特許第6124401号(P6124401)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ベック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6124401-化粧壁面 図000004
  • 特許6124401-化粧壁面 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124401
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】化粧壁面
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/02 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   E04F13/02 K
   E04F13/02 F
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-63216(P2013-63216)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-234560(P2013-234560A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】特願2012-89775(P2012-89775)
(32)【優先日】2012年4月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599071496
【氏名又は名称】ベック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山下 慎二
(72)【発明者】
【氏名】川原 道生
【審査官】 津熊 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−371239(JP,A)
【文献】 特開2007−092453(JP,A)
【文献】 特開2010−240570(JP,A)
【文献】 特開2007−118567(JP,A)
【文献】 特開2008−155119(JP,A)
【文献】 特開2004−137309(JP,A)
【文献】 特開2005−246370(JP,A)
【文献】 特開2007−090283(JP,A)
【文献】 特開2007−270095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
前記化粧被膜として、前記基材上に着色被膜(A)、目地により区画された模様被膜(B)及び透明被膜(C)が順に設けられ、
前記着色被膜(A)は、ピペリジン化合物を有するものであり、
前記模様被膜(B)は、ピペリジン化合物が結合した樹脂成分、粉粒体、及びピペリジン化合物を含み、
樹脂成分の固形分100重量部に対する粉粒体の比率が100〜4000重量部であり、
前記透明被膜(C)は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ、及び樹脂成分を含み、当該シリカと当該樹脂成分との固形分重量比が0.8:1〜5:1であることを特徴とする化粧壁面。
【請求項2】
前記着色被膜(A)は、ピペリジン化合物が結合した樹脂成分、着色顔料、及びピペリジン化合物を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧壁面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、土木構造物等における化粧壁面に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物、土木構造物等の壁面に対し、立体的な凹凸模様を有する化粧被膜を形成することが行われている。このような化粧被膜の一種として、目地による凹凸模様を付与したものがある。
例えば特許文献1には、目地材を被塗面に貼り付けた上から、吹付け材を塗付した後、目地材を除去して、目地による凹凸模様を形成する方法が記載されている。特許文献2には、目地で区切られた凹凸模様の凸部領域に、模様押付具によってさらに模様を付与することが記載されている。
【0003】
但し、このような化粧被膜を有する壁面は、長期間屋外に曝されると、降雨、粉塵等の影響によって汚染が生じ、折角の美観性が損われる場合がある。特に凹凸模様の凹部となる目地は汚染されやすい傾向にある。このような目地に汚染物質が溜まると化粧被膜の汚れを助長するおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−266517号公報
【特許文献2】特開平8−333861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述のような問題点に鑑みなされたものであり、目地による凹凸模様が施された化粧被膜を有する化粧壁面において、汚染の進行を抑制し、初期の美観性を長期にわたり保持することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、着色被膜(A)と、特定の模様被膜(B)と、特定の透明被膜(C)を設けることに想到し、本発明を完成させるに到った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1. 基材に対し、化粧被膜が設けられた化粧壁面であって、
前記化粧被膜として、前記基材上に着色被膜(A)、目地により区画された模様被膜(B)及び透明被膜(C)が順に設けられ、
前記着色被膜(A)は、ピペリジン化合物を有するものであり、
前記模様被膜(B)は、ピペリジン化合物が結合した樹脂成分、粉粒体、及びピペリジン化合物を含み、
樹脂成分の固形分100重量部に対する粉粒体の比率が100〜4000重量部であり、
