特許第6124429号(P6124429)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6124429
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】身飾品
(51)【国際特許分類】
   A44C 25/00 20060101AFI20170424BHJP
【FI】
   A44C25/00 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-220499(P2016-220499)
(22)【出願日】2016年11月11日
【審査請求日】2016年12月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516339601
【氏名又は名称】キム ジョンミン
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンミン
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3184406(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3103217(JP,U)
【文献】 特許第5424435(JP,B1)
【文献】 特開2013−163039(JP,A)
【文献】 特開2007−202721(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3175111(JP,U)
【文献】 特開2001−217(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132769(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44C 1/00− 3/00
A44C 7/00−27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームの内側空間に配置され、宝石とこの宝石を固定する台座とを備える装飾部材と、
前記装飾部材の台座に貫通された支持孔と、
前記支持孔に挿通され両端が前記フレームに固定される線状の支持部材と、を備え、
前記支持孔の全長に亘って支持孔の頂部に線接触する前記線状の支持部材によって前記装飾部材を前記フレームに対して揺動可能に支持する身飾品。
【請求項2】
前記支持孔は全長に亘って断面形状が同一の円形である請求項1に記載の身飾品。
【請求項3】
前記線状の支持部材は前記支持孔の全長に亘って直線状態を保持し、前記支持孔の頂部に線接触する請求項1又は2に記載の身飾品。
【請求項4】
前記線状の支持部材は、その断面形状が前記支持孔の頂部に向けて先細り形状となり、その先端に支持孔の頂部に線接触する尖り部を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の身飾品。
【請求項5】
前記支持孔は、前記台座を水平方向に貫通している請求項1に記載の身飾品。
【請求項6】
前記支持孔は、装飾部材の重心点を通る鉛直線上であって、且つ前記重心点と装飾部材の上端部との間に設けられている請求項1乃至5のいずれかに記載の身飾品。
【請求項7】
前記フレームは、互いに離間して配置される一対のリング部材と、これら一対のリング部材を連結する連結部材とを備え、前記一対のリング部材に異なるデザイン装飾が施されている請求項1に記載の身飾品。
【請求項8】
前記装飾部材は支持部材にスライド可能に支持されており、このスライドを規制するストッパが前記装飾部材の両側付近に配置されている請求項1に記載の身飾品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンドなどの宝石がフレームに対して揺動可能に支持された身飾品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイヤモンドなどの宝石が揺動可能に支持された身飾品として、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されたペンダントトップが知られている。このペンダントトップは、ダイヤモンドなどの宝石とこの宝石を載置する台座部とからなる装飾部材をフレームの中心に配置し、装飾部材の両側に設けた丸環とフレーム側に設けた丸環とを連結することによって、装飾部材をフレームに対して揺動可能に支持するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5424435号公報
【特許文献2】実用新案登録第3175111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のぺンダントトップにあっては、装飾部材の両側に設けた丸環とフレーム側に設けた丸環とを連結する際、一方の丸環の一部を切り開き、その切り開いた部分から他方の丸環に通したのち、切り開いた部分をロウ付けして再び丸環に戻す作業が必要となっていた。しかしながら、上記の丸環が小さな部材であるために、切り開いた部分をロウ付けして再び元通りの丸環に戻す作業に熟練を要すると共に、ロウ付けした丸環にゆがみが残り左右の丸環形状が多少でも異なっていると、装飾部材が十分に揺動しないおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、装飾部材をフレームに支持させるために熟練を要していた作業を簡易なものにすると共に、フレームに対する装飾部材の揺動を十分に得られるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る身飾品は、フレームと、前記フレームの内側空間に配置され、宝石とこの宝石を固定する台座とを備える装飾部材と、前記装飾部材の台座に貫通された支持孔と、前記支持孔に挿通され両端が前記フレームに固定される線状の支持部材と、を備え、前記支持孔の全長に亘って支持孔の頂部に線接触する前記線状の支持部材によって前記装飾部材を前記フレームに対して揺動可能に支持する。
