特許第6124579号(P6124579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124579
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】製氷装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 1/00 20060101AFI20170424BHJP
   F25C 1/18 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   F25C1/00 B
   F25C1/18 Z
【請求項の数】4
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-275490(P2012-275490)
(22)【出願日】2012年12月18日
(65)【公開番号】特開2014-119199(P2014-119199A)
(43)【公開日】2014年6月30日
【審査請求日】2015年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】505126610
【氏名又は名称】株式会社ニチレイフーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100137800
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(74)【代理人】
【識別番号】100148079
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 裕明
(72)【発明者】
【氏名】藤森 義人
(72)【発明者】
【氏名】石井 寛崇
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−188919(JP,A)
【文献】 実開昭63−178764(JP,U)
【文献】 特開2005−345067(JP,A)
【文献】 特開2004−037021(JP,A)
【文献】 特開昭61−162223(JP,A)
【文献】 特開2011−021840(JP,A)
【文献】 特開2005−003346(JP,A)
【文献】 特開2011−158252(JP,A)
【文献】 特開平07−280400(JP,A)
【文献】 特開平05−068487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/00
F25C 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷部と、
前記製氷部に原水を供給する原水供給部と、
前記原水を貯蔵する原水タンクと、
前記原水タンクから前記原水供給部へ前記原水を送り出す製氷ポンプと
を備える製氷装置において、
前記原水供給部と前記原水タンクとをつなぐ原水管路に設けられた、前記原水を遮断する第1遮断弁と、
前記原水管路に設けられた、前記製氷ポンプの一次側と二次側に連通されたバイパス管路と、
当該バイパス管路に設けられた第2遮断弁と
を有し、
前記第1遮断弁を閉成すると共に前記第2遮断弁を開成することにより、前記原水供給部から前記製氷部に供給される前記原水を間欠的に遮断し、前記製氷部の表面に非透明層を積層することを特徴とする製氷装置。
【請求項2】
製氷部と、
前記製氷部に原水を供給する原水供給部と、
前記原水を貯蔵する原水タンクと、
前記原水タンクから前記原水供給部へ前記原水を送り出す製氷ポンプと
を備える製氷装置において、
前記原水供給部は、前記製氷部の表面に原水を流下させると共に、前記製氷部に対し前記原水が供給されない位置まで退避可能に設けられ
前記製氷部の表面へ原水が届かない位置まで前記原水供給部を退避させることにより、前記原水供給部から前記製氷部に供給される前記原水を間欠的に遮断し、前記製氷部の表面に非透明層を積層することを特徴とする製氷装置。
【請求項3】
前記原水タンクに貯蔵される前記原水の量を一定以下に保持する排水部を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の製氷装置。
【請求項4】
透明氷及び非透明氷を選択的に製造できることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の製氷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷装置に関し、特に非透明氷を製造することができる製氷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジュースなどの飲料等に直接入れて飲料を冷やすために、氷がスーパーマーケット等で現在市販されている。上記の用途で用いられる氷は、ミネラルなどの不純物を含まないため、透明度、密度が高く、透明氷と呼ばれる。これに対し、色素、甘味料、果汁、ミネラルなどを均一に分散させた氷を製造する試みがなされている(例えば、特許文献1〜6)。
【0003】
特許文献1には、甘味料等を溶解して均一に着味された水を、冷却されている製氷体の表面に噴霧して、前記製氷体の表面を流下させ、この流下の途中において、前記水の少なくとも一部を凍結させて、前記製氷体の表面に氷層を形成し、つづいて、前記氷層の表面に前記水を流下させて、前記水の少なくとも一部を前記氷層の表面において凍結させ、これによって、厚みのある氷を製造する氷の製造方法が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ミネラルを含む水を瞬間的に凍らせ、得られた小さな氷を圧縮成型して大きな氷を形成する氷の製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、ミネラル分を含む水を低温に保たれている結氷板に噴霧して、噴霧される水滴の粒径を変化させて、白濁層と透明層が共存する氷を形成する氷の製造方法が開示されている。
【0006】
特許文献4には、垂直に設置した冷却筒の中に甘味料を含む原料液を流下させ、冷却筒内面に原料液を凍結付着させて氷柱とし、次いで冷却筒より取り出した氷柱を破砕して最長径が20mm以下の氷片とし、該氷片を容器に充填する氷の製造方法が開示されている。
【0007】
特許文献5には、垂直に設置したプレート型冷却板の表面に原料液を流下させ、冷却板表面に原料液を凍結付着させて氷板とし、該氷板を破砕して最長径が20mm以下の氷片とし、該氷片を容器に充填する氷の製造方法が開示されている。
【0008】
特許文献6には、低温の雰囲気に置かれる容器体内に挿入されて上下動するノズルの噴口から、前記容器体の内側壁に向けて液状体を断続的に噴射することにより、前記液状体を薄層として順次凍結させ、全体として多数の凍結層が同心円状積層体として構成されるようにした氷の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2740131号公報
【特許文献2】特開2003-4347号公報
【特許文献3】特開2005-3346号公報
【特許文献4】特開平7-8175号公報
【特許文献5】特開平5-244874号公報
【特許文献6】特開平5-68487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献では、透明氷と同程度の密度を有する白濁氷を作ることは困難である、という問題があった。
【0011】
特許文献1では、厚みのある氷を形成することができるものの、噴霧により水を製氷体に流下させるので、形成された氷は空気を含み、その分密度が低く、硬い氷にはならない、という問題がある。
【0012】
特許文献2では、瞬間的に水を凍らせることにより、形成された氷はミネラルを均一に含むものの、小さな氷を圧縮成型して大きな氷にするので、形成された大きな氷は、小さな氷同士の結合部分に空気が含まれ全体として密度が低い、という問題がある。
【0013】
特許文献3では、噴霧する水滴の粒径を変化させることにより白濁層と透明層が交互に積み重なった氷を形成できるものの、「白濁した氷は、中に気泡を含んでいるので通常の氷より軽く」(特許文献3、「0023」)、密度が低い、という問題がある。
【0014】
特許文献4及び5では、供給する原料液の濃度を一定に保つことにより甘味度を一定に保っているものの、主として溶媒である水が速く凍結して溶質である甘味料は未凍結のまま原料液に残るので、溶質を氷に効率的に取り込むことが困難であるから、例えばミネラルを含有させることにより白く発色した白濁氷を形成することは困難である、という問題がある。
【0015】
特許文献6では、液状体を容器体に向けて断続的に噴射し、凍結させることによって、薄層が積層された積層体を形成できるものの、薄層は空気を含んでいるので密度の高い氷を作るのが困難である、という問題がある。
【0016】
