(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124345
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】前窓のガイドレール構造
(51)【国際特許分類】
B60J 1/00 20060101AFI20170424BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20170424BHJP
E02F 9/16 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
B60J1/00 F
B62D25/08 A
E02F9/16 E
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-251659(P2013-251659)
(22)【出願日】2013年12月5日
(65)【公開番号】特開2015-107741(P2015-107741A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2015年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 哲士
【審査官】
森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】
実用新案登録第2517514(JP,Y2)
【文献】
特開2003−129751(JP,A)
【文献】
特開2002−088810(JP,A)
【文献】
実開平06−085452(JP,U)
【文献】
特開平08−302745(JP,A)
【文献】
実用新案登録第2539293(JP,Y2)
【文献】
実用新案登録第2554280(JP,Y2)
【文献】
特開2009−173228(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0283290(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00−1/04
B62D 25/08
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室前面の窓用開口部を閉じる閉位置と運転室天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在な前窓を設けてなる作業用車両において、前記前窓の開閉をガイドする左右一対のガイドレールを、運転室天井面に沿って前後方向に延びるように配され、前窓の上部に取付けられた上側ローラを移動自在にガイドするローラガイド溝を有した上側ガイドレール部と、運転室前面に沿って上下方向に延びるように配され、前窓の下部に取付けられた下側ローラを移動自在にガイドするローラガイド溝を有した前側ガイドレール部とを備えて構成するとともに、前記上側ガイドレール部のローラガイド溝の閉位置側端部に、上側ローラの下面が当接する溝下面を、該閉位置側端部より開位置側の前後方向に直線状に延びる部位の閉位置側端から上方に折曲せしめて閉位置側ほど高位となるよう傾斜した減速用傾斜部を設けて、下側ローラが前側ガイドレール部の閉位置側終端に達する前の閉鎖位置側終端よりも上位置にいる段階で、前記直線状に延びる部位を移動してきた上側ローラを、前記減速用傾斜部の溝下面を閉位置側に向けて上昇移動させることで前窓の閉鎖速度を減速させるように構成したことを特徴とする前窓のガイドレール構造。
【請求項2】
請求項1において、減速用傾斜部の溝下面は、上側ローラが減速用傾斜部の開位置側端に位置したときの下側ローラを中心とする円弧形状に形成されることを特徴とする前窓のガイドレール構造。
【請求項3】
請求項1または2において、上側ガイドレール部は、減速用傾斜部よりも閉位置側の閉位置側終端部に、キャブ前面に向けて直線状に延びる延長部を備えることを特徴とする前窓のガイドレール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業用車両の運転室に設けられる前窓のガイドレール構造の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の作業用車両の運転室に設けられる前窓のなかには、運転室前面の窓用開口部を閉じる閉位置と、運転室天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在に構成されたものがある。このものにおいて、前窓の開閉移動をガイドする左右一対のガイドレールは、通常、運転室天井面に沿って前後方向に延びるように配され、前窓の上部に取付けられた上側ローラを移動自在にガイドする上側ガイドレール部と、運転室前面に沿って上下方向に延びるように配され、前窓の下部に取り付けられた下側ローラを移動自在にガイドする前側ガイドレール部とを備えて構成されているが、この様に上側ガイドレール部と前側ガイドレール部とを備えたガイドレールとして、従来、上側ガイドレール部のローラガイド溝と前側ガイドレール部のローラガイド溝とを連続させないように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献2】特開2009−173228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば油圧ショベルのキャブ(運転室)に設けられる前窓は、オペレータの視界を広く確保するためになるべく大きくすることが要求されるが、大きい前窓は重量も重く、このため前窓を閉めた際に衝撃が生じる。