(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の第1実施形態>
以下に、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
(1)基板処理装置の構成
まず、
図1および
図2を用い、本実施形態に係る基板処理装置10について説明する。
図1は、本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置10の横断面図である。
図2は、本実施形態に係るクラスタ型の基板処理装置10の縦断面概略図である。
【0013】
なお、本発明が適用される基板処理装置10では、基板としてのウエハ200を搬送するキャリヤとしては、FOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドという。)100が使用されている。本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置10の搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。
【0014】
また、以下の説明において、前後左右は
図1を基準とする。
図1に示されているX
1の方向を右、X
2の方向を左、Y
1の方向を前、Y
2の方向を後ろとする。
【0015】
(真空側の構成)
図1および
図2に示されているように、基板処理装置10は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る第1搬送室103を備えている。第1搬送室103の筐体101は平面視が例えば五角形であり、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。なお、以下で言う「平面視」とは、基板処理装置10の鉛直上側から鉛直下側をみたときのことをいう。
【0016】
第1搬送室103内には、負圧下で二枚のウエハ200を同時に移載出来る第1ウエハ移載機112が設けられている。ここで、第1ウエハ移載機112は、一枚のウエハ200を移載出来る物でも良い。第1ウエハ移載機112は、第1ウエハ移載機エレベータ115によって、第1搬送室103の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。
【0017】
筐体101の五枚の側壁のうち前側に位置する側壁には、予備室(ロードロック室)122,123がそれぞれゲートバルブ126,127を介して連結されている。予備室122,123は、ウエハ200を搬入する機能とウエハ200を搬出する機能とを併用可能に構成され、それぞれ負圧に耐え得る構造で構成されている。
【0018】
さらに、予備室122,123内には基板支持台140により2枚のウエハ200を積み重ねるように置くことが可能である。予備室122,123には、ウエハ200の間に配置される隔壁板(中間プレート)141が設置される。
【0019】
第1搬送室103の筐体101の五枚の側壁のうち後ろ側(背面側)に位置する四枚の側壁には、基板に所望の処理を行う第1プロセスチャンバ202aと、第2プロセスチャンバ202b、第3プロセスチャンバ202c、第4プロセスチャンバ202dがゲートバルブ150、151、152、153を介してそれぞれ隣接して連結されている。第1プロセスチャンバ202aと、第2プロセスチャンバ202b、第3プロセスチャンバ202c、第4プロセスチャンバ202dについては、詳細を後述する。
【0020】
(大気側の構成)
予備室122,123の前側には、真空下および大気圧下の状態でウエハ200を搬送することができる第2搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2搬送室121には、ウエハ200を移載する第2ウエハ移載機124が設けられている。第2ウエハ移載機124は第2搬送室121内に設置された第2ウエハ移載機エレベータ131によって昇降されるように構成されているとともに、リニアアクチュエータ132によって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0021】
第2搬送室121の左側にはノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106は、オリエンテーションフラット合わせ装置であってもよい。また、第2搬送室121の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニット118が設けられている。
【0022】
第2搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を第2搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口134と、ポッドオープナ108と、が設けられている。基板搬入搬出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側には、ロードポート(IOステージ)105が設けられている。ポッドオープナ108は、ポッド100のキャップ100aを開閉すると共に基板搬入搬出口134を閉塞可能なクロージャ142と、クロージャ142を駆動する駆動機構136とを備えている。ロードポート105に載置されたポッド100のキャップ100aを開閉することにより、ポッド100に対するウエハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(OHTなど)によって、ロードポート105に対して、供給および排出されるようになっている。
【0023】
(2)プロセスチャンバの構成
続いて、本実施形態に係る処理炉としてのプロセスチャンバの構成について、主に
図3および
図4を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る基板処理装置10が備えるプロセスチャンバの横断面概略図である。
図4は、本実施形態に係る基板処理装置10が備えるプロセスチャンバの縦断面概略図であり、
図3に示すプロセスチャンバのA−A’線断面図である。
【0024】
ここで、本実施形態では、例えば、第1プロセスチャンバ202a、第2プロセスチャンバ202b、第3プロセスチャンバ202c、第4プロセスチャンバ202dは、例えば、それぞれ同様に構成されている。以下では、第1プロセスチャンバ202a、第2プロセスチャンバ202b、第3プロセスチャンバ202c、第4プロセスチャンバ202dを、総称して「プロセスチャンバ202」とする。
【0025】
(処理室)
図3および
図4に示されているように、処理炉としてのプロセスチャンバ202は、円筒状の気密容器である反応容器203を備えている。反応容器203内には、ウエハ200を処理する処理室201が形成されている。
【0026】
反応容器203内の上側には、中心部から放射状に延びる4枚の仕切板205が設けられている。4枚の仕切板205は、処理室201内の天井部からサセプタ217の直上までの空間を遮るように設けられている。これにより、4枚の仕切板205は、処理室201を、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bに仕切るように構成されている。なお、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bは、後述するサセプタ(基板載置台)217の回転方向Rに沿って、この順番に配列するように構成されている。
【0027】
また、後述するように、第1処理領域201a内には第1元素を含有する第1元素含有ガスが供給され、第2処理領域201b内には第2元素を含む第2元素含有ガスが供給され、第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内には、不活性ガスが供給されるように構成されている。
【0028】
ウエハ200が、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bを通過する時間、すなわち、各領域でのウエハ200の処理時間は、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bのそれぞれの面積に依存する。すなわち、各領域でのウエハ200の処理時間は、仕切板205の配置に依存する。ここでは、例えば、4枚の仕切板205は、平面視で反応容器203の中心に対して対称に配置されている。また、例えば、それぞれの仕切板205は、互いに90°の角度で配置されている。これにより、各領域でのウエハ200の処理時間は、略等しい。
【0029】
仕切板205の下端は、仕切板205がウエハ200に干渉しない程度にサセプタ217に近付けて配置されている。これにより、仕切板205とサセプタ217との間を通過するガスは少ない。よって、各領域内で異なるガスが混ざり合うことが抑制される。
【0030】
仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間には、所定の幅の隙間が設けられており、この隙間をガスが通過できるように構成されている。この隙間を介し、第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内から第1処理領域201a内及び第2処理領域201b内に向けて不活性ガスを噴出させるようにする。これにより、第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内への第1元素含有ガス及び第2元素含有ガス等の処理ガスの侵入を抑制することができ、第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内での処理ガスの反応を抑制することができるように構成されている。
【0031】
(サセプタ)
仕切板205の下側、すなわち反応容器203内の底側中央には、反応容器203の中心に回転軸の中心を有し、回転自在に構成された基板載置台としてのサセプタ217が設けられている。サセプタ217は、ウエハ200の金属汚染を低減することができるように、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、セラミックス、石英等の非金属材料で形成されている。なお、サセプタ217は、反応容器203とは電気的に絶縁されている。
【0032】
サセプタ217は、反応容器203内にて、複数枚(本実施形態では例えば5枚)のウエハ200を同一面上に、かつ同一円周上に並べて支持するように構成されている。ここで、同一面上とは、完全な同一面に限られるものではなく、サセプタ217を上面から見たときに、複数枚のウエハ200が互いに重ならないように並べられていればよい。また、サセプタ217は、複数枚のウエハ200を回転方向に沿って並べて配置するように構成されている。
【0033】
サセプタ217表面におけるウエハ200の支持位置には、ウエハ載置部217bが設けられている。処理するウエハ200の枚数と同数のウエハ載置部217bがサセプタ217の中心から同心円上の位置に互いに等間隔(例えば72°の間隔)で配置されている。
【0034】
それぞれのウエハ載置部217bは、例えばサセプタ217の上面から見て円形状であり、側面から見て凹形状である。ウエハ載置部217bの直径はウエハ200の直径よりもわずかに大きくなるように構成することが好ましい。このウエハ載置部217b内にウエハ200を載置することにより、ウエハ200の位置決めを容易に行うことができ、また、サセプタ217の回転に伴う遠心力によりウエハ200がサセプタ217から飛び出してしまう等のウエハ200の位置ズレが発生することを抑制できる。
【0035】
サセプタ217には、サセプタ217を昇降させる昇降機構268が設けられている。サセプタ217の各ウエハ載置部217bの位置には、貫通孔217aが複数設けられている。上述の反応容器203の底面には、反応容器203内へのウエハ200の搬入・搬出時に、ウエハ200を突き上げて、ウエハ200の裏面を支持するウエハ突き上げピン266が複数設けられている。貫通孔217a及びウエハ突き上げピン266は、ウエハ突き上げピン266が上昇させられた時、又は昇降機構268によりサセプタ217が下降させられた時に、ウエハ突き上げピン266がサセプタ217とは非接触な状態で貫通孔217aを突き抜けるように、互いに配置されている。
【0036】
昇降機構268には、サセプタ217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の図示しない回転軸は、サセプタ217に接続されており、回転機構267を作動させることでサセプタ217を回転させることができるように構成されている。また、サセプタ217が回転することで、五つのウエハ載置部217bが一括して回転されるように構成されている。
【0037】
回転機構267には、後述するコントローラ300が、カップリング部267aを介して接続されている。カップリング部267aは、例えば回転側と固定側との間を金属ブラシ等により電気的に接続するスリップリング機構として構成されている。これにより、サセプタ217の回転が妨げられないようになっている。コントローラ300は、サセプタ217を所定の速度で所定時間回転させるように、回転機構267への通電具合を制御するように構成されている。
【0038】
上述したように、サセプタ217を回転させることにより、サセプタ217上に載置されたウエハ200は、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b及び第2パージ領域204bをこの順番に通過することとなる。
【0039】
(加熱部)
サセプタ217の内部には、加熱部としてのヒータ218が一体的に埋め込まれており、ウエハ200を加熱できるように構成されている。ヒータ218に電力が供給されると、ウエハ200表面が所定温度(例えば室温〜1000℃程度)にまで加熱可能に構成されている。なお、ヒータ218は、サセプタ217に載置されたそれぞれのウエハ200を個別に加熱するように、同一面上に複数(例えば5つ)設けてもよい。
【0040】
サセプタ217には温度センサ274が設けられている。ヒータ218及び温度センサ274には、電力供給線222を介して、電力調整器224、ヒータ電源225、及び温度調整器223が電気的に接続されている。温度センサ274により検出された温度情報に基づいて、ヒータ218への通電具合が制御されるように構成されている。
【0041】
(ガス供給部)
