【文献】
Shkumbin Hamiti,IEEE 802.16m System Descripiton Document[Draft],IEEE 802.16m-08/003r6,2008年12月12日,pp.1-162
【文献】
Pin-Hsun Lin et al.,Cognitive Radio with Partial Channel State Information at the Transmitter,IEEE TRANSACTIONS ON WIRELESS COMMUNICATIONS,2010年11月,VOL.9 NO.11,pp.3402-3413
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願発明に係る無線通信システム1では、
図1に示すように、アップリンクとダウンリンクにレガシーネットワークであるマルチホップリレーネットワークを使用しつつ、複数のコグニティブ無線(Cognitive Radio:CR)ユーザの共存を可能としている。こうしたマルチユーザシステムは、同じ地域において同一の時間・周波数スロットを用いる、共存トランスミッタ4と共存レシーバ3とにより構成されている。
【0018】
ダウンリンクの場合、こうした共存は、基地局2からブロードキャストされる信号を受信する共存トランスミッタ4により実現される。共存トランスミッタ4は、レガシーユーザのレートを低下させることなく、自らの信号を、第1ホップレシーバ5または第2ホップレシーバ6を指定した待ち受け信号のリレーと同時に、第1ホップレシーバ5に送信することができる。
【0019】
[本発明に係る方式に基づく送信手続き]
以下、本実施形態における送信手続きについて、トランスミッタの機能に応じ、半二重通信方式(half-duplex)および全二重通信方式(full-duplex)の2つのケースに分けて説明する。
【0020】
本実施形態における半二重通信方式および全二重通信方式による信号送信は、それぞれ
図2Aおよび
図2Bに示すフローチャートに示す手順で行われる。
【0021】
<半二重通信方式>
(第1段階)
このケースでは、
図2Aに示すように、まず、共存トランスミッタ4は、基地局2と第1ホップレシーバ5との間のコミュニケーションを受信する(ステップS1)。そして、第1ホップレシーバ5および共存トランスミッタ4は、伝送されたメッセージのデコードを試みる(ステップS2)。
【0022】
(第2段階)
共存トランスミッタ4がデコード可能である場合(ステップS2:Yes)、共存トランスミッタは、基地局2からの信号をデコードするとともに、当該信号のプリコーディングを行う(ステップS3)。
【0023】
共存トランスミッタ4は、送信前にリレーする信号を完全に把握しているため、第1ホップレシーバ5からの送信や、共存トランスミッタ4からリレーされる信号による干渉を排除すべく、GelfandPinskerコーディング等のベクタープリコーディングスキームを用いることができる。
【0024】
なお、共存トランスミッタ4がデコード不可である場合(ステップS2:No)、ステップS1に戻り、共存トランスミッタ4によるコミュニケーションの受信が継続される。
【0025】
次に、ステップS3の後、第1ホップレシーバ5による信号送信が行われる場合(ステップS4:Yes)、共存トランスミッタ4は、第2ホップレシーバ6および共存レシーバ3に対し、自機の信号を送信する(ステップS5)。
【0026】
一方、第1ホップレシーバ5による送信が行われない場合(ステップS4:No)、共存トランスミッタ4は、第1ホップレシーバ5に信号をリレーするとともに、共存レシーバ3に自機の信号を送信する(ステップS6)。
【0027】
このリレーにより、2次電力のうち利用できる電力は少なくなるものの、2次信号の伝送が第2ホップレシーバ6の信号対干渉雑音比(Signal to Interference Plus Noise Ratio:SINR)に及ぼす影響を無くすことができる。
【0028】
なお、共存トランスミッタ4によるリレーは、従来のリレーの他、後述するクリーンなリレーにより行われてもよい。
【0029】
一方、共存トランスミッタ4に加え、共存レシーバ5もまた、復号転送方式(Decode and Forward Relay Scheme)によりレガシー信号のリレーが可能であってもよい。
【0030】
この場合、まず、共存レシーバ3が、基地局2からの信号を受信する(ステップS11)。
【0031】
次に、共存レシーバ3は、受信した信号のデコードを試みる(ステップS12)。デコードが可能である場合(ステップS12:Yes)、共存レシーバ3は、第1ホップレシーバ5に信号のリレーを行う(ステップS13)。
【0032】
次に、第1ホップレシーバ5による信号送信が行われる場合(ステップS14:Yes)、共存レシーバ5から第2ホップレシーバ6に対して信号のリレーが行われる(ステップS15)。
【0033】
