特許第6124872号(P6124872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6124872レールホイール及びレールホイールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124872
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】レールホイール及びレールホイールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60B 17/00 20060101AFI20170424BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20170424BHJP
   B61H 5/00 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   B60B17/00 B
   F16D65/12 P
   F16D65/12 R
   F16D65/12 X
   B61H5/00
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-509694(P2014-509694)
(86)(22)【出願日】2012年5月7日
(65)【公表番号】特表2014-514210(P2014-514210A)
(43)【公表日】2014年6月19日
(86)【国際出願番号】EP2012058324
(87)【国際公開番号】WO2012152732
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2015年5月7日
(31)【優先権主張番号】102011100974.8
(32)【優先日】2011年5月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ニースナー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ズィーグル
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−509211(JP,A)
【文献】 特開2008−056100(JP,A)
【文献】 特開平06−094036(JP,A)
【文献】 特開2009−008135(JP,A)
【文献】 特開2000−314424(JP,A)
【文献】 特開2006−036112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 17/00−19/14
B61H 5/00
F16D 49/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールボディ(1)と、該ホイールボディの両側に固定要素によって取り付けられている摩擦ディスク(2)とを備えたレールホイールであって、
少なくとも前記摩擦ディスク(2)の各接触面(B)と、前記ホイールボディ(1)の接触面(A)との間に、多層性のコーティング部(7)が配置されており、
第1の材料層(X)がリン酸塩を含む材料層(X)であり、該材料層(X)は、前記摩擦ディスク(2)の接触面(B)に供給されており、
前記コーティング部(7)は、前記ホイールボディ(1)の接触面(A)寄りの、リン酸塩を含む材料層(X)の表面に、潤滑剤を含む材料層(Y)を有することを特徴とする、レールホイール。
【請求項2】
前記コーティング部(7)の温度耐性は、少なくとも300℃であることを特徴とする、請求項1記載のレールホイール。
【請求項3】
前記摩擦ディスク(2)及び前記ホイールボディ(1)の接触面(A及びB)の摩擦の摩擦係数は、少なくとも0.06及び最大0.2であることを特徴とする、請求項1又は2記載のレールホイール。
【請求項4】
前記コーティング部(7)のリン酸塩処理された材料層(X)は、少なくとも4g/mから最高で100g/mの層重量を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項5】
前記コーティング部(7)のリン酸塩処理された材料層(X)は、少なくとも5μmから最高で20μmの層厚さを有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項6】
前記リン酸塩を含む材料層(X)は、1つ又は複数の金属リン酸塩から成っていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項7】
前記リン酸塩を含む材料層(X)は、リン酸マンガン、リン酸亜鉛及び/又はリン酸鉄から成っていることを特徴とする、請求項6記載のレールホイール。
【請求項8】
前記潤滑剤を含む材料層(Y)は、硬化性の滑りラッカであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項9】
前記潤滑剤を含む材料層(Y)は、少なくとも一種類の乾性潤滑剤を有するか、又は一種類又は多種類の乾性潤滑剤から成ることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項10】
