(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124170
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】密封構造式チャックのチャック封鎖具
(51)【国際特許分類】
B65B 67/00 20060101AFI20170424BHJP
B65D 33/25 20060101ALN20170424BHJP
【FI】
B65B67/00 Z
!B65D33/25 A
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-230645(P2012-230645)
(22)【出願日】2012年10月18日
(65)【公開番号】特開2014-80227(P2014-80227A)
(43)【公開日】2014年5月8日
【審査請求日】2015年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】507131159
【氏名又は名称】ハイパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089886
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 雅雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 克彦
(72)【発明者】
【氏名】望月 真希
【審査官】
吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0186195(US,A1)
【文献】
実開昭64−027009(JP,U)
【文献】
米国特許第04744196(US,A)
【文献】
登録実用新案第3077620(JP,U)
【文献】
特開2002−125722(JP,A)
【文献】
実開平01−027009(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 67/00
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ね合わせ配置の一対の合成樹脂製のシート状体の各対向面部にそれぞれ固着され、互いに嵌合することにより前記対向面部間を封鎖する雌雄の封止体からなる密封構造式チャックを人手によって封鎖するためのチャック封鎖具であって、
互いに間隔を置いて並列配置された一対の金属材により構成された押圧ローラーからなる押圧部と、ベアリングを介して前記押圧ローラーを回転自在に支持する金属材により構成された支持部材とを備え、
前記押圧ローラー間に前記両シート状体の前記雌雄の封止体が固着された部分が挿し込まれた状態で前記支持部材を人手によって前記密封構造式チャックに沿って相対移動させることにより、前記両押圧ローラーが前記雌雄の封止体を互いに嵌合する方向に押圧するようにしたことを特徴としてなる密封構造式チャックのチャック封鎖具。
【請求項2】
前記支持部材は、互いに間隔をおいて対向する一対の軸受支持部を有し、前記押圧ローラーが前記軸受支持部間に架け渡し配置に支持され、一方の軸受支持部に前記押圧ローラー間の隙間と連続配置にスリット状のシート挿通路が形成されてなる請求項1に記載の密封構造式チャックのチャック封鎖具。
【請求項3】
前記押圧ローラーは、外周面部に外向きに張り出したフランジ状のガイド凸部を備えた請求項1又は2に記載の密封構造式チャックのチャック封鎖具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に合成樹脂フィルム製の包装袋の開口部に一体に備えられた密封構造式チャックを確実に封鎖するための密封構造式チャックのチャック封鎖具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂フィルム製の袋体の開口部に密封構造式チャックを一体に備え、シーラーを用いずとも内部を密封することができ、且つ再使用が可能な包装袋が精密部品の輸送や生鮮食料品の包装等の多岐に渡って使用されている。
【0003】
この種の密封構造式チャック1としては、例えば、
図6〜
