【課題を解決するための手段】
【0015】
これを達成するために、本発明の目的は、リチウム電気化学発電機用のデバイスであり、このデバイスは、少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られたストリップと、ストリップ内に収容され、両面が平らな集電体を形成する1つの金属格子または1つの隆起金属シートとを含み、ストリップの周辺は格子または隆起シートを全く有さず、格子または隆起シートの2つの平らな部分の少なくとも一方はリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0016】
これらの両面における「平らな(flush)」は、この場合また本発明の文脈で、少なくともシートまたは金属格子の一部分がストリップの表面において出る(emerge)こと、および、シートまたは格子をストリップ全体を通して形成する材料の材料連続性によって電気伝導の連続性が存在することを意味すると理解される。
【0017】
本発明によれば、シール手段は、したがってある方法で、その機能が集電体である部分の中に組み込まれる。換言すれば、電池の新規な半製品が、ある方法で規定され、その半製品は、同時に、
- 集電体であって、2極性であると、隣接する1つの電気化学セル、すなわち、真下または真上に積み重ねられた電気化学セルのカソードとアノードとの間で電気伝導を提供する、集電体と、
- もっぱら電気絶縁材料から作られた周辺領域であって、組み立てられると、電池の電解質に対するシールを生成することに寄与する、周辺領域と
を組み込む。本発明の文脈で、2極電池の動作温度範囲内でクリープしない1つまたは複数の絶縁材料(ポリマー)を規定するように当業者が配慮することは自明である。
【0018】
本発明によるデバイスは、厚さを10μmから100μmの間、好ましくは25μmから50μmの間とすることができる。
【0019】
本発明によるデバイスは、周辺に取り付けられる、先に規定した格子またはシートが全くない領域に関して、多角形形状の断面たとえば長方形または正方形などの任意の幾何学的形態を有することができる。
【0020】
長さが、40cmから70cmの間、典型的には50cm程度であり、幅が、10cmから25cmの間、典型的には15cm程度である平面寸法を想定することが可能である。本発明によるシートまたは格子が全くない周辺領域は、有利には、幅が1mmから10cmの間、より詳細には3mmから12mmの間、典型的には5mm程度であるフレームを形成しうる。本発明によるシートまたは格子を全く持たない周辺領域は、デバイスの総面積の25%未満、好ましくは20%未満、さらにより好ましくは15%未満の領域を示しうる。
【0021】
本発明による、提案される混合集電体/周辺シール領域半製品は、今までに提案されたものに関する技術的な進歩であり、集電体をプレートの形態で常に生産することにあり、また、シールデバイスをプレートに付着させることからなる。したがって、本発明によるデバイスは、漏洩防止自体が簡略化され、(集電体としてのプレートの除去によって)かなりの質量利得がもたらされ、したがって、かなりの効率の改善が達成されることを可能にする。実際には、等しい質量に基づくと、本発明による電池のエネルギー密度はより大きく、したがって、性能の改善が、前記電池について得られる。さらに、電池のシーリングが改善されるため、電池は、より効率的である。
【0022】
一変形形態によれば、ストリップを構成する大多数のポリマーはポリオレフィンである。
【0023】
ストリップは、少なくとも1つの他のポリマーを含むことができ、前記他のポリマーは、ポリオレフィンと集電体との間に挿入されて、ポリオレフィンと集電体との間の付着を改善する。
【0024】
別の変形形態によれば、他のポリマーは、ポリエステルまたはポリウレタンの中から選択されうる。
【0025】
ストリップはまた、少なくとも1つの固着促進剤を含むことができ、前記固着促進剤は、ポリオレフィンと集電体との間に挿入されて、ポリオレフィンと集電体との間の付着を改善する。
【0026】
ストリップを構成する大多数のポリマーはまた、2成分樹脂、好ましくはアクリル樹脂とすることができる。実際には、アクリル樹脂は、炭酸電解質との接触状態で優れた機械的特性を有する。
【0027】
一変形形態によれば、ポリマーは、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)熱可塑性プラスチックの中から選択されうる。
【0028】
選択されるリチウムインサーション電極材料のタイプに応じて、格子または金属隆起シートによって形成される集電体は、アルミニウムで作られるか、または、別の金属の表面に電気メッキされうる。集電体は、たとえば、銅の上に重ねられたアルミニウムで作られうる。
【0029】
金属格子は、規則的なメッシュを有しうる。
【0030】
集電体は、好ましくは、絶縁体材料で作られたストリップにセンタリングされたフレームとして形作られる。
