特許第6124151号(P6124151)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124151
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】重合ロジン化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 69/753 20060101AFI20170424BHJP
   C07C 67/343 20060101ALI20170424BHJP
   C09F 1/04 20060101ALI20170424BHJP
   C08G 63/54 20060101ALI20170424BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20170424BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20170424BHJP
【FI】
   C07C69/753 FZAB
   C07C67/343
   C09F1/04
   C08G63/54
   !C07B61/00 300
   !C08L101/16
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-531641(P2014-531641)
(86)(22)【出願日】2013年8月20日
(86)【国際出願番号】JP2013072209
(87)【国際公開番号】WO2014030652
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-183262(P2012-183262)
(32)【優先日】2012年8月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義昌
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】畠田 康平
(72)【発明者】
【氏名】竹内 秀治
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−107175(JP,A)
【文献】 特開2011−026569(JP,A)
【文献】 特表2006−510690(JP,A)
【文献】 特開2006−160806(JP,A)
【文献】 特開2005−336424(JP,A)
【文献】 特開2000−212493(JP,A)
【文献】 特開平06−240195(JP,A)
【文献】 特公昭47−045774(JP,B1)
【文献】 特開2011−162635(JP,A)
【文献】 Journal of Natural Products,1991年,54(1),p.247-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 69/00
C07C 67/00
C08G 63/00
C09F 1/00
C08L 101/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロジン酸の二量体成分(A)の含有量が80重量%以上であり、かつ、前記ロジン酸の二量体成分(A)中の、一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはアビエチン酸、ネオアビエチン酸、およびパラストリン酸からなる群より選ばれる1種以上の共役二重結合を有するロジン酸の二量体残基、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる二官能基含有ロジン酸の二量体成分(a1)の含有量が80重量%以上であることを特徴とする重合ロジン組成物
【請求項2】
前記ロジン酸の二量体成分(A)中の、一般式(1´):ROOC−X−COOR(式中、Xはアビエチン酸、ネオアビエチン酸、およびパラストリン酸からなる群より選ばれる1種以上の共役二重結合を有するロジン酸の二量体残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされるジカルボン酸エステル含有ロジン酸の二量体(a10)の含有量が80重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の重合ロジン組成物
【請求項3】
ロジン酸の三量体以上の成分(B)、一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を一つ有する一官能基含有ロジン酸の二量体成分(a2)及び一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を有しないロジン酸の二量体成分(a3)を合わせた含有量が20重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重合ロジン組成物
【請求項4】
前記一般式(1´):ROOC−X−COOR(式中、Xはアビエチン酸、ネオアビエチン酸、およびパラストリン酸からなる群より選ばれる1種以上の共役二重結合を有するロジン酸の二量体残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされるジカルボン酸エステル含有ロジン酸の二量体(a10)が、一般式(1´´):CHOOC−X−COOCH(式中、Xはアビエチン酸、ネオアビエチン酸、およびパラストリン酸からなる群より選ばれる1種以上の共役二重結合を有するロジン酸の二量体残基を表す)で表わされるジメチルエステル基含有ロジン酸の二量体を含有することを特徴とする請求項2又は3記載の重合ロジン組成物
【請求項5】
一般式(3):X−COOR(式中、Xアビエチン酸、ネオアビエチン酸、およびパラストリン酸からなる群より選ばれる1種以上の共役二重結合を有するロジン酸に由来するロジンエステル残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされるロジンエステルを含む原料を、重合ロジン製造用触媒を用いて重合することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重合ロジン組成物の製造方法。
【請求項6】
前記重合ロジン製造用触媒として硫酸、ギ酸、酢酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、及び塩化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることを特徴とする請求項5記載の重合ロジン組成物の製造方法。
【請求項7】
前記原料中の前記ロジンエステルの純度が80重量%以上であり、かつ前記ロジンエステル中のアビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸成分から選ばれる少なくとも1つの樹脂酸に由来するロジンエステルの総量が40重量%以上であることを特徴とする請求項5又は6記載の重合ロジン組成物の製造方法。
【請求項8】
