(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定個数の卵をトレイに充填し、所定枚数の前記トレイを段積してトレイ群を形成し、所定数量の前記トレイ群を積載台に積載してトレイ群集合を形成し、前記トレイ群集合を保管し、その後に保管した卵を出荷する卵の出荷管理システムであって、
前記トレイ群集合を保管する物品保管棚と、前記物品保管棚に保管された前記トレイ群集合を出庫する複数の出庫ステーションと、前記物品保管棚に保管された前記トレイ群集合を前記出庫ステーションに移動する転置手段とを備える自動倉庫と、
各出庫ステーションに接続され、前記出庫ステーションより出庫された前記トレイ群集合からトレイ群を取り崩す取崩装置と、
前記出庫ステーション及び前記取崩装置に介在し、前記出庫ステーションと前記取崩装置との間で前記トレイ群集合を双方向に移動させる移送装置とを備え、
前記取崩装置は、前記トレイ群集合から一部の前記トレイ群を取り崩し可能とされており、
前記移送装置は、前記取崩装置に取り崩されなかった他の一部の前記トレイ群を前記積載台に積載した状態で前記出庫ステーションに逆戻し可能とされている、卵の出荷管理システム。
前記転置手段は、前記出庫ステーションに逆戻しされた前記他の一部のトレイ群を、前記物品保管棚に移動し、前記他の一部のトレイ群と同一種類のトレイ群を再度出庫するときに、前記他の一部のトレイ群を優先して出庫する、請求項1に記載の卵の出荷管理システム。
前記分離工程は、前記順行工程及び前記逆戻工程の前に、前記積載台から前記トレイ群の一部を取り崩す取崩工程と、前記順行工程の後に、前記取り崩されたトレイ群を段ばらしする段バラシ工程とを含み、
前記逆戻工程は、取崩工程で取り崩されなかった他の一部のトレイ群を有するトレイ群集合を前記自動倉庫に戻すことを含む、請求項6に記載の卵の出荷管理方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
先ず、本発明の実施の形態にかかる卵の出荷管理システム(以下、単に「出荷管理システム」という。)1について説明する。出荷管理システム1は、
図1〜3に示すように、生産農場から輸送されてくる卵Eを選別する選別システム2と選別された卵を卵パックのような卵収容器Pに包装する包装システム3に介在して設けられる。
【0024】
選別システム2は、重量を基準にして卵Eを選別する卵の選別装置(以下、単に「選別装置」という。)20を含む。このような選別装置20として、特開2011−173714号公報に記載された卵の自動選別包装装置のような選別装置がある。選別装置20は、
図2に示すように、卵Eを複数列で搬送し、搬送途中に重量を基準に計量する複列搬送部201と、複列搬送部201に接続され、複列搬送部にて計量された卵Eを単列で搬送する単列搬送部202と、単列搬送部202に接続され、単列搬送部から卵Eを受けてトレイTに充填する複数の分配ライン203とを備える。
【0025】
選別装置20は、複列搬送部201にて重量を計量された卵Eを、単列搬送部202により、計量の結果に対応する分配ライン203まで搬送し、対応する各分配ライン203にてトレイTに充填する。すなわち、各分配ライン203は、計量されて単列搬送部202を順次搬送されてくる卵Eに対して、選別条件に応じた卵Eを、単列搬送部202から受けて(分配されて)トレイTに充填する。
【0026】
本実施の形態において、卵Eは、複列搬送部201側(
図2の下側)の分配ライン203から、LLサイズ、Lサイズ、Mサイズ、MSサイズ、Sサイズ、SSサイズに対応しており、各分配ライン203でトレイTに充填される。選別装置20は、上記以外のサイズの卵Eを規格外として集合させる規格外集合部(図示しない)を備える。各分配ライン203は、対応する選別(分配)条件を適宜変更できる。
【0027】
各分配ライン203は、空のトレイTを上流側(
図2の左側)から搬送し、単列搬送部202と交差する部分にて、選別条件に対応する重量(サイズ)の卵EをトレイTに充填し、卵Eが充填されたトレイTを出荷管理システム1(
図2の右側)に向けて送る。これにより、同一サイズの卵Eを所定個数充填されたトレイTが出荷管理システム1に送られる。
【0028】
本実施の形態において、
図4に示すように、1枚のトレイTに30個の卵Eが充填される。分配ライン203にて卵Eが充填されるトレイTは、アメリカントレイと称される一般的なトレイでもよいが、自動倉庫12での保管に適した特殊なトレイであってもよい。そのような特殊なトレイとして特開2008−127082号公報に記載の卵の収容容器のようなトレイがある。
【0029】
出荷管理システム1は、
図1〜
図3に示すように、選別装置20の分配ライン203に接続された複数のトレイ群集合ライン11と、トレイ群集合ライン11に接続された自動倉庫12と、自動倉庫12に接続された複数のトレイ分離ライン13とを備える。トレイ群集合ライン11は、所定の分配ライン203に一対一の関係で設けられている。本実施の形態において、6本設けられた分配ライン203のうちの上流側の4本の分配ライン203に対応して4本のトレイ群集合ライン11a〜11dが設けられている。また、本実施の形態において、2本のトレイ分離ライン13a,13bが設けられている。
【0030】
各トレイ群集合ライン11は、トレイTを段積し、トレイ群TGを形成する段積装置110と、段積装置110が形成した所定数量のトレイ群TGを積載台TPに積載する積載装置111とを備える。本明細書において、段積とは、卵Eの充填されたトレイTを重ねることをいう。
【0031】
