特許第6124953号(P6124953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6124953二厚ダブルエンド雄型ブレード端子及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6124953
(24)【登録日】2017年4月14日
(45)【発行日】2017年5月10日
(54)【発明の名称】二厚ダブルエンド雄型ブレード端子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20170424BHJP
   H01R 12/58 20110101ALI20170424BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20170424BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20170424BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20170424BHJP
【FI】
   H01R13/04 C
   H01R12/58
   H01R43/16
   H01R43/20 A
   H05K1/18 H
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-132463(P2015-132463)
(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公開番号】特開2016-28381(P2016-28381A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2016年6月29日
(31)【優先権主張番号】14/321,922
(32)【優先日】2014年7月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599023978
【氏名又は名称】デルファイ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100092967
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 修
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】プリシラ・アール・トルジーロ
(72)【発明者】
【氏名】アードリアン・フローレス
(72)【発明者】
【氏名】ヘスス・エーレ・モラレス
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・アラン・ブランドン
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06062916(US,A)
【文献】 米国特許第05046960(US,A)
【文献】 特開昭59−068187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/58
H01R 12/00 − 12/91
H01R 13/04
H01R 43/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルエンド雄型ブレード電気端子(30)であって、
実質的に均等な第1厚さ(T1)を特徴とする第1ブレード(40)と、
前記第1厚さ(T1)よりも大きい実質的に均等な第2厚さ(T2)を特徴とする、エンボス加工を施した中央領域(44)を持つ第2ブレード(42)とを備え、
前記第2ブレード(42)の第2遠位端(58)と近接した前記エンボス領域(44)の前端(60)は、丸みを帯びた二等辺三角形形状(62)を形成しており、前記エンボス領域(44)の側部(66)は、前記第2ブレード(42)の側部(68)と実質的に平行であり、前記エンボス領域(44)の後端(70)は、丸みを帯びた隅部(72)を持っている、電気端子(30)。
【請求項2】
請求項1に記載の電気端子(30)であって、
前記第1厚さ(T1)は約0.8mmであり、前記第2厚さ(T2)は約1.2mmである、電気端子(30)。
【請求項3】
請求項1に記載の電気端子(30)であって、
前記第1ブレード(40)の一方の側及び前記第2ブレード(42)の一方の側は、実質的に同一平面上にある、電気端子(30)。
【請求項4】
請求項3に記載の電気端子(30)であって、
