特許第6124247号(P6124247)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6124247ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124247
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法。
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/728 20120101AFI20170424BHJP
【FI】
   D04H1/728
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-278643(P2012-278643)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-111849(P2014-111849A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】510336819
【氏名又は名称】高橋 光弘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 光弘
【審査官】 阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−263819(JP,A)
【文献】 特開2012−224946(JP,A)
【文献】 特開2010−168722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00− 18/04
B32B 1/00− 43/00
D01D 5/04
B01D 39/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ繊維またはナノ粒子を固定したい基材シートや3次元の物体上に、熱可塑性ポリマーから生成したナノ繊維接着剤を塗布し、基材シートや3次元の物体の最表面に、ナノ繊維の径に応じた厚みの薄膜のナノ繊維接着剤からなるナノ繊維接着層を形成し、このナノ繊維接着層を加熱することで、ナノ繊維接着剤が溶けて切れた状態とし、基材シートや3次元の物体の最表面に接着層を形成することを特徴としたナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
基材シートや3次元の物体の最表面に、ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノ繊維の製造方法が改良されたことから、ナノ繊維を利用してナノ繊維の集合体を製作する方法が検討されている。そして、ナノ繊維の集合体からなるシートは、従来の繊維からなるシートに比べて比表面積が高く、均一で小さい空孔径を有していることが見つけられたことから、ナノ繊維を利用したエアフィルタろ材やガス除去フィルタろ材が開発されるようになってきた。
【0003】
そしてこれらのフィルタろ材は、従来のフィルタろ材と同等以上の捕集あるいは除去効率の機能を持ちながら、圧力損失を大幅に低減したフィルタろ材として、省エネルギー化を可能にすると共に寿命の長いフィルタろ材として病院設備やクリーンルームなどの空調用として注目されている。
【0004】
そして、エアフィルタろ材やガス除去フィルタろ材の基礎となるナノ繊維の集合体は、合成繊維、ガラス繊維や天然繊維などからなる不織布あるいは織布からなる基材に、バインダー、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付けて、ナノ繊維の薄い層を積層させ一体化したものから構成されている。
【0005】
しかし、ナノ繊維の集合体は、基材シートにバインダー、溶融繊維あるいは接着パウダーの接着媒体を付ける必要があるため、接着媒体が基材シートを構成する繊維間に深く浸透してしまうことがあるため、接着媒体による目詰まりにより圧力損失が高くなることが懸念されることから、接着媒体の改善がのぞまれていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明はこれらの課題を解決しょうとしたもので、本発明の第1の目的は、ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するのに、基材シートや3次元の物体に熱可塑性ポリマーからナノ繊維接着剤を生成してナノ繊維接着層を薄膜に形成し、ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法を提供しょうとしたものである。
【0007】
本発明の第2の目的はナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を効率良く形成しょうとしたものである。
【0008】
