(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリシロキサンエラストマーが、ジメチルポリシロキサンエラストマーであり、プロゲステロンとエラストマーとの比が、1:1〜1:10であり、プロゲステロンがエラストマー中に均質に分散しており、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比が、1:0.1〜1:100である、請求項6記載の使用。
該膣内リングが、プロゲステロン、ジメチルポリシロキサンエラストマー、および薬学的に許容される油を、それぞれ4:15:1の比率で含み、プロゲステロンがエラストマー中に均質に分散している、請求項12乃至16のいずれか一項記載の使用。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロゲステロンは、C-21ステロイドホルモンであり、プロゲストゲンと呼ばれるホルモンの部類に属する。それは、主要な天然ステロイドであり、他のステロイド、特にグルココルチコイド、アンドロゲンおよびエストロゲンの生合成における前駆体である。
【0003】
プロゲステロンは、子宮の成長を刺激するとともに、子宮内膜および子宮筋層における多数の特異的変化を刺激する。プロゲステロンは、脱落膜組織の成長、ならびに管腔および腺上皮組織の分化に必須である。それはまた、乳房腫大を含む妊娠、子宮収縮の抑制、妊娠の維持、胚の免疫学的保護、およびプロスタグラジン合成の抑制においていくつかの役割を果たす。
【0004】
プロゲステロンは、黄体期欠損、不正子宮出血、子宮内膜症、子宮内膜癌、良性乳房疾患、子癇前症のような多数の臨床障害の処置、およびインビトロ受精のレジメンに使用されている。自然なサイクルでの黄体期は、プロゲステロンを含むステロイドホルモンを分泌する黄体の形成によって特徴付けられる。受精および着床の後、発達した胚盤胞がヒト絨毛性ゴナドトロピン(「hCG」)を分泌し、黄体およびその分泌を維持する。通常の黄体機能は、妊娠を維持するために必須であり、データによれば、プロゲステロンが、初期の妊娠の維持に必須であることが示唆されている。Penzias, A.S., Fertility and Sterility 77:318-323 (2002)(非特許文献1)。
【0005】
残念ながら、生殖年齢の女性すべてが妊娠できるまたは妊娠を維持できるとは限らず、実際米国における生殖年齢の女性の約12〜15%が一生のある時期に不妊サービスを受けている。補助生殖技術(「ART」)は一般に、女性の卵巣から卵子を外科的に取り出し、実験室にて精子と受精させて、次いでドナー女性または別の女性の子宮のいずれかに戻すことを含む(Centers for Disease Control, Assisted Reproductive Technology Success Rates, National Summary and Fertility Clinic Reports. U.S. Department of Health and Human Services, 2004(非特許文献2))。ARTには3つのタイプがある:(a)IVF(インビトロ受精)は、卵子を摘出し、実験室で受精させ、得られた胚を子宮頚部を通して子宮に移すことを含み、(b)GIFT(配偶子卵管内移植)は、未受精卵および精子を、腹腔鏡を用いて腹壁切開により女性の卵管に配置することを含み、ならびに(c)ZIFT(接合子卵管内移植)は、卵子を摘出し、実験室で受精させ、腹腔鏡を用いて受精卵を女性の卵管に配置することを含む。
【0006】
ARTはまた、女性自身の卵子を使用したか(ノンドナー)または卵子が別の女性から供与されたか(ドナー)どうかによってさらに分類される。さらに、使用された胚は、新たに受精させることができ(フレッシュ)、または前もって受精させ、凍結させ、次いで解凍させることができる(解凍)。多くの女性にとって、ARTに関連して、着床のために子宮を予備刺激させ、着床後の妊娠を持続させるためにいくつかの工程を経なければならない。このプロセスを助けるために多くのツールが開発されている。
【0007】
1980年代中期、ゴナドトロピン放出ホルモン(「GnRH」)アゴニストを、卵巣刺激レジメンに組み込んでおり、それがIVFおよびその他の補助生殖技術後の良好な結果に関連している。GnRHアゴニストは、下垂体を抑制すること、およびIVFサイクル中の内因性黄体形成ホルモン(「LH」)の早期急増を防止することによって作用し、多数の卵母細胞が摘出前に成熟する時間を確保するとともに、卵胞成長を促すことができる。しかし、GnRHアゴニストは、これらのサイクルでの黄体を抑制し、医原性の黄体期欠損を生じ得る。
【0008】
GnRHアゴニストの使用により、下垂体LHの分泌が、最終投与後10日間程度抑制され、下垂体機能は、治療終了後2〜3週間まで完全には戻らないことがある。このLHシグナルがなければ、黄体は機能障害となることがあり、続くプロゲステロンおよびエストロゲン分泌が異常になり、子宮内膜受容性を損ない、可能性として着床および妊娠割合の低下を導くことがある。Pritts et al., Human Reproduction 17:2287-2299 (2002)(非特許文献3)。
【0009】
エストロゲン、プロゲステロン、およびhCGを含む種々のホルモンは、黄体期補助のために、黄体期中およびIVFサイクルを超えて使用されている。1994年のメタ分析では、hCGまたはプロゲステロンの使用により、プラセボよりも顕著に高い妊娠割合を導いたことが示された。Soliman et al., Fertility and Sterility 61:1068-76 (1994)(非特許文献4)。hCGは血栓塞栓症のリスクの増大に関連して命を脅かす可能性のある状態である卵巣過剰刺激症候群(「OHSS」)のリスクが高いので、多数の形態のプロゲステロン(経口、膣式、筋肉内(「IM」))が優れた試薬であると考えられている。
【0010】
大部分の処置プロトコルでは、血清妊娠試験が正となってからはプロゲステロン補助を継続させる必要はない場合もあるが、黄体活性が妊娠10週まで示されているので、最初の三半期全体を通してプロゲステロンを使用することを提案している。そのため、プロゲステロンの補助目的は、排卵誘発または卵母細胞の回収中に損なわれ得る黄体を補助する。
【0011】
経口、IM、および膣内プロゲステロン調製物が利用可能である。経口製剤は、黄体補助には適していないようである。血清プロゲステロンレベルは、IM投与で最高になるが、IM投与による子宮の初回通過効果のために、膣式投与がより高い内因性プロゲステロンレベルをもたらす。Bulletti et al., Human Reproduction 12:1073-9 (1997)(非特許文献5)。
【0012】
IMプロゲステロン(1日あたり50〜100mg)は広く使用されているが、毎日の注射が必要であり、患者にとって痛みを伴い、快適ではなく、不都合である;一部の患者は、無菌膿症またはオイルビヒクルに対するアレルギー反応を示すことさえある。Toner J.P., Human Reproduction 15 Supp. 1:166-71 (2000)(非特許文献6)。膣プロゲステロンジェル(Crinone (登録商標)/Prochieve (登録商標)8%;Columbia Laboratories, Livingston, N.J.)は、IMより痛みが少なく、使用し易いが、なおも毎日の投与が必要であり、汚れる場合があり、漏出する可能性のために、適用毎に完全な投与を行うことができない場合がある。Crinone(登録商標)は、エマルション系に微粒子化プロゲステロンを含有する生物学的接着剤膣ジェルである。キャリアビヒクルは、水膨潤性であるが、水不溶性のポリマーであるポリカルボフィルを含有する水中油型エマルションである。
【0013】
不妊女性のためのART処置プログラムの一部として、黄体機能を補助することによって胚着床および妊娠初期を助けるために、プロゲステロン膣挿入物(Endometrin(登録商標))を毎日3回使用することが、米国食品医薬品局(「FDA」)によって最近認証された。さらに、微粒子化プロゲステロンカプセルの毎日複数回の膣式使用が報告されており、臨床的に使用されているが、黄体期補助または補充は、この製品に関するFDAの認証効能ではない。
【0014】
IVFおよび卵母細胞供与の両方に使用するための膣プロゲステロンリングとIMプロゲステロンとを比較した情報も公開されている。Zegers-Hochschild et al., Human Reproduction 15:2093-2097 (2000)(非特許文献7)。
【0015】
プロゲステロンを送達するための膣内デバイスおよび/またはポリシロキサンエラストマーを含む膣内デバイスが、米国特許第3,545,439号(特許文献1);米国特許第3,948,262号(特許文献2);米国特許第4,012,496号(特許文献3);米国特許第5,869,081号(特許文献4);米国特許第6,103,256号(特許文献5);米国特許第6,056,976号(特許文献6);および米国特許第6,063,395号(特許文献7)に議論されている。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)治療的有効量のプロゲステロンと、(b)ポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、ポリシロキサンエラストマーは、このリングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0019】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)治療的有効量のプロゲステロンと、(b)ポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される油とを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このポリシロキサンエラストマーは、リングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0020】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、(a)約5重量%〜約40重量%のプロゲステロンと、(b)約55重量%〜約90重量%のポリシロキサンエラストマーと、(c)約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0021】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、(a)約5重量%〜約40重量%のプロゲステロンと、(b)約55重量%〜約90重量%のポリシロキサンエラストマーと、(c)約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される油とを含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0022】