前記乾性潤滑剤は二硫化モリブデンMoSであることを特徴とする、請求項9記載のレールホイール。
【請求項11】
前記摩擦ディスク(2)の接触面(B)に直接的に載着している材料層(X)は、該材料層(X)上に配置されている材料層(Y)よりも高い機械的な耐久性及び/又は高い耐熱性を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のレールホイール。
【請求項12】
1つ又は複数の摩擦ディスクを備えたレールホイールの製造方法であって、
A)ホイールボディ(1)の接触面(A)に当接する接触面(B)を備えた摩擦ディスク(2)を提供するステップと、
B)リン酸塩を含む材料層(X)の形成下で、少なくとも前記摩擦ディスク(2)の接触面(B)をリン酸塩処理するステップと、
C)前記リン酸塩を含む材料層(X)に潤滑剤を含む材料層(Y)を提供するステップと、
D)前記レールホイールを組み付けるステップと、
を有し、
前記摩擦ディスクの組付け時に、ホイールボディ(1)のコーティングされていない金属製のホイールウェブ(3)に固定することを特徴とする、レールホイールの製造方法。
【請求項13】
前記ホイールボディ(1)のホイールパンを、前記レールホイールの組付け後に防食剤でもって浸すことを特徴とする、請求項12記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載したレールホイール、及び請求項14の上位概念部に記載したレールホイールの製造方法に関する。
【0002】
レール車両を制動するための摩擦ディスクとレールホイールとの結合は、ホイールウェブにおける摩擦ディスクの螺合により可能になる。この結合は、摩擦ディスクが加熱時に膨張することでき、冷却時に再び収縮することができるように構成されている必要がある。この温度に起因した膨張及び収縮は、ホイールウェブにおける摩擦ディスクの滑り運動を惹起する。この滑り運動は、ネジの予負荷力に基づき、比較的高い圧力下で行われる。
【0003】
摩擦ディスクは、典型的には耐久性のあるコーティングを有していない金属が露出した状態で提供される。ディスクは、この構成において時間的に制限された期間に亘って、摩擦ディスクに防食部を提供する油で被覆されていてよい。まさに長期の支承、特に自由支承(Freilagerung)の場合には、とりわけ摩擦ディスクの接触面の腐食に繋がることがある。
【0004】
製造業者の中には、例えばホイールウェブのベースコーティングを行うか、又は滑り運動に基づき、とりわけ徐々に再びホイールウェブと摩擦ディスクとの接触領域から搬出されるので、長時間に亘ってホイールウェブと摩擦ディスクとの間の摩擦の緩和を保証することができない組付け滑りペーストの被着も行う業者があった。
【0005】
摩擦が増大すると直ぐに、とりわけ一層、「フレッティング」としても公知である、擦過腐食及び凝着摩耗が起こることになる。この凝着摩耗により、ブレーキディスクの膨張及び収縮は制動時に妨げられ、ネジ予負荷は減じられる。またこれにより、高い荷重が生じ、螺合部の耐用年数を縮める。
【0006】
ブレーキディスクとホイールウェブとの明確に定義された持続的な接触が移動した場合であって、自体公知の滑りラッカを使用した場合には、レールホイールの金属製の表面若しくはホイールウェブの接触面と滑りラッカ層との結合が、十分な耐久性を有していないという問題が生じる。滑りラッカは、数回の制動後に金属製の表面から剥離する。金属と金属との摩擦が生じ、かつこれに伴う凝着摩耗及び擦過腐食の問題が生じていた。
【0007】
したがって本発明の目的は、摩擦ディスクを備えるレールホイールにおける凝着摩耗の発生の作用を長期間に亘って減じることである。
【0008】
上記目的は、請求項1の特徴を備えたレールホイールにより達成され、かつ請求項14の特徴を備えた方法により達成される。
【0009】
本発明によれば、ホイールブレーキディスクを備えたレールホイールは、ホイールボディと、このホイールボディの両側に固定要素によって取り付けられている摩擦ディスクとを有する。この構成において、少なくとも摩擦ディスクの各接触面とホイールボディの接触面との間に、多層性のコーティング部が配置されている。
【0010】
例えば温度耐性又はコーティング部の硬度を全体的に高める、個々の材料層の相乗効果を用いるために、コーティング部は多層に構成されている。多層のコーティング部により、ホイールボディ内への摩擦ディスクの圧入の低減及び固定要素の初期荷重応力損失(Vorkraftspannverluste)の低減を可能にする。
【0011】
基本的にレールホイールの構造及び製造は、例えば国際公開第2009/086900号において公知である。この構成において、凝着摩耗は、摩擦ディスク若しくはホイールブレーキディスクとホイールウェブとの間に配置されている金属製の金属薄板から成る介在層により減じられる。
【0012】