そこで本発明は、透明氷と同程度の密度を有する非透明氷を製造することができる製氷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の請求項1に係る製氷装置は、製氷部と、前記製氷部に原水を供給する原水供給部と、前記原水を貯蔵する原水タンクと、前記原水タンクから前記原水供給部へ前記原水を送り出す製氷ポンプとを備える製氷装置において、前記原水供給部から前記製氷部に供給される前記原水を間欠的に遮断し、前記製氷部の表面に非透明層を積層することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の請求項1によれば、製氷装置は、製氷部に対し原水を所定時間供給した後、原水の供給を所定時間停止する、というように、原水の供給を間欠的に行い白濁層を形成することにより非透明氷を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の全体構成を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の製氷部の構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の回路構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の生産処理手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の製氷処理手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る製氷装置の脱氷処理手順を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る製氷装置の全体構成を示す模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る製氷装置の製氷部の構成を示す斜視図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る製氷装置の散水管の構成を示す断面図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る製氷装置の製氷処理手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第4実施形態に係る製氷装置の全体構成を示す模式図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る製氷装置の回路構成を示すブロック図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る製氷装置の製氷処理手順を示すフローチャートである。
図14】本発明の第4実施形態に係る製氷装置の白濁氷の製氷処理手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第4実施形態に係る製氷装置の排水処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
(全体構成)
図1に示す製氷装置1Aは、製氷部2と、原水供給部3Aと、原水タンク4と、製氷ポンプ5とを備え、原水タンク4に貯蔵された原水15を製氷ポンプ5で原水供給部3Aへ送り出し、原水供給部3Aから製氷部2へ原水15を供給することにより、製氷部2表面に氷として非透明氷を形成する。本実施形態に係る製氷装置1Aは、非透明氷として例えば、非透明層としての白濁層が複数積層された白濁氷に適用することができる。なお、本図には製氷部2が1個の場合について図示したが、本発明はこれに限られず、複数の製氷部2を設けることとしてもよい。
【0022】
本実施形態の場合、製氷部2は、冷凍装置(本図には図示しない)に接続されており、表面温度が0℃〜-35℃程度に冷却された状態で保持されている。原水供給部3Aは、製氷部2の上端から原水15を供給し得るように配置されている。原水タンク4と原水供給部3Aは、原水管路6で連通されている。原水管路6は、製氷ポンプ5が設けられており、当該製氷ポンプ5の二次側5OUTに第1遮断弁7が設けられている。
【0023】
前記原水管路6には、前記製氷ポンプ5の一次側5INと二次側5OUTを連通するバイパス管路8が設けられている。バイパス管路8には第2遮断弁9が設けられている。
【0024】
製氷部2の下部には原水受け部10が設けられている。原水受け部10は、製氷部2に供給された原水15のうち結氷しなかった原水15を回収する。原水受け部10は原水タンク4に連通されている。原水受け部10は回収した原水15を原水タンク4へ戻す。また、原水受け部10には、水温センサ12が設けられている。
【0025】
原水タンク4には、オーバーフロー管13と排水管14とが設けられている。オーバーフロー管13は、原水タンク4に貯蔵された原水15が一定容積以上になった場合、原水タンク4内の原水15を排水する。排水管14は一端が原水タンク4の底に連通し、他端がオーバーフロー管13に連通しており、バルブ11が設けられている。当該バルブ11は通常、閉成されている。排水管14は、原水タンク4内の原水15を入れ替える際にバルブ11が開成されることにより、原水15を排出する。
【0026】
原水供給部3Aは、図2に示すように、一端が原水管路6に連通され他端が閉塞された散水管18を一対備える。散水管18は、長手方向に複数の貫通穴19が形成されている。製氷部2は、板状の結氷板16を2枚、面同士を平行に向い合せて形成されている。
【0027】
散水管18は、原水管路6から供給された原水15を、貫通穴19を通じて結氷板16の表面に供給するように配置されている。本実施形態の場合、散水管18は、製氷部2の上部であって結氷板16の各表面にそれぞれ1個ずつ設けられている。散水管18は、結氷板16の表面に対し平行であって、長手方向が略水平となるように配置されている。
【0028】
散水管18の貫通穴19を通じて結氷板16の表面に供給された原水15は、結氷板16の表面を流下し、結氷板16の表面において一部は結氷し、結氷しなかった残りの原水15は原水受け部10に回収される。
【0029】
製氷部2の上部には、脱氷給水管20が設けられている。脱氷給水管20は、本図には図示しないが脱氷ポンプから送り出された冷却されていない脱氷用の原水17を、各結氷板16の裏面に供給する。
【0030】
脱氷給水管20は、図示しないが長手方向に複数の貫通穴19が形成されている。脱氷給水管20は、結氷板16同士の間に配置され、結氷板16の裏面に対し平行であって、長手方向が略水平となるように配置されている。脱氷ポンプから供給された脱氷用の原水17は、結氷板16により若干冷却された後、原水受け部10により原水タンク4へ導入され、次の製造サイクルにおける原水15となる。
【0031】
(製氷装置の回路構成)
次に、製氷装置1Aの回路構成について図3のブロック図を参照して説明する。製氷装置1Aは、当該製氷装置1Aの各種機能を統括的に制御する制御部22、製氷ポンプ5、第1遮断弁7、第2遮断弁9、脱氷ポンプ23、タイマ24、水温センサ12、冷凍装置25が制御バス26を介して接続されている。
【0032】
制御部22は、予め格納されている基本プログラム、製氷処理プログラム、脱氷処理プログラムなどの各種プログラムを読み出して、これら各種プログラムに従って製氷装置1A全体を制御するようになされている。
【0033】
制御部22は、冷凍装置25を起動すると共に製氷ポンプ5を起動して原水15を結氷板16に供給する。結氷板16に原水15を供給する場合、制御部22は第1遮断弁7を開成すると共に第2遮断弁9を閉成する。これにより製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15は、原水管路6を通じて散水管18に形成された貫通穴19から結氷板16へ供給される。
【0034】
水温センサ12は、結氷板16の表面を流下し原水受け部10において回収された原水15の温度を測定し、計測信号に変換して制御部22へ送信する。
【0035】
結氷板16への原水15の供給を停止する場合、制御部22は、第1遮断弁7を閉成すると共に第2遮断弁9を開成する。これにより、製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15は、バイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻る。従って本実施形態の場合、製氷装置1Aは原水15の供給を停止している間も製氷ポンプ5を停止せず起動したままの状態で保持することができる。
【0036】
脱氷ポンプ23は、図示しないが冷却されていない脱氷用の原水17を貯蔵するタンクに連通されており、所定のタイミングで結氷板16の裏面に脱氷用の原水17を供給する。
【0037】
タイマ24は結氷板16への原水15の供給を停止している時間、原水15を供給している時間、冷凍装置25を起動している時間、脱氷ポンプ23を起動している時間を計測し、それぞれ時間信号に変換して制御部22へ送信する。
【0038】
制御部22は結氷板16への原水15の供給を停止している時間が所定の時間を経過した場合、原水15の供給を開始する。また、制御部22は結氷板16へ原水15を供給している時間が所定の時間を経過した場合、原水15の供給を停止する。
【0039】
制御部22は冷凍装置25を起動している時間が所定の時間を経過した場合、冷凍装置25を停止すると共に、脱氷ポンプ23を起動する。また、制御部22は脱氷ポンプ23を起動している時間が所定時間を経過した場合、脱氷ポンプ23を停止する。
【0040】
(生産処理手順)
次に、製氷装置1Aによる氷の生産処理手順について説明する。制御部22は生産処理プログラムに従って、図4に示す生産処理手順RT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移る。制御部22は、まずタイマ24の初期化をし、ステップSP2へ移る。
【0041】
ステップSP2において制御部22は、冷凍装置25を起動し、ステップSP3へ移る。これにより結氷板16が冷却される。
【0042】
ステップSP3において制御部22は、結氷板16に対する原水15の供給を開始し、サブルーチンSRT1へ移る。実際上、制御部22は、第1遮断弁7を開成、第2遮断弁9を閉成した状態で、製氷ポンプ5を起動することにより、原水管路6を通じて散水管18から結氷板16へ原水15を供給する。
【0043】
サブルーチンSRT1において制御部22は、所定の厚さの氷を製造する製氷処理を行い、サブルーチンSRT2へ移る。本実施形態の場合、製氷装置1Aは製氷処理において白濁氷を製造する。
【0044】