反応容器203の天井部の中央部には、第1元素含有ガス導入部251と、第2元素含有ガス導入部252と、不活性ガス導入部253、クリーニングガス導入部258と、を備えるガス供給部250が設けられている。ガス供給部250の上端は、反応容器203の天井部に開設された開口に気密に接続されている。
【0042】
ガス供給部250は例えば筒状である。ガス供給部250の内部には、各ガス導入部が区画されている。例えば、ガス供給部250内の第1処理領域201a側には、第1元素含有ガス導入部251が設けられている。ガス供給部250内の第2処理領域201b側には、第1元素含有ガス導入部251から離間して第2元素含有ガス導入部252が設けられている。ガス供給部250内のうち第1元素含有ガス導入部251と第2処理領域201bとの間には、不活性ガス導入部253が設けられている。不活性ガス導入部253の中央であって、第1元素含有ガス導入部251と第2元素含有ガス導入部252との間には、クリーニングガス導入部258が配置されている。
【0043】
第1元素含有ガス導入部251の第1処理領域201a側の側壁には、第1処理領域201aに開口する第1ガス噴出口254が設けられている。第2元素含有ガス導入部252の第2処理領域201b側の側壁には、第2処理領域201bに開口する第2ガス噴出口255が設けられている。
【0044】
不活性ガス導入部253の第1パージ領域204aおよび第2パージ領域204bの側における側壁には、それぞれ第1パージ領域204aに開口する第1不活性ガス噴出口256及び第2パージ領域204bに開口する第2不活性ガス噴出口257が設けられている。
【0045】
ガス供給部250の底には、クリーニングガス導入部258の端部であるクリーニングガス供給孔259が設けられている。即ち、クリーニングガス供給孔259は、第1ガス噴出口254、第2ガス噴出口255、不活性ガス噴出口256、257より低い位置に設けられている。
【0046】
ガス供給部250は、第1元素含有ガス導入部251から第1処理領域201a内に第1元素含有ガスを供給し、第2元素含有ガス導入部252から第2処理領域201b内に第2元素含有ガスを供給し、不活性ガス導入部253から第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内に不活性ガスを供給し、クリーニングガス導入部258から処理室201内の略全域にクリーニングガスを供給するように構成されている。ガス供給部250は、それぞれの異なるガスを混合させずに個別に各領域に供給することができ、また、各ガスを併行して各領域に供給することができるように構成されている。
【0047】
(処理ガス供給系)
第1元素含有ガス導入部251の上端には、第1ガス供給管232aの下流端が接続されている。第1ガス供給管232aには、上流方向から順に、第1ガス供給源232b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)232c、及び開閉弁であるバルブ232dが設けられている。
【0048】
第1ガス供給管232aから、第1元素を含有するガス(以下、「第1元素含有ガス」)が、マスフローコントローラ232c、バルブ232d、第1元素含有ガス導入部251及び第1ガス噴出口254を介して、第1処理領域201a内に供給される。
【0049】
第1元素含有ガスは、原料ガス、すなわち、処理ガスの一つである。
【0050】
ここで、第1元素は、例えばシリコン(Si)である。すなわち、第1元素含有ガスは、例えばシリコン含有ガスである。シリコン含有ガスとしては、例えばSiH
2(NH(C
4H
9))
2(ビス ターシャル ブチル アミノ シラン、略称:BTBAS)ガスを用いることができる。なお、第1元素含有ガスは、常温常圧で固体、液体、及び気体のいずれであっても良い。第1元素含有ガスが常温常圧で液体の場合は、第1ガス供給源232bとマスフローコントローラ232cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは気体として説明する。
【0051】
なお、シリコン含有ガスとしては、BTBASの他に、例えば有機シリコン材料であるヘキサメチルジシラザン(C
6H
19NSi
2、略称:HMDS)やトリシリルアミン((SiH
3)
3N、略称:TSA)等を用いることができる。これらのガスは、プリカーサーとして働く。また、第1元素含有ガスは、後述する第2ガスより粘着度(粘度)の高い材料が用いられる。
【0052】
第2元素含有ガス導入部252の上端には、第2ガス供給管233aの下流端が接続されている。第2ガス供給管233aには、上流方向から順に、第2ガス供給源233b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)233c、及び開閉弁であるバルブ233dが設けられている。
【0053】
第2ガス供給管233aからは、第2元素を含有するガス(以下、「第2元素含有ガス」)が、マスフローコントローラ233c、バルブ233d、第2元素含有ガス導入部252及び第2ガス噴出口255を介して、第2処理領域201b内に供給される。第2元素含有ガスは、プラズマ生成部206によりプラズマ状態とされ、ウエハ200上に照射される。
【0054】
第2元素含有ガスは、処理ガスの一つである。なお、第2元素含有ガスは、反応ガスまたは改質ガスとして考えてもよい。
【0055】
ここで、第2元素含有ガスは、第1元素と異なる第2元素を含有する。第2元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第2元素含有ガスは、例えば酸素含有ガスであるとする。具体的には、酸素含有ガスとしては、酸素(O
2)ガスが用いられる。なお、酸素含有ガスとしては、オゾン(O
3)ガスや水蒸気(H
2O)を用いてもよい。また、第2元素含有ガスは、第1元素含有ガスより粘着度(粘度)の低い材料が用いられる。
【0056】
主に、第1ガス供給管232a、マスフローコントローラ232c、バルブ232d、第1元素含有ガス導入部251及び第1ガス噴出口254により、第1元素含有ガス供給系(シリコン含有ガス供給系ともいう)が構成される。なお、第1ガス供給源232bを、第1元素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、第2ガス供給管233a、マスフローコントローラ233c、バルブ233d、第2元素含有ガス導入部252及び第2ガス噴出口255により、第2元素含有ガス供給系(酸素含有ガス供給系ともいう)が構成される。なお、第2ガス供給源233bを、第2元素含有ガス供給系に含めて考えてもよい。そして、主に、第1元素含有ガス供給系及び第2元素含有ガス供給系により、処理ガス供給系が構成される。
【0057】
(不活性ガス供給系)
不活性ガス導入部253の上端には、第1不活性ガス供給管234aの下流端が接続されている。第1不活性ガス供給管234aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源234b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)234c、及び開閉弁であるバルブ234dが設けられている。
【0058】
第1不活性ガス供給管234aからは、不活性ガスが、マスフローコントローラ234c、バルブ234d、不活性ガス導入部253、第1不活性ガス噴出口256及び第2不活性ガス噴出口257を介して、第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内にそれぞれ供給される。第1パージ領域204a内及び第2パージ領域204b内に供給される不活性ガスは、後述する薄膜形成工程(S104)ではパージガスとして作用する。
【0059】
第1ガス供給管232aのバルブ232dよりも下流側には、第2不活性ガス供給管235aの下流端が接続されている。第2不活性ガス供給管235aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源235b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)235c、及び開閉弁であるバルブ235dが設けられている。
【0060】
第2不活性ガス供給管235aからは、不活性ガスが、マスフローコントローラ235c、バルブ235d、第1ガス供給管232a、第1元素含有ガス導入部251及び第1ガス噴出口254を介して、第1処理領域201a内に供給される。第1処理領域201a内に供給される不活性ガスは、薄膜形成工程(S104)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0061】
また、第2ガス供給管233aのバルブ233dよりも下流側には、第3不活性ガス供給管236aの下流端が接続されている。第3不活性ガス供給管236aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源236b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)236c、及び開閉弁であるバルブ236dが設けられている。
【0062】
第3不活性ガス供給管236aからは、不活性ガスが、マスフローコントローラ236c、バルブ236d、第2ガス供給管233a、第2元素含有ガス導入部252及び第2ガス噴出口255を介して、第2処理領域201b内に供給される。第2処理領域201b内に供給される不活性ガスは、第1処理領域201a内に供給される不活性ガスと同様に、薄膜形成工程(S104)ではキャリアガス或いは希釈ガスとして作用する。
【0063】
ここで、不活性ガスは、例えば、窒素(N
2)ガスである。なお、不活性ガスとして、N
2ガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0064】
主に、第1不活性ガス供給管234a、マスフローコントローラ234c及びバルブ234d、不活性ガス導入部253、第1不活性ガス噴出口256及び第2不活性ガス噴出口257により第1不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源234bを、第1不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0065】
また、主に、第2不活性ガス供給管235a、マスフローコントローラ235c及びバルブ235dにより第2不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源235b、第1ガス供給管232a、第1元素含有ガス導入部251及び第1ガス噴出口254を、第2不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0066】
また、主に、第3不活性ガス供給管236a、マスフローコントローラ236c及びバルブ236dにより第3不活性ガス供給系が構成される。なお、不活性ガス供給源236b、第2ガス供給管233a、第2元素含有ガス導入部252及び第2ガス噴出口255を、第3不活性ガス供給系に含めて考えてもよい。
【0067】
そして、主に、第1不活性ガス供給系、第2不活性ガス供給系および第3不活性ガス供給系により、不活性ガス供給系が構成される。
【0068】
(クリーニングガス供給系)
クリーニングガス導入部258の上端には、クリーニングガス供給管237aの下流端が接続されている。クリーニングガス供給管237aには、上流方向から順に、クリーニングガス供給源237b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)237c、開閉弁であるバルブ237d、及びクリーニングガスのプラズマを生成するプラズマ生成ユニット237eが設けられている。
【0069】
第1ガス供給管232aからは、クリーニングガスが供給される。クリーニングガスは、マスフローコントローラ237c、バルブ237d、リモートプラズマ生成ユニット237e、クリーニングガス導入部258、クリーニングガス供給孔259を介して反応容器203に供給される。クリーニングガスは、リモートプラズマ生成ユニット237eによってプラズマ状態とされたクリーニングガスにより、反応容器203内の副生成物等がクリーニングされる。
【0070】
ここで、クリーニングガスは、例えば三フッ化窒素(NF
3)ガスである。なお、クリーニングガスとして、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素ガス(ClF
3)ガス、フッ素(F
2)ガス等を用いても良く、またこれらを組合せて用いても良い。また、上記のクリーニングガスは、希釈ガスとして不活性ガス(たとえば、窒素ガス)とともに供給しても良い。
【0071】
(排気系)
図4に示されているように、反応容器203の底部には、反応容器203内を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、圧力センサ248、圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ243、および開閉弁としてのバルブ245を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。APCバルブ243は、弁を開閉して処理室201内の真空排気や真空排気停止ができ、更に弁開度を調節して処理室201内の圧力を調整可能となっている開閉弁である。主に、排気管231、APCバルブ243及びバルブ245により排気系が構成される。なお、排気系には、圧力センサ248および真空ポンプ246を含めても良い。
【0072】
(プラズマ生成部)
第2処理領域201b内の上方には、プラズマ生成部206の少なくとも一部を構成する電極271が設けられている。プラズマ生成部206は、第2処理領域201b内に第2元素含有ガスのプラズマを生成(第2元素含有ガスを活性化)するよう構成されている。このように、プラズマを用いることにより、低温であっても第2元素含有ガスを活性化させウエハ200の処理を行うことができる。
【0073】
第2処理領域201b内には、例えば、互いに平行に並んで設けられた二本の棒状の電極271が設けられている。二本の電極271は、例えば石英製のカバー(不図示)で覆われている。電極271には、インピーダンスを整合する整合器272を介して、高周波電源273が接続されている。高周波電源273から電極271に高周波電力が印加されることにより、電極271の周辺にプラズマが生成される。なお、主に電極271の直下にプラズマが生成される。このように、プラズマ生成部206は、いわゆる容量結合型のプラズマを生成する。
【0074】
