【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない範囲内において、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、特にことわらない限り、「%」は質量%、「部」は質量基準とする。
【0044】
<液体クロマトグラフ質量分析(以下、LC−MS分析と略す)条件>
実施例・比較例のLC−MS分析は次の条件で行った。
[LC部分]Agilent Technologies製 1100シリーズ
カラム:Inertsil ODS−2(4.6mmφ×250mm,5μm)、
溶離液:水80.0%−30min→0.0%、メタノール20.0%−30min→100.0%、
カラム温度:40℃、
流量:1mL/min、注入量:5μL(200 ppmメタノール溶液)、
検出器:UV、RI
[MS部分]JMS T100LP(日本電子製)
リングレンズ電圧:10V、イオン化法:APCI+、脱溶媒室温度:350℃、
ニードル電圧:2500V、オリフィス1温度:80℃、オリフィス1電圧:60V、
イオンガイドピーク間電圧:1000V、オリフィス2電圧:5V
【0045】
<水酸基価測定条件>
酢酸とピリジンを重量比1:9で混合し、アセチル化試薬とした。サンプルをフラスコに秤量し、アセチル化試薬を加え、80℃で2時間加熱した。反応後、フェノールフタレインを指示薬とし、1mol/l水酸化カリウム水溶液で滴定を行った。
【0046】
<NMR分析>
NMR分析の結果は、各ピークの帰属を次式に記載する番号((1)〜(3))で示す。
【化3】
【0047】
[合成例1](ジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレートの合成)
攪拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、ジペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製、OH価1324)254g(1.0mol)、トルエン127g、KOH0.3gを仕込み、90℃まで昇温、攪拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド132g(3mol)を徐々にオートクレーブ内に導入し反応せしめた。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度は140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて水銀柱10mmHg以下にて減圧することで、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和を実施し、pH6〜7に調整した。得られたジペンタエリスリトール2EO付加体(平均2モルのエチレンオキサイドが付加したもの、以下同様)のOH価は982であった。
【0048】
得られたエチレングリコール変性ジペンタエリスリトール(OH価982)343g(1mol)、アクリル酸367g(5.1mol)、パラトルエンスルホン酸35g、トルエン900g、ハイドロキノン0.9gをガラス製四つ口フラスコに仕込み、空気を吹き込みながら加熱反応を行った。反応で生じた水はトルエンと共沸することで系外に随時除去した。反応温度は100〜110℃であり、反応終了時に系外へ除去された反応水量は95gであった。反応後、アルカリ水洗、水洗を行い、上層のトルエン層を分離し、トルエンを減圧留去し、一般式(I)で表される、水酸基含有ジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレート538g(収率87%)を得た。
【0049】
これにつき、水酸基価の測定、並びに
1H−NMR、
13C−NMR、HPLC、及びLC−MS、水酸基価による分析を実施したところ、水酸基含有ジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレートであることが明らかとなった。以下に、NMR分析、及びLC−MS分析の結果を示し、NMRのピークの帰属は上記番号で示す。
【0050】
<2EO付加体アクリレートの
13C−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
45ppm:(2)由来、60ppm:(3)由来、61〜63ppm:エチレンオキサイドが付加した(3)由来、68〜73ppm:(3)に付加したエチレンオキサイド由来、77〜79ppm:重クロロホルム由来、128〜131ppm:エステル結合したアクリル酸由来、165〜167ppm:エステル結合部
【0051】
<2EO付加体アクリレートの
1H−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
3.3〜4.1ppm(16H):(1)、(3)由来、3.6〜4.4ppm(8H):(3)のOHに付加したエチレンオキサイド由来、5.7〜6.4ppm(18H):アクリル酸エステルの2重結合由来、7.3ppm:重クロロホルム由来
【0052】
<2EO付加体アクリレートのLC−MS分析>
8.8〜11.5分:エチレンオキサイド重合体ジアクリレート、14〜16分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性モノアクリレート、16〜20分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ヘキサアクリレート
【0053】
<2EO付加体アクリレートの水酸基価>
ジペンタエリスリトール2EO付加体ジペンタアクリレートモノアルコールの計算水酸基価=54mgKOH/g に対して、測定値は49mgKOH/gであった。
【0054】
[合成例2](ジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレートの合成)
攪拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、ジペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製、OH価1324)254g(1.0mol)、トルエン127g、KOH0.3gを仕込み、90℃まで昇温、攪拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド220g(5mol)を徐々にオートクレーブ内に導入し反応せしめた。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度は140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて水銀柱10mmHg以下にて減圧することで、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和を行い、pH6〜7に調整した。得られたジペンタエリスリトール4EO付加体のOH価は765であった。
【0055】