本発明は、モノリシック膣内リングを製造するプロセスを対象とし、このプロセスは、(a)プロゲステロン、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル、およびポリシロキサンを混合して均質混合物を形成する工程、(b)この均質混合物をモールドに配置する工程、ならびに(c)このモールドを約60℃〜約180℃で硬化する工程を含み、このポリシロキサンが、リングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0023】
本発明は、モノリシック膣内リングを製造するためのプロセスを対象とし、このプロセスは、(a)プロゲステロン、薬学的に許容される油およびポリシロキサンを混合して均質混合物を形成する工程、ならびに(b)この均質混合物をモールドに配置する工程を含み、このポリシロキサンが、リングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0024】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロンと、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、プロゲステロンとエラストマーとの比は、約1:1〜約1:10であり、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比は、約1:0.1〜約1:100であり、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0025】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)薬学的に許容される油を、それぞれ約4:15:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0026】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約15重量%〜約25重量%のプロゲステロンと、(b)約70重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)約1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0027】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約15重量%〜約25重量%のプロゲステロンと、(b)約70重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)約1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される油とを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0028】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)鉱油を、それぞれ約4:15:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出され、膣内リングは、患者に投与後約7日間おきに交換される。
【0029】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約20%のプロゲステロンと、(b)約75%のMED-4840と、(c)約5%の鉱油とを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出され、膣内リングは、患者に投与後約7日間おきに交換される。
【0030】
一部の態様において、プロゲステロンは、ポリシロキサンエラストマー中に均質に分散している。
【0031】
一部の態様において、ポリシロキサンエラストマーは、ジオルガノポリシロキサンエラストマーである。ジオルガノポリシロキサンエラストマーは、ジメチルポリシロキサンエラストマーであることができる。ジメチルポリシロキサンエラストマーはさらに、ジメチルメチル水素ポリシロキサン架橋を含むことができる。
【0032】
一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、リングの総重量の約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在する。
【0033】
一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、鉱油、シリコーン油およびこれらの組み合わせから選択される。一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、鉱油である。
【0034】
一部の態様において、プロゲステロンはリングの総重量の約15重量%〜約30重量%の濃度で存在する。
【0035】
一部の態様において、プロゲステロンは、約1日〜約14日間、定常速度で放出される。一部の態様において、プロゲステロンは、約1日〜約10日間、定常速度で放出される。一部の態様において、プロゲステロンは、約1日〜約7日間、定常速度で放出される。
【0036】
一部の態様において、プロゲステロンは、患者に投与後最長約10日間、定常速度でモノリシック膣内リングから放出される。一部の態様において、プロゲステロンは、患者に投与後最長約14日間、定常速度でモノリシック膣内リングから放出される。一部の態様において、プロゲステロンは、患者に投与後最長約18日間、定常速度でモノリシック膣内リングから放出される。
【0037】
一部の態様において、ポリシロキサンは、ビニル末端ブロックされている。一部の態様において、ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンである。
【0038】
一部の態様において、プロセスはさらに、モールドに配置する前に第2のポリシロキサンを均質混合物に混合する工程を含む。一部の態様において、第2のポリシロキサンは架橋剤である。一部の態様において、架橋剤はジメチルメチル水素ポリシロキサンである。
【0039】
一部の態様において、均質混合物を配置する工程は、射出によるものである。
【0040】
一部の態様において、プロゲステロンは、インビボで約10mg/日〜約40mg/日にて膣内リングから放出される。一部の態様において、プロゲステロンは、インビボで約10mg/日〜約30mg/日にて膣内リングから放出される。一部の態様において、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出される。
【0041】
一部の態様において、膣内リングは、患者に投与した後約14日後に交換される。一部の態様において、膣内リングは、患者に投与した後約7日後に交換される。
[請求項101]
(a)治療的有効量のプロゲステロン;
(b)ポリシロキサンエラストマー;および
(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル
を含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法であって、
ポリシロキサンエラストマーが、該リングの総重量に対して約55%〜約90%の濃度で存在する、方法。
[請求項102]
プロゲステロンがポリシロキサンエラストマー中に均質に分散している、請求項101記載の方法。
[請求項103]
ポリシロキサンエラストマーが、ジオルガノポリシロキサンエラストマーである、請求項101記載の方法。
[請求項104]
ジオルガノポリシロキサンエラストマーが、ジメチルポリシロキサンエラストマーである、請求項103記載の方法。
[請求項105]
ジメチルポリシロキサンエラストマーがさらに、ジメチルメチル水素ポリシロキサン架橋を含む、請求項104記載の方法。
[請求項106]
薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルが、該リングの総重量の約0.1%〜約10%の濃度で存在する、請求項101記載の方法。
[請求項107]
プロゲステロンが、該リングの総重量の約15%〜約30%の濃度で存在する、請求項101記載の方法。
[請求項108]
プロゲステロンが、約1日〜約14日間、定常速度で放出される、請求項101記載の方法。
[請求項109]
プロゲステロンが、約1日〜約10日間、定常速度で放出される、請求項101記載の方法。
[請求項110]
プロゲステロンが、約1日〜約7日間、定常速度で放出される、請求項101記載の方法。
[請求項111]