前記透明被膜(C)は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ、及び樹脂成分を含み、当該シリカと当該樹脂成分との固形分重量比が0.8:1〜5:1であることを特徴とする化粧壁面。
2.前記着色被膜(A)は、ピペリジン化合物が結合した樹脂成分、着色顔料、及びピペリジン化合物を有することを特徴とする1.に記載の化粧壁面。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、目地による凹凸模様が施された化粧被膜を有する化粧壁面において、汚染の進行を抑制し、初期の美観性を長期にわたり保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一例を示す図(断面図)である。
図2】本発明の一例を形成するための工程を示す図である。
【符号の説明】
【0010】
1:基材
2:着色被膜(A)
3:目地材
4:模様被膜(B)
5:透明被膜(C)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0012】
本発明の化粧壁面は、基材に対し、化粧被膜が設けられたものである。
基材としては、建築物、土木構造物等の壁面を構成するものであり、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー、パテ等)が施されたものでもよく、既に被膜が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
【0013】
本発明では、基材の表面に、化粧被膜として、着色被膜(A)と模様被膜(B)と透明被膜(C)を設ける。図1にその一例を示す。このうち模様被膜(B)は、樹脂成分、粉粒体を含み、さらにピペリジン化合物を有するものである。透明被膜(C)は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ、及び樹脂成分を含むものである。
【0014】
本発明では、このような被膜を積層することにより、目地による凹凸模様を付与すると共に、化粧被膜の汚染進行を抑制し、初期の美観性を長期にわたり保持することができる。
特に本発明では、模様被膜(B)におけるピペリジン化合物の作用によって、模様被膜(B)と透明被膜(C)との密着性が長期にわたり保持される。さらに、模様被膜(B)におけるピペリジン化合物は、透明被膜(C)の保護効果によって、その性能を長期間発揮することができる。本発明では、これら相乗作用によって、美観性保持の効果が十分に発揮されるものと推測される。
【0015】
[着色被膜(A)]
着色被膜(A)は、本発明化粧被膜の目地として現れ、目地色を表出する被膜である。
このような着色被膜(A)としては、例えば、樹脂成分、及び着色顔料を含むものが使用できる。
【0016】
着色被膜(A)における樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。この中でも、アクリル樹脂、アクリルシリコン樹脂等が好適である。
【0017】
着色被膜(A)では、着色顔料を用いて適宜調色を行えばよい。この際、着色被膜(A)の色調を、後述する模様被膜(B)に近似した色相(共色)に設定しておけば、全体的な統一感を有する仕上りとなる。また、着色被膜(A)の色調を、模様被膜(B)と異なる色相に設定しておけば、目地色と模様被膜(B)とのコントラストが明確な仕上りとなる。
【0018】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄、銅クロムブラック、コバルトブラック、銅マンガン鉄ブラック、べんがら、モリブデートオレンジ、パーマネントレッド、パーマネントカーミン、アントラキノンレッド、ペリレンレッド、キナクリドンレッド、黄色酸化鉄、チタンイエロー、ファーストイエロー、ベンツイミダゾロンイエロー、クロムグリーン、コバルトグリーン、フタロシアニングリーン、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、キナクリドンバイオレット、ジオキサジンバイオレット等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
着色顔料の比率は、樹脂成分の固形分100重量部に対し、好ましくは1〜300重量部、より好ましくは2〜200重量部である。
【0019】
着色被膜(A)は、上記成分を含む被覆材(以下「被覆材A」ともいう)を塗付・乾燥させることにより形成できる。
この被覆材Aとしては、樹脂成分、着色顔料、及びピペリジン化合物を有するものが好適である。被覆材Aがこのような態様であれば、着色被膜(A)がピペリジン化合物を有するものとなり、目地において着色被膜(A)と透明被膜(C)との密着性が長期にわたり保持され、美観性保持の点で好適である。
【0020】
着色被膜(A)におけるピペリジン化合物としては、ピペリジル基を有する化合物が使用できる。このピペリジン化合物の形態としては、
ア)樹脂成分とは別異の成分として存在する形態、及び/または、
イ)樹脂成分中に化学的に結合した形態、
が挙げられる。本発明では、上記ア)及びイ)を兼備することもできる。
【0021】

上記ア)の形態では、非重合性のピペリジン化合物が使用できる。具体的に、このような化合物としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、N,N′−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノール、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0022】
上記ア)の形態では、樹脂成分の固形分100重量部に対し、ピペリジン化合物を0.01〜20重量部含むことが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。このような比率であれば、本発明の効果発現の点で好適である。
