(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124712
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】FRP用セルロース織物
(51)【国際特許分類】
D03D 1/00 20060101AFI20170424BHJP
D03D 9/00 20060101ALI20170424BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
D03D1/00 A
D03D9/00
C08J5/24CER
C08J5/24CEZ
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-139948(P2013-139948)
(22)【出願日】2013年7月3日
(65)【公開番号】特開2015-14055(P2015-14055A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】592197315
【氏名又は名称】ユニチカトレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089152
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】三谷 健太郎
【審査官】
馳平 裕美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−27349(JP,A)
【文献】
特開2002−54270(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/052967(WO,A1)
【文献】
特開2006−138031(JP,A)
【文献】
特開2000−192351(JP,A)
【文献】
特開2008−13886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 1/00〜27/18
B29B 11/16,15/08〜15/14
C08J 5/04〜5/10,5/24
B29C 41/00〜41/36,41/46〜41/52,70/00〜70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経方向及び緯方向に、その径が0.3〜0.7mmである貫通孔が配列しているセルロース織物であり、
緯方向に隣り合う貫通孔の間には3本以上の経糸群が密接に重なり合って存在し、経方向に隣り合う貫通孔の間には3本以上の緯糸群が密接に重なり合って存在し、
貫通孔に接する経糸及び緯糸は、上下に交互に浮沈する組織で織成されており、
貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸は、経方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の緯糸は、緯方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されていることを特徴とするFRP用セルロース織物。
【請求項2】
経糸及び緯糸は、リヨセル繊維よりなる紡績糸である請求項1記載のFRP用セルロース織物。
【請求項3】
請求項1記載のFRP用セルロース織物に、硬化性樹脂を含浸して硬化させたFRP成型品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化プラスチック(FRP)を製造する際に用いるセルロース織物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、FRPはガラス繊維織物や炭素繊維織物に硬化性樹脂を含浸させて製造している。特に、ガラス繊維織物を用いたFRPは、強度に優れ安価であるため、種々の分野で多用されている。しかしながら、ガラス繊維織物を用いたFRPは、焼却によって廃棄する際に、焼却炉内でガラス繊維が溶融して固着し、焼却炉が毀損され、その寿命が短くなるという欠点があった。また、FRPを製造する際に、ガラス繊維が飛散して、作業者の皮膚に付着し、痛みやかゆみを生じさせるという欠点もあった。
【0003】
このため、ガラス繊維織物に代えて、セルロース織物を採用することが提案されている(特許文献1、特許請求の範囲)。特許文献1には、セルロース織物を構成するセルロース繊維として、有機系溶剤を用いて木質パルプを紡糸したセルロース繊維を用いることが記載されている(特許文献1、3頁3〜29行目)。そして、このセルロース繊維よりなる紡績糸を用いて、平織組織で織成した織物を採用することも記載されている(特許文献1、3頁30〜39行目)。
【0004】