少なくともジカルボン酸成分とジアルコール成分を反応させるポリエステル樹脂の製造方法であって、前記ジカルボン酸成分が、請求項1〜4のいずれかに記載の重合ロジン組成物を含有することを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3000〜400000であり、重量平均分子量が3000〜400000であることを特徴とする請求項8記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記ポリエステル樹脂の熱分解温度が350℃以上であることを特徴とする請求項8又は9記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は重合ロジン化合物及びその製造方法に関する。また、本発明の重合ロジン化合物は、従来、重合ロジンが適用された用途に適用することができる。また、本発明の重合ロジン化合物は、ポリエステル樹脂等の各種ポリマーにおけるジカルボン酸成分として用いることができる。重合ロジン骨格を主骨格に組み入れたポリエステル樹脂は、例えば、トナー用樹脂、フイルム樹脂、塗料樹脂等に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
重合ロジンはガムロジン、ウッドロジン又はトール油ロジン等のロジン類を重合させて得られる樹脂であり、重合ロジンや重合ロジンエステル化合物等の誘導体は、顔料分散性、相溶性、粘・接着力などの特性に優れているため、印刷インキ、塗料、粘・接着剤、フラックスなどの広範な分野においてバインダーや添加剤として賞用されている。
【0003】
従来から、重合ロジンの製造方法としては、様々な方法が検討されてきた。例えば、触媒としてペンダントスルホン酸基を有する高分子を触媒として用いる方法(特許文献1参照)や、脂肪族スルホン酸を触媒として用いる方法(特許文献2参照)などが提案されている。また、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等の酸性化合物を触媒として用いて、トルエン、キシレン等の有機溶剤中でロジン酸の重合反応を行い、反応が終了した後、触媒、溶剤及び未反応のロジン類を除去することにより、重合ロジンを得る方法がよく知られている。
【0004】
ところで、近年地球環境保護の観点から、資源の脱石油化が検討され、様々な天然資源が注目されている。松脂から採取できるロジンは天然物由来の成分であり、アビエチン酸、ピマル酸等の樹脂酸を含むものである。その樹脂酸のうちアビエチン酸を高分子材料として利用することが知られている。例えば、アビエチン酸を多価アルコールと重合させた重合体が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4414146号明細書
【特許文献2】特開2006−45396号公報
【特許文献3】特開平6−33395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の重合体は、高分子量の線状重合体とはならない。これは、アビエチン酸が1官能のモノカルボン酸であるため主骨格には組込まれずポリマーの末端あるいは主鎖にグラフトした形になり、ポリマー中に多く導入することができないためである。そのため、この重合体はロジンの特徴である耐熱性等の機能向上に十分に活かされない。
【0007】
また、市販の重合ロジンを用いて高分子量の線状重合体を得ることも困難であった。これは市販されている重合ロジンは、55〜80重量%のロジン二量体成分(ロジン二量体成分中における、カルボキシル基を2つ有するロジン二量体成分の含有量は通常27.5〜40重量%)と、45〜20重量%のモノマー成分であるロジン酸の混合物であるためであり、高分子量の線状重合体を得るには更なるロジン二量体成分の高濃度化が必要であった。ロジン成分の比率を高めるためには、未反応のロジン酸を減圧留去する方法が知られているが、この方法によって得られたロジン二量体成分の含有比率を高めた重合ロジンを用いても、高分子量の線状重合体は得られなかった。
【0008】
本発明は、ロジン二量体成分の含有量が高い重合ロジン化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、前記ロジン二量体成分の含有量が高い重合ロジン化合物を用いたポリエステル樹脂の製造方法および当該製造方法により得られたポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねたところ、ロジンをポリマーの主骨格に組み入れ、線状重合体を得るために、ロジンの分子構造の中に二つ以上の反応する官能基を導入することを考えた。そして、市販の重合ロジンには、ロジン酸が3つ以上結合した三量体以上の成分、ロジン酸が2つ結合し、かつ、カルボキシル基を2つ有するロジン二量体成分(以下、「ジカルボン酸ロジン二量体」という)及び、重合ロジンの製造中に副反応としてジカルボン酸ロジン二量体の脱炭酸が進行し、カルボキシル基が1つ脱離したロジン二量体成分(以下、「モノカルボン酸ロジン二量体」という)及びカルボキシル基が2つ脱離したロジン二量体成分(以下、「二量体分解物」という)が含まれていることを見出した。さらに反応後に未反応のロジン酸を減圧留去すると、脱炭酸によってモノカルボン酸ロジン二量体やロジン酸の三量体以上の成分が増加することを見出した。その結果、これらの重合ロジンを使用するとモノカルボン酸ロジン二量体がポリマーの末端を封止してしまうため分子量が伸びないことを見出した。一方、市販の重合ロジンをエステル化したものは熱安定性が良く、エステル化反応後に、重合ロジン中の未反応のモノマー(ロジン酸)から得られるロジンエステル単量体を減圧留去しても脱炭酸によってモノカルボン酸ロジン二量体又はそのエステル化物が増加しないことを見出した。しかし、ロジン酸やロジンエステルの三量体以上の高分子量体や前記モノカルボン酸ロジン二量体又はそのエステル化物は、減圧留去や再結晶等では除去することが困難であった。従って、高分子量の線状重合体を得るためには脱炭酸を抑制し、かつ選択的にカルボキシル基又はカルボン酸エステルを維持した状態でロジン二量体を合成しなければならなかった。そのため、出発原料を特定のロジン化合物としてロジンエステルを使用することで、ロジンが2つ結合して二量化し、かつ、官能基(カルボキシル基及び/又はカルボン酸エステル基)を2つ有するロジン二量体成分(以下、「二官能基含有ロジン二量体」という)を選択的に合成し、重合ロジン化合物の製造中に副反応として二官能基含有ロジン二量体の脱炭酸が進行し、前記モノカルボン酸ロジン二量体又はそのエステル化物や二量体分解物の生成を低減させることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明1は、ロジン二量体成分(A)の含有量が80重量%以上であり、かつ、前記ロジン二量体成分(A)中の、一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体残基、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有量が80重量%以上である重合ロジン化合物である。
【0012】
本発明2は、本発明1において、前記ロジン二量体成分(A)中の、一般式(1´):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされるジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)の含有量が80重量%以上の重合ロジン化合物である。
【0013】
本発明3は、本発明1又は2において、ロジン三量体以上の成分(B)、一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を一つ有する一官能基含有ロジン二量体成分(a2)及び一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を有しないロジン二量体成分(a3)を合わせた含有量が20重量%以下である重合ロジン化合物である。