例えば、プラズマ生成部206の電極271は、平面視で反応容器203の中心から外側に向かう方向に設けられている。言い換えれば、電極271は、平面視で反応容器203の中心から径方向に設けられている。電極271は、ウエハ200の上面と平行に設けられている。また、電極271は、ウエハ200が通過する経路上に配置されている。電極271の長さは、ウエハ200の直径よりも長い。これにより、電極271の直下を通過するウエハ200の全面に順次プラズマが照射される。
【0075】
主に、電極271により、プラズマ生成部206が構成される。なお、整合器272および高周波電源273をプラズマ生成部206に含めて考えてもよい。
【0076】
(制御部)
次に、
図5を用い、本実施形態の制御部(制御手段)であるコントローラ300について説明する。
図5は、本実施形態で好適に用いられる基板処理装置10のコントローラの概略構成図である。
【0077】
図5に示されているように、制御部(制御手段)であるコントローラ300は、CPU(Central Processing Unit)301a、RAM(Random Access Memory)301b、記憶装置301c、I/Oポート301dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM301b、記憶装置301c、I/Oポート301dは、内部バス301eを介して、CPU301aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ300には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置302が接続されている。
【0078】
記憶装置301cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置301c内には、基板処理装置10の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理等の基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピが、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ300に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM301bは、CPU301aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0079】
I/Oポート301dは、上述のマスフローコントローラ232c,233c,234c,235c,236c,237c、バルブ232d,233d,234d,235d,236e,237f、圧力センサ248、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ218、温度センサ274、整合器272、高周波電源273、回転機構267、昇降機構268等に接続されている。なお、I/Oポート301dは、図示されていない電力調整器224、ヒータ電源225、及び温度調整器223にも接続されている。
【0080】
CPU301aは、記憶装置301cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置302からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置301cからプロセスレシピを読み出すように構成されている。そして、CPU301aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、マスフローコントローラ232c,233c,234c,235c,236c,237cによる各種ガスの流量調整動作、バルブ232d,233d,234d,235d,236e,237fの開閉動作、APCバルブ243の開閉動作及び圧力センサ248に基づくAPCバルブ243による圧力調整動作、温度センサ274に基づくヒータ218の温度調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、回転機構267によるサセプタ217の回転および回転速度調節動作、昇降機構268によるサセプタ217の昇降動作、高周波電源273による電力供給および停止、整合器272によるインピーダンス調整動作等を制御するように構成されている。
【0081】
なお、コントローラ300は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)303を用意し、係る外部記憶装置303を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ300を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置303を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置303を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置301cや外部記憶装置303は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置301c単体のみを含む場合、外部記憶装置303単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0082】
(3)基板処理工程
続いて、本実施形態に係る半導体製造工程の一工程として、上述したプロセスチャンバ202を備える基板処理装置10を用いて製造される基板処理工程について説明する。
【0083】
まず、
図6及び
図7を用い、基板処理工程の概略について説明する。
図6は、本実施形態に係る基板処理工程を示すフロー図である。
図7は、本実施形態に係る第2工程のフロー図である。なお、以下の説明において、基板処理装置10のプロセスチャンバ202の構成各部の動作は、コントローラ300により制御される。
【0084】
ここでは、第1元素含有ガスとしてBTBASガスを用い、第2元素含有ガスとして酸素(O
2)ガスを用い、ウエハ200上に薄膜としてシリコン酸化膜を形成する例について説明する。また、例えば、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよい。また、ウエハ200または所定の膜には予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0085】
(基板搬入・載置工程S102)
例えば、最大25枚のウエハ200が収納されたポッド100が、工程内搬送装置によって搬送され、ロードポート105の上に載置される。ポッド100のキャップ100aがポッドオープナ108によって取り外され、ポッド100の基板出し入れ口が開放される。第2ウエハ移載機124は、ポッド100からウエハ200をピックアップして、ノッチ合わせ装置106上へ載置する。ノッチ合わせ装置106はウエハ200の位置調整を行う。第2ウエハ移載機124は、ウエハ200をノッチ合わせ装置106から大気圧の状態の予備室122内に搬入する。ゲートバルブ128が閉じられ、予備室122内が排気装置(図示せず)によって負圧に排気される。
【0086】
プロセスチャンバ202ではサセプタ217をウエハ200の搬送位置まで下降させることにより、サセプタ217の貫通孔217aにウエハ突き上げピン266を貫通させる。その結果、ウエハ突き上げピン266が、サセプタ217表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、所定のゲートバルブを開き、第1ウエハ移載機112を用いて、処理室201内に所定枚数(例えば5枚)のウエハ200(処理基板)を搬入する。そして、サセプタ217の図示しない回転軸を中心として、各ウエハ200が重ならないように、サセプタ217の回転方向に沿って載置する。これにより、ウエハ200は、サセプタ217の表面から突出したウエハ突き上げピン266上に水平姿勢で支持される。
【0087】
処理室201内にウエハ200を搬入したら、第1ウエハ移載機112をプロセスチャンバ202の外へ退避させ、所定のゲートバルブを閉じて反応容器203内を密閉する。その後、サセプタ217を上昇させることにより、サセプタ217に設けられた各載置部217b上にウエハ200を載置する。
【0088】
なお、ウエハ200を処理室201内に搬入する際には、排気系により処理室201内を排気しつつ、不活性ガス供給系から処理室201内に不活性ガスとしてのN
2ガスを供給することが好ましい。すなわち、真空ポンプ246を作動させAPCバルブ243を開けることにより処理室201内を排気した状態で、少なくとも第1不活性ガス供給系のバルブ234dを開けることにより、処理室201内にN
2ガスを供給することが好ましい。これにより、処理室201内へのパーティクルの侵入や、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。なお、さらに第2不活性ガス供給系及び第3不活性ガス供給系から不活性ガスを供給してもよい。また、真空ポンプ246は、少なくとも基板搬入・載置工程(S102)から後述する基板搬出工程(S106)が終了するまでの間は、常に作動させた状態とする。
【0089】
ウエハ200をサセプタ217の上に載置する際は、サセプタ217の内部に埋め込まれたヒータ218に電力を供給し、ウエハ200の表面が所定の温度となるよう制御される。ウエハ200の温度は、例えば室温以上700℃以下であり、好ましくは、室温以上であって200℃以下である。この際、ヒータ218の温度は、温度センサ274により検出された温度情報に基づいてヒータ218への通電具合を制御することによって調整される。
【0090】
なお、シリコンで構成されるウエハ200の加熱処理では、表面温度を750℃以上にまで加熱すると、ウエハ200の表面に形成されたソース領域やドレイン領域等に不純物の拡散が生じ、回路特性が劣化し、半導体デバイスの性能が低下してしまう場合がある。ウエハ200の温度を上述のように制限することにより、ウエハ200の表面に形成されたソース領域やドレイン領域における不純物の拡散、回路特性の劣化、半導体デバイスの性能の低下を抑制できる。
【0091】
また、後述するダブルパターニング法などのようにウエハ200の上にホトレジストパターンが形成された状態で、ホトレジストパターンの上に薄膜を形成する場合では、ウエハ200の温度が例えば200℃以上の高温であるときにホトレジストパターンが熱変化してしまう可能性がある。本実施形態では、低温で基板処理工程を行うことが可能であるため、ホトレジスト膜の劣化を抑制することができる。
【0092】
(薄膜形成工程S104)
次に、薄膜形成工程S104を行う。薄膜形成工程S104の基本的な流れについて説明し、本実施形態の特徴部分については詳細を後述する。
【0093】
薄膜形成工程S104では、第1処理領域201a内にBTBASガスを供給し、第2処理領域201b内に酸素ガスを供給してウエハ200上にシリコン酸化膜を形成する。
【0094】
なお、薄膜形成工程S104では、基板搬入・載置工程S102後、継続して、排気部により処理室201内が排気されるとともに、不活性ガス供給系から第1パージ領域204a内および第2パージ領域204b内にパージガスとしてのN
2ガスが供給されている。
【0095】
(サセプタ回転開始S202)
まず、ウエハ200が各ウエハ載置部217bに載置されたら、回転機構267によってサセプタ217の回転を開始する。この際、サセプタ217の回転速度はコントローラ300によって制御される。サセプタ217の回転速度は例えば1回転/分以上100回転/分以下である。具体的には、回転速度は、例えば60回転/分である。サセプタ217を回転させることにより、ウエハ200は、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bの順に移動を開始する。
【0096】
(ガス供給開始S204)
ウエハ200を加熱して所望とする温度に達し、サセプタ217が所望とする回転速度に到達したら、バルブ232dを開けて第1処理領域201a内にBTBASの供給を開始し、更にバルブ233dを開けて第2処理領域201b内に酸素ガスを供給する。
【0097】
このとき、BTBASガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ232cを調整する。なお、BTBASの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。本実施形態では、後述する第3工程S210までBTBASガスを一定流量で流し続ける。
【0098】
なお、BTBASガスとともに、第2不活性ガス供給系からキャリアガスとしてN
2ガスを流してもよい。
【0099】
また、酸素ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ233cを調整する。なお、酸素ガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。本実施形態では、後述する第3工程S210まで酸素ガスを一定流量で流し続ける。
【0100】
また、APCバルブ243の弁開度を適正に調整することにより、処理室201内の圧力を、所定の圧力とする。
【0101】
なお、このガス供給開始S204のときから、ウエハ200の表面上に後述する所定の厚さを有するシリコン含有層が形成され始める。
【0102】
(第1工程S206)
次に、BTBASガスおよび酸素ガスの流量が安定したら、プラズマ生成部206により、第2処理領域201b内に酸素ガスのプラズマ生成を開始する。言い換えれば、プラズマ生成部206の電力供給を開始することによって第2処理領域201b内に酸素プラズマが着火される。
【0103】
具体的には、高周波電源273から電極271に高周波電力を印加するとともに、整合器272によりインピーダンスを整合させる。これにより、第2処理領域201b内における電極271の下方に酸素ガスのプラズマを生成する。第2処理領域201b内には、酸素元素を含む活性種が生成される。
【0104】
なお、第1工程S206のときから、後述するように、シリコン含有層が酸素ガスのプラズマによって改質され始める。
【0105】
(第2工程S208)
次に、第1工程S206の後に、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を継続し、ウエハ200の上にシリコン元素および酸素元素を含有するシリコン酸化膜を形成していく第2工程S208を行う。