得られたエチレングリコール変性ジペンタエリスリトール(OH価765)440g(1mol)、アクリル酸382g(5.3mol)、パラトルエンスルホン酸41g、トルエン900g、ハイドロキノン1gをガラス製四つ口フラスコに仕込み、空気を吹き込みながら加熱反応を行った。反応で生じた水はトルエンと共沸することで系外に随時除去した。反応温度は100〜110℃であり、反応終了時に系外へ除去された反応水量は99gであった。反応後、アルカリ水洗、水洗を行い、上層のトルエン層を分離し、トルエンを減圧留去し、一般式(I)で表される、水酸基含有ジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレート610g(収率86%)を得た。
【0056】
これにつき、水酸基価の測定、並びに
1H−NMR、
13C−NMR、HPLC、及びLC−MS、水酸基価による分析を実施したところ、水酸基含有ジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレートであることが明らかとなった。以下に、NMR分析、及びLC−MS分析の結果を示し、NMRのピークの帰属は上記番号で示す。
【0057】
<4EO付加体アクリレートの
13C−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
45ppm:(2)由来、60ppm:(3)由来、61〜63ppm:エチレンオキサイドが付加した(3)由来、68〜73ppm:(3)に付加したエチレンオキサイド由来、77〜79ppm:重クロロホルム由来、128〜131ppm:エステル結合したアクリル酸由来、165〜167ppm:エステル結合部
【0058】
<4EO付加体アクリレートの
1H−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
3.3〜4.1ppm(16H):(1)、(3)由来、3.6〜4.4ppm(16H):(3)のOHに付加したエチレンオキサイド由来、5.7〜6.4ppm(18H):アクリル酸エステルの2重結合由来、7.3ppm:重クロロホルム由来
【0059】
<4EO付加体アクリレートのLC−MS分析>
8.8〜11.5分:エチレンオキサイド重合体ジアクリレート、14〜16分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性モノアクリレート、16〜20分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ヘキサアクリレート
【0060】
<4EO付加体アクリレートの水酸基価>
ジペンタエリスリトール4EO付加体ジペンタアクリレートモノアルコールの計算水酸基価=54mgKOH/g に対して、測定値は51mgKOH/gであった。
【0061】
[合成例3](ジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレートの合成)
攪拌装置を備えた容量1Lのオートクレーブ内に、ジペンタエリスリトール(広栄化学工業株式会社製、OH価1324)254g(1.0mol)、蒸留水36g、KOH0.3gを仕込み、90℃まで昇温、攪拌し、スラリー状の液体とした。次いで130℃に加熱し、エチレンオキサイド352g(8mol)を徐々にオートクレーブ内に導入し反応せしめた。エチレンオキサイドの導入とともに、オートクレーブ内温度は上昇した。随時冷却を加え、反応温度は140℃以下に保つようにした。反応後、140℃にて水銀柱10mmHg以下にて減圧することで、過剰のエチレンオキサイド、副生するエチレングリコールの重合体を除去した。その後、酢酸にて中和を行い、pH6〜7に調整した。得られたジペンタエリスリトール6EO付加体のOH価は646であった。
【0062】
得られたエチレングリコール変性ジペンタエリスリトール(OH価646)521g(1mol)、アクリル酸389g(5.4mol)、パラトルエンスルホン酸45g、トルエン900g、ハイドロキノン1.1gをガラス製四つ口フラスコに仕込み、空気を吹き込みながら加熱反応を行った。反応で生じた水はトルエンと共沸することで系外に随時除去した。反応温度は100〜110℃であり、反応終了時に系外へ除去された反応水量は113gであった。反応後、アルカリ水洗、水洗を行い、上層のトルエン層を分離し、トルエンを減圧留去し、一般式(I)で表される、水酸基含有ジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレート669g(収率83%)を得た。
【0063】
これにつき、水酸基価の測定、並びに
1H−NMR、
13C−NMR、HPLC、及びLC−MSによる分析を実施したところ、水酸基含有ジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレートであることが明らかとなった。以下に、NMR分析、及びLC−MS分析、水酸基価測定の結果を示し、NMRのピークの帰属は上記番号で示す。
【0064】
<6EO付加体アクリレートの
13C−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
45ppm:(2)由来、60ppm:(3)由来、61〜63ppm:エチレンオキサイドが付加した(3)由来、68〜73ppm:(3)に付加したエチレンオキサイド由来、77〜79ppm:重クロロホルム由来、128〜131ppm:エステル結合したアクリル酸由来、165〜167ppm:エステル結合部
【0065】
<6EO付加体アクリレートの
1H−NMR分析(400MHz),in CDCl
3>
3.3〜4.1ppm(16H):(1)、(3)由来、3.6〜4.4ppm(24H):(3)のOHに付加したエチレンオキサイド由来、5.7〜6.4ppm(18H):アクリル酸エステルの2重結合由来、7.3ppm:重クロロホルム由来
【0066】
<6EO付加体アクリレートのLC−MS分析>
8.8〜11.5分:エチレンオキサイド重合体ジアクリレート、14〜16分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性モノアクリレート、16〜20分:ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ヘキサアクリレート
【0067】
<6EO付加体アクリレートの水酸基価>
ジペンタエリスリトール4EO付加体ジペンタアクリレートモノアルコールの計算水酸基価=54mgKOH/g に対して、測定値は50mgKOH/gであった。
【0068】
[実施例1](ジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
合成例1で得られたジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレート1236部(2mol)と、イソホロンジイソシアネート(住友バイエル株式会社製、商品名;デスモジュールI)222部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(川口化学工業(株)製、商品名;MQ)0.4部を2リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート(旭電化工業(株)製、商品名:アデカスタブBT−11)0.3部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトール2EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0069】