特許文献1記載のFRPは、焼却によって廃棄する場合、セルロース織物は燃焼により二酸化炭素及び水蒸気となるから、焼却炉を毀損することはない。また、FRPの製造時に、セルロース繊維が飛散しても、ガラス繊維のような痛みやかゆみを生じさせない。したがって、ガラス繊維織物に代えて、セルロース織物を採用することが試みられている。しかしながら、セルロース平織物の場合には、ガラス繊維織物と同様の機械的強度等の物性を実現するためには、経糸及び緯糸密度を高くしなければならないということがあった。しかるに、平織物は、経糸及び緯糸が上下に交互に浮沈する組織であるから、経糸及び緯糸密度を高くするには限界があった。すなわち、平織物の場合、隣り合う経糸又は緯糸を重ねて織成することはできないから、経糸又は緯糸の太さによって、経糸密度及び緯糸密度が決定されてしまうのである。また、隣り合う経糸及び緯糸が密着するようにして織成し、限界まで高密度にすると、平織物に全く空隙がなく、硬化性樹脂を塗布した後に、硬化性樹脂内の気泡を脱泡することができないという欠点があった。
【0005】
【特許文献1】特許第3858040号公報(特許請求の範囲、3頁3〜39行目)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、経糸密度及び緯糸密度を高密度化しながら、なおかつ、硬化性樹脂の脱泡のための貫通孔を持つFRP用セルロース織物を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、FRP用セルロース織物を工夫された織組織で織成することにより、上記課題を解決したものである。すなわち、本発明は、経方向及び緯方向に、その径が0.3〜0.7mmである貫通孔が配列しているセルロース織物であり、緯方向に隣り合う貫通孔の間には3本以上の経糸群が密接に重なり合って存在し、経方向に隣り合う貫通孔の間には3本以上の緯糸群が密接に重なり合って存在し、貫通孔に接する経糸及び緯糸は、上下に交互に浮沈する組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸は、経方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の緯糸は、緯方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されていることを特徴とするFRP用セルロース織物に関するものである。
【0008】
本発明に係るセルロース織物は、経方向及び緯方向に、その径が0.3〜0.7mmである貫通孔が配列している。貫通孔が経方向及び緯方向に配列しているというのは、
図1に示す如き状態を示している。すなわち、貫通孔1(
図1で黒色の方形部位)が経方向に一定の間隔を置いて配列しており、緯方向にも一定の間隔を置いて配列していることを意味している。貫通孔1の径は、0.3〜0.7mmである。貫通孔1の径が0.3mm未満であると、塗布した硬化性樹脂の気泡を脱泡しにくくなるので、好ましくない。また、貫通孔1の径が0.7mm以上になると、セルロース織物の機械的強度等の物性が低下するので、好ましくない。貫通孔1の形状は方形や円形などの任意の形状となっているが、その径とは最長の長さ(最大径)のことを意味している。なお、この径を測定するには、たとえば、デジタルマイクロスコープVHX−1000(キーエンス社製)を用いれば、容易に行うことができる。
【0009】
本発明に係るセルロース織物は、以下のような織組織となっている。すなわち、緯方向に隣り合う貫通孔1の間には3本以上の経糸群が密接に重なり合って存在し、経方向に隣り合う貫通孔1の間には3本以上の緯糸群が密接に重なり合って存在し、貫通孔1に接する経糸及び緯糸は、上下に交互に浮沈する組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸は、経方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の緯糸は、緯方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されているものである。かかる織組織について、模式図である
図2に基づいて説明する。なお、
図2は単に織組織を説明するための模式図であって、経糸及び緯糸が重なり合わないようになっているなど、現実とは異なるものである。現実は、
図1に示す如く、経糸及び緯糸は密接に重なり合っている。
【0010】
緯方向に隣り合う貫通孔1a及び1bの間には、5本の経糸群2a,2x,2y,2z及び2aが存在する。
図2では、織組織を説明するため、経糸群2a,2x,2y,2z及び2aは重なり合っていないが、現実には、経糸2a及び2x、経糸2x及び2y、経糸2y及び2z、経糸2z及び2aは密接に重なり合って存在する。同様に、緯方向に隣り合う貫通孔1b及び1cの間にも、5本の経糸群2a,2x,2y,2z及び2aが存在する。さらに、貫通孔1d及び1e、貫通孔1e及び1fの間にも、5本の経糸群2a,2x,2y,2z及び2aが存在する。また、経方向に隣り合う貫通孔1a及び1dの間には、5本の緯糸群3a,3x,3y,3z及び3aが存在する。緯糸群3a,3x,3y,3z及び3aについても、現実には、緯糸3a及び3x、緯糸3x及び3y、緯糸3y及び3z、緯糸3z及び3aは密接に重なり合って存在する。また、貫通孔1b及び1e、貫通孔1c及び1fの間にも、5本の緯糸群3a,3x,3y,3z及び3aが存在する。
【0011】
