特許第6124789号(P6124789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124789
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】発泡剤、発泡性組成物、及びフォーム
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20170424BHJP
   C08J 9/14 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   C09K3/00 111B
   C08J9/14CER
   C08J9/14CEZ
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-524921(P2013-524921)
(86)(22)【出願日】2011年8月16日
(65)【公表番号】特表2013-535564(P2013-535564A)
(43)【公表日】2013年9月12日
(86)【国際出願番号】US2011047855
(87)【国際公開番号】WO2012024259
(87)【国際公開日】20120223
【審査請求日】2014年8月7日
(31)【優先権主張番号】13/210,188
(32)【優先日】2011年8月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/374,978
(32)【優先日】2010年8月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ボグダン,メアリー・シー
(72)【発明者】
【氏名】ロス,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,デーヴィッド・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ギター,クリフォード・ピー
【審査官】 安藤 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−247026(JP,A)
【文献】 特開2008−285578(JP,A)
【文献】 特開2005−105157(JP,A)
【文献】 特開2006−328232(JP,A)
【文献】 特表2010−522819(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/014441(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/088320(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/019528(WO,A1)
【文献】 特開2010−138239(JP,A)
【文献】 特表2008−546892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/00
B29B7/00〜B29B7/94
B29C31/00〜B29C73/34
C08G18/00〜C08G18/87
C08J9/00〜C08J9/42
B32B1/00〜B32B43/00
C08L1/00〜C08L101/16
B05D1/00〜B05D7/26
CAPlus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の反応性成分を含む第1の圧力の第1の流体をドラム又は容器内に与え;
(b)前記ドラム又は容器から排出される液体流の形態の前記第1の流体の少なくとも一部の圧力を上昇させて、第1の反応性成分を含む大気圧よりも高い第2の流れを生成させ;
(c)前記第2の流れの中に大気圧よりも高い圧力で注入することによって、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)及び/又は1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)を含む液体発泡剤組成物を導入して、大気圧よりも高い圧力で、前記発泡剤を含む第3の流れを生成させ;そして
(d)前記第3の流れの少なくとも一部を、第1の反応性成分と反応性である成分を含む第4の流れと混合して、混合した反応性の流れを生成させる;
ことを含む熱硬化性フォームを形成する方法であって、
前記第1の反応性成分がポリオールを含み、前記液体発泡剤が前記第1の流体の全重量に基づいて1〜30重量%の量で存在する、方法。
【請求項2】
(a)第1の流れのポリオール成分を含む第1の圧力の第1のドラム又は容器、及びイソシアネート成分を含む第2の圧力の第2のドラム又は容器を与え;
(b)第1のドラム又は容器からポリオール成分の一部を排出してポンプに導入することによって、ポリオール成分の一部の圧力を増大させて、大気圧よりも高い圧力を有する第2の流れのポリオール成分を生成させ;
(c)第2の流れの中に注入によって、大気圧よりも高い圧力を有する液体発泡剤組成物を導入して、大気圧よりも高い圧力を有し前記発泡剤およびポリオール成分を含む第3の液体流れを生成させ;そして
