特許第6124788号(P6124788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6124788組込み式シール手段を有する集電体およびそのような集電体を含む2極電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124788
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】組込み式シール手段を有する集電体およびそのような集電体を含む2極電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20170424BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20170424BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20170424BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20170424BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170424BHJP
   H01M 4/72 20060101ALI20170424BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20170424BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M4/13
   H01M4/66 A
   H01M4/485
   H01M4/58
   H01M4/72 A
   H01M10/0525
【請求項の数】15
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-514701(P2013-514701)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公表番号】特表2013-532362(P2013-532362A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011059943
(87)【国際公開番号】WO2011157751
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】1054773
(32)【優先日】2010年6月16日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マリアンヌ・シャミ
【審査官】 松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−185813(JP,A)
【文献】 特表2006−512722(JP,A)
【文献】 特開2008−084851(JP,A)
【文献】 特開2008−140638(JP,A)
【文献】 特開2000−243383(JP,A)
【文献】 特開2010−123565(JP,A)
【文献】 特開2004−253142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04−0587
H01M 4/02−84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に積み重ねられた少なくともつの電気化学セル(C1、C2)を有するバイポーラ電池であって、
少なくともつのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られたストリップ(100)と、前記ストリップ(100)内に収容された集電体を構成する1つの金属格子(101)とを含み、前記金属格子(101)の一部分が前記ストリップ(100)の両面から表面にでており、かつ、前記金属格子(101)は前記ストリップ(100)全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記ストリップ(100)の周辺(100P)前記金属格子(101)を全く有さず、また、前記金属格子(101)前記ストリップ(100)の両面から表面にでている部分(101A)は、それぞれ、リチウムインサーション材料で作られたカソードまたはアノード(11、12)で覆われたバイポーラ電極(1)と、
少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られた第2のストリップと、前記第2のストリップ内に収容された集電体を構成する1つの第2の金属格子とを含み、前記第2の金属格子の一部分が前記第2のストリップの両面から表面にでており、かつ、前記第2の金属格子は前記第2のストリップ全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記第2のストリップの周辺は前記第2の金属格子を全く有さず、また、前記第2の金属格子の前記第2のストリップの両面から表面にでている部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたカソード(11’)で覆われたモノポーラ電極(1’)と、
少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られた第3のストリップと、前記第3のストリップ内に収容された集電体を構成する1つの第3の金属格子とを含み、前記第3の金属格子の一部分が前記第3のストリップの両面から表面にでており、かつ、前記第3の金属格子は前記第3のストリップ全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記第3のストリップの周辺は前記第3の金属格子を全く有さず、また、前記第3の金属格子の前記第3のストリップの両面から表面にでている部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたアノード(12’’)で覆われたモノポーラ電極(1’’)と、
を含んだ前記バイポーラ電池であって、
