(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
インテグレートされた(integrierten)第1のコンデンサとインテグレートされたYコンデンサとを備えたコンデンサデバイスを以下に説明する。Yコンデンサは、第2のコンデンサと第3のコンデンサとを備え、当該第2のコンデンサと当該第3のコンデンサとは、互いに直列に接続され、第1のコンデンサに対し並列に回路接続されている。たとえばデバイスとコンデンサとが少なくとも1つの共通な電圧源を備えるかまたは1つの共通なハウジングを備える場合には、このコンデンサは、「デバイスにインテグレートされた」と表現されてよい。
【0007】
第1のコンデンサは第1の容量を備える。第2のコンデンサは第2の容量を備える。第3のコンデンサは第3の容量を備える。
【0008】
Yコンデンサにおいては、好ましくは第2のコンデンサの電極および第3のコンデンサの電極が基準電位に接続されている。
【0009】
本発明は、第1のコンデンサとYコンデンサとを1個のデバイスにインテグレートすることを可能とする。これにより、システムインテグレーションを改善することができる。本発明でのシステムインテグレーションの基本的アイデアは、多数の個別素子を可能な限り少ないデバイスに集約することであり、こうしてこれらの素子により占有される容積を最小とすることである。
【0010】
この第1のコンデンサは、たとえば中間回路コンデンサ(Zwischenkreiskondensator)である。コンバータの中間回路には、中間回路コンデンサおよびYコンデンサが使用されてよい。このYコンデンサの役割は、非対称な擾乱(Storungen)を抑えることである。
【0011】
好ましくは、この第1のコンデンサとYコンデンサとを1つのデバイスにインテグレーションすることにより、個別のデバイスを用いたキャパシタ電池(Kondensatorbatterie)に比べて、顕著に大きな容積占有率が達成される。
【0012】
1つの実施形態では、このコンデンサデバイスは、複数のコンデンサの電気的接続のための少なくとも1つのバスバーを備える。好ましくは、このコンデンサデバイスは、第1および第2のバスバーを備える。これら2つのバスバーは、少なくとも第1のコンデンサと接続されている。これらのバスバーは、好ましくは第1のコンデンサとYコンデンサとの接続を同時に行うことができる。この場合、このコンデンサデバイスは、第1のコンデンサとYコンデンサのコンデンサとを一緒に接続するための共通の接続端子が使用され得ることを特徴とする。これに対応してシステムインテグレーションが改善されるが、これは全てのコンデンサに電源供給のための個別の接続端子を設ける必要がないからである。
【0013】
1つの実施形態では、このコンデンサデバイスは円環形状となっている。代替として、本発明によるコンデンサデバイスは、扁平に形成されてよく、またはいかなる他の幾何学的形状を有してもよい。円環形状のコンデンサデバイスは、とりわけ放射対称性の設置空間、たとえばホイールハブモータ(Radnabenmotor)の設置空間への設置に適している。第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサおよびこれらのバスバーは、円環形状に形成されてよい。第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ、およびバスバーから選択された少なくとも1つの素子は円環形状に形成されてよい。好ましくは、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ、およびバスバーは円環形状となっている。
【0014】
さらに、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ、および/またはバスバーは、共通な対称軸に対し放射対称に形成されてよい。第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ、およびバスバーから選択された少なくとも1つの素子は、共通な対称軸に対し放射対称に形成されてよい。好ましくは、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、第3のコンデンサ、およびバスバーは共通な対称軸に対し放射対称になっている。
【0015】
1つの実施形態では、このコンデンサデバイスは、基体を備える。好ましくは、この基体は、複数の内部電極とこれらの間に配設された誘電体薄膜とを有する薄膜積層体を備える。好ましくは、この誘電体薄膜はポリマー薄膜である。この誘電体薄膜は、少なくとも1つの外面がメタライズ化されてよい。この場合、内部電極が誘電体のメタライズ化によって形成される。好ましくは、これらのメタライズ化されたポリマー薄膜は、この薄膜積層体における誘電体層とメタライズ化層とが薄膜の面法線に沿って交互になっている。
【0016】
Yコンデンサのこれらのコンデンサは、基体の薄膜から形成されてよい。このため、この基体は、第1,第2,および第3のコンデンサを形成するための第1,第2,および第3の薄膜を備える。代替として、Yコンデンサのこれらのコンデンサは、バスバー、さらなる金属薄膜、およびさらなる誘電体薄膜によって形成されてよい。このさらなる金属薄膜は、たとえばアルミニウム薄膜であってよい。このさらなる誘電体薄膜は、ポリアミドを含んでよい。
【0017】
