(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(A)、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(B)、及び炭素数が8以上、18以下である脂肪族炭化水素基を有し、ポリオキシエチレン基を平均5モル以上、15モル以下付加したポリオキシエチレン付加型非イオン界面活性剤(C)を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が0.1質量%以上、20質量%以下で、(B)成分に対する(A)成分の質量比[(A)/(B)]が0.1以上、9.0以下であり、(A)成分と(B)成分の合計に対する(C)成分の質量比(C)/[(A)+(B)]が0.01以上、0.5以下であるスプレー用繊維製品処理剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<スプレー用繊維製品処理剤組成物>
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、重量平均分子量が1万以上、100万以下であり、メタクリル酸由来の構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるメタクリル酸系重合体(A)、重量平均分子量が10万以上、100万以下であり、スルホン酸基を有する構成単位が全構成単位の60モル%以上を占めるスルホン酸系重合体(B)、及び炭素数が8以上、18以下である脂肪族炭化水素基を有し、ポリオキシアルキレン基を平均5モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン界面活性剤(C)を含有し、(A)成分と(B)成分の合計が0.1質量%以上、20質量%以下で、(B)成分に対する(A)成分の質量比[(A)/(B)]が0.1以上、9.0以下であり、(A)成分と(B)成分の合計に対する(C)成分の質量比(C)/[(A)+(B)]が0.01以上、0.5以下であるものである。
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、衣料等の繊維製品に十分な保形効果を付与することができ、且つ低機械力での易洗性に優れたものである。
【0011】
なお、ここで言う「構成単位」とは、重合体の原料モノマー1モルに相当する構造である。例えば、「メタクリル酸由来の構成単位」は、重合体中のメタクリル酸又はその塩1モルに相当する構造を指す。また、「スルホン酸基を有する構成単位」は、スルホン酸基を有するモノマー1モルに相当する構造を指し、後述のようにスルホン酸基含有モノマーに由来するものでも、重合後、スルホン化することにより導入されたものでもいずれでも良い。重合体の全構成単位におけるこれらの構成単位のモル比は、通常、原料モノマーの仕込み量(モル比)から容易に算出できる。
【0012】
また、以下、場合により「〜酸又はその塩」を「〜酸(塩)」と表記する。例えば、「メタクリル酸(塩)」は「メタクリル酸又はその塩」を指すものとする。
【0013】
<重合体(A)>
重合体(A)は(以下、「(A)成分」ともいう)、メタクリル酸由来の構成単位を全構成単位中に60モル%以上、保形効果の耐湿性の点から、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましくは100モル%有するものである。 重合体(A)は、メタクリル酸(塩)の単一重合体であるか、又はメタクリル酸(塩)と下記のビニル系モノマーの共重合体であってもよい。
【0014】
メタクリル酸と共重合可能なビニル系モノマーとしては、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、ブテン−2−カルボン酸等のカルボキシ基含有モノマー及びこれらの塩が挙げられる。また、これらカルボキシ基含有モノマー及びメタクリル酸のカルボキシ基に炭素数1≡20の直鎖又は分岐アルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、N,N−ジメチルアミノプロピル基、N,N−ジメチルアミノブチル基、N,N−ジエチルアミノエチル基、N,N−ジエチルアミノプロピル基、N,N−ジエチルアミノブチル基がエステル結合で連結されたもの、あるいはこれらの官能基が炭素数2又は3のオキシアルキレン単位からなるオリゴマー鎖あるいはポリマー鎖を介して連結されたものが挙げられる。オキシアルキレン鎖はオキシエチレン鎖が好ましく、付加モル数は2モル以上、200モル以下が好ましく、10モル以上、100モル以下が更に好ましい。これらの中でも、アクリル酸やメタクリル酸に炭素数2以上、18以下の直鎖又は分岐鎖アルキル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、N,N−ジメチルアミノメチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基が直接あるいはオキシエチレン鎖を介して連結されたものが好ましい。