【0023】
上記イ)の形態では、ピペリジン化合物が樹脂成分中に化学的に結合した状態とするため、重合性のピペリジン化合物を用いることができる。このような化合物としては、ピペリジル基と重合性不飽和二重結合を有する化合物が使用でき、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1−メチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0024】
このような重合性のピペリジン化合物は、公知の方法によって、樹脂成分の製造時(重合時)に他の単量体と共重合することにより、樹脂成分中に化学的に結合させることができる。樹脂成分中のピペリジン化合物の比率は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%である。このような比率であれば、本発明の効果発現の点で好適である。
【0025】
被覆材Aは、本発明の効果が著しく損われない範囲内であれば、上記成分以外の各種成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、艶消し剤、骨材、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
【0026】
[模様被膜(B)]
模様被膜(B)における樹脂成分は、模様被膜(B)の結合材として作用するものである。このような樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。このような樹脂成分としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適である。
【0027】
模様被膜(B)における粉粒体としては、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、陶土、チャイナクレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、寒水石、珪砂、珪石、珪藻土、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化鉄等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。粉粒体の平均粒子径は、好ましくは0.1μm〜5mm、より好ましくは0.2μm〜3mmである。
【0028】
粉粒体の比率は、樹脂成分の固形分100重量部に対し100〜4000重量部、好ましくは150〜2000重量部、より好ましくは200〜1000重量部である。粉粒体の比率がこのような範囲内であれば、目地による凹凸模様が形成されやすく、各種被膜物性の点でも好適である。
【0029】
模様被膜(B)におけるピペリジン化合物としては、ピペリジル基を有する化合物が使用でき、前記(A)と同様のものを用いることができる。
このピペリジン化合物の形態としては、前記(A)と同様に、
ア)樹脂成分とは別異の成分として存在する形態、及び/または、
イ)樹脂成分中に化学的に結合した形態、
が挙げられる。本発明では、特に上記ア)及びイ)を兼備することが好ましい。
【0030】

上記ア)の形態では、非重合性のピペリジン化合物が使用できる。具体的に、このような化合物としては、例えば、前記着色被膜(A)で例示したものが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0031】
上記ア)の形態では、樹脂成分の固形分100重量部に対し、ピペリジン化合物を0.01〜20重量部含むことが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.5〜10重量部である。このような比率であれば、本発明の効果発現の点で好適である。
【0032】
上記イ)の形態では、ピペリジン化合物が樹脂成分中に化学的に結合した状態とするため、重合性のピペリジン化合物を用いることができる。このような化合物としては、ピペリジル基と重合性不飽和二重結合を有する化合物が使用でき、例えば、前記着色被膜(A)で例示したものが挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。
【0033】
このような重合性のピペリジン化合物は、公知の方法によって、樹脂成分の製造時(重合時)に他の単量体と共重合することにより、樹脂成分中に化学的に結合させることができる。樹脂成分中のピペリジン化合物の比率は、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%である。このような比率であれば、本発明の効果発現の点で好適である。
【0034】
模様被膜(B)は、上記成分を含む被覆材(以下「被覆材B」ともいう)を塗付・乾燥させることにより形成できる。この被覆材Bは、本発明の効果が著しく損われない範囲内であれば、上記成分以外の各種成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、艶消し剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、吸着剤、繊維、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
【0035】
[透明被膜(C)]
本発明における透明被膜(C)は、化粧被膜の最表面に設けられるものである。この透明被膜(C)は、平均一次粒子径1〜200nmのシリカ、及び樹脂成分を含むものである。
【0036】
このうち、シリカは、粒子自体の硬度が高く、さらに粒子表面にシラノール基を多く有すること等によって、優れた汚染防止効果を発揮するものである。