特に、前述した上側ガイドレール部のローラガイド溝と前側ガイドレール部のローラガイド溝とを連続させない構成のガイドレールの場合には、前窓の閉鎖時に下側ローラが前側ガイドレール部の下端部に達するのと同時的に上側ローラが上側ガイドレール部の前端部に達するため、前窓の上下部に衝撃が働いてしまうことになるが、前窓を閉める際の衝撃が大きいと、飛び石などで生じた傷を起点として窓ガラスが破損してしまう惧れがあり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、運転室前面の窓用開口部を閉じる閉位置と運転室天井部に収納されて窓用開口部を開く開位置とに開閉自在な前窓を設けてなる作業用車両において、前記前窓の開閉をガイドする左右一対のガイドレールを、運転室天井面に沿って前後方向に延びるように配され、前窓の上部に取付けられた上側ローラを移動自在にガイドするローラガイド溝を有した上側ガイドレール部と、運転室前面に沿って上下方向に延びるように配され、前窓の下部に取付けられた下側ローラを移動自在にガイドするローラガイド溝を有した前側ガイドレール部とを備えて
構成するとともに、前記上側ガイドレール部のローラガイド溝の閉位置側端部に、
上側ローラの下面が当接する溝下面を、該閉位置側端部より開位置側の前後方向に直線状に延びる部位の閉位置側端から上方に折曲せしめて閉位置側ほど高位となるよう傾斜した減速用傾斜部を設けて、下側ローラが前側ガイドレール部の閉位置側終端に達する前の
閉鎖位置側終端よりも上位置にいる段階で、前記直線状に延びる部位を移動してきた上側ローラ
を、前記減速用傾斜部
の溝下面を閉位置側に向けて上昇移動
させることで前窓の閉鎖速度を減速させるように構成したことを特徴とする前窓のガイドレール構造である。
請求項2の発明は、請求項1において、減速用傾斜部
の溝下面は、上側ローラが減速用傾斜部の開位置側端に位置したときの下側ローラを中心とする円弧形状に形成されることを特徴とする前窓のガイドレール構造である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、上側ガイドレール部は、減速用傾斜部よりも閉位置側の閉位置側終端部に、キャブ前面に向けて直線状に延びる延長部を備えることを特徴とする前窓のガイドレール構造である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、下側ローラが閉位置側終端に達する前の段階で、上側ローラが減速用傾斜部を閉位置側に向けて上昇移動することで前窓の閉鎖速度が減速されることになり、この結果、前窓を閉めたときに前窓の上下部に働く衝撃を小さくすることができて、閉鎖時の衝撃により飛び石などで生じた傷を起点として窓ガラスが破損してしまうような不具合を回避することができる。しかも、前窓を開ける場合には、上側ローラが減速用傾斜部を開位置側に向けて下降移動することになるため、減速用傾斜部が前窓を開ける操作の抵抗になってしまうことを確実に回避できる。
請求項2の発明とすることにより、上側ローラが減速用傾斜部を上昇移動するときの操作力を軽くすることができる。
請求項3の発明とすることにより、閉位置側終端部において上側ローラが延長部によってキャブ前面に向けてガイドされることで、前窓を窓用開口部の周縁部に装着された雨水浸入防止用のシール部材に対して略垂直に押付けることができることになり、よって、前窓と窓用開口部周縁部のシール部材との間のシール性を確実に確保することができる。さらに、閉位置側終端部において上側ローラが延長部によってキャブ前面に向けてガイドされることで、前窓は該前窓の下側に配される下窓に対しても押付けられることになり、これにより前窓と下窓との間のシール部材を片寄りなく圧縮できることになって、前窓と下窓との間のシール性も確実に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】前窓を閉鎖させるときの状態を示す図である。
【
図3】前窓が開閉途中のときの状態を示す図である。
【
図4】上側ガイドレール部の閉位置側部分を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は油圧ショベル等の作業用車両に設けられるキャブ(本発明の運転室に相当する)であって、本実施の形態では略直方体形状をしているが、該キャブ1の前面2には、窓用開口部2aが開設されている。3は該窓用開口部2aを開閉する前窓であって、該前窓3は、上下左右の窓枠にガラス板等の透明板を組付けて構成されているが、該前窓3の左右両側の上下部には、左右一対の上側ローラ4、下側ローラ5がそれぞれブラケット6、7を介して回転自在に取付けられている。そして、これら上側ローラ4、下側ローラ5が後述する左右一対のガイドレール8にガイドされることによって、前窓3は、窓用開口部2aを閉じる閉位置と、キャブ1の天井部に収納されて窓用開口部2aを開く開位置とに開閉移動する構成になっている。尚、閉位置、開位置の前窓3は、図示しないロック装置によって各位置にロックされるようになっている。また、図示しないが、前窓3には、該前窓3を開閉するときにオペレータが把持する把手が設けられている。さらに、図中、11はキャブ前面2において前窓3の下側に設けられる下窓である。