またアルキル基の炭素数1以上、10以下のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、イソブチレン、ブタジエン、ジイソブチレン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、n−ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、酢酸ビニル、N−ビニル−2−カプロラクタム等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素数1以上、10以下のN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニルが好ましい。
【0015】
上記したメタクリル酸と共重合可能なビニル系モノマーのうち、より好ましいモノマーは、アクリル酸、マレイン酸、これらのナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩、並びにアクリル酸、メタクリル酸に炭素数1以上、4以下のアルキル基がエステル結合したアクリル酸アルキル(アクリル酸アルキルはアクリル酸メチル、アクリル酸エチルがさらにより好ましい)、メタクリル酸アルキル(メタクリル酸アルキルは、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルがさらにより好ましい)、から選ばれる一種以上のモノマーである。
【0016】
重合体(A)の重合法は特に限定されず、従来公知の方法で得られる。例えば、公知のラジカル重合あるいはリビングラジカル重合によって合成される。この場合の重合開始剤には、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)その他のアゾ系化合物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムその他の過硫酸塩、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジt−ブチルペルオキシド、過酸化水素等の過酸化物系化合物、あるいは亜硫酸水素ナトリウムと酸素との組み合わせによるレドックス反応が用いられ、重合溶媒には水、有機溶剤、あるいはそれらの混合物が用いられる。重合手法例としては、モノマーと重合開始剤とを一括して重合溶媒に仕込んで加熱して重合させる方法、モノマーを含む溶液と開始剤を含む溶液とを既に加熱されている重合溶媒に1時間≡10時間かけて滴下して仕込み、加熱を続けて重合させる方法等がある。この場合、重合終了時に均一溶液を保つ場合と精製ポリマーが析出してくる場合とがあり、いずれでも構わない。これらの重合系には、分子量を適度に低下させるための連鎖移動剤として、炭素数1≡6の飽和脂肪族1価≡多価アルコール、あるいはドデカンジオール、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、チオ酢酸等のメルカプタン類を共存させることもできる。
【0017】
重合体(A)は、十分な保形効果を得る観点から重量平均分子量1万以上、好ましくは5万以上、より好ましくは10万以上のものが使用される。またミストの細かさや、液だれ・ボタ落ち防止等の点で良好なスプレー特性を得る観点から重量平均分子量100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは25万以下のものが使用される。なお、重合体(A)の重合平均分子量は、ポリエチレングリコール(以下、PEGと示す)を標準物質とした場合の重量平均分子量であり、ゲル浸透式液体クロマトグラフィ(以下、GPCと示す)法で測定される。
【0018】
重合体(A)は、異なる重合方法によって得られた重合体や異なる重量平均分子量の重合体を任意の割合で混合して使用することもできる。また、上記の重合体もしくは共重合体の製造にあたっては、メタクリル酸は酸もしくは塩のいずれを用いて重合しても良いし、重合後に中和によって塩としてもよい。重合体(A)の塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニア、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等のアミン類の塩、テトラエチルアンモニウム、セチルピリジニウム等の4級アンモニウム塩等の化合物を単独又は混合して使用できる。中でもナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましい。
【0019】
<重合体(B)>
重合体(B)は(以下、「(B)成分」ともいう)、保形効果の観点からスルホン酸基を有する構成単位が、全構成単位の60モル%以上、好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%以上、更に好ましく100モル%を占める。重合体(B)のスルホン酸基は塩の形態であってもよい。