【0014】
本発明4は、本発明2又は3において、前記一般式(1´):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされるジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)が、一般式(1´´):CHOOC−X−COOCH(式中、Xはロジン二量体残基を表す)で表わされるジメチルエステル基含有ロジン二量体を含有する重合ロジン化合物である。
【0015】
本発明5は、一般式(3):X−COOR(式中、Xはロジン残基、Rは水素、R又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされるロジンエステルを含む原料を、重合ロジン製造用触媒を用いて重合する本発明1〜4の重合ロジン化合物の製造方法である。
【0016】
本発明6は、本発明5において、前記重合ロジン製造用触媒として硫酸、ギ酸、酢酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、及び塩化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる重合ロジン化合物の製造方法である。
【0017】
本発明7は、本発明5又は6において、前記原料中の前記ロジンエステルの純度が80重量%以上で、前記ロジンエステル中のアビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸成分から選ばれる少なくとも1つの樹脂酸に由来するロジンエステルの総量が40重量%以上であることを特徴とする請求項4又は5記載の重合ロジン化合物の製造方法。
【0018】
本発明8は、少なくともジカルボン酸成分とジアルコール成分を反応させるポリエステル樹脂の製造方法であって、前記ジカルボン酸成分が、請求項1〜4のいずれかに記載の重合ロジン化合物を含有するポリエステル樹脂の製造方法である。
【0019】
本発明9は、本発明8において、前記ポリエステル樹脂の数平均分子量が3000〜400000であり、重量平均分子量が3000〜400000であるポリエステル樹脂の製造方法である。
【0020】
本発明10は、本発明8又は9において、前記ポリエステル樹脂の熱分解温度が350℃以上であるポリエステル樹脂の製造方法。
【0021】
本発明11は、本発明8〜9の製造方法により得られたポリエステル樹脂である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ロジン二量体成分(A)の含有量が高く、かつ、ロジン二量体成分(A)中の二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有量の高い重合ロジン化合物を得ることができる。本発明の重合ロジン化合物は、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)を多く含有する。そのため、本発明の重合ロジン化合物をジカルボン酸成分として用いて得られたポリエステル樹脂は、従来の重合ロジンをジカルボン酸成分として用いて得られたポリエステル樹脂よりも、ロジン二量体骨格をポリマーの主骨格に組み入れることができ、また高分子量(数平均分子量、重量平均分子量が大きい)のポリエステル樹脂を製造することができる。かかる本発明のポリエステル樹脂の製造方法によれば、ガラス転移温度、熱分解温度が向上し、耐水性、耐熱性に優れた高分子量のポリエステル樹脂を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の重合ロジン化合物は、ロジン二量体成分(A)の含有量が80重量%以上であり、かつ、ロジン二量体成分(A)中の、一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体残基、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有量が80重量%以上である。なお、本発明において、ロジン二量体残基とはロジン二量体から前記官能基(ROOC−)を二つ除いた部分のことをいう。
【0024】
上記ロジン二量体成分(A)は、ロジンが二量体となった構造を有する化合物である。上記ロジン二量体成分(A)としては、上記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)以外に、一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を一つ有する一官能基含有ロジン二量体成分(a2)、一般式(2):ROOC−(式中、Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされる官能基を有しないロジン二量体成分(a3)が挙げられる。一官能基含有ロジン二量体成分(a2)は、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)において、前記官能基(ROOC−)の一つが脱離(脱炭酸)したものである。官能基を有しないロジン二量体成分(a3)は、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の前記官能基(ROOC−)の二つの脱離(脱炭酸)が進行した分解物である。本発明の重合ロジン化合物は、前記成分(a1)、成分(a2)及び成分(a3)を含有するロジン二量体成分(A)を、合計量として80重量%含有するのが、ポリエステル樹脂等の高分子量体を合成する点で好ましく、さらには85重量%以上であるのが好ましく、さらには90重量%以上であるのが好ましい。なお、本発明の重合ロジン化合物は、ロジン二量体成分(A)の他に、ロジン三量体以上の成分(B)、未反応のロジンエステル、ロジン酸(樹脂酸)を含んでいてもよい。ロジン三量体以上の成分(B)としては、ロジン酸(樹脂酸)の三量体以上の成分やロジン酸(樹脂酸)の三量体以上の成分のエステル化物が挙げられる。
【0025】
上記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)は、ロジンが二量体となり、二量体中に前記官能基(ROOC−)を2つ有する構造であれば特に限定されない。二官能基含有ロジン二量体成分(a1)は、例えば、下記一般式(1A)、一般式(1B)の構造を有する(Rは水素、又は炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)。
【化1】
【化2】
【0026】
前記官能基(ROOC−)は、カルボキシル基及び/又はカルボン酸エステル基であり、前記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)における二つの官能基は、両者ともにカルボン酸エステル基の場合(a10)、一方がカルボキシル基であり他の一方がカルボン酸エステル基の場合(a11)、両者ともにカルボキシル基の場合(a12)、がある。一方、前記二官能基ロジン二量体成分(a1)中の前記(a11)及び(a12)は、(a10)のカルボン酸エステル基が加水分解されることにより得られるものである。そのため、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)は、適宜に加水分解することにより、前記(a11)、(a12)のカルボキシル基を有するロジン二量体として含有することもできる。
【0027】