さらに、このコンデンサデバイスの基体は、薄膜積層体の電気的回路接続のための手段、たとえばメタライジング部を備えてよい。これらのメタライジング部は、基体の外面の上に配設されていてよい。
【0018】
第1のコンデンサは、基体の一部であってよい。第2および第3のコンデンサは、このコンデンサデバイスの基体の上に取り付けられているか、または基体によって形成されてよい。
【0019】
1つの実施形態では、この基体に少なくとも1つの絶縁用の分離薄膜が配設されている。この場合には、基体を用いてYコンデンサをとりわけ容易に形成することができる。この絶縁用分離薄膜によって、薄膜積層体は、複数の互いに絶縁された容量に分離されてよい。好ましくは、この薄膜積層体は、第1,第2,および第3の容量に分離され、この第1の容量は、第1のメタライズ化された誘電体薄膜によって形成され、第2の容量は、第2のメタライズ化された誘電体薄膜によって形成され、第3の容量は、第3のメタライズ化された誘電体薄膜によって形成される。ここで全ての容量は、好ましくは薄膜積層体の内部電極によって形成され、2つの内部電極の間にはそれぞれ誘電体薄膜が配設されている。この第1の容量は、好ましくは第1のコンデンサの容量である。第2の容量は、好ましくは第2のコンデンサの容量であり、第3の容量は、好ましくは第3のコンデンサの容量である
【0020】
代替として、Yコンデンサは、このコンデンサデバイスの基体の上に取り付けられていてよい。この場合、このYコンデンサは、この薄膜積層体の部分ではない薄膜を含んでよい。たとえば、このYコンデンサは、薄膜積層体の上に配設されていてよい。たとえば、基体の上に、2つのバスバーが配設されてよく、Yコンデンサは、これら2つのバスバーおよびこれらのバスバーの間に配設された少なくとも1つの金属薄膜と誘電体薄膜とによって形成されてよい。
【0021】
この実施形態においては、Yコンデンサは、好ましくは金属薄膜、第1の誘電体薄膜、および第2の誘電体薄膜を備える。この金属薄膜は、基準電位との接続のために設けられる。この金属薄膜は、第1および第2の誘電体薄膜の間に封止されている。これらの金属薄膜と2つの誘電体薄膜は、2つのバスバーの間に配設されて、第2のコンデンサが、第1のバスバー、金属薄膜、および第1の誘電体薄膜によって形成され、第3のコンデンサが第2のバスバー、金属薄膜、および第2の誘電体薄膜によって形成される。この金属薄膜は、単に基準電圧との電気的接続のために設けられるものであって、2つのバスバーと回路接続されていない。このような構造は、これら2つのバスバーへの金属薄膜の「誘電体カップリング("dielektrische Ankopplung")」と呼ばれている。
【0022】
1つの実施形態では、コンデンサデバイスは、第1および第2の外面を備える。この第1および第2の外面は、少なくとも部分的に金属層によって覆われていてよい。これらの金属層は、薄膜積層体における金属薄膜の電気的接続を可能とする。これらの金属層は、シュープ層("Schoopschicht")とも呼ばれている。この層は自己修復性のコンデンサでは一般的である。
【0023】
好ましくは、第1および第2の外面は、第1および第2の端面("Stirnflache")である。好ましくは、コンデンサデバイスは軸を含み、第1および第2の端面は、この軸に対し直角に立っており、それぞれ金属層によって少なくとも部分的に覆われている。
【0024】
平坦なコンデンサデバイスにおいては、その間に配設された誘電体薄膜を有する薄膜積層体の内部電極は平坦な面に配設されている。ここで、誘電体薄膜の面法線に対し平行に立っている、薄膜積層体の2つの互いに対向する外面は、金属層で少なくとも部分的に覆われてよい。
【0025】
1つの実施形態においては、第1の外面の上に配設された金属層は、第1の電気的絶縁用分離薄膜によって、第1および第2の部分領域に分離され、この第1および第2の部分領域は互いに電気的に絶縁されていてよい。第2の外面の上に配設された金属層は、第2の電気的絶縁用分離薄膜によって、第1および第2の部分領域に分離され、この第1および第2の部分領域は互いに電気的に絶縁されていてよい。さらに、第1のバスバーは、第1の外面の上で、金属層の第1の部分領域と電気的に接続されてよい。
【0026】
さらに、第2のバスバーは、第2の外面の上で、金属層の第1の部分領域と接続されてよく、かつ第1の外面の上で、金属層の第2の部分領域と接続されてよい。この場合、第2のバスバーは、たとえば溶接接合によって、第2の外面の上で、金属層の第1の部分領域における電気的接続点と電気的に接続されてよく、かつ第1の外面の上で、金属層の第2の部分領域における接続点と電気的に接続されてよい。
【0027】
第2の外面で、金属層の第2の部分領域は、基準電位と接続されてよい。このようにして、第1および第2の外面での金属層と、これらの金属層に接続されている2つのバスバーとで、3つのコンデンサの回路接続が可能となる。この構造は、非常に高い容積占有率を特徴とする。電気的接続のための部品の数は最小となり、簡単かつ安価な構造となり、さらに加えてコンデンサデバイスのコンパクトな構造形態が可能となる。この構造形態では、利用できる容積が技術的に殆ど完全に利用される。
【0028】
好ましくは、少なくとも第2および第3のコンデンサは、自己修復性があり、2つのメタライズ化薄膜の間の局所的短絡("punktueller Kurzschluss")は、このコンデンサの破壊をもたらさない。ここで好ましくは、2つの薄膜の間の局所的な短絡の際に、高い温度のために、貫通部位の誘電体およびメタライジング部が蒸発し、薄膜積層体に穴が発生するが、この穴はコンデンサの破壊をもたらさない。