【0007】
また、本発明に係る身飾品は、前記支持孔の断面形状が全長に亘って同一の円形であり、前記線状の支持部材の断面形状が前記支持孔の頂部に向けて先細り形状となり、その先端に支持孔の頂部に線接触する尖り部を有している。
【0008】
また、本発明に係る身飾品は、前記支持孔が装飾部材の重心点を通る鉛直線上であって、且つ前記重心点と装飾部材の上端部との間に設けられている。
【0009】
さらに、本発明に係る身飾品は、前記フレームが互いに離間して配置される一対のリング部材と、これら一対のリング部材を連結する連結部材とを備え、前記一対のリング部材に異なるデザイン装飾が施されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る身飾品によれば、フレームの内側空間に配置される装飾部材に支持孔を貫通させ、この支持孔に線状の支持部材を挿通させ、この支持部材を前記支持孔の全長に亘って支持孔の頂部に線接触させて装飾部材を揺動可能に支持するようにしたので、従来のような装飾部材とフレームとを丸環で連結する作業が不要となり、作業が極めて簡易なものになると共にフレームに対する装飾部材の揺動を十分に得ることができる。
【0011】
また、本発明に係る身飾品によれば、支持孔の断面形状を全長に亘って同一の円形とすると共に線状の支持部材の断面形状を前記支持孔の頂部に向けて先細り形状とし、その先端に設けた尖り部を支持孔の頂部に線接触させて支持するようにしたので、装飾部材が全体に亘って均等に支持されることで正面を向いての繊細な揺動が得られると共に、装飾部材の左右側が前後にひねり動くのを抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係る身飾品によれば、装飾部品に設けられる支持孔が装飾部材の重心点を通る鉛直線上であって、且つ前記重心点と装飾部材の上端部との間に設定されているので、装飾部材を正面に向けて真っ直ぐ垂直に保つことが出来、装飾部材の微細な揺動を得やすくなる。
【0013】
さらに、本発明に係る身飾品によれば、フレームを構成する一対のリング部材に異なるデザイン装飾がそれぞれ施されているので、フレームの表裏を逆にすることで身飾品をリバーシブルに楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る身飾品の斜視図である。
図2】前記身飾品の正面図である。
図3図2のIII-III断面図である。
図4】前記身飾品の装飾部材を示す斜視図である。
図5】前記装飾部材の側面図である。
図6図5のVI-VI断面図である。
図7】前記装飾部材の平面図である。
図8】前記身飾品のフレームを表裏逆にした斜視図である。
図9】前記装飾部材の両側付近にストッパを配置した時の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る身飾品を詳細に説明する。図1乃至図8には本発明の一実施形態に係るペンダントトップ1が示されている。このペンダントトップ1は、宝石の一例としてのカットダイヤモンド3とこのカットダイヤモンド3を載置する台座4とを有する装飾部材2と、この装飾部材2の周囲を取り囲むように配置されるリング状のフレーム5とを備え、前記装飾部材2がフレーム5に対して揺動可能に支持されている。
【0016】
前記フレーム5は、互いに離間して配置された同一リング形状の表側リング部材5a及び裏側リング部材5bと、これら一対のリング部材5a,5bを連結する連結部材5cとを備える。連結部材5cは前記一対のリング部材5a,5bの円周上に沿って等間隔に複数配置され、表側リング部材5aと裏側リング部材5bとの間に所定の幅空間5dを設けている。前記装飾部材2はこの幅空間5d内で前後に揺動する。なお、フレーム5の上端連結部材5c’にはペンダントトップ1を吊下げるためのチェーン6が掛けられている。
【0017】
前記一対のリング部材5a,5bには異なるデザイン装飾が施されている。この実施形態では表側リング部材5aには円周上に沿って配列された多数の粒宝石5eによるデザイン装飾が施され、裏側リング部材5bには円周上に沿って多数のハート形の打抜き部5fによるデザイン装飾が施されている。このように、一対のリング部材5a,5bにそれぞれ異なるデザイン装飾を施すことで、図8に示したように、フレーム5の表と裏を逆にしてペンダントトップ1をリバーシブルに楽しむことができる。なお、この実施形態において、前記フレーム5は一対の円形のリング部材5a,5bによって構成されているが、必ずしもこの形状に限定さるものではない。また、リングの一部が欠けていてもよく、さらにフレームは角形形状であってもよい。
【0018】
前記装飾部材2は、図2に示されるように、フレーム5を正面から見た時の内側空間5gのほぼ中央部に配置される。前述したように、装飾部材2はカットダイヤモンド3などの宝石と、この宝石を固定する台座4とを有する。台座4は、図2及び図3に示されるように、正面から見た時の外形が略逆三角形状をなしており、その内側にカットダイヤモンド3のパビリオン3aを収容するすり鉢状の凹部4aが形成されている。また、台座4の3つの頂点付近には爪部4b,4c,4dがそれぞれ設けられ、この爪部4b,4c,4dをカットダイヤモンド3のガードル部3b及びクラウン3dに係止させることで、台座4にカットダイヤモンド3が固定される。
【0019】