[実施例2](ジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
合成例2で得られたジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレート1418部(2mol)と、イソホロンジイソシアネート222部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.45部を2リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.34部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトール4EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0070】
[実施例3](ジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
合成例3で得られたジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレート1612部(2mol)と、イソホロンジイソシアネート222部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5部を2リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.38部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトール6EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0071】
[実施例4](ジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
合成例1で得られたジペンタエリスリトール2EO付加体アクリレート1854部(3mol)と、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.48部を3リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.48部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体とジペンタエリスリトール2EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0072】
[実施例5](ジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
合成例2で得られたジペンタエリスリトール4EO付加体アクリレート2127部(3mol)と、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.53部を3リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.53部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、7時間反応をおこなう事で、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体とジペンタエリスリトール4EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0073】
[実施例6](ジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
合成例3で得られたジペンタエリスリトール6EO付加体アクリレート2418部(3mol)と、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.59部を3リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.59部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、7時間反応をおこなう事で、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体とジペンタエリスリトール6EO付加体のウレタンアクリレートを得た。
【0074】
[比較例1](ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名;KAYARAD PET-30)667部(2mol)、イソホロンジイソシアネート222g(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.18部を1リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.18部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0075】
[比較例2](ジペンタエリスリトールアクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名;KAYARAD DPHA)2248部(2mol)、イソホロンジイソシアネート222部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.49部を3リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.49部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとジペンタエリスリトールアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0076】
[比較例3](2−ヒドロキシエチルアクリレートとイソホロンジイソシアネートの反応)
2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒株式会社製、商品名;BHEA)232部(2mol)、イソホロンジイソシアネート222部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.09部を1リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.09部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事でイソホロンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチルアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0077】
[比較例4](2−ヒドロキシエチルアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