【0029】
1つの実施形態では、2つのバスバーは、第1のコンデンサ、第2のコンデンサ、および第3のコンデンサを1つの共通な軸の円環形状で包囲する。これら2つのバスバーの少なくとも1つは、第1,第2,および第3のコンデンサより大きい直径を有する。好ましくは、2つのバスバーは、第1,第2,および第3のコンデンサより大きい直径を有する。この場合、これらのバスバーは、第1,第2,および第3のコンデンサより放射方向で外側にある。
【0030】
代替として、Yコンデンサの2つのコンデンサは、2つのバスバーの間に配設されていてよい。この場合、好ましくは第1のコンデンサは、最も小さな直径を有する。第1のバスバーは、好ましくは第1のコンデンサの直径より大きな直径を有する。第2および第3のコンデンサは、好ましくはここでは第1のバスバーの直径より大きな直径を有する。好ましくはこの第2のバスバーは、最も大きな直径を有する。
【0031】
1つの実施形態では、これら2つのバスバーの間に、複数の金属薄膜が配設され、これらの金属薄膜はそれぞれ2つの誘電体薄膜の間に封止されている。誘電体薄膜と金属薄膜の数により、およびこれら2つのバスバーによって、Yコンデンサの複数の第2および第3のコンデンサが形成される。第2および第3のコンデンサは、直列に互いに回路接続されていてよい。このように形成された第2および第3のコンデンサからなるコンデンサ対は、好ましくは、第2および第3のコンデンサからなる他のコンデンサ対に並列に回路接続されている。それぞれ第2および第3のコンデンサからなる複数のコンデンサ対の並列回路接続によって、Yコンデンサの総容量は著しく大きくすることができる。
【0032】
本発明のもう1つの態様は、コンデンサデバイスに関し、このコンデンサデバイスは、その上にバスバーが配設されている外面を有する円環状の基体を備える。好ましくは、この円環状の基体は軸、好ましくは対称軸を包囲している。好ましくは、その上にバスバーが配設されている外面は、基体の面であり、その面法線は、この対称軸から放射方向に向いている。その上にバスバーが配設されている外面の面法線は、特に軸に直角に延びていてよい。基体は、内部電極を備えてよい。バスバーは、内部電極と接続されていてよく、これによって内部電極全部の接続が行われてよい。
【0033】
基体の端面、すなわち好ましくはその面法線が対称軸に平行となっている面は、それぞれ内部電極と接続されたシュープ層を備えて良い。さらに、バスバーは、このバスバーをシュープ層に接続する接続部材を備えてよい。さらにバスバーは、外部の電圧源との接続のための接続部材および/または接地電位と接続するためのさらなる接続部材を備えてよい。
【0034】
基体の外面の上には、好ましくは第1および第2のバスバーが配設されている。これら2つのバスバーのそれぞれは、基体を円環状に包囲している。これら2つのバスバーのそれぞれは、上述の接続部材を備えてよい。第1のバスバーは、第1の端面上の第1のシュープ層と接続されていてよい。第2のバスバーは、第2の端面上の第2のシュープ層と接続されていてよい。この場合、第1のバスバーに第1の電位が印加され、そして第2のバスバーに第2の電位が印加されると、第1のバスバーと接続されている基体の内部電極と、第2のバスバーと接続されている基体の内部電極との間に電位差が生成される。
【0035】
このような、円環形状のコンデンサデバイスは、上述したコンデンサデバイスのすべての構造的および機能的特徴をさらに備えてよい。
【0036】
とりわけ、この円環形状の基体とこの外面の上に配設されたバスバーとを有するコンデンサデバイスは、上述のコンデンサのように構成されてよく、インテグレートされた第1のコンデンサと、インテグレートされたYコンデンサとを備える。もう1つの実施形態においては、この円環形状の基体とこの外面の上に配設されたバスバーとを有するコンデンサデバイスは、インテグレートされた第1のコンデンサとインテグレートされたYコンデンサとを有するコンデンサデバイスとして形成されない。たとえばこのコンデンサデバイスは、単に第1のコンデンサを備える。
【0037】
さらに、本発明は、第2および第3のコンデンサの薄膜のもう1つの実施形態に関し、この実施形態は本願に記載するいずれのコンデンサデバイスの構造とも組み合わせ可能である。このもう1つの実施形態によれば、第2および第3のコンデンサを形成する薄膜は、第1のコンデンサを形成する薄膜と異なっていてよい。
【0038】
とりわけこの第2および第3のコンデンサはそれぞれ、重なって巻回された金属薄膜、誘電体薄膜および部分的にメタライズ化された薄膜を備える。この部分的にメタライズ化された薄膜は、2つのメタライズ化された領域と、これら2つのメタライズ化された領域を互いに分離する、1つのメタライズ化されていない領域とを備える。それぞれのコンデンサの第1の容量は、この部分的にメタライズ化された薄膜の第1のメタライズ化された領域と金属薄膜とによって形成され、この第1のメタライズ化された領域と金属薄膜との間に、さらに誘電体薄膜が配設されていてよい。それぞれのコンデンサの第2の容量は、この部分的にメタライズ化された薄膜の第1のメタライズ化された領域と金属薄膜とによって形成され、この第2のメタライズ化された領域と金属薄膜との間に、さらに誘電体薄膜が配設されていてよい。
【0039】