【0106】
第2工程S208では、複数のウエハ200が、順次、第1処理領域201aと第2処理領域201bとを所定回数交互に通過するようにサセプタ217が継続して回転している。具体的には、ウエハ200は、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bの順に交互に通過する。これにより、ウエハ200には、BTBASガスの供給、不活性ガスの供給、プラズマ状態とされた酸素ガスの供給、不活性ガスの供給を1サイクルとして、このサイクルが順に実施される。
【0107】
以下、
図7を用い、第2工程S208の詳細を説明する。
【0108】
(第1処理領域通過S302)
ウエハ200が第1処理領域201aを通過するときに、BTBASガスがウエハ200に供給される。ウエハ200表面の上には、BTBASガスがウエハ200の上に接触することによって「第1元素含有層」としてのシリコン含有層が形成される。
【0109】
シリコン含有層は、例えば、処理室201内の圧力、BTBASガスの流量、サセプタ217の温度、第1処理領域201aの通過にかかる時間(第1処理領域201aでの処理時間)等に応じて、所定の厚さ及び所定の分布で形成される。
【0110】
(第1パージ領域通過S304)
次に、ウエハ200は、第1処理領域201aを通過した後に、サセプタ217の回転方向Rに移動して第1パージ領域204aに移動する。ウエハ200が第1パージ領域204aを通過するときに、第1処理領域201aにおいてウエハ200に結合できなかったシリコン成分が、不活性ガスによってウエハ200上から除去される。
【0111】
(第2処理領域通過S306)
次に、ウエハ200は、第1パージ領域204aを通過した後に、サセプタ217の回転方向Rに移動して第2処理領域201bに移動する。ウエハ200が第2処理領域201bを通過するときに、第2処理領域201bでは、シリコン含有層が酸素ガスのプラズマによって改質される。
【0112】
ここで、シリコン含有層が酸素ガスのプラズマによって改質されることにより、ウエハ200の上には、例えばシリコン元素および酸素元素を含有する層が形成される。以下、シリコン元素および酸素元素を含有する層を、単に「改質層」とする。
【0113】
改質層は、例えば、反応容器203内の圧力、酸素ガスの流量、サセプタ217の温度、プラズマ生成部206の電力供給具合等に応じて、所定の厚さ、所定の分布、シリコン含有層に対する所定の酸素成分等の侵入深さで形成される。
【0114】
以下において、改質層の上に形成されたシリコン含有層がさらに改質されるとき、例えば、改質層の上にさらに改質層が積層して形成されるとして説明する。なお、改質層の上に形成されたシリコン含有層がさらに改質されるときは、下側に位置する改質層と上側に積層される改質層との界面が形成されない場合や、下側に位置する改質層に酸素成分等が上側に積層される改質層を超えて侵入する場合を含む。
【0115】
(第2パージ領域通過S308)
次に、ウエハ200は、プラズマが着火された第2処理領域201bを通過した後に、サセプタ217の回転方向Rに移動して第2パージ領域204bに移動する。ウエハ200が第2パージ領域204bを通過するときに、第2処理領域201bにおいてウエハ200に結合できなかった酸素成分が、不活性ガスによってウエハ200上から除去される。
【0116】
(判定S310)
この間、コントローラ300は、上記1サイクルを所定回数実施したか否かを判定する。具体的には、コントローラ300は、サセプタ217の回転数をカウントする。
【0117】
所定回数実施していないとき(S310でNoの場合)、さらにサセプタ217の回転を継続させて、シリコン含有ガスの供給S302、不活性ガスの供給S304、プラズマ状態とされた酸素ガスの供給S306、不活性ガスの供給S308、のサイクルを繰り返す。所定回数実施したとき(S310でYesの場合)、第2工程S208を終了する。
【0118】
このように、第1元素含有ガスの供給S302、不活性ガスの供給S304、プラズマ状態とされた第2元素含有ガスの供給S306、不活性ガスの供給S308、の1サイクルとして、所定回数繰り返す。
【0119】
(第3工程S210)
次に、第2工程208の後に、プラズマ生成部206の電力供給を停止し、プラズマ生成を停止する。プラズマ生成部206の電力供給を停止した後でも、第1処理領域201aへの第1元素含有ガスの供給と、第2処理領域201bへの第2元素含有ガスの供給と、第1パージ領域204aおよび第2パージ領域204bへの窒素ガスの供給と、サセプタ217の回転と、を所定の期間継続する。
【0120】
このとき、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後も、プラズマ中の活性種等は失活せずに所定の期間継続してプラズマが残存する。プラズマ生成部206の電力供給を停止した後、プラズマが密の状態からプラズマが疎の状態となっていき、プラズマ中の活性種等は失活する。
【0121】
(ガス供給停止S212)
第3工程S210の後、少なくともバルブ232d及びバルブ233dを閉じ、第1元素含有ガス及び第2元素含有ガスの第1処理領域201a及び第2処理領域201bへの供給を停止する。
【0122】
(サセプタ回転停止S214)
ガス供給停止S212の後、サセプタ217の回転を停止する。以上により、薄膜形成工程S104が終了する。
【0123】
(基板搬出工程S106)
次に、サセプタ217を下降させ、サセプタ217の表面から突出させたウエハ突き上げピン266上にウエハ200を支持させる。その後、所定のゲートバルブを開き、第1ウエハ移載機112を用いてウエハ200を反応容器203の外へ搬出する。その後、基板処理工程を終了する場合は、不活性ガス供給系から処理室201内に不活性ガスを供給することを停止する。
【0124】
以上により、基板処理工程を終了する。なお、基板処理工程の終了後、クリーニングガス供給系から処理室201内にクリーニングガスを供給して、処理室201内をクリーニングしてもよい。
【0125】
(4)薄膜形成工程の詳細について
続いて、本実施形態に係る薄膜形成工程S104のうち第1工程S206から第3工程S210について、比較例と対比しながら詳細を説明する。
【0126】
(第1工程について)
図13を用い、比較例の薄膜形成工程について説明する。
図13(a)および(b)は、比較例の第1工程におけるウエハ200’上の薄膜形成状態を示す模式的断面図である。
【0127】
ここで、比較例では、第1工程における第2処理領域201bの圧力と、第2工程における第2処理領域201bの圧力と、は等しいとする。
【0128】
比較例では、ガス供給開始(S204に相当する工程)により、例えば、ウエハ200’の上にはシリコン含有層803が形成されている。上述のように、シリコン含有層803は、シリコン含有ガス(BTBASガス)が分解されたシリコン成分802が付着し、シリコン含有層803が構成されているとする。
【0129】
次に、
図13(a)に示されているように、第1工程において、プラズマ生成部206’により、第2処理領域201b内に酸素ガスのプラズマ生成を開始する。なお、図ではプラズマ生成部206’のうち主に電極271’付近を示している。プラズマ生成部206’の下方には、酸素元素の活性種を含むプラズマのシース801が生成される。
【0130】
このとき、例えば、サセプタの回転速度が高くウエハ200’が第2領域201b’を通過するタイミングを調整することが困難であったり、プラズマ生成部206’によるプラズマの着火のタイミングがばらついたりする可能性がある。このような場合、プラズマ生成部206’によってプラズマが着火されるときに、プラズマ生成部206’の直下をウエハ200’が通過している途中である場合がある。以下、プラズマ生成部206’によってプラズマが着火されるときに、複数のウエハ200’のうちプラズマ生成部206’の直下を初めて通過するウエハを「第1ウエハW
1’」とする。
【0131】
プラズマが着火されるとき、第1ウエハW
1’の面内において、プラズマ生成部206’の直下をすでに通過していた側にはプラズマが照射されない。一方、ウエハ200’がサセプタの回転方向R’に移動することにともなって、プラズマが着火されるときにプラズマ生成部206’の直下を通過する前だった側(言い換えれば、プラズマ生成部206’の回転方向下流であって、プラズマが生成されるときにプラズマ生成部206’の直下を通過していない側)には随時プラズマが照射されていく。このため、第1ウエハW
1’の全体が第2処理領域201bを通過した後には、第1ウエハW
1’の面内にプラズマが照射されなかった領域(非プラズマ照射領域200a’)とプラズマが照射された領域(プラズマ照射領域200b’)とが生じる。一方、第1ウエハW
1’以降のウエハ200’には全面にプラズマが照射されていく。
【0132】
非プラズマ照射領域200a’には、シリコン含有層803の表面が露出したままである。一方で、プラズマ照射領域200b’には、シリコン含有層803は、酸素ガスのプラズマにより改質される。プラズマ照射領域200b’には、シリコン含有層803が改質されることによって、改質層805が形成される。
【0133】
このとき、第1ウエハW
1’の面内において、非プラズマ照射領域200a’とプラズマ照射領域200b’との間に、段差d
aが生じうる。段差d
aは、サセプタ217が一回転した際に形成される膜の厚さであり、例えば約1.8Å(0.18nm)程度である。また、サセプタ217上に載置された第1ウエハW
1’と、第1ウエハW
1’以外のウエハ200との間に、段差d
aに相当する層厚差が生じうる。
【0134】
その後、第1処理領域および第2処理領域にウエハ200’が所定回数交互に通過することにより、ウエハ200’の上にシリコン酸化膜が形成される。このとき、第1ウエハW
1’に形成された薄膜には、最初に形成された段差d
aに相当する膜厚差が残存する。
【0135】
このように、プラズマが着火されるときに第1ウエハW
1’の面内に非プラズマ照射領域200a’が生じたことに起因して、非プラズマ照射領域200a’とプラズマ照射領域200b’との間に、第1ウエハW
1’の面内において膜厚差が生じうる。また、第1ウエハW
1’と第1ウエハW
1’以外のウエハ200’との間に膜厚差が生じうる。
【0136】
なお、近年では、例えば20nm以下の配線寸法が求められている。このため、上記のような僅かな膜厚差であっても、配線のパターン幅等の差が生じてしまう可能性がある。
【0137】
そこで、本実施形態では、例えば、第1工程S206における第2処理領域201b内のプラズマ密度を、後述する第2工程208における第2処理領域201b内のプラズマ密度よりも低くする。具体的には、例えば、第1工程S206における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程208における第2処理領域201b内の圧力よりも低くする。
【0138】
以下、
図8、
図9(a−1)から
図10(c−2)を用い、本実施形態の薄膜形成工程S104の詳細について説明する。
図8は、本実施形態に係る基板処理シーケンスにおける各部の動作タイミングを示す図である。
図9(a−1)から(c−1)は、本実施形態の薄膜形成工程におけるウエハ位置を示す模式的平面図であり、
図9(a−2)から(c−2)は、(a−1)から(c−1)のときにおけるウエハ上の薄膜形成状態を示す模式的断面図である。
図10(a−1)から(c−1)は、本実施形態の薄膜形成工程におけるウエハ位置を示す模式的平面図であり、
図10(a−2)から(c−2)は、(a−1)から(c−1)のときにおけるウエハ上の薄膜形成状態を示す模式的断面図である。
【0139】
図9(a−2)に示されているように、ガス供給開始S204により、例えば、ウエハ200の上にBTBAS分子等が接触することによってシリコン含有層903が形成されている。ここでは、例えばシリコン成分902により、シリコン含有層903が構成されているとする。
【0140】
次に、
図9(b−1)および(b−2)に示されているように、第1工程S206において、プラズマ生成部206により、第2処理領域201b内に酸素ガスのプラズマ生成を開始する(
図8プラズマ生成部On)。プラズマ生成部206の下方には、酸素元素の活性種を含むプラズマのシース901が生成される。
【0141】
プラズマ生成部206によってプラズマが着火されるときに、プラズマ生成部206の直下を、ウエハ200(第1ウエハW
1とする)が通過している途中である場合がある。
【0142】
本実施形態では、例えば、第1工程S206における第2処理領域201b内のプラズマ密度(第2処理領域201b内のガスの活性度(第1の活性度))を、後述する第2工程208における第2処理領域201b内のプラズマ密度(第2の活性度)よりも低くしている。
【0143】
具体的には、
図8に示されているように、例えば、第1工程S206における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くする。少なくともプラズマ生成部206の電力供給を開始するときにおける第2処理領域201b内の圧力(圧力P
1)を、第2工程S208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くする。なお、第1工程S206における全ての期間における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程S208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くしてもよい。
【0144】
これにより、第1工程において、プラズマが着火されたとき、プラズマは疎の状態となる。したがって、プラズマ生成部206の直下に第1ウエハW
1が位置している状態でプラズマ生成部206によるプラズマが着火された場合であっても、第1ウエハW
1の表面に接触する酸素元素を含む活性種の密度が低減される。
【0145】
図9(b−2)に示されているように、第1ウエハW
1の面内のうち非プラズマ照射領域200aには、シリコン含有層903の表面が露出したままである。一方で、第1ウエハW
1の面内のうちプラズマ照射領域200bには、活性化された酸素成分が分散した状態で付着し、改質層905が形成される。
【0146】
このように、巨視的に見ればプラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが区別できない程度に、所定の低い面粗さで改質層905が形成される。言い換えれば、本実施形態では、非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとの間に明確な段差が生じにくい。