(d)第2のドラム又は容器からイソシアネート成分の一部を排出してポンプに導入することによって、イソシアネート成分の一部の圧力を増大させて、大気圧よりも高い圧力を有する第4の流れのイソシアネート成分を生成させ;
(e)ミキサーにおいて第3の流れの少なくとも一部を第4の流れと混合して、混合物がフォームを形成する;
ことを含む熱硬化性フォームを形成する方法であって、
前記液体発泡剤組成物が、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)及び/又は1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)を含み、
前記液体発泡剤が前記第1の流れの全重量に基づいて1〜30重量%の量で存在する、方法。
【請求項3】
前記液体発泡剤組成物がトランスHFO−1234zeを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体発泡剤組成物がトランスHFCO−1233zdを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記液体発泡剤が液体共発泡剤を更に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記液体共発泡剤が、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)またはこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記液体共発泡剤が、水;1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(HCFC−141b);シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;及びこれらの任意の2以上の組合せ;からなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
第1の液体の流れが、共発泡剤、共溶媒、界面活性剤、ポリマー変性剤、着色剤、染料、溶解度向上剤、流動性調節剤、可塑剤、難燃剤、可燃性抑制剤、抗菌剤、粘度低下調節剤、充填剤、蒸気圧調節剤、成核剤、触媒、ポリオール、イソシアネート、安定剤、及びこれらの2以上の任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1種類の助剤を含む、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記熱硬化性フォームがポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、またはこれらの組み合わせである、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記フォームは、
(i)ブロック、スラブ、積層体、硬質フォーム、独立気泡フォーム、軟質フォーム;
(ii)噴霧適用フォーム、冷蔵庫用フォーム、冷凍庫用フォーム、給湯器用フォーム等の電化製品用フォーム;
(iii)不連続又は連続パネル用フォーム又は断熱輸送容器用フォーム等の注入フォーム;
である、請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記フォームは、噴霧適用フォームである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フォームは、不連続又は連続パネル用フォームである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記混合装置は、静的ミキサー、高圧ミキサー、又は衝突ミキサーである、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2010年8月18日出願の米国仮出願61/374,978(参照として本明細書中に包含する)の優先権の利益を主張する。
[0002]本発明は、ポリマーフォームを形成するための組成物、システム、及び方法などの、発泡剤、発泡性材料、及びフォームとしての有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]発泡剤は、フォーム製品の製造において広く用いられている。幾つかの通常の手順においては、発泡剤及び反応性のベースポリマー又はポリマー前駆体を加圧下で与え、次に噴霧し、ダイを通して押出すか、又はより低い圧力において成形型中に膨張させる。
【0003】
[0004]硬化性ポリウレタンフォームのような反応性化学フォーム組成物が現在周知であり、数多くの異なる用途において用いられている。硬化性フォーム組成物は通常は2剤系を含み、ポリウレタンフォームの場合には、組成物の1つの部分はイソシアネート成分(「A」側又は部分)を含み、他の部分はポリオール成分(「B」側又は部分)を含む。しばしば、化学的発泡剤、物理的発泡剤、硬化剤、触媒又は促進剤、並びに他の変性添加剤を成分部分の一方又は両方の中に含ませることがある。
【0004】