それぞれのコンデンサの第1および第2の容量は、内部の直列回路として直列に接続されていてよく、こうして第2あるいは第3のコンデンサの総容量が定められる。
【0040】
このもう1つの実施形態によれば、第2および第3のコンデンサは、自己修復性の領域と非自己修復性の領域とを備えてよい。とりわけ、部分的にメタライズ化された薄膜のメタライズ化された領域と金属薄膜との間の領域は、自己修復性であってよい。部分的にメタライズ化された薄膜のメタライズ化されていない領域と金属薄膜との間の領域は、非自己修復性であってよい。
【0041】
さらに、本発明はコンデンサデバイスの製造方法に関する。第1のコンデンサは、その間に配設された第1の誘電体薄膜を有する内部電極から形成されてよい。第1のコンデンサの上には第1の電気的絶縁用分離薄膜が取り付けられてよい。この第1の分離薄膜の上に、その間に配設された第2の誘電体薄膜を有する内部電極からなる、第2のコンデンサが形成されてよい。第2のコンデンサの上には分離薄膜が取り付けられてよい。この第2の分離薄膜の上に、その間に配設された第3の誘電体薄膜を有する内部電極からなる、第3のコンデンサが形成されてよい。さらに薄膜積層体の上の2つのバスバーは、第1、第2、および第3のコンデンサに押し込まれて、これらのコンデンサと電気的に接続されてよい。これにより、この3つのコンデンサの形成のために薄膜積層体が形成され、この薄膜積層体は2つの分離薄膜によって3つの容量に分離されている。これらの内部電極は、誘電体薄膜のメタライズ化によって形成されてよい。積層体のこれらの内部電極は、このようにして第1、第2および第3のコンデンサを形成する。2つのバスバーは、これらのコンデンサの電気的接続を可能とする。
【0042】
コンデンサデバイスの1つの代替の製造方法においては、第1のコンデンサは、その間に配設された誘電体薄膜を有する内部電極から形成されてよい。これらの内部電極は、誘電体薄膜のメタライジング部であってよい。2つのバスバーは、第1のコンデンサに押し込まれて、このコンデンサと電気的に接続されてよい。これら2つのバスバーの間には、2つの誘電体薄膜の間に封止された金属薄膜が挿入されてよい。このようにしてコンデンサデバイスが完成され、このコンデンサデバイスでは、薄膜積層体の内部電極が第1のコンデンサを形成し、この薄膜積層体の上に押し込まれたバスバーは、これらのバスバーの間に配設された金属薄膜および誘電体薄膜と共に第2および第3のコンデンサを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
以下では、実施形態例とこれに付随する図を参照して、本発明を詳細に説明する。これらの図は、本発明の様々な実施形態例を示すが、これらの表示は概略的であり寸法は正確でない。
【
図1】本発明によるコンデンサデバイスの等価回路図を示す図である。
【
図2】本発明によるコンデンサデバイスの第1の実施形態例の一部分を示す図である。
【
図3】このコンデンサデバイスを三次元表示した図である。
【
図4】本発明によるコンデンサデバイスの第2の実施形態例の一部分を示す図である。
【
図5a】この第2の実施形態例によるYコンデンサの概略断面を示す図である。
【
図5b】この第2の実施形態例によるYコンデンサの平面視を概略的に示す図である。
【
図6a】
図5a,5bに示すYコンデンサの部分としての、誘電体薄膜によって封止された金属薄膜を示す図である。
【
図6b】
図6aの誘電体薄膜によって封止された金属薄膜を平面視で示す図である。
【
図7a】1つの代替実施形態例における第2および第3のコンデンサの薄膜断面を示す図である。
【
図7b】この代替実施形態例による第2のコンデンサの薄膜を平面視で示す図である。
【0044】
図1は、本発明によるコンデンサデバイス25の等価回路図を示す図である。このコンデンサデバイス25は、第1のコンデンサC1および第2のコンデンサC2と第3のコンデンサC3とを備える第2および第3のコンデンサC2,C3は互いに直列に回路接続され、第1のコンデンサC1に並列に回路接続されている。第2のコンデンサC2の電極E1_C2と第3のコンデンサC3の電極E1_C3とは、それぞれ接地接続端子を介して基準電位1と接続されている。
【0045】
さらにこのコンデンサデバイス25は2つのバスバー2,3を備える。基準電位1と接続されていない、第2のコンデンサの電極E2_C2は、第1のバスバー2と接続されている。さらに基準電位1と接続されていない、第3のコンデンサの電極E2_C3は、第2のバスバー3と接続されている。さらに第1のコンデンサC1の電極E1_C1は、第1のバスバー2と接続され、第1のコンデンサC1の第2の電極E2_C1は、第2のバスバー3と接続されている。
【0046】
バスバー2,3は、コンデンサデバイス25の電気的接続に用いられる。これらのバスバーは、コンデンサC1,C2,C3を電流源およびまたはIGBTモジュール(IGBT=Insulated-Gate Bipolar Transistor)に接続する。
【0047】
このコンデンサデバイス25は、電力用コンデンサであってよい。第1のコンデンサC1は、たとえば、複数の電源のエネルギー的カップリングのためのコンバータの中間回路に使用される中間回路コンデンサであってよい。
【0048】
第2および第3のコンデンサC2,C3は、Yコンデンサの部分である。Yコンデンサは、2つの互いに直列に回路接続されたコンデンサC2,C3を備え、コンデンサC2,C3の電極E1_C2,E1_C3は、それぞれ基準電位1と接続されている。Yコンデンサは、非対称なスプリアス信号(Storsignale)を抑圧する。