また、図2乃至図6に示したように、前記台座4の上部には台座4の内部を左右方向に貫通する支持孔7が設けられている。この支持孔7は水平方向に延びるトンネル状の孔で、全長に亘って同一の断面形状からなる。また、台座4の左右の側面には前記支持孔7の左右の開口端7a,7bが設けられ、この開口端7a,7bは図4に示したように、台座4に設けられた一対の爪部4b,4cの後方付近に位置している。前記支持孔7の開設位置は、図5に示したように、台座4にカットダイヤモンド3を固定した時の両者の重心点Pを通る鉛直線8上であって、且つ重心点Pと台座4の上端部4eの位置との間に設定されるのが望ましい。このような位置に設定されることで、装飾部材2を正面に向けて真っ直ぐ垂直に保つことが出来、装飾部材の微細な揺動が得やすくなる。また、装飾部材2が揺動していない時にはカットダイヤモンド3のテーブル面3c及びクラウン3dが上下に傾くことなく真っ直ぐに正面を向く。さらに、図4に示したように、前記台座4の上部の形状が背面から左右の側面に向けて曲面となっているため、前記支持孔7の左右の開口端7a,7bがカットダイヤモンド3の正面側から見えず(図2参照)、見栄えが損なわれることがない。
【0020】
前記支持孔7の断面形状は円形が望ましい。この実施形態では図5に示したように、断面形状が真円形となっているが、楕円形であっても作用効果はほぼ同じである。支持孔7の断面形状を円形とすることで、後述する線状の支持部材10が常に支持孔7の頂部7cで装飾部材2を支持することができる。
【0021】
前記台座4に設けられた支持孔7には線状の支持部材10が挿通される。この支持部材10は、ワイヤやピアノ線などの細い金属線、あるいは釣り糸に使われているような樹脂製糸を利用することができる。材質や線径は特に限定されないが、支持部材10が撓むことなくピンと張った状態で装飾部材2を支持するのが望ましい。すなわち、図6に示したように、支持部材10は、前記支持孔7の全長に亘って直線状態を保持することで支持孔7の頂部7cに確実に線接触する。
【0022】
このように、台座4に貫通させた支持孔7の全長に亘ってその頂部7cに線状の支持部材10を線接触させ、支持部材10の線接触によって装飾部材2を揺動可能に支持しているので、従来のような丸環による細かな連結作業が不要となり、組付け作業が極めて簡易なものとなる。また、支持部材10の線接触により装飾部材2が全体に亘って均等に支持されることになり、フレームに対する装飾部材の微細な揺動が十分に得られるものとなる。
【0023】
前記支持部材10をフレームと同じ材質の金属線から形成した場合には、支持部材10の両端10a,10bをレーザ溶接によってフレーム5に固定することが出来る。支持部材10の両端10a,10bは、一対のリング部材5a,5bを連結する連結部材5cに固定されるが、この実施形態では複数の連結部材5cの中でも、図1に示したようにフレーム5の中央部に位置する左右の中央連結部材5c’’にそれぞれ固定される。また、前述したように、前記装飾部材2が表側リング部材5a及び裏側リング部材5bから出っ張ることがないように、中央連結部材5c’’の長手方向のほぼ中央位置に固定されている。
【0024】
この実施形態において、前記線状の支持部材10は、図5に示したように、その断面形状が支持孔7の頂部7cに向けて先細り形状になっており、その先端部に支持孔7の頂部7cに接触する尖り部10cを有している。この尖り部10cは、支持部材10の全長に亘って形成されており、図6に示したように、支持孔7の一方の開口端7aから他方の開口端7bまで全長に亘って支持孔7の頂部7cに線接触している。
【0025】
このように、支持孔7の全長に亘って支持孔7の頂部7cに支持部材10の尖り部10cが線接触した状態で装飾部材2を揺動可能に支持するため、装飾部材は全体に亘って均等に支持されることになり、正面を向いての繊細な揺動が得られ易くなる。また、図7に二点鎖線で示したように、装飾部材2が揺動する際には装飾部材2の左右側が前後にひねり動くのを効果的に抑えることができる。そのため、カットダイヤモンド3のテーブル面3cが常に正面を向いた状態で装飾部材2を揺動させることができる。
【0026】
なお、前記装飾部材2は線状の支持部材10にスライド可能に支持されている。そこで、図9に示したように、装飾部材2のスライドを規制するためのストッパ11a,11bを前記装飾部材2の両側付近に配置してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ペンダントトップ(身飾品)
2 装飾部材
3 カットダイヤモンド(宝石)
3a パビリオン
3b ガードル部
3c テーブル面
3d クラウン
4 台座
4a 凹部
4b,4c,4d 爪部
4e 上端部
5 フレーム
5a 表側リング部材
5b 裏側リング部材
5c 連結部材
5c’ 上端連結部材
5c’’ 中央連結部材
5d 幅空間
5e 粒宝石
5f 打抜き部
5g 内側空間
6 チェーン
7 支持孔
7a,7b 開口端
7c 頂部
8 鉛直線
10 線状の支持部材
10a,10b 両端
10c 尖り部
11a,11b ストッパ
P 重心点
【要約】
【課題】 装飾部材をフレームに支持させるために熟練を要していた作業を簡易なものにすると共に、フレームに対する装飾部材の揺動を十分に得られるようにするものである。
【解決手段】 フレーム5と、前記フレーム5の内側空間に配置される装飾部材2と、前記装飾部材2に貫通された支持孔7と、前記支持孔7に挿通され両端が前記フレーム5に固定される線状の支持部材10と、を備え、前記支持孔7の全長に亘って支持孔7の頂部7cに線接触する前記線状の支持部材10によって前記装飾部材2を前記フレーム5に対して揺動可能に支持する身飾品。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9