各段積装置110は、4本の分配ライン203のそれぞれに一対一の関係で接続されており、卵Eが充填されたトレイTを対応する分配ライン203から受け、所定枚数のトレイTを順次段積みし、トレイ群TGを形成する。このようなトレイ群TGを形成する段積装置として、特開平07−172581号公報に記載の段積み装置のような段積装置がある。トレイ群TGは、一般に、偶数段目と奇数段目のトレイTが相互に水平方向に90°回転した状態で段積されている。段積装置110により形成されたトレイ群TGは、積載装置111に向けて搬送される。段積装置110は、例えば、
図4に示すように、卵Eが充填されたトレイTを6枚重ねて1群のトレイ群TGを形成する。
【0032】
各積載装置111は、各段積装置110に一対一の関係で接続されており、段積装置110が形成したトレイ群TGを、対応する段積装置110から受け、パレットのような積載台TPに所定数量積載してトレイ群集合TAを形成する。本実施の形態において、
図4に示すように、所定数量として縦に4列、横に3行、上に6段のトレイ群TGが積載され、合計で72群のトレイ群TGによりトレイ群集合TAが形成されている。すなわち、所定数量が積載された1つのトレイ群集合TAは、432枚のトレイTを有し、これにより、12,960個の卵Eを有することになる。
【0033】
各積載装置111は、複数回に分けて積載台TPに複数のトレイ群TGを積載し、一回の動作で少なくとも1群のトレイ群TGを積載する。このようにパレットにトレイ群TGを積載する装置として、特表2002−541042号公報に記載のリフト装置、国際公開2011/129699に記載のロボットを利用して積載装置とできる。また、積載台TPとして、特開2013−112519号公報に記載のラックトレイのような積載台がある。
【0034】
各積載装置111は、1つのトレイ群TG、又は少なくとも1列、少なくとも1行若しくは少なくとも1段のトレイ群ごとに、トレイ群TGを積載する。すなわち、積載装置111は、1回の動作で1群又は複数群のトレイ群TGを積載する。本実施の形態において、各積載装置111は、一回の動作で、4群のトレイ群TGを積載するため、3回の動作で一段分のトレイ群TGを、18回の動作で全てのトレイ群TGを積載することができる。各積載装置111の1回の動作とは1群又は複数群のトレイ群TGを保持し、積載台TPに積載することを意味する。
【0035】
本実施の形態において、
図2に示すように、複列搬送部側から1本目及び2本目のトレイ群集合ライン11a,11bの積載装置111は、第1のリフト装置113を共用し、3本目及び4本目のトレイ群集合ライン11c,11dは、第2のリフト装置114を共用している。
【0036】
すなわち、第1のリフト装置113は、1本目の集合ラインの段積装置110から移送されたトレイ群TGを1本目のトレイ群集合ライン11aの積載台TPに積載し、また、2本目の集合ライン11bの段積装置110から移送されたトレイ群TGを2本目のトレイ群集合ライン11bの積載台TPに積載する。さらに、第2のリフト装置114は、3本目の集合ライン11cの段積装置110から移送されたトレイ群TGを3本目のトレイ群集合ライン11cの積載台TPに積載し、また、4本目のトレイ群集合ライン11dの段積装置110から移送されたトレイ群TGを4本目の積載台TPに積載する。
【0037】
供用のリフト装置による複数ラインの積載台への積載は、交互に行われる。しかし、移送されてくるトレイ群の数量に応じて、積載順序は適宜変更されてもよい。リフト装置は、トレイ群集合ラインの本数、レイアウト等に応じて適宜配置される。トレイ群TGは、所定枚数のトレイTを段積して形成される。また、トレイ群集合TAは、複数列、複数行及び複数段にわたって積載台TPに積載されたトレイ群TGを備える。
【0038】
トレイ群集合TAは、
図4に示すように、格段のトレイ群TGの間にデバイダーと称される板状の補助部材Dを介在させてトレイ群TGを積載されている。補助部材Dは、トレイ群TGが安定して積載されるように補助する。補助部材Dは、作業員によりトレイ群TGの上に載置されてもよいし、積載装置111によりトレイ群TGの上に載置されてもよい。
【0039】
自動倉庫12は、
図2及び
図3に示すように、全体として、第1の水平方向(
図2及び
図3のX方向)及び鉛直方向(
図2及び
図3の紙面方向)に沿って延び、壁状に形成されている。自動倉庫12は、並立する一対の物品保管棚121a,121bと、一対の物品保管棚121a,121bの間で移動し、物品保管棚121a,121bに物品を運び入れ、または物品保管棚121a,121bから物品を運び出す転置手段122とを備える。転置手段122は、転置手段122が一対の物品保管棚121の間でする移動を案内するガイドレール123を備える、いわゆるスタッカークレーンである。
【0040】
一対の物品保管棚121a,121bは第1の水平方向及び鉛直方向に延びて並立しており、各物品保管棚121は、水平方向に複数列、鉛直方向に複数段に並ぶ多数の物品保管部124を備え、複数列及び複数段にわたってトレイ群集合TAを保管し、これにより卵Eを一時貯留することができる。転置手段122は、一対の物品保管棚121a,121bの間を第1の水平方向及び鉛直方向に沿って移動し、物品保管棚121に物品を運び入れ、または物品保管棚121から物品を運び出す。
【0041】
ガイドレール123は、転置手段122を一対の物品保管棚121a,121bの間で第1の水平方向又は鉛直方向に案内する。このような自動倉庫として、例えば、特開2000−211704号公報に記載の物品仕分け設備のような自動倉庫がある。本実施の形態において、転置手段122は、トレイ群TGが積載されたトレイ群集合TAを物品として物品保管部124に保管する。
【0042】