【0147】
また、本実施形態では、例えば、第1工程S206において、第2処理領域201b内の圧力を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力に設定する。例えば、第1工程S206におけるプラズマ生成部206の電力供給を開始したときの第2処理領域201b内の圧力を、第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力に設定する。
【0148】
第1工程S206における「第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力」とは、例えば以下のような圧力範囲のことである。
【0149】
例えば、第1工程S206において、第2処理領域201b内の圧力を、プラズマ生成部206の電力供給により酸素ガスのプラズマを生成することが可能な圧力以上とする。
【0150】
より好ましくは、例えば、第2処理領域201b内の圧力を、ウエハ200面内における改質層905存在比率を段差が顕著とならない圧力範囲とする。
【0151】
第2処理領域201b内の圧力に関するこれらの下限および上限を言い換えれば、例えば、第2処理領域201b内の圧力を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる圧力に設定する。
【0152】
具体的には、第2処理領域201b内の圧力を例えば1Pa以上2000Pa以下とし、好ましくは10Pa以上1000Pa以下とする。これにより、プラズマが着火されるときに安定的に酸素元素を含む活性種の密度が低減される。言い換えれば、ウエハ200の面内において、酸素元素を含む活性種が接触する確率が減少する。
【0153】
図9(b−2)に示されているように、第1工程S206では第2処理領域201b内の圧力を上記のような低い圧力に設定することにより、例えば、第2処理領域201bにおけるシリコン含有層903の上又は中にはシリコン成分902よりも少ない数の酸素成分904しか結合されない。例えば、改質層905が形成されずにシリコン含有層903の表面が露出した面積は、改質層905が形成された面積よりも広い。第1ウエハW
1の面内のうちプラズマ照射領域200bにおいて、改質層905中の酸素成分904等を低い密度で疎らに分散して形成することができる。
【0154】
このように、実質的に、プラズマ照射領域200bの表面状態は、非プラズマ照射領域200aの表面状態と大差がなく、プラズマ照射領域200bと非プラズマ照射領域200aとの間に明確な段差を生じない。
【0155】
さらに、本実施形態では、
図8に示されているように、第1工程S206において、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから徐々に第2処理領域201b内の圧力を上昇させる。例えば、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから第2処理領域201b内の圧力を単調増加させる。例えば、第2処理領域201b内の圧力を圧力P
1から圧力P
1よりも高い圧力P
2に上昇させる。ウエハ200への薄膜の成膜レートは徐々に上昇していく。これにより、ウエハ200の上にシリコン含有層903が改質されて改質層905が徐々に積層されていくにしたがって、ウエハ200の面内における改質層905が形成される密度を徐々に高くしていくことができる。
【0156】
具体的には、第1工程S206において、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから徐々に第2処理領域201b内の圧力を上昇させることにより、例えば以下のようにして、ウエハ200の上に改質層905が徐々に積層されていく。
【0157】
図9(c−1)および(c−2)に示されているように、プラズマ照射領域200bに酸素成分904が疎らに分散した状態で改質層905が形成された第1ウエハW
1が第1処理領域201aを通過するときに、BTBASガスが供給され、少なくとも改質層905の上にさらにシリコン含有層903が形成される。
【0158】
次に、
図10(a−1)および(a−2)に示されているように、第1ウエハW
1が第2処理領域201bを通過するときには、酸素ガスによるプラズマが第1ウエハW
1に照射されることによって、シリコン含有層903の上にさらに改質層905が形成される。
【0159】
このとき、徐々に第2処理領域201b内の圧力が上昇していることにより、酸素成分904が密に分散した状態で、シリコン含有層903の上に改質層905が形成される。すなわち、改質層905の形成領域が無秩序に広くなっていく。
【0160】
このように、ウエハ200の上に改質層905が徐々に積層されていくにしたがって、ウエハ200の面内における改質層905中の酸素成分904等の密度を高くしていくことができる。
【0161】
これにより、プラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが徐々に区別できなくなるように、無秩序にシリコン含有層903および改質層905が交互堆積していく。
【0162】
図8に示されているように、本実施形態では、例えば、第1工程S206において処理室201内の圧力を圧力P
1から圧力P
2まで上昇させた後に、第2工程S208において処理室201内の圧力を圧力P
2で維持する。
【0163】
以降は、
図10(b−1)から(c−2)に示されているように、第2工程S208を行い、ウエハ200の上にさらに改質層905を積層させていく。
【0164】
このようにして、本実施形態では、巨視的に見ればプラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが区別できない程度に、所定の低い面粗さで、膜厚が面内均一なシリコン酸化膜が形成される。
【0165】
(第3工程S210について)
次に、第3工程S210において、プラズマ生成部206の電力供給を停止して、プラズマ中の活性種等が失活するときに、プラズマ生成部の直下を最後に通過するウエハ200について、比較例と対比しながら詳細を説明する。第3工程S210では、以下のようにして第1工程S206と逆の現象が生じうる。
【0166】
ここで、比較例では、第2工程における第2処理領域の圧力と、第3工程における第2処理領域の圧力と、は等しいとする。
【0167】
比較例では、第3工程において、例えば、サセプタの回転速度が高くウエハが第2処理領域を通過するタイミングを調整することが困難であったり、プラズマが完全に消滅するタイミングがバラついたりする可能性がある。プラズマ密度が大きく減衰するとき(瞬間)に、プラズマ生成部の直下をウエハが通過している途中であることがある。以下、プラズマ生成部によるプラズマが消滅するときに、複数のウエハのうちプラズマ生成部の直下を最後に通過するウエハを「最終ウエハ」とする。
【0168】
プラズマが消滅するとき、最終ウエハの面内において、プラズマ生成部の直下をすでに通過していた側には、プラズマが密の状態で照射された後である。一方、ウエハがサセプタの回転方向Rに移動することにともなって、プラズマが消滅するときにプラズマ生成部の直下を通過する前だった領域には、プラズマが照射されなくなる。このため、最終ウエハの全体が第2処理領域を通過した後には、最終ウエハの面内にはプラズマが照射された領域(プラズマ照射領域)と、プラズマが照射されなかった領域(非プラズマ照射領域)と、が生じる。一方、最終ウエハよりも後にプラズマ生成部の直下を通過していくウエハには、プラズマが照射されない。
【0169】
プラズマが消滅するときに、最終ウエハの面内に非プラズマ照射領域が生じたことに起因して、非プラズマ照射領域とプラズマ照射領域との間に、最終ウエハの面内において膜厚差が生じうる。また、最終ウエハと最終ウエハ以外のウエハとの間に膜厚差が生じうる。このように、第3工程S210においても、第1工程S206と逆の現象が生じうる。
【0170】
そこで、本実施形態では、例えば、第2工程S208の終了後から酸素ガスのプラズマが消滅するまでの間における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程S208における第2処理領域201b内の圧力より低くする。
【0171】
なお、「第2工程S208の終了後から酸素ガスのプラズマが消滅するまでの間」とは、例えば、第2工程S208の終了後にプラズマ生成部206の電力供給を停止した時から酸素ガスのプラズマが完全に消滅するまでの間のことである。なお、「第2工程S208の終了後から酸素ガスのプラズマが消滅するまでの間」とは、第2工程S208の終了後にプラズマ生成部206の電力供給が継続している間の所定時点から酸素ガスのプラズマが完全に消滅するまでの間を含めて考えてもよい。
【0172】
具体的には、
図8に示されているように、例えば、第3工程210においてプラズマ生成部206の電力供給を停止した時から酸素ガスのプラズマが消滅するまでの間のうち少なくともいずれかのタイミングにおける第2処理領域201b内の圧力を、第2工程208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くする。または、第3工程210において、少なくともプラズマが消滅するときの第2処理領域201b内の圧力を、第2工程208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くする。なお、第3工程S210における全ての期間における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程208における第2処理領域201b内の圧力(圧力P
2)よりも低くしてもよい。
【0173】
プラズマ生成部206の電力供給を停止した時からプラズマが完全に消滅するまでの間において、ウエハ200の表面に接触する酸素を含む活性種の密度が低減される。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した時からプラズマが完全に消滅するまでの間において、ウエハ200の上には改質層905が疎らに分散して形成される。
【0174】
このように、巨視的に見ればプラズマが完全に消滅するときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが区別できない程度に、所定の低い面粗さで改質層905が形成される。言い換えれば、本実施形態では、非プラズマ照射領域とプラズマ照射領域との間に明確な段差が生じにくい。
【0175】
また、本実施形態では、
図8に示されているように、第3工程S210では、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから、第2処理領域201b内の圧力を徐々に降下させる。例えば、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから第2処理領域201b内の圧力を単調減少させる。例えば、第2処理領域201b内の圧力を圧力P
2から圧力P
1に降下させる。ウエハ200への薄膜の成膜レートは、徐々に降下していく。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に消滅するまでの間において、ウエハ200の面内における改質層905中の酸素成分904等の密度を徐々に低くしていくことができる。
【0176】
さらに、本実施形態では、第3工程S210では、第2処理領域201b内の圧力を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力に設定する。例えば、第3工程S210におけるプラズマが消滅するときの第2処理領域201b内の圧力を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力に設定する。
【0177】
第3工程S210における「第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力」とは、例えば以下のような圧力範囲のことである。
【0178】
例えば、第3工程S210において、第2処理領域201b内の圧力を、第2処理領域201b内の圧力を、圧力を起因としてプラズマが消滅することがない圧力以上とする。
【0179】
より好ましくは、例えば、第2処理領域201b内の圧力を、ウエハ200面内における改質層905存在比率を段差が顕著とならない圧力範囲とする。
【0180】
第2処理領域201b内の圧力に関するこれらの下限および上限を言い換えれば、例えば、第2処理領域201b内の圧力を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる圧力に設定する。
【0181】
具体的には、第2処理領域201b内の圧力を例えば1Pa以上2000Pa以下とし、好ましくは10Pa以上1000Pa以下とする。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に消滅するまでの間において、改質層905を低い密度で疎らに分散して形成することができる。
【0182】
このようにして、巨視的に見ればプラズマが消滅するときの非プラズマ照射領域とプラズマ照射領域とが区別できない程度に、膜厚が面内均一なシリコン酸化膜が形成される。
【0183】
(5)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0184】
(a)本実施形態によれば、
第1工程S206における第2処理領域内の圧力を、第2工程S208における第2処理領域内の圧力よりも低くする。
【0185】
これにより、第1工程S206において、第1ウエハW
1に接触する第2元素を含む活性種の密度が低減される。第1工程S206では、第1ウエハW
1の面内のうちプラズマ照射領域200bには、改質層905が疎らに分散して形成される。
【0186】
その結果、巨視的に見ればプラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが区別できない程度に、所定の低い面粗さで、膜厚が面内均一な薄膜が形成される。したがって、一枚のウエハ200の面内における膜厚や、サセプタ217上に載置された複数のウエハ200間における膜厚を均一にすることができる。
【0187】
(b)本実施形態によれば、
第1工程S206では、第2処理領域201b内の圧力を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する低い圧力に設定する。これにより、プラズマが着火されるときに安定的に酸素元素を含む活性種の密度が低減される。第1ウエハW