【0049】
Yコンデンサおよび第1のコンデンサC1は、1つの共通なコンデンサデバイス25にインテグレートされている。
【0050】
図2は、このコンデンサデバイス25の第1の実施形態例の断面を示す。このコンデンサデバイスは
図1に示す等価回路図を実現化したものである。
図2に示す構造は、円環形状のコンデンサデバイス25の断面であっても、あるいは平坦なコンデンサデバイス25の断面であってもよい。
【0051】
このコンデンサデバイス25は、薄膜積層体4を備え、この薄膜積層体は、複数の内部電極5と、この間に配設された第1,第2,および第3の誘電体薄膜6.1,6.2,6.3とを備える。これらの薄膜6.1,6.2,6.3は、それぞれ誘電体材料、たとえばポリマーを備える。とりわけこれらの薄膜6.1,6.2,6.3は、ポリマー膜であってよい。これらの薄膜6.1,6.2,6.3の少なくとも1つの外面は、それぞれメタライジング部を備える。これらの誘電体薄膜6.1,6.2,6.3のメタライジング部は、この場合内部電極5を形成する。
【0052】
これら第1,第2,および第3の薄膜6.1,6.2,6.3は、これらの薄膜6.1,6.2,6.3の面法線に沿って、メタライジング部と誘電体の領域とが交互に積層されている。この積層体の第1および第2の端面7,8は、誘電体薄膜6.1,6.2,6.3の面法線に対し平行になっており、いわゆるシュープ層と呼ばれる金属層9,10で覆われている。このシュープ層の形成のため、第1および第2の端面は、いわゆるシュープ処理によって、錫,亜鉛,および/またはアルミニウムでメタライズ化され(シュープ化され"schoopiert")、電気的に接続することができる。これらの薄膜6.1,6.2,6.3は、さらに、全ての内部電極5が第1の端面9または第2の端面10と接続されるように形成される。これらの内部電極5は、薄膜積層体4の積層方向に沿って交互に、1つの内部電極5が第1の端面9に接続され、1つの内部電極5が第2の端面10と接続されるように配設されている。ここで薄膜積層体4の積層方向は、誘電体薄膜6.1,6.2,6.3の面法線に対応する。
【0053】
さらにこの薄膜積層体4は、2つの電気的絶縁用分離薄膜11,12を備える。これらの電気的絶縁用分離薄膜11,12によって、この薄膜積層体4は、第1のコンデンサC1の容量と、第2のコンデンサC2の容量と、第3のコンデンサC3の容量とに分離される。第1の分離薄膜11は、さらに薄膜積層体4の第1の端面7を覆う第1の金属層9を2つの部分領域13,14に分離する。第2の分離薄膜12は、薄膜積層体4の第2の端面8を覆う第2の金属層10を、同様に2つの部分領域15,16に分離する。
【0054】
さらにこのコンデンサデバイス25は2つのバスバー2,3を備える。これらのバスバー2,3は、第1の電気的絶縁層17によって薄膜積層体4から分離されている。さらに第2の電気的絶縁層18が、これら2つのバスバー2,3の間に配設されている。これら2つのバスバー2,3は、薄膜積層体4の同じ側に配設されている。これら2つのバスバー2,3は共に、放射方向で内部に向いた、薄膜積層体の電気的接続のためのコンタクトアーム20を備える。これら2つのバスバーは、導電性の材料、好ましくは金属から製造されている。さらにこれらのバスバーは、
図2に示されていない、バスバーの外部電圧源との接続のためのさらなる接続部を備える。
【0055】
第1のバスバー2は、第1の端面7を覆う第1の金属層9の第1の部分領域13と接続されている。第2のバスバー3は、第2の端面8を覆う第2の金属層10の第1の部分領域15と電気的に接続されている。第2のバスバー3は、第1の端面7を覆う第1の金属層9の第2の部分領域14と電気的に接続されている。これにより、第2の金属層10の第1の部分領域15と第1の金属層9の第2の部分領域14には、同じ電位が印加される。
【0056】
さらに第2の端面8を覆う第2の金属層10の部分領域16は、基準電位1と接続されている。
【0057】
第1の金属層9の第1の部分領域13と第1の端面7の上で接続されている内部電極5と、第2の金属層10の第1の部分領域15と第2の端面8の上で接続されている内部電極5との間には、第1のコンデンサC1の容量が形成され、このコンデンサC1は、中間回路コンデンサであってよい。
【0058】
第1および第2の分離薄膜11,12によって分離された薄膜積層体4の領域には、さらに第2および第3のコンデンサC2,C3の容量が形成される。
【0059】
第1の金属層9の第1の部分領域13と第1の端面7の上で接続されている内部電極5と、第2の金属層10の第2の部分領域16と第2の端面8の上で接続されている内部電極5との間には、第2のコンデンサC2の容量が形成される。
【0060】
第1の金属層9の第1の部分領域14と第1の端面7の上で接続されている内部電極5と、第2の金属層10の第2の部分領域16と第2の端面8の上で接続されている内部電極5との間には、第3のコンデンサC3の容量が形成される。
【0061】
好ましくは、第2および第3のコンデンサC2,C3は、同一の容量を備える。第2および第3のコンデンサの容量C2,C3は、好ましくは第1のコンデンサC1より小さい。第2および第3のコンデンサC2,C3は、たとえば数nFの程度の容量を備える。
【0062】