一方、第1ホップレシーバによる信号送信が行われない場合(ステップS14:No)、ステップS13に戻り、共存レシーバ3による第1ホップレシーバ5への信号のリレーが継続される。
【0034】
また、ステップS12において、共存レシーバ3によるデコードが不可である場合(ステップS12:No)であって、第1ホップトランスミッタによる送信が行われる場合(ステップS16:Yes)、共存レシーバ3が第1ホップレシーバ5からの信号を受信する(ステップS17)。
【0035】
そして、共存レシーバ3が受信した信号のデコードを試みる(ステップS18)。デコード可能である場合(ステップS18:Yes)、共存レシーバ3から第2ホップレシーバ6に対するリレーが行われる(ステップS19)。
【0036】
一方、デコード不可である場合(ステップS18:No)、ステップS17に戻り、共存レシーバ3による第1ホップレシーバ5からの信号の受信が継続される。
【0037】
なお、ステップS16において、第1ホップトランスミッタからの送信が行われない場合(ステップS16:No)、ステップS11に戻り、第1ホップレシーバ5と共存レシーバ3による基地局2からの信号の受信が継続される。
【0038】
上述した通信方式によると、
図2Aの左側に示す共存トランスミッタ4によるリレーのみが行われる場合と比較し、共存トランスミッタ4と共存レシーバ3の両方によるリレー、すなわち、
図2Aの左側および右側に示す両方のリレーを同時に用いることにより、リレーの効率を向上することができる。
【0039】
<全二重通信方式>
(第1段階)
このケースでは、
図2Bに示すように、まず、基地局2が信号の送信を行うとともに、共存トランスミッタ4が当該信号を受信する(ステップS21)。これにより、第1ホップレシーバ5のビットエラーレート(BER)が改善される。
【0040】
次に、共存トランスミッタ4が受信した信号のデコードを試みる(ステップS22)。共存トランスミッタ4がデコード可能である場合(ステップS22:Yes)、共存トランスミッタ4は、この段階における送信を向上するため、基地局2から受信した信号のデコードとベクタープリコーディングを行う(ステップS23)。
【0041】
このとき、共存トランスミッタ4は、基地局2から受信する因果的信号(Causal Signal)を用いてトムリンソン−ハラシマプリコーディング(Tomlinson-Harashima Precoding:THP)等のスカラープリコーディングを行うことで、基地局2からの信号のデコードが可能になるよりも前に、共存レシーバ3へのリレー信号により生じる干渉を部分的に抑制することができる。なお、ステップS22において、共存トランスミッタ4がデコード不可である場合(ステップS22:No)、共存トランスミッタ4は、信号を増幅してリレーするとともに、スカラープリコーディングされた自機の送信信号を送信する(ステップS26)。
【0042】
また、複数のアンテナが用いられる場合には、THPにより抑制し切れなかった、残存する干渉を更に低減するために、トランスミッタとレシーバの間でビームフォーミングを用いることができる。
【0043】
(第2段階)
共存トランスミッタ4が、レガシーレシーバである第1ホップレシーバ5を指定した信号のデコードを終えた後、この信号が共存トランスミッタ4から第1ホップレシーバ5へ、ノイズの影響を受けることなくリレーされる。これにより、第1ホップレシーバ5におけるBERが更に低減されるとともに、リレーの出力比が削減され、2次ネットワークにおけるBERが向上する。
【0044】
(第3段階)
第1ホップレシーバ5による受信が完了し、第1ホップレシーバ5および共存トランスミッタ4によるデコードが可能である場合、第1ホップレシーバ5と共存トランスミッタ4とが、順次送信メッセージのデコードを行う。
【0045】
そして、第1ホップレシーバ5が第2ホップレシーバ6に信号を送信すると(ステップS24:Yes)、共存トランスミッタ4は、第2ホップレシーバ6と共存レシーバ3に信号の送信を行う(ステップS25)。
【0046】
また、ステップS24において第1ホップレシーバ5による送信が行われない場合(ステップS24:No)、共存トランスミッタ4から第1ホップレシーバ5と共存レシーバ3に対し、情報の送信が行われ(ステップS27)、送信後は再び処理はステップS24へと戻る。
【0047】
なお、共存トランスミッタ4によるリレーは、従来のリレーの他、後述するクリーンなリレーにより行われてもよい。
【0048】
一方、共存トランスミッタ4に加え、共存レシーバ3もまた、増幅転送方式(Amplify and Forward Relay Scheme)により従来の信号のリレーが可能であってもよい。
【0049】
この場合、まず、基地局2が信号の送信を行うとともに、共存レシーバ3が当該信号を受信し、これを増幅するとともに、第1ホップレシーバ5に送信する(ステップS31)。
【0050】
次に、共存レシーバ3が、受信した信号のデコードを試みる(ステップS32)。デコード可能である場合(ステップS32:Yes)、共存レシーバ3はデコードを行うとともに、共存レシーバ3から第1ホップレシーバ5にリレーが行われる(ステップS33)。