物品保管棚121は、第1の水平方向及び鉛直方向にトレイ群集合TAを保管する複数の物品保管部124を備える。これら物品保管部124は、そのいくつかを入庫ステーション125又は出庫ステーション126とされている。これにより、自動倉庫12は、トレイ群集合TAを入庫する入庫ステーション125と、入庫された後に物品保管棚121に保管されたトレイ群集合TAを出庫する出庫ステーションと126を備える。
【0043】
本実施の形態において、4本のトレイ群集合ライン11に対応して4つの入庫ステーション125が選別装置20側の物品保管棚121aに設けられ、2本のトレイ分離ライン13に対応して2つの出庫ステーション126が包装装置側の物品保管棚121b設けられている。すなわち、異なる物品保管部124が入庫ステーション125と出庫ステーション126とされており、入庫ステーション125は、一対の物品保管棚のうち、一方の物品保管棚に設けられ、出庫ステーション126は、他方の物品保管棚に設けられている。これにより、入庫ステーション125と出庫ステーション126とは、自動倉庫の異なる面に設けられている。また、入庫ステーション125と出庫ステーション126とは、一対の物品保管棚のうち、同一の物品保管棚の異なる位置に設けられていてもよい。
【0044】
各入庫ステーション125は、分配ライン203と一対一の関係で設けられている。各入庫ステーション125が選別装置20の対応する分配ライン203より段積装置110と積載装置111とを介してトレイ群集合TAを自動倉庫12に入庫され、転置手段122がトレイ群集合TAを所定の物品保管部124に移動し、物品保管棚121a,121bにおいてトレイ群集合TAの卵Eが貯留される。
【0045】
自動倉庫12は、出庫指示にしたがって、物品保管部124に保管された積載台TPを、各出庫ステーション126を介して出庫する。すなわち、自動倉庫12は積載台TPを1つの保管単位として入庫、保管、出庫を行う。自動倉庫12として、保管単位は異なるが、例えば特開2005−096784号公報に記載の鶏卵の選別包装装置に利用された自動倉庫がある。特開2005−096784号公報では、多数段積された1群のトレイ群を1つのトレイ群集合TA(保管単位)としている。
【0046】
自動倉庫12は、入庫、保管、出庫に関する転置手段122の移動を制御し、また保管するトレイ群集合の有するトレイ群の数量に関する数量情報等を管理する制御部(図示しない)を備える。制御部は、従来よく知られる、演算処理機能、情報記憶機能等を備える制御コンピュータである。また、転置手段は、入庫ステーションから物品保管棚に移動し、また物品保管棚から出庫ステーションに移動できればよい。入庫ステーション及び出庫ステーションは、特開平9−278129号公報に記載の自動倉庫のパレット入庫台又はパレット出庫台のように、物品保管棚の外部に設けられていてもよい。
【0047】
トレイ分離ライン13は、自動倉庫12から出庫されたトレイ群集合TAをトレイTに分離する。本実施の形態において、2本のトレイ分離ライン13a,13bが設けられており、各トレイ分離ライン13は、出庫ステーション126から出庫される積載台TPを取崩装置131に搬送する移送装置132と、取崩装置131より移送された積載台TPから、トレイ群TGを取り崩す取崩装置131と、取崩装置131が取り崩したトレイ群TGをトレイTに分離する段バラシ装置133とを備える。
【0048】
移送装置132は、出庫ステーション126と取崩装置131とに介在し、出庫ステーション126と取崩装置131の間で積載台TPを双方向に移動可能とされている。本実施の形態において、移送装置132は、従来よく知られる、搬送コンベアであり、出庫ステーション126から取崩装置131に向けて、又は取崩装置131から出庫ステーション126に向けて積載台TPを移動させる。
【0049】
取崩装置131は、自動倉庫12の各出庫ステーション126及び移送装置132に一対一の関係で接続されており、出庫ステーション126から出庫された積載台TPを受け、複数群のトレイ群TGを取り崩す。取崩装置131は、複数回に分けて積載台TPに積載された複数のトレイ群TGを取り崩し、一回の動作で少なくとも1群のトレイ群TGを取り崩す。したがって、取崩装置131は、積載台TPから一部のトレイ群TGを取り崩し可能とされており、他の一部のトレイ群TGを取り崩さずに積載台TPに積載した状態で維持できる。
【0050】
取崩装置131は、1つのトレイ群TG、又は少なくとも1列、少なくとも1行若しくは少なくとも1段のトレイ群ごとに、トレイ群TGを取り崩す。すなわち、取崩装置131は、1回の動作で1群又は複数群のトレイ群TGを取り崩す。本実施の形態において、取崩装置131は一回の動作で、4群のトレイ群TGを取り崩すため、3回の動作で一段分のトレイ群TGを、18回の動作で全てのトレイ群TGを取り崩すことができる。取崩装置131の1回の動作とは、積載台TPから1群又は複数群のトレイ群TGを保持し、段バラシ装置133に搬送することを意味する。
【0051】
取崩装置131として、積載装置111と同様に、特表2002−541042号公報に記載のリフト装置を取崩装置131とすることができる。トレイ群集合TAは、格段のトレイ群TGの間に板状の補助部材Dを介在されているが、補助部材Dは、作業員により取り除かれてもよいし、取崩装置131により取り除かれてもよい。本実施の形態において、各トレイ分離ライン13a,13bの積載装置111は、それぞれ、第3のリフト装置134及び第4のリフト装置135を備える。リフト装置は、トレイ分離ラインの本数、レイアウト等に応じて配置される。例えば、複数の取崩装置がリフト装置を供用にしてもよい。
【0052】