[0005]最終的な許容できる生成物を得るためには、ポリオール及びイソシアネート成分の混合は、適当な流量比及び十分な衝突混合下での混合で行わなければならない。過去において、特に冷却ユニットのための断熱容器、輸送容器などを製作する精密分野においては、静的混合装置を用いてフォーム成分を調剤し、次にノズルから噴霧していた。1種類より多い発泡剤を用いてフォームの特性を特定の用途に合わせて調整することが時には望ましいか又は有利である。
【0005】
[0006]通常の噴霧フォーム用途においては、配合物の「A」及び「B」側のそれぞれを別々のドラム又は容器内に与えて、それらを噴霧装置内で混合できるようにするまで反応性成分を別々に保持することができるようにしている。利便性、安全性、及びコストの目的のために、これらの容器又はドラムのそれぞれは内容物を比較的低い圧力下で保持することが通常であり望ましい。これらのドラムの内容物は、次にそれぞれ容器から排出し、混合してノズル又はガンから噴霧する直前に、発泡反応に適したより高い圧力にポンプ加圧する。
【0006】
[0007]しかしながら、反応性成分を比較的低い圧力において貯蔵及び提供する要望及び必要性から起因する1つの制約は、特に発泡剤などの助剤が、貯蔵ドラム又は容器において用いられる比較的低い圧力において完全に混和性及び/又は溶液状態で保持することができない限り、かかる貯蔵ドラム又は容器内の「A」又は「B」剤のいずれかの成分として与えられないことである。したがって、これまでは、反応性成分をガン又はノズルの作動圧力に上昇させた後に、比較的低い沸点の発泡剤を所期の使用場所において「A」又は「B」剤のいずれかの反応性成分の中に別々に導入することが知られていた。しかしながら、このようなこれまで用いられている発泡剤(例えばHFC−134a)の特定の特性のために、注入位置よりも下流であるがA/B剤の混合装置の上流において、静的ミキサー、衝突混合物などの別の混合装置を含ませることが必要であり、通常的であった。かかる別の混合装置は、これまでは、噴霧装置のノズル又はチップにおいて発泡剤及び1つ又は複数の反応性成分の比較的均一な混合物が存在することを確保するために用いられていた。従来の実務によれば、かかる混合装置を与えないと、噴霧装置のチップ又はノズルから排出される物質の不均一な特徴の結果として、許容できないフォームがしばしば生成する。したがって、別に加える発泡剤を、混合したポリオール及び/又はイソシアネート成分と適切に均一統合することを確保するためには、かかるミキサーを含ませることが必要であると考えられていた。かかる更なるミキサ−に関する必要性は、これまでポリオール及び/又はイソシアネート流の中に別々に加えられていた液体発泡剤の溶解度/混和度特性のためである。かかる配置はしばしば成功しているが、それでもなお、フォームを形成及び分配するためのシステムのコスト及び複雑さを増加させるという欠点を有している。更に、本出願人らは、加圧したポリオール及び/又はイソシアネート流の中での高い度合いの溶解度/混和度を有する液体発泡剤を用いることは、別のミキサーを用いることが望ましい状況においても非常に有利であることを認識するに至った。
【0007】
[0008]硬質ポリウレタンフォームは断熱のために好ましく用いられている。この用途のために、これらはパネルのような成形物品に発泡させることができる。また、全てのタイプの中空空間に噴霧フォームを充填することも可能であり、この場合には、フォームは、形成されたら好ましくは構造部材としても機能し、好ましくは多少の耐力特性を有する。更に、平板状の支持材上に硬質ポリウレタンフォームを噴霧することも可能である。
【0008】
[0009]形成される硬質フォームの品質及び特性は、用いる発泡剤の構造及び化学組成に大きく依存する。発泡剤用途においてこれまで用いられている幾つかの組成物の使用に関連する比較的高い地球温暖化係数及び/又はオゾン層破壊係数などの幾つかの懸念される環境上の問題のために、ヒドロフルオロカーボン(HFC)のような低いか又は更にはゼロのオゾン層破壊係数を有する流体を用いることがますます望ましくなっている。而して、相当量のオゾン層破壊性のクロロフルオロカーボン(CFC)又はヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)を含まない流体を使用することが望ましい。更に、幾つかのHFC流体は、それに関連する比較的高い地球温暖化係数を有する可能性があり、望ましい使用性能特性を保持しながら、可能な限り低い地球温暖化係数を有するヒドロフルオロカーボン又は他のフッ素化流体を用いることが望ましい。
【0009】
[0010]したがって、許容できる代替発泡剤は、達成するのが難しい複数の特性の組合せを有していなければならない。例えば、かかる発泡剤は、低いオゾン層破壊係数及び地球温暖化係数を有することによって環境基準を満足しなければならず、好ましくはスモッグの生成に関係する揮発性有機化合物の低いか又はゼロの含量を有する。これはまた、低い吸入毒性も有していなければならず、さもなければ使用及び曝露に関して比較的安全でなければならない。好ましくは、発泡剤は化学的に安定であり、不燃性である。
【0010】