【0020】
重合体(B)は、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上からなる単一重合体または共重合体であってもよく、前記モル比を満たす限り、スルホン酸基を有するビニル系モノマーの1種以上のスルホン酸基を有さないビニル系モノマーの1種以上の共重合体であってもよい。具体的には、以下の方法(イ)または方法(ロ)によって得ることができる。
【0021】
・方法(イ)
スルホン酸基を有するビニル系モノマーをモノマー(B1)とし、またモノマー(B1)と共重合可能であり且つスルホン酸基を有さないビニル系モノマーをモノマー(B2)とするとき、方法(イ)は、モノマー(B1)の1種以上を単一又は共重合するか、或いは1種以上のモノマー(B1)と1種以上のモノマー(B2)とを共重合する方法である。
【0022】
(イ)の方法で用いるモノマー(B1)としては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スルホプロピルメタクリレート、α−メチルスチレンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、ビニルナフタレンスルホン酸、インデンスルホン酸及びこれらの塩等が挙げられる。(イ)の方法で用いるモノマー(B2)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びこれらの塩、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、スチレンが好ましく、さらに(メタ)アクリル酸、マレイン酸及びこれらの塩、スチレンが好ましい。本発明において「(メタ)」とは「メタ」のつく化合物と「メタ」のつかない化合物の両方を意味しており、例えば(メタ)アクリルの場合、メタアクリル酸(メタクリル酸ともいう)とアクリル酸の両方を意味するものとする。(イ)の方法において、1種以上のモノマー(B1)のみからなる単一または共重合体としては、ポリスチレンスルホン酸(塩)が好ましく、またモノマー(B1)とモノマー(B2)とを共重合させて共重合体を得る場合の組み合わせとしては、スチレンスルホン酸とアクリル酸、スチレンスルホン酸とスチレン、アリルスルホン酸とアクリル酸の組み合わせが好ましい。
【0023】
・方法(ロ)
スルホン酸基を有しないが、重合後スルホン化することが可能なビニル系モノマーをモノマー(B1’)とし、モノマー(B1’)と共重合可能な他のビニル系モノマーをモノマー(B3)とするとき、方法(ロ)は、1種以上のモノマー(B1’)を単一重合又は共重合した後スルホン化するか、1種以上のモノマー(B1’)と1種以上のモノマー(B3)とを共重合した後にスルホン化する方法である。
【0024】
(ロ)の方法で用いるモノマー(B1’)としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、インデン等を挙げることができ、これらの中でもスチレンが好ましい。(ロ)の方法で用いるモノマー(B3)としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン、ペンテン、イソプレン、2−メチル−1−ブテン、n−ヘキセン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ブテン、ブタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。(ロ)の方法において、重合体のスルホン化は例えば下記の方法によって行うことができる。まず、モノマー(B1’)の単一又は共重合体又はモノマー(B1’)とモノマー(B3)の共重合体、例えばポリスチレン、スチレン・エチレン共重合体、スチレン・ジイソブテン共重合体、スチレン・ビニルトルエン共重合体、α−メチルスチレン・インデン共重合体を得る。
【0025】
これらの中でもポリスチレンが好ましい。次に得られたポリマーを常法により、無水硫酸、クロルスルホン酸、無水硫酸・ルイス塩基錯体等のスルホン化剤を用いてスルホン化することによって、最終的にスルホン酸基が導入された重合体を得ることができる。なお、このような後からスルホン化することによって得られる重合体(B)の場合、前記モル比率は、スルホン化された部位を有するモノマー(B1’)を構成単位として求められる。
【0026】
重合体(B)は、十分な保形効果を得る観点から重量平均分子量10万以上、好ましくは15万以上、より好ましくは20万以上のものが使用される。またミストの細かさや、液だれ・ボタ落ち防止等の点で良好なスプレー特性を得る観点から重量平均分子量100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは40万以下のものが使用される。なお、重合体(B)の重量平均分子量は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の重量平均分子量であり、GPC法で測定される。