前記バイポーラ電極の前記カソード(11)は、前記つの電気化学セル(C1、C2)の一方の電気化学セル(C1)の前記モノポーラ電極(1’’)の前記アノード(12’’)によって、前記電気化学セル(C1)の電解質を介して、覆われており、前記バイポーラ電極の前記アノード(12)は、前記つの電気化学セル(C1、C2)の他方の電気化学セル(C2)の前記モノポーラ電極(1’)の前記カソード(11’)によって前記電気化学セル(C2)の電解質を介して覆われており
前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップ前記各周辺同士が直接、接合されることにより、前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップ前記各周辺は、前記つの電気化学セル(C1、C2)前記電解質に対してシールされ、当該電解質を囲む領域を構成している、バイポーラ電池。
【請求項2】
前記バイポーラ電極(1)のアノード(12)、及び、前記モノポーラ電極(1’’)のアノード(12’’)は、LiTi12で作られ、前記バイポーラ電極(1)のカソード(11)、及び、前記モノポーラ電極(1’)のカソード(11’)はLiFePOで作られる請求項に記載のバイポーラ電池。
【請求項3】
前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップを構成するポリマーはポリオレフィンを含む請求項1又は2に記載のバイポーラ電池。
【請求項4】
前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップは、前記ポリオレフィンとは異なる少なくともつの他のポリマーを含み、前記ポリオレフィンと前記集電体との間の付着を改善する請求項に記載のバイポーラ電池。
【請求項5】
前記他のポリマーは、ポリエステルまたはポリウレタンの中から選択される請求項に記載のバイポーラ電池。
【請求項6】
前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップは、少なくとも1つの固着促進剤を含み、前記ポリオレフィンと前記集電体との間の付着を改善する請求項に記載のバイポーラ電池。
【請求項7】
前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップを構成するポリマーは共重合体を含む請求項1又は2に記載のバイポーラ電池。
【請求項8】
前記集電体は、アルミニウムで作られる請求項1から7のいずれか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項9】
前記金属格子、前記第2の金属格子、及び、前記第3の金属格子は、規則的なメッシュを有する請求項1から8のいずれか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項10】
前記集電体は、絶縁体材料で作られた前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、及び、前記第3のストリップの中央に配置されている請求項1からのいずれか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項11】
順に積み重ねられた少なくともつの電気化学セル(C1、C2)を含むバイポーラ電池を生産するための方法であって、
a/ 少なくともつのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られたストリップ(100)と、前記ストリップ内(100)に収容された集電体を構成する1つの金属格子(101)とを含み、前記金属格子(101)の一部分が前記ストリップ(100)の両面から表面にでており、かつ、前記金属格子(101)は前記ストリップ(100)全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記ストリップ(100)の周辺(100P)前記金属格子(101)を全く有さず、また、前記金属格子(101)の前記ストリップ(100)の両面から表面にでている部分(101A)は、それぞれ、リチウムインサーション材料で作られたカソードまたはアノード(11、12)で覆われたバイポーラ電極(1)と、
少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られた第2のストリップと、前記第2のストリップ内に収容された集電体を構成する1つの第2の金属格子とを含み、前記第2の金属格子の一部分が前記第2のストリップの両面から表面にでており、かつ、前記第2の金属格子は前記第2のストリップ全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記第2のストリップの周辺は前記第2の金属格子を全く有さず、また、前記第2の金属格子の前記第2のストリップの両面から表面にでている部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたカソード(11’)で覆われたモノポーラ電極(1’)と、
少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られた第3のストリップと、前記第3のストリップ内に収容された集電体を構成する1つの第3の金属格子とを含み、前記第3の金属格子の一部分が前記第3のストリップの両面から表面にでており、かつ、前記第3の金属格子は前記第3のストリップ全体をとおして電気伝導性の連続性を有しており、
平面視において、前記第3のストリップの周辺は前記第3の金属格子を全く有さず、また、前記第3の金属格子の前記第3のストリップの両面から表面にでている部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたアノード(12’’)で覆われたモノポーラ電極(1’’)と、を生産するステップと、