【0051】
次に、第1ホップレシーバ5が信号の送信を開始した場合(ステップS34:Yes)、共存レシーバ3はデコードを行うとともに、共存レシーバ3から第2ホップレシーバ6へとリレーが行われる(ステップS35)。
【0052】
また、ステップS34において第1ホップレシーバ5による送信が行われない場合(ステップS34:No)、ステップS33に戻り、共存レシーバ3から第1ホップレシーバ5へのリレーが継続される。
【0053】
また、ステップS32において、共存レシーバ3によるデコードが不可である場合(ステップS32:No)であって、第1ホップトランスミッタによる送信が行われる場合(ステップS36:Yes)、共存レシーバ3が第1ホップレシーバ5からの信号を受信し、これを増幅するとともに、第2ホップレシーバ6へと送信する(ステップS37)。
【0054】
次に、共存レシーバ3は、ステップS37で受信した信号のデコードを試みる(ステップS38)。デコード可能である場合(ステップS38:Yes)、共存レシーバ3はデコードを行うとともに、共存レシーバ3から第2ホップレシーバ6へとリレーが行われる(ステップS39)。
【0055】
一方、ステップS38においてデコード不可である場合(ステップS38:No)、ステップS37に移行し、再度当該ステップS37の処理が行われる。
【0056】
上述した通信方式によると、共存レシーバ3から第2ホップレシーバ6へのリンク追加に自由度を持たせることにより、リレーの効率を更に向上することができる。
【0057】
なお、アップリンクの場合は、共存トランスミッタ4が第2ホップレシーバ6からの信号を受信することと、まず第1ホップレシーバ5にリレーが行われ、次に基地局2にリレーが行われる他は、ダウンリンクの場合と同様の処理が行われる。
【0058】
[チャネル推定]
上述したリレーとスカラー/ベクタープレコーディングを行うため、共存トランスミッタ4は、送受信を行うペア間のチャネル情報を取得している必要がある。
【0059】
当該ペアを、以下、(トランスミッタ、レシーバ)の順に、(BS、共存トランスミッタ)、(BS、共存レシーバ)、(BS、第1ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、第2ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、第1ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、共存レシーバ)、(第1ホップレシーバ、第2ホップレシーバ)、(第1ホップレシーバ、共存レシーバ)等のように表す。
【0060】
以下、高速及び低速/準静的フェーディングチャネルについて説明する。
【0061】
まず、チャネルが低速/準静的である場合において、レガシーネットワークおよび2次ネットワークを経るチャネルに関する以下の2つのケースのそれぞれについて、チャネル情報の有用性を説明する。
【0062】
(システム間のチャネル)
レガシーネットワークや2次ネットワークにおけるノード間、例えば、(BS、第1ホップレシーバ)、(第1ホップレシーバ、第2ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、共存レシーバ)等についてのチャネル情報は単純に、共存トランスミッタ4が通信を行うレシーバからのフィードバック情報を受信することにより得られる。
【0063】
例えば、共存トランスミッタ4は、第1ホップレシーバや第2ホップレシーバからブロードキャストされるフィードバック信号である(BS、第1ホップレシーバ)や(第1ホップレシーバ、第2ホップレシーバ)のチャネル情報を傍受することで、チャネル情報を得ることができる。
【0064】
(システム内のチャネル)
異なるネットワーク内にトランスミッタとレシーバ、例えば、(共存トランスミッタ、第1ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、第2ホップレシーバ)、(第1ホップレシーバ、共存レシーバ)等が存在し、レシーバがレガシーネットワークに存在する場合、
図3に示す、特別なチャネル推定手続が必要になる。以下、チャネル推定について、
図3を用いて説明する。
【0065】
チャネル推定手続は、チャネルの変化のスピードに応じて2つのケースが用意されている。チャネルの変化(チャネルフェーディング)が低速である場合(ステップS41,Yes)、すなわち、所定のコードワード長においてチャネルがほぼ同一の状態で存在する場合、共存トランスミッタは、当該トランスミッタと、第1ホップレシーバまたは第2ホップレシーバと、の間のチャネル推定を、元のチャネルから変化後のチャネルにフィードバックされるチャネル情報(Channel State Information:CSI)および共存トランスミッタから追加送信されるトレーニング信号に基づき行う。
【0066】