シリカの平均一次粒子径は、通常1〜200nm、好ましくは3〜100nmである。この範囲内であれば、平均一次粒子径が異なる複数のシリカを併用することもできる。シリカの平均一次粒子径が200nmよりも大きい場合は、比表面積が小さくなり、シラノール基も減るため汚染防止性が不十分となる。平均一次粒子径が1nmよりも小さい場合は、シリカ自体が不安定化するため、実用的でない。なお、ここに言う平均一次粒子径は、光散乱法によって測定される値である。
【0037】
透明被膜(C)のシリカは、シリカゾルに由来するものが好適であり、さらにはpH5.0以上8.5未満(好ましくは6.0以上8.0以下)の水分散性シリカゾルに由来するものがより好適である。
このような中性タイプの水分散性シリカゾルは、シリケート化合物を原料として製造することができる。シリケート化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラsec−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等、あるいはこれらの縮合物等が挙げられる。この他、上記シリケート化合物以外のアルコキシシラン化合物や、アルコール類、グリコール類、グルコールエーテル類、フッ素アルコール、シランカップリング剤、ポリオキシアルキレン基含有化合物等を併せて使用することもできる。
【0038】
透明被膜(C)における樹脂成分としては、各種樹脂が使用できる。具体的には、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリル酢酸ビニル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。このような樹脂成分としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適である。
【0039】
透明被膜(C)におけるシリカと樹脂成分との固形分重量比(シリカ:樹脂成分)は、好ましくは0.5:1〜5:1、より好ましくは0.8:1〜4:1、さらに好ましくは1:1〜3:1である。このような比であれば、汚染防止効果、下層被膜との密着性において十分な効果が得られ、本発明の効果が安定して発揮される。
【0040】
透明被膜(C)は、上記成分を含む被覆材(以下「被覆材C」ともいう)を塗付・乾燥させることにより形成できる。この被覆材Cは、本発明の効果が著しく損われない範囲内であれば、上記成分以外の各種成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。但し、光触媒物質の使用は、経時的な密着性の低下、模様被膜の退色等を引き起こすおそれがあることから、避けることが望ましい。
【0041】
[化粧壁面の形成方法]
本発明の化粧壁面は、基材上に着色被膜(A)、目地により区画された模様被膜(B)、及び透明被膜(C)が順に設けられたものである。このような化粧壁面は、図2に示すように、例えば以下の工程による方法で形成できる。
(1)基材に対し、被覆材Aを塗付して着色被膜(A)を形成する工程、
(2)着色被膜(A)の表面に目地材を貼着する工程、
(3)上記(2)で得られた面に被覆材Bを塗付する工程、
(4)目地材の一部または全部を脱着する工程、
(5)上記(4)で得られた面に被覆材Cを塗付する工程
【0042】
上記工程(1)において、基材に対し被覆材Aを塗付する際には、例えば、刷毛、ローラー、スプレー等の公知の塗装器具を用いることができる。被覆材Aの塗付け量は、固形分換算で、好ましくは0.05〜2kg/m程度である。
【0043】
上記工程(2)における目地材としては、目地棒、目地テープ、はめ込み式目地材、目地型紙等が使用できる。このような目地材の材質としては、例えば各種樹脂、ゴム、樹脂発泡体、紙類等が挙げられる。このような目地材を着色被膜(A)の表面に貼着するタイミングは、特に限定されないが、着色被膜(A)が乾燥した後が好ましい。また目地材の貼着には、必要に応じ、接着剤、粘着剤等を使用することができる。
【0044】
目地材を貼り付ける位置、間隔等は、所望の目地模様に応じて決定すればよい。例えば、均等間隔に貼り付けることもできるし、ランダムに貼り付けることもできる。模様としては、例えば、タイル調模様、レンガ調模様、幾何学的模様、水玉模様、縞模様、格子模様、渦巻き模様、紋章柄の他、動植物、器物、文字等をデザイン化した図形模様等が可能である。これらの模様を表出するためには、直線状の目地材を複数組み合わせて用いてもよいし、平面状の型紙を模様形状に応じて打ち抜いたものを目地材として用いてもよい。目地材の幅は、好ましくは0.5〜100mm程度であり、目地材の高さは、好ましくは0.5〜10mm程度である。
【0045】
上記工程(3)において、被覆材Bを塗付する際には、適宜塗装方法を選定すればよい。塗装器具としては、例えば、スプレー、ローラー、刷毛、コテ等を使用することができる。必要に応じ、これらの塗装器具は複数を組み合せて使用してもよい。
被覆材Bの塗付け量は、固形分換算で、好ましくは0.5〜8kg/m程度である。
【0046】
上記工程(4)において、目地材を脱着するタイミングは、所望の目地が形成可能であれば特に限定されず、被覆材Bが未硬化の状態のときでもよいし、硬化した状態のときでもよい。
また、目地材として、目地棒、目地テープ等を用いる場合は、目地材の全部を脱着すればよいし、目地材として、はめ込み式目地材を用いる場合は、目地材の一部を脱着すればよい。
【0047】
上記工程(5)において、被覆材Cは、全面に塗付すればよい。これにより、目地では着色被膜(A)の上に透明被膜(C)、それ以外の領域では着色被膜(A)の上に模様被膜(B)と透明被膜(C)が積層された化粧被膜が得られる。
塗装器具としては、例えば、刷毛、ローラー、スプレー等の公知のものを用いることができる。透明被膜(C)を形成する際の被覆材の塗付け量は、固形分換算で、好ましくは0.1〜50g/m、より好ましくは0.5〜20g/mである。
【実施例】
【0048】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0049】