ここで、貫通孔1aに接する経糸2aは、上下に交互に浮沈する組織で織成されている。すなわち、経糸2aは緯糸3aの上に浮き、次に緯糸3xの下に沈み、次に緯糸3yの上に浮き、次に緯糸3zの下に沈み、次に、緯糸3aの上に浮いた組織となっている。貫通孔1bに接する左側の経糸2aは、緯糸3aの上に浮き、緯糸3xの下に沈み、緯糸3yの上に浮き、緯糸3zの下に沈み、緯糸3aの上に浮いた組織となっている。貫通孔1bに接する右側の経糸2aは、緯糸3aの下に沈み、緯糸3xの上に浮き、緯糸3yの下に沈み、緯糸3zの上に浮き、緯糸3aの下に沈んだ組織となっている。また、貫通孔1aに接する緯糸3aも、上下に交互に浮沈する組織で織成されており、
図2の左側から、経糸2aの下に沈み、経糸2xの上に浮き、経糸2yの下に沈み、経糸2zの上に浮き、経糸2aの下に沈み、次いで貫通孔1bを隔てて、経糸2aの上に浮き、経糸2xの下に沈み、経糸2yの上に浮き、経糸2zの下に沈み、経糸2aの上に浮いた組織となっている。以上のように、貫孔孔1a,1b,1c,1d,1e及び1fに接する経糸2a及び緯糸3aは、上下に交互に浮沈する組織で織成されている。かかる組織は経糸2a及び緯糸3aがずれにくく、貫通孔1の形態を確実に保持しうるのである。
【0012】
貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸は、経方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の緯糸は、緯方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されている。これを具体的に説明すると、以下のとおりである。
図2において、貫通孔1a,1bに接しない経糸は、経糸2x,2y及び2zである。このうち、経糸2x及び2zは、貫通孔1a及び1dと貫通孔1b及び1e間において、緯糸3a,3x,3y,3z及び3aの下に沈んだままで全く浮沈のない組織となっている。また、貫通孔1b、1cに接しない経糸も、経糸2x,2y及び2zであり、このうち、経糸2x及び2zは、貫通孔1b及び1eと貫通孔1c及び1f間において、緯糸3a,3x,3y,3z及び3aの上に浮いたままで全く浮沈のない組織となっている。なお、
図2中では、経糸2yについては、上下に交互に浮沈する組織となっている。一方、貫通孔に接しない緯糸は、緯糸3x,3y及び3zであり、このうち、緯糸3x及び3zが、貫通孔1a及び1b間で、経糸2a,2x,2y,2z及び2aの上に浮いた組織となっており、貫通孔1b及び1c間では、経糸2a,2x,2y,2z及び2aの下に沈んだ組織となっている。なお、緯糸3yについては、上下に交互に浮沈する組織となっている。以上のとおり、貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸及び緯糸が、隣り合う貫通孔間で上に浮いたまま、又は下に沈んだままとなって浮沈しない組織となっているので、隣り合う経糸及び緯糸を密接に重なり合って織成することが可能となる。したがって、セルロース織物の経糸密度及び緯糸密度を高くすることができ、セルロース織物を機械的強度を高くすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るセルロース織物は、その組織によって、経方向及び緯方向に配列している貫通孔の形態を確実に保持することができるので、塗布した硬化性樹脂の気泡を、この貫通孔から脱泡することができ、得られるFRP中に気泡が残存しにくくなるという効果を奏する。また、本発明に係るセルロース織物は、その組織によって、経糸密度及び緯糸密度を高密度化できるので、セルロース織物自体の機械的強度等の物性が良好となる。以上の結果、セルロース織物を使用しているにも拘わらず、得られるFRPの曲げ強度や曲げ弾性率も高くなるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明で用いる経糸及び緯糸としては、任意のセルロース糸が用いられる。特に、公知のリヨセル繊維よりなる紡績糸を用いるのが好ましい。リヨセル繊維は、有機系溶剤を用いてユーカリから得られたパルプを紡糸した得られたものであり、機械的強度に優れているからである。紡績糸の番手(太さ)も任意であるが、10〜40番手程度が好ましい。40番手を超えると紡績糸の強度が低下する傾向が生じ、10番手未満であると平坦な織物を織成しにくい傾向となる。また、紡績糸の撚係数は、2.2〜4.0程度であるのが好ましい。撚係数が2.2未満であると紡績糸の強度が低下する傾向が生じ、4.0を超えると紡績糸に撚り縮みが生じ平坦な織物を織成しにくい傾向となる。なお、撚係数とは、以下の式で算出されるものである。すなわち、K=T/N
1/2(ここで、Kは撚係数であり、Tは1インチ長さにおける撚数であり、Nは紡績糸の番手である。)である。
【0015】
本発明に係るセルロース織物を織成するときの組織は、たとえば、
図2に示した組織であってもよいし、
図3に示した組織であってもよい。
図3に示した組織は意匠図であって、貫通孔が形成される箇所が分かりにくくなっているが、
図3中に丸印で示した箇所に貫通孔が形成されるものである。
図2及び
