特定の粘着シート1に対しては、より広範囲、あるいはより細かなグループにグループ分けするようなデータ処理をおこなうように設定にすることもできる。また、表の形式や使用する表計算ソフトを個別に設定することもできる。この場合、ソフトウェアに、粘着シート1を確認するコード(暗証コード、製品名、会社名、ロゴ、2次元コード等)を識別し、それに応じて動作を決定する機能を設ける必要がある。
【0044】
また、粘着シート1は、格子等が描かれていても良いが、ソフトウェアによる画像処理を自動的に行うために、無模様一色であることが好ましい。格子等を描く場合は、ソフトウェアに格子等の情報をあらかじめ設定しておき、画像処理の際に格子等を除外した画像情報を処理するようにする。このように、粘着シート1は無模様一色であることがソフトウェアでの処理の際には好ましいが、目視での確認作業を行う場合には格子等が付加されている方が便利な場合がある。よって、
図6に示すように、粘着シート1の画像に格子9等の画像を重ね合わせて表示し、目視観察するようにしても良い。すなわち、無模様一色の粘着シート1では、目視での確認が困難であるため、粘着シート1を画像で確認すると共に、画像に格子9等の画像を重ね合わせることにより、異物8の位置や大きさを目視でも確認しやすくすることができる。
(実施の形態2)
次に、
図1,
図7を用いて、培地フィルムを用いた培養物の検出方法を本発明の検出対象物の測定方法の実施の形態として説明する。
【0045】
図7は実施の形態2における培地フィルムの構成を示す図である。
本実施の形態では、
図7に示すように、検体保持部として培地フィルム10を用い、検出対象物として培地フィルム10で培養された培養物11を検出する。
【0046】
まず、培地フィルム10に検体12を付着させ(
図7(a))、所定時間培養して培養物11を得る(
図7(b),
図1ステップ1に対応)。次に、培地フィルム10をスキャナーで読み込み、培養物11の画像データを取得する(
図1ステップ2に対応)。次に、ソフトウェアを用いて、所定のしきい値で画像データを2値化処理して培養物11を自動的に検出する(
図1ステップ3に対応)。次に、検出した培養物11について、ソフトウェアで面積や長径や短径等の大きさを測定し、場合によっては培養物11の個数を計測する(
図1ステップ4,5に対応)。ここで、長径の測定は実施の形態1と同様の方法で行うことができる。また、面積は、例えば2値化処理により培養物11が存在するとされた画素の数と各画素の面積とから、培養物11の面積を概算することができる。面積等や個数の測定は、一定時間ごとにスキャナーでの読み取りと測定を繰り返し、経時的な変化を測定しても良い。さらに、ソフトウェアで、測定した結果に対して必要なデータ処理を行っても良い(
図1ステップ6に対応)。
【0047】
以上の説明では、培地フィルム10に培養物11を培養する場合を例に説明したが、培地フィルム10に代わり、シャーレに培養した培養物11をフラットベッドスキャナー等で読み込んでも良い。
【0048】
このように、培養物11を培養した培養シート10をスキャナーで読み込み、ソフトウェアで自動的に、画像処理し、所定の測定を行うことにより、容易かつ正確に培養物11の検出および計測を行うことができる。
(実施の形態3)
次に、
図1,
図8を用いて補虫シートを用いた虫の検出方法を本発明の検出対象物の測定方法の実施の形態3として説明する。
【0049】
図8は実施の形態3における補虫シートの構成を示す図である。
本実施の形態では、
図8に示すように、検体保持部として補虫シート13を用い、検出対象物として補虫シート13で捕獲された虫14を検出する。
【0050】
まず、所定の条件下に表面に粘着部15を設けた補虫シート13を所定の時間設置して、粘着部15に虫14を捕獲する(
図1ステップ1に対応)。次に、補虫シート13をスキャナーで読み込み、虫14の画像データを取得する(
図1ステップ2に対応)。次に、機器に格納されたソフトウェアを用いて、所定のしきい値で画像データを2値化処理して虫14を自動的に検出する(
図1ステップ3に対応)。次に、検出した虫14について、ソフトウェアで大きさを測定し、虫14の個数を計測する(
図1ステップ4,5に対応)。ここで、虫14の大きさとして虫14における長径の長さを測定する場合は、実施の形態1と同様の方法で大きさを測定することができる。また、大きさとして面積を測定する場合は、例えば、実施の形態2と同様に虫14が存在するとされた画素の数と各画素の面積とから、虫14の面積を概算することができる。さらに、ソフトウェアで、測定した結果に対して必要なデータ処理を行っても良い(
図1ステップ6に対応)。
【0051】
なお、虫14としては、例えば、大きさが1mmに満たないショウジョウバエ等様々な虫を対象とすることができる。また、特に大きさや種類に限定されず、大きさに応じて補虫シート13の大きさ、スキャナーの解像度を設定すれば良い。