段バラシ装置133は、取崩装置131に一対一の関係で接続されており、取崩装置131と包装システム3に介在して、取崩装置131に取り崩されたトレイ群TGを受け、トレイTに段ばらしする。このような段バラシ装置133として、特表2001−516686号公報に記載された山の持ち上げ装置のような段バラシ装置133がある。本実施の形態において、段ばらしとは、段積みされたトレイ群TGからトレイTを一枚ずつ分離することをいう。
【0053】
出荷管理システム1は、次工程である包装工程P1を行う包装システム3に接続する。包装システム3は、卵Eを卵パックのような卵収容器Pに包装する包装装置30を備え、各包装装置30は、トレイ分離ライン13a,13bに一対一の関係で接続している。包装装置30は、段バラシ装置133から段ばらしされたトレイTを受け、トレイTに充填された卵Eを、卵収容器Pに移載し、封緘して包装する。包装された卵Eは、段ボール箱のような集成容器に詰められて、市場に出荷される。
【0054】
卵Eは、卵のサイズ、種類、数量等が定められた出荷要求に応じて出荷される。出荷管理システム1の各トレイ分離ライン13は、出荷要求に対して稼働し、出荷要求に応じて稼働内容を選択可能とされている。たとえば、各分離ラインを異なる出荷要求に応じて稼働させてもよいし、複数の分離ラインを1つの出荷要求に応じて稼働させてもよい。
【0055】
本実施の形態にかかる出荷管理システムによれば、多数の卵を有するトレイ群は、積載台に所定数量積載されてトレイ群集合を形成し、トレイ群集合を1つの保管単位として、スタッカークレーンを備える自動倉庫に保管される。スタッカークレーンは、保管されたトレイ群集合を1つの保管単位として複数のトレイ群を出庫するべく移動させるため、単一のトレイ群を1つの保管単位とする場合に比較して、一度の移動により出庫される卵の量は大幅に増加する。したがって、同量の卵を出庫する場合に、単一のトレイ群を1つの保管単位とする場合に比較して、スタッカークレーンの移動回数が大幅に減じられる。
【0056】
また、トレイ群集合TAの有するトレイ群TGの数量が増加すると、包装システム3に余剰の卵を送ることになるが、本発明の実施の形態にかかる卵の出荷管理システムによれば、出庫ステーション126からトレイ群集合TAを受ける取崩装置131がトレイ群集合TAの一部を取り崩し可能とされており、取崩装置131が取り崩さなかったトレイ群集合TAの他の一部を移送装置132が出庫ステーション126に逆戻し可能としているため、出庫された余剰な卵を自動倉庫12に戻すことができる。
【0057】
さらに、自動倉庫12の出庫ステーション126にトレイ群集合TAを逆戻しするためには当該出庫ステーション126を空き状態に維持する必要があるが、自動倉庫12は複数の出庫ステーション126を備えるため、転置手段122は、一の出庫ステーション126を空きの状態に維持しつつ、他の出庫ステーション126に他の出荷のためのトレイ群集合TAを移動させることができる。したがって、転置手段122が、逆戻しのために待機することなく、稼働しつづけることができ、転置手段122の稼働効率を低下させない。
【0058】
すなわち、本発明の卵の出荷管理システム1は、多数のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAを一単位として出庫を行うことにより転置手段122の移動回数を減じ、その弊害として余剰にトレイ群TGを出庫してしまうことを、出庫ステーション126にトレイ群集合を逆戻しすることにより抑止し、その弊害として出庫ステーション126を空き状態に維持しなければいけないために転置手段122の稼働効率が低下することを、複数の出庫ステーション126を設けることにより抑止できる。これにより、自動倉庫12の出庫作業の効率を高め、トレイ群TG(卵E)の余剰出庫を抑止し、転置手段122の稼働効率を低下させず、出荷管理システム1の効率を高めることができる。
【0060】
次に、本発明の実施の形態にかかる出荷管理方法Mについて説明する。以下の説明においては、先に説明した出荷管理システム1を利用して実施する出荷管理方法Mについて説明するが、出荷管理方法は、他の出荷管理システム、すなわち出荷管理システム1と異なる構成のシステムにより実現されてもよい。
【0061】
出荷管理方法Mは、卵Eを選別し、選別された卵EをトレイTに充填する選別工程S1に引き続き、選別された卵Eを充填された所定枚数のトレイTを集合させ、トレイ群集合TAを形成する集合工程M1と、形成されたトレイ群集合TAを自動倉庫12の入庫ステーション125に入庫する入庫工程M2と、入庫されたトレイ群集合TAを自走倉庫の物品保管棚121に保管する保管工程M3と、保管され前記トレイ群集合TAを自動倉庫12の出庫ステーション126から出庫する出庫工程M4と、出庫されたトレイ群集合TAをトレイTに分離する分離工程M5とを含む。
【0062】
分離工程M5の次工程として、包装工程P1があり、包装工程P1では、分離されたトレイTに充填されている卵Eを包装装置30により卵パックのような卵収容器Pに収容(包装)する。包装された卵収容器Pは段ボール箱のような集成容器に集成されて出荷される。分離工程M5は、分離されたトレイTを次工程に送る順行工程M51と、分離されなかったトレイ群集合TAのトレイTを倉庫に戻す逆戻工程M52とを含む。
【0063】
出荷管理方法Mは、自動倉庫12にトレイ群集合TAを保管するまで、すなわち保管工程M3までの貯留前プロセスと、自動倉庫12からトレイ群集合TAを出庫し出荷するまで、すなわち包装工程P1までの貯留後プロセスとに分けられる。自動倉庫12を利用した出荷管理方法Mでは、貯留前プロセス(選別)と貯留後プロセス(包装)を分離することにより、卵の選別量に関係なく需要に応じて出荷量を調整できる。