ポリシロキサンエラストマーが、ジメチルポリシロキサンエラストマーであり、プロゲステロンとエラストマーとの比が、約1:1〜約1:10であり、プロゲステロンがエラストマー中に均質に分散しており、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比が、約1:0.1〜約1:100であり、かつプロゲステロンが、患者に投与後、最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される、請求項101記載の方法。
[請求項112]
膣内リングが
(a)約15重量%〜約25重量%のプロゲステロン;
(b)約70重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマー;および
(c)約1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル
を含み、プロゲステロンがエラストマー中に均質に分散し、プロゲステロンが患者に投与後、最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される、請求項101記載の方法。
[請求項113]
(a)約5重量%〜約40重量%のプロゲステロン;
(b)約55重量%〜約90重量%のポリシロキサンエラストマー;および
(c)約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル
を含む、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングであって、
プロゲステロンがエラストマー中に均質に分散している、膣内リング。
[請求項114]
(a)プロゲステロン、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル、およびポリシロキサンを混合して均質混合物を形成する工程;
(b)該均質混合物をモールドに配置する工程;ならびに
(c)該モールドを約60℃〜約180℃に硬化する工程
を含む、モノリシック膣内リングを製造するためのプロセスであって、
ポリシロキサンが、該リングの総重量に対して約55%〜約90%の濃度で存在する、プロセス。
[請求項115]
ポリシロキサンがビニル末端ブロックされている、請求項114記載のプロセス。
[請求項116]
ポリシロキサンがジメチルポリシロキサンである、請求項114記載のプロセス。
[請求項117]
モールドに配置する前に、第2のポリシロキサンを均質混合物に混合する工程をさらに含む、請求項114記載のプロセス。
[請求項118]
第2のポリシロキサンが架橋剤である、請求項117記載のプロセス。
[請求項119]
架橋剤がジメチルメチル水素ポリシロキサンである、請求項118記載のプロセス。
[請求項120]
均質混合物の配置が射出によるものである、請求項114記載のプロセス。
[請求項121]
プロゲステロンが、インビボにて約10mg/日〜約40mg/日で膣内リングから放出される、請求項111記載の方法。
[請求項122]
プロゲステロンが、インビボにて約10mg/日〜約30mg/日で膣内リングから放出される、請求項111記載の方法。
[請求項123]
プロゲステロンが、インビボにて約15mg/日〜約25mg/日で膣内リングから放出される、請求項111記載の方法。
[請求項124]
膣内リングが、患者に投与した後約7日間後に交換される、請求項111記載の方法。
[請求項125]
膣内リングが、患者に投与した後約7日間後に交換される、請求項123記載の方法。
[請求項126]
(a)治療的有効量のプロゲステロン;
(b)ポリシロキサンエラストマー;および
(c)薬学的に許容される油
を含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含む、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法であって、
ポリシロキサンエラストマーが、該リングの総重量に対して約55%〜約90%の濃度で存在する、方法。
[請求項127]
プロゲステロンがポリシロキサンエラストマー中で均質に分散している、請求項126記載の方法。
[請求項128]
ポリシロキサンエラストマーがジオルガノポリシロキサンエラストマーである、請求項126記載の方法。
[請求項129]
ジオルガノポリシロキサンエラストマーが、ジメチルポリシロキサンエラストマーである、請求項128記載の方法。
[請求項130]
ジメチルポリシロキサンエラストマーが、ジメチルメチル水素ポリシロキサン架橋をさらに含む、請求項129記載の方法。
[請求項131]
薬学的に許容される油が、該リングの総重量に対して約0.1%〜約10%の濃度で存在する、請求項126記載の方法。
[請求項132]
薬学的に許容される油が、鉱油、シリコーン油およびこれらの組み合わせから選択される、請求項131記載の方法。
[請求項133]
薬学的に許容される油が鉱油である、請求項131記載の方法。
[請求項134]
プロゲステロンが、該リングの総重量に対して約15%〜約30%の濃度で存在する、請求項126記載の方法。
[請求項135]
膣内リングが、プロゲステロン、ジメチルポリシロキサンエラストマー、および薬学的に許容される油を、それぞれ約4:15:1の比にて含み、プロゲステロンがエラストマー中で均質に分散しており、かつプロゲステロンが、患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される、請求項126記載の方法。
[請求項136]
膣内リングが
(a)約15重量%〜約25重量%のプロゲステロン;
(b)約70重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマー;および
(c)約1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される油
を含み、プロゲステロンがエラストマー中で均質に分散しており、かつプロゲステロンが、患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される、請求項126記載の方法。
[請求項137]
(a)約5重量%〜約40重量%のプロゲステロン;
(b)約55重量%〜約90重量%のポリシロキサンエラストマー;および
(c)約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される油
を含む、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングであって、
プロゲステロンがエラストマー中で均質に分散している、膣内リング。
[請求項138]
(a)プロゲステロン、薬学的に許容される油、およびポリシロキサンを混合して均質混合物を形成する工程;ならびに
(b)該均質混合物をモールドに配置する工程
を含む、モノリシック膣内リングを製造するためのプロセスであって、
ポリシロキサンが、該リングの総重量に対して約55%〜約90%の濃度で存在する、プロセス。
[請求項139]
プロゲステロンが、患者に投与後最長約10日間、定常速度でモノリシック膣内リングから放出される、請求項138記載のプロセス。
[請求項140]
プロゲステロンが、患者に投与後最長約14日間モノリシック膣内リングから放出される、請求項138記載のプロセス。
[請求項141]
プロゲステロンが、患者に投与後最長約18日間、定常速度でモノリシック膣内リングから放出される、請求項138記載のプロセス。
[請求項142]
ポリシロキサンがビニル末端ブロックされている、請求項138記載のプロセス。
[請求項143]
ポリシロキサンがジメチルポリシロキサンである、請求項138記載のプロセス。
[請求項144]
モールドに配置する前に、第2のポリシロキサンを均質混合物に混合する工程をさらに含む、請求項138記載のプロセス。
[請求項145]
第2のポリシロキサンが架橋剤である、請求項144記載のプロセス。
[請求項146]
架橋剤がジメチルメチル水素ポリシロキサンである、請求項145記載のプロセス。
[請求項147]
均質混合物の配置が射出によるものである、請求項138記載のプロセス。
[請求項148]
プロゲステロンが、インビボにて約10mg/日〜約40mg/日で膣内リングから放出される、請求項136記載のプロセス。
[請求項149]
プロゲステロンが、インビボにて約10mg/日〜約30mg/日で膣内リングから放出される、請求項136記載の方法。
[請求項150]
プロゲステロンが、インビボにて約15mg/日〜約25mg/日で膣内リングから放出される、請求項136記載の方法。
[請求項151]
膣内リングが、患者に投与した後約7日間後に交換される、請求項136記載の方法。
[請求項152]
膣内リングが、患者に投与した後約7日間後に交換される、請求項148記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0043】
発明の詳細な説明
本発明は、プロゲステロンを含むモノリシック膣内リング、それらの製造方法およびそれらの使用に関する。膣内リングは、プロゲステロン、ポリシロキサンエラストマー、および薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを含む。
【0044】
本開示全体を通して、パーセンテージ、比などの表現はすべて、特に指示しない限り「重量による」ものである。本明細書において使用される場合、「重量による」とは、「質量による」という用語と同義であり、本明細書において規定される比またはパーセンテージは、体積、厚さ、または特定の他の基準ではなく重量によるものであることを示す。
【0045】
本明細書において使用される場合、「約」という用語は、パーセンテージまたは他の数量と関連して使用されるときに、そのパーセンテージまたは他の数量のプラスマイナス10%を意味する。例えば、「約80%」という用語は、80%プラスマイナス8%を包含する。
【0046】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)治療的有効量のプロゲステロンと、(b)ポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含む。