前記電気端子(30)は、前記第1ブレード(40)と、前記第2ブレード(42)との中間に肩部(74)を形成し、前記肩部(74)は、第1ブレード幅(W1)及び第2ブレード幅(W2)よりも大きい肩部幅(Ws)を有する、電気端子(30)。
【請求項5】
請求項4に記載の電気端子(30)であって、
前記第1ブレード(40)の第1遠位端(56)及び前記第2ブレード(42)の第2遠位端(58)には面取りが施してある、電気端子(30)。
【請求項6】
請求項5に記載の電気端子(30)であって、
前記エンボス領域(44)の前端(60)の二つの側部(64)は、前記電気端子(30)の長さ方向軸線に対して30°の角度を形成する、電気端子(30)。
【請求項7】
請求項4に記載の電気端子(30)であって、
前記第2ブレード幅(W2)は、前記第1ブレード幅(W1)よりも大きい、電気端子(30)。
【請求項8】
プリント回路基板(PCB)アッセンブリ(14)であって、
絶縁性の基板(20)と、
前記基板(20)の表面上に配置された導電性トレース(38)と、
前記基板(20)によって形成された穴(32)内に配置されたダブルエンド雄型ブレード電気端子(30)とを備え、前記電気端子(30)は、
実質的に均等な第1厚さ(T1)を特徴とする第1ブレード(40)と、
前記第1厚さ(T1)よりも大きい実質的に均等な第2厚さ(T2)を特徴とするエンボス加工を施した中央領域(44)を持つ第2ブレード(42)とを備え、
前記第2ブレード(42)の第2遠位端(58)と近接した前記エンボス領域(44)の前端(60)は、丸みを帯びた二等辺三角形形状(62)を形成しており、前記エンボス領域(44)の側部(66)は、前記第2ブレード(42)の側部(68)と実質的に平行であり、前記エンボス領域(44)の後端(70)は、丸みを帯びた隅部(72)を持っている、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項9】
請求項8に記載のPCBアッセンブリ(14)であって、
前記電気端子(30)は、前記導電性トレース(38)とぴったりとは接触していない、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項10】
請求項8に記載のPCBアッセンブリ(14)であって、
前記第1ブレード(40)は、前記基板(20)の第1面(20)から突出しており、前記第2ブレード(42)は、前記第1面(20)とは反対側の前記基板(20)の第2面(22)から突出している、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項11】
請求項8に記載のPCBアッセンブリ(14)であって、
前記第2ブレード(42)は、電気コネクタ内の相手側ソケット端子に接続されるように形成されており、前記第1ブレード(40)は、電気デバイス内の相手側ソケット端子に接続されるように形成されている、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項12】
請求項11に記載のPCBアッセンブリ(14)であって、
前記電気デバイスは、可融性のリンクを含む、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項13】
請求項11に記載のPCBアッセンブリ(14)であって、
前記電気デバイスは、電気機械的リレーを含む、PCBアッセンブリ(14)。
【請求項14】
実質的に均等な第1厚さ(T1)を特徴とする第1ブレード(40)と、前記第1厚さ(T1)よりも大きい実質的に均等な第2厚さ(T2)を特徴とする第2ブレード(42)とを有する、ダブルエンド雄型ブレード電気端子(30)の製造方法(100)であって、
実質的に均等な第1厚さ(T1)の導電材料のシートからダブルエンド雄型ブレード電気端子(30)を形成する工程(102)と、
前記第2ブレード(42)の中央領域(44)が実質的に均等な第2厚さ(T2)を特徴とするように、前記第2ブレード(42)の中央領域(44)にエンボス加工を施す工程(108)とを含み、
前記第1ブレード(40)の一方の側及び前記第2ブレード(42)の一方の側は実質的に同一平面上にあるように形成し、
前記方法(100)は、更に、
前記第1ブレード(40)と前記第2ブレード(42)との中間に肩部(74)を形成するように前記電気端子(30)を形成する工程(104)を含み、前記肩部(74)は、第1ブレード幅(W1)及び第2ブレード幅(W2)よりも大きい肩部幅(Ws)を有するように形成し、
前記方法(100)は、更に、
前記第1ブレード(40)の第1遠位端(56)及び前記第2ブレード(42)の第2遠位端(58)に面取りを施す工程(106)と、