1のシリコン含有層903上にはシリコン成分902よりも少ない数の酸素成分904しか結合されない。これにより、第1ウエハW
1の面内のうちプラズマ照射領域200bにおいて、改質層905を低い密度で疎らに分散して形成することができる。
【0188】
(c)本実施形態によれば、
第1工程S206では、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから徐々に第2処理領域201b内の圧力を上昇させる。これにより、ウエハ200の上に改質層905が徐々に積層されていくにしたがって、ウエハ200の面内における改質層905中の酸素成分904等の密度を高くしていくことができる。プラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが徐々に区別できなくなるように、無秩序に改質層905が交互堆積していく。
【0189】
(d)本実施形態によれば、
第3工程S210では、第2工程S208の終了後から第2元素含有ガスのプラズマが消滅するまでの間における第2処理領域201b内の圧力を、第2工程S208における第2処理領域201b内の圧力より低くする。
【0190】
これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に失活するまでの間において、ウエハ200の表面に接触する酸素元素を含む活性種の密度を低くすることができる。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に消滅するまでの間において、ウエハ200の上には改質層905が疎らに分散して形成される。
【0191】
その結果、巨視的に見ればプラズマが消滅するときの非プラズマ照射領域とプラズマ照射領域とが区別できない程度に、所定の低い面粗さで、膜厚が面内均一な薄膜が形成される。
【0192】
(6)本実施形態の適用が有効な半導体装置の製造方法
次に、半導体装置(半導体デバイス)の製造方法の一例として、大規模集積回路(Large Scale Integration;LSI)の製造工程の一工程について説明する。
【0193】
ここで、
図11を用い、ウエハ200上に狭いピッチのホトレジストパターンを形成する方法、いわゆる「ダブルパターニング法」について説明する。
図11(a)から(f)は、ダブルパターニング法による基板処理工程におけるウエハ400の断面図である。本実施形態は、ダブルパターニング法を用いる基板処理工程に特に有効である。
【0194】
(第1ホトレジストパターン形成工程)
例えば、ウエハ400の上には、微細加工の対象であるシリコン酸化膜600が形成されている。シリコン酸化膜600の上には、ハードマスク層601が形成されている。
【0195】
まず、
図11(a)に示されているように、ハードマスク層601上に、第1ホトレジスト膜602aを塗布する。次に、ウエハ400をベーキングする。
【0196】
次に、
図11(b)に示されているように、ArFエキシマ光源(193nm)やKrFエキシマ光源(248nm)等の光源により、マスクパターン等を用いて選択的露光および現像等を行う。これにより、第1ホトレジストパターン603aを形成する。
【0197】
(保護膜形成工程)
図11(c)に示されているように、基板処理装置10を用い、第1ホトレジストパターン603a上及びハードマスク層601上に、保護膜としてのシリコン酸化膜604を形成する。なお、シリコン酸化膜604は、犠牲酸化膜とも呼ばれる。これにより、後述する第2ホトレジスト膜602bを形成するときに、第1ホトレジストパターン603aを保護して、第1ホトレジストパターン603aの変形を抑制することができる。
【0198】
このとき、有機物である第1ホトレジストパターン603a上にシリコン酸化膜604を形成するため、第1ホトレジストパターン603aが熱変成しないように低温での基板処理が求められる。本実施形態では例えば200℃以下の低温で基板処理を行うことが可能である。したがって、本実施形態の基板処理装置10を用いた方法は特に有効である。
【0199】
(第2ホトレジストパターン形成工程)
次に、
図11(d)に示されているように、シリコン酸化膜604上に、第2ホトレジスト膜602bを塗布する。次に、ウエハ400をベーキングする。
【0200】
次に、
図11(e)に示されているように、ArFエキシマ光源(193nm)やKrFエキシマ光源(248nm)等の光源により、マスクパターン等を用いて選択的露光および現像等を行う。これにより、シリコン酸化膜604上のうち、第1ホトレジストパターン603aが形成された位置とは異なる位置に、第2ホトレジストパターン603bを形成する。例えば、隣接する二つの第1ホトレジストパターン603aの中央に、第2ホトレジストパターン603bを形成する。
【0201】
次に、
図11(f)に示されているように、第1ホトレジストパターン603aおよびハードマスク層601を覆うシリコン酸化膜604をエッチングにより除去する。
【0202】
このように、保護膜を用いて複数回のホトレジストパターンのパターニングを行うことにより(ダブルパターニング法)、一回のパターニングで得られるホトレジストパターンよりも微細な第1ホトレジストパターン603aおよび第2ホトレジストパターン603bが得られる。
【0203】
次に、第1ホトレジストパターン603aおよび第2ホトレジストパターン603bをマスクとして、ハードマスク層601をエッチングして、ハードマスクパターンを形成する。次に、ハードマスク層601をマスクとして、微細加工の対象であるシリコン酸化膜600をエッチングする。なお、このとき、第1ホトレジストパターン603aおよび第2ホトレジストパターン603bを除去しておいてもよいし、残しておいてもよい。以上により、例えば、シリコン酸化膜600に溝を形成する。さらに、シリコン酸化膜600の溝に、配線パターンの埋め込み等が行われる。
【0204】
(本実施形態との関係)
ここで、例えば、シリコン酸化膜600に形成された溝の幅や、各溝間の幅が略設計通りとなっていることが求められる。このとき、保護膜であるシリコン酸化膜604の膜厚分布が重要となる。
【0205】
例えば、一枚のウエハ400の面内においてシリコン酸化膜604の膜厚の差が生じている場合またはウエハ400間においてシリコン酸化膜604の膜厚の差が生じている場合に以下のような弊害が生じる可能性がある。例えば、所定のエッチング条件でシリコン酸化膜604をエッチングした際に、シリコン酸化膜604の膜厚が薄い部分がオーバーエッチングされてしまう可能性がある。これにより、シリコン酸化膜604の膜厚が薄い部分の近傍における第1ホトレジストパターン603aおよび第2ホトレジストパターン603bや、第2ホトレジストパターン603b直下のシリコン酸化膜604に、パターン幅の減少が生じてしまう可能性がある。このように線幅が減少した第1ホトレジストパターン603a、第2ホトレジストパターン603b、および第2ホトレジストパターン603b直下のシリコン酸化膜604により、ハードマスク層601およびシリコン酸化膜600をエッチングすると、シリコン酸化膜604の膜厚が薄い部分近傍におけるシリコン酸化膜600の溝幅が、シリコン酸化膜604の膜厚が厚い部分近傍におけるシリコン酸化膜600の溝幅と異なってしまう可能性がある。したがって、保護膜であるシリコン酸化膜604を形成するに際し、シリコン酸化膜604の膜厚を均一にすることが望まれる。
【0206】
近年の微細化加工では、20nm以下の配線寸法が求められている。したがって、保護膜であるシリコン酸化膜604の膜厚の差が数nm程度であっても、最終的に形成される配線幅に対して大きな比率を有するパターン幅の差が生じてしまう可能性がある。
【0207】
なお、上述のように、本実施形態を適用した場合、プラズマ生成時から圧力を一定とした上述の比較例よりも、シリコン酸化膜604の面粗さが高くなる可能性も考えられる。しかしながら、ダブルパターニングにおいては、多少の面粗さは許容され、むしろ膜厚が一定であることの方が重要となる。
【0208】
本実施形態によれば、ウエハ400の上に所定の面粗さでシリコン酸化膜604が形成される一方で、第1ウエハW
1の面内のうち非プラズマ照射領域200aにおけるシリコン酸化膜604の膜厚だけがプラズマ照射領域200bにおけるシリコン酸化膜604の膜厚よりも薄くなるということを抑制することができる。
【0209】
すなわち、非プラズマ照射領域200aおよびプラズマ照射領域200bの間、および第1ウエハW
1とそれ以外のウエハ400との間において、例えば同一のエッチング条件でシリコン酸化膜604をエッチングする際にパターン幅の差が生じることを抑制することができる。
【0210】
本実施形態は、このように面粗さよりも膜厚の均一性が重要となるプロセスに対して、特に好適である。
【0211】
<本発明の第2実施形態>
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1工程S206または第3工程S210において第2処理領域201b内のプラズマ密度よりも低くする方法が第1実施形態と異なる。本実施形態では上述の基板処理装置10を用い、また、上記以外の構成は第1実施形態と同様である。
【0212】
(1)基板処理工程
本実施形態の基板処理工程について、
図12を用いて説明する。
図12は、本発明の第2実施形態に係る基板処理シーケンスにおけるタイミングを示す図である。以下では、本実施形態におけるガス供給開始S204からガス供給停止S212までを説明する。
【0213】
(ガス供給開始S204)
バルブ232dを開けて第1処理領域201a内に第1元素含有ガスとしてのBTBASガスの供給を開始すると同時に、バルブ233dを開けて第2処理領域201b内に第2元素含有ガスとしての酸素ガスを供給する。
【0214】
このとき、BTBASガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ232cを調整する。例えば、BTBASガスの流量を第3工程S210まで一定とする。
【0215】
また、酸素ガスの流量が所定の流量となるように、マスフローコントローラ233cを調整する。このとき、例えば、ガス供給開始S204における酸素ガスの流量を、第1工程S206における酸素ガスの流量(流量V
1)に調整する。
【0216】
(第1工程S206)
次に、BTBASガスおよび酸素ガスの流量が安定したら、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始する(
図12プラズマ生成部On)。第2処理領域201b内におけるプラズマ生成部206の直下に酸素ガスのプラズマを生成する。
【0217】
本実施形態では、第1工程S206における第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量(流量V
1)を、第2工程S208における第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量(流量V
2)よりも低くする。これにより、第1工程S206における第2処理領域201b内のプラズマ密度が、第2工程208における第2処理領域201b内のプラズマ密度よりも低くなる。
【0218】
また、本実施形態では、第1工程S206では、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する小さい流量に設定する。
【0219】
第1工程S206における「第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する小さい流量」とは、例えば以下のような流量範囲のことである。
【0220】
例えば、第1工程S206において、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、プラズマ生成部206の電力供給により酸素ガスのプラズマを生成することが可能な流量以上とする。
【0221】
より好ましくは、例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、ウエハ200面内における改質層905存在比率を段差が顕著とならない流量範囲とする。
【0222】
第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量に関するこれらの下限および上限を言い換えれば、例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる流量に設定する。
【0223】
具体的には、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を例えば10sccm以上5000sccm以下とし、好ましくは例えば100sccm以上1000sccm以下とする。これにより、プラズマが着火されるときに安定的に酸素元素を含む活性種の密度が低減される。
【0224】
さらに、本実施形態では、
図12に示されているように、第1工程S206では、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから徐々に第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を上昇させる。例えば、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を単調増加させる。例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を流量V
1から流量V
1よりも高い流量V
2に上昇させる。これにより、ウエハ200の上に改質層905が徐々に積層されていくにしたがって、ウエハ200の面内における改質層905中の酸素成分904等の密度を高くしていくことができる。
【0225】
(第2工程S208)
次に、第1工程S206の後に、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を継続し、ウエハ200の上にシリコン元素および酸素元素を含有するシリコン酸化膜を形成していく第2工程S208を行う。第2工程S208では、例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を流量V
2で一定とする。第2工程S208では、サセプタ217を回転させることにより、ウエハ200は、第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bの順に通過する。
【0226】
(第3工程S210)