サブルーチンSRT2において制御部22は、所定厚さの白濁氷を結氷板16から引き離す脱氷処理を行い、ステップSP4へ移る。
【0045】
ステップSP4において制御部22は、所定のサイクルが終了したか否かを判別する。ステップSP4において肯定結果が得られると、このことは所定数の白濁氷を製造したことを意味し、このとき制御部22はステップSP5へ移る。ステップSP5において制御部22は生産処理手順を終了する。
【0046】
一方、ステップSP4において否定結果が得られると、このことは製造された白濁氷が未だ所定数に達していないことを意味し、このとき制御部22はステップSP1へ戻る。
【0047】
これにより制御部22は、所定のサイクルが終了するまで、すなわち白濁氷を所定数製造するまでステップSP1からサブルーチンSRT2を繰り返す。
【0048】
(製氷処理手順)
次に、制御部22が結氷板16上に白濁氷を形成する際の製氷処理手順について図5のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
制御部22は生産処理手順RT1からの呼び出しに応じて、図5に示す製氷処理サブルーチンSRT1を開始してステップSP10へ移る。ステップSP10において制御部22は、原水受け部10において回収された原水15の温度が所定温度以下であるか否かを判別する。
【0050】
ステップSP10において肯定結果が得られると、このことは原水15の温度が製氷開始可能な温度まで冷却されたことを意味し、このとき制御部22はステップSP11へ移る。
【0051】
一方ステップSP10において否定結果が得られると、このことは原水15の温度が未だ製氷可能な温度まで冷却されていないことを意味し、このとき制御部22はステップSP10を繰り返し、原水15の温度が所定温度以下になるまで待ち受ける。
【0052】
ステップSP11において制御部22は、原水15の供給を一旦停止し、ステップSP12へ移る。
【0053】
ステップSP12において制御部22は、原水15の供給を停止してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP12において肯定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が所定時間停止されたことにより、結氷板16が十分に冷却されたことを意味する。このとき制御部22はステップSP13へ移る。
【0054】
一方、ステップSP12において否定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が停止されてから未だ所定時間経過していないことにより、結氷板16が未だ十分に冷却されていないことを意味する。このとき制御部22はステップSP12を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が停止されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0055】
ステップSP13において制御部22は、結氷板16への原水15の供給を開始し、ステップSP14へ移る。
【0056】
ステップSP14において制御部22は、結氷板16への原水15の供給を開始してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP14において肯定結果が得られると、このことは結氷板16へ原水15が十分に供給されたことを意味し、このとき制御部22はステップSP15へ移る。
【0057】
一方、ステップSP14において否定結果が得られると、このことは結氷板16へ供給された原水15が未だ十分ではないことを意味し、このとき制御部22はステップSP14を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が開始されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0058】
ステップSP15において制御部22は原水15の供給を停止し、ステップSP16へ移る。
【0059】
ステップSP16において制御部22は、製氷処理手順を開始してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP16において肯定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さに達したことを意味し、このとき制御部22はステップSP17へ移る。ステップSP17において制御部22は、この製氷処理サブルーチンSRT1を終了し、元の生産処理手順RT1(図4)へ戻る。
【0060】
一方ステップSP16において否定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が未だ所定厚さに達していないことを意味し、このとき制御部22はステップSP12へ戻る。
【0061】
これにより制御部22は、製氷処理手順を開始してから所定時間が経過するまで、すなわち結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さになるまでステップSP12からステップSP16を繰り返す。
【0062】
(脱氷処理手順)
次に、制御部22が結氷板16上に形成された白濁氷を結氷板16から引き離す脱氷処理手順について図6のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
制御部22は生産処理手順RT1からの呼び出しに応じて、図6に示す脱氷処理サブルーチンSRT2を開始してステップSP20へ移る。ステップSP20において制御部22は、冷凍装置25を停止し、ステップSP21へ移る。
【0064】
ステップSP21において制御部22は、脱氷ポンプ23を起動し、脱氷給水管20へ冷却されていない脱氷用の原水17の供給を開始し、ステップSP22へ移る。
【0065】
ステップSP22において制御部22は、脱氷用の原水17の供給を開始してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP22において肯定結果が得られると、このことは脱氷用の原水17が十分に供給され、結氷板16上に形成された白濁氷が結氷板16から引き離されたことを意味し、このとき制御部22はステップSP23へ移る。
【0066】
一方、ステップSP22において否定結果が得られると、このことは脱氷用の原水17がまだ十分に供給されておらず、結氷板16上に形成された白濁氷がまだ結氷板16から引き離されていないことを意味し、このとき制御部22はステップSP22を繰り返し、脱氷用の原水17の供給を開始してから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0067】
ステップSP23において制御部22は、脱氷ポンプ23を停止し、ステップSP24へ移り、脱氷処理サブルーチンSRT2を終了して、生産処理手順RT1(図4)へ戻る。
【0068】
(動作及び効果)
次に、本実施形態に係る製氷装置1Aの動作及び効果について説明する。まず製氷装置1Aは、結氷板16に接続された冷凍装置25を起動し、結氷板16を冷却する。同時に、製氷ポンプ5を起動し原水管路6を通じて原水供給部3Aから原水15を結氷板16表面に流下させる。これにより、原水15は、結氷板16において冷却される。製氷装置1Aは、原水15が所定温度、例えば0.0〜3.0℃になったら、原水15の供給を一旦停止する。
【0069】
原水15の供給を一旦停止することにより結氷板16が冷却され、結氷板16上に微小の氷結晶が多数生成される。このように結氷板16上に微小の氷結晶を生成することにより、冷却された原水15が急激に凍結してみぞれ状の結晶(「スラッシュ」ともいう。)が生成されることを防ぐことができる。ちなみにスラッシュが生成されると、氷の品質を低下させるだけでなく、結氷板16に供給された原水15がスラッシュにはじかれ、原水15を原水受け部10で効率的に回収することができない、という問題がある。
【0070】
本実施形態の場合、製氷装置1Aは第1遮断弁7を閉成することにより、原水15の供給を停止する。因みに従来の透明氷を製造する製氷装置では、製氷ポンプを停止することにより、原水の供給を停止する。従って、製氷ポンプを停止してから散水管から結氷板へ流出する原水が停止するまでには、時間差が生じる。
【0071】
これに対し本実施形態に係る製氷装置1Aは、第1遮断弁7を閉成することにより、散水管18に形成された貫通穴19から流出する原水15を直ちに停止させることができる。従って製氷装置1Aは、第1遮断弁7を閉成するのとほぼ同時に結氷板16への原水15の供給を停止することができる。
【0072】
また、製氷装置1Aは、原水15の供給を停止している間、第1遮断弁7を閉成すると共に第2遮断弁9を開成することにより、製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15をバイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻す。
【0073】
従って製氷装置1Aは、製氷ポンプ5から吐出された原水15を製氷ポンプ5を中心として循環させるので、結氷板16への原水15の供給を停止しても製氷ポンプ5に余計な負荷がかかるのを防ぐことができる。このようにして製氷装置1Aは、製氷ポンプ5を起動したまま結氷板16への原水15の供給を停止することができる。
【0074】
結氷板16の表面を十分に冷却するため、原水15は所定時間、例えば10〜70秒間供給を停止するのが好ましい。原水15供給の停止時間が10秒より短いと、結氷板16の表面温度を十分に低下させることができないので、後の工程で当該結氷板16上に新たに供給される原水15を急速に結氷させることができない。一方、原水15供給の停止時間が70秒より長くても、結氷板16の表面温度に影響は少ない。なお、原水15の供給の停止時間は結氷板16の冷やし方により適宜決定できる。