前記第2遠位端(58)と近接した前記エンボス領域(44)の前端(60)にエンボス加工を施し、丸みを帯びた二等辺三角形形状(62)を形成する工程(110)と、
前記エンボス領域(44)の後端(70)にエンボス加工を施し、丸みを帯びた一対の隅部72を形成する工程(112)とを備え、
前記エンボス領域(44)の側部(66)は、前記第2ブレード(42)の側部(68)と実質的に平行であるように形成される、方法(100)。
【請求項15】
請求項14に記載の方法(100)であって、
前記第1厚さ(T1)は約0.8mmであり、前記第2厚さ(T2)は約1.2mmである、方法(100)。
【請求項16】
請求項14に記載の方法(100)であって、
前記エンボス領域(44)の前端(60)の二つの側部(64)は、前記電気端子(30)の長さ方向軸線(A)に対して30°の角度を形成する、方法(100)。
【請求項17】
請求項14に記載の方法(100)であって、
前記第2ブレード幅(W2)は、前記第1ブレード幅(W1)よりも大きく形成される、方法(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2014年7月2日に出願された米国特許出願第14/321,922号の優先権を主張するものである。出典を明示することにより、この出願に開示された全ての内容は本明細書の開示の一部とされる。
【0002】
本発明は、全体として電気端子に関し、更に詳細には、一方のブレードの厚さが他方のブレードの厚さと異なるダブルエンド雄型ブレード端子に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車では、様々な電気回路を相互接続するために電気センタが使用されている。電気センタは、車輛の配線をリレー等の回路切り換えデバイス及びヒューズ等の回路保護デバイスに接続する、多数の電気ワイヤハーネスコネクタを含む。
【0004】
様々な機能及び位置に対してケーブルを介して接続を提供する金属製端子に接続された銅製の経路/トレースを通して電子部品を機械的に支持し、電気的に接続するのにプリント回路基板(PCB)が使用されている。PCB端子は、電子デバイス(例えばヒューズ及びリレー)の機械的支持体として使用され、これらのデバイスとワイヤハーネスコネクタとの間を電気的に接続する。代表的には、電気センタは、ワイヤハーネスコネクタがPCBの一方の側に纏められ、電子デバイスが他方の側に纏められるように設計されている。
【0005】
PCBは、代表的には、両面に銅が予め適用された積層材料として購入される。望ましからぬ銅を様々な方法で除去し、所望の銅トレースだけを残す。様々な電気搬送性能の回路を受け入れるため、銅の厚さが様々な幾つかのPCBを使用し、コンパクトな立体的電気センタ又は同様の構成要素を経済的に形成するのが望ましい。
【0006】
装着される電気部品並びに必要な電流容量で決まる様々な厚さ及び幅を持つように設計された多くのPCB端子がある。全ての電子デバイス(ヒューズ、リレー、等)は、これらのデバイスが装着される特定の相手側端子(音叉/雌端子又は雄ブレード)の厚さ標準として設計されている。これらの電子デバイスの幾つかの端子は、0.8mm乃至1.2mm厚の金属素材である。電子デバイスが特定の厚さのブレードを必要とし、機能に対する接続を供給するワイヤに接続する出力雌ソケット端子が電子デバイスと異なる厚さを必要とする場合には、代表的には、二つの別々の端子をPCBに配置し、これらを導電性トレースによって接続する。これは、PCBで空間を必要とし、必要とされるPCB層の数が増大し、これによって製造に要する組み立て時間及び費用、端子の数、材料(例えばハンダ及び/又は絶縁保護コーティング)が増大し、おそらくは電気センタの寸法が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術で論じた要旨は、単に従来技術で言及されたことを以て従来技術であると仮定されるべきではない。同様に、従来技術及び従来技術の要旨と関連して言及された問題は、従来技術でこれまでに認識されたものであると仮定されるべきではない。従来技術の要旨は、備わる本質に関して本発明でもある様々なアプローチを提示したに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例によれば、ダブルエンド雄型ブレード電気端子が提供される。ダブルエンド雄型ブレード電気端子は、実質的に均等な第1厚さを特徴とする第1ブレードと、第1厚さよりも大きい実質的に均等な第2厚さを特徴とする、エンボス加工を施した中央領域を持つ第2ブレードとを含む。一つの特定の実施例によれば、第1厚さは約0.8mmであり、第2厚さは約1.2mmである。第1ブレードの一方の側及び第2ブレードの一方の側は、実質的に同一平面内にあってもよい。電気端子は、第1ブレードと、第2ブレードとの中間に肩部を形成してもよい。肩部は、第1ブレード幅及び第2ブレード幅よりも大きい肩部幅を有する。