【0027】
本発明の重合体(B)は、市販の重合体を使用してもよい。例えばスチレンスルホン酸(塩)の構成単位を有する重合体が、東ソー(株)よりPS−35又はPS−50として市販されており、本発明ではこれらを用いても優れた効果を得ることができる。
【0028】
重合体(B)は、異なる重合方法によって得られた重合体や異なる重量平均分子量の重合体を任意の割合で混合して使用することもできる。塩については重合体(A)と同様である。
【0029】
<非イオン界面活性剤(C)>
本発明においては、保形効果を低下させることなく(A)成分や(B)成分の低機械力での易洗性を向上させる観点から、非イオン界面活性剤(C)として(以下、「(C)成分」ともいう)、炭素数が8以上、18以下である脂肪族炭化水素基を有し、ポリオキシアルキレン基を平均5モル以上、15モル以下付加したポリオキシアルキレン付加型非イオン界面活性剤(C)を使用する。
【0030】
界面活性剤(C)としては、(A)成分や(B)成分の低機械力での易洗性の観点から、炭素数8以上、18以下の脂肪族炭化水素基を有し、炭素数2以上、4以下のオキシアルキレン基が平均5モル以上、15モル以下結合したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。なおこのオキシアルキレン基及びオキシアルキレン基から構成されるポリオキシアルキレン鎖はアルキレンオキシドが脂肪族アルコールに付加反応することにより構成されることから、その平均重合度は「平均付加モル数」と一般的に言われる。(C)成分の脂肪族炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよいが、製品の泡立ちなどの外観に与える影響の観点から、直鎖の脂肪族炭化水素基が好ましい。該脂肪族炭化水素基は第1級アルコール由来のものが好ましく、従って酸素原子と結合する当該脂肪族炭化水素基の炭素原子は、第1炭素原子(Primary carbon atom)である。
【0031】
(A)成分や(B)成分の低機械力での易洗性を向上させる観点から、(C)成分の脂肪族炭化水素基の炭素数は、好ましくは10以上、16以下、より好ましくは11以上、15以下、さらにより好ましくは12以上、14以下であり、ポリオキシアルキレン基の平均付加モル数は、好ましくは6以上、14以下、より好ましくは7以上、13以下、更に好ましくは8以上、12以下である。
【0032】
(A)成分や(B)成分の低機械力での易洗性を向上させる観点から、好ましい(C)成分としては、ポリオキシアルキレン基が、オキシエチレン基又はオキシエチレン基とオキシプロピレン基との組合せであって、平均付加モル数が3以上、15以下であり、更にオキシプロピレン基の平均付加モル数が0以上、2以下、オキシエチレン基の平均付加モル数が3以上、15以下であるものである。
【0033】
より好ましい(C)成分は、炭素数が10以上、16以下の直鎖アルキル基を有し、酸素原子と結合する直鎖アルキル基の炭素原子が第1炭素原子であり、オキシエチレン基の平均付加モル数が6以上、14以下である、ポリオキシエチレンアルキルエーテルである。
【0034】
<各成分の含有量>
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物中の(A)成分の含有量は、保形効果と易洗性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、18質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上、15質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上、10質量%以下であり、(B)成分の含有量は、保形効果の観点から、好ましくは0.05質量%以上、18質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上、15質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上、10質量%以下である。なお(A)成分及び(B)成分は、(A)/(B)の質量比の要件及び(A)と(B)との合計濃度の要件を満たす濃度で組み合わされる。
【0035】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物中の(A)成分と(B)成分の含有量は、保形効果と良好なスプレー特性の観点から、重合体(A)と(B)の合計で0.1質量%以上、20質量%以下、好ましくは0.5質量%以上、10質量%以下である。また、本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、保形効果と易洗性の観点から、(A)成分と(B)成分とを、(A)/(B)が0.1以上、9.0以下、好ましくは0.2以上、4.0以下の質量比で含有する。