b/ 前記バイポーラ電極(1)、前記カソード(11’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’)、及び、前記アノード(12’’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’’)を、つの隣接する前記バイポーラ電極(1)、前記カソード(11’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’)、または、前記アノード(12’’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’’)間にセパレータ(3)を挟むことによって積み重ねるステップであって、
− 前記2つのモノポーラ電極(1’、1’’)の一方(1’’)の前記アノード(12’’)が、前記バイポーラ電極(1)の前記カソード(11)に向き、前記アノード(12’’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’’)と前記バイポーラ電極(1)とが、第のセパレータ(3)によって分離され、
− 前記2つのモノポーラ電極(1’、1’’)の他方(1’)の前記カソード(11’)が、前記バイポーラ電極(1)の前記アノード(12)に向き、前記カソード(11’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’)と前記バイポーラ電極(1)とが、第のセパレータによって分離されるように達成される、
積み重ねるステップと、
c/ 前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、前記第3のストリップの周辺を、互いに押し付けるステップであって、前記第1のセパレータ(3)及び第2のセパレータは、それぞれ、電解質含浸されている、押し付けるステップと、
d/ つの前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、前記第3のストリップを互いに押し付けたまま維持するステップであって、それにより、前記つの電気化学セル(C1、C2)の電解質に対してシールされ、当該電気化学セル(C1、C2)を囲む壁を構成する、維持するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記バイポーラ電池は、互いの電気化学セルの上に個々に積み重ねられ、全体としてn個の電気化学セルを含んでおり、ステップb/において、前記カソード(11’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’)と前記アノード(12’’)で覆われた前記モノポーラ電極(1’’)との間に、前記バイポーラ電極(1)を、セパレータによって分離されるように(n−1)個積み重ねることにより、前記n個の電気化学セルが達成されており、前記nは2以上の整数である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップc/およびd/は、前記バイポーラ電池の剛性パッケージング(4)の設置によって達成される請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
ステップc/およびd/は、電気絶縁体材料で作られた前記ストリップ(100)、前記第2のストリップ、前記第3のストリップの周辺部分の周りの状あご部(5)を使用してヒートシールすることによって達成される請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記バイポーラ電極(1)のカソード及びアノード(11、12)、前記モノポーラ電極(1’)のカソード(11’)、および、前記モノポーラ電極(1’’)のアノード(12’’)を堆積させることは、印刷技法によって達成される請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電極内へのリチウムの、挿入または脱離、あるいは換言すれば、インターカレーション-デインターカレーションの原理に従って動作するリチウム電気化学発電機の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、2極電池とも呼ばれる、2極機能を有する少なくとも1つの集電体を含むリチウム電気化学蓄電池に関する。こうした2極電池では、2極集電体は、2極集電体の対向する面の各面に、反対の符号を有する電極材料の一方を支持する、すなわち、カソード(正電極)は面の一方によって支持され、アノード(負電極)は、対向する面の他方によって支持される。
【0003】
本発明の目的は、電解質に接する電気化学発電機のシーリングを改善すること、特に、液体形態の電解質に接する2極電池のシーリングを改善することである。
【背景技術】
【0004】
従来のリチウムイオン電池のアーキテクチャは、1つのアノード、1つのカソード、および電解質を含む単一の電気化学セルを有するため、単極であるとみなされうるアーキテクチャである。いくつかのタイプの単極アーキテクチャ幾何形状、
- 米国特許出願公開第2006/0121348号に開示される幾何形状などの円柱幾何形状、
- 米国特許第7348098号、米国特許第7338733号に開示される幾何形状などの角柱幾何形状、
- 米国特許出願公開2008/060189号、米国特許出願公開2008/0057392号、および米国特許第7335448号に開示される幾何形状などの積重体ベースの幾何形状
が知られている。
【0005】
単極アーキテクチャは、巻線によって達成される。巻線は、正電極(カソード)材料がその上に連続して堆積される集電体と、別の集電体上にそれ自体が堆積される、負電極(アノード)材料内で挟まれるポリマーまたはセラミック材料で作られたセパレータとからなる。この単極アーキテクチャの主要な利点は、このアーキテクチャが、材料の大きな活性領域を有するが、電位差が、使用される2つの電極材料間の電位差のユニタリ値に制限されることである。積重体ベースの幾何形状の場合もそうである。
【0006】