図3に示した組織以外にも種々の組織を採用しうる。すなわち、緯方向に隣り合う貫通孔の間に3本以上の経糸群が密接に重なり合って存在し、経方向に隣り合う貫通孔の間にも3本以上の緯糸群が密接に重なり合って存在し、貫通孔に接する経糸及び緯糸が、上下に交互に浮沈する組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の経糸は、経方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されており、貫通孔に接しない少なくとも1本の緯糸は、緯方向に隣り合う貫通孔間で上下に浮沈しない組織で織成されていれば、その他の組織であっても差し支えない。
【0016】
本発明に係るセルロース織物の引張強さは500N以上であるのが好ましい。また、経方向と緯方向における引張強さは同程度が好ましく、具体的には、両者の比が0.8〜1.2の範囲であるのが好ましい。引張強さが500N未満になると、機械的強度等の物性が低下する傾向が生じる。また、経方向と緯方向における引張強さの比が0.8未満であったり1.2を超えると、得られるFRPにも経方向と緯方向で強度差が大きくなる傾向が生じる。なお、セルロース織物の引張強さは、JIS L 1096に記載の方法に準拠した測定したものである。
【0017】
FRPを製造する際に用いる樹脂は、従来公知の各種樹脂を用いることができる。たとえば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いることができる。一般的には、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂が用いられる。硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、一般的には不飽和ポリエステル樹脂が用いられる。
【0018】
本発明に係るセルロース織物に樹脂を塗布する方法も、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法又はSMCプレス法等の従来公知の方法を採用することができる。特に、本発明に係るセルロース織物の場合、セルロース織物に樹脂を塗布し、脱泡しながら、セルロース織物と樹脂を多重に積層するハンドレイアップ法やスプレーアップ法を採用するのが好ましい。
【実施例】
【0019】
実施例1
(経糸及び緯糸の準備)
平均単糸直径が11μmで平均繊維長が38mmのリヨセル繊維(レンチング社製)を用い、混打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡の通常の紡績工程で、撚係数3.6で30番手の紡績糸を得た。この紡績糸を経糸及び緯糸とした。
(セルロース織物の製織)
エアージェットZA(津田駒工業社製のエアージェット織機)を用い、上記した経糸及び緯糸で、
図3の意匠図に示した組織で、経糸密度90本/インチ、緯糸密度90本/インチのセルロース織物を得た。このセルロース織物には、
図3の丸印を付した箇所に、0.68mm径の貫通孔が設けられていた。なお、このセルロース織物の目付は170g/m
2で、経方向の引張強さは990Nで緯方向の引張強さは940Nであった。
(FRPの製造)
上記したセルロース織物を三層にすると共に、硬化性樹脂としてユピカ4505(日本ユピカ社製の不飽和ポリエステル樹脂)を用いて、ハンドレイアップ法にて脱泡しながら、300mm×300mmの大きさのFRP成型板を得た。このFRP成型板中におけるセルロース織物と硬化樹脂の質量割合は、セルロース織物:硬化樹脂=38:62であった。このFRP成型板の曲げ強度は170MPaであり、曲げ弾性率は6.3GPaであった。なお、曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K 6911に記載の方法に準拠して測定した。
【0020】
実施例2
(経糸及び緯糸の準備)
平均単糸直径が13.8μmで平均繊維長が30mmのリヨセル繊維(レンチング社製)を用い、混打綿、梳綿、練条、粗紡、精紡の通常の紡績工程で、撚係数3.8で15番手の紡績糸を得た。この紡績糸を経糸及び緯糸とした。
(セルロース織物の製織)
エアージェットZA(津田駒工業社製のエアージェット織機)を用い、上記した経糸及び緯糸で、
図3の意匠図に示した組織で、経糸密度76本/インチ、緯糸密度76本/インチのセルロース織物を得た。このセルロース織物には、
図3の丸印を付した箇所に、0.65mm径の貫通孔が設けられていた。なお、このセルロース織物の目付は220g/m
2で、経方向の引張強さは1530Nで緯方向の引張強さは1390Nであった。
(FRPの製造)
実施例1の場合と同一の方法で、300mm×300mmの大きさのFRP成型板を得た。このFRP成型板中におけるセルロース織物と硬化樹脂の質量割合は、セルロース織物:硬化樹脂=40:60であった。このFRP成型板の曲げ強度は185MPaであり、曲げ弾性率は6.7GPaであった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一例に係るセルロース織物表面の写真である。
【
図2】本発明の一例に係るセルロース織物の組織を示す模式図である。
【
図3】本発明の一例に係るセルロース織物の織成する際に用いる意匠図である。
【符号の説明】
【0022】
1,1a,1b,1c,1d,1e,1f 貫通孔
2a,2x,2y,2z 経糸
3a,3x,3y,3z 緯糸