【0075】
製氷装置1Aは、原水15の供給を停止してから所定時間経過後、再び原水15の供給を開始する。原水供給部3Aから供給された原水15は、結氷板16の表面を流下する。結氷板16の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、結氷板16の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0076】
本実施形態の場合、製氷装置1Aは原水15の供給を停止している間も製氷ポンプ5を起動したままの状態で保持しているので、第1遮断弁7を開成すると同時に第2遮断弁9を閉成することにより、原水15を結氷板16へ供給する。
【0077】
因みに従来の透明氷を製造する製氷装置では、停止状態の製氷ポンプを起動することにより停止していた原水の供給を開始する。従って、製氷ポンプを起動してから散水管から結氷板へ原水が流出するまでには、時間差が生じる。
【0078】
これに対し本実施形態に係る製氷装置1Aは、第1遮断弁7を開成することにより、散水管18に形成された貫通穴19から原水15を直ちに流出させることができる。従って製氷装置1Aは、第1遮断弁7を開成するのとほぼ同時に結氷板16への原水15の供給を開始することができる。
【0079】
上記したように本実施形態に係る製氷装置1Aは、第1遮断弁7の開成及び閉成とほぼ同じタイミングで結氷板16へ原水15を供給したり停止したりすることができるので、原水15を供給する時間及び停止する時間をより正確に管理することができる。
【0080】
また、本実施形態の場合、結氷板16上には微小な氷の結晶が多数形成されていることにより、冷却された原水15がみぞれ状の結晶を生成することを防ぐことができる。従って製氷装置1Aは、氷の品質の低下を防ぐことができると共に原水15をより確実に原水受け部10において回収することができる。
【0081】
原水15は所定時間、例えば1〜30秒間供給するのが好ましい。原水15の供給時間が1秒より短いと、原水15が結氷板16の表面全体に行き渡らず、所定厚さの白濁層を形成することができない。一方、原水15の供給時間が30秒より長いと、白濁層の表面温度が上昇し、原水15を急速に凍結することができないのでミネラルを効率的に取り込むことができなくなってしまう。なお、原水15の供給時間は結氷板16の冷やし方により適宜決定できる。
【0082】
製氷装置1Aは、原水15の供給を開始してから所定時間経過後、再び原水15の供給を一旦停止する。これにより、結氷板16上に白濁層が形成される。原水15の供給を停止し、形成された白濁層の表面を原水15が流下しない状態で、所定時間保持することにより、白濁層の表面温度が十分に低下する。なお、この場合の原水15の停止時間は、上記のとおり、10〜70秒間とするのが、上記の理由により好ましい。
【0083】
原水15の供給を停止してから所定時間経過後、再び原水15の供給を開始する。原水供給部3Aから供給された原水15は、結氷板16の表面に形成された白濁層の表面を流下する。白濁層の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、白濁層の表面に接触した原水15は急速に結氷する。原水15は、上記のとおり例えば1〜30秒間供給するのが好ましい。
【0084】
原水15の供給を開始してから所定時間経過後、再び原水15の供給を一旦停止する。これにより、白濁層上に新たな白濁層が形成される。
【0085】
このように製氷装置1Aは、原水15の供給及び停止を繰り返すことにより、白濁層上に新たな白濁層を次々に積層していく。本実施形態の場合、製氷装置1Aは製氷を開始してからの時間を計測し、当該時間が所定時間を経過した場合に、白濁層が所定数積層されたと判断する。
【0086】
次いで製氷装置1Aは、結氷板16の裏面に冷却されていない脱氷用の原水17を供給し、結氷板16上に形成された白濁氷を結氷板16から引き離すことにより、白濁層が60層積層された板状の白濁氷を得ることができる。
【0087】
本実施形態の場合製氷装置1Aは、結氷板16に対し原水15を所定時間供給した後、原水15の供給を所定時間停止する、というように、原水15の供給を間欠的に行うこととした。これにより製氷装置1Aは、結氷板16表面において原水15を急速に結氷させて白濁層を形成するので、より効率的に白濁層にミネラルを取り込むことができる。
【0088】
さらに製氷装置1Aは、原水15の供給を間欠的に行うことにより、結氷板16表面に形成された白濁層を十分に冷却することができるので、当該白濁層上に供給された原水15を急速に結氷させることができる。従って製氷装置1Aは、全体としてミネラルを原水15から効率的に取り込んで白濁層を形成することができるので、より白い白濁氷を製造することができる。
【0089】
製氷装置1Aは、原水15を結氷板16表面に流下させて、当該結氷板16において原水15を急速に結氷させることにより白濁層を形成することとした。これにより、白濁層を複数積層して得られる白濁氷は、均一にミネラルを含み、通常の透明氷と同様に密度が高く、硬いという性質を有する。
【0090】
因みに、水の密度は0.9998g/cm3、氷の密度は0.9168 g/cm3、である。一方、上記特許文献3では噴霧により形成した気泡を含む氷は、通常の氷に比べ密度が低く、0.7 g/cm3であると示されている。これに対し、本実施形態に係る白濁氷は、通常の氷と同等の0.8 g/cm3以上の密度を有する。
【0091】
本実施形態に係る製氷装置1Aは、製氷ポンプ5のオンオフによらずに第1遮断弁7を開成又は閉成することにより原水15の供給を開始又は停止することとしたので、直ちに原水15の供給を開始し又は停止することができる。これにより製氷装置1Aは原水15を供給している時間及び原水15の供給を停止している時間をより正確に管理することができる。従って製氷装置1Aは、形成される白濁層の厚さや白さを一定にすることができるので、白濁氷の品質を向上することができる。
【0092】
原水タンク4には、白濁氷を製造するのに十分な容量の原水15を貯蔵しておく必要があるが、貯蔵される原水15が少ない方が、原水タンク4内のミネラル濃度を高くできる。製氷装置1Aは、よりミネラルの濃度の高い原水15を結氷板16に供給することにより、原水15のミネラルをより効率的に取り込んだ白濁氷を形成することができる。
【0093】
本実施形態に係る製氷装置1Aは、オーバーフロー管13を原水タンク4に設け、原水タンク4内に貯蔵される原水15量を一定以下に制御している。これにより製氷装置1Aは、原水タンク4内のミネラル濃度を高く保持することができるので、原水15のミネラルをより効率的に取り込んだ白濁氷を形成することができる。
【0094】
原水タンク4に貯蔵される原水15は、白濁層を形成する前に、0.0〜3.0℃に冷却することが好ましい。0.0〜3.0℃に冷却された原水15は、結氷板16において急速に結氷するので、より効率的に白濁層にミネラルが取り込まれる。従って、より白い白濁氷を得ることができる。
【0095】
本実施形態に係る製氷装置1Aは、原水受け部10に水温センサ12を設け回収された原水15の温度を測定する。これにより製氷装置1Aは、原水15の温度を管理することができるので、より確実に白濁氷を得ることができる。
【0096】
(2)第2実施形態
次に本発明の第2実施形態に係る製氷装置について図7及び図8を参照して説明する。図1と同様の構成について同様の符号を付した図7に示す製氷装置1Bは原水供給部3Bの構成のみが上記第1実施形態と異なる。
【0097】
図7に示す製氷装置1Bは、製氷部2と、原水供給部3Bと、原水タンク4と、製氷ポンプ5とを備える。製氷装置1Bは、原水タンク4に貯蔵された原水15を製氷ポンプ5で原水供給部3Bへ送り出し、原水供給部3Bから製氷部2へ原水15を供給することにより、製氷部2表面に氷としての白濁氷を形成する。本図に示すように製氷装置1Bは、バイパス管路8を備えていない。
【0098】
図8に示すように原水供給部3Bは、一端が原水管路6に連通され他端が閉塞された散水管31を一対備える。散水管31は、長手方向に複数の貫通穴19が形成されており、当該貫通穴19から結氷板16表面に原水15を供給する。
【0099】
本実施形態に係る散水管31は、結氷板16へ原水15を供給し得る位置から結氷板16へ原水15を供給し得ない位置まで退避可能に設けられている。実際上、散水管31は、図示しない枠体に設けられている。枠体は、貫通穴19から流出する原水15が結氷板16へ届かない位置まで、結氷板16に対し散水管31を平行移動可能に保持している。
【0100】
上記のように構成された製氷装置1Bは、散水管31を結氷板16へ原水15が届かない位置まで退避させることにより、散水管31から原水15を流出させたまま結氷板16への原水15の供給を停止する。退避した状態の散水管31から流出した原水15は図示しない枠体によって原水受け部10に回収される。
【0101】
また製氷装置1Bは、散水管31を結氷板16へ原水15が届く位置まで復帰させることにより、結氷板16への原水15の供給を開始する。
【0102】
このように本実施形態に係る製氷装置1Bは、散水管31の移動によって原水15の供給を開始し、及び停止することとしたから、散水管31の移動と同時に結氷板16へ原水15を供給したり停止したりすることができる。さらに製氷装置1Bは、製氷ポンプ5を停止させずに原水15の供給を停止することができる。従って、製氷装置1Bは上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0103】