相当のエネルギー密度を維持しながら、単極Liイオン蓄電池の平均電位を増加させるために、複数の電気化学セルを直列にした電池を生産することが知られている。そのため、電池のアーキテクチャは、それ自体が2極電極であるとみなされるプレートの形態の同じ集電体によって支持される、1つのセルのカソードおよび隣接するセルのアノードを含むため、2極であるとみなされる。そのため、2極電池のアーキテクチャは、2極電極または集電体を通したいくつかの単極蓄電池の直接接続である。しかし、2極電池のアーキテクチャは、外部コネクタによって直列に接続される単極蓄電池と比較して低い電気抵抗を有するという利点を持つ。こうした2極電池に関する多くの特許出願または特許、たとえば米国特許出願第7279248号、米国特許出願第7220516号、米国特許出願第7320846号、米国特許出願第7163765号、国際公開第03/047031号パンフレット、国際公開第2006/061696号パンフレット、および米国特許出願第7097937号をこれに関連して挙げることができる。
【0007】
2極電池の引き続く利点は、2極電池が、低い質量を有すること、および、過剰な容積を含まないことである。
【0008】
2極電池の主要な設計の難しさは、一般に液体形態の電解質に対して、互いから完全にシールされるコンパートメントを生産することである。実際には、不十分なシーリングは、2極電池を故障させる。
【0009】
このことは、2極Liイオン電池の分野に関連する特許文献のほとんどが、1つのコンパートメントから別のコンパートメントへの電解質の漏洩(イオン短絡)を防止するためのシール解決策に関する事実によってさらに確証される。
【0010】
上述した特許出願または特許のうち、2極集電体の周辺に接着された柔軟接着膜5、6を用いた解決策を記載する米国特許第7220516号を挙げることができる。集電体4および電解質6に樹脂10をコーティングすることを含む解決策を記載する米国特許第7320846号も挙げることができる。2極集電体の間に配列された、ポリアミド/PP(ポリアミドは、セルから一定の距離で集電体の周辺に直接塗られる)で作られた混合ストラット9を用いたシール解決策を記載する特許米国特許第7163765号もまた挙げることができる。一方で、米国特許第7097937号は、2重シール解決策を提案しており、その理由は、フルオロポリマーで作られた内部バリア14、22が、2極集電体11の周辺に取り付けられ、エラストマーで作られた外部フレーム18、23が、2極集電体11上でかつ2極集電体11の周りでバリア14、22の外側に取り付けられるからであり、場合により、エラストマーで作られた追加のリング15が2極集電体11に取り付けられる。最後に、欧州特許出願第2073300号が、本出願人の名前のもとに挙げられ、この特許出願は、プレートの寸法が、プレートに隣接するものに対して増加され、相互接続するプレート間に挿入されるシールデバイスが、2つのシールがセルの積重軸において互いに一直線に位置しないように、横方向にオフセットされる解決策を提案する。
【0011】
したがって、Liイオン2極電池において電解質に接したコンパートメントの相互シーリングを改善するための先に想定された解決策は、次の通りに要約されうる。
- プレートの形態での、2極電極とも呼ばれる2極集電体のシステム的生産、
- プレートの周辺での種々の接着剤または樹脂の使用、
- 電解質に対するさらなるバリアを生成するための2極集電体プレートフォーマットの増加。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0121348号
【特許文献2】米国特許第7348098号
【特許文献3】米国特許第7338733号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/060189号
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0057392号
【特許文献6】米国特許第7335448号
【特許文献7】米国特許第7279248号
【特許文献8】米国特許第7220516号
【特許文献9】米国特許第7320846号
【特許文献10】米国特許第7163765号
【特許文献11】国際公開第03/047031号パンフレット
【特許文献12】国際公開第2006/061696号パンフレット
【特許文献13】米国特許第7097937号
【特許文献14】欧州特許出願第2073300号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、Liイオン2極電池において電解質に対するコンパートメント相互間のシーリングを改善するために先に想定された解決策と異なる解決策を提案することである。
【0014】
本発明の別の目的は、生産するのが簡単であるLiイオン2極電池において電解質に対してコンパートメント相互間でシールするための別の解決策を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
これを達成するために、本発明の目的は、リチウム電気化学発電機用のデバイスであり、このデバイスは、少なくとも1つのポリマーを含む電気絶縁体材料で作られたストリップと、ストリップ内に収容され、両面が平らな集電体を形成する1つの金属格子または1つの隆起金属シートとを含み、ストリップの周辺は格子または隆起シートを全く有さず、格子または隆起シートの2つの平らな部分の少なくとも一方はリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0016】
これらの両面における「平らな(flush)」は、この場合また本発明の文脈で、少なくともシートまたは金属格子の一部分がストリップの表面において出る(emerge)こと、および、シートまたは格子をストリップ全体を通して形成する材料の材料連続性によって電気伝導の連続性が存在することを意味すると理解される。
【0017】
本発明によれば、シール手段は、したがってある方法で、その機能が集電体である部分の中に組み込まれる。換言すれば、電池の新規な半製品が、ある方法で規定され、その半製品は、同時に、
- 集電体であって、2極性であると、隣接する1つの電気化学セル、すなわち、真下または真上に積み重ねられた電気化学セルのカソードとアノードとの間で電気伝導を提供する、集電体と、
- もっぱら電気絶縁材料から作られた周辺領域であって、組み立てられると、電池の電解質に対するシールを生成することに寄与する、周辺領域と