コンデンサデバイスのこれら3つのコンデンサC1,C2,C3は、自己修復性である。これらのコンデンサでは、高いアーク温度(Lichtbogentemperatur)による2つの内部電極5の間の局所的な短絡の際に、この短絡部位の周りの誘電体およびメタライジング部が蒸発して、単に局所的な穴が薄膜積層体4に生成され、この穴はコンデンサデバイスの破壊をもたらさない。
【0063】
図2に示すコンデンサデバイスの実施形態例は、とりわけ放射対称性の設置空間(Einbauraum)に適合している。ここではこのコンデンサデバイスは円環形状であり、好ましくは対称軸19に対し放射対称性に形成される。
図2は、円環形状のコンデンサデバイスの断面を示し、ここでバスバー2,3は、第1,第2,および第3のコンデンサより大きな直径を有し、これにより薄膜積層体4の外側に向いた側部の上に配設されている。
【0064】
以下では、
図2に示すコンデンサデバイスの1つの可能な製造方法について説明する。
【0065】
まず誘電体材料からなる、始端空巻き部(Anfangsleerwindung)22が巻回される。この上に第1のコンデンサC1の活性巻回部(aktiven Windungen)が巻回される。この活性巻回部には、第1の誘電体薄膜6.1が巻回される。この誘電体薄膜の少なくとも1つの外面はメタライズ化されてよい。薄膜積層体4は、この薄膜6.1の面法線に沿って、メタライジング層と誘電体層とが交互に配設されるように巻回される。これらの誘電体薄膜6.1のメタライジング部は、内部電極5を形成することになる。
【0066】
ここでこの第1のコンデンサC1の活性巻回部の上に電気的絶縁用分離薄膜11が巻回される。
【0067】
この分離薄膜11の取付が終了したら、この上にメタライジング化された第2の誘電体薄膜6.2が巻回される。この第2の誘電体薄膜は、完成したデバイスの第2のコンデンサC2を形成する。
【0068】
第2の誘電体薄膜6.2の上に、次に第2の電気的絶縁用分離薄膜12が巻回される。
【0069】
第2の分離薄膜12の取付が終了したら、この第2の分離薄膜の上に、メタライジング化された第2の誘電体薄膜6.3が巻回される。この第2の誘電体薄膜は、完成したデバイスの第2のコンデンサC3を形成する。この第3のコンデンサC3の上に、誘電体材料からなる終端空巻き部(Endleerwindung)23が巻回される。
【0070】
薄膜6.1,6.2,6.3の面法線に対し平行に立っている、薄膜積層体4の2つの端面7,8は、ここでいわゆるシュープ層と呼ばれる金属層9,10が吹き付けられる。この際、端面7の上の金属層9は、分離薄膜11によって2つの部分領域13,14に分割され、第2の端面8の上の金属層10は、第2の分離薄膜12によって2つの部分領域15,16に分割される。
【0071】
次にバスバー2,3が薄膜積層体4に押し込まれ、ここで第2のバスバー3と薄膜積層体4との間に第1の絶縁層17が設けられ、2つのバスバー2,3の間に第2の絶縁層18が配設されている。次にバスバー2,3のコンタクトアーム20が、コンデンサデバイスの端面7,8の上の金属層9,10とはんだ付けされ、こうして
図1の等価回路に示すようなコンデンサC1,C2,C3の回路接続が生成される。
【0072】
円環状のコンデンサデバイスの場合には、これらのバスバー2,3および薄膜積層体4は、円形または楕円形であるので、これらのバスバー2,3は、薄膜積層体4より大きい直径を備え、これに合わせて、その中心点あるいは焦点から見てこの薄膜積層体4の外面に配設されている。
【0073】
図3は、本発明による、外面30の上に配設されたバスバーを備える円環形状のコンデンサデバイスの3次元図を示す。たとえばこのコンデンサデバイスは、
図2に示す薄膜積層体4を備える。さらに、このコンデンサデバイスは、好ましくは基体2をサポートするための補強部材(不図示)を備える。
【0074】
この薄膜積層体4およびバスバー2,3は、対称軸19の回りで放射対称に構成されている。これら2つのバスバー2,3は、薄膜積層体4より大きな直径を備えており、これらはこの薄膜積層体を外側から包囲している。これら2つのバスバー2,3は、このようにして円環形状の薄膜積層体4の外面30の上に配設されている。さらにこれら2つのバスバー2,3は、薄膜積層体4の電気的接続のためのコンタクトアーム20、およびこれらバスバー2,3の電流源との接続のための接続部21を備える。
【0075】
これらバスバー2,3は、事前に作製された部品として製造され、基体の上に押し込まれる。好ましくは、この事前に作製された部品は、既にコンタクトアーム20を備える。これに続いて、これらのコンタクトアーム20が、対称軸19の方向にほぼ90°に内側に曲げられ、それぞれの端面7,8の上のシュープ層と、たとえば溶接されて接続される。これに対応して、それぞれのシュープ層と接続されている、基体の内部電極には、コンタクト21を介してそれぞれのバスバー2,3に印加されている電位が印加される。しかしながら
図2に示すコンデンサデバイスに対しては、代替として扁平な形態で実装することも可能である。この場合薄膜積層体4およびバスバー2,3は、たとえば直方体形状に、扁平に形成される。
【0076】
図4は、本発明によるコンデンサデバイス25の第2の実施形態例を示す。このコンデンサデバイス25は、第1の誘電体薄膜6.1が積層されている薄膜積層体4を備える。この第1の誘電体薄膜6.1は、メタライジング部を備える。これらのメタライジング部は、内部電極5を形成する。これらのメタライジング部すなわち内部電極5は、交互に薄膜積層体4の第1および第2の端面7,8と接続されている。薄膜積層体4のこれらの端面7,8は、金属層9,10を備える。ここに示す実施形態例では、この薄膜積層体4は第1のコンデンサC1の容量を形成する。