【0047】
「治療的有効量」という用語は、被験体の状態、障害、または疾患を処置する医薬組成物(すなわちプロゲステロン)の量を指す。治療的に有効となるのに必要なプロゲステロンの正確な治療投薬量は、被験体により(例えば、年齢、体重、性別、被験体の状態、処置されるべき障害または疾患の特性および重篤度などにより)異なり得る。故に、治療的有効量は、前もって特定できるとは限らないが、介護者、例えば用量漸増法を用いる医師によって決定されることができる。適切な投薬量はまた、動物モデルを用いた慣用実験により決定することもできる。
【0048】
「処置する」および「処置」という用語は、治療的処置および予防的または防止的手段の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害もしくは疾患を防ぐもしくは衰えさせる(減らす)、または有益なもしくは望ましい臨床的結果を得ることである。本発明の目的として、有益なまたは望ましい臨床的結果は、症状の軽減;状態、障害または疾患の程度の減少;状態、障害または疾患の安定(すなわち、悪化しない)状態;発症の遅延または状態、障害もしくは疾患の進行の減速;検出可能または検出不可能にかかわらず、状態、障害または疾患状態の寛解;あるいは、状態、障害または疾患の向上または改善を含むが、これらに限定されない。処置は、過剰なレベルの副作用なしに、臨床的に有意な応答を導き出すことを含む。
【0049】
「黄体期欠損」という用語は、通常の女性の月経サイクルにおける乱れを指す。欠損は、女性の体が十分なホルモンプロゲステロンを産生しない場合に生じる。これにより、黄体期中の子宮(子宮内膜)系統の発達が遅れることになる。黄体期は、排卵と次の月経サイクルの開始との間の期間として規定される。黄体期欠損により妊娠が持続できなくなることがあり、それによって子宮系統が崩壊し始め、月経出血が生じ、流産をもたらす。
【0050】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)治療的有効量のプロゲステロンと、(b)ポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このポリシロキサンエラストマーは、リングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0051】
本発明はまた、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)治療的有効量のプロゲステロンと、(b)ポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される油とを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このポリシロキサンエラストマーは、リングの総重量に対して約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。
【0052】
本発明のモノリシック膣内リングは、プロゲステロン不全症を患う不妊女性のための補助生殖技術(ART)処置の一部として有用であり得る。本発明のモノリシック膣内リングは、黄体期補助または補充、例えばインビトロ受精のための部分的黄体補助または卵母細胞供与のための完全な黄体補助に有用であり得る。本発明のモノリシック膣内リングはまた、続発性無月経の処置にも有用であり得る。
【0053】
「モノリシック膣内リング」という用語は、マトリックスリングが、リザーバを囲む膜または壁を含まないマトリックスリングであるリングを指す。
【0054】
膣内リングは、例えば女性の膣、子宮頚部、または子宮を含む被験体の膣および/または泌尿生殖器管に活性剤を投与または適用するために与えられる。一部の態様において、膣内リングは、輪状の形状である。本明細書において使用される場合、「輪状」とは、リングの形状を指し、リングに関連するまたはリングを形成する形状を指す。本発明で使用するのに好適な輪状形状としては、リング、長円形、楕円、トロイダルなどが含まれる。
【0055】
本発明の膣内リングは、可撓性であることができる。本明細書において使用される場合、「可撓性」とは、固体または半固体が、損傷または破壊されることなく、曲がる、または応力およびひずみに耐える能力を指す。例えば、本発明の膣内リングは、例えば指圧を用いて(例えば、指を用いてデバイスの向かい合った外側から圧力を適用して)変形させるまたは曲げることができ、圧力を取り除いたときに、元の形状に戻ることができる。本発明の膣内リングの可撓性特性は、ユーザーの快適性を向上させ、さらに膣管への投与および/または膣管からのデバイスの除去を容易にするのに有用である。
【0056】
本発明の膣内リングは、膣管に配置するのに好適な任意の大きさであることができる。一部の態様では、リングの外側直径は、約35mm〜約65mm、約40mm〜約60mm、または約45mm〜約55mmである。一部の態様において、リングの外側直径は約55mmである。本明細書において使用される場合、「外側直径」とは、リング中心を通過し、その終点が、リングの外側周囲にある任意の直線セグメントを指す。例えば
図1を参照のこと。
【0057】
一部の態様において、リングの内側直径は、約25mm〜約45mm、または約30mm〜約40mmである。一部の態様において、リングの内側直径は、約38mmである。本明細書において使用される場合、「内側直径」とは、リング中心を通過し、その終点が、リングの内側周囲にある任意の直線セグメントを指す。例えば
図1を参照のこと。
【0058】
一部の態様において、リングの断面直径は、約5mm〜約15mm、または約7mm〜約10mmである。一部の態様において、断面直径は、約8.5mmである。本明細書において使用される場合、「断面直径」とは、その終点がリングの内側周囲と外側周囲とにある任意の直線セグメントを指す。例えば
図1を参照のこと。
【0059】
一部の態様において、本発明のモノリシック膣内リングは、式Iに示されるような、プロゲステロン(プレグナ-4-エン-3,20-ジオン)を含む。
【0060】
一部の態様において、プロゲステロンを微粒子化することができる。本明細書において使用される場合、「微粒子化」とは、ミクロンサイズに小さくされた組成物粒子を指す。
【0061】
本明細書において使用される場合、「粒径」という用語は、粒子直径を指す。粒径および粒径分布は、例えばHyac/Royco粒径分析器、Malvern粒径分析器、Beckman Coulterレーザー回折粒径分析器、Shimadzuレーザー回折粒径分析器、または当業者に公知の他のいずれかの粒径測定装置もしくは技術を用いて測定できる。本明細書において使用される場合、「粒子直径」という用語は、ほぼ球状形状の粒子に基づいた体積測定値を指す。本発明はまた、非限定的に半球状、楕円状、または円筒状の粒子を含むことができる。所与の大きさを有するプロゲステロン粒子を包含することに加えて、本発明はまた、プロゲステロンおよび賦形剤の粒径分布を制御した組成物を対象とする。本明細書において使用される場合、「分布」とは、本発明の所与のロット、バッチ、または剤形内にある特定の大きさまたは特定の大きさ範囲を有する粒子の数または濃度(すなわちパーセンテージ)を指す。
【0062】
本発明の膣内リングに使用される物質は、膣管に配置されるのに好適であり、すなわちそれらは、非毒性であり、さらに被験体に対して非吸収性であり得る。一部の態様において、これらの物質は、活性剤と適合性である。一部の態様において、物質は、膣内投与のために好適な形状を有することができる。
【0063】
一部の態様において、膣内リングは、エラストマーであるポリマー材料、例えばシリコーンコポリマー(熱硬化性タイプ)を含む熱硬化性エラストマーを含む。例えば、本発明の膣内リングは、種々の触媒または架橋剤を含み得るシリコーンポリマーを用いて製造できる。こうしたシリコーン化合物、触媒および架橋剤は、当技術分野において既知であり、例えば米国特許第4,888,074号を参照のこと。シリコーン組成物は、架橋剤の存在下または不存在下で、架橋できる任意のオルガノシリコーン化合物を含むことができる。
【0064】
本明細書において使用される場合、「エラストマー」とは、ポリマーまたはポリマー混合物が架橋する場合に形成される非晶性ポリマーネットワークを指す。各ポリマーは、ポリマーを形成するために一緒になって結合するモノマー単位で構成される。モノマー単位は、炭素、水素、酸素、ケイ素、ハロゲン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0065】
一部の態様において、膣内リングはポリシロキサンを含む。本明細書で使用される場合、「ポリシロキサン」は、通常各ケイ素原子に結合する一つまたは2つの有機基とともに線状または環状のいずれかの配置にて、交互にケイ素および酸素原子を含有する任意の種々の化合物を指す。例えば、ポリシロキサンには、置換ポリシロキサン、およびジオルガノポリシロキサン、例えばジアリールポリシロキサンおよびジアルキルポリシロキサンが含まれる。後者の例は、式IIに示されるようなジメチルポリシロキサンである。
【0066】
このようなジメチルポリシロキサンポリマーは、米国特許第2,541,137号;米国特許第2,723,966号;米国特許第2,863,846号;米国特許第2,890,188号;および米国特許第3,022,951号に記載されるように、約200℃の温度にて、過酸化物硬化触媒、例えば過酸化ベンゾイルまたは過酸化ジ-p-クロロベンゾイルを用いる加硫によって、処理後にさらなる熱を必要とする対応するエラストマーになる熱硬化性であることができる。
【0067】