【0031】
デバイスの集電体が2極性であることを意図されるとき、格子または隆起シートの両方の平らな部分は、リチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0032】
「リチウムインサーション材料で作られた電極」は、ここで、また、本発明の文脈で、少なくとも1つのリチウムインサーション材料および少なくとも1つのポリマーバインダーを含む電極を意味すると理解される。電極は、場合により、さらに、電子導体、たとえばカーボンファイバまたはカーボンブラックを含みうる。
【0033】
具体的には、正電極用の「リチウムインサーション材料(lithium insertion material)」は、ここでまた本発明の文脈で、スピネル型構造を有するマンガンを含むリチウム化酸化物、層状構造を有するリチウム化酸化物、およびこれらの後者の構造のブレンドを有するリチウム化酸化物、ならびに式LiM
y(XO
z)
nのポリアニオン構造を有するリチウム化酸化物の中から選択される材料であると理解される。式中、M、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、およびMoの中から選択される元素を表し、Xは、P、Si、Ge、S、およびAsの中から選択される元素を表し、y、z、およびnは、正整数である。
【0034】
具体的には、負電極用の「リチウムインサーション材料」はまた、酸化チタン(リチウム化または非リチウム化)、たとえばLi4Ti5O12またはTiO2の中から選択される材料を意味すると理解される。
【0035】
より具体的には、負電極材料は、炭素質材料、非リチウム化酸化チタン、およびそれらの誘導体、ならびにLi4Ti5O12などのリチウム化酸化チタン、およびそれらの誘導体、ならびに後者のブレンドから選択されうる。
【0036】
「リチウム化誘導体(lithiated derivatives)」は、ここでまた本発明の文脈で、式Li
(4-x1)M
x1Ti
5O
12およびLi
4Ti
(5-y1)N
y1O
12の化合物を意味すると理解される。式中、x1およびy1は、それぞれ0と0.2との間であり、MおよびNは、それぞれ、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、およびMoから選択される化学元素である。
【0037】
「非リチウム化誘導体(non-lithiated derivatives)」は、ここでまた本発明の文脈で、Ti
(5-y1)N
y1O
12を意味すると理解される。式中、式中、y1は0と0.2との間であり、Nは、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、およびMoから選択される化学元素である。
【0038】
デバイスの集電体が単極性であることを意図されるとき、格子または隆起シートの平らな部分の1つの平らな部分は、リチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0039】
本発明はまた、順に積み重ねられた少なくとも2つの電気化学セルと、上述した少なくとも1つのデバイスとを含む2極電池に関しており、両方の平らな部分はそれぞれ、電極で覆われ、集電体の2つの平らな部分の一方は、2つのセルの一方のリチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われ、集電体の2つの平らな部分の他方は、2つのセルの他方のリチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、少なくとも1つのポリマーで作られたストリップの周辺は、2つのセルの電解質に対してシールされ、これらの電解質を囲む壁の周辺領域を構成する。
【0040】
こうした電池はまた、有利には、上述した少なくとも1つのデバイスを含み、平らな部分の1つの部分は電極によって覆われ、電極によって覆われない2つの平らな部分の他方は、末端集電体と接触状態にある。
【0041】
集電体の寸法は、全ての電極の寸法にほぼ等しいように選択される。
【0042】
好ましくは、アノードはLi
4Ti
5O
12で作られ、カソードはLiFePO4で作られる。
【0043】
最後に、本発明は、順に積み重ねられた少なくとも2つの電気化学セルを含む2極電池を生産するための方法に関し、方法は、
a/ 両方の平らな部分がリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる上述したデバイス、および、2つのデバイスであって、2つのデバイスの平らな部分の1つの部分がリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる、2つのデバイスを生産するステップであって、それにより、
- 上述した2つのデバイスの一方の集電体の平らな部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われ、