前記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)は、前記官能基(ROOC−)が、両者ともにカルボン酸エステル基である、ジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)が好ましい。ジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)は、一般式(1´):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体残基、は炭素数1〜5のアルキル基又はベンジル基を表す)で表わされる。
【0028】
前記ロジン二量体成分(A)中における、前記ジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)の含有量は80重量%以上であることが好ましい。また、ジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)は、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)中の80重量%以上であるのが好ましく、さらには90重量%以上、さらには95重量%以上、さらには99重量%以上であるのが好ましい。さらには、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)は全てをジカルボン酸エステル含有ロジン二量体(a10)とすることができる。
【0029】
また、本発明の重合ロジン化合物は、上記ロジン二量体成分(A)中の二官能基含有ロジン二量体成分(a1)成分の含有量が80重量%以上である。前記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有量は85重量%以上であるのが好ましく、さらには90重量%以上であるのが好ましく、100重量%であるのが好ましい。
【0030】
一方、本発明の重合ロジン化合物は、前記ロジン三量体以上の成分(B)、前記一官能基含有ロジン二量体成分(a2)及び前記官能基を有しないロジン二量体成分(a3)を合わせた含有量が20重量%以下であることが好ましい。前記合計含有量は15重量%以下であるのが好ましく、さらには10重量%以下であるのが好ましい。これにより、不規則に重合することによるゲル化を抑制し、線状重合体(ポリエステル樹脂)を得ることができる。本発明の重合ロジン化合物において、ロジン三量体以上の成分(B)は15重量%以下であるのが好ましく、さらには10重量%以下であるのが線状重合体(ポリエステル樹脂)を合成する点で好ましい。前記一官能基含有ロジン二量体成分(a2)は、15重量%以下であるのが好ましく、さらには5重量%以下であるのが、高分子量体のポリエステル樹脂を合成する点で好ましい。前記官能基を有しないロジン二量体成分(a3)は、10重量%以下であるのが好ましく、さらには5重量%以下であるのが未反応物を低減させる点で好ましい。
【0031】
本発明の重合ロジン化合物は、一般式(3):X−COOR(式中、Xはロジン残基、Rは炭素数1〜5のアルキル基もしくはベンジル基を表す)で表わされるロジンエステルを含む原料を、触媒を用いて重合後、精製することにより得られる。なお、前記ロジン残基とはロジンエステルから前記官能基(ROOC−)を除いた部分のことをいう。原料として使用されるロジンエステルとしては、天然ロジンのエステルが挙げられる。天然ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。これらは、蒸留等の精製をして使用することで、得られる重合ロジン化合物の色調を改善することができる。
【0032】
前記原料中の前記ロジンエステルの純度は80重量%以上であるのが好ましく、さらには90重量%以上であることが色調改善の点で好ましい。また、本発明の重合ロジン化合物を得る観点からは、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸等の共役二重結合を有する樹脂酸に由来するロジンエステルを多く含有することが好ましい。前記ロジンエステル中のアビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸成分から選ばれるいずれかの少なくとも1つの樹脂酸に由来するロジンエステルの総量が40重量%以上であること好ましく、さらには50重量%以上であることが、得られる重合ロジン化合物中のロジン二量体成分(A)の収量向上の点で好ましい。
【0033】
上記ロジンエステルには、ロジンメチルエステル、ロジンエチルエステル、ロジンブチルエステル、ロジンペンチルエステル等の炭素数1〜5のロジンエステルやロジンベンジルエステル等が含まれる。ロジンメチルエステルを使用した場合には、反応後に未反応のロジンエステルを減圧留去しやすい点で好ましい。従って、前記二官能基含有ロジン二量体成分(a1)としてはジメチルエステル基含有ロジン二量体を含有する重合ロジン化合物が好ましい。ジメチルエステル基含有ロジン二量体は、上記一般式(1A)、一般式(1B)におけるRがメチル基となるものであり、一般式(1´´):CHOOC−X−COOCH(式中、Xはロジンエステル二量体残基を表す)とも表すことができる。
【0034】
上記ロジンエステルは、天然ロジン及び/又はその精製物と、1価のアルコールをエステル化反応させることにより得られる。エステル化は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、天然ロジンに含まれるロジン酸(樹脂酸)を酸塩化物(ロジン酸クロライド)として、アルコールを反応させる方法、あるいは加圧下でロジン酸とアルコールを一定時間反応させた後、アルコールと水の混合溶液を除去し、新しいアルコールを仕込み、繰り返し反応させる方法などが挙げられる。なお、ロジン酸からロジン酸クロライドに誘導する方法としては、塩化チオニル法を採用することが好ましい。使用するアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、i−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール等の炭素数1〜5のアルコール類やベンジルアルコールなどを用いることができる。
【0035】
上記ロジンエステルの重合方法は、ロジンエステルを加熱反応させて行う。重合反応条件は、特に限定されるものではなく、従来公知の条件から適宜に選択して決定される。例えば、ロジンエステルを触媒の存在下、必要に応じて有機溶媒を用いて重合させればよい。
【0036】
上記触媒としては、重合ロジンの製造に用いられる公知の触媒を用いることができ、具体例としては、硫酸、ギ酸、酢酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、ポリスチレンスルホン酸やポリビニルスルホン酸又はスルホン酸型官能基を有するフッ素系ポリマー等のペンダントスルホン酸基を有する高分子、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン、三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素ジメチルエーテル錯体又は三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等の三フッ化ホウ素誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。触媒としては、硫酸、ギ酸、リン酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を有する固体酸、及び塩化亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが反応後の触媒除去のしやすさの点で好ましい。触媒の使用量としては、ロジンエステル100重量部に対して0.1〜90重量部が好ましい。副反応を抑制する点で好ましくは、1〜20重量部である。