を組み込む。本発明の文脈で、2極電池の動作温度範囲内でクリープしない1つまたは複数の絶縁材料(ポリマー)を規定するように当業者が配慮することは自明である。
【0018】
本発明によるデバイスは、厚さを10μmから100μmの間、好ましくは25μmから50μmの間とすることができる。
【0019】
本発明によるデバイスは、周辺に取り付けられる、先に規定した格子またはシートが全くない領域に関して、多角形形状の断面たとえば長方形または正方形などの任意の幾何学的形態を有することができる。
【0020】
長さが、40cmから70cmの間、典型的には50cm程度であり、幅が、10cmから25cmの間、典型的には15cm程度である平面寸法を想定することが可能である。本発明によるシートまたは格子が全くない周辺領域は、有利には、幅が1mmから10cmの間、より詳細には3mmから12mmの間、典型的には5mm程度であるフレームを形成しうる。本発明によるシートまたは格子を全く持たない周辺領域は、デバイスの総面積の25%未満、好ましくは20%未満、さらにより好ましくは15%未満の領域を示しうる。
【0021】
本発明による、提案される混合集電体/周辺シール領域半製品は、今までに提案されたものに関する技術的な進歩であり、集電体をプレートの形態で常に生産することにあり、また、シールデバイスをプレートに付着させることからなる。したがって、本発明によるデバイスは、漏洩防止自体が簡略化され、(集電体としてのプレートの除去によって)かなりの質量利得がもたらされ、したがって、かなりの効率の改善が達成されることを可能にする。実際には、等しい質量に基づくと、本発明による電池のエネルギー密度はより大きく、したがって、性能の改善が、前記電池について得られる。さらに、電池のシーリングが改善されるため、電池は、より効率的である。
【0022】
一変形形態によれば、ストリップを構成する大多数のポリマーはポリオレフィンである。
【0023】
ストリップは、少なくとも1つの他のポリマーを含むことができ、前記他のポリマーは、ポリオレフィンと集電体との間に挿入されて、ポリオレフィンと集電体との間の付着を改善する。
【0024】
別の変形形態によれば、他のポリマーは、ポリエステルまたはポリウレタンの中から選択されうる。
【0025】
ストリップはまた、少なくとも1つの固着促進剤を含むことができ、前記固着促進剤は、ポリオレフィンと集電体との間に挿入されて、ポリオレフィンと集電体との間の付着を改善する。
【0026】
ストリップを構成する大多数のポリマーはまた、2成分樹脂、好ましくはアクリル樹脂とすることができる。実際には、アクリル樹脂は、炭酸電解質との接触状態で優れた機械的特性を有する。
【0027】
一変形形態によれば、ポリマーは、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン(PES)、およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)熱可塑性プラスチックの中から選択されうる。
【0028】
選択されるリチウムインサーション電極材料のタイプに応じて、格子または金属隆起シートによって形成される集電体は、アルミニウムで作られるか、または、別の金属の表面に電気メッキされうる。集電体は、たとえば、銅の上に重ねられたアルミニウムで作られうる。
【0029】
金属格子は、規則的なメッシュを有しうる。
【0030】
集電体は、好ましくは、絶縁体材料で作られたストリップにセンタリングされたフレームとして形作られる。
【0031】
デバイスの集電体が2極性であることを意図されるとき、格子または隆起シートの両方の平らな部分は、リチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0032】
「リチウムインサーション材料で作られた電極」は、ここで、また、本発明の文脈で、少なくとも1つのリチウムインサーション材料および少なくとも1つのポリマーバインダーを含む電極を意味すると理解される。電極は、場合により、さらに、電子導体、たとえばカーボンファイバまたはカーボンブラックを含みうる。
【0033】
具体的には、正電極用の「リチウムインサーション材料(lithium insertion material)」は、ここでまた本発明の文脈で、スピネル型構造を有するマンガンを含むリチウム化酸化物、層状構造を有するリチウム化酸化物、およびこれらの後者の構造のブレンドを有するリチウム化酸化物、ならびに式LiMy(XOz)nのポリアニオン構造を有するリチウム化酸化物の中から選択される材料であると理解される。式中、M、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B、およびMoの中から選択される元素を表し、Xは、P、Si、Ge、S、およびAsの中から選択される元素を表し、y、z、およびnは、正整数である。
【0034】
具体的には、負電極用の「リチウムインサーション材料」はまた、酸化チタン(リチウム化または非リチウム化)、たとえばLi4Ti5O12またはTiO2の中から選択される材料を意味すると理解される。
【0035】
より具体的には、負電極材料は、炭素質材料、非リチウム化酸化チタン、およびそれらの誘導体、ならびにLi4Ti5O12などのリチウム化酸化チタン、およびそれらの誘導体、ならびに後者のブレンドから選択されうる。
【0036】
「リチウム化誘導体(lithiated derivatives)」は、ここでまた本発明の文脈で、式Li(4-x1)Mx1Ti5O12およびLi4Ti(5-y1)Ny1O12の化合物を意味すると理解される。式中、x1およびy1は、それぞれ0と0.2との間であり、MおよびNは、それぞれ、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、およびMoから選択される化学元素である。
【0037】
「非リチウム化誘導体(non-lithiated derivatives)」は、ここでまた本発明の文脈で、Ti(5-y1)Ny1O12を意味すると理解される。式中、式中、y1は0と0.2との間であり、Nは、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si、およびMoから選択される化学元素である。
