【実施例】
【0020】
以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0021】
<実施例1>
(1)「東京うこっけい」の飼育
85週齡(595日齢)の採卵用の「東京うこっけい」を48羽について4羽を1群とした12群に区分し、A群、B群、C群及びD群の4区からなる各区に3反復群ずつを割付けて、それぞれ次に示す飼料を28日間給与し飼育した。鶏舎はヒナ段式の産卵用単飼ケージ(奥行39cm×幅22cm×高さ45cm)を設置した開放型鶏舎を用い、供試鶏を連続するケージに収容して飼料と飲水を不断給与した(自由に摂取させた)。照明条件は、16時間点灯(午前4時から午後8時)とした。
【0022】
・A群(対照区):市販の鶏用配合飼料給与区(市販の鶏用配合飼料・JA東日本くみあい株式会社(群馬県)、商品名;マル群チキンフーズ仕上(ブロイラー仕上げ用の飼料)、配合割合;穀類62%、植物性油かす類25%、そうこう類5%、その他(植物性油脂、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、食塩、無水ケイ酸、小麦胚芽)8%、成分量;粗蛋白質17.0%以上、粗脂肪4.0%以上、粗繊維5.0%以下、粗灰分8.0%以下、カルシウム0.80%以上、リン0.45%以上、代謝エネルギー3180kcal/kg以上)
・B群(本発明区):市販の鶏用配合飼料の5質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与
・C群(本発明区):市販の鶏用配合飼料の10質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与
・D群(本発明区):市販の鶏用配合飼料の20質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与
【0023】
なお、アシタバ乾燥粉末としては、アシタバ茎葉を60±5℃程度の温度で適宜攪拌しながら、水分含量10%以下に乾燥させた後に、150mesh(約0.106mm)程度に粉砕したものを用いた。
その結果、市販の鶏用配合飼料の5質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与したB群(本発明区)の「東京うこっけい」は、1日1羽あたり平均約64.9gの餌を摂取していた。従って、アシタバ乾燥粉末としては、平均約3.245g摂取したことになる。この群の「東京うこっけい」の平均体重は、1140gであったので、アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取していたことになる。
次に、市販の鶏用配合飼料の10質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与したC群(本発明区)の「東京うこっけい」は、1日1羽あたり平均約61.1gの餌を摂取していた。従って、アシタバ乾燥粉末としては、平均約6.113g摂取したことになる。この群の「東京うこっけい」の平均体重は、1149gであったので、アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取していたことになる。
さらに、市販の鶏用配合飼料の20質量%分を、アシタバ乾燥粉末で代替したものを給与したD群(本発明区)の「東京うこっけい」は、1日1羽あたり平均約52.7gの餌を摂取していた。従って、アシタバ乾燥粉末としては、平均約10.542g摂取したことになる。この群の「東京うこっけい」の平均体重は、1192gであったので、アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取していたことになる。
【0024】
(2)肉質の検討
上記(1)で飼育された、各群の「東京うこっけい」を、飼育期間終了後に、と鳥して、ムネ肉の粗脂肪含量、モモ肉の粗脂肪含量、ムネ肉の過酸化脂質の生成量、モモ肉の過酸化脂質の生成量を調べた。また、合わせて、飼育期間終了直後で、と鳥時の各群の「東京うこっけい」について、血中の抗酸化活性を調べた。これらの結果を
図1〜5に示す。
【0025】
なお、ムネ肉やモモ肉の粗脂肪含量は、ソックスレー抽出器を用いたエーテル抽出法で抽出し、次式により求めた。
【0026】
粗脂肪含量(%)=[脂肪抽出後の脂肪ビンの重さ(g)−脂肪抽出前の脂肪ビンの重さ(g)]/サンプル肉の採取量(g)×100
【0027】
また、ムネ肉やモモ肉の過酸化脂質の生成量は、TBA法により測定した。
ここでTBA法は、食肉の脂質酸化測定法として最も良く使用されている方法であって、酸性条件下の試料にTBA(チオバルビツール酸)を加えると、過酸化脂質が分解されて遊離するTBARS(チオバルビツール酸反応物質)と反応して赤色色素が生じるので、これを比色によって測定するものである。チオバルビツール酸反応物質としては、MDA(マロンジアルデヒド)である。
詳しくは、細断したサンプル肉10gをビーカーに入れ、20%トリクロロ酢酸25mlを加えて約1分間ホモジナイズする。ホモジナイズしたサンプルを50mlメスフラスコに移し、蒸留水でメスアップする。メスフラスコを転倒攪拌した後、ろ紙でろ過する。ろ液5mlを蓋付褐色試験管に分取し、0.005M TBA溶液を5ml加えて攪拌する。常温の暗所環境下で16時間反応させ、分光光度計で波長532nmの吸光度を測定する。標品として1,1,3,3−テトラエトキシプロパンを用いて検量線を作成し、マロンジアルデヒド量としてチオバルビツール反応物質を定量した。
【0028】
さらに、血中の抗酸化活性は、赤血球SOD活性を調べることにより行った。
即ち、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)は、活性酸素スーパーオキシドアニオンラジカル(O2
−)を過酸化水素と酸素に分解する酵素であり、この活性を調べることにより、血中の抗酸化活性とした。
赤血球SOD活性は、測定キットとして(株)同仁化学研究所製の「SOD Assay Kit−WST」を用いて測定した。試薬および赤血球試料の調製は、本キットの操作方法に従って行った。詳しくは、XanthineとXanthine oxidaseにより発生したスーパーオキシドアニオンラジカルは、発色試薬WST-1と反応することによって生成する水溶性ホルマザンであるWST-1ホルマザンが黄色を呈するため、その極大吸収波長付近である450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。WST還元の阻害率50%(IC