被覆材Aとしては、それぞれ以下に示すものを用意した。
【0050】
○被覆材A1
アクリル樹脂1{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中0.8重量%)、ガラス転移温度2℃、固形分50重量%}200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0051】
○被覆材A2
アクリル樹脂2{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(樹脂成分中0.8重量%)、ガラス転移温度2℃、固形分50重量%}200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0052】
○被覆材A3
アクリル樹脂1(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)2重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0053】
○被覆材A4
アクリル樹脂1(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル化合物)2重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0054】
○被覆材A5
アクリル樹脂1(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)1重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤1重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0055】
○被覆材A6
アクリル樹脂1(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)4重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤1重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0056】
○被覆材A7
アクリル樹脂1(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)8重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤1重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0057】
○被覆材A8
アクリル樹脂3{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中2.0重量%)、ガラス転移温度2℃、固形分50重量%}200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)2重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0058】
○被覆材A9
アクリル樹脂4{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中4.0重量%)、ガラス転移温度2℃、固形分50重量%}200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)2重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0059】
○被覆材A10
アクリル樹脂5{アクリル系モノマーの乳化重合により得られた水分散性樹脂(重合性ピペリジン化合物を含まない)、ガラス転移温度2℃、固形分50重量%}200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)2重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0060】
○被覆材A11
アクリル樹脂5(上記と同様)200重量部に対し、炭酸カルシウム240重量部、酸化チタン20重量部、造膜助剤6重量部、粘性調整剤3重量部、消泡剤2重量部、水80重量部を常法により均一に混合した。
【0061】
被覆材Bとしては、それぞれ以下に示すものを用意した。
【0062】
○被覆材B1
アクリル樹脂6{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中0.5重量%)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0063】
○被覆材B2
アクリル樹脂7(アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(樹脂成分中0.5重量%)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0064】
○被覆材B3
アクリル樹脂6(上記と同様)200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}2重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0065】
○被覆材B4
アクリル樹脂6(上記と同様)200重量部に対し、ピペリジン化合物{デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル化合物}2重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0066】
○被覆材B5
アクリル樹脂6(上記と同様)200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}1重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0067】