図8に示す如き構造のものが使用され、包装袋2の開口部を構成する互いに対向する一対のシート状体3,3の各対向面部にそれぞれ合成樹脂製の雌雄の封止体4,5を一体に備え、この雌雄の封止体4,5を互いに嵌合させることにより開口部を封鎖するようになっている(特許文献1を参照)。
【0004】
雄封止体5は、一方のシート状体3の対向面部に固着されたテープ状の基台部6の表面に一体に突設され、先端部の外側に突出した雄側鈎爪部7を有する断面鈎状の一対の雄鈎突条8a,8bを備え、雌封止体4は、他方のシート状体3の対向面部に横切る配置に固着されたテープ状の基台部9の表面に一体に突設され、先端部に内側に向けた雌側鈎爪部10を有する断面鈎状の一対の雌鈎突条11a,11bと、両雌鈎突条11a,11b間に配置された密封用突条12とを備え、両雄鈎突条8a,8bを各雌鈎突条11a,11bの内側に挿入することによって雌雄両者間の両鈎爪部7,10が互いに係合されるとともに密封用突条12が両雄鈎突条8a,8b間に圧入され、両対向面部間を密封するようになっている。
【0005】
また、密封式の包装袋2には、複数の密封構造式チャック1a,1bを開口部に互いに平行な多段配置に備え、密封性能を向上させたものも開発されている。
【0006】
この様に構成された密封構造式チャック1は、両シート状体3,3の外側より雌雄の封止体4,5の一端を指先で挟持し、その指先を密封構造式チャック1に沿って他端まで摺動させることにより、指先に押圧された雌雄の封止体4,5を順次嵌合させ、それにより両対向面部間を封鎖するようになっている。
【0007】
また、密封構造式チャック1には、両シート状体3,3の外側に雌雄の封止体4,5を挟持するように嵌め込まれた合成樹脂製のスライダーを備え、このスライダーを密封構造式チャック1の全長に亘って摺動させることによりスライダーの内側面部に押圧された雌雄の封止体4,5を順次嵌合させるようにした構造のものも知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−276849号公報
【特許文献2】特開2006−225008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、雌雄の封止体を指先で押圧して密封構造式チャックを封鎖する場合、指先の力加減等によって雌雄の封止体間にズレが生じたり、雌雄の封止体の嵌合状態が不完全となったりする虞があることから、確実に密封構造式チャックを封鎖するには、指先での押圧作業を正確且つ慎重に行う必要があり、その為作業が煩雑で多大な時間を要するものであり、その傾向は、特に密封構造式チャックの全長が長い場合や上述の如き密封構造式チャックを多段配置に有する場合に顕著であった。
【0010】
一方、密封構造式チャックに合成樹脂製のスライダーを備えた場合、密封構造式チャックを備えた包装袋毎に専用のスライダーを設けるのが一般的であり、その分の材料費及び製造コストが嵩むという問題があった。
【0011】
また、スライダーの内側面部がシート状体の表面部を摺動する為、シート状体の外側面が摩耗し易く、また、スライダー内側面部のエッジ部分がシート状体の表面に引っ掛かりシート状体の破損を招く虞があった。
【0012】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、迅速かつ確実に密封構造式チャックを封鎖することができる密封構造式チャックのチャック封鎖具の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の如き従来の問題を解決し、所期の目的を達成するための請求項1に記載の発明の特徴は、重ね合わせ配置の一対の
合成樹脂製のシート状体の各対向面部にそれぞれ固着され、互いに嵌合することにより前記対向面部間を封鎖する雌雄の封止体からなる密封構造式チャックを
人手によって封鎖するためのチャック封鎖具であって、互いに間隔を置いて並列配置された一対の
金属材により構成された押圧ローラーからなる押圧部と、
ベアリングを介して前記押圧ローラーを回転自在に支持する
金属材により構成された支持部材とを備え、前記押圧ローラー間に前記両シート状体の前記雌雄の封止体が固着された部分が挿し込まれた状態で前記支持部材を
人手によって前記密封構造式チャックに沿って相対移動させることにより、前記両押圧ローラーが前記雌雄の封止体を互いに嵌合する方向に押圧するようにしたことにある。