本発明の第3の目的は、ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を安価に提供しょうとしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の解決手段は、 ナノ繊維またはナノ粒子を固定したい基材シートや3次元の物体上に、熱可塑性ポリマーから生成したナノ繊維接着剤を塗布し、基材シートや3次元の物体の最表面に、ナノ繊維の径に応じた厚みの薄膜のナノ繊維接着剤からなるナノ繊維接着層を形成し、このナノ繊維接着層を加熱することで、ナノ繊維接着剤が溶けて切れた状態とし、基材シートや3次元の物体の最表面に接着層を形成することを特徴としたナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法を提供しょうとしたことである。
【0010】
本発明の第2の解決手段は、ナノ繊維またはナノ粒子を固定したい基材シートや3次元の物体上に、熱可塑性ポリマーから生成したナノ繊維接着剤を塗布して、薄膜のナノ繊維接着層を形成し、このナノ繊維接着層を加熱することで接着剤の機能を持たせたことである。
【0011】
本発明の第3の解決手段は、ナノ繊維接着層を塗布した後、加熱することで、ナノ繊維接着層を形成する熱可塑性ポリマーであるナノ繊維接着剤を溶融し基材シートや3次元の物体の最表面の形状に沿って接着することができ、これによってナノ繊維の径に応じた厚みで、基材シートや3次元の物体の表面に沿ったナノ繊維接着層の塗布が可能としたことである。例えばナノ繊維接着層を形成するナノ繊維接着剤が100nmの場合、低融点のナノ繊維接着層を100nmの厚みで基材シートや3次元の物体に塗布することができる。これによって、熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着層を10nm〜数μmでコーティングすることも可能としたことである。
【0012】
ナノ繊維を固定化したい基材シートや3次元の物体は、フイルム、不織布、織布などの基材シートだけでなくても良い。
また、不織布あるいは織布からなるフィルタ基材の材質はポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリエチレン繊維、レーヨン、塩化ビニリデン繊維などの有機繊維やガラス繊維が使用可能である。これらを単独で用いてもよいし2種類以上を併用しても良い。
【0013】
これらのフィルタ基材の形成方法としては湿式抄紙法を用いる方法や乾式法、スパンボンド法、メルトブロー法などが用いられる。
【0014】
ナノ繊維接着層を形成するナノ繊維の素材である熱可塑性ポリマーは、ポリエステルやポリアミド、ポリオレフイン、ポリフェニレンスルフイド(PPS)などが挙げられる。ポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられる。また、ポリアミドとしてはナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン11(N11)などが挙げられる。ポリオレフインとしてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などが挙げられる。
【0015】
基材シートが不織布の場合、ナノ繊維接着層を形成するナノ繊維接着剤は長繊維であるため、不織布の表層にナノ繊維接着剤からなるナノ繊維接着層を形成するが不織布内には入らない。つまり、ナノ繊維接着層は、不織布の繊維と最表層でのみ接している状態となっている。さらに、これを加熱することで、ナノ繊維接着層を形成する熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着剤が溶けて切れ、不織布の最表面に溶着する。これによって、不織布の繊維の最表面にのみ溶着することで不織布の通気性を全く損なわないナノ繊維接着層の塗布が完了する。同様に3次元物体の場合も3次元物体の表面の凹凸がある場合、凸部にのみナノ繊維接着層を塗布することが可能となる。
【0016】
熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着層が塗布できると、その上に固定化したいナノ繊維(ナノファイバー、マイクロファイバー)やナノ粒子(シリカ、PTFEなど)を塗布し、再度加熱することで熱可塑性ポリマーを溶融し、固定したいナノ繊維またはナノ粒子熱可塑性ポリマーに接触している部分だけをコーティングすることができる。つまり、固定化したいナノ繊維またはナノ粒子熱可塑性ポリマーの溶着部のみコーティングし、反対側は素材表面が露出した状態に固定化することができる。
【0017】
ナノ繊維を固定化する場合、ナノ繊維自体は細く強度がないが、これを使用可能とするためには、固定したいナノ繊維を基材シートや3次元の物体に固定化しなければならない。この時、考慮しなければならないことは、ナノ繊維の強度が強化され、且つ通気性を損なわないことである。
【0018】