まず、最初のコードワードの冒頭部分において、基地局2は、第1ホップレシーバ5に対して、チャネル推定を行うためのトレーニングシーケンスx
tを送信する(ステップS42)。
【0067】
そして、第1ホップレシーバ5は、電力割当やビームフォーマー設計に用いるため、基地局2に対して、h(1)=h
14をフィードバックする(ステップS43)。ここで、h
14は、基地局2−第1ホップレシーバ5間のチャネルを示している。
【0068】
また、その間、共存トランスミッタは、このブロードキャストされる情報を傍受する。
【0069】
次に送信されるコードワード長において、共存トランスミッタ4は、第1ホップレシーバ5に、スケーリングされたトレーニングシーケンス長の送信準備をする(ステップS44)。
【0070】
スケーリングファクターは以下の式で示される。αは共存トランスミッタにおけるリレー比を示している。
【0072】
なお、パケットの最初のフレームについては(ステップS45:Yes)、共存トランスミッタは送信を行わず、受信のみを行う(ステップS40)。
【0073】
一方、最初のフレームでない場合には(ステップS45:No)、共存トランスミッタ4は、スケーリングされたトレーニングシーケンス長の送信を行い、レガシーレシーバは、y=(h
14+ch
24)x
t+nを受信する。ここで、h
24は共存トランスミッタ−第1ホップレシーバ間のチャネルを示している。
【0074】
こうして得られるチャネル推定結果はh(2)=h
14+ch
24となり、第1ホップレシーバ5はこれを共存トランスミッタ4にフィードバックする(ステップS46)。
【0075】
そして、再度傍受を行った後、共存トランスミッタ4は、以下の演算を行うことにより、当該トランスミッタ−第1ホップレシーバ間のチャネル推定結果を抽出ことができる(ステップS47)、リレー比を算出することができる(ステップS48)。
h
24=(h(2)−h(1))/c
【0076】
なお、
図3の第1ホップレシーバ5は、第2ホップレシーバ6に置き換えることができる。
【0077】
しかし、このcはSU比の最適化の後に得られ、当該最適化にはチャネルh
24の情報が必要であるため、ピンポン効果の問題が生じてしまう。
【0078】
この問題を解決するため、従来より、リレー比を1に近い値にするとともに、第1ホップレシーバまたは第2ホップレシーバから認識不可(Not Acknowledgment:NACK)とフィードバックがあるまで順次リレー比を減らしていくという手法が用いられている。
【0079】
ここで、リレー比を1から順次減らすことが行われ、0から順次上げることが行われない理由は、前者の場合、後者の場合よりも、第1ホップレシーバ5や第2ホップレシーバ6のエラーの比や発生確率に変化を及ぼさないで済むためである。
【0080】
共存トランスミッタ4は、第2ホップレシーバ6からNACK信号を受信すると、次に送信を行う際のリレー比を上げる。
【0081】
信号フロータイミングチャートの詳細は、
図4Aに示す通りである。
【0082】
まず、レガシートランスミッタが、レガシーレシーバにトレーニング信号x
tを送信する(ステップS61)。
【0083】
次に、レガシーレシーバが、フィードバック信号h
14をブロードキャストする(ステップS62、S63)。
【0084】
次に、フィードバック信号h
14を受信したレガシーTXは、ペイロードx
pをレガシーTXに送信する(ステップS64)。
【0085】
ペイロードx
pを受信したレガシーレシーバは、レガシートランスミッタに応答信号ACKを送信する(ステップS65)。
【0086】
そして、ACKを受信したレガシートランスミッタは、トレーニング信号x
tをレガシーレシーバに送信する(ステップS67)。
【0087】
また、ステップS62においてフィードバックh
14を受信した共存トランスミッタは、レガシーレシーバに、以下に示すトレーニング信号を送信する(ステップS66)。
【0089】
ステップS66およびステップS67によりそれぞれトレーニング信号を受信したレガシーレシーバは、フィードバックh
14+c
0h
24をブロードキャストする(ステップS68、S69)。
【0090】
このブロードキャストされたフィードバックh
14+c
0h
24を受信した共存トランスミッタとレガシートランスミッタは、それぞれレガシーレシーバに対し、ペイロードc
0x
p(2)+x
c(1)、x
p(2)を送信する(ステップS70、S71)。
【0091】
これらのペイロードを受信したレガシーレシーバは、レガシートランスミッタに応答信号ACKを送信する(ステップS72)。
【0092】
ステップS72で応答信号ACKを受信したレガシートランスミッタは、レガシーレシーバに対しトレーニング信号x
tを送信する(ステップS74)。
【0093】
また、共存トランスミッタは、トレーニング信号c
kx
t、c
k<c
k-1をレガシーレシーバに送信する(ステップS73)。
【0094】
そして、ステップS73、S74でそれぞれトレーニング信号を受信したレガシーレシーバは、フィードバック信号h