【0014】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記支持部材は、互いに間隔をおいて対向する一対の軸受支持部を有し、前記押圧ローラーが前記軸受支持部間に架け渡し配置に支持され、一方の軸受支持部に前記押圧ローラー間の隙間と連続配置にスリット状のシート挿通路が形成されたことにある。
【0015】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記押圧ローラーは、外周面部に外向きに張り出したフランジ状のガイド凸部を備えたことにある。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るチャック封鎖具は、上述したように、重ね合わせ配置の一対のシート状体の各対向面部にそれぞれ固着され、互いに嵌合することにより前記対向面部間を封鎖する雌雄の封止体からなる密封構造式チャックを封鎖するためのチャック封鎖具であって、互いに間隔を置いて並列配置された一対の押圧ローラーからなる押圧部と、前記押圧ローラーを回転自在に支持する支持部材とを備え、前記押圧ローラー間に前記両シート状体の前記雌雄の封止体が固着された部分が挿し込まれた状態で前記支持部材を前記密封構造式チャックに沿って相対移動させることにより、前記両押圧ローラーが前記雌雄の封止体を互
いに嵌合する方向に押圧するようにしたことにより、押圧ローラーがシート状体に対し回転しつつ摺接するので、シート状体への着脱作業や移動作業を容易且つ円滑に行え、全長の長い密封構造式チャックや多段配置の場合であっても迅速に封鎖することができ、且つ、シート状体の摩耗を抑えることができる。また、密封構造式チャックを備えた包装袋毎に専用のスライダーを備える必要がなく、その分の製造コストを抑えることができる。
【0017】
また、本発明において、前記支持部材は、互いに間隔をおいて対向する一対の軸受支持部を有し、前記押圧ローラーが前記軸受支持部間に架け渡し配置に支持され、一方の軸受支持部に前記押圧ローラー間の隙間と連続配置にスリット状のシート挿通路が形成されてなることにより、両押圧ローラーを安定した状態で支持することができ、また、シート挿通路を通して支持部材内に好適にシート状体を挿し込むことができるとともに、シート状体に対して好適に相対移動することができる。
【0018】
更に本発明において、前記押圧ローラーは、ベアリングを介して支持部材に支持されたことにより、押圧ローラーが円滑に回転し、押圧ローラーのシート状体に対する摺動抵抗の低減を図れ、その分シート状体の摩耗を抑えることができる。
【0019】
更にまた、前記押圧ローラーは、外周面部に外向きに張り出したフランジ状のガイド凸部を備えたことにより、密封構造式チャックに対する押圧ローラーの位置のずれを防止し、確実に密封構造式チャックを封鎖することができる。
【0020】
また、本発明において、前記押圧ローラー及び/又は支持部材は、一部又は全部が金属材により構成されたことにより、シート状体及び密封構造式チャックより受ける押圧ローラー間を押し広げる方向に作用する反力に対し高い剛性を発揮することができ、押圧ローラー間距離を一定に保ち、安定した押圧力が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る密封構造式チャックのチャック封鎖具の一例を示す斜視図である。
【
図3】(a)〜(e)は本発明に係るチャック封鎖具を使用した密封構造式チャックの封鎖作業の各工程を示す斜視図である。
【
図4】押圧ローラーによるシート状体の押圧を説明するための断面図である。
【
図6】開口部に密封構造式チャックを有する包装袋の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図6中の密封構造式チャック部分を示す斜視図であって(a)は雌雄の封止 体が嵌合した状態、(b)は雌雄の封止体が離脱した状態を示す図である。
【
図8】同上の密封構造式チャックを示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る密封構造式チャックのチャック封鎖具の実施の態様を図面に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号2は開口部に密封構造式チャック1a,1bを一体に備えた密封式の包装袋であり、上述の従来例と同様の構成には同一符号を付して説明する。