ナノ繊維を生成するESD法は高電圧を印加した針状のノズルに容器内のポリマー溶剤溶液をポンプにて送給するように構成されており、そこで針状のノズルから線状に流出するポリマー溶剤溶液に電荷を帯電させる。それによって、下記式に示すポリマー溶剤溶液表面の同極電荷による反発力(クーロン力)とポリマー溶剤溶液のサブストレート間で働く逆極電荷の引力(クーロン力)が合わさりポリマー溶剤溶液の表面張力を上回った時に1次誘電爆発が発生し、ポリマー溶液が爆発的に延伸される。
式:表面張力+電界干渉 < クーロン力(ポリマー内での反発力+サブストレートか らの引力)+ 押し出し力
:荷電粒子の荷電量1 q:荷電粒子の荷電量2 γ:粒子間距離
ε:誘電率
さらに、ポリマー溶液がクーロン力でサブストレートに引き付けられることでノズル先端から流出したポリマー溶剤溶液のアスペクト比が大きくなる。これによって繊維として長手方向にポリマー溶液が延ばされる。1次静電爆発で延伸を始めた繊維は、比表面積が大きいため溶剤が急速に蒸発する。これによって溶剤で膨潤していたポリマー溶液の分子間力が強くなり、除々に硬化をして行く。そして、クーロン力と分子間がつりあったところで延伸は止まる。その後電荷を保ったままさらに蒸発が進み繊維の直径のポリマーからなる繊維が生成される。
【0019】
MELT―ESD法は熱可塑性樹脂に加えて膨潤状態にし、高速エアーと電荷を使ってナノ繊維を生成する方式である。そして、その構成は、ポリマーを溶融する機構と溶融ポリマーを吐出するノズル、ノズルから吐出する溶融ポリマーを延伸するために使用される高速エアーを発生するエアーノズル、溶融したポリマーを吐出するノズルの先端に電荷を発生させる電極および荷電ナノ繊維からの静電誘導による電界干渉を遮断するための絶縁板で構成され、加えて放熱を防ぎ絶縁を兼ねた断熱材でノズルを覆う構造になっている。また、前記方式において、電極と絶縁板を除いた状態でもエアーノズルからの風速を高速化することで繊維径を500nm程度にまで細線化は可能である。
【0020】
そして、ナノ繊維生成過程は、十分粘土が下がるまで加熱して溶融したポリマーを高速エアーで延伸する。同時にノズル先端に電極とノズル間に高電圧を印加することによって電荷が発生し、溶融ポリマーを同極に帯電させる。この同極の電荷が互いにクーロン力で反発することで溶融ポリマーを更に延伸する。これによって、ナノ繊維接着層を形成するナノ繊維が生成される。
【発明の効果】
【0021】
(1)熱可塑性ポリマーから構成されたナノ繊維接着層は基材シートや3次元の物体表面に非常に薄く塗ることが可能であることから、ナノ繊維の通気性を損なわず強く固定化することができる。
(2)さらに、熱可塑性ポリマーから構成されたナノ繊維接着層は基材シートや3次元の物体表面に非常に薄く塗ることが可能であることから、ナノ粒子をナノ繊維接着層に埋もれることなく、表面を最大に露出しナノ粒子の特性を生かして固定化することができる。
(3)基材シートや3次元物体にナノ繊維やナノ粒子を固定化することができる。
例えば、不織布上にナノ繊維を固定できたり、不織布の上にゼオライト、多孔性ガラスビーズを担持することで放射性物質(イオン状態を含めて)を除染することができたり、白金触媒を担持することで効率の高い反応膜を形成することができたり、カテキンの粒子を担持することで強い消臭機能を持つフィルタを作ることができたり、イオン交換樹脂の粒子を担持することで超々純水生成フィルタを作ることができる。
(4)熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着層を基材シートや3次元物体に50nm〜数μmでコーティングすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】基材シートに低融点ポリマーをナノ繊維化して塗布した図。
図2】基材シートに低融点ポリマーをナノ繊維化して塗布した拡大図。
図3】基材シートに熱可塑性ポリマーのナノ繊維に塗布し、加熱して基材シートの表面のみに熱可塑性ポリマー層を付着した状態を示す
図4】基材シートの表層にのみ基材シートに沿って熱可塑性ポリマーを溶着した拡大図。
図5】基材シートに熱可塑性ポリマー層を介して目的ポリマーのナノ繊維を積層し、加熱した状態を示す図。
図6】目的のポリマーを基材シートに積層した時のナノ繊維の拡大図。
図7】ガラス板などの3次元物体上に熱可塑性のナノ繊維を塗布して加熱溶融しその上に二酸化ケイ素固定化する方法を示す図。
図8】中高性能フィルタを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係るナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法を添付図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、ナノ繊維またはナノ粒子を固定化するためのナノ接着層を形成する方法の手順は、まず、図1に示すように、基材シート1の上に熱可塑性で溶媒に溶けるポリマーをナノ繊維化してナノ繊維接着層を形成するナノ繊維接着剤2を塗布する。図2の写真には低融点ポリマーを使用してナノ繊維接着層を形成するナノ繊維接着剤2を基材シート1上に塗布した状態を示している。
【0025】