【0036】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物中の(C)成分の含有量は、保形効果及び易洗性の観点から、0.01質量%以上、1質量%以下が好ましく、0.02質量%以上、0.8質量%以下がより好ましく、0.03質量%以上、0.6質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以上、0.5質量%以下が特に好ましい。
【0037】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、(A)成分や(B)成分の低機械力での易洗性を向上させる観点から、(A)成分と(B)成分の合計に対する(C)成分の質量比(C)/[(A)+(B)]が0.01以上、0.5以下、好ましくは0.02以上、0.4以下、より好ましくは0.03以上、0.3以下であることが好ましい。
【0038】
また、本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物の20℃におけるpHは3.0以上、7.0以下であると湿度が高い時の保形効果(以下、耐湿性という場合もある)が向上し、さらに3.5以上、6.0以下であると耐湿性が格段に向上するので好ましい。
【0039】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物には、アイロン滑り成分(以下、「(D)成分」ともいう)を配合することが好ましい。アイロン滑り成分としては、シロキサン結合を分子内に有する化合物や炭化水素系化合物がある。シロキサン結合を有する化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルハイドロジェンシロキサンやこれらの一部がアミノ変性、エポキシ変性、カルボキシ変性、長鎖アルキル変性、ポリエーテル変性等の1種類以上の官能基で変性されているものが挙げられる。これらの中でもポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。また、特開昭58−126378号公報に開示されているビニル基含有オルガノポリシロキサンとSi−H基含有オルガノポリシロキサンとビニルモノマーの共重合体や特開平7−243173号公報に開示されているオルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有するビニルポリマーも使用できる。これらは適当な界面活性剤により水中で乳化状態にあるものや自己乳化性の物質が好ましく配合される。長期保存安定性を考慮するとこれらの乳化粒子は粒子径0.001μm、1μm以下、好ましくは0.005μm以上、0.1μm以下、さらに好ましくは0.01μm以上、0.08μm以下の範囲である。また、炭化水素系化合物としては、分岐炭素鎖を有するアルコールのエトキシレートや2級アルコールのエトキシレートやプルロニック(BASF商標)型非イオン性界面活性剤が挙げられる。分岐炭素鎖を有するアルコールのエトキシレートとしては、アルコール部分の炭素数が8以上、20以下でオキシエチレン鎖の平均付加モル数が20以上、80以下の範囲のものが好ましい。2級アルコールのエトキシレートとしては、アルコール部分の炭素数が10以上、18以下でオキシエチレン鎖の平均付加モル数が20以上、80以下の範囲のものが好ましい。プルロニック型非イオン性界面活性剤としては、ポリプロピレングリコールを疎水基として、その両側にオキシエチレン鎖を親水基として付加重合させたブロックポリマー型非イオン性界面活性剤であり、HLBが6以上、10以下の範囲のものが好ましい。
【0040】
さらに必要に応じて特開平8−60549号公報の段落[0073]に記載の成分を配合することができる。また、安息香酸デナトニウム、8−アセチル化蔗糖、ブルシン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ジチオビスベンザミド、ポリヘキサメチレンビグアニド酸付加塩、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ブロモニトロプロパンジオールから選ばれる1種以上の化合物を配合することもできる。また特許文献2で開示されている水溶性無機塩や、特開平7−216744号公報と特開平10−110386号公報で開示されている多価アルコールを配合することができる。
【0041】
本発明の処理剤組成物の残部は水又は水と水溶性低分子量有機溶媒(以下、「(E)成分」ともいう)の混合液であり、スプレー特性の観点から、処理剤組成物中に50質量%以上、99.8質量%以下配合されるのが好ましく、60質量%以上、99.7質量%以下がより好ましく、70質量%以上、99.5質量%以下が更に好ましく、80質量%以上、99質量%以下が特に好ましい。水溶性低分子量有機溶媒としては、炭素数1〜3の1価アルコール、炭素数2〜6の多価アルコール、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、アルキレンカーボネート等とこれらの混合物が挙げられる。中でも、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールが好ましい。コスト、安全性等の点から、水が最も好ましく、蒸留水、脱イオン水、水道水等のいずれも使用できる。