【0077】
図2に示す実施形態例とは対照的に、この実施形態では、第2および第3のコンデンサの容量は、薄膜積層体から形成されない。
【0078】
さらに
図4に示すコンデンサデバイス25は、2つのバスバー2,3を備える。第1のバスバー2は、この薄膜積層体4の第1の端面7と電気的に接続され、第2のバスバー3は、この薄膜積層体4の第2の端面と電気的に接続されている。これら2つのバスバー2,3の間には、金属薄膜5aが配設され、この金属薄膜は、2つの誘電体薄膜6a,6bの間に配設されている。この金属薄膜5aは、基準電位1に接続されている。
【0079】
これらのバスバー2,3および金属薄膜5aと2つの誘電体薄膜6a,6bとによって、第2および第3のコンデンサC2,C3の容量が形成される。第1のバスバー2,第1の金属薄膜5a,および誘電体薄膜6aは第2のコンデンサC2の容量を形成する。第2のバスバー、金属薄膜5b,および誘電体薄膜6bは、第3のコンデンサC3を形成する。
【0080】
図4に示す実施形態例も、
図1の等価回路に示す回路を実装したものである。第1のコンデンサC1は、第2および第3のコンデンサC2,C3に対し並列に回路接続されており、ここでもC2およびC3は互いに直列に回路接続されている。
【0081】
図4に示す第2の実施形態例もまた、放射対称の組込空間にも、扁平な組込空間にも適合している。コンデンサデバイスの円環形状の構成では、2つのバスバー2,3の直径は、これら2つのバスバー2,3が薄膜積層体4の外面に接続されるように、薄膜積層体4の直径より大きく設定される。金属薄膜5aおよび2つの誘電体薄膜6a,6bは、さらにこれらが2つのバスバー2,3の間に押し込むことができるような寸法とされる。
【0082】
図5aは、
図5に示す第2の実施形態例によるY−コンデンサを概略的に示す。
図5bは、金属薄膜5aおよび誘電体薄膜6aの上面図を示し、これらは金属薄膜5aと第1のバスバー2との間に配設されている。この金属薄膜5aは、さらに誘電体薄膜6aから突出した接続ピン24を備える。
図5aおよび5bに示されているように、誘電体薄膜6aから突出している接続ピン24を除いて、誘電体薄膜6aは全ての辺で金属薄膜5aから突出している。この接続ピン24の役割は、金属薄膜5aの基準電位1との接続であり、この基準電位は好ましくは接地電位である。金属薄膜5aとバスバー3との間には、さらなる誘電体薄膜6bが配設されており、この誘電体薄膜は誘電体薄膜6aと同構造である。
【0083】
この第2の実施形態によるコンデンサデバイスの可能な製造方法によれば、
図4に示すように、まず薄膜積層体4が巻回される。このためまず誘電体材料からなる、始端空巻き部(Anfangsleerwindung)22が巻回される。続いてその一方の側がメタライズ化された第1の誘電体薄膜6.1が巻回され、
図4に示すような薄膜積層体4が生成される。ここで第1の誘電体薄膜6.1のメタライジング部が、この薄膜積層体4の内部電極5を形成する。
【0084】
薄膜積層体4のこれらの端面7,8は、電気的接続のための金属層9,10が吹き付けられる。続いてその間に金属薄膜5aおよび2つの誘電体薄膜6a,6bが配設された2つのバスバー2,3が、薄膜積層体4に押し込まれ、端面7,8の上の金属薄膜9,10とはんだ付けされる。これら2つのバスバー2,3は、好ましくはコンタクトアーム20を備え、これらのコンタクトアームは端面7,8の上の金属薄膜9,10とはんだ付けされる。
【0085】
図6aは、金属薄膜5aを示す。この金属薄膜は、2つの誘電体薄膜6a,6bの間に配設されており、2つのバスバー2,3の間に差し込むのに適している。誘電体薄膜6a,6bは、たとえばポリアミド薄膜である。誘電体薄膜5aは、たとえばアルミニウム薄膜である。
【0086】
たとえば
図6aの構成体の製造のために、誘電体薄膜6aに接着剤がコーティングされ、次に平坦にローラで延ばされる。続いて金属薄膜5aがポリアミド薄膜6aの上に取り付けられ、この金属薄膜5aはさらにもう1つの誘電体薄膜6bで覆われる。この際、金属薄膜5aとこのさらにもう1つの誘電体薄膜6bとの間には接着剤が同様に塗布される。誘電体薄膜6a,金属墓膜5aおよびさらにもう1つの誘電体薄膜6bからなる、この薄膜積層体は次に押圧および加熱されて、安定した接続体を生成する。この薄膜積層体のこれらの薄膜5a,6a,6bは、可撓性を保持しており、
図3および4のように、2つの円環形状のバスバー2,3の間に組み込まれるのに適している。この製造方法は連続ラミネート法(Durchlauf-Kaschierverfahren)と呼ばれている。
【0087】
図6bは、その間に金属薄膜5aが封止された2つの誘電体薄膜6a,6bからなる積層体の上面を示す。この積層体の一方の側には接続ピン24が突出している。この接続ピン24は、金属薄膜5aの一部であり、ここでこの接続ピン24は、誘電体薄膜6a,6bから突出している。ここではこの接続ピンは接地接続端子である。この金属薄膜5aが引き延ばされた形状であることから、非対称となることを避けるために複数の接地接続端子が設定される。接続ピン24から見て、金属薄膜5aの残りの部分は誘電体薄膜6a,6bの間に封止されており、したがって
図6bで見えていない。
【0088】