○被覆材B6
アクリル樹脂6(上記と同様)200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}4重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0068】
○被覆材B7
アクリル樹脂6(上記と同様)200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}8重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0069】
○被覆材B8
アクリル樹脂8{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中2.0重量%)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}2重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0070】
○被覆材B9
アクリル樹脂9{アクリル系モノマーと重合性ピペリジン化合物の乳化重合により得られた水分散性樹脂、重合性ピペリジン化合物:4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(樹脂成分中4.0重量%)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、ピペリジン化合物{ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート}2重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0071】
○被覆材B10
アクリル樹脂10{アクリル系モノマーの乳化重合により得られた水分散性樹脂(重合性ピペリジン化合物を含まない)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、ピペリジン化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート)2重量部、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0072】
○被覆材B11
アクリル樹脂11{アクリル系モノマーの乳化重合により得られた水分散性樹脂(重合性ピペリジン化合物を含まない)、ガラス転移温度5℃、固形分50重量%}200重量部に対し、着色珪砂(茶色珪砂と赤色珪砂と淡黄色珪砂の混合物、平均粒子径0.08〜0.2mm)420重量部、造膜助剤10重量部、増粘剤4重量部、消泡剤2重量部を常法により均一に混合した。
【0073】
被覆材Cとしては、以下に示すものを用意した。
【0074】
○被覆材C1
シリカ1(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=1.5:1(固形分重量比)の水分散液。
【0075】
○被覆材C2
シリカ2(水分散性シリカゾル、pH7.5、平均一次粒子径10nm):アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=1.5:1(固形分重量比)の水分散液。
【0076】
○被覆材C3
シリカ3(水分散性シリカゾル、pH7.8、平均一次粒子径30nm):アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=1.5:1(固形分重量比)の水分散液。
【0077】
○被覆材C4
シリカ1(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=0.7:1(固形分重量比)の水分散液。
【0078】
○被覆材C5
シリカ1(水分散性シリカゾル、pH7.6、平均一次粒子径27nm):アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)=3.0:1(固形分重量比)の水分散液。
【0079】
○被覆材C6
アクリルシリコン樹脂(メチルメタクリレート-n−ブチルアクリレート-2−エチルヘキシルアクリレート-γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン共重合樹脂、ガラス転移温度18℃)の水分散液。
【0080】
(試験1)
スレート板に対し、被覆材Aを塗付け量0.8kg/m(固形分)でスプレー塗装し、6時間養生後、棒状目地材(目地幅10mm、高さ5mm、ポリエチレン製)を粘着剤にて格子状に貼着した。次いで、被覆材Bを塗付け量2kg/m(固形分)でスプレー塗装し、その被膜の乾燥前に棒状目地材を脱着した。1日間養生後、被覆材Cを塗付け量3g/m(固形分)でスプレー塗装し、7日間養生した。なお、塗装、養生はすべて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)下で行った。
【0081】
上記方法で得られた試験体を、汚染物質懸濁液(濃度1重量%)に2時間浸漬し、引きあげて標準状態で24時間放置した後、水洗・乾燥した。このときの汚染状態を目視にて評価した。
次に、試験体を促進耐候性試験機(「メタルウェザーメーター」、ダイプラ・ウィンテス株式会社製)にて1500時間曝露した後、前述と同様の方法で汚染物質による汚染状態を評価した。
汚染状態の評価は、汚染物質の付着が認められなかったものを「A」、汚染物質の付着が僅かに認められたものを「B」、汚染物質の付着が認められたものを「C」、とする3段階(A>B>C)で行った。
【0082】
(試験結果)
上記試験で使用した被覆材と、その試験結果を表1に示す。実施例3〜9,11,12,14〜24では、試験の促進前と促進後において、いずれも汚染状態の評価が良好な結果となった。
【0083】
【表1】
図1
図2