【0038】
デバイスの集電体が単極性であることを意図されるとき、格子または隆起シートの平らな部分の1つの平らな部分は、リチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる。
【0039】
本発明はまた、順に積み重ねられた少なくとも2つの電気化学セルと、上述した少なくとも1つのデバイスとを含む2極電池に関しており、両方の平らな部分はそれぞれ、電極で覆われ、集電体の2つの平らな部分の一方は、2つのセルの一方のリチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われ、集電体の2つの平らな部分の他方は、2つのセルの他方のリチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、少なくとも1つのポリマーで作られたストリップの周辺は、2つのセルの電解質に対してシールされ、これらの電解質を囲む壁の周辺領域を構成する。
【0040】
こうした電池はまた、有利には、上述した少なくとも1つのデバイスを含み、平らな部分の1つの部分は電極によって覆われ、電極によって覆われない2つの平らな部分の他方は、末端集電体と接触状態にある。
【0041】
集電体の寸法は、全ての電極の寸法にほぼ等しいように選択される。
【0042】
好ましくは、アノードはLi4Ti5O12で作られ、カソードはLiFePO4で作られる。
【0043】
最後に、本発明は、順に積み重ねられた少なくとも2つの電気化学セルを含む2極電池を生産するための方法に関し、方法は、
a/ 両方の平らな部分がリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる上述したデバイス、および、2つのデバイスであって、2つのデバイスの平らな部分の1つの部分がリチウムインサーション材料で作られた電極で覆われる、2つのデバイスを生産するステップであって、それにより、
- 上述した2つのデバイスの一方の集電体の平らな部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われ、
- 上述した2つのデバイスの他方の集電体の平らな部分の一方は、リチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、
- 上述したデバイスの集電体の平らな部分の一方はリチウムインサーション材料で作られたカソードで覆われ、一方、上述したデバイスの集電体の平らな部分の他方はリチウムインサーション材料で作られたアノードで覆われる、
生産するステップと、
b/ 3つのデバイスを、2つの隣接するデバイス間にセパレータを挟むことによって積み重ねるステップであって、
- 上述した2つのデバイスの一方のアノードが、上述したデバイスのカソードに向き、デバイスが、第1のセパレータによって分離され、
- 上述した2つのデバイスの他方のカソードが、上述したデバイスのアノードに向き、デバイスが、第2のセパレータによって分離されるように達成される、
積み重ねるステップと、
c/ デバイスの3つのストリップの周辺を、互いに押し付けるステップであって、セパレータはそれぞれ、電解質を含浸される、押し付けるステップと、
d/ 3つのストリップを互いに押し付けたまま維持するステップであって、それにより、2つのセルの電解質に対してシールされ、当該セルを囲む壁を構成する、維持するステップと
を含む。
【0044】
「セパレータ(separator)」は、ここで、また本発明の文脈で、少なくとも1つのポリマー材料、たとえばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエキシエチレン(POE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはセルロースなどのポリオレフィンの中から選択されるポリマーによって形成される電気絶縁体とイオン導体を意味すると理解される。
【0045】
本発明による電解質は、炭酸塩(carbonate)と少なくとも1つのリチウム塩のブレンドによって形成される液体とすることができる。「リチウム塩(lithium salt)」は、好ましくは、LiPF6、LiClO4、LiBF4、およびLiAsF6の中から選択される塩を意味すると理解される。
【0046】
あるいは、電解質は、リチウムイオンを有する1つまたは複数のイオン液体、すなわち、その1つの特性が周囲温度で液体状態にあるということである、無機または有機アニオンと複合体を形成した、リチウムカチオンからなる塩を含みうる。イオン液体は、アニオンの性質に応じて、親水性または疎水性となりうる。
【0047】
イオン液体の例として、疎水性アニオン、たとえば、トリフルオロメタンスルホネート(CF3SO3)、ビス(トリフルオロメタンスルホネート)イミド[(CF3SO2)3N]、およびトリス(トリフルオロメタンスルホネート)メチド[(CF3SO2)3C]を有するイオン液体を挙げることができる。
【0048】
電解質によってセパレータを含浸させるステップに関して、積み重ねる前にそうすること、すなわち、設置される(挟む)ときに電解質によってセパレータを含浸させること、または、ステップb/による積重ねが終了した後にそうすることが想定されうる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、両面に電極を含むいくつかのデバイスは、本発明による2極電池内のn(nは正整数)個の電気化学セルを作製するために使用されうる。正整数nは、たとえば13に等しいとすることができ、それは、それぞれが両面に電極を有する本発明による12に等しい数のデバイスを製造することを意味する。換言すれば、互いの上に個々に積み重ねられたn個の電気化学セルを含む2極電池は、それぞれが両面に電極を有する(n-1)個のデバイス、および、それぞれが一方の面に単一電極を有する積重体の端部の2つのデバイスを用いて、上述したステップa/〜d/を遂行することによって製造されうる。