【0009】
第1ブレードの第1遠位端及び第2ブレードの第2遠位端には傾斜面(又は面取り)を施してもよい。第2遠位端と近接したエンボス領域の前端は、丸みを帯びた二等辺三角形形状を形成し、エンボス領域の側部は、第2ブレードの側部と実質的に平行であり、エンボス領域の後端は、丸みを帯びた隅部を持つことを特徴とする。電気端子の一つの特定の実施例によれば、エンボス領域の前端の二つの側部は、電気端子の長さ方向軸線に対して30°の角度を形成し、第2ブレード幅は、第1ブレード幅よりも大きい。
【0010】
本発明の別の実施例では、プリント回路基板(PCB)アッセンブリが提供される。PCBアッセンブリは、絶縁性(誘電体)基板と、基板の表面上に配置された導電性トレースと、基板によって形成された穴内に配置されたダブルエンド雄型ブレード電気端子とを含む。電気端子は、実質的に均等な第1厚さを特徴とする第1ブレードと、第1厚さよりも大きい実質的に均等な第2厚さを特徴とするエンボス加工を施した中央領域を持つ第2ブレードとを含む。電気端子は、導電性トレースとぴったりとは接触していなくてもよい。第1ブレードは、基板の第1面から突出しており、第2ブレードは、第1面とは反対側の基板の第2面から突出している。第2ブレードは、電気コネクタ内の相手側ソケット端子に接続されるように形成されており、これに対し、第1ブレードは、電気デバイス内の相手側ソケット端子に接続されるように形成されている。PCBアッセンブリの一実施例によれば、電気デバイスは、可融性(又は可溶性)のリンクを含み、別の実施例によれば、電気デバイスは、電気機械的リレーを含む。
【0011】
本発明の更に別の実施例では、実質的に均等な第1厚さを特徴とする第1ブレードと、第1厚さよりも大きい実質的に均等な第2厚さを特徴とする第2ブレードとを有する、ダブルエンド雄型ブレード電気端子の製造方法が提供される。方法は、実質的に均等な第1厚さの導電材料のシートからダブルエンド雄型ブレード電気端子を形成する工程と、第2ブレードの中央領域が実質的に均等な第2厚さを特徴とするように、第2ブレードの中央領域にエンボス加工を施す工程とを含む。第1ブレードの一方の側及び第2ブレードの一方の側は、実質的に同一平面内にあってもよい。電気端子は、第1ブレードと、第2ブレードとの中間に肩部を形成してもよい。前記肩部は、第1ブレード幅及び第2ブレード幅よりも大きい肩部幅を有する。一つの特定の実施例によれば、導電性シートは、約0.8mmの第1厚さを有し、中央領域は、エンボス加工により約1.2mmの第2厚さにされている。
【0012】
方法は、更に、第1ブレードの第1遠位端及び第2ブレードの第2遠位端に面取り(斜面)を施す工程を含んでもよい。第2遠位端と近接したエンボス領域の前端には、丸みを帯びた二等辺三角形形状を形成するようにエンボス加工が施されていてもよい。エンボス領域の後端には、丸みを帯びた一対の隅部を形成するようにエンボス加工が施されていてもよい。エンボス領域の側部は、第2ブレードの側部と実質的に平行であってもよい。エンボス領域の前端の二つの側部は、電気端子の長さ方向軸線に対して30°の角度を形成するようにエンボス加工が施されていてもよい。一つの特定の実施例によれば、電気端子は、第2ブレード幅が第1ブレード幅よりも大きいように形成されている。
【0013】
本発明のこの他の特徴及び利点は、単なる非限定的例として与えられた本発明の好ましい実施例の以下の詳細な説明を、添付図面を参照して読むことにより、更に明瞭に理解されるであろう。
【0014】
次に、本発明を、添付図面を参照して例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施例による電気センタの一部を除去した斜視図である。
図2図2は、一実施例による図1の電気センタのプリント回路基板(PCB)アッセンブリの断面斜視図である。
図3図3は、一実施例による図2のプリント回路基板(PCB)アッセンブリのダブルエンド雄型ブレード電気端子の斜視図である。
図4A図4Aは、一実施例による図3のダブルエンド雄型ブレード電気端子の図である。
図4B図4Bは、一実施例による図3のダブルエンド雄型ブレード電気端子の端面図である。
図4C図4Cは、一実施例による図3のダブルエンド雄型ブレード電気端子の断面図である。
図4D図4Dは、一実施例による図3のダブルエンド雄型ブレード電気端子の側面図である。