【0009】
前記ガイドレール8は、キャブ1の天井面9に沿って前後方向に延びるように配される上側ガイドレール部8Aと、キャブ1の前面2に沿って上下方向に延びるように配される前側ガイドレール部8Bと、キャブ1の前面2と天井面9とのコーナー部に配されるR状のコーナーガイドレール部8Cとから形成されている。
【0010】
前記上側ガイドレール部8A、前側ガイドレール部8B、コーナーガイドレール部8Cは、何れも、上側ローラ4或いは下側ローラ5が移動自在に嵌合される断面コ字形状のローラガイド溝8Aa、8Ba、8Caを有しているが、前側ガイドレール部8Bのローラガイド溝8Baとコーナーガイドレール部8Cのローラガイド溝8Caとは連続している一方、上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaは、コーナーガイドレール部8Cのローラガイド溝8Caの上側に位置していて、前側ガイドレール部8B、コーナーガイドレール部8Cのローラガイド溝8Ba、8Caとは連続しないように構成されている。そして、連続している前側ガイドレール部8B、コーナーガイドレール部8Cのローラガイド溝8Ba、8Caには、下側ローラ5が移動自在にガイドされる構成になっていると共に、該下側ローラ5は、前窓3が閉位置のときには前側ガイドレール部8Bのローラガイド溝8Baの下端部に位置し、前窓3が開位置のときにはコーナーガイドレール部8Cのローラガイド溝8Caの後端部に位置するように設定されている。
【0011】
また、上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaには、上側ローラ4が移動自在にガイドされる構成になっていると共に、該上側ローラ4は、前窓3が閉位置のときには上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaの前端部に位置し、前窓3が開位置のときにはローラガイド溝8Aaの後端部に位置するように設定されているが、該上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaの閉位置側端部(前端部)には、
図2〜図4に示す如く、上側ローラ4の下面が当接する溝下面8AaXaを、該閉位置側端部より開位置側の前後方向に直線状に延びる部位8AaZの閉位置側端から上方に折曲せしめて閉位置側ほど高位になるよう傾斜した減速用傾斜部8AaXが形成されている。該減速用傾斜部8AaXは、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXの閉位置側端(減速用傾斜部8AaXの後端)に位置したときの下側ローラ5を中心とする円弧状に形成されていて、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを移動している間は下側ローラ5は停止しているように構成されている。そして、開位置の前窓3を閉鎖するときには、前窓3は上側ローラ4が上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaにガイドされ、下側ローラ5がコーナーガイドレール部8Cおよび前側ガイドレール部8Bのローラガイド溝8Ca、8Baにガイドされる状態で閉位置側に移動するが、この場合に、
図2に示す如く、下側ローラ5が前側ガイドレール部8Bのローラガイド溝8Baの閉位置側終端(ローラガイド溝8Baの下端位置)に達する前の
閉位置側終端よりも上位置にいる段階で、
前記直線状に延びる部位8AaZを移動してきた上側ローラ4が前記減速用傾斜部8AaXを閉位置側に向けて上昇移動するように構成されており、これにより、閉位置に達する前の段階で前窓3の閉鎖速度を減速させることができるようになっていると共に、減速用傾斜部8AaXが下側ローラ5を中心とする円弧状に形成されているため、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを上昇移動するときの操作力を軽くすることができるようになっている。一方、前窓3を開けるときには、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを開位置側に向けて下降移動するため、減速用傾斜部8AaXが前窓3を開ける操作の抵抗にならないように構成されている。
【0012】
さらに、上側ガイドレール部8Aのローラガイド溝8Aaには、前記減速用傾斜部8AaXよりも閉位置側の閉位置側終端部に、キャブ前面2に向けて直線状に延びる延長部8AaYが形成されており、該延長部8AaYによって、上側ローラ4を、キャブ前面2に向けて直線的にガイドすることができるようになっている。そして、閉位置側終端部において上側ローラ4がキャブ前面2に向けて直線的にガイドされることで、窓用開口部2aの周縁部に装着された雨水浸入防止用のシール部材10に対して前窓3を略垂直に押付けることができると共に、前窓3を該前窓3の下側に配される下窓11に押し付けることができるようになっており、さらに、該押付けたときにロック装置によって前窓3を閉位置にロックするように構成されている。
尚、前側ガイドレール部8Bのローラガイド溝8Baの閉位置側端部(ローラガイド溝8Baの下端部)には、斜め下前方に向けて折曲された折曲部8BaZが形成されている。そして、該折曲部8BaZは、上側ローラ4が前記減速傾斜部8AaXおよび延長部8AaYを移動するときの下側ローラ5をガイドするように構成されており、該折曲部8BaZの下端部が下側ローラ5の閉位置側終端位置になっている。