本実施形態に係る製氷装置1Bは、散水管31から原水15を流出させたままで結氷板16への原水15の供給を停止する構成としたから、第1遮断弁7を必要とせず、さらにバイパス管路8を有しなくとも製氷ポンプ5へ余計な負荷がかかることはない。従って製氷装置1Bは、第1遮断弁7及びバイパス管路8を省略することができるので、その分構成を簡略化することができる。
【0104】
(3)第3実施形態
次に本発明の第3実施形態に係る製氷装置について図9及び図10を参照して説明する。本実施形態に係る製氷装置は、散水管の構成が上記第1実施形態と異なる。
【0105】
(全体構成)
図9に示すように散水管33は、外筒34と、当該外筒34内に挿通された内筒36とを有している。外筒34は、一端が原水管路6に連通され他端が閉塞されており、長手方向に複数の第1貫通穴35が1列に形成されている。当該外筒34に形成された第1貫通穴35は、結氷板16の表面に向かって開口している。
【0106】
同様に内筒36は、一端が原水管路6に連通され他端が閉塞されており、長手方向に複数の第2貫通穴37が1列に形成されている。内筒36に形成された第2貫通穴37は、外筒34に形成された第1貫通穴35に対応した位置に形成されている。内筒36は、原水管路6に接続されていると共に、外筒34内において長手方向の中心軸を中心として回動自在に設けられている。
【0107】
上記のように構成されているので、散水管33は、内筒36が1回転する間に内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35とが1度だけ重なる。そして散水管33は、第1貫通穴35と第2貫通穴37が重なったときにのみ内筒36に供給された原水15が当該第1貫通穴35から流出する。
【0108】
上記のように構成された製氷装置は、内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35とが重なったとき、より具体的には第2貫通穴37と第1貫通穴35の重なり始めから重なりおわりまでの間にのみ、結氷板16表面に原水15を供給する。内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35とが重なり始めから重なりおわりまでの間の内筒36の回転方向の位置を「初期回転位置」と呼ぶ。
【0109】
内筒36が回転し、内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35とが重なっていない場合には、散水管33から原水15は供給されない。この場合、製氷装置は第2遮断弁9を開成し、製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15を、バイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻す。従って製氷装置は、上記第1実施形態と同様に、原水15の供給を停止している間も製氷ポンプ5は停止せず起動したままの状態で保持することができる。
【0110】
内筒36の回転速度は、原水15の停止時間と一致するように設定される。原水15の停止時間は、上記した通り例えば、10〜70秒間の範囲で設定することができる。従って、内筒36の回転速度は、例えば0.9rpm〜6rpmの範囲で設定することができる。また、内筒36は、一定の回転速度で回転してもよいし、適宜回転速度を変えながら回転してもよく、さらに所定時間停止することとしてもよい。
【0111】
(製氷処理手順)
次に、制御部22が結氷板16上に白濁氷を形成する際の製氷処理手順について図10のフローチャートを参照して説明する。なお、製氷処理手順の開始にあたって、散水管33の内筒36は初期回転位置にあるものとする。
【0112】
制御部22は生産処理手順RT1からの呼び出しに応じて、図10に示す製氷処理サブルーチンSRT3を開始してステップSP30へ移る。ステップSP30において制御部22は、原水受け部10に回収されてきた原水15の温度が所定温度以下であるか否かを判別する。
【0113】
ステップSP30において肯定結果が得られると、このことは原水15の温度が製氷開始可能な温度まで冷却されたことを意味し、このとき制御部22はステップSP31へ移る。
【0114】
一方ステップSP30において否定結果が得られると、このことは原水15の温度が未だ製氷可能な温度まで冷却されていないことを意味し、このとき制御部22はステップSP30を繰り返し、原水15の温度が所定温度以下になるまで待ち受ける。
【0115】
ステップSP31において制御部22は、原水15の供給を一旦停止し、ステップSP32へ移る。本実施形態の場合、制御部22は、第2遮断弁9を開成すると共に散水管33の内筒36を回転させる。内筒36が回転し、初期回転位置からずれたとき、散水管33から供給される原水15は停止する。同時に起動し続けている製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15は、第2遮断弁9を開成したことにより、バイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻る。
【0116】
ステップSP32において制御部22は、内筒36が初期回転位置にあるか否かを判別する。ステップSP32において肯定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が所定時間停止されたことにより、結氷板16が十分に冷却されたことを意味する。このとき制御部22はステップSP33へ移る。
【0117】
一方、ステップSP32において否定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が停止されてから未だ所定時間経過していないことにより、結氷板16が未だ十分に冷却されていないことを意味する。このとき制御部22はステップSP32を繰り返し、内筒36が初期回転位置に到達するまで待ち受ける。
【0118】
ステップSP33において制御部22は、第2遮断弁9を閉成し、ステップSP34へ移る。第2遮断弁9が閉成されたことにより、製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15は、原水管路6を通じて内筒36へ供給される。内筒36に形成された第2貫通穴37は外筒34に形成された第1貫通穴35と重なっているので、当該貫通穴19から結氷板16へ原水15が供給される。
【0119】
ステップSP34において制御部22は、内筒36が初期回転位置にないか否かを判別する。ステップSP34において肯定結果が得られると、このことは結氷板16へ原水15が十分に供給されたこと、第2貫通穴37と第1貫通穴35が重なっておらず散水管33からの原水15の流出が停止したことを意味し、このとき制御部22はステップSP35へ移る。
【0120】
一方、ステップSP34において否定結果が得られると、このことは結氷板16へ供給された原水15が未だ十分ではないこと、第2貫通穴37と第1貫通穴35が未だ重なっており散水管33からの原水15の流出していることを意味し、このとき制御部22はステップSP34を繰り返し、第2貫通穴37と第1貫通穴35が重ならなくなるまで待ち受ける。
【0121】
ステップSP35において制御部22は、第2遮断弁9を開成し、ステップSP36へ移る。これにより製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15は、第2遮断弁9を開成したことにより、バイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻る。
【0122】
ステップSP36において制御部22は、製氷処理手順を開始してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP36において肯定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さに達したことを意味し、このとき制御部22はステップSP37へ移る。
【0123】
ステップSP37において制御部22は、内筒36を初期回転位置で停止させると共に、ステップSP38へ移り、この製氷処理サブルーチンSRT3を終了し、元の生産処理手順RT1(図4)へ戻る。
【0124】
一方ステップSP36において否定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が未だ所定厚さに達していないことを意味し、このとき制御部22はステップSP32へ戻る。
【0125】
これにより制御部22は、製氷処理手順を開始してから所定時間が経過するまで、すなわち結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さになるまでステップSP32からステップSP36を繰り返す。
【0126】
(動作及び効果)
次に、本実施形態に係る製氷装置の動作及び効果について説明する。なお基本的な動作は上記第1実施形態と同様であるので、本実施形態の特徴的構成である散水管33の製氷処理における動作について詳しく説明する。
【0127】
製氷装置は、結氷板16に接続された冷凍装置25を起動し、結氷板16を冷却する。同時に、原水供給部から原水15を結氷板16表面に流下させる。これにより、原水15は、結氷板16において冷却される。製氷装置は、原水15が所定温度になったら原水15の供給を一旦停止する。
【0128】
本実施形態の場合、製氷装置は内筒36を所定の回転速度で回転させることにより、原水15の供給を停止する時間を管理する。従って製氷装置は、原水15の供給を停止する時間を管理するためのタイマ24を必要としない。
【0129】