【0037】
上記有機溶媒としてはロジンエステルの重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素:ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素:メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系炭化水素:酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系炭化水素:四塩化炭素、二塩化エチレン、トリクロルエタン、テトラトリクロルエタン等のハロゲン系炭化水素:酢酸、プロピオン酸、酪酸、及びこれらの無水物、ギ酸、クロル酢酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸などを例示できる。これらは1種単独で、又は2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。ギ酸、酢酸を有機溶媒として用いる場合には、ギ酸、酢酸は触媒としても機能するため、他の触媒を用いること不要である。なお、ギ酸、酢酸を触媒とともに有機溶媒として用いる場合には、ギ酸、酢酸の割合は下記有機溶媒の割合が適用される。本発明では、使用溶媒の回収再利用の容易性の観点から、有機溶媒のうちでも芳香族系炭化水素又は脂肪族炭化水素が好ましく、特にキシレンやヘプタン、オクタンが最適である。本発明では、当該有機溶媒の使用量は特に限定されないが、通常は反応系内の仕込みロジンエステル100重量部に対し5〜900重量部の範囲とされ、更に好ましくは10〜500重量部である。
【0038】
上記重合の反応条件としては、特に限定されないが、例えば温度0〜200℃程度、好ましくは40〜200℃で、0.5〜24時間程度反応させる方法等が挙げられる。重合反応が終了した後、必要に応じて、重合反応物から使用した溶剤、触媒、未反応ロジンエステル及び分解物を除去することにより、重合ロジン化合物を得ることができる。触媒除去方法としては、例えば水洗、アルカリ中和、ろ過等を採用できる。未反応ロジンエステルや分解物の除去方法としては、減圧蒸留を採用できる。減圧蒸留は温度200〜290℃、減圧度60〜8000Paの条件で実施することが好ましい。
【0039】
本発明の重合ロジン化合物は、二官能基含有ロジン二量体成分(a1)を多く含有しているため、ポリエステル樹脂の製造におけるジカルボン酸成分として有用である。本発明のポリエステル樹脂(以下「ロジンポリエステル」という)は、例えば、少なくともジカルボン酸成分とジアルコール成分を反応させることにより得られる。本発明のポリエステルの製造方法では、前記ジカルボン酸成分として、本発明の重合ロジン化合物を用いる。
【0040】
前記ジカルボン酸成分としては、重合ロジン化合物以外のその他のジカルボン酸成分を併用してもよい。併用可能なジカルボン酸成分としては、例えば、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。その他、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸などの不飽和二塩基酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族二塩基酸;ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、オクテニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1〜20のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸;(メタ)アクリル酸付加ロジン等があげられる。
【0041】
前記ジカルボン酸成分における本発明の重合ロジン化合物の割合は、特に制限されないが、熱分解温度の向上の点から、5〜95重量%であるのが好ましく、さらには20〜90重量%であるが好ましい。
【0042】
前記ポリエステル樹脂の製造にあたっては、前記ジカルボン酸成分以外の酸成分を用いることができる。例えば、必要に応じて、1価カルボン酸や3価以上のカルボン酸類(該カルボン酸無水物、該低級エステルを含む)が使用できる。
【0043】
前記の1価カルボン酸としては、脂肪酸、単官能ロジン類、t−ブチル安息香酸などが挙げられる。1価カルボン酸の使用量は、通常は全カルボン酸成分のうち10モル%以下、好ましくは5モル%以下が好ましい。
【0044】
前記の3価以上のカルボン酸類としては、例えば、1,2,4−ブタントリカルボン酸、トリメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、マレイン化ロジン、フマル化ロジンなど、およびこれらの酸無水物や低級エステルなどが挙げられる。3価以上のカルボン酸類の使用量は、通常は全カルボン酸成分のうち10モル%以下、好ましくは5モル%以下とされる。
【0045】
前記ジアルコール成分としては、ロジンポリエステルの重合反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。例えば脂肪族ジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−メチルプロパン−1,3−ジオール、2−ブチル−2−エチルプロパン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。その他、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等を用いることができる。これらジアルコール成分は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0046】
前記ポリエステル樹脂の製造にあたっては、前記アルコール成分以外のアルコール成分を用いることができる。例えば、必要に応じて、3価以上のアルコール類を使用することもできる。3価以上のアルコール類としては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、2−メチルプロパントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられ、これら化合物は、いずれか1種単独で又は適宜に組み合わせて用いられる。
【0047】
前記の3価以上のアルコール類の使用量は、特に限定されないが、通常は全アルコール成分のうち10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0048】
本発明のロジンポリエステルの製造方法は、特に限定されず、公知各種のエステル化反応やエステル交換反応を適宜に選択することができる。例えば、所定の反応容器に前記の全カルボン酸成分および全アルコール成分を仕込み、エステル化触媒の存在又は不存在下に、不活性ガスを吹き込みながら180〜300℃程度で脱水縮合を進行させることにより行うことができる。その反応方法としては、エステル交換反応又は直接エステル化反応のいずれも適用可能である。また、加圧して反応温度を高くする方法、減圧法又は常圧下で不活性ガスを流す方法によって、重縮合を促進することもできる。