【0064】
したがって、貯留前プロセスまでは、出荷に関係なく、入荷に応じて各工程が適宜進められ、また貯留後プロセスは、入荷に関係なく、出荷に応じて工程が適宜進められる。よって、貯留前プロセスと貯留後プロセスとは、別々に行うことができるが、同時並行に行われてもよい。
【0065】
選別工程S1では、選別装置20の複列搬送部201で計量、すなわち選別された卵Eが、選別条件に対応する分配ライン203にてトレイTに充填される。したがって、各分配ライン203では、対応するサイズの卵EのみがトレイTに充填され、卵Eを充填されたトレイTが段積装置110に向けて搬送される。
【0066】
本実施の形態において、選別工程S1では、卵Eは、複列搬送部側の分配ラインから、LLサイズ、Lサイズ、Mサイズ、MSサイズ、Sサイズ、SSサイズ、それ以外のサイズに振り分けられ、各分配ラインでトレイTに充填される。したがって、各トレイTには選別により同一サイズとされた卵が充填されることになる。本実施の形態において、複列搬送部側の4本の選別搬送ライン203は、段積装置110に向けてトレイTを搬送する。
【0067】
各分配ライン203の最後のトレイTには所定個数の卵Eが充填されない場合、すなわち卵E収容座に空きが生じる場合もあるが、この所定個数の卵Eが充填されていないトレイTは、作業員により取り除かれ、段積装置110に移送されない。
【0068】
集合工程M1では、選別工程S1にて選別された卵Eを充填されたトレイTを受け、所定枚数のトレイTを集合させることにより、トレイ群集合TAが形成される。本実施の形態において、集合工程M1は、所定枚数のトレイTを段積することによりトレイ群TGを形成する段積工程M11と、段積工程M11の後に、段積された所定数量のトレイ群TGを積載台TPに積載し、トレイ群集合TAを形成する積載工程M12とを含む。1つのトレイ群集合TAは、自動倉庫12に保管される1つの保管単位とされている。
【0069】
段積工程M11では、対応する各分配ライン203から卵Eを充填されたトレイTが順次搬送され、搬送された所定枚数のトレイTが、段積装置110により段積されてトレイ群TGが形成される。このとき、奇数段と偶数段のトレイTは、相互に、水平方向に90°回転された状態で段積みされる。本実施の形態において、トレイ群TGは、6枚のトレイTが段積みされて1群のトレイ群TGが形成される。
図4に示すように、1枚のトレイTに30個の卵Eが充填されるので、1群のトレイ群TGは、180個の卵Eを有する。
【0070】
段積装置110により形成されたトレイ群TGは、積載装置111に向けて順次搬送される。最後のトレイ群TGは、所定枚数のトレイTが段積みされていない場合もあるが、この所定枚数のトレイTに満たないトレイ群TGは、作業員により取り除かれ、積載装置111に搬送されない。
【0071】
積載工程M12では、各段積装置110からトレイ群TGが順次搬送され、搬送された所定数量のトレイ群TGが積載装置111により積載される。本実施の形態では、1段あたり4列×3行のトレイ群TGが積載され、6段のトレイ群TGが重ねられる。これにより、1つのトレイ群集合TAは、72群(=4×3×6)のトレイ群TG、すなわち432枚のトレイTを有し、12,960個の卵Eを有する。
【0072】
積載装置111は、1回の動作で1行分の4群のトレイ群TGを積載台TPに積載する。したがって、3回の動作で1段分のトレイ群TGを積載し、18回の動作で6段分、すなわち所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAが形成される。トレイ群TGを積載台TPに積載されたトレイ群集合TAは、自動倉庫12に向けて搬送される。
【0073】
各トレイ群集合ライン11で形成される最後のトレイ群集合TAは、所定数量のトレイ群TGが積載されていない場合、すなわち端数となる場合もある。本明細書において、この所定数量のトレイ群TGが積載されていないトレイ群集合TA、すなわち所定数量に満たないトレイ群を集合させたトレイ群集合を端数トレイ群集合と称する。この所定数量のトレイ群TGを積載されていない端数トレイ群集合も、通常のトレイ群集合と同様に、そのまま自動倉庫12に搬送される。
【0074】
段積装置110は、端数トレイ群集合の有するトレイ群TGの数量をトレイ群の数量情報として自動倉庫12に送信する。また、端数トレイ群集合以外のトレイ群集合TAに対しては、所定数量のトレイ群TGが積載されていることをトレイ群の数量情報として自動倉庫12に送信する。したがって、自動倉庫12は、トレイ群集合TAと端数トレイ群集合の数量および、端数トレイ群集合の有するトレイ群TGの数量を記憶する。トレイ群の数量情報は、作業員により自動倉庫の制御部に入力されてもよい。
【0075】
本実施の形態の以下の説明において、トレイ群集合ライン11aの積載装置111によるトレイ群の積載では、所定数量のトレイ群TGが積載されたトレイ群集合が形成された後に、最後のトレイ群集合TAに5段分のトレイ群TG、すなわち60群のトレイ群TGが積載台TPに積載されて端数トレイ群集合が形成された場合を想定する。
【0076】
入庫工程M2では、積載装置111から搬送されたトレイ群集合TAが入庫ステーション125に入庫される。本実施の形態において自動倉庫12は、物品保管棚121の一部の物品保管部124を、複数のトレイ群集合ライン11に一対一の関係となるように、入庫ステーション125とされており、複数のトレイ群集合TAを各トレイ群集合ライン11に対応する入庫ステーション125に並行して入庫可能とされている。
【0077】