【0042】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、(F)成分として、任意の香料を使用することができる。具体的には、『香料と調香の基礎知識』(中島基貴編著,産業図書株式会社,1995年6月21日初版)、『合成香料−化学と商品知識』(印藤元一著、化学工業日報社、2005年3月25日 増補改訂版)、『Perfume and Flavor Chemicals」(ステファン・アークテンダー著、自費出版、1969年)等に記載されている香料を使用することができる。特にスプレー時の香り立ち、及び基剤臭のマスキングの観点から、(F)成分は、(F1)成分として、リモネン、ジヒドロミルセノール、リナロール、リナリルアセテート、フェニルエチルアルコール、シトラール、ジヒドロジャスモン酸メチルを含有することが好ましい。また、残香性の観点から、(F2)成分として、フェニルへキサノール、アンバーコア、ヘキシルシンナミックアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、γ-ウンデカラクトン、エチレンブラシレート、シクロペンタデカノリドを含有することが好ましい。(F)成分は、(F1)成分と(F2)成分を含有することで、スプレー時の香り立ちと残香性のバランスが取れ、嗜好性の高い香りが得られる。
【0043】
なお本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、より詳しくはスプレー装置を用いて処理に供することで繊維製品に保形効果を付与する組成物、すなわちスプレー用繊維製品賦形剤組成物ともいうことができる。
【0044】
<スプレー容器>
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、LPG等の噴射剤を使用しない手動式のスプレー用処理剤として使用することに適している。スプレー容器は、該組成物を充填するための容器であって手動式スプレー装置を備えたものをいう。本発明でいう手動式スプレー装置とは噴射剤を使用せず、且つ手動の加圧によりスプレーすることができるものを指し、トリガー式又はポンプ式と呼ばれるものが挙げられる。本発明ではトリガー式が好ましく、特に実開平4−17855号公報、実開平4−37554号公報、特開平8−84945号公報及び特開平9−122547号公報記載の蓄圧機構を備えたトリガー式のスプレー装置が、液のボタ落ち防止やスプレー特性の点からより好ましい。
【0045】
一回の噴霧量は、好ましくは0.1g以上、1.2g以下、より好ましくは0.2g以上、1.0g以下、最も好ましくは0.25g以上、0.8g以下であり、さらには、繊維製品から15cm離れた場所から噴霧した時、一回の噴霧で繊維製品に該処理剤組成物が付着する面積が好ましくは50cm
2以上、800cm
2以下、より好ましくは100cm
2以上、600cm
2以下になるスプレー特性を有するものがよい。
【0046】
<処理方法>
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、衣料の保形効果を発現する観点から、衣料の質量に対して1質量%以上、100質量%以下となるように噴霧し、アイロンがけを行うことが好ましい。衣料の質量に対する噴霧量は、5質量%以上、95質量%以下がより好ましく、10質量%以上、90質量%以下が更に好ましい。アイロンがけの際の温度設定は、衣料の素材によって調節することが好ましく、衣料の素材が木綿や麻では高温(180〜210℃)、ポリエステルやレーヨン、キュプラ、ナイロン、毛、絹では中温(140〜160℃)、ポリプロピレンやアクリル、ポリウレタンでは低温(80〜120℃)で行うことが好ましい。
【0047】
本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、ワイシャツやブラウス等の布帛系衣料、ポロシャツやカットソー、Tシャツ等のカジュアル衣料に使用することができる。また、本発明のスプレー用繊維製品処理剤組成物は、低機械力での易洗性に優れるため、詰め込み洗い等の過酷な条件で洗濯される衣料の処理剤に適しており、更にドライコースや手洗いコースといった低機械力で洗濯されるデリケート衣料の処理剤としても適している。
【実施例】
【0048】
本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。まず、以下の合成例にしたがって各成分の合成を行った。
【0049】
[各成分の合成例]
<(A)成分の合成例>
【0050】
合成例1:(a−1)成分の合成