次に、図3に示すように、基材シート1を加熱することで、熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着剤2は溶けて基材シート1の表面に固定される。この状態は、ナノ繊維接着剤2が溶けて切れ、基材シート1の繊維上に溶着される。図4に示すように基材のシート2段目の基材シート1の繊維には熱可塑性ポリマーが溶着せず、基材シート繊維の表層にのみ基材シート1に沿って熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着剤2が溶着する。そのため、通気性については全く損なわない。
【0026】
次に、図5に示すように、熱可塑性ポリマーナノ繊維接着層3が固定された基材シート1に固定化を目的としたポリマーをナノ繊維化して塗布する。この状態で、固定化を目的としたナノ繊維接着剤2を塗布した基材シート1に熱を加える。これにより熱可塑性ポリマーが再度溶けて固定化を目的としたナノ繊維接着剤2と基材シート1を接着する。この時、図6に示すように、熱可塑性ポリマーが観察できないくらい、固定化を目的のナノ繊維表面と基材シート1表面のみを接着するため、基材シート1と固定化を目的のナノ繊維による通気性を保ち、熱可塑性ポリマーによって通気性を阻害することはない。
【0027】
この方式は、図7に示すように、ガラスなどの個体の基材シート1に熱可塑性ポリマーのナノ繊維接着層3を形成し、二酸化ケイ素の粒子4を固定化しても何ら本発明の要旨を変更するものではない。
【0028】
次に、具体的な実施例として、実施例1にエアフィルタろ材、実施例2にガス除去フィルタろ材について述べる。
【実施例1】
【0029】
5は中高性能フィルタの外枠で、前後面開放の箱形状をしていて、この外枠5内には繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織り布のフィルタ基材表面に、MELT―ESD法によりは生成したナノ繊維接着層を形成し、この状態でフィルタ基材を加熱することで、熱可塑性ポリマーが再度溶けてナノ繊維とフィルタ基材が接着される。この後、再度の加熱により、目的のナノ繊維表面がフィルタ基材に積層され一体化されてフィルタろ材6が形成される。そしてろ過面積を大きくすべくジグザグ状に折り曲げてひだ折り加工し、ひだ折り加工したろ材間にセパレータまたはビード状接着剤を挟み込んで外枠内に接着材で気密に取り付けて図8に示すような中高性能フィルタ7が形成される。
【0030】
これにより、形状保持機能および強度向上を目的とした塵埃保持容量の大きなフィルタ基材と超極細繊維よりなる緻密な高密度捕捉機能を備えた超極細繊維層とを積層しているので、低い圧力損失でありながら高効率の機能を有した中高性能フィルタ7が達成される。
【実施例2】
【0031】
繊維径が0.3〜50μm、厚みが0.1〜1.0mmのガラス繊維や合繊繊維または天然繊維などからなる不織布あるいは織り布のフィルタ基材表面に、MELT―ESD法によりは生成したナノ繊維接着層を塗布し、この状態でフィルタ基材を加熱することで、熱可塑性ポリマーが再度溶けてナノ繊維とフィルタ基材を接着し、この後、再度の加熱により、目的のナノ繊維表面をフィルタ基材に積層して一体化した積層フィルタ基材にグラフト重合や薬液添着法などの手法によりイオン交換基や反応基を付与して構成したガス除去フィルタろ材を形成する。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態そのままに限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、例えば、ナノ繊維接着層を厚く塗布して、ナノ繊維が固定された基材シートを加熱した際、ナノ繊維接着層がナノ繊維の層まで浸み込みナノ繊維の集合体を強化することができるなど、複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
熱可塑性ポリマーから構成されたナノ繊維接着層をシートや固定の表面に非常に薄く塗ることで、ナノ繊維の通気性を損なわず強く固定化することができ、ナノ粒子がナノ繊維接着層に埋もれることなく、表面を最大に露出し粒子の特性を生かした薄膜を形成したナノ繊維の集合体としたことから、不織布上にナノ繊維を固定できたり、不織布の上にゼオライト、多孔性ガラスビーズを担持することで放射性物質(イオン状態を含めて)を除染することができたり、白金触媒を担持することで効率の高い反応膜を形成することができたり、カテキンの粒子を担持することで強い消臭機能を持つフィルタを作ることができたり、イオン交換樹脂の粒子を担持することで超々純水生成フィルタを作ることができるようにしたもので本発明は産業上極めて利用価値の高いものである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・基材シート 2・・・ナノ繊維接着剤 3・・・ナノ繊維接着層
4・・・ニ酸化ケイ素の粒子 5・・・外枠 6・・・フイルタろ材
7・・・中高性能フイルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8