保管工程M3では、入庫ステーション125に入庫された積載台TPが、転置手段122により所定の物品保管部124に移動され、物品保管部124に保管されることにより、卵Eが自動倉庫12に貯留される。転置手段122は、同数の卵Eを自動倉庫12に入庫するとすれば、1つのトレイ群集合TAの有するトレイ群TGが多いほど、トレイ群集合TAを物品保管棚121に移動させる移動回数が少なくなる。
【0078】
すなわち、転置手段122(スタッカークレーン)の移動回数は、1つのトレイ群集合TAが有するトレイ群TGの数量に反比例する。したがって、本実施の形態において、トレイ群集合TAは、積載台TPに積載された複数のトレイ群TGであるため、同じ枚数のトレイを移動することを想定すると、トレイ群集合TAを1群のトレイ群TGとする場合と比較して、転置手段122の移動回数が減ずる。
【0079】
たとえば、720群のトレイ群を保管する場合に、1群のトレイ群を1つのトレイ群集合とすると、転置手段122の移動回数は720回となるのに対し、72のトレイ群を有する積載台を1つのトレイ群集合とすると、転置手段の移動回数は、10回になる。このように、1つの保管単位のトレイ群の数を大きくすることにより、スタックレーンの移動回数が格段に減じられるため、転置手段の移動が出荷管理システム1又は出荷管理方法Mの律速となりにくい。
【0080】
保管工程M3では、端数トレイ群集合も、所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAと同様に、1つのトレイ群集合TAとして物品保管部124に保管される。自動倉庫12の制御部は、いずれの物品保管部124にいずれのトレイ群集合TAを保管しているか記憶する。したがって、自動倉庫12の制御部は、端数トレイ群集合保管している物品保管部124の位置を、積載装置111から送られるトレイ群の数量情報と合わせて記憶する。
【0081】
貯留後プロセスでは、卵Eの需要に応じて各装置が稼働する。すなわち、出荷管理システム1は、出荷される卵の数量、種類等に応じて、いずれのトレイ分離ライン13をどのように利用して卵Eを出荷させるかを設定される。以下では、1本のトレイ分離ライン13で同一種類(サイズ)の卵Eを20,000個出荷することを想定して説明する。
【0082】
出庫工程M4では、出荷する卵Eの個数に応じて出庫指示が与えられ、自動倉庫12の制御部は、これに基づいて出庫するトレイ群集合TAの数量を決定する。トレイ群集合TAは、物品保管棚121から転置手段122により出庫ステーション126に移動されることにより出庫される。本実施の形態において、出庫指示は、同日に産卵され、同一サイズと選別された卵Eを同一グループとし、同一グループに属する卵Eのみを有するトレイ群集合TAを同一出庫ステーション126に移動させる指示となる。
【0083】
転置手段122は、出庫指示に従い、トレイ群集合、すなわち所定数量のトレイ群TGの積載された積載台TPを所定の出庫ステーション126に順次移動させる。出庫ステーション126に移動された積載台TPは、移送装置132により取崩装置131に向けて搬送される。出庫ステーション126は、後に説明する逆戻工程M52に対応するため、出庫されるトレイ群集合のうち、最後尾のトレイ群集合TAを移送した後、他のトレイ群集合TAを移動されることなく、空いた状態で待機する。
【0084】
転置手段122は、同じ数量のトレイ群TGを出庫するとすれば、1つのトレイ群集合TAの有するトレイ群TGが多いほど、移動回数が少なくなる。すなわち、転置手段122の移動回数は、1つのトレイ群集合TAが有するトレイ群TGの数量に反比例する。したがって、本実施の形態において、トレイ群集合TAは、積載台TPに積載された所定数量のトレイ群TGを有するため、トレイ群集合TAを1群のトレイ群TGとする場合と比較して、転置手段122の移動回数は減じられる。
【0085】
出庫工程M4では、出庫の際に同一グループとされたトレイ群集合TAの中に端数トレイ群集合がある場合に、端数トレイ群集合を他のトレイ群集合TAに優先して出庫する。本明細書において、優先して出庫するとは、端数トレイ群集合が物品保管棚に保管されている場合に端数トレイ群集合を必ず出庫することを意味し、端数トレイ群集合を先に出庫するといった出庫の順序が先であることを意味しない。
【0086】
本実施の形態において、同一グループに属する卵Eが充填されたトレイ、すなわち同一グループに属する複数のトレイ群集合の中に、60群のトレイ群TGを有する端数トレイ群集合が物品保管棚124に保管されている。すると、20,000個の卵Eの出荷を想定する場合、端数トレイ群集合が10,800個の卵を有し、1つのトレイ群集合TAが12,960個の卵Eを有するため、端数トレイ群集合を優先して出庫すると、端数トレイ群集合を含む2台の積載台TPが出庫される。このとき、自動倉庫12から出庫される卵Eは、23,760個(=10,800個+12,960個)となる。したがって、3,760個(=23,760個−20,000個)の卵Eが余剰に出庫されることになる。
【0087】
分離工程M5では、トレイ群集合TAがトレイTに分離される。分離工程M5では、出荷数量に相当する卵Eを有するトレイ群集合TAが分離される。本実施の形態において、分離工程M5は、積載台TPに積載されたトレイ群TGよりなるトレイ群集合TAからトレイ群TGを取り崩す取崩工程とトレイ群TGからトレイTを段ばらしし、トレイTに分離する段バラシ工程とを含む。取崩工程53は、出庫工程M4の後、かつ順行工程M51及び逆戻工程M52の前に行われ、段バラシ工程M54は、順行工程M51の後に行われる。したがって、本実施の形態において、順行工程M51の次工程は段バラシ工程M54となる。