メタクリル酸300部、エタノール(純度99.5%、無変性)1,250部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.73部をこの順に混合して溶かし、65℃にて4時間攪拌した。得られた溶液を、室温で激しく攪拌しているアセトン20,000部に、1時間かけて滴下した。生成した白色沈殿を濾過によって採取し、10,600〜13,300Pa/60〜65℃で15時間減圧乾燥して白色粉末状ポリメタクリル酸245部を得た。GPCにて測定した重量平均分子量は1.9×10
5であった。測定条件は以下の通りである。
【0051】
カラム:東ソー(株)製 TSK GMPWXL 2本
溶離液:リン酸二水素カリウムを0.1mol/Lとリン酸水素二ナトリウムを1mol/Lとを含む水溶液と、アセトニトリルとの9:1の容量比混合物
検出器:示差屈折率計
流速:1.0mL/分
温度:40℃
標準:PEG(重量平均分子量9.20×10
5、5.10×10
5、2.50×10
5、9.50×10
4、4.60×10
4、3.90×10
4)
検体濃度:0.20g/100mL溶離液
検体溶液注入量:0.20mL
【0052】
合成例2:(a−2)成分の合成
2−プロパノール810部と水540部とを混合し、窒素雰囲気下で83℃に加熱して撹拌した。ここに、メタクリル酸443.7部の水810部溶液と、過硫酸ナトリウム98.16部の水530部溶液とを2時間掛けて滴下した。滴下中も撹拌液の内温を81〜83℃に保ち、滴下後は81〜83℃で5時間撹拌を続けた。その後大気圧下でさらに加熱して2−プロパノールを留出させ、蒸気温度が上昇しなくなる(101℃付近)まで留出を行ってから室温に戻し、ポリメタクリル酸を33%含む水溶液1,640部を得た。この一部を凍結乾燥して取り出したポリマーを用いて測定した重量平均分子量は2.1×10
4であった。重量平均分子量の測定方法は合成例1と同じである。
【0053】
合成例3:(a−3)成分の合成
イオン交換水366部と2−プロパノール548部との混合物を窒素雰囲気下で攪拌しながら81〜84℃に保っているところに、メタクリル酸250部とアクリル酸52.3部とイオン交換水548部とを混合した溶液と、過硫酸ナトリウム34.6部とイオン交換水223部とを混合した溶液とを、別々に同時に2時間掛けて滴下し、滴下終了後81〜84℃で5時間攪拌を続けた。その後、大気圧下のままで温度を上げて2−プロパノールを留出させ、蒸気温度が上昇しなくなるまで(101℃付近)留出を行った後に室温に戻し、メタクリル酸/アクリル酸コポリマー(80/20モル比)を23.4質量%の無色透明水溶液として得た。この一部を凍結乾燥して取り出したポリマーを用いて測定した重量平均分子量は1.7×10
4であった。重量平均分子量の測定条件は合成例1と同じである。
【0054】
合成例4:(a−4)成分の合成
メタクリル酸300部、エタノール(純度99.5%、無変性)830部、メタクリル酸エチル20.9部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.80部をこの順に混合して溶かし、65℃にて7時間攪拌し、室温に戻した。得られた溶液をエタノール(純度99.5%、無変性)1,200部で希釈し、室温で激しく攪拌しているアセトン20,000部に、1時間かけて滴下した。生成した白色沈殿を濾過によって採取し、10,600〜13,300Pa/60〜65℃で16時間減圧乾燥して白色粉末状メタクリル酸/メタクリル酸エチルコポリマー(95/5モル比)291部を得た。合成例1と同じ測定条件で求めた重量平均分子量は1.6×10
5であった。
【0055】
比較合成例1:(a’−1)成分の合成
メタクリル酸70部、アクリル酸234.4部、エタノール(純度99.5%、無変性)800部、イオン交換水700部及び過硫酸ナトリウム1.94部をこの順に混合して溶かし、75℃にて5時間攪拌した。その後、大気圧のままで温度を上げてエタノールを留出させ、蒸気温度が上昇しなくなるまで(101℃付近)留出を行った後に室温に戻し、メタクリル酸/アクリル酸コポリマー(20/80モル比)を35.2質量%の無色透明水溶液として858部得た。この一部を凍結乾燥して取り出したポリマーを用いて、合成例1と同じ測定条件で求めた重量平均分子量は1.8×10
5であった。
【0056】
比較合成例2:(a’−2)成分の合成
メタクリル酸100部、エタノール(純度99.5%、無変性)860部、メタクリル酸エチル198.9部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.44部をこの順に混合して溶かし、65℃にて7時間攪拌し、室温に戻した。得られた溶液をエタノール(純度99.5%、無変性)1200部で希釈し、室温で激しく攪拌している酢酸エチル24,000部に、1時間かけて滴下した。生成した白色沈殿を濾過によって採取し、10,600〜13,300Pa/60〜65℃で16時間減圧乾燥して白色粉末状メタクリル酸/メタクリル酸エチルコポリマー(40/60モル比)277部を得た。合成例1と同じ測定条件で求めた重量平均分子量は1.7×10
5であった。
【0057】
[実施例1〜11、比較例1〜9]