【0049】
全カルボン酸成分および全アルコール成分の仕込み比率は、格別限定されないが、通常はOH/COOH(当量比)が1.2〜0.8程度、好ましくは0.9〜1.1となるように各仕込み量を決定すればよい。該反応の追跡は、酸価、粘度又は軟化点を測定して行なうことができる。なお、前記エステル化触媒としては、アンチモン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム及びマンガンより選ばれる少なくとも1種の金属化合物等、公知慣用のエステル化触媒が用いられ、反応が促進されてもよい。例えば、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一錫、モノブチル錫オキシド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート、テトラアルキルオルトチタネート、ジルコニウムアルコキシドなどが挙げられる。テトラアルキルオルトチタネートとしてはテトラエチルオルトチタネート、テトラブチルオルトチタネートが好適に用いられる。ジルコニウムアルコキシドとしてはテトラエチルオルトジルコネート、テトライソプロピルオルトジルコネートなどがいずれも好適に用いられる。
これらエステル化触媒の添加量は全カルボン酸成分と全アルコール成分の総量100重量部に対して0.01重量部以上5重量部以下が好ましく、0.1重量部以上2重量部以下がより好ましい。
【0050】
本発明の製造方法によれば、数平均分子量が3000〜400000であり、重量平均分子量が3000〜400000の、高分子量のポリエステル樹脂を得ることができる。前記数平均分子量は、5000〜300000が好ましく、さらには8000〜200000が好ましい。また重量平均分子量は5000〜300000が好ましく、さらには8000〜200000が好ましい。また、ポリエステル樹脂の分子量分布は、1.0〜3.0を満足することが好ましい。
【0051】
本発明の製造方法によれば、熱分解温度が350℃以上のポリエステル樹脂を得ることができる。前記熱分解温度は350〜450℃が好ましく、さらには350〜420℃が好ましい。
【実施例】
【0052】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、%は重量基準である。なお、軟化点、酸価、ロジン二量体成分(A)の分析、各種ロジン成分の構成比率の算出、ガラス転移温度、耐熱性の評価については以下の方法による。
【0053】
(ロジンメチルエステルの分析方法)
本発明におけるロジンエステル中のロジン成分(樹脂酸成分)の分析についてはガスクロマトグラフ分析(GC)によって分析した。GCはアジレントテクノロジー社製 Agilent6890を使用し、カラムはスペルコ社製BDSを使用し、ロジンエステルはトルエンおよびメタノールの1:1混合溶液に溶解させてから測定した。ロジンエステルの純度は、リテンションタイム1.4分〜6.0分に検出されるすべてのピーク面積比の和から算出される中性成分比と後述する酸価から算出した未反応ロジン比率を差し引いた値を指す。また、各種アビエチン酸、ネオアビエチン酸及びパラストリン酸のエステル成分の総量は、各ピーク面積比の和から算出した。例えばロジンメチルエステルにおいては、8.4分に検出されるピークをパラストリン酸メチルエステル成分、12.7分をアビエチン酸メチルエステル成分、14.3分をネオアビエチン酸メチルエステル成分のピークとして算出した。
【0054】
(軟化点の測定)
本発明における重合ロジン化合物はJIS法(JIS K 2425 環球法)により軟化点を測定した。
【0055】
(酸価の測定)
本発明におけるロジンメチルエステル、重合ロジン化合物及びロジンポリエステルはJIS法(JIS K 0070)により酸価を測定した。
【0056】
(水酸基価の測定)
本発明におけるロジンポリエステルはJIS法(JIS K 0070)により水酸基価を測定した。
【0057】
(ロジン二量体成分(A)の分析方法)
本発明における重合ロジン化合物の一官能基含有ロジン二量体成分(a2)、及び官能基を有しないロジン二量体成分(a3)の確認については、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって分析した。GC−MSは、アジレントテクノロジー社製Agilent6890(GC)及びAgilent5973N(MS)を使用し、カラムはアジレントテクノロジー社製DB-5を使用し、重合ロジン化合物はトルエン及びメタノールの1:1混合溶液に溶解させてから測定した。官能基を有しないロジン二量体成分(a3)は、リテンションタイム22分〜24分に検出されるm/z;520のすべてのピークを指す。また、各種一官能基含有ロジン二量体成分(a2)及び二官能基含有ロジン二量体(a1)は、それぞれの分子量(m/z)に対応するすべてのピークを差す。例えば、一般式(1)でRがメチル基の化合物を製造する場合、得られる重合ロジン化合物中の一官能基含有ロジン二量体成分(a2)は、リテンションタイム24分〜32分に検出されるm/z;574のすべてのピークを指し、二官能基含有ロジン二量体(a1)はリテンションタイム33分〜44分に検出されるm/z;632のすべてのピークを指す。表3には一官能基含有ロジン二量体成分(a2)、官能基を有しないロジン二量体成分(a3)が検出されなければ含有比率を0とした。また、一官能基含有ロジン二量体成分(a2)が検出された時の含有比率は後述する各種ロジン成分の構成比率の算出方法で得られた数値を示した。
【0058】
(各種ロジン成分の構成比率の算出方法)
本発明における各種ロジン成分の構成比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPCは、東ソー(株)製HLC-8220を使用し、カラムとしては東ソー(株)製「Tskgelカラム」を用い、溶媒をTHF、送液量1.0ml/minで測定し、得られた各成分のピーク面積比をロジン三量体以上の成分(B)、ロジン二量体成分(A)(二官能基含有ロジン二量体成分(a1)、一官能基含有ロジン二量体成分(a2)、官能基を有しないロジン二量体成分(a3))、ロジン酸及びロジンエステル成分の構成比率として表3に示した。
【0059】
(ロジンポリエステルの数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw、分子量分布Mw/Mnの測定方法)
本発明におけるロジンポリエステルの数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布の測定方法は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPCは、東ソー(株)製HLC-8220を使用し、カラムとしては東ソー(株)製「Tskgelカラム」を用い、試料濃度1.0%、溶媒をTHF、送液量0.6ml/min、サンプル注入量10μl、測定温度40℃、RI検出器を用いて測定した。また、検量線は東ソー(株)製「TSK標準ポリスチレン」:「A−1000」、「A−5000」、「F−1」、「F−2」、「F−4」、「F−10」、「F−20」、「F−40」、「F−80」、「F−128」の10サンプルから作成した。
【0060】
(ガラス転移温度の測定)