図5図5は、別の実施例によるダブルエンド雄型ブレード電気端子の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ダブルエンド雄型ブレード電気端子を以下に説明する。端子は、有効厚さが異なる二つの端子ブレードを有する。電気端子は、車輛の電気センタのプリント回路基板で使用するのに適している。端子の第1ブレードは第1厚さを有し、PCBの一方の側で車輛のワイヤハーネスの相手側ソケットコネクタに接続するのに使用されてもよいが、PCBの他方の側の異なる第2厚さの第2ブレードは、リレーのヒューズ等の電気デバイスのソケットコネクタに直接的に差し込まれてもよい。この端子により、厚さが異なる二つの別々のブレード端子に対する必要をなくし、これらの取り付け及び接続に必要なPCB占有面積及び導電性トレースを減少する。
【0017】
図1は、自動車(図示せず)で使用するように形成された電気センタ10の非限定的例を示す。電気センタは、プリント回路基板(PCB)アッセンブリ14を収容したハウジング12を含む。PCBアッセンブリ14は、リレー又はヒューズ等の電子デバイス16を接続するように形成された導電性トレース(図示せず)と、これらの導電性トレースに接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい電気端子(図示せず)とを含む。PCBは、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂から形成されていてもよい。樹脂は、ガラス繊維織物又はチョップドファイバ等の他の母材で強化されていてもよい。このような材料で形成されたPCBは、代表的には、FR−4型回路基板又はG−10型回路基板と呼ばれる。PCBは、別の態様では、セラミックや硬質ポリマーで形成されていてもよい。ここで言及した受容可能なPCB材料は網羅的ではなく、他の材料も十分に使用される。プリント回路基板の形成に使用された材料及び製造技術は、当業者に周知である。電気センタは、更に、電子デバイスの設置及び保守に必要な電子デバイスへのアクセスを行うことができるように、上から取り外すことができるカバー18を含む。電子デバイスは、PCBの一方の側20に配置されており、電気センタ10を車輛のワイヤハーネスコネクタに相互接続するように形成された電気端子が、PCBの反対側22に配置されている。
【0018】
図2は、PCBアッセンブリ14の非限定的例を断面で示す。第1雌ソケット端子24を持つヒューズ等の電子デバイス16が、PCBの穴32即ち「バイア(via)」を通して取り付けられたダブルエンド雄型ブレード端子30によって、ワイヤハーネスコネクタ28の別の雌ソケット端子26に直接的に接続されている。第1ブレード40がPCBの第1面20から突出しており、第2ブレード42が、第1面20とは反対側のPCBの第2面22から突出している。電子デバイス16の第2ソケット端子34が、PCBの第1面20に取り付けられたシングルエンド雄型ブレード端子36に接続されている。ダブルエンド雄型ブレード端子30及びシングルエンド雄型ブレード端子36は、両方とも、銅合金、真鍮、又はベリリウム銅等の導電材料で形成されている。ダブルエンド端子30及びシングルエンド端子36には、耐蝕性を提供するため、例えば錫を基材とした合金でめっきが施されていてもよい。図2に示す例では、ダブルエンド端子30はPCBトレースに接続されていないが、シングルエンド端子36はPCBトレース38に接続されている。ダブルエンド雄型ブレード端子がPCBの導電性トレースに接続された、PCBアッセンブリの変形例が考えられる。
【0019】
図4Dに示すように、電子デバイス16の第1雌ソケット端子24に接続されたダブルエンド端子30の第1ブレード40は、実質的に均等な第1厚さT1を有する。第1厚さT1は、例示の例によれば、約0.8mm(0.8+0.052/−0.000mm)である。本明細書中で使用したように、実質的に均等な厚さは、±0.026mmである。ワイヤハーネスコネクタ28の雌ソケット端子26に接続されるように形成されたダブルエンド端子30の第2ブレード42は、第2ブレード42の中央部に領域44を有する。この領域では、第2ブレード42にはエンボス加工が施されており、又は第2ブレード42の周囲の材料から盛り上がっている。このエンボス領域44は、第2ブレード42の有効厚さを実質的に均等な第2厚さT2に増大する。第2厚さT2は、例示の例によれば、約1.2mm(1.2±0.026mm)であり、第1厚さT1よりも大きい。本明細書中で使用したように、エンボス加工を施したというのは、第2ブレード42の第1側46が突出領域48を持ち、第1側46とは反対側の第2側50が対応する窪み領域52を形成するように、第2ブレード42をパンチ、ダイ、又は他の金属変形プロセスによって変形したということを意味する。