室温またはわずかに高温で白金触媒により、架橋可能な2構成ジメチルポリシロキサン組成物の例は、MED-4840(NuSil Technology LLC, Carpinteria, CA)である。本発明の一部の態様において、モノリシック膣内リングは、プロゲステロン、鉱油およびMED-4840エラストマーを含むことができる。MED-4840エラストマーは、部分Aおよび部分Bの2つの部分で構成される。MED-4840の部分Aの化学組成物は、ジメチルポリシロキサンビニル末端ブロックされたポリマー、トリメチルシリル処理されたヒュームドシリカ(非結晶性)および白金シリコーン錯体を含む。MED-4840の部分Bの化学組成物は、ジメチルポリシロキサンビニル末端ブロックされたポリマー、トリメチルシリル処理されたヒュームドシリカ(非結晶性)、ジメチルメチル水素ポリシロキサンおよび2-メチル-3-ブチン-2-オールを含む。形式Aおよび形式Bは、架橋を行い、ジメチルポリシロキサンエラストマーを形成する。
【0068】
本発明の一部の態様において、ポリシロキサンエラストマーは、ジオルガノポリシロキサンエラストマーである。一部の態様において、ジオルガノポリシロキサンエラストマーは、ジメチルポリシロキサンエラストマーである。一部の態様において、ジメチルポリシロキサンエラストマーはさらに、ジメチルメチル水素ポリシロキサン架橋を含む。本発明の一部の態様において、ポリシロキサンエラストマーはMED-4840である。
【0069】
一部の態様において、ポリシロキサンエラストマーは、リングの総重量の約55重量%〜約90重量%の濃度で存在する。一部の態様において、ポリシロキサンエラストマーは、リングの総重量の約60重量%〜約80重量%、または約65重量%〜約75重量%の濃度で存在する。
【0070】
一部の態様において、モノリシック膣内リングは、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを含む。脂肪酸のグリセロールエステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルおよびこれらの混合物であることができる。脂肪酸のグリセロールエステルは、合成または天然由来であることができる。一部の態様において、モノリシック膣内リングは、薬学的に許容される油を含む。一部の態様において、油は植物油または鉱油であることができる。一部の態様において、油は、オリーブ油、ピーナッツ油、ラノリン、シリコーン油、鉱油、グリセリン脂肪酸またはこれらの組み合わせであることができる。
【0071】
一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、リングの総重量の約0.1重量%〜約10重量%の濃度で存在する。一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、リングの総重量の約1重量%〜約6重量%の濃度で存在する。本発明の一部の態様において、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルは、鉱油である。
【0072】
一部の態様において、プロゲステロンは、膣内リングに実質的に均質に分散する。本明細書において使用される場合、「均質」とは、全体を通して成分が実質的に均一に分布した組成物、例えば膣内リングを指す(すなわち、本発明の膣内リングは、組成勾配または、多層構造を有していない)。
【0073】
一部の態様において、プロゲステロンは、リングの総重量の約1重量%〜約60重量%の濃度、リングの総重量の約10重量%〜約40重量%の濃度、リングの総重量の約15重量%〜約30重量%の濃度、またはリングの総重量の約20重量%〜約25重量%の濃度で存在する。
【0074】
一部の態様において、本発明の膣内リングは、インビトロで約10mg〜約50mgのプロゲステロン/日、インビトロで約10mg〜約40mgのプロゲステロン/日、インビトロで約10mg〜約30mgのプロゲステロン/日、またはインビトロで約10mg〜約20mgのプロゲステロン/日を放出する。
【0075】
一部の態様において、膣内リングは、インビトロで約14mg〜約28mgのプロゲステロン/日、インビトロで約16mg〜約25mgのプロゲステロン/日、またはインビトロで約18mg〜約22mgのプロゲステロン/日を放出する。一部の態様において膣内リングは、インビトロで約16mgのプロゲステロン/日を放出する。一部の態様において、膣内リングは、インビトロで約19mgのプロゲステロン/日を放出する。
【0076】
一部の態様において、膣内リングは、インビトロで約25mg〜約50mgのプロゲステロン/日、インビトロで約25mg〜約40mgのプロゲステロン/日、インビトロで約30mg〜約40mgのプロゲステロン/日、またはインビトロで約32mg〜約36mgのプロゲステロン/日を放出する。
【0077】
本明細書において使用される場合、「放出の速度」または「放出速度」は、規定期間にわたって膣内リングから放出される活性剤の量または濃度を指す。放出速度は、37℃にて、0.008MのSDS 250mLを含有する、50rpmでのOrbital振とう器にリングを配置することによって、インビトロで測定できる。活性剤は、例えばHPLCによって当業者に既知の方法によって分析できる。
【0078】
本発明の膣内リングは、インビボで約10mg〜約40mgのプロゲステロン/日、インビボで約10mg〜約30mgのプロゲステロン/日、インビボで約10mg〜約25mgのプロゲステロン/日、インビボで約12mg〜約25mgのプロゲステロン/日、インビボで約15mg〜約25mgのプロゲステロン/日、インビボで約16mg〜約24mgのプロゲステロン/日、インビボで約17mg〜約22mgのプロゲステロン/日、またはインビボで約18mg〜約22mgのプロゲステロン/日を放出できる。
【0079】
一部の態様において、プロゲステロンは、患者に投与後、最長約18日間、患者に投与後最長約14日間、患者に投与後最長約7日間、または患者に投与後最長約4日間、定常速度にて膣内リングから放出される。
【0080】
一部の態様において、患者への投与第1日目以降、プロゲステロンは、投与後さらに最長約17日間、さらに最長約13日間、さらに最長約6日間、またはさらに最長約3日間、定常速度で放出される。
【0081】
本明細書において使用される場合、「定常速度」とは、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約70%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約60%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約50%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約40%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約30%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約20%を超える量、1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約10%を超える量、または1日あたりインビボで放出されるプロゲステロンの量の約5%を超える量では変動しない放出速度である。
【0082】
一部の態様において、定常速度は、約15mg/日〜約25mg/日、約16mg/日〜約24mg/日、約17mg/日〜約22mg/日または約18mg/日〜約20mg/日のインビボでの定常速度を包含する。一部の態様において、定常速度は、約12mg/日〜約16mg/日、約12mg/日〜約15mg/日、約12mg/日〜約14mg/日、または約12mg/日〜約13mg/日の放出速度を包含する。一部の態様において、定常速度は、約13mg/日〜約18mg/日、約13mg/日〜約17mg/日、約13mg/日〜約16mg/日、約13mg/日〜約15mg/日、または約13mg/日〜約14mg/日を包含する。一部の態様において、定常速度は、約11mg/日〜約15mg/日、約11mg/日〜約14mg/日、約11mg/日〜約13mg/日、または約11mg/日〜約12mg/日を包含する。
【0083】
一部の態様において、プロゲステロンの血清レベルは、相対的に一定のレベルで維持される。一部の態様において、血清プロゲステロンレベルは、約1ng/mL〜約10ng/mL、約2ng/mL〜約8ng/mL、約2ng/mL〜約7ng/mL、約2ng/mL〜約6ng/mL、約3ng/mL〜約6ng/mL、約4ng/mL〜約6ng/mL、または約5ng/mL〜約6ng/mLに維持される。
【0084】
一部の態様において、血清プロゲステロンレベルは、約4ng/mL〜約10ng/mL、約4ng/mL〜約9ng/mL、約5ng/mL〜約8ng/mL、または約6ng/mL〜約8ng/mLに維持される。
【0085】
一部の態様において、プロゲステロン血清レベルは、約7ng/mL未満、約6ng/mL未満、約5ng/mL未満、約4ng/mL未満、約3ng/mL未満、約2ng/mL未満、または約1ng/mL未満に維持される。
【0086】
一部の態様において、これらのプロゲステロン血清レベルは、患者に投与後約1日〜約18日間、患者に投与後約1日〜約14日間、患者に投与後約1日〜約10日間、患者に投与後約1日〜約7日間、または患者に投与後約1日〜約4日間維持される。一部の態様において、これらのプロゲステロン血清レベルは、患者に投与後約2日〜約18日間、患者に投与後約2日〜約14日間、患者に投与後約2日〜約7日間、または患者に投与後約2日〜約4日間維持される。