金属製の薄板から成る介在層に対して択一的に、摩擦ディスクとホイールボディとの間の少なくとも各接触領域における多層性のコーティング部の配置により、フレッティング現象及びホイール損傷の低減が可能になる。この第1の材料層は、材料を節約するために摩擦ディスクの各接触面に直接的に供給されていてよい。択一的には、摩擦ディスク全体がコーティングされていてもよい。
【0013】
コーティング部の多層性の配置は、特に好ましくは組付け前に既に摩擦ディスクに存在していてよいか、又は摩擦ディスク及びホイールボディの接触面の共働において初めて生じ得る。したがって、例えば、摩擦ディスクの接触面は、第1の機械的及び熱的に高い負荷耐性を有する第1の材料層を有し、ホイールボディの接触面が、レールホイールの組付け後に一緒に多層性のコーティング部をもたらす潤滑剤を含む材料層を有する、ということも可能である。
【0014】
本発明の有利な実施例は、従属請求項の対象である。
【0015】
特にリン酸塩を含む材料層は、大きな耐摩耗性を有すると同時に、摩擦ディスクの金属製の下地との極めて堅固な複合体を形成するので、滑りコーティングの場合とは異なり、材料層の剥離は多くの制動後には見受けられない。
【0016】
リン酸塩を含む材料層に、好ましくは潤滑剤を含む材料層を供給することができる。この構成において、リン酸塩を含む材料層は、キャリア材料として適していて、例えば硬化する滑りラッカ又は乾性潤滑剤コーティング部といった、第2の材料層の堅固な付着が可能である。
【0017】
本発明によれば、1つ又は複数の摩擦ディスクを備えたレールホイールの製造方法は、以下のステップを有する。つまり、
A)ホイールボディの接触面に当接する接触面を備えた摩擦ディスクを提供するステップと、
B)リン酸塩を含む材料層の形成下で、摩擦ディスクの少なくとも接触面をリン酸塩処理するステップと、
C)リン酸塩を含む材料層に潤滑剤を含む材料層を提供するステップと、
D)レールホイールを組み付けるステップと、を有する。
【0018】
摩擦ディスクの提供は、一般的には成形部品の鋳造又は鍛造及び続く機械的な加工により行うことができる。
【0019】
続いて、リン酸塩処理、つまりリン酸塩を含む材料層の、摩擦ディスクの接触面への供給が行われる。これにより接触面に、機械的負荷耐性を有すると同時に熱的に安定した材料層が形成される。この材料層は、一面側では潤滑剤を含む層用のキャリア材料として作用し、制動過程中の上記層の剥離を防ぐ。この相乗効果により、摩擦ディスク及びホイールボディの接触面の一定でかつ持続的な滑り運動が可能になる。その際、フレッティング現象は生じない。
【0020】
摩擦ディスク及びこの摩擦ディスクのコーティング部の可能な限り一定の品質を達成するために、摩擦ディスクの接触面のリン酸塩処理用の標準化された方法の使用が有利であると認識された。この構成においては、DIN EN12476のバリエーションT1が提供される。
【0021】
摩擦ディスクがコーティングされていて、かつホイールボディの金属製で、コーティングされていないホイールウェブに取り付けられると十分である。接触面への劣悪なアクセス性に基づき、ホイールウェブのコーティングには明らかに作業上の手間がかかるので、ホイールウェブの接触面の付加的なコーティングにより、レールホイールの製造時のさらなるコスト要因が発生することになる。もっとも、摩擦ディスクの接触面のコーティングは既に、焼付き(Festfressen)を防ぐために、十分でかつ持続的な摩擦の低減を保証しているということが分かった。
【0022】
本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るレールホイールの部分断面図である。
図2】組付け時の、図2に示したレールホイールの部分断面図である。
【0024】
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1,2では、ホイールボディ1に摩擦ディスク2が取り付けられているか若しくは組み付けられている。
【0026】
この実施の形態において、半径方向に延びている周方向の2つの接触面Aを形成する、ホイールボディ1のホイールウェブ3は孔8を有する。この孔8を通じてネジ6が案内されている。このネジ6でもって摩擦ディスク2は、ホイールボディ1に結合されている。
【0027】
図3に示すように、各ネジ6のうち複数のネジが同じ角度間隔を置いて周方向で円を成して配分されていて、各ネジ6は、各摩擦ディスク2の固定アイ5を通じて案内されている。この固定アイ5は端面側で、摩擦ディスクの冷却フィン4と同様に、ホイールウェブ3に対して接触領域を形成する。
【0028】
固定アイ5の接触領域と、冷却フィン4と、ホイールウェブ3との間で、各摩擦ディスク2に対してコーティング部7が配設されて配置されている。このコーティング部7には一方の側で、ホイールウェブ3の接触面Aが当接していて、他方の側では摩擦ディスク2の接触面Bが当接している。
【0029】
コーティング部7は、好ましくは摩擦ディスク2の接触面Bに供給される。ホイールウェブ3の接触面Aは、コーティングされないままであってよいか、又は自由選択的に同様にコーティング部を有していてもよい。この接触面Aの自由選択的なコーティング部は、例えば接触面Bのコーティング部7に類似であってよいか、又は潤滑剤層として形成されていてもよい。