【0020】
図4B及び図4Cに最もよく示すように、エンボス領域44は、第2ブレード42の第1側46及び第2側50と実質的に平行な平らな部分54を含む。本明細書中で使用したように、実質的に平行なというのは、平らな部分54が、絶対平行状態の±10°にあるということを意味する。第1ブレード40の第2側は、第2ブレード42の第2側と実質的に同一平面内にある。本明細書中で使用したように、実質的に同一平面内にあるというのは、第1ブレード40の第2側が、絶対的に同一平面内にある状態から±5°及び±0.5mmにあるということを意味する。第2厚さT2は、第2ブレード42の第1側からエンボス領域44の平らな部分54までの距離である。エンボス領域44は実質的に非可曲性(non-compliant)であり、第2ブレード42に連続的に取り付けられている。本明細書中で使用したように、実質的に非可曲性というのは、通常の作業で相手側ソケットコネクタによって及ぼされた力でエンボス領域44が変形しないということを意味する。エンボス領域44は、円弧状固定ビーム又は片持ち梁としての特徴を備えていない。エンボス領域44は、対応する相手側ソケット端子26にばね力を及ぼすようには形成されておらず、というよりはむしろ、対応する相手側ソケット端子26が、エンボス領域44を含む第2ブレード42にばね力を及ぼすように形成されている。
【0021】
図4A及び図4Dに最もよく示すように、第1ブレード40の先端の第1遠位端56及び第2ブレード42の先端の第2遠位端58には、対応する相手側ソケット端子24、26へのブレード40、42の挿入を容易にするため、ブレード40、42の厚さT1及び幅W1、W2を小さくするように、角度をなした面取り(斜面)が施してある。
【0022】
図4Aに示すように、エンボス領域44の前端60、即ち第2ブレード42の第2遠位端58と近接した、即ちこれに最も近い端部は、丸みを帯びた二等辺三角形形状62を形成する。例示の例では、エンボス領域44の前端60の二つの側部64は、ダブルエンド端子30の長さ方向軸線Aに対して30°の角度を形成する。前端60が三角形形状62であるため、対応する相手側ソケット端子26への第2ブレード42の挿入が容易になる。エンボス領域44の側部66は、第2ブレード42の側部68と実質的に平行である。エンボス領域44の後端70は、丸みを帯びた隅部72を持つことを特徴とする。後端70の丸みを帯びた隅部72により、接続途絶中、第2ブレード42を対応する相手側ソケット端子26から容易に取り外せる。
【0023】
次に、図3を参照すると、ダブルエンド端子30は、第1ブレード40と第2ブレード42との中間に肩部74を形成する。この肩部74の肩部幅Wsは、第1ブレード40の幅W1及び第2ブレード42の幅W2よりも大きい。例示の例によれば、第2ブレード42の幅W2は、第1ブレード40の幅W1よりも大きい。別の態様では、肩部は、第1及び第2のブレードのうちの広幅のブレードによって形成されていてもよい。電気端子の別の実施例は、第2ブレードの厚さを増大するためのエンボス領域を持つ第2ブレードよりも広幅の第1ブレードを備えていてもよく、又は第1ブレードの幅が第2ブレードと同じであってもよい。肩部74は、穴32を取り囲むPCBの銅パッドにハンダ付けプロセスで機械的に及び/又は電気的に取り付けられていてもよい。
【0024】
図5は、第1ブレード40が実質的に均等な第1厚さT1を有し、第2ブレード42が実質的に均等な第2厚さT2を持つという特徴を備えたダブルエンド雄型ブレード電気端子30の非限定的製造方法100を例示する。第2ブレード42の有効厚さは、第1ブレード40の厚さよりも大きい。方法100は、以下の工程を含む。
【0025】
工程102、即ち実質的に均等な第1厚さの導電材料のシートからダブルエンド雄型ブレード電気端子を形成する工程は、実質的に均等な第1厚さT1の導電材料のシートからダブルエンド端子30を形成する工程を含む。ダブルエンド端子30は、銅合金、真鍮、又はベリリウム銅等の導電材料のシートから形成されてもよい。ダブルエンド端子30は、切断、打ち抜き、精密打ち抜きによって形成されてもよく、又は導電材料のシートから端子ブランクを形成する当業者に周知のこの他の任意の方法によって形成されてもよい。一つの特定の実施例によれば、シートの第1厚さT1は、約0.8mm(0.8+0.052/−0.0mm)である。第2ブレード幅W2は、第1ブレード幅W1よりも大きくてもよく、第1ブレード40の一方の側及び第2ブレード42の一方の側が実質的に同一平面内にあってもよい。