また、製氷装置は、原水15の供給を停止している間、第2遮断弁9を開成することにより、製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15をバイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻す構成としたから、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0130】
製氷装置は、原水15の供給を停止してから所定時間経過後、再び原水15の供給を開始する。原水供給部から供給された原水15は、結氷板16の表面を流下する。結氷板16の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、結氷板16の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0131】
本実施形態の場合、製氷装置は原水15の供給を停止している間も製氷ポンプ5を起動したままの状態で保持しており、内筒36に形成された第2貫通穴37が外筒34に形成された第1貫通穴35と重なることにより原水15を結氷板16へ供給することができる。従って製氷装置は、内筒36が初期回転位置に到達すると同時に原水15を結氷板16へ供給することができる。これにより製氷装置は、原水15を供給する時間をより正確に管理することができる。
【0132】
製氷装置は、原水15の供給を開始してから所定時間経過後、再び原水15の供給を一旦停止する。これにより、結氷板16上に白濁層が形成される。原水15の供給を停止し、形成された白濁層の表面を原水15が流下しない状態で、所定時間保持することにより、白濁層の表面温度が十分に低下する。
【0133】
本実施形態の場合、内筒36が回転し、内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35とが重ならなくなるまで内筒36を回転させることにより原水15の供給が停止される。従って製氷装置は、内筒36が初期回転位置からずれると同時に結氷板16への原水15の供給を停止することができる。これにより製氷装置は、原水15の供給を停止している時間をより正確に管理することができる。
【0134】
原水15の供給を停止してから所定時間経過後、再び原水15の供給を開始する。原水供給部から供給された原水15は、結氷板16の表面に形成された白濁層の表面を流下する。白濁層の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、白濁層の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0135】
原水15の供給を開始してから所定時間経過後、再び原水15の供給を一旦停止する。これにより、白濁層上に新たな白濁層が形成される。
【0136】
本実施形態に係る製氷装置は、製氷ポンプ5のオンオフによらずに内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35との位置関係により原水15の供給を開始又は停止することとしたので、直ちに原水15の供給を開始し又は停止することができる。従って製氷装置は、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0137】
また製氷装置は、内筒36を回転させることにより、原水15の供給及び停止を繰り返すことにより原水15の供給を間欠的に行うこととしたから、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0138】
製氷装置は内筒36に形成された第2貫通穴37と外筒34に形成された第1貫通穴35との位置関係により原水15の供給を開始又は停止することとしたので、第1遮断弁7を省略してもよい。
【0139】
本実施形態の場合、散水管33は内筒36が外筒34内に回動自在に保持されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、外筒34が内筒36に対し回動自在に保持されることとしてもよい。
【0140】
(4)第4実施形態
次に本発明の第4実施形態に係る製氷装置について図11図15を参照して説明する。
【0141】
(全体構成)
図1と同様の構成について同様の符号を付した図11に示す製氷装置1Dは、製氷部2と、原水供給部3Aと、原水タンク4と、製氷ポンプ5とを備え、原水タンク4に貯蔵された原水15を製氷ポンプ5で原水供給部3Aへ送り出し、原水供給部3Aから製氷部2へ原水15を供給することにより、製氷部2表面に氷として透明氷及び白濁氷を選択的に形成する。
【0142】
本実施形態に係る製氷装置1Dは、製氷ポンプ5のバイパス管路8とオーバーフロー管13を連通する排水部としての第2排水管40が設けられている。第2排水管40には、製氷ポンプ5から第2排水管40へ流れる原水15を遮断する第3遮断弁41が設けられている。
【0143】
原水管路6には、当該原水管路6を通じて結氷板16へ供給される原水15の流量を計測する流量計52が設けられている。また、原水タンク4には、原水タンク4内に貯蔵されている原水15の水位を計測する水位センサ53が設けられている。
【0144】
本実施形態に係る製氷装置1Dは、白濁氷の製造を選択する白濁氷選択ボタン(図示しない)を有してもよい。この場合製氷装置1Dは、当該白濁氷選択ボタンが押下された場合にのみ白濁氷を製造するが、押下されない場合は通常の透明氷を製造する。
【0145】
(製氷装置の回路構成)
次に、製氷装置1Dの回路構成について図12のブロック図を参照して説明する。製氷装置1Dは、第1制御装置42と、第2制御装置44とを備える。製氷装置1Dは、透明氷を製造する場合は第1制御装置42のみで動作を制御するが、非透明氷としての白濁氷を製造することを選択した場合は、第1制御装置42に加え第2制御装置44も動作させる。本実施形態に係る製氷装置1Dは、従来の透明氷を製造する第1制御装置42を備える従来型の製氷装置に第2制御装置44を付加することとしてもよい。
【0146】
第1制御装置42は、当該製氷装置1Dの各種機能を統括的に制御する制御部46、製氷ポンプ5、脱氷ポンプ23、タイマ48、水温センサ12、冷凍装置25、通信部43が制御バス49を介して接続されている。
【0147】
制御部46は、予め格納されている基本プログラム、氷の生産プログラムなどを読み出して、当これら各種プログラムに従って第1制御装置42全体を制御するようになされている。タイマ48は、製氷を開始してからの時間を計測し、それぞれ時間信号に変換して制御部46へ送信する。
【0148】
制御部46は、製氷を開始する際に製氷開始信号を生成し通信部43を介して第2制御装置44に通知する。また制御部46は、脱氷を開始する際に脱氷開始信号を生成し通信部43を介して第2制御装置44に通知する。
【0149】
第2制御装置44は、当該第2制御装置44の各種機能を統括的に制御する制御部47、通信部45、タイマ51、第1遮断弁7、第2遮断弁9、第3遮断弁41、流量計52、水位センサ53が制御バス50を介して接続されている。
【0150】
制御部47は、予め格納されている基本プログラム、白濁氷を製造する製氷処理プログラムなどの各種プログラムを読み出して、これら各種プログラムに従って第2制御装置44全体を制御するようになされている。
【0151】
第2制御装置44は、上記第1実施形態において説明した白濁氷を製造する製氷処理に加え、原水タンク4内の原水15量が所定量を超えたときに、製氷ポンプ5を用いて強制的に原水タンク4内の原水15を排水する排水処理を行う。
【0152】
通信部45は、第1制御装置42より送信された製氷開始信号及び脱氷開始信号を受け取り、制御部47へ送信する。制御部47は、製氷開始信号又は脱氷開始信号を受け取った場合、それぞれ製氷処理及び排水処理を行う。
【0153】
本実施形態に係る製氷装置1Dは、透明氷を製造する場合、第1制御装置42のみを用いて全体を制御する。この場合、第1遮断弁7を開成し、第2遮断弁9及び第3遮断弁41を閉成した状態とする。第1制御装置42は、製氷ポンプ5の起動及び停止、脱氷ポンプ23の起動及び停止を行うことにより、透明氷を製造する。
【0154】
一方、白濁氷を製造する場合、製氷装置1Dは、第1制御装置42に加え第2制御装置44を共に動作させる。第2制御装置44は、第1遮断弁7、第2遮断弁9、及び第3遮断弁41をそれぞれ個別に開成したり閉成したりすることにより、結氷板16へ原水15を間欠的に供給したり、原水タンク4内に貯蔵された原水15を強制的に排水したりする。
【0155】
(氷の生産処理手順)
次に、製氷装置1Dによる氷の生産処理手順について説明する。第1制御装置42の制御部46は、図4に示す生産処理手順RT1を実行する。本実施形態において、第1制御装置42の制御部46は、製氷処理手順が上記第1実施形態と異なるので、この点について図13を参照して説明する。本実施形態に係る製氷処理手順は、透明氷と白濁氷を選択的に製造し得る点が上記第1実施形態と異なる。
【0156】
制御部46は生産処理手順RT1(図4)からの呼び出しに応じて、図13に示す製氷処理サブルーチンSRT4を開始してステップSP40へ移る。ステップSP40において制御部46は、原水受け部10に回収されてきた原水15の温度が所定温度以下であるか否かを判別する。
【0157】
ステップSP40において肯定結果が得られると、このことは原水15の温度が製氷開始可能な温度まで冷却されたことを意味し、このとき制御部46はステップSP41へ移る。
【0158】
一方ステップSP40において否定結果が得られると、このことは原水15の温度が未だ製氷可能な温度まで冷却されていないことを意味し、このとき制御部46はステップSP40を繰り返し、原水15の温度が所定温度以下になるまで待ち受ける。
【0159】
ステップSP41において制御部46は、製氷開始信号を生成して第2制御装置44へ送信し、ステップSP42及びステップSP51へ移る。
【0160】