【0087】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約5重量%〜約40重量%のプロゲステロン、約55重量%〜約90重量%のポリシロキサンエラストマー、および約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0088】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約5重量%〜約40重量%のプロゲステロン、約55重量%〜約90重量%のジメチルポリシロキサンエラストマー、および約0.1重量%〜約10重量%の鉱油を含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0089】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約10重量%〜約30重量%のプロゲステロン、約60重量%〜約80重量%のポリシロキサンエラストマー、および約1重量%〜約8重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0090】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約10重量%〜約30重量%のプロゲステロン、約60重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマー、および約1重量%〜約8重量%の鉱油を含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0091】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約20重量%〜約25重量%のプロゲステロン、約65重量%〜約75重量%のポリシロキサンエラストマー、および約1重量%〜約6重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散している。
【0092】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するためのモノリシック膣内リングを対象とし、このリングは、約20重量%〜約25重量%のプロゲステロン、約65重量%〜約75重量%のジメチルポリシロキサンエラストマー、および約1重量%〜約6重量%の鉱油を含み、このプロゲステロンが、エラストマー中で均質に分散しており、プロゲステロンが、患者に投与後約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0093】
本発明は、モノリシック膣内リングを製造するプロセスを対象とし、このプロセスは、(a)プロゲステロン、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステル、およびポリシロキサンを混合して均質混合物を形成する工程、(b)この均質混合物をモールドに配置する工程、ならびに(c)このモールド中の均質混合物を硬化して、ポリシロキサンエラストマーと、プロゲステロンと、薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを形成する工程を含む。本発明の一部の態様において、ポリシロキサンはビニル末端ブロックされている。
【0094】
一部の態様において、モールドは、約60℃〜約180℃、約70℃〜約150℃、約80℃〜約120℃、または約85℃〜約95℃にて硬化される。一部の態様において、リングはモールド外で硬化される。一部の態様において、プロセスはさらに、モールドに配置する前に、第2のポリシロキサンを均質混合物に混合する工程を含む。一部の態様において、第2のポリシロキサンは架橋剤である。一部の態様において、架橋剤は、ジメチルメチル水素ポリシロキサンである。一部の態様において、均質混合物をモールドに配置する工程は射出によるものである。
【0095】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロンと、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、プロゲステロンとエラストマーとの比は、約1:1〜約1:10であり、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比は、約1:0.1〜約1:100であり、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0096】
一部の態様において、プロゲステロンとエラストマーとの比は、約1:1〜約1:10、約1:1〜約1:8、約1:1〜約1:6、約1:1〜約1:4、または約1:2〜約1:5である。
【0097】
一部の態様において、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比は、約1:0.1〜約1:100、約1:0.1〜約1:50、約1:0.1〜約1:25、約1:0.1〜約1:10、または約1:0.1〜約1:1である。
【0098】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを、それぞれ(重量で)約4:15:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0099】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを、それぞれ(重量で)約20:90:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0100】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルを、それぞれ(重量で)約40:40:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0101】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約10重量%〜約40重量%のプロゲステロンと、(b)約55重量%〜約90重量%のジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)約0.1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0102】
本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約15重量%〜約25重量%のプロゲステロンと、(b)約70重量%〜約80重量%のジメチルポリシロキサンエラストマーと、(c)約1重量%〜約10重量%の薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、このプロゲステロンは患者に投与後最長約18日間モノリシック膣内リングから放出される。
【0103】
一部の態様において、膣内リングは、患者に投与した後約18日後、患者に投与した後約14日後、患者に投与した後約10日後、患者に投与した後約7日後、患者に投与した後約5日後、患者に投与した後約4日後、患者に投与した後約3日後、または患者に投与した後約2日後に新しいリングと交換される。本発明によれば、膣内リングは、新しいリングと交換される前に約20日間より長くは維持されない。
【0104】
膣内リングは、胚移植より約1〜7日前、胚移植より約2〜6日前、胚移植より約2〜5日前、または胚移植より約3〜4日前に投与できる。膣内リングの投与は、他のホルモン投与、例えばエストラジオールの経口投与によって補うことができる。
【0105】
一部の態様において、プロゲステロンは、本発明の膣内リングを介して、約10週間、約8週間、約6週間、約4週間、約2週間、または約1週間投与される。
【0106】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロンと、(b)MED-4840と、(c)薬学的に許容される炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、ここでプロゲステロンとMED-4840との比は約1:1〜約1:10であり、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、プロゲステロンと炭化水素または脂肪酸のグリセロールエステルとの比は、約1:0.1〜約1:100であり、プロゲステロンは、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出され、膣内リングは、患者に投与後約7日間おきに交換される。
【0107】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)プロゲステロン、(b)ジメチルポリシロキサンエラストマー、および(c)鉱油を、それぞれ約4:15:1の比にて含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出され、膣内リングは、患者に投与した後約7日間おきに交換される。
【0108】
一部の態様において、本発明は、それを必要とする患者において黄体期欠損を処置するための方法を対象とし、この方法は、(a)約20%のプロゲステロンと、(b)約75%のMED-4840と、(c)約5%の鉱油とを含むモノリシック膣内リングを患者に投与する工程を含み、このプロゲステロンはエラストマー中で均質に分散しており、プロゲステロンは、インビボで約15mg/日〜約25mg/日にて膣内リングから放出され、膣内リングは、患者に投与した後約7日間おきに交換される。
【0109】
以下の実施例は、本発明を例証するためだけのものであり、本発明の範囲をいかなる方法においても限定するものではない。従って、種々の置換および変更を、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書において開示されている本発明に対して行うことができることは、当業者に容易に明らかとなる。
【実施例】
【0110】
実施例1
図2は、本発明のモノリシック膣内リングを調製するためのプロセスを表すプロセスのフローチャートを示す。微粒子化プロゲステロン、MED-4840エラストマー部分A、および鉱油を合わせて均質混合物(「部分Aミックス」)を形成した。微粒子化プロゲステロン、MED-4840エラストマー部分B、および鉱油を合わせ、第2の均質混合物(「部分Bミックス」)を形成した。
【0111】