14+c
kh
24をブロードキャストする(ステップS75、S76)。
【0095】
フィードバック信号h
14+c
kh
24を受信した共存トランスミッタは、ペイロードc
kx
p(k)+x
c(2)をレガシーレシーバに送信する(ステップS77)。
【0096】
また、フィードバック信号h
14+c
kh
24を受信したレガシートランスミッタは、ペイロードx
p(k)をレガシーレシーバに送信する(ステップS78)。
【0097】
なお、共存レシーバについても、共存トランスミッタと同様にトレーニング信号を送信する態様としてもよい。こうすることで、第2ホップレシーバからのフィードバックを傍受することができ、自機と第2ホップ(または従来の)レシーバとの間のチャネル情報を取得することができる。
【0098】
図4Bは、低速・準静的フェーディングにおいて、共存レシーバによるリレーを伴う場合の通信を示すタイミングチャートである。
【0099】
まず、レガシートランスミッタは、トレーニング信号x
tをレガシーレシーバに送信する(ステップS81)。
【0100】
トレーニング信号x
tを受信したレガシーレシーバは、フィードバック信号h
14をブロードキャストする(ステップS82、S83)。
【0101】
ブロードキャストされたトレーニング信号x
tを受信したレガシートランスミッタは、ペイロードx
p(1)をレガシーレシーバに送信する(ステップS84)。
【0102】
ペイロードx
p(1)を受信したレガシーレシーバは、応答信号ACKをレガシートランスミッタに送信する(ステップS85)。
【0103】
応答信号ACKを受信したレガシートランスミッタは、トレーニング信号x
tをレガシーレシーバに送信する(ステップS87)。
【0104】
また、ステップS82においてフィードバック信号h
14を受信した共存トランスミッタは、トレーニング信号c
0x
tをレガシーレシーバに送信する(ステップS86)。
【0105】
ステップS86、S87のそれぞれにおいてトレーニング信号を受信したレガシーレシーバは、フィードバック信号h
14+c
0h
24をブロードキャストする(ステップS88、S89)。
【0106】
ブロードキャストされたフィードバック信号h
14+c
0h
24を受信した共存トランスミッタは、ペイロードc
0x
p(2)+x
c(1)をレガシーレシーバに送信する(ステップS90)。
【0107】
また、ブロードキャストされたフィードバック信号h
14+c
0h
24を受信したレガシートランスミッタは、ペイロードx
p(2)をレガシーレシーバに送信する(ステップS91)。
【0108】
ステップS91でペイロードを受信したレガシーレシーバは、レガシートランスミッタに応答信号ACKを送信する(ステップS92)。
【0109】
ステップS92で応答信号ACKを受信したレガシートランスミッタは、レガシーレシーバにトレーニング信号x
tを送信する(ステップS95)。
【0110】
また、共存トランスミッタは、トレーニング信号c
0x
tをレガシーレシーバに送信する(ステップS94)。
【0111】
また、共存レシーバは、レガシートランスミッタに対し、以下に示すトレーニング信号を送信する(ステップS93)。
【0113】
ステップS93、S94、S95のそれぞれでトレーニング信号を受信したレガシーレシーバは、フィードバック信号h
14+c
0h
24+d
0h
34をブロードキャストする(ステップS96)。h
34は共存レシーバ3−第2ホップレシーバ6間のチャネル推定を示している。
【0114】
レガシーレシーバからのフィードバック信号h
14+c
0h
24+d
0h
34を受信した共存レシーバは、ペイロードd
0x
pをレガシーレシーバに送信する(ステップS98)。このとき、共存レシーバは他のデバイスによるリレーを介さずに直接レガシーレシーバにペイロードを送信するため、これをピュアリレーという。
【0115】
また、レガシーレシーバからのフィードバック信号h
14+c
0h
24+d
0h
34を受信した共存トランスミッタは、ペイロードc
0x
p(3)−x
c(2)をレガシーレシーバに送信する(ステップS99)。
【0116】
さらに、レガシーレシーバからのフィードバック信号h
14+c
0h
24+d
0h
34を受信したレガシートランスミッタは、ペイロードx
p(3)をレガシーレシーバに送信する(ステップS100)。
【0117】
こうして2番目のペイロードの送信後、共存トランスミッタは、共存レシーバが最初のトレーニングを開始する間、同一のスケーリングファクターc
0を用いてトレーニングを行う。このとき、共存レシーバは、数4で示されるトレーニングシグナルを送信する。
【0119】
共存トランスミッタ4およびレシーバ3が更に電力割当を行うためにh
34を得られるよう、共存トランスミッタ4およびレシーバ3は、2回目のペイロードの送信前に、受信したh
14+c
0h
24+d
0h
34からh
14+c
0h
24を抽出することで、ブロードキャスト信号h
14+c
0h