【0030】
さらにコーティング部7は、摩擦ディスク2の周方向の円全体に亘って、接触面Bに配分することができるか、又は材料を節約するように単に部分的に配分することができる。周方向の円全体での配分、という実施の形態が有する利点は、周方向の円全体に亘る接触面A及びBの領域における可能な限り均一な熱分配という点にある。
【0031】
この実施の形態において、上記コーティング部7は、リン酸塩を含む少なくとも1つの材料層Xを有する。好ましくは、材料層Xのコーティング部は、1つ又は複数の結晶質の金属リン酸塩、好ましくはリン酸マンガン、リン酸亜鉛又はリン酸鉄から成る。多層性のコーティング部7は、好ましくはホイールウェブ3と摩擦ディスク2との、コーティングされていないコンタクトマッチング(Kontakpaarung)よりも大きな耐摩耗性を有する。
【0032】
摩擦ディスク2のコーティング部7のリン塩酸を含む材料層Xの層重量(Schichtgewicht)は、レールホイールにおける使用のためには、好ましくは少なくとも4g/m〜最高で100g/mである。比較的小さな層重量を有するコーティング部はしばしば、機械的な荷重に耐えることができない一方で、比較的大きな層重量は、複数のネジ結合の陥没(Setzen)時にネジ結合の高い合計に基づき欠点であることが認識された。
【0033】
摩擦ディスク2のコーティング部7のリン酸塩を含む材料層Xの層厚さは、5〜20μmである。層厚さの上記値を明らかに超過した場合、個々の事例において陥没現象が生じ、ネジのゆるみが起こることがある。
【0034】
図2に拡大して示すように、上記コーティング部7の材料層Xに、付加的に他の材料層Yが供給されている。この材料層は、潤滑剤、好ましくは乾性潤滑剤から成っているか、又は少なくとも潤滑剤粒子を有する。乾性潤滑剤若しくは固体潤滑剤としては、とりわけ二硫化モリブデン、グラファイト、PTFE又はアルファ窒化ホウ素が挙げられる。この実施の形態において、潤滑剤は、好ましくは少なくとも300℃の温度耐性を有していることが望ましい。この実施の形態において、二硫化モリブデンは、レールホイールでの使用に特に適していると認識された。
【0035】
コーティング部7により、接触面Aと接触面Bとの摩擦係数を、0.06〜0.2の値で安定させることを可能にすることができる。接触面は互いに再び離すことができる。
【0036】
以下に、図1〜3に基づいて、レールホイール用の摩擦ディスク2の、本発明に係る製造方法を詳細に説明する。
【0037】
第1のステップにおいて、コーティングされていない摩擦ディスクの提供を行う。この提供は、一般的には成形部品の鋳造若しくは鍛造、場合によっては成形部品の続く機械的な加工を含んでいてよい。
【0038】
第2のステップにおいて、摩擦ディスク2には機械的な加工の後で、図1,2において示されているように、ホイールウェブ3を向いた少なくとも接触面Bに、コーティング部7が備え付けられる。このコーティング部は、少なくとも1つのリン酸塩を含む材料層を有する。したがって、さらにコーティング部7の供給は、リン酸塩処理と呼ばれる。コーティング部は、好ましくはDIN EN12476のバリエーションT4により、接触面Bに供給して形成することができる。
【0039】
択一的にはホイールディスク2は、接触面Bを含めて全ての面をリン酸塩処理することもできる。リン酸塩処理後においては、リン酸塩を含む材料層Xは、結晶質で、好ましくは摩擦ディスク2の接触面Bに存在し、例えば乾性潤滑剤層のように、他の材料層のための最適な支持体である。上記ブレーキディスクの長期に亘る運転時ですら、依然として、摩擦ディスクの接触面とホイールウェブとの間には潤滑剤が存在する。したがって持続的に良好な接触状態が達成される。
【0040】
必要な場合には、リン酸塩処理後に、ホイールボディ1のホイールウェブ3における、摩擦ディスク2の摩擦係数をさらに減じる潤滑剤若しくは減摩剤を塗布することができる。
【0041】
このように製造された摩擦ディスクは、コーティングされていない金属製のホイールウェブに、好ましくはネジ止めにより固定することができる。この実施の形態において、ホイールウェブ3のアクセスしにくい接触面Aの付加的なコーティングプロセスを、有利に省略することができる。
【0042】
択一的には、例えばホイールウェブ3に、レールホイールが組み付けられた状態にあり、かつ接触面Aが潤滑剤層と、接触面Bがリン酸塩を含む材料層Xと互いに当接するやいなや、リン酸塩を含む材料層Xと共働して、多層性のコーティング部7を形成する、潤滑剤層を備えた材料層を供給することもできる。
【0043】
多層性のコーティング部により、摩擦ディスクの接触面の有効な防食も可能になる。
【0044】
摩擦ディスク2のコーティング及び組付け後に、ホイールパン(Radpfanne)は、ホイールウェブ3の保護のために防食剤でもって浸すことができる。
【符号の説明】
【0045】
1 ホイールボディ
2 摩擦ディスク
3 ホイールウェブ
4 冷却フィン
5 固定アイ
6 ネジ
7 コーティング部
8 穿孔
図1
図2
図3