【0050】
ステップc/およびd/は、2つの代替法、すなわち、
- 2極電池の剛性パッケージングの設置によって、
- または、電気絶縁体材料で作られたストリップの周辺部分の周りのU状あご部(jaw)を使用してヒートシール(heat-seal)することによって
有利にかつ簡単に達成されうる。
【0051】
デバイスの少なくとも一方の平らな部分の一方の上に少なくとも1つの電極を堆積させることは、慣例の印刷技法、たとえば、スクリーン印刷、ヘリオグラフィ、フレキソグラフィ、スプレーイングなどによって達成されうる。
【0052】
格子または隆起シートの形態の本発明による集電体の電気伝導は、狭い光子または隆起メッシュを使用することによって、あるいは、格子または隆起シートを表面電気メッキすることによって改善されうる。
【0053】
他の利点および特徴は、以下の図を参照して行われる、例証のために提供される詳細な説明を読むとより明確にわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】現状技術によるリチウム2極電池の概略縦断面図である。
図2A】現状技術によるリチウム2極電池で使用される2極集電体の正面図である。
図2B】現状技術によるリチウム2極電池で使用される2極集電体の断面図である。
図3A】現状技術によるリチウム2極電池で使用される別の2極集電体の正面図である。
図3B】現状技術によるリチウム2極電池で使用される別の2極集電体の断面図である。
図4A】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分の正面図である。
図4B】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分の断面図である。
図5】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第1の方法を示す概略図である。
図5A】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第1の方法を示す正面図である。
図5B】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第1の方法を示す断面図である。
図6】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第2の方法を示す概略図である。
図6A】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第2の方法を示す正面図である。
図6B】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第2の方法を示す断面図である。
図7】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第3の方法を示す概略図である。
図7A】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第3の方法を示す正面図である。
図7B】電極を持たない本発明によるデバイスの一部分を製造するための第3の方法を示す断面図である。
図8A】本発明による3つのデバイスから単極電池を製造する方法のステップを示す概略図である。
図8B】本発明による3つのデバイスから単極電池を製造する方法のステップを示す概略図である。
図8C】本発明による3つのデバイスから単極電池を製造する方法のステップを示す概略図である。
図8D】本発明による3つのデバイスから単極電池を製造する方法のステップを示す略図である。
図8D1】ステップ8Dに対する代替ステップを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
国際公開第03/047021号パンフレットに示されるような現状技術によるLi-イオン2極電池が図1に示される。
【0056】
この電池は、その上側部分に、導電性アルミニウム基材13(正末端集電体)とLi1.04Mn1.96O4などの正リチウムインサーション材料で作られた活性層14を、また、その下側部分に、導電性アルミニウム基材21(負末端集電体)とLi4Mn5O12などの正リチウムインサーション材料で作られた活性層20を含む。
【0057】
この電池内で、2極集電体とも呼ばれる2極電極1は、プレートの形態の導電性アルミニウム基材17の両側に正活性層16と負活性層18を含む。
【0058】
下側電極20および上側電極14は、電解質が液体またはゲル形態で存在する2極電極1から2つのセパレータ15、19によって分離される。2つの組み立てられた(constituted)隣接電気化学セル14、15、16および18、19、20の間の電池の電解質に対するシールは、全ての電極およびプレート17の周辺上に樹脂または接着剤を堆積させることによって生成されるシール22によって提供される。
【0059】
現状技術による2極集電体10または17は、電極を製造するために使用されるリチウムインサーション材料に応じて、
- 2つの重ねられた(superimpose)プレートであって、その一方が、典型的には、10ALアルミニウムで作られており、カソード11によって覆われ、また、その他方が、典型的には、10C銅で作られており、アノード12で覆われる(図2Aおよび図2B)、2つの重ねられたプレート、
- または、単一プレートであって、典型的には、10ALアルミニウムで作られており、面jの一方をカソード11で、面の他方をアノード12で覆われる(図3Aおよび図3B)、単一プレート
からなる。
【0060】
現状技術による2極電池を設計するときに経験される主要な難しさは、図1で14、15、16および18、19、20で参照されるコンパートメント間で互いに関して、概して液体形態である電解質に対して完全にシールされるコンパートメントを製造することである。
【0061】
これを達成するために、現状技術によりシール22を生成すること、または、2極電極のプレート10を増加させることは、必ずしも十分ではない。
【0062】
したがって、本発明者は、集電体の設計のために完全に異なる解決策を提案する。
【0063】