【0023】
包装袋2は、
図6〜
図8に示す従来例と同様に、互いに重ね合わされた一対の合成樹脂フィルム製のシート状体3,3をもって一方に開口部を有する袋状に形成され、その開口部を横切るように互いに平行な多段配置に合成樹脂製の密封構造式チャック1a,1bが一体に備えられ、この密封構造式チャック1a,1bを封鎖することにより袋内部を密封できるようになっている。
【0024】
尚、包装袋2は、例えば、インフレーション成形によって得られた合成樹脂製のチューブを畳んで一対のフィルムからなるシート状体3,3が重ね合わされた状態とし、その状態でチューブの一方の端部を熱溶着等によってシールすることによりシート状体3,3の3辺部が閉じられ、その他の一辺部に開口部を有する形状に形成するようにしてもよく、合成樹脂フィルムからなる一対のシート状体3,3を重ね合わせ、開口部を除く周縁部を熱溶着等によりシールすることにより一方に開口部を有する袋状に形成してもよい。
【0025】
各密封構造式チャック1a,1bは、開口部を構成する互いに対向した一対のシート状体3,3の各対向面部にそれぞれ合成樹脂製の雌雄の封止体4,5が固着され、この雌雄の封止体4,5を互いに嵌合させることにより対向面部間を封鎖するようになっている。
【0026】
雄封止体5は、一方のシート状体3の対向面部に固着されたテープ状の基台部6の表面に一体に突設され、先端部の外側に突出した雄側鈎爪部7を有する断面鈎状の一対の雄鈎突条8a,8bを備え、雌封止体4は、他方のシート状体3の対向面部に固着されたテープ状の基台部9の表面に一体に突設され、先端部に内側に向けた雌側鈎爪部10を有する断面鈎状の一対の雌鈎突条11a,11bと、両雌鈎突条11a,11b間に配置された密封用突条12とを備え、両雄鈎突条8a,8bを各雌鈎突条11a,11bの内側に挿入することによって雌雄両者間の両鈎爪部7,10が互いに係合されるとともに密封用突条12が両雄鈎突条8a,8b間に圧入されるようになっている。
【0027】
このように構成された密封構造式チャック1a,1bは、本発明に係るチャック封鎖具20を用いることにより迅速且つ確実に封鎖できるようになっている。
【0028】
チャック封鎖具20は、
図1、
図2に示すように、互いに間隔を置いて並列に配置された一対の押圧ローラー21,21からなる押圧部22と、押圧ローラー21,21を回転自在に支持する支持部材23とを備え、押圧部22の押圧ローラー21,21間に両シート状体3,3の雌雄の封止体4,5が固着された部分が挿し込まれ、その状態でシート状体3,3に対し支持部材23を密封構造式チャック1a,1bに沿って相対移動させることにより、両押圧ローラー21,21が回転しつつシート状体3,3の外側より雌雄の封止体4,5を互いに嵌合する方向に押圧し、それにより押圧ローラー21,21に押圧さ
れた雌雄の封止体4,5が順次嵌合し、密封構造式チャック1a,1bを封鎖するようになっている。
【0029】
支持部材23は、互いに間隔をおいて対向する一対の軸受支持部24,25を有し、且つ、両側面部が開口した中空箱状に形成され、中空部内に両押圧ローラー21,21が両軸受支持部24,25間に架け渡した配置に支持される。
【0030】
また、一方の軸受支持部25には、押圧ローラー21,21間の隙間と連続配置に移動方向に向けたシート挿通路26が形成され、このシート挿通路26を通して支持部材23内に重ね合わせた一対のシート状体3,3を挿し込め、且つ、その状態で支持部材23がシート状体3,3に対し密封構造式チャック1a,1bに沿って相対移動できるようになっている。
【0031】
この支持部材23は、側面視コ字状に形成された支持部材本体27と、支持部材本体27のコ字開口端面部に取り付けられる一対の張り出し部材28,28とを組み込むことにより形成されている。
【0032】
支持部材本体27は、アルミニウムやステンレス等の金属材をもって構成され、一方の軸受支持部24を構成する矩形状の基板部と、基板部24の長手方向両端より鉛直に立ち上げた形状に形成された一対の把持部29,29とを一体に備え、基板部24及び一対の把持部29,29をもって側面視コ字状を成している。