表1に示す配合量にしたがってスプレー用繊維製品処理剤組成物を調製した。表1の各組成物は、合計で100質量%となる。得られた組成物について、それぞれトリガー式スプレー容器(花王株式会社製、スムーザーの容器)に充填し、後述の評価方法に沿って、スプレー用繊維製品処理剤組成物の保形効果、低機械力での易洗性を評価した。結果を表1に示す。
【0058】
<(A)成分>
(a−1):上記合成例1で得られた化合物、ポリメタクリル酸(重量平均分子量190,000)
(a−2):上記合成例2で得られた化合物、ポリメタクリル酸(重量平均分子量21,000)
(a−3):上記合成例3で得られた化合物、メタクリル酸/アクリル酸共重合体(モル比80/20、重量平均分子量17,000)
(a−4):上記合成例4で得られた化合物、メタクリル酸/メタクリル酸エチル共重合体(モル比95/5、重量平均分子量160,000)
【0059】
<(A’)成分:(A)成分の比較化合物>
(a’−1):上記比較合成例1で得られた化合物、メタクリル酸/アクリル酸共重合体(モル比20/80、重量平均分子量180,000)
(a’−2):上記比較合成例2で得られた化合物、メタクリル酸/メタクリル酸エチル共重合体(モル比40/60、重量平均分子量170,000)
【0060】
<(B)成分>
(b−1):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS−35、東ソー(株)製)(重量平均分子量350,000)
【0061】
<(B’)成分:(B)成分の比較化合物>
(b’−1):ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(PS−5、東ソー(株)製)(重量平均分子量50,000)
【0062】
<(C)成分>
(c−1):炭素数12の直鎖第1級アルコールにオキシエチレン基(EO)を平均10モル付加させた非イオン性界面活性剤
(c−2):炭素数12の直鎖第1級アルコールにEOを平均8モル付加させた非イオン性界面活性剤
(c−3):炭素数12〜14の直鎖第2級アルコールにEOを平均6モル付加させた非イオン性界面活性剤
【0063】
<(C’)成分:(C)成分の比較化合物>
(c’−1):炭素数12〜14の第2級アルコールにEOを平均3モル付加させた非イオン性界面活性剤
【0064】
<任意成分>
<(D)成分>
(d−1):ジメチルシリコーンエマルション、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製、CF2238
<(E)成分>
(e−1):プロピレングリコール
<(F)成分>
(f−1):下記、表2記載の香料組成物(表中の数値は質量%を示す)
抗菌剤:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン液、アビシア(株)製、プロキセルBDN
pH調整剤:水酸化ナトリウム又は硫酸
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
<評価方法>
<試験布の準備>
木綿100%ブロード#60布(染色試材(株)谷頭商店より入手)2kgを市販の液体洗剤(花王(株)のアタックバイオジェル(登録商標)、2012年製)を用いて全自動洗濯機(日立製作所(株)製、NW−7FT)で5回繰り返し洗濯した(洗剤濃度0.083質量%、水道水(20℃)40L使用、標準コース、洗濯9分−すすぎ2回−脱水6分、浴比1/20)。
洗濯した木綿100%ブロード#60布を25℃/50%RHの環境下で12時間乾燥させて15×25cm角(長方向が縦糸と平行方向)に裁断し、試験布(X1)とした。
【0068】
<保形効果の評価>
表1に示すスプレー用繊維製品処理剤組成物をトリガー式スプレーヤーを用いて、試験布(X1)重量に対し100質量%になるように均一にスプレーし、家庭用アイロン(Panasonic(株)製、NI−CL606、温度設定:高温(木綿))を用いて30秒間アイロンがけ処理を行い、これを試験布(X2)とした。試験布(X2)を20℃/50%RHの恒温室にそれぞれ12時間以上放置し、調湿した後、カンチレバー法(JIS L1096)により剛軟度を測定した。保形効果は、剛軟度が90mm超であると優れており、120mm超であるとより優れている。また、剛軟度が90mm未満であるとやや劣っており、60mm未満であると特に劣っている。
【0069】
<易洗性の評価>
アルミバット(31×37×4cm、アズワン製)に水道水(水温20℃)500mLを入れ、その中に試験布(X2)2枚を静かに浸漬させ、10分間静置した。その後、試験布(X2)を水中から取り出した後、二層式洗濯機(東芝(株)製、VH−52G(H))の脱水槽の内壁に貼りつけ、2分間脱水し、これを試験布(X3)とした。試験布(X3)を20℃/50%RHの恒温室にそれぞれ12時間以上放置し、調湿した後、カンチレバー法(JIS L1096)により剛軟度を測定した。低機械力での易洗性は、剛軟度が50mm以下であると優れており、45mm以下であると特に優れている。