【0013】
一方、12はアシストケーブルであって、該アシストケーブル12の先端側は、リンク13を介して前窓3の下部に連結されている。一方、アシストケーブル12の基端側は、前記前側ガイドレール部8B、コーナーガイドレール部8C、上側ガイドレール部8Aにローラガイド溝8Ba、8Ca、8Aaと並設する状態で設けられたケーブルガイド溝8Bb、8Cb、8Abにガイドされる状態でキャブ1の天井後部に至り、該天井後部に配設された巻取装置14に連結されていると共に、該巻取装置14には、アシストケーブル12を常に巻取り側に付勢する巻取りバネ(図示せず)が内装されている。そして、該巻取りバネの付勢力がアシストケーブル12を介して前窓3に作用することによって、オペレータが前窓3を開閉するときの労力を軽減できる構成になっている。
【0014】
叙述の如く構成された本形態において、作業用車両のキャブ1には、キャブ前面2の窓用開口部2aを閉じる閉位置とキャブ天井部に収納されて窓用開口部2aを開く開位置とに開閉自在な前窓3が設けられており、そして、該前窓3の開閉をガイドする左右一対のガイドレール8は、キャブ天井面9に沿って前後方向に延びるように配され、前窓3の上部に取付けられた上側ローラ4を移動自在にガイドするローラガイド溝8Aaを有した上側ガイドレール部8Aと、キャブ前面2に沿って上下方向に延びるように配され、前窓3の下部に取付けられた下側ローラ5を移動自在にガイドするローラガイド溝8Baを有した前側ガイドレール部8Bとを備えて形成されているが、このものにおいて、前記上側ガイドレール部8Aの閉位置側端部には、ローラガイド溝8Aaの
溝下面8AaXaを、該閉位置側端部より開位置側の前後方向に直線状に延びる部位8AaZの閉位置側端から上方に折曲せしめて閉位置側ほど高位となるよう傾斜した減速用傾斜部8AaXが設けられており、そして、前窓3を閉鎖させるときに下側ローラ5が前側ガイドレール部8Bの閉位置側終端に達する前の段階で上側ローラ4が前記減速用傾斜部8AaXを閉位置側に向けて上昇移動することで、前窓3の閉鎖速度が減速されることになる。
【0015】
而して、下側ローラ5が閉位置側終端に達する前の段階で、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを閉位置側に向けて上昇移動することで前窓3の閉鎖速度が減速されることになり、この結果、前窓3を閉めたときに前窓3の上下部に働く衝撃を小さくすることができて、閉鎖時の衝撃により飛び石などで生じた傷を起点として窓ガラスが破損してしまうような不具合を回避することができる。
【0016】
しかもこのものにおいて、前窓3を開ける場合には、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを開位置側に向けて下降移動することになるため、減速用傾斜部8AaXが前窓3を開ける操作の抵抗にならず、而して、前窓3の閉鎖速度を減速させるために減速用傾斜部8AaXが設けられていても、該減速用傾斜部8AaXが前窓3を開けるときに抵抗になってしまうことを確実に回避できる。
【0017】
さらに、前記減速用傾斜部8AaXは、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXの開位置側端に位置したときの下側ローラ5を中心とする円弧形状に形成されてから、上側ローラ4が減速用傾斜部8AaXを上昇移動するときの操作力を軽くすることができる。
【0018】
また、このものにおいて、上側ガイドレール部8Aは、減速用傾斜部8AaXよりも閉位置側の閉位置側終端部に、キャブ前面2に向けて直線状に延びる延長部8AaYを備えており、而して、閉位置側終端部において該延長部8AaYによって上側ローラ4がキャブ前面2に向けてガイドされることで、前窓3を窓用開口部2aの周縁部に装着された雨水浸入防止用のシール部材10に対して略垂直に押付けることができることになり、よって、前窓3とシール部材10との間のシール性を確実に確保できることになる。さらに、閉位置側終端部において延長部8AaYによって上側ローラ4がキャブ前面2に向けてガイドされることで、前窓3は該前窓3の下側に配される下窓11にも押付けられることになり、これにより前窓3と下窓11との間のシール部材を片寄りなく圧縮できることになって、前窓3と下窓11との間のシール性も確実に確保することができる。
【0019】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、上記実施の形態において減速用傾斜部8AaXは円弧状に形成されているが、減速用傾斜部を、ローラガイド溝の
溝下面が閉位置側ほど高位となるよう傾斜した直線状に形成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、油圧ショベル等の作業用機械において、運転室に開閉自在な前窓を設ける場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 キャブ
3 前窓
4 上側ローラ
5 下側ローラ
8 ガイドレール
8A 上側ガイドレール部
8Aa ローラガイド溝
8AaX 減速用傾斜部
8AaY 延長部
8B 前側ガイドレール部
8Ba ローラガイド溝