50)を示す赤血球溶液20μlに含まれるSOD量を1単位(U)として、阻害曲線よりIC
50が得られる希釈率を求めてこれに乗じて血液中のユニット数を計算した。
【0029】
図1によれば、本発明区(B群〜D群)は、対照区と比べて、ムネ肉(浅胸筋)中の粗脂肪含量を顕著に低減したことが分かる。
即ち、市販の鶏用配合飼料の5質量%分以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、対照区と比べて、ムネ肉(浅胸筋)中の粗脂肪含量を顕著に低減したことが分かる。特に、市販の鶏用配合飼料の10質量%分以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、ムネ肉(浅胸筋)中の粗脂肪含量を極めて低減したことが分かる。
より詳しく述べると、ムネ肉(浅胸筋)中の粗脂肪含量は、A群(対照区)が0.89%であるのに対して、B群(アシタバ5質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取)では0.78%と顕著に低減しており、さらにC群(アシタバ10質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取)では0.65%、D群(アシタバ20質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取)では0.53%と、顕著に低減したことが分かる。
【0030】
図2によれば、本発明区(B群〜D群)は、対照区と比べて、モモ肉(大腿二頭筋)中の粗脂肪含量を顕著に低減したことが分かる。
即ち、市販の鶏用配合飼料の5質量%分以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、対照区と比べて、モモ肉(大腿二頭筋)中の粗脂肪含量を顕著に低減したことが分かる。特に、市販の鶏用配合飼料の10質量%分以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、モモ肉(大腿二頭筋)中の粗脂肪含量を極めて低減したことが分かる。
より詳しく述べると、モモ肉(大腿二頭筋)中の粗脂肪含量は、A群(対照区)が2.43%であるのに対して、B群(アシタバ5質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取)では2.21%と顕著に低減しており、さらにC群(アシタバ10質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取)では1.92%、D群(アシタバ20質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取)では1.71%と、顕著に低減したことが分かる。
【0031】
図3によれば、本発明区(B群〜D群)は、対照区と比べて、ムネ肉(浅胸筋)中の過酸化脂質の生成を顕著に抑制したことが分かる。
即ち、市販の鶏用配合飼料の5質量%以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、対照区と比べて、ムネ肉(浅胸筋)中の過酸化脂質の生成を顕著に抑制したことが分かる。
より詳しく述べると、ムネ肉(浅胸筋)中の過酸化脂質の生成量は、A群(対照区)が0.108mgMDA/kg浅胸筋であるのに対して、B群(アシタバ5質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取)では0.077mgMDA/kg浅胸筋、C群(アシタバ10質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取)では0.064mgMDA/kg浅胸筋、D群(アシタバ20質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取)では0.060mgMDA/kg浅胸筋と、それぞれ顕著に抑制したことが分かる。
【0032】
図4によれば、本発明区(B群〜D群)は、対照区と比べて、モモ肉(大腿二頭筋)中の過酸化脂質の生成を顕著に抑制したことが分かる。
即ち、市販の鶏用配合飼料の5質量%以上を、アシタバ乾燥粉末で代替することにより、対照区と比べて、モモ肉(大腿二頭筋)中の過酸化脂質の生成を顕著に抑制したことが分かる。
より詳しく述べると、モモ肉(大腿二頭筋)中の過酸化脂質の生成量は、A群(対照区)が0.179mgMDA/kg大腿二頭筋であるのに対して、B群(アシタバ5質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取)では0.100mgMDA/kg大腿二頭筋、C群(アシタバ10質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取)では0.085mgMDA/kg大腿二頭筋、D群(アシタバ20質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取)では0.063mgMDA/kg大腿二頭筋と、それぞれ顕著に抑制したことが分かる。
【0033】
図5によれば、本発明区(C群〜D群)は、対照区と比べて、血中の抗酸化活性を顕著に増強したことが分かる。
より詳しく述べると、血中の抗酸化活性は、A群(対照区)が5187U/ml-血中であるのに対して、B群(アシタバ5質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約2.846mg/g・体重を摂取)では5567U/ml-血中、C群(アシタバ10質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約5.319mg/g・体重を摂取)では6057U/ml-血中、D群(アシタバ20質量%代替区;アシタバとしては、乾燥重量として、1日に約8.848mg/g・体重を摂取)では7486U/ml-血中となっており、それぞれ血中の抗酸化活性を顕著に増強したことが分かる。