【0088】
取崩工程M53では、取崩装置131に搬送された積載台TPが、取崩装置131の1回の動作で1行分にあたる4群のトレイ群TGを取り崩すため、3回の動作で1段分のトレイ群TGを、18回の動作で所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合の全てのトレイ群TGを取り崩す。取り崩されたトレイ群TGは段バラシ装置133に向けて順次搬送される。取崩装置131は、出荷数を満たす卵Eを有するトレイ群TGを取り崩した時点で取り崩しを止める。したがって、出荷量を満たすトレイ群TGに該当するトレイ群TGを有するトレイ群集合TAでは、一部のトレイ群TGが取り崩され、他の一部のトレイ群TGが取り崩されずに、端数トレイ群集合として残る。
【0089】
取崩工程M53では、20,000個の卵Eが出荷要求としてあった場合、112群(20,160個)のトレイ群が必要となるため、取崩装置131は、1台目のトレイ群集合TA(端数トレイ群集合)の60群に加え、2台目のトレイ群集合TAの52群のトレイ群が必要になる。したがって、2台目のトレイ群集合において、52群(4の倍数)のトレイ群集合TAが取り崩され、20群のトレイ群、すなわち、1段分(12群)と2段目の2行分(8群)のトレイ群TGが積載台TPに取り崩されずに残る。
【0090】
段バラシ工程M54では、取崩工程M53で取り崩されたトレイ群TGが、各トレイTに分離される。分離されたトレイTは、包装装置30に順次搬送される。段バラシ工程M54では、取崩工程M53から搬送されるトレイ群TGを全て段ばらしする。本実施の形態において、112群のトレイ群TGが取り崩されるため、段バラシ工程では、672枚のトレイTに段ばらしされる。
【0091】
順行工程M51では、分離工程M5で分離されたトレイTを次工程に送る。本実施の形態において、順行工程M51は、取崩工程M53の後に行われる。順行工程M51では、取崩工程M53から送られたトレイTを全て次工程である段バラシ工程M54に搬送し、段バラシ工程M54は、段ばらしした全てのトレイTを包装工程P1に送るため、出荷数量を超える余剰の卵Eが包装される。
【0092】
しかし、取崩工程M53では、出荷量を満たす一部のトレイ群TGが取り崩されたところで、取り崩しが終えられ、他の一部のトレイ群TGが取り崩されないため、包装工程P1に送られる卵Eは、出荷量を大きく超えることはない。すなわち、余剰となる卵Eの最大個数は、取崩装置131が1回の動作で取り崩すトレイ群の有する卵の個数−1個となり、本実施の形態において、最大で719個(4群のトレイ群TG)となり、20,000個の出荷要求に対しては、20,160個の卵Eが包装工程P1に送られる。したがって、20,000個の出荷要求に対しては、余剰の卵Eは160個にとどまる。
【0093】
逆戻工程M52では、取り崩されなかった他の一部のトレイ群TGは、積載台TPに積載された状態のまま、移送装置132により、空いた状態の出庫ステーション126に戻される。逆戻工程M52は、分離工程M5で分離されたトレイTを次工程に送る。本実施の形態において、逆戻工程M52は、取崩工程M53の後に行われる。逆戻工程では、移送装置に国際公開2011/129699に記載のロボットを利用して、出庫ステーション126にトレイ群集合TAを戻してもよい。
【0094】
逆戻工程M52にて端数トレイ群集合が自動倉庫12に戻される場合に、逆戻工程M52の後に、再入庫工程M6、再保管工程M7、再出庫工程M8が行われる。再入庫工程M6では、出庫ステーション126に戻された端数トレイ群集合は、転置手段122により物品保管棚121に移動される。このとき、元の物品保管部124に戻されてもよいし、異なる物品保管部124に戻されてもよい。
【0095】
自動倉庫12の制御部は、戻された端数トレイ群集合のトレイ群TGの数量を取崩装置131より受けて記憶する。自動倉庫12の制御部は、トレイ群TGを1つの管理単位、すなわち、保管単位よりも1つ小さい単位で記憶、管理する。
【0096】
再保管工程M7では、再入庫工程M6にて物品保管棚121に移動された端数トレイ群集合を保管する。また、再出庫工程M8では、再保管工程M7にて保管された端数トレイ群集合を転置手段122が出庫ステーション126に移動する。
【0097】
再出庫工程M8では、戻された端数トレイ群集合を再び出庫する出庫指示があった場合に、転置手段122が物品保管棚121に保管された端数トレイ群集合を所定の出庫ステーション126に移動させる。このとき、端数トレイ群集合が有する卵と同一グループの卵を有する所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAも物品保管棚121に保管されている場合があるが、所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAに対して端数トレイ群集合が優先して出庫される。これにより、同一種類の卵を有するトレイ群集合グループにおいて、端数トレイ群集合が2つ以上生じることがないため、物品保管棚の物品保管部が有効活用される。
【0098】
本実施の形態において、出荷管理方法Mでは、出庫工程M4で余剰に出庫された3,760個の卵Eのうち、実際に余剰に包装工程P1に送られる卵Eは160個にとどまるため、3,500個の卵Eは、自動倉庫12に戻され、再び保管される。したがって、一度出庫された2台目のトレイ群集合TAが端数トレイ群集合として、自動倉庫12に再び保管される。逆戻しされたトレイ群集合TAは、端数トレイ群集合として、残されたトレイ群TGの数量とともに自動倉庫12の制御部に記憶される。
【0099】