部分Aミックスは、約20%(最終生成物の重量に対して)の微粒子化プロゲステロン、約75%(最終生成物の重量に対して)のMED-4840部分Aポリシロキサン、および約5%(最終生成物の重量に対して)の鉱油を、Ross DPM-4ミキサ(Charles Ross & Son,Hauppauge, NYによって供給されるRoss double planetaryミキサおよびディスペンサ)中に配置することによって調製し、ミキサ中にて成分を混合し、減圧下で約30分間脱気した。次いで部分Aミックスを、予め計量した使い捨てカートリッジに移した。
【0112】
部分Bミックスは、約20%(最終生成物の重量に対して)の微粒子化プロゲステロン、約75%(最終生成物の重量に対して)のMED-4840部分Bポリシロキサンおよび約5%(最終生成物の重量に対して)の鉱油を、Ross DPM-4ミキサ中に配置することによって調製し、ミキサ中にて成分を混合し、減圧下で約30分間脱気した。次いで部分Bミックスを、予め計量した使い捨てカートリッジに移した。
【0113】
次いで部分Aミックスおよび部分Bミックスカートリッジを、Gluco P20LS射出成形機(Gluco, Jenison, MIにより供給)の分離ポンプに配置した。次いでこの機械から、AおよびBミックスの両方を1:1の比にて静的ミキサに射出して、インラインで均質ミックスを生成した。インライン均質ミックスを周囲温度にて充填するために多数孔モールドに直ちに射出した。
【0114】
充填されたモールドを機械から取り出し、約90℃にて約8時間硬化するためにGrieveオーブン(Grieve Corp., Round Lake, IL)に移した。次いでモールドを室温まで冷却し、分解してリングを取り出す。リングから入口および出口ランナーならびにフラッシングを取り除き、それを次いでトリミングして、熱密封された箔袋に包装した。
【0115】
このプロセスにより、表1に列挙するような組成を有するモノリシック膣内リングが得られ、その外側直径は約55mmであり、内側直径は約38mmであり、断面直径は約8.5mmである(
図1に示される通り)。
【0116】
膣内リングのインビトロ溶解プロファイルを、37℃にて、0.008MのSDS250mLを含有する、50rpmでのOrbital振とう器を用いて測定した。これらの結果を
図5に列挙する。患者の膣管に投与される場合、膣内リングは、約7日間にわたって約10mg/日〜約30mg/日のプロゲステロンを放出する。
【0117】
(表1)実施例1のモノリシック膣内リングの組成
【0118】
実施例2
実施例1の膣内リングと黄体期補充用プロゲステロン膣ジェルとを比較するための薬力学的試験を行った。
【0119】
これは、得られた子宮内膜転換および黄体期補充について、膣内リングによって送達された一回用量のプロゲステロンを評価するために、単一施設の非盲検無作為化され能動制御された比較薬力学的試験であった。この試験は、2つの処置群を有した。1人の研究者が、一つの処置群あたり10人の女性となるように、20人の適格な18〜50歳の女性を登録および無作為化した(21人の被験体を無作為化したが、1人の被験体は、Papスメアにて子宮頚部異形成が見られたときに膣ジェル処置群を中止した)。各患者の全体の試験期間は約1.5カ月間であった。被験体のデモグラフィックを表2に示す。
【0120】
(表2)被験体デモグラフィック
【0121】
すべての患者は、プロトコルに特定される基準をすべて満たし、除外基準は含まなかった。試験への参加継続は、無作為化来診にてプロトコル要件を満たす患者に依存していた。試験期間は31日間と、2週間の処置後フォローアップであった。最初の14日間では、子宮内膜の増殖期間を生じさせるためにエストラジオール前処置を行った。
【0122】
mockサイクルに登録された被験体は、卵巣機能を抑制するために2週間経口避妊ピル(「OCP」)およびGnRHアゴニスト(Lupron(登録商標),TAP Pharmaceuticals, Chicago, IL)を受けた。GnRHアゴニストは、mockおよび/または移植サイクルに先立つサイクル中OCPの第8日目に開始され、エストラジオールパッチを開始するまで継続した。エストラジオールレジメンは、現場のmockサイクルプロトコルおよび/または臨床研究員の裁量によって決定された。エストラジオールの前処置を、一般に漸増様式(1日おきに、1〜7日は0.2mg、8〜11日は0.3mg、および12〜14日は0.4mg、Vivelleパッチ)にて投与し、子宮内膜の増殖期を生じさせた。
【0123】
子宮内膜の厚さが>6mmである被験体を、プロゲステロン膣内リング(10〜30mg/日、Duramed Research, Inc., Bala Cynwyd, PA)またはプロゲステロン膣ジェル(Crinone(登録商標),180mg/日、Columbia Laboratories, Inc., Livingston, NJ)のいずれかに対して1:1の様式に無作為化し、その製品を投与すると教えた。プロゲステロン膣内リング10〜30mg/日(インビトロ放出速度)またはプロゲステロン膣ジェル(180mg/日)と共に、エストラジオール(現場のプロトコルによって、例えば0.2mg/日)を次の18日間にわたって投与し、子宮内膜を分泌期に転換させた。プロゲステロン膣内リングは、8日目に1度交換したが、膣ジェルはプロゲステロン投与の全18日間で1日2回投与した。血清プロゲステロンおよびエストラジオールサンプルを、サイクルの0、14、15、16、18、21、22、23、25、28、および31日目にて収集した。子宮内膜生検は、サイクルの25日目または26日目にて行い、子宮内膜月齢決定は、Noyes et al., Fertil. Steril., 1:3-25 (1950)に従って行った。膣内リングのコンプライアンスは、それぞれの試験来診にて決定した。膣頚管検査は、サイクルの31日目にてスクリーニング時に行い、膣および子宮頚部の刺激があったかどうかを決定した。
【0124】
試験の目的は、臨床的または医学的に誘発された性腺欠損症を患う女性(膣内リングを投与された女性)について、(a)子宮内膜の組織学的月齢決定によって決定される適切な子宮内膜転換(子宮内膜の生検での)がある患者の割合、(b)患者から得られた血清中のプロゲステロンおよびエストラジオールレベル、ならびに(c)プロゲステロン膣ジェルと比較した場合に、膣内リングによって送達されるプロゲステロンの安全性および認容性を決定することであった。この試験は、子宮内膜がエストロゲン刺激された20人の患者に対して行った。
【0125】
被験体は、卵母細胞供与に適格であった臨床的または医学的に誘発された性腺欠損症を患う18〜50歳の女性であった。2回を超える供与卵子サイクルに失敗した病歴、重大な過去の子宮手術、子宮摘出、または臨床的に重大な子宮症状を有する被験体は試験から除外した。
【0126】
実施例1の膣内リングを被験体に投与し、投与レジメン期間を18日継続させ、膣内リングを、18日の期間中、8日目に1回交換した。プロゲステロン膣ジェルを投与した被験体においては、18日間180mg/日での膣式適用は、1日2回90mgで投与した。
【0127】
主な有効性測定基準は、サイクルの25日目または26日目のいずれかにおける生検によって決定される、子宮内膜の適切な分泌転換の有無であった。組織学的試験結果によって規定されるように、子宮内膜の組織学的月齢決定によって決定される同期の生検材料および適切な子宮内膜の分泌転換を有する患者の割合を計算した。実施例1の膣内リングは、10人の患者のうち8人について子宮内膜の分泌期への適切な転換が行われ、膣ジェル180mg/日では、10人の患者については10人に適切な転換が行われた。
【0128】
しかし、子宮内膜の転換を示さない2人の患者での失敗は、さらなる外部因子が寄与している可能性がある。1人の被験体は、月齢決定が不可能な子宮内膜を有していた;主に不活性で卵管異形成があるが、ホルモン環境に対する不均一な終末器官反応を示唆するような分泌消耗した小さな増殖巣を示す(すなわち不規則な成熟)。試験後の手術にて子宮筋腫が見つかり、それが子宮内膜への血液供給に影響していた可能性があった。手術後、被験体は、微粒子化プロゲステロン200mgt.i.d.を用いるmockサイクルを行い、生検を行ったところ適切な形質変換を示した。この同じ被験体は、微粒子化プロゲステロンを用いる供与卵子IVFを行ったが、負のβhCGが得られた。被験体は、供与卵子を用いるIVFをもう1度試みることを思案している。第2の被験体は、性器発育不全(線条卵巣および卵巣不全)があり、出生以来月経のない37歳であったが、混合型の不活性および消耗分泌子宮内膜を示した;特徴は遅発型分泌期に有利であるが、正確な月齢決定は不可能であった。この被験体は、試験のために2回スクリーニングを受けたが、1回目のエストラジオール前処置後に子宮内膜の内面は<6mmであった。この被験体は、試験のために再びスクリーニングを受けることができたが;第2のスクリーニングおよびエストラジオール前処置後、被験体の子宮内膜の内面は>6mmであった。試験後、被験体は、IMプロゲステロンを用いるmockサイクルを行い、生検を行ったところ、適切な転換を示した。この同じ被験体は、IMプロゲステロン(50mg)を用いる供与卵子IVFを行い、正のβhCGが得られ、出産まで妊娠が継続した。
【0129】
膣内リング処置群のエストラジオール血清レベルを、Crinone(登録商標)群の場合と比較したが、膣内リング処置群のプロゲステロン血清レベルは、平均でCrinone(登録商標)よりも低かった(6.02ng/mL対14.18ng/mL)。種々の時点での処置群のエストラジオール血清レベルを以下の表3に示し、
図3に図示する。種々の時点での処置群のプロゲステロン血清レベルを以下の表4に示し、
図4に図示する。
【0130】
(表3)試験中のエストラジオール血清レベルおよび変化
【0131】
(表4)試験中のプロゲステロン血清レベルおよび変化
【0132】