次に、第2工程208の後に、プラズマ生成部206の電力供給を停止する(
図12プラズマ生成部Off)。プラズマ生成部206の電力供給を停止した後でも、第1処理領域201aへのBTBASガスの供給と、第2処理領域201bへの酸素ガスの供給と、第1パージ領域204aおよび第2パージ領域204bへの不活性ガスの供給と、サセプタ217の回転と、を所定の期間継続する。
【0227】
本実施形態では、例えば、第2工程S208の終了後から酸素ガスのプラズマが消滅するまでの間における第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、第2工程S208における第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量より低くする。
【0228】
また、本実施形態では、
図12に示されているように、第3工程S210では、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を徐々に降下させる。例えば、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を単調減少させる。例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を流量V
2から流量V
1に降下させる。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に消滅するまでの間において、ウエハ200の面内における改質層905中の酸素成分904等の密度を徐々に低くしていくことができる。
【0229】
さらに、本実施形態では、第3工程S210では、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を第2処理領域201b内に酸素ガスが拡散する小さい流量に設定する。
【0230】
例えば、第3工程S210において、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、流量の低下を起因としてプラズマが消滅することがない流量以上とする。
【0231】
より好ましくは、例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、ウエハ200面内における改質層905存在比率を段差が顕著とならない流量範囲とする。
【0232】
第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量に関するこれらの下限および上限を言い換えれば、例えば、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる流量に設定する。
【0233】
具体的には、第2処理領域201b内へ供給する酸素ガスの流量を例えば10sccm以上5000sccm以下とし、好ましくは例えば100sccm以上1000sccm以下とする。これにより、プラズマ生成部206の電力供給を停止した後からプラズマが完全に消滅するまでの間において、改質層905を低い密度で疎らに分散して形成することができる。
【0234】
(ガス供給停止S212)
第3工程S210の後、少なくともバルブ232d及びバルブ233dを閉じ、BTBASガス及び酸素ガスの第1処理領域201a及び第2処理領域201bへの供給を停止する。以降の工程は、第1実施形態と同様である。
【0235】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0236】
(a)本実施形態によれば、
第1工程S206における第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量を、第2工程S208における第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量よりも低くする。これにより、第1工程S206における第2処理領域201b内のプラズマ密度が、第2工程208における第2処理領域201b内のプラズマ密度よりも低くなる。第1実施形態と同様の効果により、巨視的に見ればプラズマが着火されるときの非プラズマ照射領域200aとプラズマ照射領域200bとが区別できない程度に、所定の低い面粗さで、膜厚が面内均一な薄膜が形成される。
【0237】
(b)本実施形態によれば、
第3工程S210では、第2工程S208の終了後から第2元素含有ガスのプラズマが消滅するまでの間における第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量を、第2工程S208における第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量より低くする。第1実施形態と同様の効果により、巨視的に見ればプラズマが消滅するときの非プラズマ照射領域とプラズマ照射領域とが区別できない程度に、所定の低い面粗さで、膜厚が面内均一な薄膜が形成される。
【0238】
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0239】
上述の実施形態では、反応容器203が4つの領域に分かれている場合について説明したが、それに限るものではない。対応する基板や形成する膜の種類によって、処理領域の数および配置を決定しても良い。
【0240】
なお、上述の実施形態では、各仕切板205の間の角度がそれぞれ90°である場合について説明したが、それに限るものではない。ウエハ200への各種ガスの供給時間(ウエハ200の処理時間)等を考慮して、例えば第2処理領域201bを形成する2枚の仕切板205の間の角度を大きくして、ウエハ200が第2処理領域201bを通過するのにかかる時間(処理時間)を長くする等、適宜変更してもよい。
【0241】
また、上述の実施形態では、各処理領域を仕切板205で仕切った場合について説明したが、それに限るものではない。処理室201が処理領域201a,201bのそれぞれに供給される処理ガスを混合させないように構成されていればよい。
【0242】
また、上述の実施形態では、仕切板205の端部と反応容器203の側壁との間に隙間が設けられており、処理室201内の圧力がそれぞれの領域において等しい場合について説明したが、それに限るものではない。第1処理領域201a、第1パージ領域204a、第2処理領域201b、第2パージ領域204bが気密に区分されていてもよい。すなわち、それぞれの領域内の圧力が互いに異なっていてもよい。
【0243】
また、上述の実施形態では、一つのプロセスチャンバ202で5枚のウエハ200を処理する場合について説明したが、それに限るものではない。一つのプロセスチャンバ202で、1枚のウエハ200を処理してもよく、5枚を超える枚数のウエハ200を処理してもよい。
【0244】
また、上述の実施形態では、予備室122または予備室123がウエハ200を搬入する機能とウエハ200を搬出する機能とを併用可能に構成されている場合について説明したが、それに限るものではない。予備室122および予備室123のいずれか一方を搬出用とし、他方を搬入用としてもよい。予備室122または予備室123を搬入用と搬出用を専用とすることによって、クロスコンタミネーションを低減することができ、併用とすることによって基板の搬送効率を向上させることができる。
【0245】
また、上述の実施形態では、1つのプロセスチャンバ202における基板処理のみについて説明したが、それに限るものではない。各プロセスチャンバでの処理を並行して行ってもよい。
【0246】
また、上述の実施形態では、4つのプロセスチャンバ202がそれぞれ同様に構成されている場合について説明したが、それに限るものではない。各プロセスチャンバを異なる構成とし、各プロセスチャンバにおいてそれぞれ別の処理を行っても良い。例えば、第1プロセスチャンバと第2プロセスチャンバで別の処理を行う場合、第1プロセスチャンバでウエハ200に所定の処理を行った後、続けて第2プロセスチャンバで第1プロセスチャンバと異なる処理を行わせてもよい。また、第1プロセスチャンバで基板に所定の処理を行った後、第2プロセスチャンバで別の処理を行わせる場合、予備室を経由するようにしてもよい。
【0247】
また、上述の実施形態では、第1元素含有ガスとしてシリコン含有ガスを用い、第2元素含有ガスとして酸素含有ガスを用い、ウエハ200上にシリコン酸化膜を形成する場合について説明したが、それに限るものではない。第1元素含有ガスとして、例えばハフニウム(Hf)含有ガス、ジルコニウム(Zr)含有ガス、チタン(Ti)含有ガスを用い、酸化ハフニウム膜(HfO膜)、酸化ジルコニウム(ZrO膜)、酸化チタン膜(TiO膜)等のHigh−k膜等をウエハ200上に形成してもよい。
【0248】
また、上述の実施形態では、第2元素含有ガスとして、酸素含有ガスを用いる場合について説明したが、それに限るものではない。第2元素含有ガスとして、窒素含有ガスを用いてもよい。この場合、窒素含有ガスは、窒素(N
2)ガス、またはアンモニア(NH
3)ガス等を用いてもよい。
【0249】
また、上述の実施形態では、プラズマ生成部206の電極271は棒状である場合を説明したが、それに限るものではない。プラズマ生成部206の電極271は、交互に対向する櫛形状の電極やその他の形状の電極であってもよい。また、プラズマ生成部206の電極271は、第2処理領域201bの略全域を覆っていてもよい。
【0250】
また、上述の実施形態では、第2処理領域201b内に第2元素含有ガスを供給して、プラズマ生成部206によって第2処理領域201b内にプラズマを生成する場合について説明したが、それに限るものではない。反応容器の外でプラズマを生成するリモートプラズマ方法や、エネルギーレベルの高いオゾンを用いても良い。
【0251】
また、上述の実施形態では、不活性ガス導入部253を、第1パージ領域204aと第2パージ領域204bとで共用とした場合について説明したが、不活性ガス導入部は個別に設けてもよい。
【0252】
また、上記実施例においては、反応容器203の中央から処理室201内にそれぞれのガスを供給する場合について説明したが、それに限るものではない。例えば、第1元素含有ガスを供給するノズルが第1処理領域に設けられ、第2元素含有ガスを供給するノズルが第2処理領域に設けられ、不活性ガスを供給するノズルがそれぞれ第1パージ領域および第2パージ領域に設けられていてもよい。
【0253】
また、上述の本実施形態では、昇降機構268を用い、サセプタ217を昇降させることで、ウエハ200を処理位置や搬送位置に移動させる場合について説明したが、それに限るものではない。ウエハ突き上げピン266が昇降することでウエハ200を処理位置や搬送位置に移動させてもよい。
【0254】
また、上述の本実施形態では、第2工程S208において、第1処理領域通過S302、第1パージ領域通過S304、第2処理領域通過S306、第2パージ領域通過S308を1サイクルとして、このサイクルを所定回数実施したかを判定する場合について説明したが、それに限るものではない。第1工程または第3工程においても、上記サイクルを所定回数実施したかを判定してもよい。また、第1工程、第2工程および第3工程を含めて、上記サイクルを所定回数実施したかを判定してもよい。
【0255】
また、上述の第1実施形態では、第1工程S206において第2処理領域201b内の圧力を徐々に上昇させ、第2工程S208において第2処理領域201b内の圧力を一定とする場合について説明したが、それに限るものではない。すなわち、少なくとも第1工程における第2処理領域内の圧力が第2工程における第2処理領域内の圧力よりも低ければよい。例えば、第1工程における第2処理領域内の圧力を第2工程における第2処理領域内の圧力よりも低い圧力で一定としてもよい。または、第2工程における第2処理領域内の圧力を第1工程における第2処理領域内の圧力よりも高い所定圧力まで上昇させる期間を設けてもよい。または、第1工程および第2工程は、これらを組み合わせた工程としてもよい。
【0256】
また、上述の第1実施形態では、第1工程S206において、プラズマ生成部206によるプラズマ生成を開始してから第2処理領域201b内の圧力を単調増加させる場合について説明したが、それに限るものではない。第1工程において、プラズマ生成部によるプラズマ生成を開始してから第2処理領域内の圧力を段階的(階段状)に増加させてもよい。
【0257】
また、上述の第1実施形態では、第2工程S208において第2処理領域201b内の圧力を一定とし、第3工程S210においてプラズマ生成部206の電力供給を停止してから第2処理領域201b内の圧力を徐々に降下させる場合について説明したが、それに限るものではない。すなわち、少なくとも第2工程の後から第2元素含有ガスのプラズマが失活するまでの間における第2処理領域内の圧力が第2工程における第2処理領域内の圧力よりも低ければよい。例えば、第2工程における第2処理領域内の圧力を所定圧力まで降下させる期間を設けてもよい。第3工程において第2処理領域内の圧力を第2工程における第2処理領域内の圧力よりも低い圧力で一定としてもよい。または、第2工程および第3工程は、これらを組み合わせた工程としてもよい。
【0258】
また、上述の第1実施形態では、第3工程S210において、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから第2処理領域201b内の圧力を単調減少させる場合について説明したが、それに限るものではない。第3工程において、プラズマ生成部の電力供給を停止してから第2処理領域内の圧力を段階的(階段状)に減少させてもよい。
【0259】
また、上述の第1実施形態では、第3工程S210において、プラズマ生成部206の電力供給を停止してから第2処理領域201b内の圧力を徐々に減少させる場合について説明したが、それに限るものではない。第3工程において、プラズマ生成部の電力供給を停止する前から第2処理領域内の圧力を徐々に減少させてもよい。
【0260】
また、上述の第1実施形態における「第2処理領域201b内の圧力」の変更例を、第2実施形態における「第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量」に置き換えて適用してもよい。また、第1工程および第2工程において、第2処理領域201b内の圧力および第2処理領域201b内へ供給する第2元素含有ガスの流量の両方を変化させてもよい。
【0261】