ステップSP42において制御部46は、製氷ポンプ5を停止することにより原水15の供給を一旦停止し、ステップSP43へ移る。
【0161】
ステップSP43において制御部46は、所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP43において肯定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が所定時間停止されたことにより、結氷板16が十分に冷却されたことを意味する。このとき制御部46はステップSP44へ移る。
【0162】
一方、ステップSP43において否定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が停止されてから未だ所定時間経過していないことにより、結氷板16が未だ十分に冷却されていないことを意味する。このとき制御部46はステップSP43を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が停止されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0163】
ステップSP44において制御部46は、製氷ポンプ5を起動することにより結氷板16への原水15の供給を開始し、ステップSP45へ移る。
【0164】
ステップSP45において制御部46は、所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP45において肯定結果が得られると、このことは結氷板16へ原水15が十分に供給されたことを意味し、このとき制御部46はステップSP46及びステップSP56へ移る。
【0165】
一方、ステップSP45において否定結果が得られると、このことは結氷板16へ供給された原水15が未だ十分ではないことを意味し、このとき制御部46はステップSP45を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が開始されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0166】
ステップSP46において制御部46は、脱氷開始信号を生成して第2制御部46へ送信し、ステップSP47へ移る。
【0167】
ステップSP47において制御部46は、製氷ポンプ5を停止すると共に製氷処理サブルーチンSRT4を終了し、元の生産処理手順RT1(図4)へ戻る。
【0168】
上記のように製氷処理サブルーチンSRT4は、所定時間供給し続け所定時間経過後、原水15の供給を停止する。このように製氷処理サブルーチンSRT4において制御部46は、原水15を間欠的に供給するのではなく、原水15を長時間供給し続けることにより、結氷板16において原水15を緩慢凍結させる。従って、制御部46は製氷処理サブルーチンSRT4のみを実行することによって、透明氷を製造することができる。
【0169】
(白濁氷の製氷処理手順)
次に、白濁氷の製造が選択された場合の白濁氷の製氷処理手順について図14及び図15のフローチャートを参照して説明する。上記した通り白濁氷の製造が選択された場合、製氷装置1Dは第1制御装置42と第2制御装置44を共に動作させる。すなわち、製氷装置1Dは、第1制御装置42において本実施形態に係る上記製氷処理手順SRT4を実行すると同時に、並行して第2制御装置44において以下に説明する白濁氷の製氷処理手順RT2を実行する。
【0170】
白濁氷の製造が選択された場合、第2制御装置44の制御部47は製氷処理プログラムに従って、図14に示す白濁氷の製氷処理手順RT2の開始ステップから入ってステップSP50へ移る。制御部47は、待機状態すなわち第1遮断弁7を開成し、第2遮断弁9及び第3遮断弁41を閉成した状態とし、ステップSP51へ移る。
【0171】
ステップSP51において制御部47は、第1制御装置42から送信された製氷開始信号を受信したか否かを判別する。
【0172】
ステップSP51において肯定結果が得られると、制御部47はステップSP52へ移る。一方、ステップSP51において否定結果が得られると制御部47はステップSP51を繰り返し、製氷開始信号を受信するまで待ち受ける。
【0173】
ステップSP52において制御部47は、第1遮断弁7を閉成すると共に第2遮断弁9を開成して結氷板16への原水15の供給を停止し、ステップSP53へ移る。
【0174】
ステップSP53において制御部47は、結氷板16への原水15の供給を停止してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP53において肯定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が所定時間停止されたことにより、結氷板16が十分に冷却されたことを意味する。このとき制御部47はステップSP54へ移る。
【0175】
一方、ステップSP53において否定結果が得られると、このことは結氷板16への原水15の供給が停止されてから未だ所定時間経過していないことにより、結氷板16が未だ十分に冷却されていないことを意味する。このとき制御部47はステップSP53を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が停止されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0176】
ステップSP54において制御部47は、第1遮断弁7を開成すると共に第2遮断弁9を閉成して結氷板16への原水15の供給を開始し、ステップSP55へ移る。
【0177】
ステップSP55において制御部47は、結氷板16への原水15の供給を停止してから所定時間が経過しているか否かを判別する。ステップSP55において肯定結果が得られると、このことは結氷板16へ原水15が十分に供給されたことを意味し、このとき制御部47はステップSP56へ移る。
【0178】
一方、ステップSP55において否定結果が得られると、このことは結氷板16へ供給された原水15が未だ十分ではないことを意味し、このとき制御部47はステップSP55を繰り返し、結氷板16への原水15の供給が開始されてから所定時間が経過するまで待ち受ける。
【0179】
ステップSP56において制御部47は、第1制御装置42から脱氷開始信号を受信したか否かを判別する。ステップSP56において肯定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さに達したことを意味し、このとき制御部47はステップSP50へ戻ると同時に、ステップSP60へ移る。すなわち制御部47は、第1遮断弁7、第2遮断弁9、及び第3遮断弁41を待機状態とすると共に、原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位が所定高さ以下となるように下記に示す排水処理手順を行う。
【0180】
一方ステップSP56において否定結果が得られると、このことは結氷板16上に形成された白濁氷が未だ所定厚さに達していないことを意味し、このとき制御部47はステップSP52へ戻る。
【0181】
これにより制御部47は、製氷処理手順を開始してから所定時間が経過するまで、すなわち結氷板16上に形成された白濁氷が所定厚さになるまでステップSP52からステップSP56を繰り返す。
【0182】
このように製氷装置1Dは、図13に示す製氷処理サブルーチンSRT4に加え、図14に示す白濁氷の製氷処理手順RT2を並行して実行することにより、白濁氷を製造することができる。
【0183】
(排水処理手順)
次に排水処理手順について図15を参照して説明する。ステップSP60において第2制御装置44の制御部47は、原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位が所定高さ以上であるか否かを判別する。
【0184】
ステップSP60において肯定結果が得られると、このことは、脱氷処理に伴い原水タンク4内に多量の原水15が回収され、時間経過に伴い水位が高くなったことを意味し、このとき制御部47はステップSP61へ移る。
【0185】
一方、ステップSP60において否定結果が得られると、このことは原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位が未だ所定高さ未満であることを意味し、このとき制御部47はステップSP60を繰り返し、水位が所定高さ以上になるまで待ち受ける。
【0186】
ステップSP61において制御部47は、第3遮断弁41を開成すると共に、第1遮断弁7及び第2遮断弁9を閉成し、製氷ポンプ5を起動することにより、原水タンク4内に貯蔵された原水15を、第2排水管40を通じて強制的に排水し、ステップSP62へ移る。
【0187】
ステップSP62において制御部47は、原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位が所定高さ未満であるか否かを判別する。
【0188】
ステップSP62において肯定結果が得られると、このことは、原水タンク4内に貯蔵された原水15が十分に排水されたことを意味し、このとき制御部47はステップSP63へ移る。
【0189】
一方、ステップSP62において否定結果が得られると、このことは原水タンク4内に貯蔵された原水15が未だ十分に排水されていないことを意味し、このとき制御部47はステップSP62を繰り返し、水位が所定高さ未満になるまで待ち受ける。
【0190】
ステップSP63において制御部47は、第3遮断弁41を閉成、第2遮断弁9を閉成、第1遮断弁7を開成すると共に、製氷ポンプ5を停止し、ステップSP50(図14)へ戻る。
【0191】
(動作及び効果)