[0011]発泡剤の沸点及び蒸気圧は、現在用いられているハロゲン化発泡剤と同等であって、現在のフォーム製造装置を高価な改造なしに継続して使用できなければならない。同じ理由のために、ポリマー中における発泡剤の溶解度も、現在用いられている発泡剤の溶解度と少なくとも同程度に高くなければならない。断熱材料としてポリマーフォームを用いる用途に関しては、発泡剤は、低い熱伝導率を有し、好ましい独立気泡の寸法及び形状を有し、発泡した独立気泡ポリマーマトリクスの壁を通る低い透過性を有していなければならない。比較的高い蒸気圧を有する発泡剤は通常は比較的高い拡散速度も有し、これは処理の問題を引き起こし、透過性のような特性を生じさせる可能性がある。
【0011】
[0012]本出願人らはまた、特に高圧下で反応性の流れに加えた場合に、注入位置又はその下流の位置における混合装置の必要なしに、幾つかの重要な処理有利及び/又は生成するフォームの特性における有利性を与える溶解度特性を有する発泡剤、特に噴霧適用フォームにおいて用いるための発泡剤に関して達成することができる実質的な有利性を認識するに至った。
【発明の概要】
【0012】
[0013]而して、本出願人らは、有益な特性を与え、及び/又は上述の欠点の1以上を回避する、組成物、特に発泡剤、発泡性組成物、発泡物品、並びにフォームを形成するための方法及びシステムに関する必要性を認識するに至った。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】[0014]図1は、本発明の一態様を示す概要のプロセスフロー図である。
図2】[0015]図2は、実施例の結果のグラフである。
図3図3は、実施例の結果のグラフである。
図4図4は、実施例の結果のグラフである。
図5図5は、実施例の結果のグラフである。
図6図6は、実施例の結果のグラフである。
図7図7は、実施例の結果のグラフである。
図8図8は、実施例の結果のグラフである。
図9図9は、実施例の結果のグラフである。
図10図10は、実施例の結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0016]本発明の一形態は、(a)少なくとも第1の反応性成分を含む比較的高圧の第1の反応性液相流体を与え;(b)かかる第1の比較的高圧の流体の中に、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)、又はこれらの組合せを含む液体発泡剤組成物を導入して、発泡剤を含む流体を生成させ;そして(c)かかる発泡剤を含むかかる流体の少なくとも一部を、第1の成分と反応性の成分を含む流体と混合して、混合した反応性流体を生成させる;ことを含むフォームの形成方法を提供する。
【0015】
[0017]本明細書において用いる「比較的高圧」という用語は、大気圧より高い圧力における流体又は流体の流れを指す。本明細書において用いる「比較的高圧」及び「比較的低圧」という用語は、流体及び流れに関して一緒に用いる場合には、2つの流体及び流れの相対的な圧力を示すように相対的な意味で用いる。
【0016】
[0018]本明細書において用いる「ベースポリマー」という用語は、ポリマーフォームの製造において用いる噴霧、押出、又は成形プロセス中に発泡剤を含む気泡の形成をもたらす適当な物理特性を有するポリマーを形成するように反応性の任意のポリマー又は材料を指す。ポリマー前駆体という用語は、ポリマーフォームの製造において用いる噴霧、押出、又は成形プロセス中にポリマーの形成をもたらす適当な官能基を有する任意の材料を指す。
【0017】
[0019]本明細書において用いる「液体発泡剤」という用語は、反応性成分を含む比較的高圧の流れの中にそれを注入する条件下における発泡剤の相を指す。しかしながら、かかる「液体発泡剤」は、それがノズル又はガンのチップから排出されてより低く及び/又は周囲の温度及び圧力条件に曝露されると、好ましくは相変化して気体状になることが理解されるであろう。本出願人らは、幾つかの態様においては、フォームを形成するプロセスにおけるこの位置でのかかる変化は、泡状である、即ち垂直の表面上に噴霧した際に流下又は垂下しないフォームが形成される(これは多くの用途において重要且つ有益に有利である可能性がある)見込みのために非常に有利である可能性があることを認識するに至った。
【0018】
[0020]本発明の好ましい形態は、(a)好ましくは液相の、第1の反応性成分を含むおよそ第1の圧力の第1の流体を、好ましくはドラム又は容器内に与え;(b)第1のドラム又は容器から排出される好ましくは液体流の形態の第1の流体の少なくとも一部の圧力を、好ましくはポンピングによって上昇させて、第1の反応性成分を含む第2の比較的高圧の流れを生成させ;そして(c)第2の比較的高圧の流れの中に、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)、好ましくはトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(トランスHFO−1234ze)、及び/又は1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFCO−1233zd)、好ましくはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(トランスHFCO−1233zd)を含む液体発泡剤組成物を導入して、比較的高圧で、発泡剤を含む第3の流れ又は流体を生成させ;そして(d)第3の流れの流体の少なくとも一部を、第1の成分と反応性の成分を含む第4の流れの流体と混合して、混合した反応性の流れ又は流体を生成させる;ことを含むフォームを形成する方法、好ましくは噴霧によってフォームを形成する方法に関する。