図5A〜7Bでは、本発明によるデバイスの一部分10を製造するための3つの異なる方法が示されている。
【0064】
3つの方法のそれぞれによれば、少なくとも1つのポリマーを含む絶縁体材料で作られたストリップ100に収容される2極電池内の集電体を形成する金属格子または隆起シート101が得られ、格子または隆起シート101は、図4B、5B、6B、7Bを見てわかるように、ストリップ100の両面でレベル101Aと同一平面上にある。これらの図で、また同様に対応する対向図4A、5A、6A、7Aでは、格子または隆起シート101が、ポリマーストリップ100内に中心を持つフレームとして形作られることが見てわかる。さらに、格子または隆起シート101は、規則的メッシュを有し、各メッシュは菱形(lozenge-shaped)である。
【0065】
図5の方法によれば、ポリマー、2成分樹脂、またはポリオレフィンは、液体形態でその融点まで加熱され、その後、こうして溶解された、したがって、粘性溶液形態のポリマーの、塗布に最適である所定の量が、格子101上に注がれ、それにより、格子101は、こうして構成されるポリマーで作られる部分100Lの両側で、表面が平らになる。その後、組立体(金属格子101およびポリマーストリップ100)は、周囲温度のままにされて、ポリマーが、硬化し、したがって、ポリマーが注がれる金属格子101によって構成される導電性部分に付着する。そのため、本発明によるデバイス101の部分10は、硬化したポリマーで作られたストリップ100の両面で平らである金属格子101を有する。集電体に対するポリマーの付着を改善するために、固着促進剤が使用されうる。
【0066】
図6の方法によれば、ポリマーシート100に対する金属格子101の重ね合わせ(lamination)が遂行され、それにより、金属格子101が、端から端まで貫通(penetrate)し、また、金属格子101が、ポリマーシートの表面で平らになる。この場合もまた、格子101は、好ましくは、ポリマーシート100内に中心を持つフレームとして形作られる。
【0067】
図7の方法によれば、隆起アルミニウムシート101が、ポリマーストリップ100上に重ね合わされ、それにより、隆起アルミニウムシート101がポリマー101の全体を貫通し、また、隆起アルミニウムシート101がポリマーストリップ100の両面で平らになる。
【0068】
この手段によって、得られる本発明によるデバイスの支持部分10(図8A)、すなわち、混合シール機能領域100/集電体101半製品が最初に得られる。
【0069】
リチウムインサーション材料で作られた少なくとも1つの電極の堆積は、本発明によるデバイスを最終的に得るために遂行される。
【0070】
図8Bに示すように、完全な2極電池を製造するために、本発明による3つの別個のデバイスが製造される。すなわち、
- 「2極(bipolar)」デバイス1を得るために、Li4Ti5O12で作られる層などの負リチウムインサーション材料(アノード)の層12が、格子101の平らな部分101Aの一方に堆積され、LiFePO4で作られる層などの正リチウムインサーション材料(カソード)の層11が、格子101の他の平らな部分101Aに堆積され、
- 正「単極(monopolar)」デバイス1'を得るために、LiFePO4で作られる層などの正リチウムインサーション材料(カソード)の層11'だけが、格子101の平らな部分101Aの一方に堆積され、
- 負「単極(monopolar)」デバイス1"を得るために、Li4Ti5O12で作られる層などの負リチウムインサーション材料(アノード)の層12"だけが、格子101の平らな部分101Aの一方に堆積される。
【0071】
これらの3つのデバイス1、1'、1"の場合、電極層は、有利には、電極が全くない状態でポリマーストリップ100の周辺100Pを整然と(methodically)残しながら、印刷技法(ヘリオグラフィ、フレキソグラフィ、またはスクリーン印刷)によって集電体上に製造される。全ての電極層11、12、11'、12'および格子101は、ほぼ同じ寸法であり、ポリマーストリップの全ての周辺領域100Pもそうである。
【0072】
カレンダリング(calendering)ステップが、場合により、各電極内での電子パーコレーション(percolation)の改善を提供するために含まれうる。
【0073】
デバイス1、1'、1"は、その後、積み重ねられ、そのとき、2極デバイス1が2つの単極1'と1"との間にある状態でデバイスが整列され、また、セパレータを構成する電気絶縁体とイオン伝導性膜3によってデバイスが分離される。図8Cに示すように、2極電池は、その後、2つの電気化学セルC1、C2が順に積み重ねられた状態で、かつ、連続する周辺領域100Pが上部から下部まである状態で得られる。
【0074】
積重体が製造されると、各セパレータは、電解質を含浸される。あるいは、電解質は、積重体内に設置されるときに各セパレータに既に含浸されていてもよい。
【0075】
こうした2極電池のコンパートメント間に最終的なシーリングを達成するために、デバイス1、1'、1"の3つのストリップ100の周辺100Pは、互いに押し付けられ、3つのストリップは、互いに押し付けられたままにされる。この手段によって、両方のセルC1、C2の電解質に対してシールされ、これらのセルを上部から下部まで囲む、壁が構成される。この最終的なステップを遂行するために、2つの代替法が想定されうる。すなわち、
- 有利には電池の剛性パッケージング4を使用して、セルのポリマーストリップ100の周辺100Pに圧力が加えられる(図8D)。
- または、有利にはU状あご部を使用して、ポリマー周辺100Pのヒートシールが、上部から下部まで均一に遂行される(図8D')。
【符号の説明】
【0076】
1、1'、1" デバイス
3 電解質
4 剛性パッケージング
10 デバイスの支持部分
11、12、11'、12' 電極層
100 ポリマーストリップ
101 金属格子または隆起シート
101A 平らな部分
100P 周辺
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5-5B】
図6-6B】
図7-7B】
図8A
図8B
図8C
図8D
図8D1