24を用いることができる。
【0120】
共存レシーバ3は、次に送信を行う際には、第2ホップレシーバ6からNACK信号を受信するまでd
0を減少する。
【0121】
共存トランスミッタおよびレシーバの電力割当は、共存トランスミッタ4およびレシーバ3の総電力に制限のある環境化で、共存トランスミッタ4が電力を有効利用するために行われる。トランスミッタは、共存レシーバ3からのリレーの補助を得て、少ない電力、すなわち、c
kを上記数4に示すd
0よりも小さく設定してリレーを行うことができるとともに、自機の信号を送信する際には高い伝送速度を実現することができる。
【0122】
図3のフローチャートに戻り、チャネルが高速フェーディングである場合(ステップS41:No)、レシーバに設けられているチャネル推定器は、チャネル推定をリアルタイムで行うことも、推定された膨大なチャネル情報をフィードバックするための十分なバンド幅を確保することもできない。
【0123】
このような場合においてもリレー比を得るため、本願発明においては、以下の2つの方式が採用されている。
【0124】
(第1方式)エルゴード比の最適化
この方式では、共存トランスミッタ4がチャネルの構成を認識できない場合でも、全てのチャネルの統計データが分かれば、電力の総量に制限がある中で行われる、制約付最適化問題を解決することによるエルゴード比の最適化を通じて、リレー比を得ることができる(ステップS49)。
【0125】
(第2方式)日和見的シグナリング
この方式では、共存トランスミッタ4はチャネルに関する情報を一切保持していないと仮定される。そして、共存トランスミッタ4は、リレー比が約1で自機のデータ送信を開始するとともに、第1または第2ホップレシーバからNACK信号を受信しない場合(ステップS50:No)、当該信号を受信するまで、次第にリレー比を下げていく(ステップS52)。そして、NACK信号を受信すると(ステップS50:Yes)、共存トランスミッタ4はリレー比を上げる(ステップS51)。
【0126】
[改良されたリレー方式]
共存トランスミッタ4及び各レシーバ3、6間の伝送速度を向上するため、共存トランスミッタ4は、チャネルの状況に応じて以下に示す2つの方式のうちいずれかを選択する。
【0127】
(第1方式)共存トランスミッタ4は、
図5に示すように、自機の信号と従来の送受信機からの信号との重ね合わせを行う。この方式では、Nコードシンボルのコードワード長の全体にわたり、共存トランスミッタ4は自機の信号x
cを送信すると同時に、c
1x
pをリレーする。
【0128】
(第2方式)共存トランスミッタ4は、自機の信号と、リレーする信号とを、オーバーラップしないタイムスロットを用いて送信する。
【0129】
すなわち、N
1+N
2=Nである場合に、共存トランスミッタ4は、自機の信号x
cを最初のN
1コードシンボルで送信するとともに、次のN
2コードシンボルにおいて信号c
2x
pのリレーを行う。
【0130】
これら2つの方式の選択は、(共存トランスミッタ、第2ホップレシーバ)、(共存トランスミッタ、共存レシーバ)、(第1ホップレシーバ、第2ホップレシーバ)、および(第1ホップレシーバ、共存レシーバ)間のチャネル品質の関係に基づいて行われる。
【0131】
簡単な例を挙げると、(共存トランスミッタ、第2ホップレシーバ)間のチャネル利得のノルムが(共存トランスミッタ、第2ホップレシーバ)間のものよりも大きい場合、第2方式の方が第1方式よりも効率が良い。
【0132】
これは、上記条件下で信号の信号対干渉雑音比を一定に保つためには、共存トランスミッタはリレー信号に対してより多くの電力を割く必要があるためであり、言い換えれば、c
1が増加し、共存トランスミッタとレシーバとの間の伝送速度が減少するためである。このようなリレーは非効率的である。
【0133】
一方、第2方式を採用する場合には、自機の信号とリレー信号とを異なるタイムスロットに分割することで、自機の信号を同時送信することによるリレー効率の低下を防止することができる。
【0134】
ここで、2つの方式の切り替えは、以下の式に示す閾値を用いて行われている。
【0136】
[MIMO送受信機]
以下にトランスミッタとレシーバの構成について説明する。
【0137】
(トランスミッタ)
図6は、トランスミッタのシステム構成を示すブロック図である。トランスミッタは、データソース生成部11、チャネルコーディング・ベクタープリコーディング結合部12、チャネルコーディング部13、スカラープリコーディング部14、チャネルエンコーダ15、チャネルデコーダ19、バッファ16、ビームフォーミング・電力割当処理部17およびモジュレータ・デモジュレータ18を備えて構成されている。
【0138】
データソース生成部11は、トランスミッタから送信するデータを生成する。トランスミッタが自らデータを生成する場合には、このデータソース生成部11により当該データの生成が行われる。一方、他のデバイスから受信したリレー信号については、このデータソース生成部11は当該信号の受領を行うとともに、以降の処理を行う各構成への移行を行う。