上述したように、本出願人らは、本発明による発泡剤の特性によって、第1の反応性成分及び発泡剤を含む非常に均一な液体組成物を形成する発泡剤の能力の点で予期しなかった優れた結果を与えることができることを見出した。本出願人らの開発の1つの有利性は、発泡剤を導入する位置又はその下流における静的又は他のタイプのミキサーの必要さえなしに、断熱性能、密度特性、及び泡品質などの非常に望ましい特性を有するフォームが製造されることである。幾つかの好ましい態様によれば、本発明の発泡剤は、反応性の流れを含む導管中に液体発泡剤を単純に注入することによって、比較的高圧の反応性の流れの中に導入される。
【0019】
[0021]本発明の発泡剤組成物は、好ましくは第3流添加として高圧の流れのいずれかに導入することができると意図されるが、幾つかの態様においては、発泡剤組成物は、好ましくは注入によって且つ関連する更なるミキサーを用いないで、噴霧フォームポリウレタン系のポリオール又はB剤に導入することが好ましい。更に、高圧のポリオール流の重量に対して広範囲の濃度の量の本発明の発泡剤を加えることができると意図される。しかしながら、幾つかの好ましい態様においては、本発明の発泡剤は、ポリオール成分(比較的低圧のドラム内にポリオールと共に含まれる任意の他の発泡剤又は他の助剤を含む)の全重量を基準として約1重量%〜約30重量%の量で存在させ、幾つかの態様においては約1〜約15重量%の量がより好ましい。幾つかの非常に好ましい態様においては、本発明の発泡剤は、ポリオール成分(ここでもその中に含まれる任意の他の共発泡剤又は助剤を含む)の全重量を基準として約1重量%〜約5重量%の量で存在させる。
【0020】
[0022]例示の目的で(しかしながら必ずしも限定の目的ではない)、図1は、本発明の方法、装置、及びシステムの幾つかの形態による一態様を図示する。この態様によれば、第1の比較的低圧の容器又はドラム1、及び第2の比較的低圧の容器又はドラム2が与えられている。幾つかの好ましい態様によれば、これらのドラムのそれぞれは容易に持ち運びできるので、発泡操作を行う場所又は位置に移動させることができる。これらのドラムのそれぞれは、フォームを形成するために必要な別々の反応性成分を含み、これらは噴霧ガンなどであってよい噴霧装置6中に送られる。好ましい態様においては、噴霧ガン6は、静的ミキサー、高圧ミキサー、又は衝突ミキサーのような混合装置(図示せず)を含む。例えば、通常のポリウレタン発泡システムにおいては、ドラム1はイソシアネート成分又はA剤(この部分において通常用いられる助剤を含む)を含み、ドラム2はポリオール成分又はB剤(この部分において通常用いられる助剤を含む)を含む。これらのドラムのそれぞれは、好ましくは、コスト、利便性、及び安全性の目的で比較的低い圧力に保持する。その内容物を排出し、これらの流れをそれぞれポンプ3及び4に導入するために、ライン10及び11がそれぞれドラム1及び2に接続されている。これらのポンプからの吐出流12及び13は、それぞれの流れ10及び11よりも高い圧力であり、この圧力は、用いる特定のフォーム材料及び装置に関連して用いるように適当に選択される。好ましい態様によれば、本発明の発泡剤は、加圧タンク5から、又はポンプ(図示せず)からライン13中に導入して、これによって発泡剤組成物をライン13中に注入するために適当な圧力にする。ライン15内に含まれる混合流は、次に、ライン12内の流れと一緒に噴霧ガン6中に導入し、ここで混合して、混合した内容物を次にノズル又はそのチップから噴出させて、本発明によるフォーム又は泡を形成する。現時点においては好ましいとは考えられていないが、本出願人らは、幾つかの態様においては、本発明の発泡剤組成物を、ライン12中及び/又は直接噴霧ガン6中に導入することが可能であり、又は望ましい可能性があると考える。
【0021】
[0023]更に、本出願人らは、本発明による有利な特性及び特徴が、追加又は補助共発泡剤を含む本発明の発泡剤に関して示されることを見出した。例えば、本発明の発泡剤は、幾つかの態様においては、HFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zdに加えて、水及び/又はHFC及び/又はHFO及び/又はHFCO発泡剤、例えば1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(HCFC−141b);シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;及びこれらの任意の2以上の組合せ;などの1種類以上の他の液体共発泡剤を含む。
【0022】