【0052】
また、検体が虫14の場合、特にスキャナーへの付着等の影響が大きくなる。よって、上述のように、検体保持部である補虫シート13に対し、虫14の捕獲後、スキャナーでの読み込みの前に、保護フィルムを設けることが特に好ましい。
【0053】
このように、虫14を採取した補虫シート13をスキャナーで読み込み、ソフトウェアで自動的に、画像処理し、所定の測定を行うことにより、容易かつ正確に虫14の検出および計測を行うことができる。
(実施の形態4)
上記各実施の形態では、検体の測定として、大きさや個数を測定していたが、呈色した検体の色を測定してもよい。
【0054】
図9は実施の形態4における検体の検査をする方法を説明する図である。
例えば、試薬16が収容された検査容器17に検体18を注入し、所定の時間保持した後、検体18により試薬16が呈色されるので、検査容器17をスキャナーで読み取り、ソフトウェアで自動的に試薬16の色を測定して検体18の特性等を検査する(
図9(a))。あるいは、リトマス試験紙等の試薬を染み込ませた試験紙19に検体18を塗布し、試験紙19をスキャナーで読み取り、試験紙19の色をソフトウェアで自動的に測定することにより、検体18の特性等を検査する(
図9(b))。例えば、水を検体18とし、水に含まれる特定の物質の濃度を試薬16の呈色度合により測定したり、リトマス試験紙により水が酸性であるかアルカリ性であるかを調べたり、試験紙19により、水に特定の成分が含まれているかどうかを測定したりすることができる。
【0055】
ソフトウェアによる色の検出は、まず、検査容器17や試験紙19をスキャナーで読み込んで試薬16や試験紙19の画像データを取得する。次に、この画像データをソフトウェアが格納されたPC等の機器に格納する。その後、画像データをソフトウェアで解析して、検体18の色をRGBやCIE L*a*b*等の所定の色空間で識別する。この時、検出すべき呈色した色を色空間の範囲としてあらかじめ設定しておき、識別した検体の色空間があらかじめ設定した範囲に含まれるか否かで、検体18の所定の特性を検査する。
【0056】
このように、検体を塗布した試薬16や試験紙19をスキャナーで読み込み、ソフトウェアで自動的に、画像処理し、所定の測定を行うことにより、容易かつ正確に検体の特性を検査することができる。
(実施の形態5)
また、本実施の形態では、検査管の目盛りを自動的に読み取る実施の形態について、
図10を用いて説明する。
【0057】
図10は実施の形態5における検査管を測定する方法を説明する図である。
図10に示すように、内壁に試薬が塗布された管状の検査管20に検体21が含まれるガスを注入し、所定の時間保持した後、検体21により試薬が呈色されるので、検査管20をスキャナーで読み取り、ソフトウェアで自動的に呈色された試薬の長さを測定して検体21のガス中の濃度を測定する。検査管20は少なくとも一部がガラス等の透光性の部材で形成され、外部から試薬が塗布された領域の目盛り22を読み取れるような構成である。例えば、特定の成分の検体21が含まれるガスを検査管21に注入し、機器に格納されたソフトウェアにより、自動的に、検査管20に設けられた目盛り22を用いて試薬により呈色された長さを読みとることにより、ガス中の検体21の濃度を検出する。
【0058】
ソフトウェアによる目盛り22の読み取りは、まず、検査管20をスキャナーで読み込んで試薬の呈色と目盛り22の画像データを取得する。次に、この画像データをソフトウェアが格納されたPC等の機器に格納する。その後、画像データをソフトウェアで2値化することにより、目盛り22と呈色された部分との位置関係を明らかにする。
【0059】
つまり、画像データの色を測定し、画素単位で所定のしきい値で呈色されている部分と呈色されていない部分に分別する。そして、目盛り22の間隔において、呈色されているとされた画素の数が呈色されていないとされた画素の数より多い場合、その間隔が呈色されると判断される。具体的には
図10(b),(c)に示すように、呈色領域の境界は目盛り2〜4の間隔にある。
図10(b)の場合、目盛り3と4との間隔において、呈色された画素数は呈色されていない画素数より多いため、目盛り3と4との間隔は呈色されているとして、呈色された試薬の長さを4と認識する。
図10(c)の場合、目盛り2と3との間隔において、呈色された画素数は呈色されていない画素数より多いため、目盛り2と3との間隔は呈色されているとし、目盛り3と4との間隔において、呈色された画素数は呈色されていない画素数より少ないため、目盛り3と4との間隔は呈色されていないとして、呈色された試薬の長さを3と認識する。
【0060】
このように、検査管20をスキャナーで読み込み、ソフトウェアで自動的に、画像処理し、呈色された試薬の長さを測定することにより、容易かつ正確に検体の濃度を検査することができる。