【0139】
チャネルコーディング・ベクタープリコーディング結合部12は、信号のチャネルのエンコードを行うと同時に、ベクタープリコーディングを行う。
【0140】
チャネルコーディング部13は、信号のチャネルコーディングを行う。
【0141】
スカラープリコーディング部14は、信号のスカラープリコーディングを行う。
【0142】
チャネルエンコーダ15は、信号のエンコードを行う。
【0143】
チャネルデコーダ19は、信号のデコードを行う。
【0144】
バッファ16は、トランスミッタによる信号処理と、送受信速度との差を補うため、各データを一時的に保管しておく記憶部である。
【0145】
ビームフォーミング・電力割当処理部17は、受信した信号とチャネル情報とに基づき、共存トランスミッタが自機の信号とリレー信号とを送信するため、最適な伝送方向と伝送出力とを計算する。ここでいう最適とは、例えば、電力総量やサービス制約に基づき最大化された全体出力や最小化された送信電力を言う。
【0146】
モジュレータ・デモジュレータ18は、デジタル信号をアナログ信号に変換するとともに、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0147】
上述した構成を備えるトランスミッタは、まず、基地局または第1ホップレシーバから、第1ホップレシーバまたは第2ホップレシーバへと送信される信号を受信し、この信号のデコードを試みる。
【0148】
この信号がデコード可能な場合、トランスミッタはデコードされたメッセージをリエンコードすることで、送信された信号をノイズの無い状態で複製することができる。そして、この送信された信号は、高精度に得られたものであると扱われると共に、当該信号はチャネルのエンコードと同時にベクトルプリコーディングされる。
【0149】
一方、送信された信号がレガシーユーザまたは基地局からのものである場合には、共存トランスミッタはデコードを行うことができず、チャネルデコーダはスカラープリコーディングを選択する。
【0150】
スカラープリコーディングとベクトルプリコーディングの何れかを選択したことを示す情報は、コントロールチャネルを通じ、1ビットで、共存レシーバに送信される。
【0151】
一方、受信した信号とチャネル情報とに基づき、ビームフォーミング・電力割当処理部は、共存トランスミッタが自機の信号とリレー信号とを送信するため、最適な伝送方向と伝送出力とを計算する。
【0152】
自機の信号とリレー信号とが直列に結合された後、当該結合された信号は、共存トランスミッタにより送信される。
【0153】
(レシーバ)
図7は、レシーバのシステム構成を示すブロック図である。レシーバは、データ受信部21、チャネルデコーディング・ベクタープリコーディング結合部22、チャネルでコーディング部24、スカラープリコーディング部23、増幅・送信部25、デコード・送信部26、レシーバビームフォーミング部27、トランスミッタビームフォーミング・電力割当部28、モジュレータ・デモジュレータ29、を備えて構成されている。
【0154】
データ受信部21は、受信した一連のデータの蓄積を行う記憶部である。
【0155】
チャネルデコーディング・ベクタープリコーディング部22は、信号のチャネルのデコードを行うと同時に、ベクタープリコーディングを行う。
【0156】
チャネルデコーディング部24は、信号のデコードを行う。
【0157】
スカラープリコーディング部23は、信号のスカラープリコーディングを行う。
【0158】
増幅・送信部25は、信号の増幅と送信処理とを行う。
【0159】
デコード・送信部26は、信号のデコードと送信とを行う。
【0160】
レシーバビームフォーミング部27は、チャネルの状態を示す情報に基づき、トランスミッタと同様の最適化の基準を用いて、最適なレシーバのビームフォーミングを算出する。レシーバはこのビームフォーマーにより、基地局や第1ホップレシーバからの干渉を軽減することができる。
【0161】
トランスミッタビームフォーミング(TX−BF)・電力割当部28は、トランスミッタが最適なビームフォーミングおよび電力割当を行うためのフィードバック情報の生成を行う。
【0162】
モジュレータ・デモジュレータ29は、デジタル信号をアナログ信号に変換するとともに、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0163】
上述した構成を備えるレシーバは、対応するデコード方式を選択するための制御信号を受信し、データメッセージを復元する。
【0164】
レシーバが共存レシーバ3であり、第2ホップレシーバ6へのデータのリレーに用いられる場合、共存レシーバ3はレシーバビームフォーマーの信号を受信し、当該信号がデコード可能か否かにより、増幅と送信を行うか、またはデコードと送信を行うかの選択を行う。
【0165】
そして、それぞれの信号はトランスミッタビームフォーミング・電力割当部28を通り、出力が適切に調整された後、第2ホップレシーバ6へと送信される。
【0166】