[0024]本発明によれば、HFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zd並びに共発泡剤のそれぞれの量は広く変化させることができると意図されるが、幾つかの好ましい態様においては、HFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zdと他の液体共発泡剤の合計との重量比は、約1:0.01〜約1:0.6であり、幾つかの態様においては約1:0.03〜約1:0.5の重量比が好ましい。上記の比は全ての液体共発泡剤に適用されると意図されるが、約1:0.01〜約1:0.6、更により好ましくは約1:0.03〜約1:0.5の比を、以下の共発泡剤:1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(HCFC−141b);シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;及びこれらの任意の2以上の組合せ;のそれぞれに適用することが非常に好ましい。
【0023】
[0025]本出願人らは、本発明の発泡剤組成物が、壁部及びフォームの構造を含むポリマー材料を形成するのに用いる1種類以上の反応性成分中における優れた溶解度、及び幾つかの状況においては予期しなかった向上した溶解度を同時に与えながら、発泡剤に関する上述の所望の特性の多く又は全部を満足することができるという理由で相当な有利性を有することを見出した。実際、本発泡剤の溶解度は、多くのポリウレタン配合物の反応性ポリオール成分中において予期しなかった程優れているので、発泡剤の注入位置又はその下流における静的ミキサー又は混合装置を含ませる必要がないか、及び好ましくは幾つかの状況においては含まない噴霧適用装置を使用することが可能である。当業者が理解するように、全部ではないが多くの現在用いられているフォームを噴霧するための噴霧ガン及び関連する装置は、発泡性組成物の反応性成分を、かかる反応性成分のためのそれぞれの貯蔵ドラム又は容器内に含まれている任意の助剤と一緒に適当且つ十分に混合することを確保するために、インライン混合装置(例えば静的ミキサー)を含む。多くの反応性成分中、特にポリウレタンベースの発泡性組成物中において用いられるポリオール成分中における本発泡剤の高いレベルの溶解度のために、フォーム分配装置内に更なる静的ミキサーを用いる場合及び用いない場合のいずれにおいても、非常に優れ且つ非常に望ましい特性を有するフォームを達成することができる。当業者であれば、ポリオール及びイソシアネート成分のような他の反応性の材料が既に混合されている位置の下流において、液体発泡剤を、唯一の発泡剤としてか又は補助発泡剤として導入することを可能にするプロセスの柔軟性の結果として達成することができる有利性を認識するであろう。かかる配置は、例えば、液体発泡剤を導入する位置、又はその下流であって反応性成分を混合するために用いる混合装置の上流の位置における混合装置の必要なしに、本発明の発泡剤を、高圧及び液体形態で、発泡装置、好ましくは噴霧発泡装置の中に有利に導入する能力を与える有利性を有する。
【0024】
[0026]本発明にしたがって用いるHFO−1234zeは、シス−HFO−1234ze又はトランス−HFO−1234ze単独として与えることができる。或いは、HFO−1234zeはシス−及びトランス−HFO−1234zeの混合物であり、これは、本発明の範囲内の任意の比で与えることができる。幾つかの態様においては、トランス−HFO−1234zeを用いることが好ましい。
【0025】
[0027]本発明にしたがって用いるHFCO−1233zdは、シス−HFCO−1233zd又はトランス−HFCO−1233zd単独として与えることができる。或いは、HFCO−1233zdは、シス−及びトランス−HFCO−1233zdの混合物であり、これは、本発明の範囲内の任意の比で与えることができる。幾つかの態様においては、トランス−HFC−1233zdを用いることが好ましい。
【0026】
[0028]本明細書中に含まれる教示を考慮すると、当業者であれば、本明細書において議論した上記の有利性の1以上を達成するための有効量を与えるために用いるHFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zdと共発泡剤(例えば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(HCFC−141b);シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;及びこれらの任意の2以上の組合せ)との相対量を決定することができると考えられる。一態様においては、本発明の発泡剤組成物は、約99〜約50重量%のHFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zd、並びに約50〜約1重量%の、好ましくは1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);1−フルオロ−1,1−ジクロロエタン(HCFC−141b);シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン;及びこれらの任意の2以上の組合せ;から成る群から選択される共発泡剤などの液体共発泡剤を含む。更なる態様においては、本ブレンドは、約90〜約99重量%のHFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zd、並びに約1〜約10重量%の上述の共発泡剤の1以上を含む液体共発泡剤を含む。更なる態様においては、本ブレンドは、約90〜約95重量%のHFO−1234ze及び/又はHFCO−1233zd、並びに約5〜約10重量%の上述の共発泡剤の1以上を含む液体共発泡剤を含む。