ロジンポリエステルのガラス転移温度Tgは、ブルカー・エイエックス社製熱分析装置DSC3100Sを使用し、窒素流量200ml/分、昇温速度10℃/分で測定した時のガラス転移温度を表5に記載した。
【0061】
(熱分解温度の測定)
ロジンポリエステルの熱分解温度は、ブルカー・エイエックス社製 示差熱熱重量同時測定装置TG−DTA2000Sを使用し、窒素流量200ml/分、昇温速度5℃/分で測定し、10%重量が減少したときの温度を熱分解温度として表5に記載した。
【0062】
製造例1(試作品1(精製ロジンメチルエステル)の合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、酸価170.0mgKOH/g、の未精製ロジン(中国ガムロジン)100g、キシレン100g、メタノール83.3gを仕込んだ。これを攪拌しながら塩化チオニル46.4gを2時間かけて滴下して、未精製ロジンにメチルエステル化を施した。滴下終了後5時間還流温度で加熱攪拌後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレン及びメタノールを留去した後、更に液温230℃、減圧度1200Paの条件下で蒸留し、精製ロジンメチルエステル(試作品1)を70g得た。酸価は0.5mgKOH/g(未反応率0.3%)であった。GC測定により試作品1中の中性成分量は1.1%(ロジンエステル純度98.6%)、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸の総量は74.7%であった。
【0063】
製造例2(試作品2(精製ロジンエチルエステル)の合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、酸価170.0mgKOH/g、の未精製ロジン(中国ガムロジン)100g、キシレン100g、エタノール120.0gを仕込んだ。これを攪拌しながら塩化チオニル46.4gを2時間かけて滴下して、未精製ロジンにエチルエステル化を施した。滴下終了後5時間還流温度で加熱攪拌後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレン及びエタノールを留去した後、更に液温240℃、減圧度1200Paの条件下で蒸留し、精製ロジンエチルエステル(試作品2)を75g得た。酸価は0.4mgKOH/g(未反応率0.2%)であった。GC測定により試作品2中の中性成分量は1.5%(ロジンエステル純度98.3%)、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸の総量は72.6%であった。
【0064】
製造例3(試作品3(精製ロジンブチルエステル)の合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、酸価170.0mgKOH/g、の未精製ロジン(中国ガムロジン)100g、キシレン100g、ブタノール193.0gを仕込んだ。これを攪拌しながら塩化チオニル46.4gを2時間かけて滴下して、未精製ロジンにブチルエステル化を施した。滴下終了後5時間還流温度で加熱攪拌後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレン及びブタノールを留去した後、更に液温250℃、減圧度1200Paの条件下で蒸留し、精製ロジンエチルエステル(試作品3)を80g得た。酸価は0.6mgKOH/g(未反応率0.4%)であった。GC測定により試作品2中の中性成分量は1.6%(ロジンエステル純度98.0%)、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸の総量は75.1%であった。
【0065】
実施例1(重合ロジン化合物1(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、荒川化学工業(株)製試作品1(精製ロジンメチルエステル)を900g、キシレン900g、触媒として塩化亜鉛45.0g及び硫酸45.0gを仕込み、窒素気流下145℃で6時間、重合反応を行なった。反応生成物のキシレン溶液を濃塩酸7g及び温水500gを加えて洗浄した後、更に各500gの温水にて2回洗浄した。洗浄後のキシレン溶液は液温200℃未満、減圧度6000Paの条件下でキシレンを留去した後、更に液温275℃、減圧度150Paの条件下で精製ロジンメチルエステルの分解物及び未反応精製ロジンメチルエステルを留去して、重合ロジン化合物1を405g得た。この軟化点は110℃、酸価は0.5mgKOH/gであった。GC/MS測定により、ロジン二量体成分(A)中に一官能基含有ロジン二量体成分(a2)及び官能基を有しないロジン二量体成分(a3)は検出されなかった。GPC測定により、重合ロジン化合物1のロジン二量体成分(A)は91.6%(ロジン二量体成分(A)中の二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有率は100%,二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の殆どはジメチルエステル基含有ロジン二量体であった)、ロジン酸及びロジンエステルの単量体は5.4%、ロジン三量体以上の成分(B)の含有量は3.0%であった。
【0066】
実施例2(重合ロジン化合物2(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒として塩化亜鉛45.0g及びリン酸85%水溶液45.0gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で処理を実施した。またその結果を表3に記載した。
【0067】
実施例3(重合ロジン化合物3(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒(溶媒を兼ねる)としてギ酸900gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後にヘプタン900gを仕込み、ギ酸層を分液し、反応生成物のヘプタン溶液に水500gを加えて洗浄した後、更に各500gの水にて2回洗浄した。洗浄後のヘプタン溶液は、実施例1と同様に処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0068】
実施例4(重合ロジン化合物4(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒としてパラトルエンスルホン酸45.0gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例3と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0069】
実施例5(重合ロジン化合物5(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒としてメタンスルホン酸36.0gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例3と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0070】
実施例6(重合ロジン化合物6(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒としてメタンスルホン酸36.0g及び酢酸47.4gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例3と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0071】