【0026】
工程104、即ち第1ブレードと第2ブレードとの中間に肩部を形成する電気端子を形成する工程は、第1ブレード40と第2ブレード42との中間に肩部74を形成するようにダブルエンド電気端子30を形成する工程を含む、随意の工程である。肩部74の幅Wsは、第1ブレード幅W1及び第2ブレード幅W2よりも大きい。
【0027】
工程106、即ち第1ブレードの第1遠位端及び第2ブレードの第2遠位端に面取りを施す工程は、第1ブレード40の先端の第1遠位端56及び第2ブレード42の先端の第2遠位端58に面取りを施す工程を含む、随意の工程である。
【0028】
工程108、即ち第2ブレードの中央領域が第1厚さよりも大きい実質的に均等な第2厚さを持つことを特徴とするように中央領域にエンボス加工を施す工程は、エンボス加工を施した中央領域44が実質的に均等な第2厚さを持つことを特徴とするように、第2ブレード42の中央領域44にエンボス加工を施す工程を含む。エンボス領域44は、パンチ及びダイ等の従来のエンボス加工方法を使用して形成されてもよい。一つの特定の実施例によれば、エンボス領域44は、第2ブレード42の第2側からエンボス領域44の平らな部分54まで約1.2mm(1.2±0.026mm)の第2厚さを提供する。
【0029】
工程110、即ち第2遠位端と近接したエンボス領域の前端にエンボス加工を施し、丸みを帯びた二等辺三角形形状を形成する工程は、第2遠位端58と近接したエンボス領域44の前端60にエンボス加工を施し、丸みを帯びた二等辺三角形形状62を形成する工程を含む。一つの特定の実施例によれば、エンボス領域44の前端60の二つの側部64は、ダブルエンド端子30の長さ方向軸線Aに対して30°の角度を形成する。
【0030】
工程112、即ちエンボス領域の後端にエンボス加工を施し、丸みを帯びた一対の隅部を形成する工程は、エンボス領域44の後端70にエンボス加工を施し、丸みを帯びた一対の隅部72を形成する工程を含む。エンボス領域44の側部66は、第2ブレード42の側部68と実質的に平行である。
【0031】
ダブルエンド雄型ブレード端子の例を、車輛の電気センタの部分であるPCBアッセンブリ内に示したが、車輛の電気センタ以外の用途でPCBを使用する、又は二つの相手側ソケットコネクタをPCBなしで直接的に接続するのにダブルエンド雄型ブレード端子を使用する、ダブルエンド雄型ブレード端子の他の実施例が考えられる。
【0032】
従って、PCBアッセンブリ14、ダブルエンド雄型ブレード電気端子30、及びこうした端子の製造方法100が提供される。PCBアッセンブリ14のダブルエンド端子30は、ワイヤハーネスコネクタ28の雌ソケット端子26を、ヒューズやリレー等のPCBアッセンブリ14の電子デバイス16の雌ソケット端子24に直接的に接続する利点を提供する。ワイヤハーネスコネクタ28の雌ソケット端子26は、雄型部分端子の厚さが、電気デバイスのソケット端子と異なることを必要とする。ダブルエンド端子30は、大きな「占有面積」、即ちPCBアッセンブリ14の表面20、22上の空間を必要としない。これは、二つの別々の雄型ブレード端子がPCBの各側に取り付けられており、ワイヤハーネスコネクタ28の雌ソケット端子26を電子デバイス16に相互接続するためにPCBの導電性トレースを必要としないためである。ダブルエンド端子30の製造方法100は、単一の均等な厚さの導電材料のシートから、打ち抜き及びエンボス加工等の従来の金属成形技術を使用してダブルエンド端子30を形成するという利点を提供する。
【0033】
本発明をその好ましい実施例に関して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。更に、第1、第2といった用語の使用は、その重要性を示すものではなく、第1、第2といった用語は、一つのエレメントを別のエレメントと区別するために使用されるものである。更に、単数で表現した用語は、その量を制限するものではなく、言及がなされたものが少なくとも一つあるということを意味する。
【符号の説明】
【0034】
10 電気センタ
12 ハウジング
14 プリント回路基板(PCB)アッセンブリ
16 電子デバイス
18 カバー
20 PCBの第1面
22 PCBの第2面
24 第1雌ソケット端子
26 雌ソケット端子
28 ワイヤハーネスコネクタ
30 ダブルエンド雄型ブレード端子
32 バイア
34 第2ソケット端子
36 シングルエンド雄型ブレード端子
38 PCBトレース
40 第1ブレード
42 第2ブレード
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5