- 上述した2つのデバイスの他方の集電体の平らな部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、
- 上述したデバイスの集電体の平らな部分の一方はリチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、一方、上述したデバイスの集電体の平らな部分の他方はリチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われる、
生産するステップと、
b/ 3つのデバイスを、2つの隣接するデバイス間にセパレータを挟むことによって積み重ねるステップであって、
- 上述した2つのデバイスの一方のアノードが、上述したデバイスのカソードに向き、デバイスが、第1のセパレータによって分離され、
- 上述した2つのデバイスの他方のカソードが、上述したデバイスのアノードに向き、デバイスが、第2のセパレータによって分離されるように達成される、
積み重ねるステップと、
c/ デバイスの3つのストリップの周辺を、互いに押し付けるステップであって、セパレータはそれぞれ、電解質を含浸される、押し付けるステップと、
d/ 3つのストリップを互いに押し付けたまま維持するステップであって、それにより、2つのセルの電解質に対してシールされ、当該セルを囲む壁を構成する、維持するステップと
を含む。
【0044】
「セパレータ(separator)」は、ここで、また本発明の文脈で、少なくとも1つのポリマー材料、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエキシエチレン(POE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはセルロースなどのポリオレフィンの中から選択されるポリマーによって形成される電気絶縁体とイオン導体を意味すると理解される。
【0045】
本発明による電解質は、炭酸塩(carbonate)と少なくとも1つのリチウム塩のブレンドによって形成される液体とすることができる。「リチウム塩(lithium salt)」は、好ましくは、LiPF6、LiClO4、LiBF4、およびLiAsF6の中から選択される塩を意味すると理解される。
【0046】
あるいは、電解質は、リチウムイオンを有する1つまたは複数のイオン液体、すなわち、その1つの特性が周囲温度で液体状態にあるということである、無機または有機アニオンと複合体を形成した、リチウムカチオンからなる塩を含みうる。イオン液体は、アニオンの性質に応じて、親水性または疎水性となりうる。
【0047】
イオン液体の例として、疎水性アニオン、たとえば、トリフルオロメタンスルホネート(CF
3SO
3)、ビス(トリフルオロメタンスルホネート)イミド[(CF
3SO
2)
3N]、およびトリス(トリフルオロメタンスルホネート)メチド[(CF
3SO
2)
3C]を有するイオン液体を挙げることができる。
【0048】
電解質によってセパレータを含浸させるステップに関して、積み重ねる前にそうすること、すなわち、設置される(挟む)ときに電解質によってセパレータを含浸させること、または、ステップb/による積重ねが終了した後にそうすることが想定されうる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、両面に電極を含むいくつかのデバイスは、本発明による2極電池内のn(nは正整数)個の電気化学セルを作製するために使用されうる。正整数nは、たとえば13に等しいとすることができ、それは、それぞれが両面に電極を有する本発明による12に等しい数のデバイスを製造することを意味する。換言すれば、互いの上に個々に積み重ねられたn個の電気化学セルを含む2極電池は、それぞれが両面に電極を有する(n-1)個のデバイス、および、それぞれが一方の面に単一電極を有する積重体の端部の2つのデバイスを用いて、上述したステップa/〜d/を遂行することによって製造されうる。
【0050】
ステップc/およびd/は、2つの代替法、すなわち、
- 2極電池の剛性パッケージングの設置によって、
- または、電気絶縁体材料で作られたストリップの周辺部分の周りのU状あご部(jaw)を使用してヒートシール(heat-seal)することによって
有利にかつ簡単に達成されうる。
【0051】
デバイスの少なくとも一方の平らな部分の一方の上に少なくとも1つの電極を堆積させることは、慣例の印刷技法、たとえば、スクリーン印刷、ヘリオグラフィ、フレキソグラフィ、スプレーイングなどによって達成されうる。
【0052】
格子または隆起シートの形態の本発明による集電体の電気伝導は、狭い光子または隆起メッシュを使用することによって、あるいは、格子または隆起シートを表面電気メッキすることによって改善されうる。
【0053】
他の利点および特徴は、以下の図を参照して行われる、例証のために提供される詳細な説明を読むとより明確にわかるであろう。