包装工程P1では、順行工程M51から送られてきたトレイTに充填された卵Eを移載装置により卵収容器Pに収容し、包装する。包装された卵Eは、段ボール箱のような集成容器に集成されて、出荷される。余剰に包装された卵Eは、出荷されてもよいし、取り置きされてもよい。余剰に包装された卵Eの数量が少ないため、出荷、取り置きに障害とならない。
【0100】
上記の説明では、1つのトレイ分離ライン13が稼働する場合、すなわち、1つの出庫ステーション126、1つの取崩装置131、1つの段バラシ装置133について説明したが、出荷管理システム1は、複数本のトレイ分離ライン13を備え、出荷管理方法では、複数本のトレイ分離ライン13を並行して稼働させることができる。
【0101】
これにより、1本のトレイ分離ライン13において、出庫ステーション126が逆戻工程M52のために空きの状態であっても、転置手段122は他のトレイ分離ライン13の出庫ステーション126にトレイ群集合TAを移動させることができる。すなわち、転置手段122が待ちの状態となることを防止できる。したがって、出荷管理方法Mは、全体的に出荷管理を効率的に行うことができる。
【0102】
たとえば、2パターンの出荷の要求がある場合に、出荷管理方法Mでは、2本のトレイ分離ライン13のそれぞれが異なるパターンの出荷の要求に対応する。このとき、1本のトレイ分離ライン13が逆戻り工程のために出庫ステーション126を空き状態にしなければならないとしても、転置手段122は、他の1本のトレイ分離ライン13の出庫ステーション126にトレイ群集合TAを移動させることができる。
【0103】
特に、卵は、産卵された日、鶏種、選別されたサイズ等により多種類のグループに分けられるため、複数のグループに属する卵を出荷するときに、複数の出庫ステーションが利用される。したがって、そのような場合に、逆戻工程のために出庫ステーションを空き状態にする頻度も増えるが、空き状態ではない他の出庫ステーションに他のグループに属するトレイ群集合を搬送できる。よって、自動倉庫の効率は格段に高まる。
【0104】
本実施の形態において、自動倉庫12は端数トレイ群集合を優先して出庫する。これにより、1つのグループに属するトレイ群集合群において、2つ以上の端数トレイ群集合が生じることがないため、自動倉庫12の物品保管部124を有効活用できる。しかし、トレイ群集合は、従来の出荷管理方法のように、先入れ先出しにより、出庫されてもよい。
【0105】
本実施の形態において、取崩装置12の1回の動作で取り崩され、順行工程で送られるトレイ群の有する卵Eの個数−1個が余剰に包装される最大個数になる。すなわち、順行工程で次工程に送られるトレイの有する卵の個数−1が、段バラシ工程を介して、包装工程に余剰に送られる卵の最大個数になる。したがって、取崩装置において1回の動作で取り崩されるトレイ群の数量を小さくすると、余剰に送られる卵の最大個数が少なくなる。
【0106】
本実施の形態において、取崩装置は、積載装置が1回の動作で積載するトレイ群の数量(4群)と同数量のトレイ群を1回の動作で取り崩している。しかし、取崩装置は、積載装置が1回の動作で積載するトレイ群の数量より少ない数量のトレイ群を取り崩すようにしてもよい。そのようにすれば、出荷する卵の個数に対して余剰に生じる卵の個数を減らすことができる。取崩装置、又は積載装置が1回の動作で積載又は取り崩しするトレイ群の数は、例えば、リフト装置がトレイ群を保持する部分の形状、構成を変更することで調整することができる。
【0107】
積載装置は、複数回に分けてトレイ群を積載台に積載し、前記取崩装置は、複数回に分けてトレイ群を取り崩し、1回に取り崩すトレイ群の数量を、前記積載装置が1回に積載するトレイ群の数量以下とされてもよい。そのようにすれば、トレイ群集合を少ない回数で形成できるにも拘わらず、次工程に余剰に送られる卵の個数を少なくすることができる。
【0108】
本実施の形態において、端数トレイ群集合を優先して出庫するようにしたが、出荷する卵の個数を1つの前記トレイ群集合の有する卵の個数から除した場合の余りの卵を出荷端数と定義し、端数トレイ群集合の有する卵の数が、前記出荷端数を上回るときに、端数トレイ群集合を出庫するようにしてもよい。すなわち、端数トレイ群集合の有する卵Eで出荷端数をまかなえる場合は、端数のトレイ群TGを有する端数トレイ群集合が優先して出庫されるようにしてもよい。
【0109】
一方、端数トレイ群集合が有する卵Eの個数が出荷端数より少ない場合に、端数トレイ群集合は出庫されずに、所定数量のトレイ群TGを有するトレイ群集合TAのみが出庫されるようにしてもよい。また、単に入庫したトレイ群集合から順に出庫する、いわゆる先入れ先出しにより、トレイ群集合を出庫するようにしてもよい。
【0110】
本実施の形態において、72群のトレイ群を1つのトレイ群集合としたが、1群のトレイ群を1つのトレイ群集合としてもよい。また、本実施の形態において、各分配ラインは、サイズごとに分けられているが、他の基準によりわけられてもよい。たとえば、分配ラインの1つをいわゆる定重量用の分配ラインとしてもよい。さらに、本実施の形態おいて、所定個数の卵が充填されていないトレイ及び所定枚数のトレイが積載されていないトレイ群を、作業員が取り除くようにしたが、そのまま搬送させ、トレイ群集合に組み込んでもよい。
【0111】
本実施の形態において、自動倉庫に保管される卵の最大個数は、300,000個程度を想定されている。しかし、自動倉庫に保管される卵の最大個数は、自動倉庫の物品保管棚の容量に依存し、物品保管棚の容量を増加できれば制限をうけない。
【0112】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。