次に、本実施形態に係る製氷装置1Dの動作及び効果について説明する。なお基本的な動作は上記第1実施形態と同様であるので、本実施形態特有の製氷処理における動作について詳しく説明する。
【0192】
(基本動作)
まず、本実施形態に係る製氷装置1Dの基本動作について説明する。ここで基本動作とは、第1制御装置において実行される動作であって、透明氷を製造する場合、及び白濁氷を製造する場合の両方に共通する動作である。
【0193】
製氷装置1Dは、結氷板16に接続された冷凍装置25を起動し、結氷板16を冷却する。同時に、原水供給部3Aから原水15を結氷板16表面に流下させる。これにより原水15は、結氷板16において冷却される。製氷装置1Dは、原水15が所定温度、例えば0.0〜3.0℃になったら、原水15の供給を一旦停止する。
【0194】
透明氷を製造する場合、製氷装置1Dは製氷ポンプ5を停止することにより、原水15の供給を停止する。従って、製氷ポンプ5を停止してから散水管18から結氷板16へ流出する原水15が停止するまでには、多少の時間差が生じる。
【0195】
透明氷を製造する場合、10〜30秒程度、原水15の供給を停止するのが好ましい。なお、原水15供給の停止時間は結氷板16の冷やし方により適宜決定できる。
【0196】
製氷装置1Dは、原水15の供給を停止してから所定時間経過後、再び原水15の供給を開始する。原水供給部3Aから供給された原水15は、結氷板16の表面を流下する。結氷板16の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、結氷板16の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0197】
透明氷を製造する場合、製氷装置1Dは、製氷ポンプ5を起動することにより停止していた原水15の供給を開始する。従って、製氷ポンプ5を起動してから散水管18から結氷板16へ原水15が流出するまでには、多少の時間差が生じる。
【0198】
製氷装置1Dは、原水15を所定時間、例えば30〜70分間供給することにより所望の厚さを有する透明氷を製造することができる。なお、原水15の供給時間は結氷板16の冷やし方により適宜決定できる。
【0199】
次いで製氷装置1Dは、結氷板16の裏面に冷却されていない脱氷用の原水17を供給し、結氷板16上に形成された透明氷を結氷板16から引き離すことにより、所定厚さの板状の透明氷を得ることができる。
【0200】
上記のように製氷装置は、原水15を長時間供給し続け、結氷板16において原水15を緩慢凍結させることにより、透明氷を製造することができる。したがって製氷装置1Dは、基本動作を実行することにより透明氷を製造することができる。
【0201】
(白濁氷を製造する場合の動作)
次に、白濁氷を製造する場合の動作について説明する。白濁氷を製造する場合の動作は、第1制御装置と第2制御装置とにおいて並行して実行される。白濁氷を製造することが選択された場合、製氷装置1Dは、冷凍装置25及び製氷ポンプ5を起動して原水15の温度が所定温度になった段階で、下記の動作を行う。
【0202】
すなわち製氷装置1Dは、原水15の温度が所定温度以下になったとき、第1制御装置42において製氷ポンプ5を停止すると同時に第2制御装置44において第1遮断弁7を閉成すると共に第2遮断弁9を開成することにより、結氷板16への原水15の供給を停止する。
【0203】
このように白濁氷の製造を選択した場合、第1遮断弁7を閉成することとしたので、製氷ポンプ5の停止のみによって原水15の供給を停止する場合に比べ、結氷板16へ流出する原水15を瞬間的に停止することができる。
【0204】
白濁氷を製造する場合、原水15の供給を停止する時間は、上記した通り例えば10〜70秒間であるから、透明氷を製造する場合に比べ長く設定される。そうすると、第1制御装置42は、原水15の供給を停止している第2制御装置44に先行して製氷ポンプ5を起動し原水15を供給する動作を開始する。
【0205】
これに対し第2制御装置44は、原水15を停止してから所定時間が経過するまで第1遮断弁7を閉成しているので、結氷板16への原水15の供給を停止した状態で保持することができる。しかも第2制御装置44は、第2遮断弁9を開成し製氷ポンプ5の二次側5OUTから吐出された原水15をバイパス管路8を通じて製氷ポンプ5の一次側5INに戻す構成としたから、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0206】
また製氷装置1Dは、流量計52において結氷板16へ供給される原水15の流量を監視しており、原水15の供給を停止している時間において一度でも前記流量が閾値を超えた場合、異常が生じたと判断し、全体の動作を停止する。
【0207】
第2制御装置44は、原水15の供給を停止してから所定時間経過後、第1遮断弁7を開成すると共に第2遮断弁9を閉成する。そうすると、既に製氷ポンプ5は第1制御装置42によって起動されているので、第1遮断弁7の開成とほぼ同時に原水15が原水管路6を通じて原水供給部3Aから結氷板16へ供給される。
【0208】
原水供給部3Aから供給された原水15は、結氷板16の表面を流下する。結氷板16の表面は原水15の供給を一旦停止していたことにより十分に冷却されているので、結氷板16の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0209】
製氷装置1Dは、流量計52において結氷板16へ供給される原水15の流量を監視し、当該流量が一定量を下回った場合、異常が生じたと判断し、全体の動作を停止する。
【0210】
製氷装置1Dは、原水15の供給を開始してから所定時間経過後、第1遮断弁7を閉成すると共に第2遮断弁9を開成することにより、再び原水15の供給を一旦停止する。このとき製氷ポンプ5は第1制御装置42によって起動した状態を保持する。
【0211】
これにより、結氷板16上に白濁層が形成される。原水15の供給を停止し、形成された白濁層の表面を原水15が流下しない状態で、所定時間保持することにより、白濁層の表面温度が十分に低下する。なお、この場合の原水15の停止時間は、上記のとおり、10〜70秒間とするのが、上記の理由により好ましい。
【0212】
原水15の供給を停止してから所定時間経過後、第1遮断弁7を開成すると共に第2遮断弁9を閉成する。そうすると、上記した通り製氷ポンプ5は第1制御装置42によって起動した状態を保持しているので、第1遮断弁7の開成とほぼ同時に原水15が原水管路6を通じて原水供給部3Aから結氷板16へ供給される。
【0213】
原水供給部3Aから供給された原水15は、結氷板16の表面に形成された白濁層の表面を流下する。白濁層の表面は、原水15の供給を一旦停止していたことにより、十分に冷却されているので、白濁層の表面に接触した原水15は急速に結氷する。
【0214】
原水15の供給を開始してから所定時間経過後、再び原水15の供給を一旦停止する。これにより、白濁層上に新たな白濁層が形成される。
【0215】
このように製氷装置1Dは、原水15の供給及び停止を繰り返すことにより、白濁層上に新たな白濁層を次々に積層していく。本実施形態の場合、製氷装置1Dは第1制御装置42において製氷を開始してからの時間を計測し、当該時間が所定時間を経過した場合に、所定厚さの白濁氷が形成されたと判断する。
【0216】
次いで製氷装置1Dは、結氷板16の裏面に冷却されていない脱氷用の原水17を供給し、結氷板16上に形成された白濁氷を結氷板16から引き離すことにより、白濁層が60層積層された板状の白濁氷を得ることができる。
【0217】
脱氷用の原水17は、結氷板16から流下した後、原水タンク4へ回収されるので、時間の経過と共に原水タンク4内の原水15の水位が高くなる。白濁氷を製造する場合、原水タンク4内に貯蔵される原水15量は上記した通り所定量以下であることが好ましい。
【0218】
白濁氷を製造することが選択されている場合、脱氷用の原水17が供給されている間、製氷装置1Dは原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位を、所定高さ未満となるように監視する。上記水位が所定高さ以上となった場合、製氷装置1Dは、第3遮断弁41を開成すると共に、第1遮断弁7及び第2遮断弁9を閉成し、製氷ポンプ5を起動することにより、原水タンク4内に貯蔵された原水15を、第2排水管40を通じて強制的に排水する。これにより製氷装置1Dは、原水タンク4内に貯蔵された原水15の水位を、所定高さ未満に保持することができる。
【0219】
上記したように製氷装置1Dは、原水15の温度が所定温度になって製氷が開始されてから製氷が終了するまでの間、第1制御装置42において透明氷を製造する処理をそのまま行うと共に、第2制御装置44において白濁氷を製造する処理を同時に行う。従って、製氷装置1Dは、従来の透明氷を製造する装置に本実施形態に係る第2制御装置44を付加するだけで、白濁氷を製造することができるだけでなく、従来通り透明氷を製造することもできる。
【0220】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。上記実施形態では、非透明氷として白濁氷を製造する場合について説明したが本発明はこれに限らず、白以外の赤や青などに着色された非透明氷を製造する場合に適用することもできる。
【符号の説明】
【0221】
1A :製氷装置
2 :製氷部
3A :原水供給部
4 :原水タンク
5 :製氷ポンプ
IN :一次側
OUT :二次側
6 :原水管路
7 :第1遮断弁
8 :バイパス管路
9 :第2遮断弁
15 :原水
33 :散水管
34 :外筒
35 :第1貫通穴
36 :内筒
37 :第2貫通穴
40 :第2排水管(排水部)
41 :第3遮断弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15