【0033】
把持部29,29は、矩形板状に形成され、その外側面部に長手方向(前後方向)に向けた円弧溝状の掴み凹部30が形成され、この両掴み凹部30に沿って指を宛がうことにより二本の指で支持部材23を安定して把持することができるようになっている。
【0034】
また、把持部29,29の前端面部、即ち、基板部24とは反対側の端面部には、幅方向に間隔を置いてねじ孔31,31が形成され、各張り出し部材28,28がねじ止めにより取り付けられるようになっている。尚、図中符号32は取付け用ボルトである。
【0035】
張り出し部材28,28は、支持部材本体27と同じ材質の金属材により両側部に導入傾斜部28a,28aを有する山型板状に形成され、山型の頂面部側が把持部29,29内面より互いに内側に張り出し、且つ、頂面部を互いに上下方向、即ち押圧ローラー21,21間方向に間隔を置いて突き合わせた配置に把持部29,29に取り付けられている。
【0036】
この一対の張り出し部材28,28は、一方の軸受支持部24を構成する基板部と互いに間隔を置いて対向するように配置され、他方の軸受支持部25を構成するとともに、張り出し部材28,28間の隙間により押圧ローラー21,21間方向と直交する方向に向けたスリット状のシート挿通路26が形成されるようになっている。
【0037】
尚、シート挿通路26の幅、即ち、両張り出し部材28,28間の距離は、少なくとも一対のシート状体3,3を重ね合わせた厚みより広く、押圧ローラー21,21間の隙間より広く形成することが望ましい。
【0038】
互いに対向する両軸受支持部24,25には、互いに対向する位置にシート挿通路26を挟んで押圧ローラー21,21間方向に間隔を置いてそれぞれ板厚方向(前後方向)に貫通した軸受収容孔33が形成され、この各軸受収容孔33内にベアリング34が圧入により嵌め込まれている。
【0039】
ベアリング34には、例えば、オイルレスベアリングを使用し、金属系又は合成樹脂系の多孔質材をもって一方の開口部にフランジ部を有する円筒状に形成されている。このベアリング34を構成する多孔質材には、予め潤滑油が含浸されており、後からベアリング34に給油する必要がなく、また、ベアリング34よりオイルが漏れだすこともない。
【0040】
尚、ベアリング34は、上述したオイルレスベアリングに限定されず、ボールベアリングやその他のベアリングを使用してもよい。
【0041】
両押圧ローラー21,21は、両軸受支持部24,25間に架け渡した配置に支持部材23に回転自在に支持され、支持部材23内に互いに間隔を置いて平行に配置され、押圧ローラー21,21間に重ね合わせたシート状体3,3の密封構造式チャック1a,1b部分を通すようになっている。
【0042】
押圧ローラー21,21は、アルミニウムやステンレス等の金属材により構成され、回転軸35の外側に同軸円筒状のローラー部36を一体に備えている。
【0043】
回転軸35は、両端に回転軸本体35より縮径した縮径部35aを有し、この縮径部35aがそれぞれベアリング34内に挿入され、ベアリング34を介してその両端が各軸受支持部24,25に回転自在に支持されている。
【0044】
ローラー部36は、回転軸35より径の大きな円筒状に形成され、その外側面がシート状体3,3の外側を押圧する押圧面を成すようになっている。
【0045】
ローラー部36の直径は、支持部材23に支持された状態でローラー部36,36間の距離が密封構造式チャック1a,1bを封鎖した状態、即ち雌雄の封止体4,5が嵌合した際の嵌合方向高さと両シート状体3,3の厚みとを加えた距離より狭くなるように形成されている。
【0046】
また、このローラー部36の一方の端部には、外向きに張り出したフランジ状のガイド凸部37が形成され、このガイド凸部37の側縁に雌雄両封止体4,5の側縁、即ち基台部6,9の側縁をガイドさせるようになっている。
【0047】
このガイド凸部37の位置は、
図4に示すように、シート状体3,3の開口側端を基板部の内面に当て止めさせた状態で、開口側端より遠い側の密封構造式チャック1bの側縁に当接するようになっている。
【0048】