図7aおよび7bに示すように、可撓性の金属薄膜5aが、2つの誘電体薄膜6a,6bの間に封止され、続いて2つのバスバー2,3の間に差し込まれると、望ましくない空隙が誘電体薄膜6a,6bとバスバー2,3との間に形成される。これによって第2および/または第3のコンデンサC2,C3の容量が変歪され得る。
【0089】
この連続ラミネート法の変形例では、このため、封止された金属薄膜5aから反対側に向いた誘電体薄膜6a,6bの面が、1つの金属層によって少なくとも部分的に覆われる。これによって、空隙の生成を避けることができる。
【0090】
この連続ラミネート法のもう1つの変型例では、封止された金属薄膜5aを誘電体薄膜6a,6bとともに平坦に封止し、ここで金属薄膜5aはさらなる接続ピン24を備える。このさらなる接続ピンは、誘電体薄膜6a,6bから突出し、金属薄膜5aの基準電位との接続を生成する。絶縁は、追加の部材によって行うことができ、この追加の部材は金属薄膜5aからなる積層体と誘電体薄膜6a,6bの終端部にそれぞれ配設されてよい。この際、この追加の部材は、たとえばこの積層体の終端部を覆う、さらなる接着用薄膜であってよい。
【0091】
封止された金属薄膜5aから反対側に向いた誘電体薄膜6a,6bの面は、同様にさらなる金属層とラミネートされてよい。第2の実施形態の変形例が、本発明の範囲で可能である。ここでは2つのバスバー2,3の間に複数のメタライズ化された誘電体薄膜が配設される。この際複数の第2のコンデンサC2および複数の第3のコンデンサC3が生成されるように、これらの薄膜のメタライズ化された面は、互いに回路接続され、かつバスバー2,3と回路接続される。
【0092】
ここで第2および第3のコンデンサC2,C3からなる1つのコンデンサ対は、直列に回路接続されており、かつさらなる第2および第3のコンデンサC2,C3からなる第2のコンデンサ対に対し並列に回路接続されている。
【0093】
図7aおよび7bは、第2および第3のコンデンサC2、C3のさらにもう1つの実施形態を示し、これらのコンデンサはYコンデンサの一部となっている。第2および第3のコンデンサC2,C3は互いに直列に回路接続され、第1のコンデンサC1に並列に回路接続されている。これら2つのコンデンサC2,C3は全て、複数の薄膜を備えた積層形状の構造を備える。第2および第3のコンデンサC2,C3の薄膜は、
図2に示すように、第1のコンデンサC1の薄膜と共に1つの薄膜積層体に巻回されてよく、この薄膜積層体は、分離薄膜によって異なる容量に分離される。代替として、第2および第3のコンデンサC2,C3の薄膜は、
図4に示す実施形態例と組み合わされてよく、ここで第2および第3のコンデンサC2,C3の薄膜は、2つのバスバーの間に配設される。
【0094】
図7aは、第2および第3のコンデンサC2,C3の積層形状の構造を断面で示す。
図7bは、2つのコンデンサC2,C3の構造を上面図で示し、ここで構造が見やすいようにするために個々の薄膜は互いにずらされている。
【0095】
積層方向に沿って、第2のコンデンサC2は、最下層として、たとえばアルミニウムからなる金属薄膜31を備える。この金属薄膜31の上に、積層方向に沿って、たとえば蒸着されていないポリプロピレン層で形成された誘電体薄膜32が配設されている。この誘電体薄膜32の上に、積層方向に沿って、部分的にメタライズ化された薄膜33が配設されている。この部分的にメタライズ化された薄膜は、ポリプロピレン層を備え、この上に第1および第2のメタライズ化領域34,35が蒸着されている。これらのメタライズ化された領域は、ここではストライプ状に形成されている。巻回された状態では、これらのストライブは、互いに平行しかつデバイスの対称軸の回りに放射状に延びている。2つのメタライズ化された領域34,35の間には、非メタライズ化領域36が設けられている。この非メタライズ化領域36は、蒸着されていないポリプロピレンのストライプであってよい。
【0096】
これら2つのメタライズ化領域34,35には、それぞれ電位が印加されてよい。さらに金属薄膜31は、接地接続されていてよい。これにより、第1のメタライズ化領域34と金属薄膜31との間に第2のコンデンサC2の第1の容量が形成される。第2のメタライズ化領域35と金属薄膜31との間に第2のコンデンサC2の第2の容量が形成される。これら第1および第2の容量は、互いに直列に回路接続され、内部回路として第2のコンデンサC2の総容量を形成する。
【0097】
第2のコンデンサC2の上側に、積層方向に沿って配設されている第3のコンデンサC3は、同一の構造を備えている。
【0098】
これら第1および第2のメタライズ化領域34,35と金属薄膜31との間の領域は、自己修復性である。非メタライズ化領域36と金属層31との間の領域は、非自己修復性である。局所的な短絡の際に、高いアーク温度の結果、メタライジング部34,35と金属薄膜31で形成された電極との2つの間で、誘電体およびメタライジング部が貫通部位の周囲で蒸発する。これにより、この薄膜積層体には単に穴が形成され、この穴はコンデンサデバイスの破壊をもたらさない。しかしながら、部分的にメタライズ化された薄膜33の非メタライズ化領域36と金属薄膜31との間に電極が無いと、この蒸発は局所的に限定されず、コンデンサデバイスのより大きな領域が破壊される。このため、これらの領域は非自己修復性となる。この第2および第3のコンデンサC2,C3が、本発明で記載したような2つの容量の内部直列回路で形成されていると、こうしてこれらのコンデンサは、改善された電流およびインパルス耐性を備えることになる。