この試験においても、膣内リング処置群における大部分の患者が処置の終わり付近で軽度の膣の出血/少量の出血を生じたという観察以外、膣内リングは、膣内ジェルと同様に安全であることが観測された。処置群および個々の被験体における破綻出血/少量の出血の要約を、それぞれ表5および6に示す。
【0133】
(表5)処置群の試験中における膣出血/少量の出血
【0134】
(表6)個々の被験体における破綻膣出血/少量の出血の要約
*生検後の膣出血ケースは、電子メールまたは電話にて現場から報告された;生検後の膣出血は、手順の想定内の結果であるので、AEとしては考えなかった;そのため、上記情報は、CRFにおいて記録されておらず、データベースにも入らなかった。
**間質の斑状脱落膜化により、POD8〜POD11範囲の外観を与える。
【0135】
卵母細胞ドナーを受け入れ、このドナーと同調したmockサイクルにて適切な分泌子宮内膜転換のある被験体は、次の胚移植サイクルに参加するよう案内した。被験体は、同じプロゲステロン処置を継続し、mockサイクルにて無作為化された。膣内リング群の被験体に関して、新しい膣内リングを移植時に配置し、膣内リングを、胚移植後2週間後に妊娠試験を行うまで1週間毎に交換するように計画した。膣ジェル群の被験体は、胚移植後2週間まで毎日2回膣ジェルを自分で投与し続けた。妊娠がわかったら、エストラジオール補充を合計8週間継続させ、胚移植後合計10週間プロゲステロンを継続した。骨盤超音波を8週および12週時に行い、臨床的に妊娠を確認した。出産まで妊娠のフォローアップを継続した。
【0136】
生化学的妊娠、臨床的妊娠(妊娠の8週および12週)、および出生率を評価した。生化学的妊娠は、後で低下することになるβhCGレベルの一過性の増大として規定した。臨床的妊娠は、超音波で胎児の心臓の運動が認められる妊娠嚢の視覚化によって規定した。胚移植サイクルにおける一次有効性基準は、妊娠8週での臨床的妊娠割合であり、週単位の在胎期間(妊娠期間)を、胚移植前2週間から開始したと規定し、これは、通常の排卵および周期の女性において最終月経期の第1日目に相関している。胚移植サイクルにおける二次有効性基準は、妊娠12週における臨床妊娠割合および出生率を含んでいた。
【0137】
合計11人の被験体が同意し、9人の被験体が胚移植を行った。膣内リング処置群では合計5人の移植、膣ジェル処置群では4人の移植を行った。これらの移植のうち、膣内リング被験体の5分の4(80%)および膣ジェル被験体の4分の1(25%)が妊娠し(胚移植後2週目で確認)、4人の満期での単児出産および34週目での1組の双子出産があった。妊娠および出生の完全な結果を表7に概要する。個々の被験体データは表8に示す。妊娠被験体においては、生化学的妊娠も流産もなかった。妊娠した膣内リング被験体の1人は、試験を継続せず、妊娠の9週目(胚移植後7週目)での出血パターンにより筋肉内プロゲステロンに変更した。
【0138】
(表7)生化学的妊娠、臨床的妊娠、および出生率
*プロゲステロンVRにて妊娠した1人の被験体は、膣出血により、妊娠9週目で試験を中止した。この被験体は、IMプロゲステロンに変更し、出生まで妊娠を維持した。
【0139】
(表8)個々の被験体データ
【0140】
報告された緊急処置の有害事象は、いくつかの例外を除いて2つの処置群で同様であった。より有害な膣/子宮頚部の知見および腹腔痛が膣ジェル群で報告され、より多くの膣出血/少量の出血が、膣リング処置群にて報告された。有害事象の要約を表9に示す。
【0141】
(表9)複数の被験体にて生じた有害事象
【0142】
4人の被験体で、mockサイクルにおける有害な膣および/または子宮頚部での知見があった:膣ジェル群の3人および膣内リング群の1人の被験体。膣ジェル被験体に関して報告された膣/子宮頚部有害事象は、子宮頚部面潰瘍、紅斑、外側膣刺激、光沢のある白色物、点状出血、子宮頚部びらん、および表在性皮膚剥離を伴う膣びらんを含んでいた。膣/子宮頚部の知見のある1人のVR患者は、紅斑を有すると報告された。
【0143】
mockサイクル中、子宮内膜生検の日とその2日後(サイクルの25日目〜27日目)にて、両方の処置群中の想定内の膣出血/少量の出血があった。膣ジェル群の被験体では、サイクルの28日目〜31日目でのいかなる膣出血/少量の出血も報告されなかったが、膣内リング群においては10人の被験体のうち9人で報告された(主に少量の出血)。膣内リング群の被験体は、mockサイクル中の出血/少量の出血のために中止した人はいなかった。膣内リング群の出血/少量の出血は、主に膣内リングを7日間を超えて使用した場合に生じた。膣内リングは7日用リングとして設計されており、2つ目の膣内リングを、この試験中10日間放置して、リングを長期間にわたって不注意に放置した場合に7日を超えるリングの延長使用の影響を評価した。膣内リング群では、膣内リングを通常のように交換した日またはその後(サイクルの28日目またはそれ以降)のいずれかにおいて少量の膣出血を生じた。
【0144】
膣内リング処置群に関して、膣内リングによる刺激、不快、または性交時の問題の報告はなかった。さらに、リングの脱落による中止もなかった。深刻な有害事象、処置に関連する有害事象による中止、または試験中の大量の膣出血も報告されなかった。
【0145】
胚移植サイクルにおいて、被験体は妊娠試験の前に膣出血も少量の出血もなかった。妊娠に至った5人の被験体のうち、4人は膣内リングを使用し、1人は膣ジェルを使用した。膣内リング処置群の4人のうち3人は、胚移植24〜34日目または妊娠6〜7週から開始して、妊娠中にある程度の膣出血または少量の出血があった。少量の出血/出血は、妊娠中に血清プロゲステロンレベルが栄養膜の生成により増大している時点から始まった。4人の妊娠膣内リング処置被験体のうち1人は、7週目(胚移植後)の不規則な出血パターンにより、筋肉内プロゲステロンに変更した。残った2人の女性は、6〜7週目に軽度の少量の出血があったが、いかなる処置も必要としなかった。膣ジェル被験体は、処置期間中、妊娠試験前または後において、膣出血も少量の出血もなかった。注目すべきことに、膣内リング群にて双子の妊娠が生じ、この被験体は妊娠試験中少量の出血を生じなかった。
【0146】
実施例3
実施例1の膣内リングは、インビトロ受精のための黄体期補助のために、膣内リングの有効性とプロゲステロン膣ジェルとを比較するために試験中に使用することができる。この試験は、新鮮な卵子を用いるインビトロ受精を受ける女性にて行う。複数の現場において、プロゲステロン膣内リングまたは毎日1回のプロゲステロン膣ジェルのいずれかに対して1:1の比で、およそ1300人の適格な女性を無作為化する。妊娠回数、出産歴、以前の中絶、および子宮外妊娠を含む詳細な過去の産科履歴を記録する。
【0147】
卵巣抑制/刺激プロトコルは、FSH(卵胞刺激ホルモン)および刺激用LH含有製品(黄体化ホルモン)と組み合わせるLupron(登録商標)(酢酸ロイプロリド)下方制御プロトコルである。抑制は、胚移植サイクルの前のサイクル中で行う。抑制後、下方調節が達成されたら刺激を開始する。刺激の長さは、各患者、現場の標準プロトコル、および/または研究者の裁量に依存する。刺激中、患者をモニターして、いつhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)を有する患者に対して排卵を誘発するかを決定する。卵子の回収は、hCG投与後およそ35〜37時間で行い、胚移植は卵子回収後3または5日後に行う。血清妊娠試験は、卵子回収後2週間で行う。βhCG<5mIUの患者は、試験を中止する。βhCG>5mIUの患者は、妊娠12週にわたってプロゲステロン投与を継続し、臨床妊娠割合を妊娠8および12週目で評価する。すべての妊娠を完了まで続け、出生率を決定する。全体の試験期間は、妊娠し出産する患者について、およそ10カ月になる。
【0148】
いずれの場合でも、患者に実施例1のプロゲステロン膣内リングまたはプロゲステロン膣ジェルのいずれかを投与する。いずれの場合でも、プロゲステロン処置は、卵子回収後の日に始め、妊娠の12週(卵子回収後10週)まで継続する。
【0149】
登録された参加者の半分は実施例1の膣内リングを投与し、週単位のスケジュールで交換することによって、膣内リングが、約7日間にわたって毎日患者に、約10mgのプロゲステロン〜約30mgのプロゲステロン(インビボ放出)を送達する。同様に、プロゲステロン膣ジェルを投与された患者に関して、処置は、卵子回収の後の日から開始し、妊娠12週にわたって継続する(卵子回収後10週間)。
【0150】
この試験における共通の一次目的は、妊娠8週(卵子回収後6週)および妊娠12週(卵子回収後10週)において、プロゲステロン補助を与える実施例1の膣内リングまたはプロゲステロン膣ジェルを用いて、臨床妊娠割合(すなわち、超音波上で存在する胎児の心臓の運動を伴う妊娠嚢の視覚化)である。この試験において、妊娠は、卵子回収前の最初の2週間から開始すると規定される。二次目的は、出生率、サイクル解除率、自然流産の割合、生化学的妊娠の割合、子宮外妊娠の割合、および実施例1の膣内リングの安全性および認容性の試験を含む。
【0151】
結論
本明細書において記載される種々の態様または選択肢のすべては、任意のおよびあらゆる変形にて組み合わせることができる。本発明は、特定の態様を参照して特に示し、記載したが、それらは、例示のためだけに示され、非限定的であることを当業者は理解し、形態および詳細の種々の変更は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく行うことができる。故に、本発明の幅および範囲は、上記で記載された例示的な態様のいずれによっても限定されるべきではないが、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ規定されるべきである。
【0152】
雑誌または要約書、公開されたまたは対応する米国または外国特許出願、登録された特許または外国特許、または他のいずれかの文献を含む、本明細書において記載されるすべての文献は、記載された文書に示されるすべてのデータ、表、図面、および本文を含んで、その全体がそれぞれ参考により本明細書に組み入れられる。