実施例7(重合ロジン化合物7(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒としてテイカ株式会社製固体酸触媒テイカキュア(酸成分がスルホン酸基)19.5gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後にヘプタン68.3gを仕込み、反応生成物のヘプタン溶液と固体酸触媒を分離し、反応生成物のヘプタン溶液に水16gを加えて洗浄した。洗浄後のヘプタン溶液は実施例1と同様に処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0072】
実施例8(重合ロジン化合物8(一般式(1)でRが水素又はメチル基の化合物)の合成)
触媒としてオルガノ株式会社製固体酸触媒アンバーリスト(酸成分がスルホン酸基)22.7gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例7と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0073】
実施例9(重合ロジン化合物9(一般式(1)でRが水素又はエチル基の化合物)の合成)
荒川化学工業(株)製試作品2(精製ロジンエチルエステル)を900g、触媒としてメタンスルホン酸36.0gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例3と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0074】
実施例10(重合ロジン化合物10(一般式(1)でRが水素又はブチル基の化合物)の合成)
荒川化学工業(株)製試作品3(精製ロジンブチルエステル)を900g、触媒としてメタンスルホン酸36.0gを使用した以外は実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で反応を実施した。反応終了後は実施例3と同様の処理を実施し、結果を表3に記載した。
【0075】
実施例11(重合ロジン化合物を用いた線状高分子量体(ポリエステル樹脂:ロジンポリエステル)の合成)
実施例1で得られた重合ロジン化合物1を316g、1,4ブタンジオール90g、テトラブチルチタネート5gを温度計、窒素導入管、分水器及び攪拌装置のついた1Lのセパラブルコルベンに仕込み、235℃まで昇温し、5時間保温しメタノールを排出させながらエステル交換反応を行った。セバシン酸101gを仕込み、195℃から3.5時間かけ245℃まで昇温し、その後、2.5時間保温し、エステル化を完結させて高分子量体(ポリエステル樹脂)を得た。反応液の酸価は3.3mgKOH/gであった。次に還流脱水装置を真空減圧装置に替え、真空下(400Pa以下)で減圧重縮合反応を行った。反応は6.5時間行った時点で終了した。得られたポリエステル樹脂のメインピークは数平均分子量(Mn)10000、重量平均分子量(Mw)22000、Mw/Mn=2.2、酸価0.6mgKOH/g、水酸基価5.5mgKOH/gであった。また、実施例2〜10の重合ロジン化合物についても同様の反応を実施し、その結果を表4に記載した。
【0076】
比較例1(重合ロジン1の合成)
未精製ロジン(中国産ガムロジン)900g、触媒として塩化亜鉛40g及び硫酸6.0gを使用した以外は、実施例1と同様に表1に示すとおりの反応条件で処理を実施した。またGC/MS測定は、重合ロジン1をトルエン及びメタノールの1:1混合溶液に溶解させた後、アヅマックス株式会社製トリメチルシリルジアゾメタン10%ヘキサン溶液を数滴加え、重合ロジン1にメチルエステル化反応を施してから分析を行い、その結果を表3に記載した。
【0077】
比較例2
重合ロジン2(商品名:シルバロスPR140、アリゾナケミカル(株)製)に比較例1と同様のメチルエステル化反応を施してから分析を実施し、その結果を表3に記載した。
【0078】
比較例3
重合ロジン3(商品名:ダイマレックス、ハーキュレス(株)製)に比較例1と同様のメチルエステル化反応を施してから分析を実施し、その結果を表3に記載した。
【0079】
比較例4
重合ロジン4(商品名:アラダイムR−140、荒川化学工業(株)製)に比較例1と同様のメチルエステル化反応を施してから分析を実施し、その結果を表3に記載した。
【0080】
比較例5(重合ロジン化合物11の合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、実施例1で得られた重合ロジン化合物1を10g、及び荒川化学工業(株)製試作品1(精製ロジンメチルエステル)を90g仕込み、150℃まで昇温し、攪拌しながら1時間保温して重合ロジン化合物11を100g得た。GPC測定により、重合ロジン化合物11のロジン二量体成分(A)は9.2%(二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有率は100%)、ロジン酸及びロジンエステルの単量体は90.5%、ロジン三量体以上の成分(B)の含有量は0.3%であった。
【0081】
比較例6(重合ロジン化合物12の合成)
比較例5と同様に表2に示すとおりの配合処方で混合した結果を表3に記載した。
【0082】
比較例7(重合ロジン化合物13の合成)
比較例5と同様に表2に示すとおりの配合処方で混合した結果を表3に記載した。
【0083】
比較例8(重合ロジン化合物14の合成)
温度計、攪拌機、窒素導入管及び減圧装置を備えた反応装置に、酸価146.0mgKOH/g、軟化点137℃の重合ロジン(商品名:アラダイムR−140、荒川化学工業(株)製)100g、キシレン100g、メタノール83.3gを仕込んだ。これを攪拌しながら塩化チオニル46.4gを2時間かけて滴下して、重合ロジンにメチルエステル化を施した。滴下終了後5時間還流温度で加熱攪拌後、液温200℃未満、減圧度1300Paの条件下でキシレン及びメタノールを留去した後、更に液温275℃、減圧度150Paの条件下でロジンメチルエステルの分解物及びロジンメチルエステルを留去して、重合ロジン化合物14を55g得た。この軟化点は109℃、酸価は1.8mgKOH/gであった。GC/MS測定により、ロジン二量体成分(A)中に一官能基含有ロジン二量体成分(a2)及び官能基を有しないロジン二量体成分(a3)が検出された。GPC測定により、重合ロジン化合物14のロジン二量体成分(A)は87.8%(ロジン二量体成分(A)中の二官能基含有ロジン二量体成分(a1)の含有率は51.7%、一官能基含有ロジン二量体成分(a2)の含有率は48.1%、官能基を有しないロジン二量体成分(a3)の含有比率は0.2%)、ロジン酸及びロジンエステルの単量体は2.8%、ロジン三量体以上の成分(B)の含有量は9.4%であった。
【0084】
(重合ロジンメチルエステルを用いた高分子量体の合成)
比較例1〜8の重合ロジン化合物又は重合ロジンのエステル化物を実施例11と同様の反応を実施し、その結果を表4に記載した。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
【表3】
【0088】
二官能基含有ロジン二量体成分(a1)に関して、実施例1乃至8では殆どがジメチルエステル基含有ロジン二量体であり、実施例9では殆どがジエチルエステル基含有ロジン二量体、実施例10では殆どがジブチルエステル基含有ロジン二量体であった。
【0089】
【表4】
【0090】
【表5】