図8は、
図1に示すダウンリンクシステムにおいて、本発明に係る伝送方式を用いた場合と用いない場合のサムレート比を示すグラフである。ここで、本発明に係る伝送方式を用いない場合とは、共存するシステムが従来の日和見的コグニティブ無線システム、すなわち、使用されていないスペクトラムを検出したときのみアクティブになるシステムを意味している。
【0167】
なお、基準レートとして、基地局と第1・第2ホップレシーバとの間(「PU」ともいう。)の伝送速度が用いられていて、基準レートが0の場合とは、PUシステムにおいて伝送が行われていない場合を示している。このPUがサイレントである場合の確率をpと示す。
【0168】
図8より、全体的なサムレートは、PUおよび共存するシステムのレートの総量により定義されていて、これにより所定の地域におけるスペクトラム利用が促進されていることを容易に確認することができる。
【0169】
また、下側のグラフのp=0〜0.5の領域は、PUにより高頻度で用いられるスペクトラムである。本発明に係る方式を用いた場合の曲線から、p=0〜0.5の領域においては、いかなる共存方式も用いていない場合よりも、サムレートが6倍〜10倍向上していることが分かる。
【0170】
PUが従来のコグニティブ無線システムと共存する場合、従来の方式によってもネットワークのサムレートをある程度向上することはできるものの、本発明に係る方式は、従来の方式よりも際立つ効果を有している。
【0171】
図9は、従来のIEEE802.22bに準拠するシステムにおけるダウンストリーム通信処理を示している。本発明をこのIEEE802.22bに準拠するシステムに適用した例について説明する。
【0172】
図9に示すように、IEEE802.22bに準拠するシステムでは、基地局の周辺に、H−CPE(High Capability Consumer Premise Entity)およびL−CPE(Low-Capability Consumer Premise Entity)の2つのタイプのデバイスが存在している。
【0173】
H−CPEは、複数のアンテナを備え、マルチホップリレー(最大2ホップ)等のチャネルアグリゲーションとネットワーク管理とを行うことができる。すなわち、H−CPEは、信号を他のL−CPEやH−CPEにリレーすることができる。
【0174】
L−CPEは、単一のアンテナを備え、チャネルアグリゲーションも、ネットワーク管理も行うことはできない。
【0175】
H−CPEまたはL−CPEと基地局との間のいずれのリンクにおいても、ダウンストリーム通信はTDMAを用いて実行される。
【0176】
上述した本願発明に係る共存方式のいずれも用いない場合、IEEE802.22bに準拠するシステムの基地局は、4つのリンクしか確立することができず、また、各リンクでは、規定されているデータレート下で通信が行われる。
【0177】
しかし、IEEE802.22bに準拠するネットワークに本発明に係る共存方式を採用した場合は、
図10に示すように、サポートされるリンクの数と、スループットの総量とを増加することができる。
【0178】
図10に示すサブネットワーク1、3のいずれにおいても、1ホップの伝送しか行われていないため、共存トランスミッタは基地局からの信号の待ち受けと、H−CPEまたはL−CPEへのリレーの補助のみを行う。
【0179】
一方、サブネットワーク2、4においては、2ホップの伝送が行われているとともに、共存トランスミッタは第1ホップレシーバと第2ホップレシーバのいずれに対するリレーも補助することができる。この処理のフローチャートは
図2および
図3に示され、リレー比を得る処理を示すタイミングチャートは
図4に示され、また、リレー方式は
図5に示されている。
【0180】
IEEE802.22bに準拠するシステムの基地局によりカバーされるエリア内では、4つのリンクに対して影響を及ぼすことなく、各サブネットワークが追加のリンクに適応することができる。これにより、所定の時間と周波数、地理位置においてサポートされるリンクやデバイスの数およびスループットの総量を増加することができる。
【0181】
このパフォーマンスの向上は、従来オーバーラップせずに送信を行っていた共存トランスミッタが、レガシーレシーバのSINR(Signal to Interference and Noise Power Ratio:信号対雑音干渉電力比)を変更することなく、送信出力の一部をレガシーユーザの信号の中継に利用可能となることで実現されている。
【0182】
また、リレーを行う共存トランスミッタは、SINRに影響を及ぼさないため、同時に自身の信号を、同一の時間・周波数スロットにおいて、他のユーザに影響を及ぼすことなく送信することができる。これは、BS(Base Station:基地局)が、どの信号をリレーすべきか共存トランスミッタに知らせる信号を、全てのレシーバに対してブロードキャストすることで実現される。
【0183】
上述した本発明によると、時間・周波数スロットの有効活用と、システムのスループットの向上を実現することができる。