【発明が解決しようとする課題】
【0018】
先願発明では、受電コイル120及び共振コンデンサC
rによる共振周波数が電源周波数と完全に一致している場合には受電回路320の入力力率が1となるが、共振周波数が電源周波数からずれると、受電回路320の入力力率は低下する。その理由を、以下に説明する。
【0019】
図32は、受電コイル120及び共振コンデンサC
rによる共振周波数が電源周波数からずれている場合の、受電回路320の入力側等価回路を示している。
図32では、受電コイル120に誘起される電圧v
inを交流電源として表してあり、また、符号400は、受電回路320と負荷Rとに相当するインピーダンスを示している。但し、一般的に、負荷Rに対してその他のインピーダンスは無視できるため、符号400は負荷Rに相当する純抵抗とみなすことができる。
更に、
図33は受電コイル120を流れる電流i、受電コイル120の誘起電圧v
in、ブリッジ回路の交流端子間電圧v及びその基本波成分v’の動作波形を示している。
図32に示すように、受電コイル120のインダクタンスをL[H]、共振コンデンサC
rのキャパシタンスを部品の符号と同様にC
r[F]とし、更に、電源周波数をf
s[Hz]とした場合、インダクタンスLと共振コンデンサC
rとの合成インダクタンスL
s[H]は数式1により定義される。
【数1】
【0020】
一方、受電コイル120及び共振コンデンサC
rからなる共振回路の共振周波数は、数式2によって表される。
【数2】
従って、f
c=f
sのときL
s=0,f
c≠f
sのときL
s≠0となる。
また、
図31に示した制御方法によれば、v’の位相はiと一致している。このため、受電コイル120の電流iがIsinωtと表されるとき、v’はV’sinωtと表すことができる。
【0021】
これに対し、v
inは、
図32によりvの基本波成分v’とv
Lとの和によって表され、数式3のようになる。
【数3】
L
s=0の場合にはv
in=V’sinωtとなり、v
inとi(=Isinωt)との位相差θは0になって受電回路320の入力力率は1となる。しかし、L
s≠0の場合には、
図33に示すようにv
inとiとは位相差θを持つため、入力力率は低下することとなる。
【0022】
そこで、本発明の解決課題は、L
s≠0、すなわち受電コイル及び共振コンデンサによって構成される共振回路の共振周波数が電源周波数と一致していない場合にも、受電回路の入力力率を向上させて装置全体の損失を抑え、小型化及び低コスト化を可能とした給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路を2個直列に接続したスイッチングアーム直列回路を少なくとも一相分、備えた給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内の一方のゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として
、その前後に、前記補償期間と前記共振回路に加わる電圧とに基づいて算出した同一期間だけ零電圧となり、その他の期間は前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。
【0024】
請求項2に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路と、ダイオードとの直列回路を、複数、並列に接続して構成される給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内の一方のゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として
、その前後に、前記補償期間と前記共振回路に加わる電圧とに基づいて算出した同一期間だけ零電圧となり、その他の期間は前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。
【0025】
請求項3に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路を2個直列に接続したスイッチングアーム直列回路を少なくとも一相分、備えた給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内のそれぞれのゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として
、その前後に、前記補償期間と前記共振回路に加わる電圧とに基づいて算出した同一期間だけ零電圧となり、その他の期間は前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。
【0026】
請求項4に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路と、ダイオードとの直列回路を、複数、並列に接続して構成される給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内のそれぞれのゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と 前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として
、その前後に、前記補償期間と前記共振回路に加わる電圧とに基づいて算出した同一期間だけ零電圧となり、その他の期間は前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。
【0027】
請求項5に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路を2個直列に接続したスイッチングアーム直列回路を少なくとも一相分、備えた給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内のそれぞれのゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として、前後に同じ期間だけ前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧となり、その他の期間は零電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。
【0028】
請求項6に係る発明は、外部との磁気結合により電力を授受する受電コイルと、
前記受電コイルの一端が、前記受電コイルと共に共振回路を構成する共振コンデンサを介して一方の交流端子に接続され、かつ、前記受電コイルの他端が他方の交流端子に接続されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の直流端子間に接続された平滑コンデンサと、を備え、
前記平滑コンデンサの両端に負荷が接続されると共に、
前記ブリッジ回路が、半導体スイッチとダイオードとの逆並列接続回路と、ダイオードとの直列回路を、複数、並列に接続して構成される給電装置において、
前記受電コイルを流れる入力電流を検出する電流検出手段と、
前記ブリッジ回路の直流端子間電圧を検出する電圧検出手段と、
前記半導体スイッチをスイッチングする制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記ブリッジ回路の交流端子間電圧が、
前記入力電流の一周期内のそれぞれのゼロクロス点から、前記共振回路に加わる電圧と前記受電コイルの誘起電圧とから算出した補償期間をずらした点を中心として、前後に同じ期間だけ前記直流端子間電圧を波高値とする正負電圧となり、その他の期間は零電圧になるように前記半導体スイッチをスイッチングするものである。