また、上述の実施形態では、薄膜形成工程において、第1処理領域201a内へ供給する第1元素含有ガスの流量を一定とする場合について説明したが、それに限るものではない。薄膜形成工程において、第1処理領域内へ供給する第1元素含有ガスの流量を変化させてもよい。第1処理領域内へ供給する第1元素含有ガスの流量を、第2処理領域内へ供給する第2元素含有ガスの流量とともに変化させてもよい。例えば、第2元素含有ガスと同様に、第1工程における第1処理領域内へ供給する第1元素含有ガスの流量を、第2工程における第1処理領域内へ供給する第1元素含有ガスの流量よりも低くしてもよい。
【0262】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0263】
(付記1)
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台上に、前記基板載置台の回転方向に沿って複数の基板を載置する工程と、
前記基板載置台を回転させ、前記処理室内を排気しつつ、前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域および第2処理領域に、それぞれ第1元素を含有する第1元素含有ガスおよび第2元素を含有する第2元素含有ガスの供給を開始する工程と、
前記第2処理領域内に少なくとも一部が設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1工程と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2工程と、を有し、
前記第1工程では、
前記第2処理領域内のプラズマ密度を、前記第2工程における前記第2処理領域内のプラズマ密度よりも低くする半導体装置の製造方法が提供される。
【0264】
(付記2)
付記1に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、
前記第2処理領域内の圧力を、前記第2工程における前記第2処理領域内の圧力よりも低くする半導体装置の製造方法が提供される。
【0265】
(付記3)
付記1又は付記2に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、
前記第2処理領域内の圧力を前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスが拡散する圧力に設定する。
【0266】
(付記4)
付記1から3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、
第2処理領域201b内の圧力を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる圧力に設定する。
【0267】
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第1工程では、
前記プラズマの生成を開始してから、前記第2処理領域内の圧力を徐々に上昇させる。
【0268】
(付記6)
付記1から5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2工程の終了後から前記第2元素含有ガスのプラズマが消滅するまでの間における前記第2処理領域内の圧力を、前記第2工程における前記第2処理領域内の圧力より低くする第3工程をさらに有する。
【0269】
(付記7)
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台上に、前記基板載置台の回転方向に沿って複数の基板を載置する工程と、
前記基板載置台を回転させ、前記処理室内を排気しつつ、前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域および第2処理領域に、それぞれ第1元素を含有する第1元素含有ガスおよび第2元素を含有する第2元素含有ガスの供給を開始する工程と、
前記第2処理領域内に少なくとも一部が設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1工程と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2工程と、
前記第2工程の終了後から前記第2元素含有ガスのプラズマが消滅するまでの間における前記第2処理領域内の圧力を前記第2工程における前記第2処理領域内の圧力より低くする第3工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0270】
(付記8)
付記6又は7に記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第3工程では、
前記第2処理領域内の圧力を前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスが拡散する圧力に設定する。
【0271】
(付記9)
付記6から8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第3工程では、
第2処理領域201b内の圧力を、プラズマ密度が5.0×10
8/cm
3以上20.0×10
8/cm
3以下となる圧力に設定する。
【0272】
(付記10)
付記1から9のいずれかに記載の半導体装置の製造方法であって、好ましくは、
前記第2処理領域内へ供給する前記第2元素含有ガスの流量を、前記第2工程における前記第2処理領域内へ供給する前記第2元素含有ガスの流量よりも低くする。
【0273】
(付記11)
本発明の更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台上に、前記基板載置台の回転方向に沿って複数の基板を載置する工程と、
前記基板載置台を回転させ、前記処理室内を排気しつつ、前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域および第2処理領域に、それぞれ第1元素を含有する第1元素含有ガスおよび第2元素を含有する第2元素含有ガスの供給を開始する工程と、
前記第2処理領域内に少なくとも一部が設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1工程と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2工程と、を有し、
前記第1工程では、
前記第2処理領域内へ供給する前記第2元素含有ガスの流量を、前記第2工程における前記第2処理領域内へ供給する前記第2元素含有ガスの流量よりも低くする半導体装置の製造方法が提供される。
【0274】
(付記12)
本発明の更に他の態様によれば、
第1処理領域および第2処理領域を有し、前記第1処理領域内および前記第2処理領域内で基板を処理する処理室と、
前記処理室内に回転自在に設けられ、回転方向に沿って複数の前記基板を載置する基板載置台と、
前記複数の基板が、順次、前記第1処理領域および前記第2処理領域を交互に通過するように前記基板載置台を回転させる回転機構と、
前記第1処理領域内に第1元素を含有する第1元素含有ガスを供給すると共に、前記第2処理領域内に第2元素を含有する第2元素含有ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気するとともに、前記処理室内の圧力を調整する排気系と、
前記第2処理領域内に少なくとも一部が設けられ、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
少なくとも前記回転機構、前記処理ガス供給系、前記排気系、及び前記プラズマ生成部を制御し、
前記基板載置台上に、前記基板載置台の回転方向に沿って前記複数の基板を載置する処理と、
前記基板載置台を回転させ、前記処理室内を排気しつつ、前記第1処理領域および前記第2処理領域に、それぞれ前記第1元素含有ガスおよび前記第2元素含有ガスの供給を開始する処理と、
前記プラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1処理と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2処理と、を行い、
前記第1処理では、
前記第2処理領域内のプラズマ密度を、前記第2工程における前記第2処理領域内のプラズマ密度よりも低くするよう制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0275】
(付記13)
本発明の更に他の態様によれば、
第1処理領域および第2処理領域を有し、前記第1処理領域内および前記第2処理領域内で基板を処理する処理室と、
前記処理室内に回転自在に設けられ、回転方向に沿って複数の前記基板を載置する基板載置台と、
前記複数の基板が、順次、前記第1処理領域および前記第2処理領域を交互に通過するように前記基板載置台を回転させる回転機構と、
前記第1処理領域内に第1元素を含有する第1元素含有ガスを供給すると共に、前記第2処理領域内に第2元素を含有する第2元素含有ガスを供給する処理ガス供給系と、
前記処理室内を排気するとともに、前記処理室内の圧力を調整する排気系と、
前記第2処理領域内に少なくとも一部が設けられ、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマを生成するプラズマ生成部と、
少なくとも前記回転機構、前記処理ガス供給系、前記排気系、及び前記プラズマ生成部を制御し、
前記基板載置台上に、前記基板載置台の回転方向に沿って前記複数の基板を載置する処理と、
前記基板載置台を回転させ、前記処理室内を排気しつつ、前記第1処理領域および前記第2処理領域に、それぞれ前記第1元素含有ガスおよび前記第2元素含有ガスの供給を開始する処理と、
前記プラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1処理と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2処理と、を行い、
前記第1処理では、
前記第2処理領域内の圧力を、前記第2処理における前記第2処理領域内の圧力よりも低くするよう制御する制御部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0276】
(付記14)
更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台上に前記基板載置台の回転方向に沿って、基板を載置する工程と、
前記基板載置台を回転させる工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域に第1元素を含有する第1元素含有ガスを供給する工程と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第2処理領域に第2元素を含有する第2元素含有ガスを供給する工程と、
前記第2処理領域内の一部に設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスのプラズマの生成を開始する第1工程と、
前記基板載置台の回転によって前記複数の基板を順次前記第1処理領域と前記第2処理領域とを所定回数交互に通過させ、前記基板が前記第1処理領域を通過するときに前記基板の上に前記第1元素を含有する第1元素含有層を形成し、前記基板が前記第2処理領域を通過するときに前記第1元素含有層を前記第2元素含有ガスのプラズマにより改質することにより、前記基板の上に前記第1元素および前記第2元素を含有する薄膜を形成する第2工程と、を有し、
前記第1工程では、
前記第2処理領域内のプラズマ密度を、前記第2工程における前記第2処理領域内のプラズマ密度よりも低くする半導体装置の製造方法が提供される。
【0277】
(付記15)
更に他の態様によれば、
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台の上に、前記基板載置台の回転方向に沿って、基板を載置する工程と、
前記基板載置台を回転させる工程と、
前記処理室内を排気する工程と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域に第1元素含有ガスを供給する工程と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第2処理領域に第2元素含有ガスを供給する工程と、
前記第2処理領域内の少なくとも一部に設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスを第1の活性度で活性化させる第1工程と、
前記第2処理領域内に、前記第2元素含有ガスを前記第1活性度よりも低い第2の活性度で活性化させる第2工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0278】
(付記16)
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台の上に、前記基板載置台の回転方向に沿って、基板を載置させる手順と、
前記基板載置台を回転させる手順と、
前記処理室内を排気させる手順と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域に第1元素含有ガスを供給させる手順と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第2処理領域に第2元素含有ガスを供給させる手順と、
前記第2処理領域内の少なくとも一部に設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスを第1の活性度で活性化させる第1手順と、
前記第2処理領域内に、前記第2元素含有ガスを前記第1活性度よりも低い第2の活性度で活性化させる第2手順と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0279】
(付記17)
基板を処理する処理室内に回転自在に設けられた基板載置台の上に、前記基板載置台の回転方向に沿って、基板を載置させる手順と、
前記基板載置台を回転させる手順と、
前記処理室内を排気させる手順と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第1処理領域に第1元素含有ガスを供給させる手順と、
前記基板載置台の回転方向に沿って前記処理室内に設けられた第2処理領域に第2元素含有ガスを供給させる手順と、
前記第2処理領域内の少なくとも一部に設けられたプラズマ生成部により、前記第2処理領域内に前記第2元素含有ガスを第1の活性度で活性化させる第1手順と、
前記第2処理領域内に、前記第2元素含有ガスを前記第1活性度よりも低い第2の活性度で活性化させる第2手順と、をコンピュータに実行させるプログラムが記録された記録媒体が提供される。