2−ヒドロキシエチルアクリレート348部(3mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名;デュラネートTLA-100)540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.18部を1リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.18部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事でヘキサメチレンジイソシアネート三量体と2−ヒドロキシエチルアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0078】
[比較例5](ジペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート3372部(3mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名;デュラネートTLA-100)540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.78部を5リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.78部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、6時間反応をおこなう事でヘキサメチレンジイソシアネート三量体と2−ヒドロキシエチルアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0079】
[比較例6](ペンタエリスリトールトリアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネート三量体の反応)
ペンタエリスリトールトリアクリレート1001部(3mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体540部(1mol)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.31部を2リットルのセパラブルフラスコに入れた。攪拌しながら、ガラス管にて、液中に空気導入を実施し、液温を70℃にし、ジブチル錫ジラウレート0.31部を添加し、70〜80℃の間で反応温度の調整を行いつつ、5時間反応をおこなう事で、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートからなるウレタンアクリレートを得た。
【0080】
[粘度]JIS K 5600−2−3に従って測定を行った。
[光感度]実施例1から14、及び比較例で得られたサンプルを50重量部、酢酸エチルを50重量部、光重合開始剤としてBASF社製irgacure184を固形分に対して3重量部を添加、溶解した物を、ガラス基板上にスピンコーターにて乾燥膜厚5μmに塗布し、80℃で乾燥、脱溶剤を行った。この未硬化物をステップタブレット(25段、Riston社製)にて遮光し、ウシオ社製の平行光型露光機(SX−UID501H UVQ)にて、窒素雰囲気下、積算照度200mjで硬化させ、指触にてタックフリーとなる段数を記載した。
【0081】
[密着性]光感度の項目と同様にサンプルを調整し、メタルハライドランプを装着したベルトコンベアー式UV硬化装置にてABS、アクリル樹脂、PC、PET(易接着処理面)を基板として積算照度200mj/cm2にて硬化し、JIS−K5400規定の碁盤目試験を行い残存マス数を密着性とした。
【0082】
[鉛筆硬度]光感度の項目と同様の手法で硬化皮膜を作成し、JIS K 5600−5−
4に従い、ABS、PC、PET、アクリル樹脂上での皮膜硬度を測定した。
[耐擦傷性]PETフィルム(易接着処理面)に光感度の項目と同様の手法で硬化皮膜を作成し、テーバー磨耗試験を行った。1kg荷重でCS−10F磨耗輪を使用し所定の回数回転させた時のヘーズをヘーズメーター(スガ製作所 HGM型)にて測定し、試験前後のヘーズの差異を求めた。
【0083】
[耐スチールウール性]PETフィルム(易接着処理面)に光感度の項目と同様の手法で硬化皮膜を作成し、00番のスチールウールで3kgの荷重を掛けて100回研磨した際の塗膜の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した;
○:傷なし、△:試験片に10本前後の傷が確認できる、×:多数の傷が確認できる。
【0084】
[カール性]厚さ150μm、一辺6cmの正方形にカットしたPETフィルムを基材とし、光感度の項目と同様の手法で硬化皮膜を作成した。平坦な面にフィルムの4隅の一点を固定し、その時の残りの3点の高さを測定し、その平均値をカール性とした。
【0085】
[耐汚染性]PETフィルム(易接着処理面)に光感度の項目と同様の手法で硬化皮膜を作成した。硬化皮膜上に汚染物として油性マジック、毛染め液、靴墨を塗布し18時間静置、エタノール綿にてふき取りした際の外観を目視で観察し、次の基準で評価した;
○:着色なし、△:わずかに着色あり、×:着色が濃い。
【0086】
[屈曲性]PETフィルム(易接着処理面)に光感度の項目と同様の手法で硬化膜を作成した。
作成したフィルムを硬化物層が外側になる様に、各直径の円柱に巻き付けて、フィルムにクラックが入った時の円柱の直径を記録した。
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示された結果より、ハンドリング、樹脂組成の選定に不都合を生じていた、高粘度という課題に対しては、ウレタンアクリレートを得るための活性水素(メタ)アクリレートとして、アルキレンオキサイドを付加(AO変性)したジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートを使用する事で解決可能であることが分かった。光感度に関しては、付加mol数が長くなるにつれて、高くなる傾向が見られたが、架橋密度とトレードオフの関係にあり、付加mol数4が好適であった。
【0089】
屈曲性に関しては、多官能(メタ)アクリレートを反応性成分に用いた場合、架橋密度が高く、剛直なフィルムになる事から、柔軟性を欠いた屈曲性に乏しいフィルムであったが、AO変性したジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートを反応性成分に用いたウレタンアクリレートは、アルキレンオキサイド鎖(AO部分)が2重結合間のスペーサーとしての働きを示し、フィルム基材における、コーティング層として、割れる事なく高い追従性を示す可能性が示された。
【0090】
カール性、密着性は、密着性が出にくいPET基材における実施例において、付加mol数の増大と共に密着性、カール性が改善されている事から、AO変性する事で2重結合間の硬化収縮が緩和され、残存内部応力による密着性低下、フィルム変形が緩和されていると推察される。硬化皮膜の鉛筆硬度に関しては、架橋密度の低下から、付加mol数が多くなるに連れて低下することが分かったが、4molまでは硬度を損なうことなく、低粘度という特徴を発揮する事がわかった。これは、その他の、耐擦傷性、耐スチールウール性、耐汚染性の評価項目にも言えることである。