【0027】
[0029]本発明の発泡剤組成物にはまた、所期の用途に応じて1種類以上の助剤又は更なる成分を含ませることもできる。これらには限定しないが、助剤としては、以下のもの:共発泡剤、共溶媒、界面活性剤、ポリマー変性剤、着色剤、染料、溶解度向上剤、流動性調節剤、可塑剤、難燃剤、可燃性抑制剤、抗菌剤、粘度低下調節剤、充填剤、蒸気圧調節剤、成核剤、触媒、ポリオール、イソシアネート、安定剤、及びこれらの2以上の任意の組合せを挙げることができる。
【0028】
[0030]幾つかの態様においては、特に発泡性組成物の関連においては、助剤は、少なくとも共発泡剤であり、これは、1種類以上のフルオロアルケン、フルオロアルカン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、エステル、エーテル、アルコール、又は炭化水素であってよい。
【0029】
[0031]好ましい態様においては本発明は熱硬化性フォームに関するが、本発明の発泡性組成物は、熱硬化性又は熱可塑性フォームのいずれに関しても用いることができると認識されるであろう。熱硬化性フォームの態様に関しては、熱硬化性フォーム成分は、ポリウレタンフォーム、ポリイソシアヌレートフォーム、フェノールフォーム、及びこれらの2以上を形成することができる成分から選択することが好ましい。
【0030】
[0032]本発泡剤は、広範囲の発泡性組成物及び/又は熱硬化性若しくは熱可塑性フォームを形成するために用いるのに適している。本フォームは、当該技術において一般的に理解されているように、好ましくは複数のポリマーセルを含む。幾つかの好ましい態様においては本発明は噴霧適用フォームに関するが、本発明の発泡剤は、他のタイプのフォームに関して有利性を与えるように用いることができると意図される。更に、フォームは、ブロック、スラブ、積層体、硬質フォーム、独立気泡フォーム、軟質フォームなどの形態であってよい。しかしながら、好ましい態様においては、フォームは、噴霧適用フォーム、電化製品用フォーム(例えば冷蔵庫用フォーム、冷凍庫用フォーム、給湯器用フォーム等)などである。更なる態様においては、フォームは、注入フォーム、例えば不連続又は連続パネル用フォーム又は断熱輸送容器用フォームであってよい。
【実施例】
【0031】
実施例1:発泡剤特性:
[0033]発泡剤は、幾つかの基本的な環境及び毒性特性を有することが一般に望ましい。幾つかの発泡剤の幾つかの物理特性に関する情報の概要を下表1に与える。ここで用いるHBA−2という用語は、トランス−HCFO−1233zdを示し且つ意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
[0034]トランス−HFO−1234ze及びHFCO−1233zdの試験の初期段階は毒性特性が許容できるものであることを示し、データは、毒性が1234ze(E)又はHBA−2のいずれも発泡剤として商業的に用いるのに問題ないことを示唆している。
【0034】
[0035]噴霧フォームポリオールブレンドの蒸気圧は、用いる1種類又は複数のポリオールのタイプ、界面活性剤、及び発泡剤、並びにそれぞれの濃度のような多くのファクターに影響を受ける。ポリオールは多くの場合において噴霧フォームポリオールブレンドの主成分であるので、ポリオール溶液の蒸気圧に対する発泡剤の濃度及び温度の影響は、新しい発泡剤としての組成物の有用性の現実性を評価する際の重要なステップである。本出願人らは、種々の商業的に入手できるポリオール配合物中でのトランス−HFO−1234ze及びトランス−HFCO−1233zdの蒸気圧を求めるために試験を行った。本出願人らは、約10重量%の濃度においては、種々の商業的に入手できるポリオール中のHBA−2は、43℃において、従来のドラムを膨張させるのに必要な圧力レベル(69kpa)より低い蒸気圧を示すことを確認した。これにより、SPF系の蒸気圧を245faによって現在示されているレベルより低い値に低下させることが潜在的に可能である。下記のグラフにこの試験の結果を与える。
【0035】
比較例1A:
[0036]それぞれの発泡剤を加圧ポリオール流中に注入する位置又はほぼその位置に混合装置を含ませる他は図1に概して示されているタイプの第3流添加システムにおいて、液化発泡剤として、HCFC−12、HCFC−22、HFC−245fa、及びHFC−134aのそれぞれを用いる。約6重量%のHFC−245fa発泡剤を、低圧ポリオール容器内に含ませる。用いる処理条件は、下表2において報告するものと同じである。実質的に均一な混合物が噴霧装置に導入され、許容できるフォームが生成される。
【0036】
比較例1B:
[0037]図1に概して示されているタイプの第3流添加システムにおいて、液化発泡剤として、HFC−12、HFC−22、及びHFC−134aのそれぞれを用いる。それぞれの発泡剤を加圧ポリオール流中に注入する位置又はほぼその位置に、混合装置は含ませない。約6重量%のHFC−245fa発泡剤を、低圧ポリオール容器内に含ませる。用いる処理条件は、下表2において報告するものと同じである。実質的に不均一な混合物が噴霧装置に導入され、ガン内にポリオールのスラグと発泡剤が交互に現れ、許容できないフォームが生成する。
【0037】
比較例1C:
[0038]補助発泡剤をシステムに加えなかった他は図1に示す基本概要配置にしたがって、
約6重量%のHFC−245fa発泡剤を低圧ポリオール容器内に含ませる従来の噴霧フォーム装置を用いて、データの第1組を生成させる。この試験のために用いる処理条件を、表2において「245fa」の表題でまとめる。
【0038】
実施例2:
[0039]比較例2Aに関して記載したものと同じ従来の噴霧フォーム装置を用い、低圧ポリオール容器内で同じ6重量%のHFC−245fa発泡剤を用いて、データの第2の組を生成させる。しかしながら、更に、トランス−HFO−1234zeを含む約10重量%の発泡剤(高圧ポリオール成分流の重量を基準)を、注入ポンプを用いて高圧ポリオール流に加え、次に、中間混合装置を用いないで混合流を噴霧装置中に導入する。実質的に均一な混合物が噴霧装置に導入され、許容できるフォームが生成する。この試験のために用いる処理条件を、表2において「1234ze/245fa」の表題でまとめる。
【0039】
【表2】
【0040】
[0040]この試験の結果は、1234ze(E)は、容易に高圧ポリオール流中に溶解し、中間混合装置を用いずにガンを通して良好に処理されたことを示す。フォーム表面は平滑であった。245fa系は迅速なクリームタイムを有しているので、反応性は245fa及び245fa/1234ze(E)系と同等であった。GCMSによって両方の発泡剤の存在が確認された。全発泡剤濃度は、両方のフォームにおいてほぼ同等であった。下表3に、生成したフォーム密度をまとめる。初期λをグラフ5に示す。初期λ値は、245fa/1234ze(E)フォームが245faフォームのものと同等であるか又は僅かに良好なλを有していたことを示す。245fa系において用いる配合物の触媒作用は液体発泡剤用に設計されている。この系を245fa/1234zeブレンドと共に用いると、フォームの噴霧中に通常見られるものよりも大きな発泡剤の損失が起こる。したがって、フォーム密度は大きくは減少しなかった。配合物を変性することによって、発泡反応中の一時的放出損失を減少させることができる可能性がある。
【0041】
【表3】
【0042】
実施例3:
[0041]HFCO−1233zdを、商業的に処理した噴霧フォーム試料の長期間経時変化、フォームマトリクス中での溶解度、及び245faとのブレンドとしての使用に関して評価する。噴霧フォーム産業においては、通常は6月経時変化後のλを考察する。下表4は、この長期間経時変化研究において用いる配合物の概要を含む。この研究のために調製したフォームを、表5に示す処理条件下で噴霧した。グラフ7におけるデータは、同等の速度で経時変化させたHBA−2及び245faのフォーム、並びに商業的な装置を通して噴霧したHBA−2のフォームは、未だ、試験した245faフォームよりも良好な経時変化後のλを示すことを示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
[0042]フォーム中の全発泡剤及びフォームへの発泡剤の分布の評価を可能にする分析手順を用いる。これは、フォームセル内の発泡剤含量の評価、並びに全ガス数及びセルガス数からのフォームマトリクス内の発泡剤の理論レベルの計算を含む。表6に、分析のためのフォームを製造するために用いる配合物及び処理条件をまとめる。フォームは手作業の混合で調製した。表7におけるデータは、HBA−2が245faに関して見られるものと同等のフォームへの発泡剤の分布を示すことを示す。
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
[0043]複数の発泡剤のブレンドは、しばしば過渡期において用いられる。これによって、完全な移行にしばしば関連するコスト及び配合物最適化の影響なしに、新しい材料の利益を得ることが可能になる。245faの場合においては、より低い沸点は、時には暑い気候における輸送システムが困難であることが判明している。この論文においては、245faのブレンドを245faとHBA−2の50/50モル%ブレンドと比較している。有利性は、用いる発泡剤の蒸気圧及びGWPの減少である。比較のために用いる配合物を表8に含める。手作業の混合によるフォームを調製した。
【0049】
[0044]これらのプレミックスの蒸気圧をグラフ8に示す。245faを50%減少させると54℃における蒸気圧の8%の低下が与えられ、更にフォーム配合物のGWPの50%の減少が与えられる。試験手順の制限のために、蒸気圧の減少は43℃においては検出できなかった。
【0050】
【表8】
【0051】
上述の試験からのフォーム品質結果を表9及び図9に示す。
【0052】
【表9】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10