尚、ガイド凸部37の位置は、上述の実施例に示す位置に限定されず、ロール部36の中央部にガイド凸部37を設け、両密封構造式チャック1a,1bに挟まれた状態でガイドさせるようにしてもよく、また、ガイド凸部37をロール部36の両端に設け、各ガイド凸部37がそれぞれ両密封構造式チャック1a,1bの外側に配置されるようにしてもよい。
【0049】
このように構成されたチャック封鎖具20を使用して密封構造式チャック1a,1bを封鎖するには、まず、
図3(a)〜3(b)に示すように、包装袋2の開口部を構成する重ね合わされたシート状体3,3の一方側端に外側からチャック封鎖具20を移動させ、両押圧ローラー21,21間に両シート状体3,3の雌雄の封止体4,5が固着された部分の側端部を挿し込ませる。
【0050】
その際、シート状体3,3に対しチャック封鎖具20は、両押圧ローラー21,21が回転しつつシート状体3,3表面を摺動するので封鎖具移動方向の摺動抵抗が小さく、容易且つ円滑に押圧ローラー21,21間に重ね合わせたシート状体3,3を挿し込むことができる。
【0051】
そして、押圧ローラー21,21間に両シート状体3,3の雌雄の封止体4,5が固着された部分が挿し込まれたことにより、両押圧ローラー21,21がシート状体3,3の外側より雌雄の封止体4,5を押圧し、雌雄の封止体4,5の一方の端部が互いに嵌合する。
【0052】
また、ガイド凸部37の側縁が開口側端より遠い側の密封構造式チャック1bを構成する雌雄の封止体4,5の基台部6,9の側縁に当接し、チャック封鎖具20がシート状体3,3及び密封構造式チャック1a,1bに対し位置決めされる。
【0053】
そして、
図3(b)〜
図3(d)に示すように、この状態で支持部材23をシート状体3,3に対して密封構造式チャック1a,1bに沿って相対移動させると、
図4、
図5に示すように、両押圧ローラー21,21が回転しつつシート状体3,3の表面を摺動するとともに、シート状体3,3の外側より雌雄の封止体4,5を押圧し、雌雄の封止体4,5を順次嵌合させる。
【0054】
この押圧ローラー21,21による雌雄の封止体4,5を押圧する作業においては、押圧ローラー21,21の押圧面が密封構造式チャック1a,1bよりローラー間距離を押し広げる方向に反力を受ける。
【0055】
しかしながら、このチャック封鎖具20は、支持部材23及び押圧ローラー21,21を金属材により構成したことにより、当該反力に対して高い剛性を発揮し、押圧ローラー21,21間の距離が常に一定に保たれ、安定した状態で雌雄の封止体4,5を互いに嵌合する方向に押圧することができるようになっている。
【0056】
そして、
図3(e)に示すように、包装袋2の他方の端部よりチャック封鎖具20を外側に離脱させ、両押圧ローラー21,21により密封構造式チャック1a,1bを構成する雌雄の封止体4,5を全長に亘って洩れなく押圧し、封鎖作業が完了する。尚、チャック封鎖具20を包装袋2より離脱させる際にも両押圧ローラー21,21が回転しつつシート状体3,3表面を摺動するので封鎖具移動方向の摺動抵抗が小さく、容易且つ円滑に離脱させることができる。
【0057】
また、支持部材23の形状は、上述の実施例に示した形状に限定されるものではなく、一対の押圧ローラー21,21を回転自在に支持することができ、且つ、シート状体3,3に対して密封構造式チャック1a,1bに沿って移動できる形状であればよい。
【0058】
更に、チャック封鎖具は、一対の押圧ローラー21,21からなる押圧部22を移動方向に複数並べて配置したものであってもよい。
【0059】
また、本発明に係るチャック封鎖具が対応可能な密封構造式チャックの構造は、上述した実施例の構造に限定されず、シート状体3,3の外側より押圧することにより雌雄の封止体が互いに嵌合する構造のもの全てに対応することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 密封構造式チャック
2 包装袋
3 シート状体
4 雌封止体
5 雄封止体
6 基台部
7 雄側鈎爪部
8 雄鈎突条
9 基台部
10 雌側鈎爪部
11 雌鈎突条
12 密封用突条
20 チャック封鎖具
21 押圧ローラー
22 押圧部
23 支持部材
24,25 軸受支持部
26 シート挿通路
27 支持部材本体
28 張り出し部材
29 把持部
30 掴み凹部
31 ねじ孔
32 取付用ボルト
33 軸受収容孔
34 ベアリング
35 回転軸
36 ローラー部
37 ガイド凸部